タイトル: | 公開特許公報(A)_植物の形態調整方法 |
出願番号: | 2007236674 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A01H 1/00,C12N 15/09,C12N 9/02 |
山口 信次郎 野村 崇人 真籠 洋 神谷 勇治 JP 2009065886 公開特許公報(A) 20090402 2007236674 20070912 植物の形態調整方法 独立行政法人理化学研究所 503359821 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 山口 信次郎 野村 崇人 真籠 洋 神谷 勇治 A01H 1/00 20060101AFI20090306BHJP C12N 15/09 20060101ALI20090306BHJP C12N 9/02 20060101ALN20090306BHJP JPA01H1/00 AC12N15/00 AC12N9/02 7 3 OL 22 2B030 4B024 4B050 2B030AA03 2B030AD08 2B030CA17 2B030CB02 4B024AA03 4B024AA05 4B024AA08 4B024BA08 4B024BA80 4B024CA04 4B024DA01 4B024EA04 4B024GA11 4B050CC01 4B050CC03 4B050DD13 4B050LL02 4B050LL05 本発明は、野生型の植物に比較して有意に異なる形態に調節する植物の形態調節方法に関する。 シトクロムP450酵素のうちシロイヌナズナ由来のCYP714A2は、イネのCYP714D1と同じファミリーに属することが知られている。イネのCYP714D1は、ジベレリンのC-16(17)位のエポキシ化を触媒する(非特許文献1)機能を有している。従って、シロイヌナズナ由来のCYP714A2もまた同機能を有するものと予測されるが、実際の生体内における機能については未知であった。 一方、ステビオールは、ステビア(Stevia rebaudiana)が生産する天然甘味料であるステビオシドのアグリコンである。ステビオシド生合成酵素の研究は、ESTの大量収集などのアプローチを含めて精力的に行われており(非特許文献2)、ステビオールの配糖化に関わる酵素(glucosyltransferase)が複数同定されている。しかしながら、ステビオール合成酵素遺伝子は未同定であり、ステビオシド生産能増大のためのメタボリックエンジニアリングはこの点で非常に困難であった。 さらにまた、植物生長ホルモンであるジベレリンの生合成・代謝に関わるほとんどの酵素が既に同定されているが、ジベレリンのC-13位の水酸化酵素をコードする遺伝子は同定されていなかった。 さらにまた、上述したような実情において、ジベレリンのC-13位の水酸化酵素をコードする遺伝子を過剰発現させた形質転換植物がどのような表現型を示すのか全く不明であった。なお、非特許文献1によればイネのCYP714D1は、ジベレリンのC-16(17)位のエポキシ化を触媒することから、ジベレリンのホルモン活性を大きく低下させることが知られている。したがって、このCYP714D1遺伝子を過剰発現させると植物体は極端に矮性化する。ジベレリンの内生量や生理活性を適度に減少させて植物の背丈を小さくすることは、農業や園芸の分野において重要な技術であるが、ジベレリンを完全に失ってしまうと発芽不全、花芽形成不全などが発生し、植物の生長には致命的になる。Zhu et al., ELONGATED UPPERMOST INTERNODE encodes a cytochrome P450 monooxygenase that epoxidizes gibberellins in a novel deactivation reaction in rice. Plant Cell, 18: 442-456 (2006)Richman A, Swanson A, Humphrey T, Chapman R, McGarvey B, Pocs R, Brandle J. Functional genomics uncovers three glucosyltransferases involved in the synthesis of the major sweet glucosides of Stevia rebaudiana.Plant J. 41:56-67 (2005) 以上のように、従来においては、植物体を極端に矮性化することが可能であったが、発芽不全や花芽形成不全といった問題を生じることなく、植物体を適度に矮性化するといった技術がないという問題があった。 そこで、本発明者らは、上述した問題を解決するために鋭意検討した結果、イネのCYP714D1と同じファミリーに属するシロイヌナズナ由来のCYP714A2が、驚くべきことにステビオール合成酵素であることを突き止めることに成功した。さらに、本発明者らは、当該ステビオール合成酵素遺伝子を過剰発現させることで、ステビオールを大量に生合成できる系を開発するとともに興味深い表現形質を見いだし、本発明を完成するに至った。さらに、本発明者らは、イネにおける、CYP714A2の相同遺伝子候補の一つであるCYP714B1遺伝子を過剰発現させることで、興味深い表現形質を見いだし、本発明を完成するに至った。 本発明に係る植物の形態調節方法は、ent-カウレン酸の13位の炭素又はent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を過剰発現するように組み込んだ形質転換植物を育成するものである。 上記遺伝子としては(a)〜(c)いずれかのポリヌクレオチドを挙げることができる。(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入したアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド(c)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド また、上記遺伝子としては(a)〜(c)いずれかのポリヌクレオチドを挙げることができる。(a)配列番号13に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド(b)配列番号13に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入したアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド(c)配列番号13に示すアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド また、上記遺伝子としては、特に限定されないが、例えば、シロイヌナズナ、イネ、ポプラ、甜茶及びステビアからなる群から選ばれる植物由来であることが好ましい。 本発明によれば、ent-カウレン酸の13位の炭素又はent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を過剰発現させることで半矮性を示し、活性型ジベレリンA4を外生投与することによって半矮性を回復するといった植物の形態調節方法を提供することができる。 以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。1.新規なステビオール合成酵素遺伝子 本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、ent-カウレン酸の13位の炭素に対する水酸化活性を有する酵素(ステビオール合成酵素)をコードする遺伝子である。当該ステビオール合成酵素は、ステビオールをアグリコンとして種々の配糖体を生産することが知られる植物や真菌から単離することができる。一例としては、シロイヌナズナ由来のステビオール合成酵素遺伝子を挙げることができる。シロイヌナズナ由来のステビオール合成酵素遺伝子の塩基配列を配列番号1に示し、シロイヌナズナ由来のステビオール合成酵素のアミノ酸配列を配列番号2に示す。 