タイトル: | 公開特許公報(A)_サイリウム種子外皮由来の非発酵性ゲル画分 |
出願番号: | 2007220766 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 36/18,A61P 3/06,A61P 1/10,A23L 1/05 |
ジュディス・エイ・マーレット ミルトン・エイチ・フィッシャー JP 2008013575 公開特許公報(A) 20080124 2007220766 20070828 サイリウム種子外皮由来の非発酵性ゲル画分 ウィスコンシン・アルムナイ・リサーチ・ファウンデーション 594106405 WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 ジュディス・エイ・マーレット ミルトン・エイチ・フィッシャー US 09/328,611 19990609 A61K 36/18 20060101AFI20071221BHJP A61P 3/06 20060101ALI20071221BHJP A61P 1/10 20060101ALI20071221BHJP A23L 1/05 20060101ALN20071221BHJP JPA61K35/78 CA61P3/06A61P1/10A23L1/04 11 2001512329 20000608 OL 19 4B041 4C088 4B041LC05 4B041LD01 4B041LH07 4C088AB22 4C088AC04 4C088BA06 4C088CA23 4C088NA10 4C088ZA73 4C088ZC33 35U.S.C.§202(c)にしたがって、合衆国政府は、一部、国立衛生研究所からの基金(交付番号DK21712)によって発明された本明細書に記載の発明においてある特定の権利を有することが認められる。 本出願は、1999年6月9日に出願された米国出願第09/328611号に優先権を主張し、その全体が本明細書において出典明示により一部とされる。 本発明は、緩下剤、血清コレステロールを低下させるための治療および低カロリー食品増粘剤および脂肪代替品の分野に関する。特に、本発明は、サイリウム(psyllium)種子外皮由来の非発酵性ゲル形成多糖類およびそれらの単離方法に関する。 種々の科学的および学問的文献が本明細書を通して括弧内に示される。これらの文献は、本発明が関係する分野の状況を記載するために、出典明示により本明細書の一部とされる。 サイリウム(Plantago ovata、またはispaghulaともいう)の種子外皮は、一般に緩下剤として使用され、正常な腸機能を促進する。サイリウム種子外皮は、糞便の量および水分を増加することによって部分的に便通を促進する(非特許文献1)。さらに、サイリウム種子外皮を含有する食餌を与えられた動物およびヒトの排泄物は、ゼラチン状である。このゼラチン質は、腸における摩擦を減少させることによってサイリウム種子外皮の便通性に寄与する。糞量および水分保持における観察された増加もまた、該ゼラチン状物質に起因していた(非特許文献1)。ゲルは、主として、非発酵性サイリウム多糖類よりなる(Cabotajeら、1994, 1302-1307)。 現在使用されるサイリウム種子外皮の調製物は、ある特定の欠点を有する。サイリウム種子外皮の緩下剤調製物は一般に、破砕された外皮よりなり、飲料中において投与される場合、きめが粗く、不愉快な舌ざわりを有する。サイリウム種子外皮は、クッキー、クラッカーおよび類似の製品中に配合されているが、これらの製品は、口の中で不愉快にもゲル化し始める傾向がある。しかしながら、より顕著には、サイリウム種子外皮は食道中で膨張し、息詰まりを引き起こしうる食道閉塞を生じることができる。この理由で、サイリウム種子外皮調製物は、嚥下が困難な人(例えば、かなり年配の人)による摂取を薦められない。最後に、1日につき3.5〜11gというサイリウム種子外皮の推奨される1日の投与量は、いずれの形態においても摂取するのに不便である。要望されるのは、使用に便利かつ気持ちのよいサイリウム種子外皮の形態である。 サイリウム種子外皮は、可溶性食物繊維源の特性の多くを有する。一般に使用される可溶性食物繊維の供給源は、ペクチン、ゴム質およびオートブランを包含する。可溶性食物繊維(SDF)は、食品および医学的調製物において多くの用途を有する。可溶性繊維は、オート麦、オートブランおよび大麦のような最小限に加工される食物源の成分であるか、またはゴム質、ペクチンおよび粘質物のような濃縮物として入手可能である。ゴム質および粘質物は、一般に植物源から単離される炭水化物ポリマーである。特に、粘質物は、水中においてつるつるしたまたはゼラチン状の溶液を生じる。ペクチンは、水中においてゲルを形成する能力をも有する部分的にメチル化したガラクツロン酸の重合鎖である。大抵の可溶性繊維は、迅速かつ完全に発酵され、便通性を有さない。 粘性でもある可溶性食物繊維の供給源は、動物およびヒトにおける血清コレステロールを低下させる(非特許文献2)。胃腸管におけるその発酵よりもむしろ、SDFの粘性がその血中コレステロール低下作用に重要である(非特許文献3)。下部小腸の管腔における粘性は、胆汁酸の吸収を妨げ、より多くの胆汁酸が糞便によって失われる。主として、血中コレステロールは、胆汁酸の喪失を補うためにより多くの胆汁酸を合成するのに肝臓において使用されるので、血中コレステロールは低下すると考えられる。胆汁酸の肝臓における合成は、血液から1日に排出されるコレステロールの40〜50%を占める。しかしながら、可溶性繊維の一の供給源、オートブランの食餌への添加は、また、胆汁酸プールにおけるデオキシコール酸の割合を増加し、それは、外因性食物コレステロールの吸収を減少させる。また、食餌にサイリウム種子外皮を補足することは、胆汁酸の排出を約50%増加する(非特許文献4)。 可溶性食物繊維濃縮物はまた、その親水コロイド性のために、しばしば、食品工業において増粘剤および低カロリー脂肪代替品として使用される(非特許文献5)。アラビアゴムのような低粘性ゴム質は、乳化剤、界面活性剤および安定化剤として理想的な親水性および脂肪親和性の両方を有する。ペクチンおよび粘質物は、食品の増粘剤として理想的なゲル形成特性を有する。ペクチンは、伝統的には、リンゴおよび柑橘属の果物から抽出される。一般に使用される粘質物は、一般的に海草から抽出され、カラゲーニン、寒天およびアルギン酸塩を包含する。脂肪代替品は、脂肪の乳化特性および平滑さを有する化合物を生産するために、ゴム質を粘質物および/またはペクチンと組み合わせることによって作成することができる。