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タイトル:公開特許公報(A)_生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材及びその製造方法及び海藻由来製品
出願番号:2007222271
年次:2009
IPC分類:A61K 36/02,A61P 39/00,A61P 35/00,A61P 3/04,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 9/12,A61P 7/02,A61P 29/00,C07G 11/00,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

佐島 徳武 細川 雅史 宮下 和夫 佐々木 荘法 JP 2009051791 公開特許公報(A) 20090312 2007222271 20070829 生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材及びその製造方法及び海藻由来製品 国立大学法人 北海道大学 504173471 協同組合マリンテック釜石 505152756 開口 宗昭 100095740 佐島 徳武 細川 雅史 宮下 和夫 佐々木 荘法 A61K 36/02 20060101AFI20090213BHJP A61P 39/00 20060101ALI20090213BHJP A61P 35/00 20060101ALI20090213BHJP A61P 3/04 20060101ALI20090213BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090213BHJP A61P 3/10 20060101ALI20090213BHJP A61P 9/12 20060101ALI20090213BHJP A61P 7/02 20060101ALI20090213BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090213BHJP C07G 11/00 20060101ALI20090213BHJP A23L 1/30 20060101ALN20090213BHJP JPA61K35/80 ZA61P39/00A61P35/00A61P3/04A61P43/00 105A61P3/10A61P9/12A61P7/02A61P29/00C07G11/00 AA23L1/30 B 20 1 OL 19 (出願人による申告)平成18年度 農林水産省 委託研究「農林水産物からのキサントフィル素材の開発」, 産業再生法第30条の適用を受ける特許出願 4B018 4C088 4H055 4B018MD07 4B018MD67 4B018ME03 4B018ME04 4B018ME06 4B018ME08 4B018MF12 4C088AA12 4C088AA13 4C088AA14 4C088AA15 4C088AD30 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA42 4C088ZA54 4C088ZA70 4C088ZB11 4C088ZB26 4C088ZC37 4H055AA02 4H055AB10 4H055AB20 4H055AB23 4H055AB27 4H055AB28 4H055AC50 4H055BA30 4H055CA61 本発明は、生理活性成分を濃縮した新規の海藻由来製品素材及び製造方法に関する。 海藻に含まれる脂溶性成分は様々な生理活性を示すことが知られている。 例えば褐藻であるワカメの場合、その脂溶性成分には、フコキサンチンやβカロテン等のカロテノイド類や、フコステロールや24−メチレンコレステロール等のステロール類や、オクタデカテトラエン酸やエイコサペンタエン酸等の脂肪酸類が含まれる。 フコキサンチンやβカロテンを含むカロテノイドに関しては、抗酸化作用、抗癌作用等の様々な生理活性が報告されている(非特許文献1)。特にフコキサンチンに関しては、抗肥満効果(非特許文献2)やガン細胞への高いアポトーシス誘導能(非特許文献3)、血糖値上昇抑制作用(unpublished data)、DHA合成促進作用(非特許文献4)を有することが見出されている。 フコステロールに関しては、コレステロール吸収の抑制効果が報告されている(非特許文献5)。エイコサペンタエン酸に関しては、血中脂質低下作用、血圧降下作用、抗血栓作用、抗炎症作用、制ガン作用などの様々な生理活性が報告されている(非特許文献6)。 上記の通り、海藻に含まれる脂溶性成分、特にカロテノイドは有用な生理活性を示す為、これまでに様々な脂溶性成分そのもの及び/又は脂溶性成分を濃縮した海藻の製造方法が開示されている。これらの製造方法は二つの製造方法に大別することができる。一つは海藻を有機溶媒に接触させ、有機溶媒に脂溶性成分を抽出することによって得られる脂溶性油の製造方法(1)と、もう一つは、何らかの手段によって海藻から脂溶性成分以外の成分を取り除いた脂溶性成分を濃縮した海藻、及びこの海藻から有機溶媒で抽出した脂溶性油の製造方法(2)である。 製造方法(1)に関しては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11等が開示されている。これらの製造方法で得られる海藻由来脂溶性油は、その脂溶性油自体の濃度は高いが有機溶媒を使用している為、実際の用途としては限られたものになる。 日本の場合、食品衛生法第6条・7条に従い、食品の製造過程において用いることのできる抽出溶剤はエタノール及び水であり、これら以外の溶剤を用いて得られたものに関しては添加物に該当する。エタノール及び水以外の溶剤の使用は厚生大臣が定める場合を除いて、その使用は原則禁止されている。例えば、ヘキサンは大豆などから油脂を抽出する際の加工助剤としての利用は認められているが、現在のところ海藻からの脂溶性成分の抽出溶剤としては認められていない。従って、上記方法による海藻由来脂溶性油の製造方法は、食品などの用途には利用できないといった欠点を有する。 又、抽出した海藻由来脂溶性油の安定性は非常に悪く、長期保存に適していない。さらに、脂溶性成分を抽出する際に大量の有機溶媒が必要になることや、抽出効率を向上させる為には抽出に時間がかかることや、時間をかけずに抽出するには抽出系を高温にするなどの脂溶性成分に対して分解を促進するような条件が必要となるといった欠点があった。 製造方法(2)に関しては、特許文献12に、野菜及び/又は果実処理物から、有機溶剤を用いないで、高濃度カロテノイド含有物を歩留まり良く得る方法が開示されている。この方法は、「カロテノイドを含む野菜及び/又は果実処理物を固液分離処理して液状部を取り出し、該液状部を高圧下にホモジナイズ処理してこれに含まれるカロテノイド成分を凝集させてから遠心分離処理して該カロテノイド成分を取り出すことを特徴とする高濃度カロテノイド含有物の製造方法」であり、「原料の液状部にカロテノイドが含有されている」という前提条件が必要であるため、液状部にカロテノイドが殆ど存在しないような原料、例えば海藻などに対してはこの製造方法は低効率である。 一方、海藻から多糖類を分離する方法は、海藻を熱水に接した後、海苔を微粉末化して水又はアルコールで抽出する方法(特許文献13)、水溶性成分から取り出す製造方法(特許文献14、特許文献17、特許文献18)、海藻をアルカリ金属塩水溶液に接した後、水溶性成分から取り出す方法(特許文献15)、海藻の細片または粉末から水を加えた後、湿式で磨砕して抽出する方法(特許文献16)、アマノリ属海藻を粉末化し熱水で抽出する方法(特許文献19)、が開示されている。これらは基本的に海藻から分離された水溶性成分の多糖類に着目したものである。 "Carotenoids in Health and Disease", N. I. Krinsky, S. T. Mayne, H. Sies eds., Marcel Dekker: New York, 2004H. Maeda et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 332 (2005) 392-397.細川、Bio Industry, 21 (2004) 52-57.T. Tsukui, et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 55 (2007) 5025.I. Ikeda et al., Journal of Lipid Research, 29 (1988) 1573-1582.「AA,EPA,DHA-高度不飽和脂肪酸」鹿山光編、恒星社厚生閣特開平10−158156号公報特開平9−173012号公報特開平9−173011号公報特開平8−3468号公報特開平8−70826号公報特表2006−516293号公報特開2006−70114号公報特開2004−89158号公報特開2005−23028号公報特開2004−2219号公報特開2005−27520号公報特開2006−57041号公報特開2002−65223号公報特開2002−212201号公報特開2002−105102号公報特開2004−49072号公報特開2005−102639号公報特開2005−225924号公報特開平11−113529号公報 上述した様に製造方法(1)に関しては、各特許文献で得られる海藻由来脂溶性油は、その脂溶性油自体の濃度は高いが有機溶媒を使用している為、得られたカロテノイド製品を食品として用いることができる安全性を確保することが困難であり、実際の用途としては限られたものになるという問題がある。 一方、製造方法(2)に関しては、特許文献12の方法では例えば海藻などに対しては低効率であるという問題がある。 一方、海藻から多糖類を分離する方法に関する各特許文献に記載された方法は海藻から分離された水溶性成分の多糖類に着目したものであり、海藻に含まれる脂溶性成分の抽出を可能としたものではない。 本発明は、有機溶剤を用いずに生理活性成分を濃縮した新規の海藻由来製品素材、及びその製造方法及び海藻由来製品を提供する事を目的とする。 本発明者等は上記課題について鋭意検討を行った結果、微細化した海藻を蒸留水、又は水道水、又は地下水、又はpHを調整した水溶液、又はアルカリ金属塩水溶液中でインキュベートした後、液状成分と固体成分に分離して得られる固体成分に、生理活性を示す様々な成分を含む脂溶性油が濃縮された海藻由来製品素材が得られることを見出した。 即ち、微細化した海藻から水溶性成分、特に海藻の主成分である多糖類を取り除くことにより、脂溶性油を濃縮した海藻由来製品素材が得られ、有機溶媒を使用することなく、海藻中の脂溶性油の比率を高めることができ、食品をはじめとする様々な用途に利用することが可能となる。 上記の課題を解決する本発明の海藻由来製品素材の製造方法は、(1)海藻を微細化し、(2)微細化した海藻を酵素水溶液中でインキュベートし、(3)インキュベート後、液体成分を固体成分から分離し、(4)固体成分を乾燥させることを特徴とする。 本発明の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材は、本発明の海藻由来製品素材の製造方法によって製造することができる。 本発明の海藻由来製品素材を添加して、食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌等の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品とすることができる。 本発明により、新規の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材を提供できる。又、新規の海藻由来製品素材の製造方法を提供できる。 以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明がこの実施の形態のみに限定されるものではない。 本発明の海藻由来製品素材の製造方法における前記工程(1)は、原料となる海藻が乾燥し、その水分含量(重量比)が20%以下のものを適用できる。乾燥方法としては、天日干し等の自然の力で乾燥させる方法や、凍結乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、マイクロ波照射による乾燥等の装置を利用して乾燥させる方法を用いても良い。 一般的に固形物を微細化(粉末化)する場合、固形物の水分含量が低いほど均一な粒径が得られ、また平均粒子径も小さくなる。日陰で自然乾燥させた海藻(ワカメ、チガイソ、アナメ、マコンブ、ミツイシコンブ、ウミトラノオ、アカモク、フシスジモク、赤モズク、ガゴメコンブ、ヒジキ、フクロフノリ)の場合、110℃にて乾燥を行い海藻重量変化が平衡になった時の水分含量は約88%〜約91%であった。穏やか且つ低コストな乾燥方法である、これら自然乾燥させた海藻を用いた場合においても、十分に微細化した海藻粉末を得ることができたことから、原料となる海藻の水分含量(重量比)が20%以下であることが望まれる。 海藻を低温で乾燥する場合、真空凍結乾燥を行うことにより、海藻中の生理活性物質の分解を抑制することができる。海藻を高温で乾燥する場合、海藻中の生理活性物質の分解や炭化をできるだけ避ける為に、短時間で乾燥を行う必要がある。さらに海藻を超臨界流体(水の場合、温度374℃以上且つ22.1MPa以上)中でインキュベートすることにより、短時間で海藻の微細化を行うことが可能である。 前記工程(1)における海藻の微細化は、粉砕機、磨砕機、ホモジナイザー、超臨界流体機、亜臨界流体機、超音波発生機から選択された一種又は二種以上の組み合わせで行うことが可能であるが、海藻が微細化されるならば、如何なる手段を用いても構わない。 又、前記工程(1)は、微細化した海藻の平均粒径が1μm及至5mmであることが望ましい。微細化した海藻の平均粒径が1μm未満である場合には、酵素反応後の溶液中の固体成分と液体成分の分離が非常に困難になる。また、微細化した海藻の平均粒径が5mmを越える場合には、酵素反応の効率化(反応時間、攪拌など)において不利である。 前記工程(2)中の水溶液として、水又はpH緩衝溶液又はアルカリ金属塩水溶液を用いることができる。 又、前記工程(2)において、水溶液のpHが5及至9であることが、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 水溶液のpHが5未満である場合にはフコキサンチン内の5,6−エポキサイドが5,8−エポキサイドとなり好ましくなく、一方水溶液のpHが9を越える場合、フコキサンチンの分解物が生じる。例えば非特許文献6によると、フコキサンチンを0.01%水酸化カリウムのメタノール溶液に添加(水酸化カリウムとフコキサンチンのモル比は2.2)すると、40分後の各カロテノイド成分比は、フコキサンチン(33%)、フコキサンチノール(8%)、フコキサンチンヘミケタール(11%)、フコキサンチノールヘミケタール(3%)、イソフコキサンチン(17%)、イソフコキサンチノール(14%)になったと記載されている。J. A. Haugan et al., Acta Chemica Scandinavica 46 (1992) 614−624. 