配列番号1に示した塩基配列は、シロイヌナズナのシトクロムP450酵素CYP714A2をコードするものとして知られているが、このCYP714A2がent-カウレン酸の13位の炭素に対する水酸化活性を有するといった知見は未知であった。なお、従来、ent-カウレン酸の13位の炭素に対する水酸化活性を有する酵素は未同定であり、配列番号2に示したアミノ酸配列からなるタンパク質がステビオール合成酵素であるといった知見は全くの新規である。ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する反応を下記式に示す。 また、本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、シロイヌナズナ由来の遺伝子に限定されず、ステビオール或いはその配糖体を蓄積する植物や真菌由来の遺伝子であってもよい。 また、本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、配列番号2に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は欠失したアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものであっても良い。ここで、1以上のアミノ酸とは、例えば1〜20個のアミノ酸、好ましくは1〜10個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸を意味する。 さらに、本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものであっても良い。ここで、アミノ酸配列の相同性は、アルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラム(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)を用いてアミノ酸配列間の相同性を算出することができるが、このときのパラメータはデフォルトでよい。 さらにまた、本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、配列番号1に示す塩基配列の全体又は一部の塩基配列からなるプローブあるいはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、且つent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものであっても良い。ストリンジェントな条件でハイブリダイズできるプローブとしては、配列番号1に示す塩基配列の任意の少なくとも20個、好ましくは少なくとも30個、たとえば40、60又は100個の連続した配列を一つまたは複数選択したポリヌクレオチドを使用することができる。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドのシグナルが非特異的なハイブリッドのシグナルと明確に識別される条件である。ストリンジェントな条件としては、例えば、5×SSC、1.0%(W/V)核酸ハイブリダイゼーション用ブロッキング試薬(ベーリンガ・マンハイム社製)、0.1%(W/V) N-ラウロイルサルコシン、0.02%(W/V)SDSを用いたハイブリダイゼーション(8〜16時間程度)の後、0.1×SSC、0.1%(W/V)SDSを用いた洗浄を、15分間、2回行なう条件を挙げることができる。また、ハイブリダイゼーションと洗いの温度は、67℃以上を例示できる。なお、ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989や、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載されている方法に準じて行うことができる。 ところで、配列番号2に示したアミノ酸配列において1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、配列番号1に示す塩基配列の全体又は一部の塩基配列からなるプローブあるいはその相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドは、配列番号1及び2に示した塩基配列及びアミノ酸配列の情報に基づいて、化学合成、遺伝子工学的手法又は突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法で作製することができる。 例えば、配列番号1に示した塩基配列を有するポリヌクレオチドに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法等を用いることによって、配列番号2に示したアミノ酸配列において1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加又は挿入を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを作製することができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989や、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載されている方法に準じて行うことができる。 なお、所定の塩基配列を有するポリヌクレオチドがステビオール合成酵素遺伝子であるか否かは、以下のように検証することができる。すなわち、検討対象のポリヌクレオチドを含む遺伝子を発現可能なように導入した形質転換体を基質としてent-カウレン酸を含む培地で培養する。その後、培地からの抽出物に含まれる成分をガスクロマトグラフィー-質量分析装置に供し、ent-カウレン酸の代謝物としてステビオールが合成されているかを確認する。ステビオールが検出されれば、検討対象のポリヌクレオチドを含む遺伝子はステビオール合成酵素遺伝子であることが判明する。 ところで、本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子は、上述したように、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する活性を有するステビオール合成酵素をコードしているが、当該ステビオール合成酵素はent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する活性に限定されない。すなわち、当該ステビオール合成酵素は、ent-7β-ヒドロキシカウレン酸における13位の炭素を水酸化する活性も有している。また、当該ステビオール合成酵素は、ジベレリンA12-7-アルデヒドの12位の炭素を水酸化する活性も有しているが、ジベレリンA12-7-アルデヒドの13位の炭素は僅かに水酸化するのみである。さらに、当該ステビオール合成酵素遺伝子は、ジベレリンA12の12位の炭素を水酸化する活性も有しているが、ジベレリンA12の13位の炭素は僅かに水酸化するのみである。これらステビオール合成酵素による水酸化活性を図1に模式的に示す。2.発現ベクター 上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子は、適当なベクターに挿入して使用及び保存することができる。元となるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクターでもよいし、或いは宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。特に、ベクターとしては、上述したステビオール合成酵素遺伝子を発現可能なような組み込むことができるベクターを使用することが好ましい。すなわち、上述したステビオール合成酵素遺伝子を有する発現ベクターとして作製されることが好ましい。