タイトル: | 公開特許公報(A)_粘着性ピッチの分析方法 |
出願番号: | 2007211621 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 15/00,G01N 21/27 |
坂本英俊 JP 2009047461 公開特許公報(A) 20090305 2007211621 20070815 粘着性ピッチの分析方法 ハイモ株式会社 000142148 坂本英俊 G01N 15/00 20060101AFI20090206BHJP G01N 21/27 20060101ALI20090206BHJP JPG01N15/00 AG01N21/27 A 5 OL 8 2G059 2G059AA05 2G059BB20 2G059EE02 2G059EE13 2G059FF03 2G059HH02 2G059KK04 2G059MM01 2G059MM02 2G059MM03 2G059MM04 2G059MM09 2G059MM10本発明は、製紙原料中の粘着物分析方法に関するものであり、詳しくは、ウェットシート上の粘着物を媒体に転写した後、粘着物の付着した前記媒体をデジタルカメラなどにより電子的な情報に変換し、画像解析ソフトによって前記粘着物の総量や和面積を解析することにより、製紙原料中の粘着物を定量化し、乾燥成紙の欠点発生や断紙防止に的確な情報を得ることを目的とした製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法に関するものである。近年、抄紙原料成分は、環境及び原材料への関心の高まりにより(1)機械パルプ使用率の増加(2)古紙利用率の大幅な増加(3)DIPの高配合化(4)用水のクローズド化(5)添加薬品類の多様化等(6)粘着剤、ホットメルト樹脂の増加(背糊、宅配便粘着剤由来ピッチの増加)等の要因により変化し、抄紙系内の溶存アニオン性物質とピッチ成分が増加の傾向にある。このため抄造時にピッチトラブルによるマシンの操業性低下や、溶存アニオン性物質によるカチオン性機能薬剤の効果低下の問題が起こり易い状況となっている。更に(1)中性抄紙への移行(カルシウム分の増加)(2)マシンの高速化(3)低坪量化等の技術革新は、溶存アニオン性物質とピッチ成分の増加に対し敏感に影響を受けやすい。ここで溶存アニオン性物質とは、抄紙系内のアニオン性障害物質となる成分と定義する。コロイド化学的には、カチオン性の高分子と反応して電荷の中和点により定量できるアニオン性の荷電物質で、以下の様に分類される。(1)疎水性のアニオン化合物、すなわち原木由来のへミセルロース,脂肪酸,樹脂酸、添加剤のサイズ剤、染料、用水系の界面活性剤等で高分子疎水基とカルボン酸等の親水性のアニオン基を有する。(2)高分子多価アニオン化合物(ポリアニオン)、すなわち原木由来のリグニン、コート液や塗工成分のCMC、酸化でんぷん、ピグメント用分散剤のポリアクリル酸やホスホン酸、紙力剤用ポリマー、水質由来の腐植酸等であるが、脱墨由来の珪酸ソーダも類似の性質を示す。(3)アニオン性に帯電したコロイド状樹脂成分、すなわちコートブロークや、コート廃液、古紙由来のラテックス、粘着剤や背糊由来のアクリルエステルやEVAがアニオン性に帯電したコロイド状樹脂成分である。ピッチとは古紙に由来する粘着物や工程薬剤などを含めた疎水性物質の集塊化した状態のものの総称を指す。ピッチ由来成分は系内の温度、pH、用水硬度、攪拌、白水中の泡等により集塊化する。天然系不純物をピッチ、合成系不純物をスティッキーと称する場合もあり、これらの不純物をいかに効率よく処理できるかが課題となっている。このように抄紙系内に持ち込まれた溶存アニオン性物質、ピッチ成分は、抄紙系内の白水循環系を循環し、成紙とともに抄紙系外へ排出されるが、歩留率が低く、抄紙系内に持ち込まれる溶存アニオン性物質、ピッチ成分が多いと、十分に抄紙系外へ排出されることができなくなり、白水循環系で蓄積し、ピッチ成分同士が集塊化しピッチトラブルを引き起こす。抄紙系内で集塊化したピッチ成分は、白水循環系を循環し、最終的には成紙上にのって抄紙系外へ出てしまい、ピッチトラブルとして顕在化する。ピッチトラブルや、溶存アニオン性物質によるカチオン性機能薬品の効果低下への影響を少なくするためには、カチオン系凝結剤を添加するとともに、歩留剤を使用することにより溶存アニオン性物質、ピッチ成分が白水循環系で蓄積し、集塊化する前に効率的に抄紙系外へ排出する必要がある。製紙原料への粘着性ピッチ混入の原因は、粘着剤として広く使用されるポリアクリル酸エステルや、ホットメルト系樹脂が古紙とともにリサイクルされ、リサイクル原料として抄紙系内に入ってくるからであると考えられる。このポリアクリル酸エステルや、ホットメルト系樹脂の微粒子は、抄紙され紙に乗ってプレスパートやドライヤーパートにおいて加圧、加熱工程が加わることにより強力な粘着性を帯び、抄紙用具に付着し、それが蓄積し、マシン用具汚れや、紙に再度付着し、ピッチトラブルを引き起こし、生産性の低下の原因になる。このようなピッチトラブルを解決するためには、抄紙系内に持ち込まれるこれらのポリアクリル酸エステルや、ホットメルト系樹脂の量がどれくらいであるかを把握し、適当量のカチオン系凝結剤を使用することが必要になる。既存の分析技術では、原料中の繊維・填料分と濾液部分を分離するため、20μmの大きさの粒子を保持する濾紙で濾過し分離し、濾液部分の測定を実施している。20μmのフィルターの濾液中には、コロイド状物質が多く存在し、高分子酸、ポリアニオン、負に帯電したコロイド粒子等アニオン性に荷電した物質は、濾液のカチオン要求量により定量される。