前記工程(2)において、インキュベートが温度0℃及至100℃であることが、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 インキュベート温度が0℃未満である場合には反応溶液が凍り、又、酵素反応の効率が低下する(至適温度、抽出してきた多糖類の粘性による攪拌効率の低下)。インキュベート温度が100℃を越える場合には、生理活性成分の分解が促進され、又、蛋白質の一種である酵素自身も熱による変性で活性を失うものが殆どである。 前記工程(2)において、インキュベートが10分及至48時間であることが、収率及び生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 インキュベート時間が10分未満である場合には海藻に含まれる水溶性物質の水への抽出効率が低下する。インキュベート時間が48時間を越える場合には脂溶性物質の分解及び細菌の増殖が生じる可能性がある。 前記工程(2)において、海藻粉末と水溶液の重量比が1:100及至1:5であることが収率を考慮すると望ましい。 海藻粉末と水溶液の重量比が1/100未満である場合には次工程の固体成分と液体成分の分離に時間がかかる。海藻粉末と水溶液の重量比が1/5を越える場合には、インキュベート前に加える水溶液が少なくなって攪拌が円滑に行われなくなり海藻に含まれる水溶性物質の水への抽出効率が低下する。 前記工程(3)において、インキュベート後の反応物質を液体成分と固体成分とに分離する方法は、濾過又は遠心又はデカンテーションから選択された一種又は二種以上の組み合わせで行うことが可能であるが、液体成分と固体成分に分離されるならば、如何なる手段を用いても構わない。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、温度−50℃及至100℃であることが、製造コスト、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 例えば凍結乾燥時に、固体成分の温度を−50℃未満にしても、製造コストに見合った効果が得られない。また、固体成分の乾燥温度が100℃を越える場合には脂溶性物質の分解が促進される。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、圧力10−6Pa及至100MPaであってもよい。 固体成分の乾燥圧力が10−6未満である場合にはターボ分子ポンプやイオンポンプといった高真空装置が必要で、単に海藻の乾燥目的にはこれらの高真空装置を用いる必要は無い。 水の超臨界流体の場合、温度374℃以上且つ22.1MPa以上に反応系を保つ必要があるが、固体成分の乾燥圧力が100MPaを越える場合には、反応系を堅牢にするコストやランニングコストに見合う効果は得られない。 前記工程(4)において、生理活性成分がカロテノイド、例えば、アウロキサンチン(Auroxanthin)、アスタキサンチン(Astaxanthin)、アステロイデノン(Asteroidenone)、アドニキサンチン(Adonixanthin)、アドニルビン(Adonirumin)、アマロウシアキサンチン(Amarouciaxanthin)、アロキサンチン(Alloxanthin)、アントラキサンチン(Antheraxanthin)、イドキサンチン(Idoxanthin)、エキネノン(Echinenone)、αカロテン(α-carotene)、βカロテン(β-carotene)、γカロテン(γ-carotene)、ζカロテン(ζ-catonene)、カンタキサンチン(Canthaxanthin)、クリサンテマキサンチン(Chrysanthemaxanthin)、クリプトキサンチン(Cryptoxanthin)、ゼアキサンチン(Zeaxanthin)、タラキサンチン(Taraxanthin)、ツナキサンチン(Tunaxanthin)、ディアトキサンチン(Diatoxanthin)、ヌロスポレン(Neurosporene)、αドラデキサンチン(α-Doradexanthin)、ネオキサンチン(Neoxanthin)、ネオクロム(Neochrome)、ハロシンチアキサンチン(Halocynthiaxanthin)、ビオラキサンチン(Violaxnathin)、フコキサンチノール(Fucoxanthinol)、フコキサンチン(Fucoxanthin)、フリチエラキサンチン(Fritschiellaxanthin)、ミチロキサンチノン(Mythiloxanthinone)、ミキロキサンチン(Mytiloxanthin)、ミュータトキサンチン(Mutatoxanthin)、ミュータトクロム(Mutatochrome)、リコペン(Lycopene)、ルテイン(Lutein)、ルテオキサンチン(Luteoxanthin)、ロドキサンチン(Rhodoxanthin)等であることが望まれる。 前記工程(4)において、生理活性物質がステロール、例えば、コレスタノール(Cholestanol)、コレステロール(Cholesterol)、ラトステロール(Lathosterol)、7−デヒドロコレステロール(7-Dehydrocholesterol)、デスモステロール(Desmosterol)、22−デヒドロコレステロール(22-Dehydrocholesterol)、カンペスタノール(Campestanol)、カンペステロール(Campesterol)、7−デヒドロカンペステロール(7-Dehydrocampesterol)、エルゴスタノール(Ergostanol)、ジヒドロブラッシカステロール(Dihydrobrassicasterol)、フンジステロール(Fungisterol)、22−ジヒドロエルゴステロール(22-Dihydroergosterol)、ピンカステロール(Pincasterol)、ステラステロール(Stellasterol)、ブラッシカステロール(Brassicasterol)、5−ジヒドロエルゴステロール(5-Dihydroergosterol)、エルゴステロール(Ergosterol)、コジステロール(Codisterol)、24−メチレンコレスタノール(24-Methylenecholestanol)、24−メチレンコレステロール(24-Methylenecholesterol)、エピステロール(Episterol)、スティグマスタノール(Stigmastanol)、シトステロール(Sitosterol)、スティグマスト−7−エノール(Stigmast-7-enol)、7−デヒドロシトステロール(7-Dehydrositosterol)、クリオナステロール(Clionasterol)、ジヒドロコンドリラステノール(Dihydrochondrillastenol)、7−デヒドロクリオナステロール(7-dehydroclionasterol)、スティグマステロール(Stigmasterol)、スピナステロール(Spinasterol)、コルビステロール(Corbisterol)、ポリフェラステロール(Poriferasterol)、コンドリラステロール(Chondrillasterol)、フコスタノール(Fucostanol)、フコステロール(Fucosterol)、28−イソフコスタノール(28-Isofucostanol)、28−イソフコステロール(28-Isofucosterol)、Δ7−アベナステロール(Δ7-Avenasterol)、クレロステロール(Clerosterol)等であることが望まれる。 前記工程(4)において、生理活性成分が脂肪酸、例えば、ミスチリン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等であることが望まれる。 前記海藻が褐藻綱(学名:Phaeophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、アキネトスポラ(学名:Acinetospora crinita)、タワラガタシオミドロ(学名:Hincksia mitchellae)、マツモ(学名:Analipus Japonicus)、イソイワタケ(学名:Ralfsia verrucosa)、ヨツデクロガシラ(学名:Sphacelaria divaricata)、カシラザキ(学名:Halopteris filicina)、エゾヤハズ(学名:Dictyopteris divaricata)、ヘラヤハズ(学名:Dictyopteris prolifera)、ウスバヤハズ(学名:Dictyopteris punctata)、シワヤハズ(学名:Dictyopteris undulata)、アミジグサ(学名:Dictyota dichotoma)、カズノアミジ(学名:Dictyota divaricata)、イトアミジ(学名:Dictyota linearis)、フクリンアミジ(学名:Dilophus okamurae)、フタエオオギ(学名:Distromium decumbens)、ハイオオギ(学名:Labophora variegata)、サナダグサ(学名:Pachydictyon coriaceum)、ウミウチワ(学名:Padina arborescens)、オキナウチワ(学名:Padina japonica)、ウスユキウチワ(学名:Padina minor)、アツバコモングサ(学名:Spatoglossum crassum)、コモングサ(学名:Spatoglossum pacificum)、ジガミグサ(学名:Stypopodium zonale)、シマオオギ(学名:Zonaria diesingiana)、ニセモズク(学名:Acrothrix pacifica)、ナガマツモ(学名:Chordaria flageliformis)、オキナワモズク(学名:Clodosiphon okamuranus)、クロモ(学名:Papenfussiella kuromo)、イシモズク(学名:Sphaerotrichia divaricata)、フトモズク(学名:Tinocladia crassa)、イシゲ(学名:Ishige okamurae)、イロロ(学名:Ishige sinicola)、ネバリモ(学名:Leathesia difformis)、シワノカワ(学名:Petrospongium rugosum)、モズク(学名:Nemacystus desipiens)、コモンナガブクロ(学名:Asperococcus bullosus)、イワヒゲ(学名:Myelophysus simplex)、ホソエゾブクロ(学名:Coilodesme cystoseirae)、ウイキョウモ(学名:Dictyosiphon foeniculaceu)、ハバモドキ(学名:Punctaria latifolia)、ホソクビワタモ(学名:Colpomenia phaeodactyla)、フクロフノリ(学名:Colpomenia sinuosa)、ガゴメノリ(学名:hydroclathrus clathratus)、ハバノリ(学名:Petalonia binghamiae)、カヤモノリ(学名:Scytosiphon lomentaria)、ケベリグサ(学名:Cutleria adspersa)、ムチモ(学名:Cutleia cylindrica)、ヒラムチモ(学名:Cutleria multifida)、イチメガサ(学名:Carpomitra costata)、ケヤリ(学名:Sporochunus radiciformis)、ウルシグサ(学名:Desmarestia ligulata)、タバコグサ(学名:Desmarestia tabacoides)、ホソバワカメ(学名:Alaria angusta)、チガイソ(学名:Alaria crassifolia)、オニワカメ(学名:Alaria fistulosa)、アイヌワカメ(学名:Alaria praelonga)、アオワカメ(学名:Undaria peterseniana)、ワカメ(学名:Undaria pinnatifida)、ヒロメ(学名:Undaria undarioides)、ツルモ(学名:Chorda filum)、アナメ(学名:Agarum clathratum)、ネコアシコンブ(学名:Arthrothamnus bifidus)、スジメ(学名:Costaria costata)、カジメ(学名:Ecklonia cava)、クロメ(学名:Ecklonia kurome)、ツルアラメ(学名:Ecklonia stolonifera)、アラメ(学名:Eisenia bicyclis)、トロロコンブ(学名:Kjellmaniella gyrata)、ガッガラコンブ(学名:Laminaria coriacea)、オニコンブ(学名:Laminaria diabolica)、マコンブ(学名:Laminaria japonica)、ナガコンブ(学名:Laminaria longissima)、ゴヘイコンブ(学名:Laminaria yezonsis)、ヒバマタ(学名:Fucus distichus)、エゾイシゲ(学名:Silvetia babingtonii)、ネブトモク(学名:Cystoseria crassipes)、ジョロモク(学名:Myagropsis myagroides)、フシスジモク(学名:Sargassum confusum)、フタエモク(学名:Sargassum duplicatum)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiformis)、イソモク(学名:Sargassum hemiphyllum)、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ノコギリモク(学名:Sargassum macrocarpum)、トゲモク(学名:Sargassum micracanthum)、ミヤベモク(学名:Sargassum miyabei)、タマハハキモク(学名:Sargassum muticum)、ナラサモ(学名:Sargassum nigrifolium)、タマナシモク(学名:Sargassum nipponicum)、ヤツマタモク(学名:Sargassum patens)、マメタワラ(学名:Sargassum piluliferum)、オオバモク(学名:Sargassum ringgoldianum)、ヨレモク(学名:Sargassum siliquastrum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thunbergii)、ヨレモクモドキ(学名:Sargassum yamamotoi)、エンドウモク(学名:Sargassum yendoi)、ラッパモク(学名:Turbinaria ornata)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 前記海藻が緑藻綱(学名:Chlorophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、シワランソウモドキ(学名:Collinsiella cava)、ヒトエグサ(学名:Monostroma nitidum)、ヒラアオノリ(学名:Enteromorpha compressa)、ボウアオノリ(学名:Enteromorpha intestinalis)、ウスバアオノリ(学名:Enteromorpha linza)、スジアオノリ(学名:Enteromorpha