発現ベクターにおいてステビオール合成酵素遺伝子は、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモーターは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。 細菌細胞で作動可能なプロモーターとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子 (Bacillus stearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子 (Bacillus licheniformis alpha-amylase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子 (Bacillus Subtilis alkaline protease gene)、バチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子 (Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモーター、又はファージ・ラムダのPR若しくはPLプロモーター、大腸菌の lac、trp若しくはtacプロモーターなどが挙げられる。 哺乳動物細胞で作動可能なプロモーターとしては、SV40プロモーター、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター又はアデノウイルス2主後期プロモーターなどが挙げられる。昆虫細胞で作動可能なプロモーターとしては、ポリヘドリンプロモータ、P10プロモーター、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモーター、又はバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモーターなどが挙げられる。酵母宿主細胞で作動可能なプロモーターの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、TPI1プロモーター、ADH2-4cプロモーターなどが挙げられる。糸状菌細胞で作動可能なプロモーターの例としては、ADH3プロモーターまたはtpiAプロモーターなどがある。 発現ベクターは、更に選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)又はシゾサッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等に代表されるその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、又はアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン若しくはヒグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。 また、上述したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させることを目的の一部として発現ベクターを構築する場合、植物でステビオール合成酵素遺伝子を発現させることができるベクターであれば、いずれも使用可能である。具体的には、Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミド由来のベクターなどのベクターDNAの一部を植物 細胞に導入した際に宿主植物のゲノムに組込みうるベクター、例えばTiプラスミド由来のpKYLX6、pKYLX7、pBI101、pBH2113、pBI121(Clontech Laboratories, Inc.)などを挙げることができる。 植物で機能するプロモーターとしては、当該対象植物由来のプロモーターであっても、異種由来のものであっても、当該対象植物において機能する限り使用することができる。また、必要に応じ、外部誘導性のプロモーター、組織特異的プロモーターを用いることもできる。組織非特異性ながら強い発現誘導性を示すプロモーターである、CaMV35Sプロモーター、NOSプロモーター及びオクトピンシンターゼプロモーター(Frommら(1989)Plant Cell 1: 977)を用いることもできる。また、緑葉での強い発現を誘導するrbcSプロモーターやcabプロモーターを用いることもできる(Choryら(1991)、Plant Cell,3, 445-459)。 Estradiol i誘導性プロモーター(Plant Cell 2000;12:65-80)、pUAS-Gal4 glucocorticoid誘導性プロモーター(Plant J. 11, 605-612))等を使用することもできる。さらにまた、プロモーターの具体例としては、Agrobacterium tumefaciensのT−DNA由来のプロモーター、Smasプロモーター、桂皮アルコールデヒドロゲナーゼプロモータ、リブロース二リン酸カルボキシラーゼオキシゲナーゼ(Rubisco)プロモーター、GRP1-8プロモーター、植物由来のアクチンやヒストン等のプロモーター/エンハンサーおよび公知である種々の植物遺伝子からのその他の転写開始領域が包含される。 さらにまた、ステビオール合成酵素遺伝子を効率よく発現させるために、当該遺伝子のコード領域の3′末端にポリ(A)+配列を付加しても良い。ポリ(A)+配列は、種々の植物遺伝子又はT−DNA由来のものを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、当該遺伝子を高レベルにて発現させるのに有用な他の配列、例えば特定の遺伝子のイントロン配列、5′不翻訳領域の配列などを発現ベクターに含めることもできる。 さらにまた、発現ベクターには、選択マーカー遺伝子として種々の抗生物質耐性遺伝子や他のマーカー遺伝子を含めることができる。マーカー遺伝子としては、抗スペクチノマイシン遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子(ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼ(SPT)遺伝子)、カナマイシン又はジェネティシン耐性のネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子、ハイグロマイシン耐性のハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)遺伝子、アセト乳酸合成酵素(ALS)を阻害する除草剤に対する耐性遺伝子、グルタミン合成酵素を阻害する除草剤に対する耐性遺伝子(例えばbar 遺伝子)、β−グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子等を挙げることができる。3.形質転換体 上記2.で説明した発現ベクターを宿主細胞に導入することによって、形質転換体を作製することができる。宿主細胞としては、発現ベクターに組み込まれたステビオール合成酵素遺伝子を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞及び/又は植物細胞のいずれであっても良い。 細菌としては、バチルス若しくはストレプトマイセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。哺乳類細胞としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。酵母としては、サッカロマイセス又はシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevis1ae)又はサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。 また、真菌としては、特に限定されないが、ジベレリン生産菌として知られる真菌を使用することが好ましい。ジベレリン生産菌としては、例えば、ジベレラ・フジクロイ(Giberella fujikuroi)、Phaeosphaeria sp. L487等を例示することができる。