Marteauら、1994, Gut 35: 1747-1752Marlett, 1997, pp. 109-121, Dietary Fiber and Health, Plenum Press, New York, Kritchevsky および Bonfield編Marlettら、1994, Hepatology 20: 1450-1457Gelissenら、1994, Am, J. Clin. Nutr. 59: 395-400Ward, 1997, Cereal Foods World, 42: 386-390 本発明は、精製形態におけるサイリウム種子外皮のゲル形成成分を提供する。該ゲル画分は、無傷サイリウム種子外皮の便通および血中コレステロール低下効果を提供するが、無傷サイリウム種子外皮の使用に付随するある種の不愉快なまたは危険な性質がなく、錠剤、カプセルまたは液体として容易に投与可能な形態である。ゲル画分はまた、他の腸管異常の治療および正常な腸機能の維持において、ならびに食品増粘剤および脂肪代替品として有用性を有する。 本発明の一の態様によると、単胃哺乳動物消化管の通過において微生物発酵に耐性のサイリウム種子外皮のゲル形成画分が提供される。他の成分のなかでも、ゲル画分は、主にキシロースおよびアラビノースを少なくとも約3:1(好ましくは約3.5)の乾燥重量比で含む。該画分は、特に、限られた量の他の糖類、例えば、約2.5%−13.5%のラムノース、ガラクトース、グルコースおよびウロン酸を含む。より詳細には、ゲル形成画分は下記の糖組成を有する(全糖類のパーセンテージとして表される)。 約0.5%〜4%ラムノース; 約19%〜22%アラビノース; 約68%〜76%キシロース; 約0%〜0.5%マンノース; 約1%〜2%ガラクトース; 約0%〜1%グルコース;および 約1%〜6%ウロン酸 さらなる精製において、ゲル形成画分は、ラムノース、グルコースおよびウロン酸においてより少なくなる。 ゲル形成画分はまた、非常に粘性であり、ホルムアミド中における0.2%濃度で少なくとも500sec、好ましくは750secおよび最も好ましくは850secの見かけ粘度を有する。該画分は、希アルカリ溶液中において可溶性であり、最終pH約4.5への溶液の酸性化においてゲルを形成する。 本発明のもう一つ別の態様によると、サイリウム種子外皮ゲル形成画分を得る好ましい方法において、分離した炭水化物画分もまた得られる。該画分は、希アルカリ溶液中において可溶性であり、pH約4.5への該溶液の酸性化においても可溶性のままである。該画分は、少なくとも約4:1の比率におけるキシロースおよびアラビノースからなり、さらに、少なくとも約12%(重量)のラムノースおよび少なくとも約15%(重量)のウロン酸を含む。 本発明のもう一つ別の態様によると、ゲル形成画分および付加的な炭水化物画分を得るためのサイリウム種子外皮を分別する方法が提供される。該方法は:(a)化学的還元剤の存在下、約0.15〜約1.0M(好ましくは0.15−0.5M、より好ましくは0.15−0.4M、さらにより好ましくは0.15−0.3Mおよび最も好ましくは0.15−0.2M)の水酸化物イオンを含む水性アルカリ溶液中において外皮を混合し、それにより、外皮をアルカリ可溶性画分およびアルカリ不溶性画分に分別し;(b)アルカリ不溶性画分を除去し;(c)アルカリ可溶性画分をpH約3〜約6(好ましくは約4〜約5、最も好ましくは約4.5)へ酸性化し、その結果、ゲル形成画分のゲル化を引き起こし;次いで(d)ゲル画分を例えば、遠心分離または他の手段によって、酸性化した溶液中に含有される付加的な炭水化物画分から分離することを特徴とする。好ましい具体例において、該方法はさらに、ゲル画分を水性または緩衝化溶液で洗浄し、洗浄したゲル画分を乾燥させることを含む。 本発明のもう一つ別の態様において、上記の手法によって生産されるサイリウム種子外皮由来のゲル形成画分が提供される。付加的な炭水化物画分もまた、本発明の該態様にいおいて提供される。 本発明のもう一つ別の態様によると、上記のゲル形成画分を含有する多糖類画分を得るための別法が提供される。かかる画分は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたは4−メチルモルホリンN−オキシド(水中における50%溶液)を用いる溶媒抽出によって得られる。溶媒処理した材料を遠心分離して、可溶性材料を回収し、次いで、それを80%エタノール濃度に達するまでエタノール中に注ぎ入れる。形成する沈殿物は、アルカリ可溶性ゲル形成画分と組成が類似する。 本発明のもう一つ別の態様によると、便秘または他の腸管異常の治療、または患者における血清コレステロールレベルの低下のための医薬調製物が提供される。これらの調製物は、有効投与量の本発明のサイリウム種子外皮ゲル形成画分を含有するように処方される。本発明の医薬調製物を投与することを特徴とするこれらの種々の状態の患者を治療する方法もまた提供される。 本発明の他の特徴および利益は、下記の詳細な記載および実施例から明らかになろう。 本発明は、便秘の治療および予防ならびに血中コレステロール低下剤として非常に有用なサイリウム種子外皮由来の高度に重合したゲル形成画分を提供する。該ゲル画分は、胃腸管中を通過する間、実質的に発酵されないままであり(実施例6および実施例7)、糞便の水分および全量を増加すること、および糞便の通過し易さを促進する滑りやすい特徴を糞便に与えること(実施例6)を包含する種々の手段によって便通を促進する。 サイリウム種子外皮由来のゲル形成画分はまた、血中コレステロール低下剤として立証された。したがって、血清コレステロールを低下するための治療的処理として、ゲル形成画分を単独または他の活性物質と組み合わせて使用してもよい。 サイリウム種子外皮を与えられたラットおよびヒト由来の糞便は、時々、ゼラチン状である(Cabotajeら、1994, 上掲;実施例6)。しかしながら、ゲル形成物質の精製および特徴付けをするための試み(Kennedyら、Carbohydrate Res. 75: 265-274; Sandhuら、Carbohydrate Res. 93: 247-259, 1981)は成功せず、本発明に記載の特徴を有する高度に精製されたゲル形成画分を提供する者はいなかった。本発明によって開発されたサイリウム種子外皮を分別する方法は、下記により詳細に記載されるように、発表された報告(例えば、Kennedyら、1979, 上掲)と相反する、サイリウム種子外皮のゼラチン状のアルカリ可溶性画分をさらに分別して高粘性ゲル画分(本明細書において「画分B]という)および特有の組成特徴を有する第二の炭水化物画分(本明細書において「画分C」という)を形成できるという予期されない知見を導いた。