prolifera)、ナガアオサ(学名:Ulva arasakii)、ボタンアオサ(学名:Ulva conglobata)、ヤブレグサ(学名:Ulva japonica)、アナアオサ(学名:Ulva pertusa)、アミモヨウ(学名:Microdictyon japonicum)、タノモグサ(学名:Microdictyon okamurae)、ホソバロニア(学名:Valoniopsis pachynema)、ホソジュズモ(学名:Chaetomorpha crassa)、タマジュズモ(学名:Chaetomorpha moniligera)、フトジュズモ(学名:Chaetomorpha spiralis)、オオシオグサ(学名:Cladophora japonica)、チャシオグサ(学名:Cladophora wrightiana)、アオモグサ(学名:Boodlea coacta)、マガタマモ(学名:Boergesenia forbesii)、タンポヤリ(学名:Chamaedoris orientalis)、カタバミドリゲ(学名:Cladophoropsis herpestica)、キツネノオ(学名:Cladophoropsis vaucheriaeformis)、キッコウグサ(学名:Dictyospaeria cavrnosa)、タマバロニア(学名:Valonia aegagropila)、オオバロニア(学名:Ventricaria ventricosa)、ヘライワズタ(学名:Caulerpa brachypus)、ビャクシンズタ(学名:Caulerpa cupressoides var. lycopodium f. amicorum)、フジノハズタ(学名:Caulerpa fergusonii)、ヒメシダズタ(学名:Caulerpa filicoides)、クビレズタ(学名:Caulerpa lentillifera)、フサイワズタ(学名:Caulerpa okamurae)、センナリズタ(学名:Caulerpa racemosa f. macrophysa)、タカツキズタ(学名:Caulerpa racemosa var. peltata)、サイハイズタ(学名:Caulerpa serrulata var. boryana f. occidentalis)、ヨレズタ(学名:Caulerpa serrulata var. serrulata f. lata)、タカノハズタ(学名:Caulerpa sertularioides f. longipes)、キザミズタ(学名:Caulerpa subserrata)、イチイズタ(学名:Caulerpa taxifolia)、コケイワズタ(学名:Caulerpa webbiana f. tomentella)、マルバハウチワ(学名:Avrainvillea obscura)、イトゲノマユハキ(学名:Chlorodesmis caespitosa)、ウチワサボテングサ(学名:Halimeda discoidea)、ヒロハサボテングサ(学名:Halimeda macroloba)、サボテングサ(学名:Halimeda opuntia)、スズカケモ(学名:Tydemania expeditionis)、ナンバンハイミル(学名:Codium arabicum)、ナガミル(学名:Codium cylindricum)、ミル(学名:Codium fragile)、モツレミル(学名:Codium intricatum)、ヒラミル(学名:Codium latum)、タマミル(学名:Codiuim minus)、クロミル(学名:Codium subtubulosum)、エゾミル(学名:Codium yezoense)、オオハネモ(学名:Bryopsis maxima)、ミズタマ(学名:Bornetella sphaerica)、フデノホ(学名:Neomeris annulata)、リュウキュウガサ(学名:Acetabularia dentata)、カサノリ(学名:Acetabularia ryukyuensis)、イソスギナ(学名:Halicoryne wrightii)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 前記海藻が緑藻綱(学名:Rhodophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、オニアマノリ(学名:Porphyra dentata)、アサクサノリ(学名:Porphyra tenera)、スサビノリ(学名:Porphyra yezoensis)、カタベニフクロノリ(学名:Halosaccion firmum)、ベニフクロノリ(学名:Halosaccion yendoi)、カモガシラノリ(学名:Dermonema pulvinatum)、ソデガラミ(学名:Actinotrichia fragilis)、ヒラガラガラ(学名:Glaxaura falcata)、フクロガラガラ(学名:Galaxaura obtusata)、ナガガラガラ(学名:Galaxaura rugosa)、フサノリ(学名:Scinaia japonica)、ヒラフサノリ(学名:Scinaia latifrons)、ニセフサノリ(学名:Scinaia okamurae)、ガラガラ(学名:Tricleocarpa cylindrica)、ベニモズク(学名:Helminthocladia australis)、ヨゴレコナハダ(学名:Liagora japonica)、ウミゾウメン(学名:Nemalion vermiculare)、ヌルハダ(学名:Trichogloeopsis mucosissima)、カニノテ(学名:Amphiroa anceps)、ヒメカニノテ(学名:Amphiroa misakiensis)、ウスカワカニノテ(学名:Amphiroa zonata)、サンゴモ(学名:Corallina officinalis)、ピリヒバ(学名:Corallina pilulifera)、ヒライタイシモ(学名:Lithophyllum bamleri)、ヒライボ(学名:Lithophyllum okamurae)、モルッカイシモ(学名:Lithophyllum pygmaeum)、クサノカキ(学名:Lithothamnion cystocarpideum)、カワライシモ(学名:Lithothamnion simulans)、フサカニノテ(学名:Marginisporum aberrans)、イシノハナ(学名:Mastophora rosea)、ユイキリ(学名:Acanthopeltis japonica)、シマテングサ(学名:Gelidiella acerosa)、マクサ(学名:Gelidium elegans)、オニクサ(学名:Gelidium japonicum)、オバクサ(学名:Pterocladiella tenuis)、ヒラクサ(学名:Ptilophora subcostata)、カギケノリ(学名:Asparagopsis taxiformis)、イソダンツウ(学名:Caulacanthus ustulatus)、ナミイワタケ(学名:Tylotus lichenoides)、オオバオキツバラ(学名:Constantinea subulifera)、ヒビロウド(学名:Dudresnaya japonica)、ガラガラモドキ(学名:Rhodopeltis borealis)、ハナフノリ(学名:Gloiopeltis complanata)、フクロフノリ(学名:Gloiopeltis furcata)、マフノリ(学名:Gloiopeltis tenax)、ススカケベニ(学名:Halarachnion latissimum)、カイノリ(学名:Chondracanthus intermedia)、スギノリ(学名:Chondracanthus tenella)、コトジツノマタ(学名:Chondrus elatus)、マルバツノマタ(学名:Chondrus nipponicus)、ツノマタ(学名:Chondrus ocellatus)、ヒラコトジ(学名:Chondrus pinnulatus)、イボツノマタ(学名:Chondrus verrucosus)、クロハギンナンソウ(学名:Chondrus yendoi)、アカバギンナンソウ(学名:Mazzaella japonica)、マツノリ(学名:Carpopeltis affinis)、コメノリ(学名:Carpopeltis prolifera)、ニクムカデ(学名:Grateloupia carnosa)、タンバノリ(学名:Grateloupia elliptica)、ムカデノリ(学名:Grateloupia fillicina)、フダラク(学名:Grateloupia lanceolata)、キョウノヒモ(学名:Grateloupia okamurae)、フイリグサ(学名:Halymenia dilatata)、ツノムカデ(学名:Prionitis cornea)、トサカマツ(学名:Prionitis crispata)、ヒトツマツ(学名:Prionitis divaricata)、スジムカデ(学名:Prionitis ramosissima)、イバラノリ(学名:Hypnea charoides)、カズノイバラ(学名:Hypnea flexicaulis)、カギイバラノリ(学名:Hypnea japonica)、サイダイバラ(学名:Hypnea saidana)、タチイバラ(学名:Hypnea variabilis)、ネザシノトサカモドキ(学名:Callophyllis adnata)、ホソバノトサカモドキ(学名:Callophyllis japonica)、キヌハダ(学名:Callophyllis okamurae)、エゾトサカ(学名:Cirrulicarpus gmelini)、イボノリ(学名:Mastocarpus pacificus)、エツキイワノカワ(学名:Peyssonnelia caulifera)、カイノカワ(学名:Peyssonnelia japonica)、サイミ(学名:Ahnfeltiopsis concinna)、オキツノリ(学名:Ahnfeltiopsis flabelliformis)、ホソユカリ(学名:Plocamium cartilagineum)、ユカリ〈学名:Plocamium telfairiae)、ホソバナミノハナ(学名:Portieria hornemannii)、ナミノハナ(学名:Portieria japonica)、カタメンキリンサイ(学名:Betaphycus gelatinum)、キリンサイ(学名:Eucheuma denticulatum)、トサカノリ(学名:Meristotheca papulosa)、ミリン(学名:Solieria pacifica)、シラモ(学名:Gracilaria bursa-pastoris)、オオオゴノリ(学名:Gracilaria gigas)、ミゾオゴノリ(学名:Gracilaria incurvata)、フシクレノリ(学名:Gracilaria salicornia)、カバノリ(学名:Gracilaria textorii)、オゴノリ(学名:Gracilaria vermiculophylla)、ヒラワツナギソウ(学名:Champia bifida)、ヘラワツナギソウ(学名:Champia japonica)、フシツナギ(学名:Lomentaria catenata)、コスジフシツナギ(学名:Lomentaria hakodatensis)、カイメンソウ(学名:Ceratodictyon spongiosum)、スジコノリ(学名:Chamaebotrys boergesenii)、オオヌラブクロ(学名:Chrysymenia grandis)、テングサモドキ(学名:Gelidiopsis repens)、アナダルス(学名:Sparlingia pertusa)、エゴノリ(学名:Campylaephora hypnaeoides)、アミクサ(学名:Ceramium boydenii)、イギス(学名:Ceramium kondoi)、ケイギス(学名:Ceramium tenerrimum)、カタワベニヒバ(学名:Neoptilota asplenioides)、ベニヒバ(学名:Psilothallia dentata)、ランゲリア(学名:Wrangelia tanegana)、カギウスバノリ(学名:Acrosorium venulosum)、アヤニシキ(学名:Martensia fragilis)、カラゴロモ(学名:Vanvoorstia coccinea)、トゲノリ(学名:Acanthophora spicifera)、ベンテンモ(学名:Benzaitenia yenoshimensis)、コケモドキ(学名:Bostrychia tenella)、ユナ(学名:Chondria crassicaulis)、ベニヤナギノリ(学名:Chondria ryukyuensis)、クシノハ(学名:Dasyclonium flaccidum)、マクリ(学名:Digenea simplex)、クロソゾ(学名:Laurencia intermedia)、ミツデソゾ(学名:Laurencia okamurae)、マギレソゾ(学名:Laurencia saitoi)、コブソゾ(学名:Laurencia undulata)、イトフジマツ(学名:Neorhodomela munita)、アリュウシャンノコギリヒバ(学名:Odonthalia annae)、ハケサキノコギリヒバ(学名:Odonthalia corymbifera)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす食品には麺類、香辛料、着色料、菓子類、糠床、ゼリー、ふりかけなどがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす飲料には酒類、清涼飲料水、香辛料、着色料などがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となすサプリメントには抗肥満剤、血糖値上昇抑制剤、DHA・EPA合成促進剤、ガン細胞増殖抑制剤などがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす動物用食餌には犬・猫用ペットフード、牛・豚・羊・鳥用飼料、熱帯魚・養殖魚用飼料などがある。 以下に以上の本発明の海藻由来製品素材の製造方法の実施例につき説明する。(実施例1)本実施例は海藻由来製品素材の原料として日本で多く利用されているワカメを例にとって説明する。 図1に示した製造フローチャートに従って生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材の製造を行う。 本実施例にて使用したワカメ原料は、3種類の乾燥ワカメ粉末(1つ目は、市販のフードミキサーで乾燥カットワカメを微細化し、106μmのふるいを通して得られた粉末。2つ目は、粉砕機のアトマイザー(増幸産業株式会社)を用いて乾燥カットワカメを微細化した粉末で平均粒子径は27.5μm。3つ目は、粉砕機のセレンミラー(増幸産業株式会社)を用いて乾燥カットワカメを微細化した粉末で平均粒子径は30.1μm。ペースト状ワカメ(乾燥カットワカメを乾燥させる前の生ワカメを、マスコロイダー(増幸産業株式会社)を用いてペースト状にしたもの)の4種類である。 