これらジベレリン生産菌は、ステビオール合成酵素の基質となるent-カウレン酸を代謝によって大量に蓄積していることが考えられるため、ステビオール合成酵素遺伝子を過剰発現させることによって、蓄積したent-カウレン酸を利用して大量のステビオールを合成できると期待できる。 さらに、植物を形質転換する場合、上記2.で説明した発現ベクターを用いた、例えばパーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール(PEG)法、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、リポフェクション法及びアグロバクテリウムなどの微生物媒介トランスフェクション法を適用することができる。植物細胞においては、パーティクルガン法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール(PEG)法およびアグロバクテリウム法が好ましく、アグロバクテリウム法が特に好ましい(Bechtold N. & Pelletier G., Methods Mol. Biol. 82, pp.259-266, 1998)。 形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば、葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織等)又は植物培養細胞(例えばカルス)のいずれをも意味するものである。形質転換に用いられる植物としては、限定するものではないが例えば以下のようなものが考えられる。ナス科:ナス(Solanum melongena L.)、トマト(Lycopersicon esculentum Mill)、ピーマン(Capsicum annuum L. var. angulosum Mill.)、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、タバコ(Nicotiana tabacum L.)アブラナ科:シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica campestris L.)、ハクサイ(Brassica pekinensis Rupr.)、キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata L.)、ダイコン(Raphanus sativus L.)、ナタネ(Brassica campestris L., B. napus L.)イネ科:トウモロコシ(Zea mays)、イネ(Oryza sativa)、コムギ(Triticum aestivum L.)、オオムギ(Hordeum vulgare L.)マメ科:ダイズ(Glycine max)、アズキ(Vigna angularis Willd.)、インゲン(Phaseolus vulgaris L.)、ソラマメ(Vicia faba L.)ウリ科:キュウリ(Cucumis sativus L.)、メロン(Cucumis melo L.)、スイカ(Citrullus vulgaris Schrad.)、カボチャ(C. moschata Duch., C. maxima Duch.)ヒルガオ科:サツマイモ(Ipomoea batatas)ユリ科:ネギ(Allium fistulosum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、ニラ(Allium tuberosum Rottl.)、ニンニク(Allium sativum L.)、アスパラガス(Asparagus officinalis L.)シソ科:シソ(Perilla frutescens Britt. var. crispa)キク科:キク(Chrysanthemum morifolium)、シュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)、レタス(Lactuca sativa L. var. capitata L.)バラ科:バラ(Rose hybrida Hort.)、イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)ミカン科:ミカン(Citras unshiu)、サンショウ(Zanthoxylum piperitum DC.)フトモモ科:ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill)ヤナギ科:ポプラ(Populas nigra L. var. italica Koehne)アカザ科:ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)、テンサイ(Beta vulgaris L.)リンドウ科:リンドウ(Gentiana scabra Bunge var. buergeri Maxim.)ナデシコ科:カーネーション(Dianthus caryophyllus L.) 特に形質転換対象の植物としては、ステビオールをアグリゴンとして種々の配糖体を生合成することが知られている植物を使用することが好ましい。このような植物としては、ステビア(Stevia rebaudiana)及び甜茶(Rubus suauissimus)等を挙げることができる。また、形質転換対象の植物としては、バイオマスとしての利用が研究されているポプラ(Populas nigra L. var. italica Koehne)等を挙げることができる。 なお、形質転換の結果として得られた腫瘍組織やシュート、毛状根などは、そのまま細胞培養、組織培養又は器官培養に用いることが可能であり、また従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)の投与などにより植物体(トランスジェニック植物)に再生させることができる。 ステビオール合成酵素遺伝子が植物に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、トランスジェニック植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRは、発現ベクターに挿入したステビオール合成酵素遺伝子のcDNA断片を増幅するために使用した条件と同様の条件で行うことができる。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法も採用することができる。4.ステビオールの製造方法 上記2.で説明した形質転換体をent-カウレン酸の存在下に培養又は生育することによって、ステビオールを生合成することができる。すなわち、形質転換体において発現したステビオール合成酵素がent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化してステビオールを製造することができる。ここで、ent-カウレン酸は、内在性であっても良いし、外生投与したものであっても良い。 また、形質転換体において生合成されたステビオールは、定法に従って抽出することができる。例えば、培養又は生育後の形質転換体を、アセトン溶媒や酢酸エチル-ノルマルヘキサン(1:1)溶媒を用いて抽出し、抽出物からステビオールを分離精製することができる。 以上のようにして、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を利用することによってステビオール生合成系を開発することができ、ステビオールを生合成によって製造することが可能となる。従来、ステビオールをアグリコンとする各種の配糖体をメタボリックエンジニアリングによって生産するような系においては、ステビオール合成が律速段階であった。しかしながら、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を利用することによって、ステビオール合成を律速段階とすることなく、各種の配糖体を生産する系を開発することができる(図2参照)。 