粘性のゲル形成画分Bおよび付加的な画分Cはどちらも、希および濃アルカリ、ホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび4−メチルモルホリンN−オキシド(50%水性溶液)を包含する種々の物質中において可溶性であり;その結果として、これら2つの画分は、これらの可溶性特徴に基づいて一緒に単離できる。しかしながら、該画分のさらなる分離は、不成功であったか(例えば、Kennedyら、1979; 上掲によって、強アルカリ抽出されたゲル形成画分はさらに分離できなかった)、または研究されないままであった。本発明者らは、画分BおよびCを一緒に含む生産物を得るために適当な第一の抽出手法を用い、該画分の混合物を含有する溶液の酸性化によって画分を分離できることを見出した。遠心分離による酸性化した混合物からの分離の場合、画分Bは凝集し、一方、画分Cは酸中において可溶性のままである。 炭水化物ポリマーの記載 本発明の粘性のゲル形成サイリウム種子外皮画分(画分B)は、主にキシロースおよびアラビノースよりなる。好ましい具体例において、ゲル形成画分は、少なくとも50重量%キシロースおよびアラビノース、より好ましい具体例において少なくとも75重量%キシロースおよびアラビノース、最も好ましい具体例において約85重量%キシロースおよびアラビノースを有する。ゲル形成画分は、実施例3の方法において決定されるように、少なくとも500sec、より好ましい具体例において少なくとも750sec、最も好ましい具体例において少なくとも850secの見かけ粘度を有する。さらに、ゲル形成画分は、キシロースに比べて、特にラムノース、ガラクトースおよびウロン酸が少ない。好ましい具体例において、キシロースのラムノースに対する重量比は50より大きく、より好ましい具体例において、該比率は60より大きく、最も好ましい具体例において、該比率は65より大きい。好ましい具体例において、キシロースのガラクトースに対する重量比は25より大きく、より好ましい具体例において、該比率は35より大きく、最も好ましい具体例において、該比率は42より大きい。好ましい具体例において、キシロースのウロン酸に対する重量比は15より大きく、より好ましい具体例において、該比率は25より大きく、最も好ましい具体例において、該比率は35より大きい。好ましい具体例において、画分Bのキシロースのアラビノースに対する重量比は、2.5〜4.5であり、より好ましい具体例において、該比率は3.0〜4.0であり、最も好ましい具体例において、該比率は3.25〜3.75である。 酸可溶性サイリウム種子外皮画分(画分C)もまた、キシロースおよびアラビノースが高い。好ましい具体例において、酸可溶性画分は、少なくとも25重量%キシロースおよびアラビノース、より好ましい具体例において少なくとも40重量%キシロースおよびアラビノース、最も好ましい具体例において少なくとも45重量%キシロースおよびアラビノースを有する。画分Cは画分Bと類似した見かけ粘度を有するが、画分Bのゲル形成特性を有さない。画分Cはさらに、キシロースと比べて、特にラムノース、ガラクトースおよびウロン酸が豊富である。好ましい具体例において、キシロースのラムノースに対する重量比は6.0より小さく、より好ましい具体例において、該比率は4.5より小さく、最も好ましい具体例において、該比率は3.0より小さい。好ましい具体例において、キシロースのガラクトースに対する重量比は40より小さく、より好ましい具体例において、該比率は30より小さく、最も好ましい具体例において、該比率は25より小さい。好ましい具体例において、キシロースのウロン酸に対する重量比は30より小さく、より好ましい具体例において、該比率は10より小さく、最も好ましい具体例において、該比率は5.0より小さい。好ましい具体例において、画分Cのキシロースのアラビノースに対する重量比は3.0より大きく、より好ましい具体例において、該比率は4.0より大きく、最も好ましい具体例において、該比率は4.5より大きい。 サイリウム種子外皮画分の調製 本発明はまた、上記の精製および分離した画分を得るために、サイリウム種子外皮を分別する方法を提供する。その最も基本的な形態において、該方法は: 1.還元剤を含有する希アルカリ水溶液(好ましくは0.15−0.2Mの水酸化物イオン)中にサイリウム種子外皮を懸濁し、ここに、外皮材料の一部は溶解するが、ある特定の部分は不溶のままであり; 2.アルカリ不溶性材料(本明細書において「画分A」という)を例えば、遠心分離によって除去し; 3.工程1のアルカリ可溶性画分をpH3〜6、好ましくは4.5に酸性化して、ゲル(画分B)および酸性可溶性画分(画分C)を得;次いで 4.ゲルを酸性化溶液から、例えば、遠心分離によって分離する工程を有する。 該方法の一例は、実施例1に教示される。単離される生産物を実質的に変化させない多くの変形が該方法に対して存在する。これらを詳細に下記する。 アルカリ可溶化工程は、いくつかの変形を有する。実施例1に教示される方法は、先行技術において見出されたもの以上に該可溶化を改善した。以前のサイリウム種子外皮多糖類のアルカリ可溶化は、還元剤を含まない塩基の濃縮溶液(すなわち、1.2M NaOH、Kennedyら、1979, 上掲)を利用した。該処理の過酷な性質およびゲル形成画分における多糖類鎖のその部分的分解を認識して、発明者らは、ほとんど濃縮されていないアルカリ溶液および適当な化学的還元剤、例えば、ホウ化水素を用いて、おそらく、さらなる分別により適した形態でゲル形成画分を得ることができることを立証した。4Nまでのアルカリ溶液が利用できるが、好ましくは、アルカリ可溶化における塩基の濃度は、少なくとも0.15Nおよび1.0N以下であり;より好ましい具体例において、少なくとも0.15Nおよび0.5N以下であり;最も好ましい具体例において、少なくとも0.15Nおよび0.2−0.3N以下である。いずれの標準的な塩基もアルカリ抽出に使用でき、限定するものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムを包含する。 塩基に触媒される解重合化を最小限にするためにアルカリ可溶化工程に化学的還元剤、例えば、ホウ化水素が加えられるべきである。実施例1において、1g/L濃度の水素化ホウ素ナトリウムを用いるが、有効な濃度は約50mg/L〜10g/Lの範囲である。