以下の各図に示す実施例の結果では、(a)アトマイザーで微細化したワカメ、(b)セレンミラーミルで微細化したワカメ、(c)市販フードミキサーで微細化し106μm以下のものを篩で集めたワカメ、(d)ペーストワカメを原料として使用した場合を示す。 上記の方法で得た微細化ワカメ5g(乾燥重量換算)から生理活性物質(特に、脂溶性物質)を濃縮する方法を以下に示す。4種類のワカメ原料5gにそれぞれ150mLの蒸留水を加え(ペーストワカメは原料に含まれる水分も含めて150mLの蒸留水)、37℃で1時間インキュベートした。ここで、海藻細胞壁分解酵素(Alginate lyase from Flavobacterium sp、シグマ社製)を添加し、その他は上記条件と同じ条件でインキュベートしたものに関しても調べた。インキュベート後に得られた反応物を遠心し(5000g、10分間)、固体成分(生理活性物質濃縮ワカメ素材)と液体成分(主成分:多糖類)に分離した。 水溶性成分は、等倍量(v/v)のエタノールを加えて多糖類を沈殿させることにより、前記固体成分(生理活性物質濃縮ワカメ素材)に含まれる生理活性成分(脂溶性物質)の濃縮率に対する指標とした。つまり、除去された多糖分画の重量を比較することにより、生理活性物質の濃縮率を調べた。なお、海藻細胞壁分解酵素を使用していないペースト状ワカメの場合は、40000g、10minで行った。 図2は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真であり、図3は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られる液体成分にエタノールを加え、析出した沈殿を凍結乾燥した凍結乾燥物の写真である。 図4は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真であり、図5は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られる液体成分にエタノールを加え、析出した沈殿を凍結乾燥した液体成分の凍結乾燥物の写真である。 固体成分について酵素使用していないもの(図2)と酵素使用したもの(図4)を比較すると、酵素使用していないものは外見上白色箇所が目立つのに対し、酵素を使用しているものは緑色箇所が多かった。この緑色は脂溶性成分の一つであるクロロフィルに由来する色であり、酵素を使用したほうが、より脂溶性成分が濃縮されていると予想された。又、液体成分についても酵素使用していないもの(図3)と酵素使用したもの(図5)を比較すると、外見上、酵素を使用していないものが僅かにより緑色を呈していた。液体成分(多糖分画)は、酵素使用していないものと酵素使用したもののどちらにおいても、ペースト状ワカメを原料にしたものが多いことが分かった。実際に固体成分及び液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を図6及び図7に示した。 図6は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、図7は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、いずれもその後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥して得られた生理活性成分濃縮ワカメ素材(白抜き)と多糖類分画(斜線)の重量を示す。 固体成分(ワカメ生理活性物質濃縮素材)に関して、4種類のワカメ原料について比較すると、酵素使用したものと酵素を使用していないもののどちらにおいても、原料としてペースト状ワカメを用いたものが最も多くの多糖分画を得られた。つまり、ワカメ生理活性物質(脂溶性成分)を含んでいない多糖分画を効率良く除去することができた。特に、酵素を使用しない条件において、ペースト状ワカメを原料とした場合、酵素を使用した乾燥ワカメ粉末を原料とした場合に匹敵する多糖分画が得られることが分かった。従って、原料を微細化する場合には原料が含水状態にすることによって、高効率に海藻から多糖分画を除去することが可能である。 (実施例2)生理活性物質を濃縮したワカメ中の脂溶性成分とフコキサンチン及びフコステロール含量図1に示した製造フローチャートに従って生理活性物質を濃縮したワカメ中の脂溶性成分とフコキサンチン及びフコステロール含量を調べた。以下にその詳細について説明する。4種類の生理活性物質濃縮ワカメ素材(4種類の微細化ワカメ5gを原料にして得たものを酵素使用した場合としない場合でインキュベートして得られたもの)と、比較として原料そのもの(5g)についても同様な操作を行った。まず、ワカメ素材及び原料にエタノール200mLを加え、24時間、室温、遮光下で脂溶性成分の抽出を行った。 これをフィルター濾過で溶液成分と固体成分に分離した。次に、固体成分に再度エタノール200mLを加えて24時間、室温、遮光下でワカメ脂溶性成分を抽出し、これをフィルター濾過で溶液成分と固体成分に分離した。最後に、それぞれで得られた溶液成分を1つにまとめ、エバポレータで減圧濃縮を行い、得られた濃縮物に窒素ガスを吹き付けて、完全に有機溶媒を除去した。得られた濃縮物の重量を電子天秤で測定し、これをワカメ脂溶性成分の重量とした。この濃縮物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で使用する展開溶媒(下記HPLC測定条件参照)に溶解した。HPLC測定条件は、Develosil ODS−UG5(カラム)、30%アセトニトリル/メタノール(展開溶媒)、1mL/min(流速)、28℃(カラム温度)、450nm(検出波長)である。以下、結果について説明する。 図8に単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)、図9に単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合(%)、図10には単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)を示した。尚各図において、(a)アトマイザーで微細化したワカメ、(b)セレンミラーで微細化したワカメ、(c)市販フードミキサーで微細化し106μm以下のものを篩で集めたワカメ、(d)ペーストワカメを原料として使用した場合を示す。また白抜きのカラムは原料そのもの、斜線のカラムは酵素を使用せずにインキュベートした後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥した物から得られたもの、黒塗りカラムは酵素を使用してインキュベートした後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥した物からえられたものを使用した場合を示す。 図8に示された単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間で脂溶性成分の重量を比較すると、表1に示した通り、何れの微細化ワカメを用いた場合においても、酵素使用>原料そのもの>酵素無使用の順であった。 また、単位素材重量あたりの脂溶性成分の割合に換算しても、酵素使用>原料そのもの≒酵素無使用となった(ペースト原料では酵素無使用>原料そのもの)。また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合、約2.0倍〜3.1倍多く脂溶性成分を抽出できることが分かった(ペースト原料では約8.9倍)。 図9に示された単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間でフコキサンチン重量を比較すると、表1に示した通り、ペースト原料を除くと、原料そのもの>酵素使用>酵素無使用の順であった。しかし、単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合に換算すると、酵素使用>原料そのもの≒酵素無使用となった(ペースト原料では酵素使用>酵素無使用>原料そのもの)。 また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合約1.6倍から1.8倍多くフコキサンチンを抽出できることが分かった(ペースト原料では約5.3倍)。 さらに、図10に示された単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間でフコステロールの重量を比較すると、表1に示した通り、アトマイザー又はセレンミラーで微細化したワカメでは、原料そのもの≒酵素使用>酵素無使用の順であった。フードミキサーの場合、原料そのもの>酵素使用>酵素無使用、ペースト原料の場合、酵素使用>酵素無使用>原料そのものの順であった。しかし、単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合に換算すると、酵素使用>酵素無使用≒原料そのものとなった(ペースト原料では、酵素使用>酵素無使用>原料そのもの)。また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合、約1.9倍多くフコステロールを抽出できることが分かった(ペースト原料では約5.3倍)。 以上の結果を纏めると、ワカメを微細化して酵素を用いてインキュベートすると、原料そのものや酵素を使用せずにインキュベートした時と比較して、単位素材重量あたりに換算すると、脂溶性成分、フコキサンチン、フコステロールの抽出量が増加することが分かった。従って、本方法を用いることにより、効果的に機能性成分を濃縮した海藻由来製品素材が得られることが示された。 本発明は、生理活性物質を濃縮した海藻粉末及びその製造方法及び海藻由来製品に関するものである。従って、産業上の利用可能性は、医学の分野では勿論のこと、生理活性物質を濃縮した海藻粉末を食品素材等に添加することで機能性食品素材として用いることができ、農業の分野での活用も期待できる。本発明の実施例の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材の製造フローチャート。海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた液体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた液体成分の凍結乾燥物の写真。本発明の実施例1で固体成分(海藻素材)と液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を示す図本発明の実施例1で固体成分(海藻素材)と液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を示す他の図本発明の実施例2で測定した単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)を示す説明図。単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合(%)を示す説明図。単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)を示す説明図。 下記の工程(1)及至(4)より成ることを特徴とする海藻由来製品素材の製造方法。(1)海藻を微細化する。(2)微細化した海藻を酵素水溶液中でインキュベートする。(3)インキュベート後、液体成分を固体成分から分離する。(4)固体成分を乾燥させる。 前記工程(1)は、乾燥した海藻を微細化する工程である請求項1に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 海藻の水分含量(重量比)が20%以下である請求項2に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(1)は、80%以上の水分(重量比)を含有する海藻を微細化する工程である請求項1に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(1)は、海藻の平均粒径を1μm及至5mmとなす海藻の微細化が行われる工程である請求項1及至4の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(2)において、酵素が多糖類分解酵素、又は蛋白質分解酵素、又は多糖類分解酵素と蛋白質分解酵素の混合物である請求項1及至5の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記酵素水溶液が蒸留水及び水道水及び地下水及びpH緩衝溶液及びアルカリ金属塩水溶液のうちの少なくとも一を用いてなる請求項1及至6の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記酵素水溶液のpHが5及至9である請求項1及至7の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(2)において、インキュベートが温度0℃及至100℃で行われる請求項1及至8の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(2)において、インキュベートが10分及至48時間で行われる請求項1及至9の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(2)において、海藻粉末と酵素水溶液の重量比が1:100及至1:5とされる請求項1及至10の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(3)において、濾過及び遠心及びデカンテーションから選択された一種又は二種以上の組み合わせでインキュベート後の反応物質を液体成分と固体成分とに分離する請求項1及至11の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、温度−50℃及至100℃で行われる請求項1及至12の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、圧力10−6Pa及至100MPaで行われる請求項1及至13の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。得られる海藻由来製品素材にカロテノイドを含有する請求項1及至14の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。得られる海藻由来製品素材にステロールを含有する請求項1及至14の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。得られる海藻由来製品素材に脂肪酸を含有する請求項1及至14の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。前記海藻が、褐藻綱(学名:Phaeophyta)又は緑藻綱(学名:Chlorophyta)又は紅藻綱(学名:Rhodophyta)に属する請求項1及至17の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。請求項1及至18の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法によって得られることを特徴とする生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材。請求項19記載の海藻由来製品素材を添加してなることを特徴とする海藻由来製品。 【課題】有機溶剤を用いずに生理活性成分を濃縮した新規の海藻由来製品素材、及びその製造方法及び海藻由来製品を提供する事を目的とする。【解決手段】微細化した海藻を水溶液中でインキュベートした後、液状成分と固体成分に分離して水溶性成分、特に海藻の主成分である多糖類を取り除くことにより、脂溶性油を濃縮した海藻由来製品素材が得られ、有機溶媒を使用することなく、海藻中の脂溶性油の比率を高めることができ、食品をはじめとする様々な用途に利用することが可能となる。【選択図】図1