ここで、ステビオールをアグリコンとする配糖体としては、例えば、ステビオシド、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、ズルコシドA、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド等を挙げることができる。すなわち、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を利用することによって、これら列挙した各種配糖体を優れた収率で生産することができる系を開発することができる。5.ステビオール合成酵素遺伝子の過剰発現による表現型 上述したように、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させるとステビオールの合成が促進される。これに加えて、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させると、植物成長ホルモンであるジベレリンのうちジベレリンA1の合成が促進される。野生型の植物においては、ent-カウレン酸を前駆体として、ジベレリンA1よりも生理活性の高いジベレリンA4が比較的多量に蓄積されている。そして従来、ジベレリンA1はジベレリンA4が水酸化されて合成されるものと考えられていた。 しかしながら、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させるとジベレリンA1の蓄積量が増加することから、植物内においてジベレリンA1はステビオールを前駆体として生合成される蓋然性が高い。これは、上述した従来の予測に反する知見である(図2参照)。 換言すると、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させることによって、当該植物内におけるジベレリンA4とジベレリンA1との存在比を野生型植物と比較して変化させることができる。詳細には、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させることによって、野生型植物と比較して(ジベレリンA1量)/(ジベレリンA4)の値を大とする方向に調節することができる。 また、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を植物内で過剰発現させると、植物体は半矮性を示すといった特徴的な表現型を示す。具体的には、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を過剰発現する植物体は、野生型植物と比較して有意に矮小化する。また、半矮性を示す植物体は、ジベレリンA4の外生投与によって野生型植物と同等の大きさまで成長が回復する。ここで、半矮性とは、野生型植物体よりも有意に小であり、且つ、体内におけるジベレリンが検出限界以下である変異体よりも有意に大である範囲で矮化することを意味する。ここで、体内におけるジベレリンが検出限界以下である変異体は、矮化の程度が非常に大であることが知られている。 すなわち、上記1.で説明したステビオール合成酵素遺伝子を過剰発現させることにより植物を半矮性化し、その後、ジベレリンA4の外生投与により成長を回復させるといった植物の形態調節方法を提供することができる。 また、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有しないが、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を植物内で過剰発現させても、植物体は半矮性を示すといった特徴的な表現型を示す。ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、イネ由来の、CYP714A2の相同遺伝子候補の一つであるCYP714B1遺伝子を挙げることができる。CYP714B1遺伝子の塩基配列を配列番号12に示し、CYP714B1遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号13に示す。 ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、配列番号13に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は欠失したアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものであっても良い。ここで、1以上のアミノ酸とは、例えば1〜20個のアミノ酸、好ましくは1〜10個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸を意味する。 さらに、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、配列番号3に示すアミノ酸配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものであっても良い。ここで、アミノ酸配列の相同性は、アルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTXと呼ばれるプログラム(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)を用いてアミノ酸配列間の相同性を算出することができるが、このときのパラメータはデフォルトでよい。 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。〔実施例1〕新規ステビオール合成酵素の機能試験 シトクロムP450酵素遺伝子CYP714A2の完全長cDNAは、シロイヌナズナの未熟鞘からRT-PCRを用いて単離した。RT-PCRには以下のプライマーセットを使用し、Expand High FidelityPLUSPCR System (Roche社)及びPyrobest (TaKaRa社)を使用した。次に、RT-PCRによって得られたcDNAを鋳型にして、PCRプライマー714A2-F1(CGGGATCCATGGAGAGTTTGGTTGTTCATAC(配列番号3):翻訳開始コドン(下線部)直前にBamH I制限酵素部位を配置)と714A2-R1(GGGGTACCTCAAACAACCCTAATGACAACAC(配列番号4):停止コドン(下線部)直後にKpn I制限酵素部位を配置)を用いてPCRを行うことにより制限酵素部位を導入した。その産物をBamH I及びKpn I制限酵素で消化した後、pYeDP60ベクターBamH I/Kpn I部位に結合した。なお、pYeDP60ベクターはガラクトース存在下でシトクロムP450遺伝子の発現を誘導する既知ベクターである。 得られたプラスミドは、ガラクトース存在下でアラビドプシスのシトクロムP450還元酵素1を共発現させる既知のWAT11酵母(Pompon D, Louerat B, Bronine A, Urban P (1996) Yeast expression of animal and plant P450s in optimised redox environments. Methods Enzymol 272: 51-64)に形質転換させた。 得られた形質転換体は10mlのSGI液体培地(Glucose 20g、Yeast Nitrogen Base without Amino Acids 6.7g、Bacto Casamino Acid 1g、DL-Tryptophan 40mg、H2O 1L)に植え付け、30℃で24時間振とう(200rpm)培養した。その培養液1mlを10mlのSLI液体培地(Galactose 20g、Yeast Nitrogen Base without Amino Acids 6.7g、Bacto Casamino acid 1g、DL-Tryptophan 40mg、H2O 1L)に植え付け、28℃で4x107 cells/ml濃度に増殖するまで振とう培養した。