好ましい具体例において、水素化ホウ素ナトリウム濃度は、少なくとも100mg/Lおよび4g/L以下であり、より好ましい具体例において、少なくとも500mg/Lおよび2g/L以下であり、最も好ましい具体例において、少なくとも800mg/Lおよび1.2g/L以下である。ホウ化水素の他の形態もまた、該工程における使用に適当であり、限定するものではないが、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウムおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムを包含する。 サイリウム種子外皮の最初の処理の程度は、当業者によく知られるようにアルカリ可溶化を変化させうる。細胞壁の不溶性で繊維質の材料から粘性多糖類を容易に分離できるようにするために、小片になるように外皮材料を処理することが重要である。実施例1において、サイリウム種子外皮を粉砕するが、植物材料を粉砕するいずれの方法も使用することができ、これらの方法は当該分野でよく知られている。 種子外皮材料のアルカリ溶液に対する比率は、多糖類画分の能率のよい可溶化に重要である。実施例1において、2gのサイリウム種子外皮を400mlのアルカリ溶液に加えるが、この比率は、可溶化に認識できるほどの影響を与えることなく、変更することができる。例えば、約0.1gほどのわずかな種子外皮または約4gほどの多くの種子外皮を400mlのアルカリ溶液に加えるように、該比率を変更することができる。さらに、該手法を最適化するために可溶化の時間を温度範囲(4〜50℃)で変更することができる(0.5時間〜24時間)。 本発明の方法の工程2では、アルカリ不溶性材料をアルカリ可溶性材料から分離しなければならない。実施例1において、遠心分離を用いて該目的を達成する。しかしながら、単離される可溶性材料を実質的に変化させることのない多数の変形および他の手法を代わりに用いてもよい。当業者は、異なる遠心分離ローター、植物材料およびアルカリ溶液に分離を適応させるために、遠心分離の時間および出力をどのように変えるか熟知しているであろう。該分離を達成する他の方法は、当該分野でよく知られている。これらの方法のいくつかは、本発明の方法の大規模な使用により適しているであろう。目的の分離方法は、限定するものではないが、フロー−スルー遠心分離またはろ過(攪拌を伴う)を包含する。実施例1はさらに、アルカリ可溶性材料の収率を改善するために、不溶性材料をアルカリ溶液で洗浄し、再分離することを教示する。該洗浄工程は任意であるが、用いると、有利に収率を改善できる。 工程3では、工程2のアルカリ可溶性材料を酸性化に付さなければならない。実施例1において、これは、pHが4.5に調整されるまで、合わせたアルカリ可溶性材料に氷酢酸を加えることによって達成される。該酸可溶化に使用されるpHの範囲は、生産物に実質的な影響を与えることなく変更できる。好ましい具体例において、pHは3〜6であり、より好ましい具体例において、pHは4〜5であり、最も好ましい具体例において、pHは、実施例1に記載されるように約4.5である。酸の選択もまた変更することがある。該工程における使用に適当な酸の例は、特に、酢酸、塩酸、硫酸、蓚酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸である。ここに、工程1におけるように、可溶化の持続時間、温度等を変更することができるが、好ましくは、周囲の温度で約2時間実施する。 工程4では、酸不溶性ゲル様材料(画分B)を酸可溶性材料(画分C)から分離しなければならない。典型的には遠心分離を用いて該分離を達成する。また、不溶性ゲル塊の任意の洗浄(例えば、水、バッファーまたは他の適当な溶媒での)を行って分離の効率を改善してもよい。 工程4における遠心分離の別法として、そのどちらも大規模な調製で扱いやすい2つの他のアプローチを利用してもよい。発明者らは、画分Bのゲル様材料が浮遊し、該ゲルが無傷状態であることを観察した。したがって、パドル、例えば、チーズ製造の間にカードを除去するために使用される型のようなパドルを用いてゲルを酸性化した混合物から巻き取るかまたはすくい取ることができる。その後、ゲル材料を分離容器中に置き、そこで、さらなる精製工程として洗浄してもよい。別法では、上にゲルが浮いている酸性化溶液を含有する容器を重力または穏かな減圧によって底から排水して、容器の底にゲルを残す。さらに、ゲルを洗浄してもよい。 貯蔵および/または使用のための画分Bおよび画分Cの調製はいくつかの手法を用いてもよい。画分BおよびCの多糖類調製物を水和して使用または貯蔵してもよい。水和形態で貯蔵する場合、保存料または静菌剤を加えてもよい。多糖類調製物を乾燥することは特に、使用または貯蔵に有益である。好ましい具体例において、画分Bおよび画分Cを95%エタノールでの処理、ジエチルエーテルでの洗浄および乾燥によって完全に乾燥させる。また、画分は、他の溶媒、例えば、メタノール、アセトンまたはイソプロピルアルコールで乾燥させてもよい。いずれかの標準的な脱水方法(例えば、蒸発、凍結乾燥)を用いて画分を乾燥させてもよく、ただし、温度は約60℃未満、より好ましくは、約40℃未満に維持する。 III.サイリウム種子外皮画分の使用 本発明のサイリウム種子外皮画分は、治療的処理としての用途を有する。この点において、粘性のゲル形成画分、画分Bは、便通の促進および血中コレステロール低下剤としても有効であることが立証された。該材料は、便秘、下痢および/または高血清コレステロールのための治療または予防的調製物中において単独または他の活性物質と組み合わせて使用することができる。かかる調製物は、経口投与されるべき丸剤、カプセルまたは液体においてゲル形成画分を配合することができる。好ましい具体例において、ゲルの乾燥形態が、丸剤またはカプセルとして便利な投与のために処方される。ゲルは摂取時に再水和する。再水和に関して、ゲル形成画分は特に有益な水和特徴を有する。ゲル形成画分は単離および乾燥された後、なかなか水和しない。しかしながら、材料を結腸切除ラットに与えた後の観察に基づいて、ゲルが上部腸において水和形態になり、そこで、その血中コレステロール低下効果を発揮することは明らかである。例えば、食道における遅延によって、早期の水和の危険性が最小限になるかまたは回避されるので、水和におけるこの遅延は有益である。 ゲル形成調製物はさらに、食品中に配合することができる。活性な多糖類が他の植物細胞成分から本発明の方法によって単離されたので、それらは、現在使用されるサイリウム種子外皮調製物に付随する不愉快な舌ざわりまたは大量投与の必然性を有さないであろう。 サイリウム種子外皮由来の非発酵性ゲル形成多糖類は、単胃哺乳動物消化管に対するその便通効果についてよく知られている。