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特許公報(B2)_生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材及びその製造方法及び海藻由来製品

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材及びその製造方法及び海藻由来製品
出願番号:2007222271
年次:2014
IPC分類:A61K 36/02,A61P 39/00,A61P 35/00,A61P 3/04,A61P 43/00,A61P 3/10,A61P 9/12,A61P 7/02,A61P 29/00,C07G 11/00,A23L 1/30


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佐島 徳武 細川 雅史 宮下 和夫 佐々木 荘法 JP 5391536 特許公報(B2) 20131025 2007222271 20070829 生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材及びその製造方法及び海藻由来製品 株式会社カネカ 000000941 柳野 隆生 100074561 佐島 徳武 細川 雅史 宮下 和夫 佐々木 荘法 20140115 A61K 36/02 20060101AFI20131219BHJP A61P 39/00 20060101ALI20131219BHJP A61P 35/00 20060101ALI20131219BHJP A61P 3/04 20060101ALI20131219BHJP A61P 43/00 20060101ALI20131219BHJP A61P 3/10 20060101ALI20131219BHJP A61P 9/12 20060101ALI20131219BHJP A61P 7/02 20060101ALI20131219BHJP A61P 29/00 20060101ALI20131219BHJP C07G 11/00 20060101ALI20131219BHJP A23L 1/30 20060101ALN20131219BHJP JPA61K35/80 ZA61P39/00A61P35/00A61P3/04A61P43/00 105A61P3/10A61P9/12A61P7/02A61P29/00C07G11/00 AA23L1/30 B A61K 36/03 A61P 3/04 A61P 3/10 A61P 7/02 A61P 9/12 A61P 29/00 A61P 35/00 A61P 39/00 A61P 43/00 C07G 11/00 A23L 1/30 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2004−097021(JP,A) 佐藤暁之 他,総合企画部科学技術振興課所管事業 1.道立試験研究機関試験研究費 1.15 コンブ等藻類の廃棄物からの有効利用技術の開発 ,北海道立中央水産試験場事業報告書,2007年 2月,Vol.2005 ,Page.131-134 佐藤暁之 他,総合企画部科学技術振興課所管事業 1.道立試験研究機関試験研究費 1.18 コンブ等藻類の廃棄物からの有効利用技術の開発 ,北海道立中央水産試験場事業報告書,2005年,Vol.2004,Page.148-153 細川雅史 他,海藻脂質の知られざる健康機能 褐藻フコキサンチンに脂肪蓄積抑制などの機能 ,化学と生物,2005年,Vol.43,No.3,Page.150-152 佐藤暁之 他,調査及び試験研究の概要 I 総合企画部科学技術振興課所管事業 1.道立試験研究機関試験研究費 1.15 コンブ等藻類の廃棄物からの有効利用技術の開発(受託試験研究費) ,北海道立中央水産試験場事業報告書,2004年,Vol.2003,Page.153-155 13 2009051791 20090312 18 20100604 (出願人による申告)平成18年度 農林水産省 委託研究「農林水産物からのキサントフィル素材の開発」, 産業再生法第30条の適用を受ける特許出願 鶴見 秀紀 本発明は、生理活性成分を濃縮した新規の海藻由来製品素材及び製造方法に関する。 海藻に含まれる脂溶性成分は様々な生理活性を示すことが知られている。 例えば褐藻であるワカメの場合、その脂溶性成分には、フコキサンチンやβカロテン等のカロテノイド類や、フコステロールや24−メチレンコレステロール等のステロール類や、オクタデカテトラエン酸やエイコサペンタエン酸等の脂肪酸類が含まれる。 フコキサンチンやβカロテンを含むカロテノイドに関しては、抗酸化作用、抗癌作用等の様々な生理活性が報告されている(非特許文献1)。特にフコキサンチンに関しては、抗肥満効果(非特許文献2)やガン細胞への高いアポトーシス誘導能(非特許文献3)、血糖値上昇抑制作用(unpublished data)、DHA合成促進作用(非特許文献4)を有することが見出されている。 フコステロールに関しては、コレステロール吸収の抑制効果が報告されている(非特許文献5)。エイコサペンタエン酸に関しては、血中脂質低下作用、血圧降下作用、抗血栓作用、抗炎症作用、制ガン作用などの様々な生理活性が報告されている(非特許文献6)。 上記の通り、海藻に含まれる脂溶性成分、特にカロテノイドは有用な生理活性を示す為、これまでに様々な脂溶性成分そのもの及び/又は脂溶性成分を濃縮した海藻の製造方法が開示されている。これらの製造方法は二つの製造方法に大別することができる。一つは海藻を有機溶媒に接触させ、有機溶媒に脂溶性成分を抽出することによって得られる脂溶性油の製造方法(1)と、もう一つは、何らかの手段によって海藻から脂溶性成分以外の成分を取り除いた脂溶性成分を濃縮した海藻、及びこの海藻から有機溶媒で抽出した脂溶性油の製造方法(2)である。 製造方法(1)に関しては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11等が開示されている。これらの製造方法で得られる海藻由来脂溶性油は、その脂溶性油自体の濃度は高いが有機溶媒を使用している為、実際の用途としては限られたものになる。 日本の場合、食品衛生法第6条・7条に従い、食品の製造過程において用いることのできる抽出溶剤はエタノール及び水であり、これら以外の溶剤を用いて得られたものに関しては添加物に該当する。エタノール及び水以外の溶剤の使用は厚生大臣が定める場合を除いて、その使用は原則禁止されている。例えば、ヘキサンは大豆などから油脂を抽出する際の加工助剤としての利用は認められているが、現在のところ海藻からの脂溶性成分の抽出溶剤としては認められていない。従って、上記方法による海藻由来脂溶性油の製造方法は、食品などの用途には利用できないといった欠点を有する。 又、抽出した海藻由来脂溶性油の安定性は非常に悪く、長期保存に適していない。さらに、脂溶性成分を抽出する際に大量の有機溶媒が必要になることや、抽出効率を向上させる為には抽出に時間がかかることや、時間をかけずに抽出するには抽出系を高温にするなどの脂溶性成分に対して分解を促進するような条件が必要となるといった欠点があった。 製造方法(2)に関しては、特許文献12に、野菜及び/又は果実処理物から、有機溶剤を用いないで、高濃度カロテノイド含有物を歩留まり良く得る方法が開示されている。この方法は、「カロテノイドを含む野菜及び/又は果実処理物を固液分離処理して液状部を取り出し、該液状部を高圧下にホモジナイズ処理してこれに含まれるカロテノイド成分を凝集させてから遠心分離処理して該カロテノイド成分を取り出すことを特徴とする高濃度カロテノイド含有物の製造方法」であり、「原料の液状部にカロテノイドが含有されている」という前提条件が必要であるため、液状部にカロテノイドが殆ど存在しないような原料、例えば海藻などに対してはこの製造方法は低効率である。 一方、海藻から多糖類を分離する方法は、海藻を熱水に接した後、海苔を微粉末化して水又はアルコールで抽出する方法(特許文献13)、水溶性成分から取り出す製造方法(特許文献14、特許文献17、特許文献18)、海藻をアルカリ金属塩水溶液に接した後、水溶性成分から取り出す方法(特許文献15)、海藻の細片または粉末から水を加えた後、湿式で磨砕して抽出する方法(特許文献16)、アマノリ属海藻を粉末化し熱水で抽出する方法(特許文献19)、が開示されている。これらは基本的に海藻から分離された水溶性成分の多糖類に着目したものである。 "Carotenoids in Health and Disease", N. I. Krinsky, S. T. Mayne, H. Sies eds., Marcel Dekker: New York, 2004H. Maeda et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 332 (2005) 392-397.細川、Bio Industry, 21 (2004) 52-57.T. Tsukui, et al., Journal of Agricultural and Food Chemistry, 55 (2007) 5025.I. Ikeda et al., Journal of Lipid Research, 29 (1988) 1573-1582.「AA,EPA,DHA-高度不飽和脂肪酸」鹿山光編、恒星社厚生閣特開平10−158156号公報特開平9−173012号公報特開平9−173011号公報特開平8−3468号公報特開平8−70826号公報特表2006−516293号公報特開2006−70114号公報特開2004−89158号公報特開2005−23028号公報特開2004−2219号公報特開2005−27520号公報特開2006−57041号公報特開2002−65223号公報特開2002−212201号公報特開2002−105102号公報特開2004−49072号公報特開2005−102639号公報特開2005−225924号公報特開平11−113529号公報 上述した様に製造方法(1)に関しては、各特許文献で得られる海藻由来脂溶性油は、その脂溶性油自体の濃度は高いが有機溶媒を使用している為、得られたカロテノイド製品を食品として用いることができる安全性を確保することが困難であり、実際の用途としては限られたものになるという問題がある。 一方、製造方法(2)に関しては、特許文献12の方法では例えば海藻などに対しては低効率であるという問題がある。 一方、海藻から多糖類を分離する方法に関する各特許文献に記載された方法は海藻から分離された水溶性成分の多糖類に着目したものであり、海藻に含まれる脂溶性成分の抽出を可能としたものではない。 本発明は、有機溶剤を用いずに生理活性成分を濃縮した新規の海藻由来製品素材、及びその製造方法及び海藻由来製品を提供する事を目的とする。 本発明者等は上記課題について鋭意検討を行った結果、微細化した海藻を蒸留水、又は水道水、又は地下水、又はpHを調整した水溶液、又はアルカリ金属塩水溶液中でインキュベートした後、液状成分と固体成分に分離して得られる固体成分に、生理活性を示す様々な成分を含む脂溶性油が濃縮された海藻由来製品素材が得られることを見出した。 即ち、微細化した海藻から水溶性成分、特に海藻の主成分である多糖類を取り除くことにより、脂溶性油を濃縮した海藻由来製品素材が得られ、有機溶媒を使用することなく、海藻中の脂溶性油の比率を高めることができ、食品をはじめとする様々な用途に利用することが可能となる。 上記の課題を解決する本発明の海藻由来製品素材の製造方法は、(1)海藻を微細化し、(2)微細化した海藻を酵素水溶液中でインキュベートし、(3)インキュベート後、液体成分を固体成分から分離し、(4)固体成分を乾燥させることを特徴とする。 本発明の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材は、本発明の海藻由来製品素材の製造方法によって製造することができる。 本発明の海藻由来製品素材を添加して、食品、飲料、サプリメント、ペット用食餌等の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品とすることができる。 本発明により、新規の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材を提供できる。又、新規の海藻由来製品素材の製造方法を提供できる。 以下、本発明の実施の形態について具体的に説明するが、本発明がこの実施の形態のみに限定されるものではない。 本発明の海藻由来製品素材の製造方法における前記工程(1)は、原料となる海藻が乾燥し、その水分含量(重量比)が20%以下のものを適用できる。乾燥方法としては、天日干し等の自然の力で乾燥させる方法や、凍結乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、マイクロ波照射による乾燥等の装置を利用して乾燥させる方法を用いても良い。 一般的に固形物を微細化(粉末化)する場合、固形物の水分含量が低いほど均一な粒径が得られ、また平均粒子径も小さくなる。日陰で自然乾燥させた海藻(ワカメ、チガイソ、アナメ、マコンブ、ミツイシコンブ、ウミトラノオ、アカモク、フシスジモク、赤モズク、ガゴメコンブ、ヒジキ、フクロフノリ)の場合、110℃にて乾燥を行い海藻重量変化が平衡になった時の水分含量は約88%〜約91%であった。穏やか且つ低コストな乾燥方法である、これら自然乾燥させた海藻を用いた場合においても、十分に微細化した海藻粉末を得ることができたことから、原料となる海藻の水分含量(重量比)が20%以下であることが望まれる。 海藻を低温で乾燥する場合、真空凍結乾燥を行うことにより、海藻中の生理活性物質の分解を抑制することができる。海藻を高温で乾燥する場合、海藻中の生理活性物質の分解や炭化をできるだけ避ける為に、短時間で乾燥を行う必要がある。さらに海藻を超臨界流体(水の場合、温度374℃以上且つ22.1MPa以上)中でインキュベートすることにより、短時間で海藻の微細化を行うことが可能である。 前記工程(1)における海藻の微細化は、粉砕機、磨砕機、ホモジナイザー、超臨界流体機、亜臨界流体機、超音波発生機から選択された一種又は二種以上の組み合わせで行うことが可能であるが、海藻が微細化されるならば、如何なる手段を用いても構わない。 又、前記工程(1)は、微細化した海藻の平均粒径が1μm及至5mmであることが望ましい。