増殖した形質転換酵母は、新しいSLI液体培地で8x106cells/ml濃度になるように希釈した。その形質転換体培地5mlに1μg(1μlのエタノールに溶解)のent-カウレン酸、ent-7β-ヒドロキシカウレン酸、ジベレリンA12-7-アルデヒド(以下、GA12-7-アルデヒド)、ジベレリンA12(以下、GA12)を加え、28℃で6x107cells/ml濃度に増殖するまで振とう培養した。培養後、ent-カウレン酸、ent-7β-ヒドロキシカウレン酸、GA12-7-アルデヒドを加えた形質転換体とその培地は酢酸エチル-ノルマルヘキサン(1:1)で抽出し、その抽出物を乾固後、90%メタノール溶解してBond Elut C18カラム(100mg、VARIAN社製)に通した。GA12を加えた形質転換体とその培地は、酢酸エチルで抽出し、その抽出物を乾固後、80%メタノール溶解してBond Elut C18カラムに通した。溶出液を乾固した後、メチル-TMSi体に誘導体化してGC-MSにより分析した。GC-MSはAutomass (JEOL)-6890N(Agilent technologies社製)にDB-1カラム (0.25 mm x 15 m;0.25μm film thickness, J & W Scientific社製)を用いた。キャリアガスはHe(1ml/min)。インジェクション温度は250℃とした。カラムオーブンは、インジェクション後80℃で1分保持した後、30℃/分で200℃まで昇温後、5℃/分で250℃まで昇温し、その後30℃/分で300℃まで昇温し、300℃で1分保持した。GC-MSにより分析した結果を表1に示す。 表1の結果、ent-カウレン酸の代謝物としてステビオールが同定された。ent-7β-ヒドロキシカウレン酸も同様にC-13位に水酸基が導入されたent-7β,13-ジヒドロキシカウレン酸が同定された。GA12-7-アルデヒドとGA12の代謝物としてはC-13位に水酸基が導入された代謝物は少量検出されただけで、C-12α位に水酸基が導入されたものが主要な産物として同定された。したがって、シロイヌナズナのシトクロムP450酵素CYP714A2は、B環が6員環のent-カウラン骨格をもつent-カウレン酸とent-7β-ヒドロキシカウレン酸にはC-13位に水酸基を導入する酵素であり、一方、B環が5員環のent-ジベレラン骨格をもつGA12-7-アルデヒドとGA12にはC-12α位に水酸基を導入する酵素であることが明らかとなった(図1)。〔実施例2〕ステビオール合成酵素遺伝子の過剰発現体の作製 実施例1で作製したステビオール合成酵素遺伝子のcDNAクローンを鋳型に、PCRプライマーAt5g24900F(BamHI)(CCGGATCCATGGAGAGTTTGGTTGT(配列番号5):翻訳開始コドン(下線部)直前にBamH I制限酵素部位を配置)とAt5g24900R(PstI)(CCCTGCAGTCAAACAACCCTAATGA(配列番号6):停止コドン(下線部)直後にPst I制限酵素部位を配置)を用いてPCRを行い、制限酵素部位を導入した。PCRによって得られた産物をプラスミドベクターに結合しクローニング後、塩基配列を確認した。このプラスミドをBamH IとPst Iで消化して得られたステビオール合成酵素遺伝子のcDNA断片を、pCGNバイナリーベクター内のカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(強力な構成的発現プロモーター)とNOSターミネーター間のBamH I/Pst I部位に結合させた。このバイナリーベクターをアグロバクテリウムEHA105に電気穿孔法により導入した。シロイヌナズナ(エコタイプCol-0)の形質転換はFloral-dip法により行った。得られたT1種子を無菌的にカナマイシン50 mg/lを含む1/2MS(Murashige-Skoog)寒天培地に播種し、カナマイシン耐性を示す形質転換体を選抜した。これらの後代で導入遺伝子をホモに持つT3個体を実験に用いた。得られたステビオール合成酵素遺伝子の過剰発現体は、図3に示すように半矮性の表現型を示した。なお、図3においてAの写真は野生型シロイヌナズナを示し、Bの写真はステビオール合成酵素遺伝子の過剰発現体のシロイヌナズナを示している。 本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体の独立した2ライン(b2及びd1と命名)と野生型(Col-0)とジベレリン(GA)合成不全変異体とを用いて、生育測定試験を行った。なお、GA合成不全変異体としては、gal-3と称される変異体を使用した。本試験では、播種後6日目の苗条を同一の寒天培地に移植後、10日目にロゼット半径を測定した。b2、d1、Col-0及びgal-3のそれぞれについて移植後10日目の写真を図4に示した。なお、本試験においてロゼット半径は各6個体の平均値として算出した。測定結果を表2及び図5に示す。 表2及び図5から判るように、本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体は、野生株と比較して有意に矮性を示し、且つ、GA合成不全変異体と比較して有意に大きくなる。このように、本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体は、非常に特徴的な半矮性を示すことが明らかとなった。 また、本実施例では、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体の独立した4ライン(b2、d1、f1及びr1)と野生型(Col-0)とジベレリン(GA)合成不全体とを用いて、生育測定試験を行った。なお、GA合成不全体としては、上記のgal-3と異なり、体内GAが検出限界以下である形質転換植物を使用した。本試験では、培養土に播種した後、常光下で生育し、23日目にロゼット半径を測定した。なお、本試験においてロゼット半径は各10個体の平均値として算出した。測定結果を表3及び図6に示す。また、b2、Col-1及びGA合成不全体のそれぞれについて播種後、23日目の写真を図7に示した。 表3及び図6から判るように、本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体は、野生株と比較して有意に矮性を示し、且つ、GA合成不全体と比較して有意に大きくなる。このように、本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体は、非常に特徴的な半矮性を示すことが明らかとなった。なお、本実施例で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体のなかでもf1及びr1は、b2及びd1と比べると緩やかな半矮性を示している。この表現型は、f1及びr1におけるステビオール合成酵素遺伝子の発現量が、b2及びd1と比べて低いためであると考えられる。このように、形質転換植物におけるにおけるステビオール合成酵素遺伝子の発現量を調節することによって、矮性の程度を制御できることが明らかとなった。 さらに、本実施例では、半矮性を示すことが明らかとなったステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体にジベレリンA4(GA4)を投与することによる表現型の変化を検討した。本試験では、培養土に播種後、常光下で生育し、+GA4区に対しては播種後10日目と17日目に50μMのGA4をスプレーにより投与した。本試験の結果を図8に示す。図8において、左からそれぞれ上下2個体ずつ、野生型(Col-0)、b2ライン及びb2ライン(+GA4区)を示している。図8に示すように、ステビオール合成酵素遺伝子を過剰発現する形質転換植物に対してGA4を投与することによって、半矮性が回復し、野生型と同様に生育することが明らかとなった。