成人の場合、腸の正常を維持するため、および便秘の治療として、乾燥形態のゲル形成画分の適当な投与量は約2gを1日に1〜3回である。 実施例4に記載されるように、サイリウム種子外皮のゲル形成画分は、血中コレステロール低下剤として立証された。したがって、該画分は、また、単独または他の活性物質と組み合わせて、血清コレステロールを低下するための治療的処理として使用してもよい。成人の場合、画分Bの乾燥形態の適当な投与量は、1日に約3g〜約7gである。本発明のサイリウム種子外皮画分BおよびCはさらに、食品添加物として使用できる。それらは、増粘剤、ゲル形成剤および増量剤として調理食品中において使用してもよい。それらはまた、脂肪模倣系を作成するために他の食品添加物と組み合わせてもよい。本発明の多糖類調製物は部分的に消化されないので、それらはさらに低カロリー、血清コレステロール低下および便通促進性であろう。画分BおよびCの多糖類調製物は、ゴム質および粘質物が現在使用されている食品の多くにおいて使用できる。 下記の実施例は、本発明をより詳細に記載するために提供される。それらは本発明を説明しようとするものであり、制限しようとするものではない。 実施例1 サイリウム種子外皮の分別 粉砕したサイリウム種子外皮(2g)を水素化ホウ素ナトリウム(400mg)を含有する0.2N水酸化カリウム(400ml)と窒素雰囲気下で90分間攪拌した。混合物を23,500xgで20分間遠心分離した。遠心分離瓶中において沈殿した不溶性画分から上清をデカントした。不溶性画分(「画分A」という)を新鮮な水酸化カリウム−水素化ホウ素ナトリウム(100ml)とさらに15分間攪拌し、再遠心分離した。両方の遠心分離由来の上清を合わせた。合わせた上清を周囲の温度で攪拌しながら氷酢酸を用いてpH4.5に調整し、次いで、25,500xgで60分間遠心分離した。遠心分離瓶中において沈殿したゲル塊(画分B)から上清(画分C)をデカントした。ゲルを水(50ml)で静かに洗浄して付着している上清溶液を除去し、この洗浄水を上清に加えた。ゲル画分は、95%エタノールでの処理によって乾燥させ、最終的にジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。 画分Bを乾燥する前に、いくつかの例において、上記のアルカリ可溶化および酸性化工程を繰り返すことによって画分をさらに精製した。ゲルを0.2N KOH中で再懸濁し、pH4.5に酸性化し、遠心分離してゲルを回収した。 実施例2 サイリウム種子外皮画分BおよびCの糖組成の測定 実施例1に示される方法によって生じたゲル画分(画分B)および酸可溶性画分(画分C)の各糖組成を決定した。結果を表1に示す。 実施例3 サイリウム種子外皮ゲル形成画分の粘性の測定 サイリウム種子外皮のゲル形成画分(画分B)の見かけ粘度を決定した。ホルムアミド中における乾燥画分の0.2%溶液を一晩攪拌することによって、見かけ粘度決定のための溶液を調製した。次いで、溶液を攪拌しながら70℃で5分以上加熱し、周囲の温度で1時間攪拌した。見かけ粘度は、ピペット粘度計(Ostwald Dropping Pipet Viscometer, Cat. No. 13-695, Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を用いて測定された。溶液の粘度を3回測定し、平均値を求めた。 実施例4 サイリウム種子外皮成分の溶媒抽出 サイリウム種子外皮成分は、また、種々の溶媒での抽出によって得てもよい。かかる溶媒は、ホルムアミド、ジメチルスルホキシドおよび4−メチルモルホリンN−オキシド(水中における50%溶液)を包含する。 粉砕したサイリウム種子外皮(2g)を少量ずつ選択した溶媒(200ml)中に攪拌しながら30〜60分にわたって加えた。1のプロトコールにおいて、混合物を2日間室温で攪拌し、次いで、27,000xgで40分間遠心分離した。別のプロトコールにおいて、混合物を60℃までの高温で攪拌し、それにより、攪拌の長さを12時間ほどのわずかな時間に減らすことができた。 ペレット化した不溶性材料をさらに溶媒(50ml)中で30分間、再懸濁および攪拌し、次いで、再遠心分離した。合わせた上清を攪拌しながら、95%エタノール(5容量)に加え、最終的なエタノール濃度を80%にした。メタノール、イソプロピルアルコール、アセトンまたは同様の溶媒を該工程においてエタノールの代わりに用いることができた。沈殿物を収集し、無水エタノール、次いで、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させた。 形成するエタノール不溶性沈殿物は、実施例1−3に記載のアルカリ可溶性材料に組成が類似する。上記の最初の溶媒抽出によって得られた画分の糖組成を表3に示す。 実施例5 サイリウム種子外皮およびその画分のラットの小腸由来の胆汁酸の再吸収に対する効果 食物繊維の血中コレステロール低下作用に関する主要な部位の1つは、胆汁酸に対するその効果により、下部小腸(回腸)にある。胆汁酸は、小腸において乳化剤として機能して脂肪消化および再吸収を促進する。それらは、肝臓においてコレステロールから合成され、胆嚢中に貯蔵され、摂食に応答して小腸中に分泌される。胆汁酸は、回腸中における再吸収によって保持され、血液を介して肝臓に再循環する。食物は消化され、消化物として吸収される流体は腸の遠位に移動し、その結果、小腸の下部三分の一において、管腔内容物は、主として不消化物質(すなわち、繊維)およびいくらかの流体よりなる。現在、粘性可溶性繊維源の多くが上部胃腸管を通過する間、その粘性を保持し、基本的には、下部腸において濃縮されてくることが知られている。可溶性繊維は、胆汁酸に必要な輸送タンパク質を有する腸における唯一の部位である回腸において、胆汁酸の再吸収を効果的に妨害する。糞便による胆汁酸喪失は、血中コレステロールからの肝臓における新たな合成によって補われ、それは、血中コレステロールレベルを効果的に低下させる。 ラットは、盲腸および結腸を除去し、回腸の末端を直腸に再連結することによって外科的に修飾された。7〜10日の回復期間後、これらの動物は回腸排出物と呼ばれる柔らかい形成物質を分泌する。大腸における胆汁酸の細菌性の変質が糞便中においてそれらの半分までを同定できなくするので、回腸排出物は、胆汁酸の吸収に対する物質の効果を測定するために糞便よりも好ましい。 試験食をラットの群に与えた。各食餌を4匹のラットに与え;試験食は5%繊維を(1)サイリウム種子外皮(PSH);(2)セルロース(対照);または(3)単独または組み合わせた5%サイリウム種子外皮中に存在する選択された種子外皮画分(A、BまたはC)の量のいずれかとして含有した。