微細化した海藻の平均粒径が1μm未満である場合には、酵素反応後の溶液中の固体成分と液体成分の分離が非常に困難になる。また、微細化した海藻の平均粒径が5mmを越える場合には、酵素反応の効率化(反応時間、攪拌など)において不利である。 前記工程(2)中の水溶液として、水又はpH緩衝溶液又はアルカリ金属塩水溶液を用いることができる。 又、前記工程(2)において、水溶液のpHが5及至9であることが、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 水溶液のpHが5未満である場合にはフコキサンチン内の5,6−エポキサイドが5,8−エポキサイドとなり好ましくなく、一方水溶液のpHが9を越える場合、フコキサンチンの分解物が生じる。例えば非特許文献6によると、フコキサンチンを0.01%水酸化カリウムのメタノール溶液に添加(水酸化カリウムとフコキサンチンのモル比は2.2)すると、40分後の各カロテノイド成分比は、フコキサンチン(33%)、フコキサンチノール(8%)、フコキサンチンヘミケタール(11%)、フコキサンチノールヘミケタール(3%)、イソフコキサンチン(17%)、イソフコキサンチノール(14%)になったと記載されている。J. A. Haugan et al., Acta Chemica Scandinavica 46 (1992) 614−624. 前記工程(2)において、インキュベートが温度0℃及至100℃であることが、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 インキュベート温度が0℃未満である場合には反応溶液が凍り、又、酵素反応の効率が低下する(至適温度、抽出してきた多糖類の粘性による攪拌効率の低下)。インキュベート温度が100℃を越える場合には、生理活性成分の分解が促進され、又、蛋白質の一種である酵素自身も熱による変性で活性を失うものが殆どである。 前記工程(2)において、インキュベートが10分及至48時間であることが、収率及び生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 インキュベート時間が10分未満である場合には海藻に含まれる水溶性物質の水への抽出効率が低下する。インキュベート時間が48時間を越える場合には脂溶性物質の分解及び細菌の増殖が生じる可能性がある。 前記工程(2)において、海藻粉末と水溶液の重量比が1:100及至1:5であることが収率を考慮すると望ましい。 海藻粉末と水溶液の重量比が1/100未満である場合には次工程の固体成分と液体成分の分離に時間がかかる。海藻粉末と水溶液の重量比が1/5を越える場合には、インキュベート前に加える水溶液が少なくなって攪拌が円滑に行われなくなり海藻に含まれる水溶性物質の水への抽出効率が低下する。 前記工程(3)において、インキュベート後の反応物質を液体成分と固体成分とに分離する方法は、濾過又は遠心又はデカンテーションから選択された一種又は二種以上の組み合わせで行うことが可能であるが、液体成分と固体成分に分離されるならば、如何なる手段を用いても構わない。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、温度−50℃及至100℃であることが、製造コスト、生理活性成分の安定性を考慮すると望ましい。 例えば凍結乾燥時に、固体成分の温度を−50℃未満にしても、製造コストに見合った効果が得られない。また、固体成分の乾燥温度が100℃を越える場合には脂溶性物質の分解が促進される。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、圧力10−6Pa及至100MPaであってもよい。 固体成分の乾燥圧力が10−6未満である場合にはターボ分子ポンプやイオンポンプといった高真空装置が必要で、単に海藻の乾燥目的にはこれらの高真空装置を用いる必要は無い。 水の超臨界流体の場合、温度374℃以上且つ22.1MPa以上に反応系を保つ必要があるが、固体成分の乾燥圧力が100MPaを越える場合には、反応系を堅牢にするコストやランニングコストに見合う効果は得られない。 前記工程(4)において、生理活性成分がカロテノイド、例えば、アウロキサンチン(Auroxanthin)、アスタキサンチン(Astaxanthin)、アステロイデノン(Asteroidenone)、アドニキサンチン(Adonixanthin)、アドニルビン(Adonirumin)、アマロウシアキサンチン(Amarouciaxanthin)、アロキサンチン(Alloxanthin)、アントラキサンチン(Antheraxanthin)、イドキサンチン(Idoxanthin)、エキネノン(Echinenone)、αカロテン(α-carotene)、βカロテン(β-carotene)、γカロテン(γ-carotene)、ζカロテン(ζ-catonene)、カンタキサンチン(Canthaxanthin)、クリサンテマキサンチン(Chrysanthemaxanthin)、クリプトキサンチン(Cryptoxanthin)、ゼアキサンチン(Zeaxanthin)、タラキサンチン(Taraxanthin)、ツナキサンチン(Tunaxanthin)、ディアトキサンチン(Diatoxanthin)、ヌロスポレン(Neurosporene)、αドラデキサンチン(α-Doradexanthin)、ネオキサンチン(Neoxanthin)、ネオクロム(Neochrome)、ハロシンチアキサンチン(Halocynthiaxanthin)、ビオラキサンチン(Violaxnathin)、フコキサンチノール(Fucoxanthinol)、フコキサンチン(Fucoxanthin)、フリチエラキサンチン(Fritschiellaxanthin)、ミチロキサンチノン(Mythiloxanthinone)、ミキロキサンチン(Mytiloxanthin)、ミュータトキサンチン(Mutatoxanthin)、ミュータトクロム(Mutatochrome)、リコペン(Lycopene)、ルテイン(Lutein)、ルテオキサンチン(Luteoxanthin)、ロドキサンチン(Rhodoxanthin)等であることが望まれる。 前記工程(4)において、生理活性物質がステロール、例えば、コレスタノール(Cholestanol)、コレステロール(Cholesterol)、ラトステロール(Lathosterol)、7−デヒドロコレステロール(7-Dehydrocholesterol)、デスモステロール(Desmosterol)、22−デヒドロコレステロール(22-Dehydrocholesterol)、カンペスタノール(Campestanol)、カンペステロール(Campesterol)、7−デヒドロカンペステロール(7-Dehydrocampesterol)、エルゴスタノール(Ergostanol)、ジヒドロブラッシカステロール(Dihydrobrassicasterol)、フンジステロール(Fungisterol)、22−ジヒドロエルゴステロール(22-Dihydroergosterol)、ピンカステロール(Pincasterol)、ステラステロール(Stellasterol)、ブラッシカステロール(Brassicasterol)、5−ジヒドロエルゴステロール(5-Dihydroergosterol)、エルゴステロール(Ergosterol)、コジステロール(Codisterol)、24−メチレンコレスタノール(24-Methylenecholestanol)、24−メチレンコレステロール(24-Methylenecholesterol)、エピステロール(Episterol)、スティグマスタノール(Stigmastanol)、シトステロール(Sitosterol)、スティグマスト−7−エノール(Stigmast-7-enol)、7−デヒドロシトステロール(7-Dehydrositosterol)、クリオナステロール(Clionasterol)、ジヒドロコンドリラステノール(Dihydrochondrillastenol)、7−デヒドロクリオナステロール(7-dehydroclionasterol)、スティグマステロール(Stigmasterol)、スピナステロール(Spinasterol)、コルビステロール(Corbisterol)、ポリフェラステロール(Poriferasterol)、コンドリラステロール(Chondrillasterol)、フコスタノール(Fucostanol)、フコステロール(Fucosterol)、28−イソフコスタノール(28-Isofucostanol)、28−イソフコステロール(28-Isofucosterol)、Δ7−アベナステロール(Δ7-Avenasterol)、クレロステロール(Clerosterol)等であることが望まれる。 前記工程(4)において、生理活性成分が脂肪酸、例えば、ミスチリン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等であることが望まれる。 前記海藻が褐藻綱(学名:Phaeophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、アキネトスポラ(学名:Acinetospora crinita)、タワラガタシオミドロ(学名:Hincksia mitchellae)、マツモ(学名:Analipus Japonicus)、イソイワタケ(学名:Ralfsia verrucosa)、ヨツデクロガシラ(学名:Sphacelaria divaricata)、カシラザキ(学名:Halopteris filicina)、エゾヤハズ(学名:Dictyopteris divaricata)、ヘラヤハズ(学名:Dictyopteris prolifera)、ウスバヤハズ(学名:Dictyopteris punctata)、シワヤハズ(学名:Dictyopteris undulata)、アミジグサ(学名:Dictyota dichotoma)、カズノアミジ(学名:Dictyota divaricata)、イトアミジ(学名:Dictyota linearis)、フクリンアミジ(学名:Dilophus okamurae)、フタエオオギ(学名:Distromium decumbens)、ハイオオギ(学名:Labophora variegata)、サナダグサ(学名:Pachydictyon coriaceum)、ウミウチワ(学名:Padina arborescens)、オキナウチワ(学名:Padina japonica)、ウスユキウチワ(学名:Padina minor)、アツバコモングサ(学名:Spatoglossum crassum)、コモングサ(学名:Spatoglossum pacificum)、ジガミグサ(学名:Stypopodium zonale)、シマオオギ(学名:Zonaria diesingiana)、ニセモズク(学名:Acrothrix pacifica)、ナガマツモ(学名:Chordaria flageliformis)、オキナワモズク(学名:Clodosiphon okamuranus)、クロモ(学名:Papenfussiella kuromo)、イシモズク(学名:Sphaerotrichia divaricata)、フトモズク(学名:Tinocladia crassa)、イシゲ(学名:Ishige okamurae)、イロロ(学名:Ishige sinicola)、ネバリモ(学名:Leathesia difformis)、シワノカワ(学名:Petrospongium rugosum)、モズク(学名:Nemacystus desipiens)、コモンナガブクロ(学名:Asperococcus bullosus)、イワヒゲ(学名:Myelophysus simplex)、ホソエゾブクロ(学名:Coilodesme cystoseirae)、ウイキョウモ(学名:Dictyosiphon foeniculaceu)、ハバモドキ(学名:Punctaria latifolia)、ホソクビワタモ(学名:Colpomenia phaeodactyla)、フクロフノリ(学名:Colpomenia sinuosa)、ガゴメノリ(学名:hydroclathrus clathratus)、ハバノリ(学名:Petalonia binghamiae)、カヤモノリ(学名:Scytosiphon lomentaria)、ケベリグサ(学名:Cutleria adspersa)、ムチモ(学名:Cutleia cylindrica)、ヒラムチモ(学名:Cutleria multifida)、イチメガサ(学名:Carpomitra costata)、ケヤリ(学名:Sporochunus radiciformis)、ウルシグサ(学名:Desmarestia ligulata)、タバコグサ(学名:Desmarestia tabacoides)、ホソバワカメ(学名:Alaria angusta)、チガイソ(学名:Alaria crassifolia)、オニワカメ(学名:Alaria fistulosa)、アイヌワカメ(学名:Alaria praelonga)、アオワカメ(学名:Undaria peterseniana)、ワカメ(学名:Undaria pinnatifida)、ヒロメ(学名:Undaria undarioides)、ツルモ(学名:Chorda filum)、アナメ(学名:Agarum clathratum)、ネコアシコンブ(学名:Arthrothamnus bifidus)、スジメ(学名:Costaria costata)、カジメ(学名:Ecklonia cava)、クロメ(学名:Ecklonia kurome)、ツルアラメ(学名:Ecklonia stolonifera)、アラメ(学名:Eisenia bicyclis)、トロロコンブ(学名:Kjellmaniella gyrata)、ガッガラコンブ(学名:Laminaria coriacea)、オニコンブ(学名:Laminaria diabolica)、マコンブ(学名:Laminaria japonica)、ナガコンブ(学名:Laminaria longissima)、ゴヘイコンブ(学名:Laminaria yezonsis)、ヒバマタ(学名:Fucus distichus)、エゾイシゲ(学名:Silvetia babingtonii)、ネブトモク(学名:Cystoseria crassipes)、ジョロモク(学名:Myagropsis myagroides)、フシスジモク(学名:Sargassum confusum)、フタエモク(学名:Sargassum duplicatum)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiformis)、イソモク(学名:Sargassum hemiphyllum)、アカモク(学名:Sargassum horneri)、ノコギリモク(学名:Sargassum macrocarpum)、トゲモク(学名:Sargassum micracanthum)、ミヤベモク(学名:Sargassum miyabei)、タマハハキモク(学名:Sargassum muticum)、ナラサモ(学名:Sargassum nigrifolium)、タマナシモク(学名:Sargassum nipponicum)、ヤツマタモク(学名:Sargassum