〔実施例3〕ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体におけるent-カウレン酸とステビオールの定量 実施例2で作製したステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体の独立した2ライン(b2及びd1と命名)と野生型(Col-0)とを24時間白色光下で生育させた。抽台直前の地上部5g新鮮重に内部標準として40ngの17、17-2H2標識したジベレリンを加え、80%アセトンで抽出した。抽出物を乾固後、50%アセトニトリルとn-ヘキサンで溶媒分配し乾固させた。以下の2つの溶出画分を準備した。 溶出画分1:ヘキサン区(カウレン酸を含む)についてシリカゲルクロマトグラフィーを行った。シリカゲルカラムに試料をヘキサンで縣濁しチャージした。ヘキサンで溶出後、カウレン酸画分はヘキサン:酢酸エチル(85:15)で溶出させた。 溶出画分2:50%アセトニトリル区(ステビオールを含む)は1%ギ酸に縣濁し、Oasis HLBカラム(Waters社製)にチャージした。1%ギ酸40%アセトニトリルで溶出後、ステビオール画分は1%ギ酸80%アセトニトリルで溶出させた。 それぞれの溶出画分1及び2をメタノールに溶解し、Bond Elut DEAカラム(VARIAN社製)にチャージした。100%メタノールで溶出後、カウレン酸及びステビオール画分は0.1%酢酸メタノールで溶出させた。 得られた0.1%酢酸メタノール区をODS-HPLCで分画した。ODS-HPLCにおいてカラムはSHISEIDO MGII5 (4.6mmI.D.x 250mm)を使用した。カラム恒温槽は40℃に保持した。移動相は0 minから5 minまで50% MeOH(1% AcOH)とし、その後25 minに100% MeOHになるようにグラジエントさせ、35 minまで100% MeOHで溶出した。流速は1ml/minとした。HPLCのフラクションを1min/tubeで集め、Fr 25及び26(ステビオールを含む)Fr29、30及び31(カウレン酸を含む)を得た。 それぞれのフラクションを集め濃縮乾固し、MSTFAにより誘導体化後、GC-MSを用いて分析した。GC-MS はAutomass (JEOL)-6890N (Agilent technologies社製)にDB-1カラム (0.25 mm x 15 m、0.25 μm film thickness、J & W Scientific社製)を用いた。このときキャリアガスはHe(1ml/min)を使用した。インジェクション温度は250℃とした。カラムオーブンはインジェクション後80℃で1分保持し、200℃までは30℃/分で昇温し、その後、5℃毎分で280℃に昇温し、その後280℃で1分保持した。 野生型シロイヌナズナ及びステビオール合成酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおけるent-カウレン酸及びステビオールを定量した結果を表4に示す(表4中、単位は「pg/g新鮮重」である)。 表4から判るように、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおいては、ステビオール合成酵素の基質であるent-カウレン酸が野生型に比べ5%〜16%に減少していた。一方、ステビオール合成酵素の代謝物であるステビオールは野生型に比べて15〜17倍に増加していた。〔実施例4〕ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体における活性型ジベレリン(GA4、GA1)の定量 実施例3で使用した過剰発現体(b2及びd1)と野生型(Col-0)植物体に17,17-2H2標識したジベレリンを加え、80%アセトンで抽出した。抽出物を乾固後、50%アセトニトリルとn-ヘキサンで溶媒分配した。50%アセトニトリル区を乾固後、500mMリン酸バッファー(pH8.0)に懸濁し、polyvinylpyrrolidoneカラム(Tokyo Kasei社製)にチャージした。100mMリン酸バッファーで(pH8.0)溶出させ、塩酸でpH3.0にした後にOasis HLBカラム(waterss社製)にチャージした。2%ギ酸で溶出後、ジベレリン画分は1%ギ酸80%アセトニトリルで溶出させた。乾固後にメタノールに溶解し、Bond Elut DEAカラム(VARIAN社製)にチャージした。100%メタノールで溶出後、ジベレリン画分は0.5%酢酸メタノールで溶出させた。乾固後に1%酢酸を含むクロロホルム-酢酸エチル(1:1)で縣濁し、SepPak silicaカートリッジ(VARIAN社製)に通した。通過液を乾固した後、水に溶解してLC-MS/MS分析を行った。LC-MS/MSはquadrupole/time-of-flight tandem mass spectrometer (Q-Tof Premier、Waters社製)とAcquity Ultra Performance LC (Waters社製)にAcquity UPLC BEH-C18カラム(2.1 x 50 mm、1.7 μm particle size、Waters社製)を用いた。98%アセトニトリル(0.05%酢酸を含む)で5分溶出後、3%アセトニトリルから65%アセトニトリルに20分のグラジエントで溶出させた。なお流速は200μL/minとした。 野生型シロイヌナズナ及びステビオール合成酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおけるジベレリンA4(GA4)及びジベレリンA1(GA1)を定量した結果を表5に示す(表5中、単位は「pg/g新鮮重」である)。 表5に示すように、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおいて、C-13位に水酸基を持たない活性型ジベレリンのGA4が検出限界以下までに減少していた。一方、C-13位に水酸基を持つ活性型ジベレリンのGA1は野生型に比べて129〜142倍に増加していた。〔実施例5〕イネGA13位水酸化酵素遺伝子の機能試験 イネにおけるCYP714A2の相同遺伝子候補の一つであるCYP714B1遺伝子の完全長cDNAは、イネ(品種日本晴)の第一節間における伸長部位(節を含む)からRT-PCRを用いて単離した。逆転写反応にはOligo(dT)12-18プライマー(Invitrogen社)を使用し、逆転写酵素にはSuperScript II RT (Invitrogen社)を使用した。合成されたcDNAを鋳型にして、PCRプライマー714B1-F1(CATCTTGCATACATCAACGTCAG(配列番号7)とPCRプライマー714B1-R2(CTAATCAAATCCAGCCCAATCAC(配列番号8)にPrimeSTAR HS DNA Polymerase with GC buffer (TaKaRa社)を用いてPCRを行った。増幅されたDNAはMighty TA-cloning Kit for PrimeSTAR (TaKaRa社)を用いてpMD20-Tベクターにクローニングされた。そのプラスミドを鋳型にして、PCRプライマー714B1-CACC(CACCATGGTGGTGGTGGTG(配列番号9):翻訳開始コドン(下線部)直前にGatewayクローニング用の付加配列CACCを配置)とPCRプライマー714B1-R2を用いてPCRを行った。その産物をGatewayエントリーベクターpENTR/ D-TOPO(Invitrogen社)にサブクローニングをおこなった。酵母発現用ベクターへの導入には、前述の完全長cDNA導入エントリーベクターを鋳型にして、PCRプライマー714B1-BamHI(CGGGATCCATGGTGGTGGTGGTG(配列番号10):翻訳開始コドン(下線部)直前にBamH I制限酵素部位を配置)と714B1-KpnI(GGGGTACCCTAATCAAATCCAGCCCAATC(配列番号11):停止コドン(下線部)直後にKpn I制限酵素部位を配置)を用いてPCRを行うことにより制限酵素部位を導入した。その産物をBamH I及びKpn I制限酵素で消化した後、pYeDP60ベクターBamH I/Kpn I部位に結合した。