試験食はまた、回腸排出物中のマーカーの濃度を収集された回腸排出物中に存在した試験食の量の計算に使用できるように、非吸収マーカーを含有した。 実際の試験食研究の結果を表4に示す。平均 ± SEM, n = 4 ラット 排出された胆汁酸の増加は、血液中に再吸収された胆汁酸の付随的な減少を示す。回腸から血液中への胆汁酸の再吸収を妨げる物質は、血中コレステロール低下特性を有すると考えられる。上記の結果は、サイリウム種子外皮およびより顕著には、便利に投与可能なゲル形成画分、画分Bの血中コレステロール低下特性を立証し、それは、血中コレステロール低下効果において本質的に無傷サイリウム種子外皮と等価であった。 実施例6 サイリウム種子外皮の非発酵性ゲル成分はヒトにおいて潤滑剤として便通を促進する 糞便の重量を増加するほかに、サイリウム種子外皮(PSH)の補足は、なめらかでゼラチン状の糞便を生じる。該実施例において、発明者らは、サイリウムのゲル画分が微生物発酵を免れ、便通を増強するというこれらの特徴の原因となることを立証する。 材料および方法: 実験計画 研究は、3期間、スクリーニング段階、PSH期間および基礎期間よりなった。スクリーニング段階の間、対象は、付加的な8.8g/日の食物繊維を供給するように15g/日のメタムシル(Metamucil)(登録商標)(5g/食餌)(Smooth Texture Metamucil R, The producter & Gamble Co., Cincinnati, OH)を通常の食餌と一緒に12日間消費した。プロトコールとのコンプライアンスを評価し、典型的な食物摂取についてのより多くの情報を得るために、対象は、9〜12日の間の食物摂取記録を完成するよう依頼された。また、9〜12日の間に各対象から2つの糞便を得て、プロトコールとのコンプライアンスを評価した。次の7日間に(研究の13〜19日)、対象は、各食餌にPSHおよび非吸収マーカー(三二酸化クロム、200mg/食餌)を含む規定の低繊維食餌を消費した。次の2週間(研究の20〜33日)に、対象は、PSHの全てを排出させるために通常の食餌を消費した。基礎段階の7日間(研究の34〜40日)、同じ調節された低繊維食餌および非吸収マーカー(PSHを補足しない)を消費した。該実験計画は、予備研究の結果に基づいた。予備研究において、高レベルのPSH排出を達成するのに、7〜10日の補足物の摂取を要した。予備的な観察はまた、PSHの全てを排出させるために、最後の試験投与の摂取から7〜10日かかることを示した。したがって、データ収集のためのPSH期間は、スクリーニング段階を構成したPSH消費の12日の後に続き、交差実験計画は用いなかった。 糞便および質的な腸応答、食物摂取および活性データは、調節された食餌の両方の週の間、毎日収集された。該研究は、The College of Agricultural and Life Science Human Subjects Committee, University of Wisconsin-Madisonによって是認された。 対象 地元の広告に応答した33個体のうち21人がスクリーニング段階に登録した。スクリーニング段階の排除基準は:ラクトース不耐性、非雑食性の食餌および特定の食餌を受け入れることに対する抵抗であった。対象のコンプライアンス、信頼性、有効性および態度は、スクリーニング段階の間に評価され、15対象(8人が男性、7人が女性)を該研究に参加するものとして選択した。14対象が研究を完了した。(特定の収集期間の間に全ての糞便を供給することができなかった1対象由来のデータは、最終的な分析から削除した。)対象は18〜30歳(平均±SE、24±1歳)の範囲であり、最も重くて正常な体重であった(体重指標、24.2±0.9)。 食餌 全対象は、PSH−補足および基礎段階の間、研究の一部としてそれらに供給される食物よりなる一定の食餌を消費した。朝食は、家で消費し、ライス・クリスピーズ(Rice Krispies R)(登録商標)シリアル、スキムミルク、オレンジジュース、精白粉で作ったパン、マーガリンまたはバター、およびゼリーよりなった。昼食は、サンドウィッチ、新鮮な果物およびミルクよりなった。夕食は、肉、澱粉供給源、サラダおよびデザートよりなった。対象は、献立の食物の指定された量を消費した。パンおよびミルクの量は毎日のエネルギー要求によって変化した。制限された量の繊維不含スナックおよびアルコールもまた許可された。コーヒーは無制限に許された。対象は、夕食時に監督された。補足物および非吸収マーカーの消費は毎日、空の袋を次の日の補足物の割り当てと交換するときに確かめられた。 データおよび試料収集 研究のPSHおよび基礎段階の間に排出された全ての糞便を個々に収集し、直ちに冷蔵し、重量を測り、収集の8時間以内に冷凍した。対象は、−4 最も不適合、−3 極端に不適合、−2 非常に不適合、−1 不適合、0 どちらでもない、+1 適合、+2 非常に適合、+3 極端に適合および+4 最高に適合よりなる9ポイントの評価スケールを用いて各糞便を評価した。 対象は、調節された食餌における項目の消費を証明するために、毎日の食物摂取記録を完成させた。日課におけるいずれかの主要な変化を同定するために、身体的活動表を毎日、完成させた。各参加者の日課は、試料収集の2週間を通して一致していた。 分析 各調節された食餌期間(研究の16〜20日および37〜41日)の4〜8日の間に排出された糞便をハンドミキシングによって解凍し、各対象についてプールし、下記に概説する使用または処理まで再冷凍した。2連のアリコート(3g)を乾燥させて(16時間、70℃)、水分含量を測定した(Marlettら、JNCI 76: 1065-1070, 1986)。Guncagaら(Clin. Chim. Acta 47: 77-81, 1974)の方法の修飾(Hosigら、Cereal Chem. 73: 392-398, 1996)を用いて、糞便のクロム含量を測定した。酸加水分解および還元後のアルジトールアセテート誘導体としてガスクロマトグラフィーによって中性およびアミノ糖含量を2連(25mg)で決定する(Krausら、J. Chromatog. 513: 71-81, 1990; Monsmaら、Appl. Environ. Microbiol. 58: 3330-3336, 1992)ために、および比色アッセイ(Blumenkranzら、Anal. Biochem. 54: 484-489, 1973)を用いるウロン酸分析のために、プールした糞便の一部を凍結乾燥した。