patens)、マメタワラ(学名:Sargassum piluliferum)、オオバモク(学名:Sargassum ringgoldianum)、ヨレモク(学名:Sargassum siliquastrum)、ウミトラノオ(学名:Sargassum thunbergii)、ヨレモクモドキ(学名:Sargassum yamamotoi)、エンドウモク(学名:Sargassum yendoi)、ラッパモク(学名:Turbinaria ornata)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 前記海藻が緑藻綱(学名:Chlorophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、シワランソウモドキ(学名:Collinsiella cava)、ヒトエグサ(学名:Monostroma nitidum)、ヒラアオノリ(学名:Enteromorpha compressa)、ボウアオノリ(学名:Enteromorpha intestinalis)、ウスバアオノリ(学名:Enteromorpha linza)、スジアオノリ(学名:Enteromorpha prolifera)、ナガアオサ(学名:Ulva arasakii)、ボタンアオサ(学名:Ulva conglobata)、ヤブレグサ(学名:Ulva japonica)、アナアオサ(学名:Ulva pertusa)、アミモヨウ(学名:Microdictyon japonicum)、タノモグサ(学名:Microdictyon okamurae)、ホソバロニア(学名:Valoniopsis pachynema)、ホソジュズモ(学名:Chaetomorpha crassa)、タマジュズモ(学名:Chaetomorpha moniligera)、フトジュズモ(学名:Chaetomorpha spiralis)、オオシオグサ(学名:Cladophora japonica)、チャシオグサ(学名:Cladophora wrightiana)、アオモグサ(学名:Boodlea coacta)、マガタマモ(学名:Boergesenia forbesii)、タンポヤリ(学名:Chamaedoris orientalis)、カタバミドリゲ(学名:Cladophoropsis herpestica)、キツネノオ(学名:Cladophoropsis vaucheriaeformis)、キッコウグサ(学名:Dictyospaeria cavrnosa)、タマバロニア(学名:Valonia aegagropila)、オオバロニア(学名:Ventricaria ventricosa)、ヘライワズタ(学名:Caulerpa brachypus)、ビャクシンズタ(学名:Caulerpa cupressoides var. lycopodium f. amicorum)、フジノハズタ(学名:Caulerpa fergusonii)、ヒメシダズタ(学名:Caulerpa filicoides)、クビレズタ(学名:Caulerpa lentillifera)、フサイワズタ(学名:Caulerpa okamurae)、センナリズタ(学名:Caulerpa racemosa f. macrophysa)、タカツキズタ(学名:Caulerpa racemosa var. peltata)、サイハイズタ(学名:Caulerpa serrulata var. boryana f. occidentalis)、ヨレズタ(学名:Caulerpa serrulata var. serrulata f. lata)、タカノハズタ(学名:Caulerpa sertularioides f. longipes)、キザミズタ(学名:Caulerpa subserrata)、イチイズタ(学名:Caulerpa taxifolia)、コケイワズタ(学名:Caulerpa webbiana f. tomentella)、マルバハウチワ(学名:Avrainvillea obscura)、イトゲノマユハキ(学名:Chlorodesmis caespitosa)、ウチワサボテングサ(学名:Halimeda discoidea)、ヒロハサボテングサ(学名:Halimeda macroloba)、サボテングサ(学名:Halimeda opuntia)、スズカケモ(学名:Tydemania expeditionis)、ナンバンハイミル(学名:Codium arabicum)、ナガミル(学名:Codium cylindricum)、ミル(学名:Codium fragile)、モツレミル(学名:Codium intricatum)、ヒラミル(学名:Codium latum)、タマミル(学名:Codiuim minus)、クロミル(学名:Codium subtubulosum)、エゾミル(学名:Codium yezoense)、オオハネモ(学名:Bryopsis maxima)、ミズタマ(学名:Bornetella sphaerica)、フデノホ(学名:Neomeris annulata)、リュウキュウガサ(学名:Acetabularia dentata)、カサノリ(学名:Acetabularia ryukyuensis)、イソスギナ(学名:Halicoryne wrightii)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 前記海藻が緑藻綱(学名:Rhodophyta)に属するものであれば、何れの海藻を使用しても良いが、例えば、オニアマノリ(学名:Porphyra dentata)、アサクサノリ(学名:Porphyra tenera)、スサビノリ(学名:Porphyra yezoensis)、カタベニフクロノリ(学名:Halosaccion firmum)、ベニフクロノリ(学名:Halosaccion yendoi)、カモガシラノリ(学名:Dermonema pulvinatum)、ソデガラミ(学名:Actinotrichia fragilis)、ヒラガラガラ(学名:Glaxaura falcata)、フクロガラガラ(学名:Galaxaura obtusata)、ナガガラガラ(学名:Galaxaura rugosa)、フサノリ(学名:Scinaia japonica)、ヒラフサノリ(学名:Scinaia latifrons)、ニセフサノリ(学名:Scinaia okamurae)、ガラガラ(学名:Tricleocarpa cylindrica)、ベニモズク(学名:Helminthocladia australis)、ヨゴレコナハダ(学名:Liagora japonica)、ウミゾウメン(学名:Nemalion vermiculare)、ヌルハダ(学名:Trichogloeopsis mucosissima)、カニノテ(学名:Amphiroa anceps)、ヒメカニノテ(学名:Amphiroa misakiensis)、ウスカワカニノテ(学名:Amphiroa zonata)、サンゴモ(学名:Corallina officinalis)、ピリヒバ(学名:Corallina pilulifera)、ヒライタイシモ(学名:Lithophyllum bamleri)、ヒライボ(学名:Lithophyllum okamurae)、モルッカイシモ(学名:Lithophyllum pygmaeum)、クサノカキ(学名:Lithothamnion cystocarpideum)、カワライシモ(学名:Lithothamnion simulans)、フサカニノテ(学名:Marginisporum aberrans)、イシノハナ(学名:Mastophora rosea)、ユイキリ(学名:Acanthopeltis japonica)、シマテングサ(学名:Gelidiella acerosa)、マクサ(学名:Gelidium elegans)、オニクサ(学名:Gelidium japonicum)、オバクサ(学名:Pterocladiella tenuis)、ヒラクサ(学名:Ptilophora subcostata)、カギケノリ(学名:Asparagopsis taxiformis)、イソダンツウ(学名:Caulacanthus ustulatus)、ナミイワタケ(学名:Tylotus lichenoides)、オオバオキツバラ(学名:Constantinea subulifera)、ヒビロウド(学名:Dudresnaya japonica)、ガラガラモドキ(学名:Rhodopeltis borealis)、ハナフノリ(学名:Gloiopeltis complanata)、フクロフノリ(学名:Gloiopeltis furcata)、マフノリ(学名:Gloiopeltis tenax)、ススカケベニ(学名:Halarachnion latissimum)、カイノリ(学名:Chondracanthus intermedia)、スギノリ(学名:Chondracanthus tenella)、コトジツノマタ(学名:Chondrus elatus)、マルバツノマタ(学名:Chondrus nipponicus)、ツノマタ(学名:Chondrus ocellatus)、ヒラコトジ(学名:Chondrus pinnulatus)、イボツノマタ(学名:Chondrus verrucosus)、クロハギンナンソウ(学名:Chondrus yendoi)、アカバギンナンソウ(学名:Mazzaella japonica)、マツノリ(学名:Carpopeltis affinis)、コメノリ(学名:Carpopeltis prolifera)、ニクムカデ(学名:Grateloupia carnosa)、タンバノリ(学名:Grateloupia elliptica)、ムカデノリ(学名:Grateloupia fillicina)、フダラク(学名:Grateloupia lanceolata)、キョウノヒモ(学名:Grateloupia okamurae)、フイリグサ(学名:Halymenia dilatata)、ツノムカデ(学名:Prionitis cornea)、トサカマツ(学名:Prionitis crispata)、ヒトツマツ(学名:Prionitis divaricata)、スジムカデ(学名:Prionitis ramosissima)、イバラノリ(学名:Hypnea charoides)、カズノイバラ(学名:Hypnea flexicaulis)、カギイバラノリ(学名:Hypnea japonica)、サイダイバラ(学名:Hypnea saidana)、タチイバラ(学名:Hypnea variabilis)、ネザシノトサカモドキ(学名:Callophyllis adnata)、ホソバノトサカモドキ(学名:Callophyllis japonica)、キヌハダ(学名:Callophyllis okamurae)、エゾトサカ(学名:Cirrulicarpus gmelini)、イボノリ(学名:Mastocarpus pacificus)、エツキイワノカワ(学名:Peyssonnelia caulifera)、カイノカワ(学名:Peyssonnelia japonica)、サイミ(学名:Ahnfeltiopsis concinna)、オキツノリ(学名:Ahnfeltiopsis flabelliformis)、ホソユカリ(学名:Plocamium cartilagineum)、ユカリ〈学名:Plocamium telfairiae)、ホソバナミノハナ(学名:Portieria hornemannii)、ナミノハナ(学名:Portieria japonica)、カタメンキリンサイ(学名:Betaphycus gelatinum)、キリンサイ(学名:Eucheuma denticulatum)、トサカノリ(学名:Meristotheca papulosa)、ミリン(学名:Solieria pacifica)、シラモ(学名:Gracilaria bursa-pastoris)、オオオゴノリ(学名:Gracilaria gigas)、ミゾオゴノリ(学名:Gracilaria incurvata)、フシクレノリ(学名:Gracilaria salicornia)、カバノリ(学名:Gracilaria textorii)、オゴノリ(学名:Gracilaria vermiculophylla)、ヒラワツナギソウ(学名:Champia bifida)、ヘラワツナギソウ(学名:Champia japonica)、フシツナギ(学名:Lomentaria catenata)、コスジフシツナギ(学名:Lomentaria hakodatensis)、カイメンソウ(学名:Ceratodictyon spongiosum)、スジコノリ(学名:Chamaebotrys boergesenii)、オオヌラブクロ(学名:Chrysymenia grandis)、テングサモドキ(学名:Gelidiopsis repens)、アナダルス(学名:Sparlingia pertusa)、エゴノリ(学名:Campylaephora hypnaeoides)、アミクサ(学名:Ceramium boydenii)、イギス(学名:Ceramium kondoi)、ケイギス(学名:Ceramium tenerrimum)、カタワベニヒバ(学名:Neoptilota asplenioides)、ベニヒバ(学名:Psilothallia dentata)、ランゲリア(学名:Wrangelia tanegana)、カギウスバノリ(学名:Acrosorium venulosum)、アヤニシキ(学名:Martensia fragilis)、カラゴロモ(学名:Vanvoorstia coccinea)、トゲノリ(学名:Acanthophora spicifera)、ベンテンモ(学名:Benzaitenia yenoshimensis)、コケモドキ(学名:Bostrychia tenella)、ユナ(学名:Chondria crassicaulis)、ベニヤナギノリ(学名:Chondria ryukyuensis)、クシノハ(学名:Dasyclonium flaccidum)、マクリ(学名:Digenea simplex)、クロソゾ(学名:Laurencia intermedia)、ミツデソゾ(学名:Laurencia okamurae)、マギレソゾ(学名:Laurencia saitoi)、コブソゾ(学名:Laurencia undulata)、イトフジマツ(学名:Neorhodomela munita)、アリュウシャンノコギリヒバ(学名:Odonthalia annae)、ハケサキノコギリヒバ(学名:Odonthalia corymbifera)から選択された少なくとも一種である様にすることができる。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす食品には麺類、香辛料、着色料、菓子類、糠床、ゼリー、ふりかけなどがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす飲料には酒類、清涼飲料水、香辛料、着色料などがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となすサプリメントには抗肥満剤、血糖値上昇抑制剤、DHA・EPA合成促進剤、ガン細胞増殖抑制剤などがある。 本発明の海藻由来製品素材を添加して海藻由来製品となす動物用食餌には犬・猫用ペットフード、牛・豚・羊・鳥用飼料、熱帯魚・養殖魚用飼料などがある。 