なお、イネ由来CYP714B1遺伝子の塩基配列を配列番号12に示し、イネ由来CYP714B1遺伝子によってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を配列番号13に示す。以降のWAT11酵母への導入および、これを用いた機能試験はCYP714A2の酵素機能実験に準拠した。 その結果、GA12の代謝物としてはC-13位に水酸基が導入された代謝物GA53が産物として同定された。すなわち、本酵素はこれまで発見されていなかったイネのGA13位水酸化酵素であることが明らかになった。しかしながら本酵素はシロイヌナズナのCYP714A2と異なり、ent-カウレン酸を基質にした場合、13位水酸化活性は検出されなかった。〔実施例6〕イネGA13位水酸化酵素遺伝子の過剰発現体の作製 実施例5で作製したイネGA13位水酸化酵素遺伝子(CYP714B1)の完全長cDNAクローンを導入したGatewayエントリーベクターを鋳型に、Gateway system kitを用いた相同組み換え反応により、Gateway対応の構成的発現用(カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを持つ)バイナリーベクターpGW8(島根大学遺伝子実験施設 中川強先生より供与)に本遺伝子cDNAを導入した。このバイナリーベクターをアグロバクテリウムpGV3101(pMP90RK)に電気穿孔法により導入した。シロイヌナズナ(エコタイプCol-0)の形質転換はFloral-dip法により行った。得られたT1種子を無菌的にカナマイシン50 mg/lを含む1/2MS(Murashige-Skoog)寒天培地に播種し、カナマイシン耐性を示すCYP714B1過剰発現形質転換体(T1世代)を選抜した。実験には独立したCYP714B1過剰発現体2ライン(j15及びm17)について、カナマイシン選抜したT2個体を用いた。これらを野生型と同等の生育を示すコントロール(対照)形質転換体2ライン(a1及びd3)と比べたところ、実施例2で示したステビオール合成酵素遺伝子の過剰発現体に類似した半矮性の表現型を示した(図9)。 本実施例の結果より、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素に対する水酸化酵素をコードする遺伝子を過剰発現させることによって特徴的な半矮性を示すことが明らかとなった。〔実施例7〕イネGA13位水酸化酵素遺伝子過剰発現体における活性型ジベレリン(GA4、GA1)の定量 カナマイシンによって選抜後1/2MS培地上に移植し、生育させた19日齢のCYP714B1過剰発現体2ライン(j15及びm17)と、同様に選抜生育させた16日齢のコントロール形質転換体2ライン(a1及びd3)の地上部を活性型ジベレリンの定量試験に用いた。定量方法については実施例4に準拠した。 コントロール形質転換体及びイネGA13位水酸化酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおけるジベレリンA4(GA4)及びジベレリンA1(GA1)を定量した結果を表6に示す(表6中、単位は「pg/g新鮮重」である)。 表6に示すように、イネGA13位水酸化酵素遺伝子過剰発現シロイヌナズナにおいて、C-13位に水酸基を持たない活性型ジベレリンのGA4がコントロール植物体に比べ39〜48%に減少していた。一方、C-13位に水酸基を持つ活性型ジベレリンのGA1はコントロール植物体に比べて104〜206倍に増加していた。本発明に係るステビオール合成酵素による水酸化反応を模式的に示した特性図である。本発明に係るステビオール合成酵素遺伝子を利用することによって、ステビオール合成を律速段階とすることなく、各種の配糖体を生産する系を模式的に示す特性図である。Aは野生型シロイヌナズナの写真であり、Bはステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体の写真である。寒天培地を用いた実験系における、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体と、野生型と、GA合成不全変異体との写真である。寒天培地を用いた実験系における、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体と、野生型と、GA合成不全変異体とにおけるロゼット半径を比較した結果を示す特性図である。培養土を用いた実験系における、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体と、野生型と、GA合成不全変異体とにおけるロゼット半径を比較した結果を示す特性図である。培養土を用いた実験系における、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体と、野生型と、GA合成不全変異体との写真である。GA4の投与による半矮性回復実験における、ステビオール合成酵素遺伝子過剰発現体(GA4未処理区及びGA4処理区)と野生型の写真である。イネGA13位水酸化酵素遺伝子過剰発現体(j15及びm17)と、コントロール(対照)形質転換体(a1及びd3) の写真である。 ent-カウレン酸の13位の炭素又はent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を過剰発現するように組み込んだ形質転換植物を育成する、植物の形態調節方法。 上記遺伝子は以下の(a)〜(c)いずれかのポリヌクレオチドを含むものである、請求項1記載の植物の形態調節方法。(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入したアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド(c)配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-カウレン酸の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド 上記遺伝子は以下の(a)〜(c)いずれかのポリヌクレオチドを含むものである、請求項1記載の植物の形態調節方法。(a)配列番号13に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチド(b)配列番号13に示すアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入したアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド(c)配列番号13に示すアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、ent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド 上記形質転換植物は野生型と比較して半矮性を示すことを特徴とする請求項1記載の植物の形態調節方法。 育成した形質転換植物に対して活性型ジベレリンA4を外生投与することを特徴とする請求項1記載の植物の形態調節方法。 上記形質転換植物は活性型ジベレリンA4によって半矮性が回復することを特徴とする請求項1記載の植物の形態調節方法。 上記遺伝子は、ポプラ、甜茶及びステビアからなる群から選ばれる植物由来であることを特徴とする請求項1記載の植物の形態調節方法。 【課題】発芽不全や花芽形成不全といった問題を生じることなく、植物体を適度に矮性化する植物の形態調節方法の提供。【解決手段】ent-カウレン酸又はent-ジベレラン骨格の13位の炭素を水酸化する機能を有するタンパク質(ステビオール合成酵素)をコードする遺伝子を過剰発現するように組み込んだ形質転換植物。該植物の形態調節方法。上記遺伝子としては、例えば、特定のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むものが挙げられる。【選択図】図3配列表