解凍し、プールした糞便の水性抽出物は、糞便の相対粘度を決定するために使用された(Ostwald dropping pipet viscometer, Cat. No. 13-695, Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)。水(10ml)でアリコート(2g)をボルテックスし、遠心分離し(30,000xg、30分、4℃)、上清を回収および再遠心分離することによって、水性画分を得た。 ゲル特徴の原因となる成分を単離するための分別手法を、両方の食餌期間由来の各対象からプールした糞便の解凍アリコートに応用した。アリコート(25g)を脱脂し、水素化ホウ素ナトリウム(0.026M)を含有する塩基(0.18N KOH)に付して塩基に触媒される解重合を最小限にした。アルカリ可溶性画分を氷酢酸でpH4.5に酸性化し、エタノールへの添加によって沈殿物(画分1)を回収した。画分1を水中に懸濁し、沸騰するまで加熱し、遠心分離し、ロータリー蒸発によって上清容量を減少させた。該濃縮物をエタノールに添加して、70%の最終的なアルコール濃度を得た。濃縮した上清のエタノールへの添加によって形成された繊維状の塊をエタノール、エーテルで洗浄し、真空乾燥した。該物質は、PSH糞便のゼラチン状成分を示した(画分2)。対照糞便試料の分析の間、該時点で沈殿物は形成されなかった。上記に概説するように、中性およびアミノ糖含量およびウロン酸濃度は、該物質のアリコートにおいて決定された。 計画された献立および各対象の1日の摂取量の多量養素およびエネルギー含量は、栄養組成表を用いて計算された。食物繊維摂取量は、米国食物のための繊維含量および組成の詳細なデータベースを用いて食物摂取記録から計算された。各調節された食餌期間(14〜18日および35〜39日)の2〜6日における1日の摂取量の合計は、繊維由来の糖の見かけの消化率の決定のために、中性糖(グルコース、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース)およびウロン酸の摂取量として用いられた。PSH補足物の糖組成もまた、上記に概説されるように、酸加水分解後のガスクロマトグラフィーによって測定された。糖の糞便排出は、プールした糞便におけるクロムの含量を用いて摂取5日目の排出を反映するように調整された(Chenら、Am. J. Clin. Nutr. 68: 711-719, 1998)。繊維由来の糖の見かけの消化率は、摂取と排出の間の差として計算され、摂取量のパーセンテージとして表された(Chenら、1998, 上掲)。 統計分析 データは、平均±SEとして報告される。研究の基礎およびサイリウム補足段階の間に収集されたデータは、SASコンピュータープログラムソフトウェアリリース6.12を用いて一元配置分散分析によって比較された。有意差は、最小有意差平均分離(means separation)試験によって同定された。 結果: ゲル単離スキームによって回収された第一画分(画分1)は、基礎およびPSH含有糞便の両方から抽出され;PSH糞便由来の該アルカリ可溶性画分は、基礎段階の排出物から抽出されたものよりも有意に大きかった(P<0.0005)。ゼラチン状であるエタノール沈殿可能な画分(画分2)は、サイリウム補足物を消費している対象の糞便由来のアルカリ可溶性画分の熱水処理によって抽出された。研究の基礎の低繊維段階の間に収集された糞便から、ゼラチン状画分は抽出されなかった。 PSHを消費している14対象の糞便由来の画分2の主要成分は多糖類であり、それは画分2の1gあたり763±18mgの糖を含有し、そのほとんどがキシロース(64±1%)およびアラビノース(27±0%)であり、残りの糖は:2%グルコース、3%ガラクトースおよび3%他の糖類(フコース、リボース、マンノース、ミオイノシトール、ムラミン酸、グルコサミンおよびガラクトサミン)であった。該ゲル画分中におけるキシロースおよびアラビノースは、糞便中における各糖の53.9±2.1および31.1±1.4%を占めた。 PSH含有糞便から単離されたゲルに匹敵する基礎段階の排出物由来の画分は得られなかったので、糞便の水性抽出物が、2つの研究期間由来の糞便の相対粘度の比較のために調製された。PSH含有糞便の水性抽出物の見かけ粘度は、基礎段階の低繊維排出物の粘度と比べて有意に大きかった(p<0.01)(238±38対128±7sec)。 PSH補足物は、1日の平均含水産出量を117±7から188±13g/日(P<0.0001)へ、1日の平均乾燥産出量を29±2から37±2g/日(P<0.0001)へ、および糞便水分を74.4±0.9%から80.2±1%(P<0.05)へ増加させた。大腸機能の他の測定もまた、有意に異なった。PSH補足物が消費された場合、各糞便の平均含水重量は、121±6から173±14g(P<0.005)へ、各糞便の平均乾燥重量は30±2から34±3g(P<0.0001)へ、および排出頻度は1.0±0.1から1.1±0.1(P<0.05)へ増加した。 混合食品調節食餌は、繊維由来の糖の混合物を含有し、繊維由来の全中性糖の見かけの消化率は、低繊維基礎期間の間、67±4%であった。PSH調製物の組成は:21mg/gラムノース、127mg/gアラビノース、325mg/gキシロース、8mg/gマンノース、25mg/gガラクトース、44mg/gグルコース、35mg/gウロン酸、19mg/g灰分、18mg/g粗タンパク質および346mg/gコーティング剤であった。補足物を摂取した場合、繊維由来のキシロースおよびアラビノースの見かけの消化率は減少した(P<0.001)が、ウロン酸消化率は増加した(P<0.03)。基礎食餌期間に排出されたキシロースおよびアラビノースをPSH含有糞便中におけるこれらの糖の量から引くと、PSH中における2つの主要な糖類の見かけの消化率を概算する手段が提供される。キシロース、アラビノースおよびPSHによって提供される全中性糖の見かけの消化率は、各々、59±5、28±7および54±9%であり、変化可能であった。 PSHの試験投与量は、全ての対象によってよく許容された。基礎期間の間の大腸機能と比較して、PSHは、より穏かな排便、通過するのがより容易なより軟らかい糞便、ふき取るのが非常に容易であること、完全な解放感、および量の増加をもたらした。対象はより強い腹のはりおよび膨張を知覚したが、PSH補足物は、腹痛、強い便意、または繰り返しの排便の経験に対して影響せず、また、下痢も引き起こさなかった。軟らかく形をなすが、ほとんどの糞便は、目に見えてゼラチン状であり、揺り動かすと振動した。