以下に以上の本発明の海藻由来製品素材の製造方法の実施例につき説明する。(実施例1)本実施例は海藻由来製品素材の原料として日本で多く利用されているワカメを例にとって説明する。 図1に示した製造フローチャートに従って生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材の製造を行う。 本実施例にて使用したワカメ原料は、3種類の乾燥ワカメ粉末(1つ目は、市販のフードミキサーで乾燥カットワカメを微細化し、106μmのふるいを通して得られた粉末。2つ目は、粉砕機のアトマイザー(増幸産業株式会社)を用いて乾燥カットワカメを微細化した粉末で平均粒子径は27.5μm。3つ目は、粉砕機のセレンミラー(増幸産業株式会社)を用いて乾燥カットワカメを微細化した粉末で平均粒子径は30.1μm。ペースト状ワカメ(乾燥カットワカメを乾燥させる前の生ワカメを、マスコロイダー(増幸産業株式会社)を用いてペースト状にしたもの)の4種類である。 以下の各図に示す実施例の結果では、(a)アトマイザーで微細化したワカメ、(b)セレンミラーミルで微細化したワカメ、(c)市販フードミキサーで微細化し106μm以下のものを篩で集めたワカメ、(d)ペーストワカメを原料として使用した場合を示す。 上記の方法で得た微細化ワカメ5g(乾燥重量換算)から生理活性物質(特に、脂溶性物質)を濃縮する方法を以下に示す。4種類のワカメ原料5gにそれぞれ150mLの蒸留水を加え(ペーストワカメは原料に含まれる水分も含めて150mLの蒸留水)、37℃で1時間インキュベートした。ここで、海藻細胞壁分解酵素(Alginate lyase from Flavobacterium sp、シグマ社製)を添加し、その他は上記条件と同じ条件でインキュベートしたものに関しても調べた。インキュベート後に得られた反応物を遠心し(5000g、10分間)、固体成分(生理活性物質濃縮ワカメ素材)と液体成分(主成分:多糖類)に分離した。 水溶性成分は、等倍量(v/v)のエタノールを加えて多糖類を沈殿させることにより、前記固体成分(生理活性物質濃縮ワカメ素材)に含まれる生理活性成分(脂溶性物質)の濃縮率に対する指標とした。つまり、除去された多糖分画の重量を比較することにより、生理活性物質の濃縮率を調べた。なお、海藻細胞壁分解酵素を使用していないペースト状ワカメの場合は、40000g、10minで行った。 図2は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真であり、図3は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られる液体成分にエタノールを加え、析出した沈殿を凍結乾燥した凍結乾燥物の写真である。 図4は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真であり、図5は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られる液体成分にエタノールを加え、析出した沈殿を凍結乾燥した液体成分の凍結乾燥物の写真である。 固体成分について酵素使用していないもの(図2)と酵素使用したもの(図4)を比較すると、酵素使用していないものは外見上白色箇所が目立つのに対し、酵素を使用しているものは緑色箇所が多かった。この緑色は脂溶性成分の一つであるクロロフィルに由来する色であり、酵素を使用したほうが、より脂溶性成分が濃縮されていると予想された。又、液体成分についても酵素使用していないもの(図3)と酵素使用したもの(図5)を比較すると、外見上、酵素を使用していないものが僅かにより緑色を呈していた。液体成分(多糖分画)は、酵素使用していないものと酵素使用したもののどちらにおいても、ペースト状ワカメを原料にしたものが多いことが分かった。実際に固体成分及び液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を図6及び図7に示した。 図6は海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、図7は海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、いずれもその後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥して得られた生理活性成分濃縮ワカメ素材(白抜き)と多糖類分画(斜線)の重量を示す。 固体成分(ワカメ生理活性物質濃縮素材)に関して、4種類のワカメ原料について比較すると、酵素使用したものと酵素を使用していないもののどちらにおいても、原料としてペースト状ワカメを用いたものが最も多くの多糖分画を得られた。つまり、ワカメ生理活性物質(脂溶性成分)を含んでいない多糖分画を効率良く除去することができた。特に、酵素を使用しない条件において、ペースト状ワカメを原料とした場合、酵素を使用した乾燥ワカメ粉末を原料とした場合に匹敵する多糖分画が得られることが分かった。従って、原料を微細化する場合には原料が含水状態にすることによって、高効率に海藻から多糖分画を除去することが可能である。 (実施例2)生理活性物質を濃縮したワカメ中の脂溶性成分とフコキサンチン及びフコステロール含量図1に示した製造フローチャートに従って生理活性物質を濃縮したワカメ中の脂溶性成分とフコキサンチン及びフコステロール含量を調べた。以下にその詳細について説明する。4種類の生理活性物質濃縮ワカメ素材(4種類の微細化ワカメ5gを原料にして得たものを酵素使用した場合としない場合でインキュベートして得られたもの)と、比較として原料そのもの(5g)についても同様な操作を行った。まず、ワカメ素材及び原料にエタノール200mLを加え、24時間、室温、遮光下で脂溶性成分の抽出を行った。 これをフィルター濾過で溶液成分と固体成分に分離した。次に、固体成分に再度エタノール200mLを加えて24時間、室温、遮光下でワカメ脂溶性成分を抽出し、これをフィルター濾過で溶液成分と固体成分に分離した。最後に、それぞれで得られた溶液成分を1つにまとめ、エバポレータで減圧濃縮を行い、得られた濃縮物に窒素ガスを吹き付けて、完全に有機溶媒を除去した。得られた濃縮物の重量を電子天秤で測定し、これをワカメ脂溶性成分の重量とした。この濃縮物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で使用する展開溶媒(下記HPLC測定条件参照)に溶解した。HPLC測定条件は、Develosil ODS−UG5(カラム)、30%アセトニトリル/メタノール(展開溶媒)、1mL/min(流速)、28℃(カラム温度)、450nm(検出波長)である。以下、結果について説明する。 図8に単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)、図9に単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合(%)、図10には単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)を示した。尚各図において、(a)アトマイザーで微細化したワカメ、(b)セレンミラーで微細化したワカメ、(c)市販フードミキサーで微細化し106μm以下のものを篩で集めたワカメ、(d)ペーストワカメを原料として使用した場合を示す。また白抜きのカラムは原料そのもの、斜線のカラムは酵素を使用せずにインキュベートした後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥した物から得られたもの、黒塗りカラムは酵素を使用してインキュベートした後に遠心して得られる固体成分を凍結乾燥した物からえられたものを使用した場合を示す。 図8に示された単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間で脂溶性成分の重量を比較すると、表1に示した通り、何れの微細化ワカメを用いた場合においても、酵素使用>原料そのもの>酵素無使用の順であった。 また、単位素材重量あたりの脂溶性成分の割合に換算しても、酵素使用>原料そのもの≒酵素無使用となった(ペースト原料では酵素無使用>原料そのもの)。また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合、約2.0倍〜3.1倍多く脂溶性成分を抽出できることが分かった(ペースト原料では約8.9倍)。 図9に示された単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間でフコキサンチン重量を比較すると、表1に示した通り、ペースト原料を除くと、原料そのもの>酵素使用>酵素無使用の順であった。しかし、単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合に換算すると、酵素使用>原料そのもの≒酵素無使用となった(ペースト原料では酵素使用>酵素無使用>原料そのもの)。 また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合約1.6倍から1.8倍多くフコキサンチンを抽出できることが分かった(ペースト原料では約5.3倍)。 さらに、図10に示された単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)に関し、原料そのもの、酵素無使用、酵素使用の間でフコステロールの重量を比較すると、表1に示した通り、アトマイザー又はセレンミラーで微細化したワカメでは、原料そのもの≒酵素使用>酵素無使用の順であった。フードミキサーの場合、原料そのもの>酵素使用>酵素無使用、ペースト原料の場合、酵素使用>酵素無使用>原料そのものの順であった。しかし、単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合に換算すると、酵素使用>酵素無使用≒原料そのものとなった(ペースト原料では、酵素使用>酵素無使用>原料そのもの)。また、原料そのものと比較すると酵素使用の場合、約1.9倍多くフコステロールを抽出できることが分かった(ペースト原料では約5.3倍)。 以上の結果を纏めると、ワカメを微細化して酵素を用いてインキュベートすると、原料そのものや酵素を使用せずにインキュベートした時と比較して、単位素材重量あたりに換算すると、脂溶性成分、フコキサンチン、フコステロールの抽出量が増加することが分かった。従って、本方法を用いることにより、効果的に機能性成分を濃縮した海藻由来製品素材が得られることが示された。 本発明は、生理活性物質を濃縮した海藻粉末及びその製造方法及び海藻由来製品に関するものである。従って、産業上の利用可能性は、医学の分野では勿論のこと、生理活性物質を濃縮した海藻粉末を食品素材等に添加することで機能性食品素材として用いることができ、農業の分野での活用も期待できる。本発明の実施例の生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材の製造フローチャート。海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用せずインキュベートし、その後に遠心して得られた液体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた固体成分の凍結乾燥物の写真。海藻細胞壁分解酵素を使用してインキュベートし、その後に遠心して得られた液体成分の凍結乾燥物の写真。本発明の実施例1で固体成分(海藻素材)と液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を示す図本発明の実施例1で固体成分(海藻素材)と液体成分(多糖分画)の重量を測定した結果を示す他の図本発明の実施例2で測定した単位素材重量あたりに含まれる脂溶性成分の割合(%)を示す説明図。単位素材重量あたりに含まれるフコキサンチンの割合(%)を示す説明図。単位素材重量あたりに含まれるフコステロールの割合(%)を示す説明図。 カロテノイド、ステロール及び脂肪酸に属するいずれか一の脂溶性成分からなる生理活性物質を含む海藻由来製品素材の製造方法であって、下記の工程(1)及至(4)より成ることを特徴とする海藻由来製品素材の製造方法。(1)褐藻綱(学名:Phaeophyta)に属する海藻を微細化する。(2)微細化した海藻を、海藻細胞壁分解酵素を含む酵素水溶液中で0℃及至100℃の温度で10分及至48時間インキュベートする。(3)インキュベート後、液体成分を固体成分から分離する。(4)固体成分を乾燥させて海藻由来製品素材として得る。 前記工程(1)は、乾燥した海藻を微細化する工程である請求項1に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 海藻の水分含量(重量比)が20%以下である請求項2に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(1)は、80%以上の水分(重量比)を含有する海藻を微細化する工程である請求項1に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(1)は、海藻の平均粒径を1μm及至5mmとなす海藻の微細化が行われる工程である請求項1及至4の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記酵素水溶液が蒸留水及び水道水及び地下水及びpH緩衝溶液及びアルカリ金属塩水溶液のうちの少なくとも一を用いてなる請求項1及至5の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記酵素水溶液のpHが5及至9である請求項1及至6の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(2)において、海藻粉末と酵素水溶液の重量比が1:100及至1:5とされる請求項1及至7の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(3)において、濾過及び遠心及びデカンテーションから選択された一種又は二種以上の組み合わせでインキュベート後の反応物質を液体成分と固体成分とに分離する請求項1及至8の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、温度−50℃及至100℃で行われる請求項1及至9の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 前記工程(4)において、固体成分の乾燥が、圧力10-6Pa及至100MPaで行われる請求項1及至10の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法。 請求項1及至11の何れか一に記載の海藻由来製品素材の製造方法によって得られることを特徴とする生理活性物質を濃縮した海藻由来製品素材。 請求項12記載の海藻由来製品素材を添加してなることを特徴とする海藻由来製品。


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