PSH補足物が消費された場合、食餌中の食物によって提供された多量養素および食物繊維含量は変化しなかった。 したがって、結腸において完全に発酵される他の粘性繊維とは対照的に、サイリウム種子の成分は発酵されない。上記の研究の結果は、軟化剤および潤滑剤として機能することによって、PSH含有糞便から単離された非発酵性ゲルが食物繊維に関する便通の新規なメカニズムを示すことを示唆する。 実施例7 イン・ビトロでのサイリウム種子外皮のゲル形成画分の不十分な発酵の立証 サイリウム種子外皮およびその画分のイン・ビトロでの発酵は、40ml発酵フラスコ中で行った。発酵のための炭水化物は200mgであり、その31mgが仔ウシ肉水ブロス由来であり、45mgが酵母由来であり;残りがサイリウム種子外皮の画分A、BおよびC由来であった。画分は、上記のように、破砕したサイリウム種子外皮から単離された。「3画分混合」試料は、外皮におけるそれらの元々の濃度に比例して再混合されたサイリウム種子外皮から単離された3画分からなった。接種物は、5%(重量)サイリウム種子外皮を含有する精製食餌を与えられたラットから採取された盲腸内容物からなった。実験プロトコールおよび分析は、Monsma & Marlett (J. Nutr. 126: 554-563, 1996)によって記載された方法にしたがった。該方法によって生じた結果は、ヒトにおけるイン・ビボでの発酵によって得られた結果に類似することを示した(Monsmaら、J. Nutr. 130: 585-593, 2000)。全ての発酵は、嫌気性チャンバー中において調製および実施され、2連で行われた。 表5は、イン・ビトロ発酵の結果を示す。発酵フラスコ中における炭水化物は、ウロン酸と共に11種の中性およびアミノ糖からなり;これらは試験基質、仔ウシ肉水ブロスおよび酵母によって提供された(表5の脚注「a」および「b」参照)。これらの供給源由来の糖の見かけの発酵は、試験画分の発酵が強調されるように要約される。表からわかるように、画分Cは、24時間でほとんど完全に発酵した。対照的に、画分Bは部分的にのみ発酵し(約25−35%)、その発酵は48時間で終わったようであった。画分Aはほとんど発酵せず、その発酵は、発酵期間の最初の12時間に限られた。a 発酵液の一部であり、発酵に対して約70−75mgの炭水化物を与えた仔ウシ肉水ブロスおよび酵母中における糖。b 約120−125mgを発酵に対して与えるように計算された試験基質中の糖。c 特に列挙されない下記のリスト由来の糖を包含する:ラムノース、フコース、リボース、アラビノース、キシロース、マンノース、ガラクトース、グルコース、ミオイノシトール、グルコサミンおよびガラクトサミン。ウロン酸は発酵されるべき炭水化物の量の計算に含まれないが、それらは全試料において測定されず、したがって、画分Cの要約を除き、この要約に含まれない。 実施例8 サイリウム種子外皮画分Bの還元的分解およびNMR分析 標準的な方法にしたがって、サイリウム種子外皮画分Bの多糖類を完全にメチル化し、次いで、トリエチルシランおよびトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートの存在下で還元的に分解した。生産物をその場でアセチル化し、DB−5カラム上でガスクロマトグラフィー−マススペクトロメトリー(GLC−MS)によって分析した。結果を表6に示す。a 標準的なメチル化分析は、該Xylp残基が3,4−結合であったことを確立した。b 共溶出成分は、RTx−200カラム上でのGLCによって分離された。 還元的分解過程の成分は、同定および定量のためにより容易に分離され、標準的なメチル化/加水分解手法由来のものよりもより限定的な構造上の情報を提供する。表6に示すデータは、画分Bの多糖類が高度に分枝した非常に複雑な分子であることを示唆する。キシラン骨格は、キシロースおよびアラビノースの単一分枝のほかに、両方の糖を含有しうる不確定な長さの分枝を含有する。 多糖類は、また、2次元NMR分析に付され、その結果は、キシロース残基がベータ結合し、アラビノース残基がアルファ結合することを示した。後者は、多糖類上でのアルファ−L−アラビノフラノシダーゼの作用によって支持される。 本発明は、上記および例示した具体例に限定されないが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく変更および修飾することができる。 ゲル画分および付加的な炭水化物画分を得るためにサイリウム種子外皮を分別する方法であって、 a)0.15〜1.0M水酸化物イオンを含む水性アルカリ溶液中で外皮を混合し、それにより、外皮をアルカリ可溶性画分およびアルカリ不溶性画分に分別し; b)アルカリ不溶性画分を除去し; c)アルカリ可溶性画分をpH3〜6に酸性化し、それによりゲル画分を得、酸性化溶液は付加的な炭水化物画分を含み;次いで d)ゲル画分を付加的な炭水化物画分を含有する溶液から分離することを特徴とする方法。 外皮を0.15〜0.3M水酸化物イオンを含む水性アルカリ溶液中で混合する請求項1記載の方法。 アルカリ可溶性画分をpH4.5に酸性化する請求項1記載の方法。 さらに水性溶液でゲル画分を洗浄することを含む請求項1記載の方法。 さらに洗浄したゲル画分を乾燥させることを含む請求項4記載の方法。 請求項1記載の方法によって生産されたサイリウム種子外皮由来のゲル画分。 有効投与量の請求項6記載のゲル画分を含む、便秘の治療が必要な患者において便秘を治療するための医薬調製物。 有効投与量が乾燥重量に基づいて2〜6gのゲルである請求項7記載の医薬調製物。 有効投与量の請求項6記載のゲル画分を含む、高血中コレステロールの治療が必要な患者において高血中コレステロールを治療するための医薬調製物。 有効投与量が乾燥重量に基づいて3〜7gのゲルである請求項9記載の医薬調製物。 請求項1記載の方法によって生産されたサイリウム種子外皮由来の炭水化物画分。 【課題】便秘の治療および予防ならびに血中コレステロール低下剤として有用なサイリウム種子外皮由来の高度に重合したゲル形成画分を提供すること。【解決手段】ゲル画分および付加的な炭水化物画分を得るためにサイリウム種子外皮を分別する方法であって、 a)0.15〜1.0M水酸化物イオンを含む水性アルカリ溶液中で外皮を混合し、それにより、外皮をアルカリ可溶性画分およびアルカリ不溶性画分に分別し; b)アルカリ不溶性画分を除去し; c)アルカリ可溶性画分をpH3〜6に酸性化し、それによりゲル画分を得、酸性化溶液は付加的な炭水化物画分を含み;次いで d)ゲル画分を付加的な炭水化物画分を含有する溶液から分離することを特徴とする方法。【選択図】なし