非イオン性物質含めたコロイド成分は濁度の測定により推定される。またマイクロピッチについても、ヘマサイトメーターを用いた分析方法により測定することができる。しかしながら、現在板紙等において発生している粘着物由来のピッチトラブルに関しては、その原因となるポリアクリル酸エステルや、ホットメルト系樹脂のピッチ分が、抄紙工程において粗大化し、粗大粘着物になっていることが想定され、この粗大粘着物は、粘着性があり繊維に付着しやすく、また20μm以上の大きさになっている可能性があるため、20μmのろ紙で濾過しても濾液中に含まれず、濾紙上の製紙原料によって生成したウエットシート表面や層中に残り、正確に存在量を確認することができなかった。このような20μm以上の大きさの粗大粘着性ピッチについては、非特許文献1に測定方法が記載されている。すなわち故紙原料をスクリーンに通し、スクリーン残渣を濾紙上に捕集する。その後、ヒートプレス機で95KPa、94℃、10分間加熱加圧する。粘着性ピッチの転写は濾紙に行い、転写前後に金属粉や、白色塗工液を使用し、粘着物をマーキングし、その粘着物の付着した濾紙を画像解析に供する。従って粘着物をマーキングする必要があるため、測定には手間がかかるうえ、粘着物と結束繊維や他の付着物との分離が困難かつ工数がかかる。またライナー原料パルプ中の粗大粘着物の定量的評価としては、非特許文献1の方法を改良し、精選スクリーンや、高濃度処理機による粗大粘着異物の除去・分離について評価を行っているが、基本はJIS法であり、測定には手間がかかる(非特許文献2)さらに脱墨古紙パルプ(DIP)の夾雑物評価方法としては、夾雑物を3つの大きさに分類し、それぞれの大きさに最適な分析方法で測定している。この方法は手抄きシートを作成し、紙表面をCCDカメラで撮影し、画像解析を実施している。この方法は他の媒体への転写は行わない(非特許文献3)。JISP8231、2006紙パルプ技術協会年次大会講演要旨集、福岡、2006、p91第73回紙パルプ研究会講演要旨集、東京、2006、p13020μm以上の大きさの粗大粘着性ピッチについては、非特許文献1に定められた「古紙パルプ粘着物及びプラスチックの評価方法−画像解析法」にて規定されているが、粘着物と結束繊維や他の付着物との分離が困難かつ工数がかかる。従って本発明の課題は、特に板紙抄紙における粘着性ピッチのトラブル解決の過程において、より簡便にこれらの粗大粘着性ピッチの存在量を実態に即して的確に測定する技術を開発することである。請求項1の発明は、抄紙前の製紙原料を濾紙で濾過し、ウェットシートを作成し該ウェットシート上の粘着性ピッチを加圧下、媒体に転写し、該粘着性ピッチを転写した前記媒体表面をデジタルカメラにより撮影した電子的な情報をコンピュータに入力した後、画像解析ソフトによって前記粘着性ピッチの数と総面積を計測することを特徴とする製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法である。請求項2の発明は、前記濾紙が、20μm未満の粒子を通過させるものであることを特徴とする請求項1に記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法である。請求項3の発明は、前記転写時、90〜110℃の範囲で加熱することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法である。請求項4の発明は、前記媒体がステンレス板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法である。請求項5の発明は、前記製紙原料が板紙用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法である。本発明の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法は、抄紙前の製紙原料を濾紙で濾過し、ウェットシートを作成し該ウェットシート上の粘着性ピッチを加圧下、媒体に転写し、該粘着性ピッチを転写した前記媒体表面をデジタルカメラにより撮影した電子的な情報をコンピュータに入力した後、画像解析ソフトによって前記粘着性ピッチの数と総面積を計測することからなる。前記転写時、90〜110℃の範囲で加熱することが好ましい。さらに前記媒体はステンレス版であることが好ましい。前記製紙原料は板紙用である時、効果を発揮する。以下本発明を具体的に説明する。測定操作は、(1)ウェットシートの作成、(2)ウェットシート上の粘着物を媒体に転写、(3)転写された粘着物の総量と総数のカウントの3つの段階からなる。(1)ウェットシート作成に使用される製紙原料は、実験室的に離解し叩解されたパルプや古紙でも、製紙現場から採取された製紙原料でも使用可能であるが、現場の製紙原料のほうがより現実に即した実態を反映するものと考えられるが、採取時の成分のばらつきがあり、一長一短である。上記製紙原料を濾紙により濾過することにより150g/m2の坪量でウェットシートを作成し、短時間で含水率を低下させるため吸引濾過し、一定時間吸引濾過後のウェットシートから濾紙を剥がして、濾紙に面していない側のウェットシート面を媒体に転写させる。この時、約90〜110℃に加熱し加圧する。加圧は約410KPa前後の圧を設定すると適切に転写が可能である。ここで使用する濾紙は、20μm以下の粒子を通過する濾紙が好ましい。すなわち20μm以下のいわゆるマイクロピッチは、コロイド的に分散しており、これらがそのまま抄紙後の紙に留まっても、ピッチ障害を発生させるわけではない。抄紙の種々の衝撃によって凝集し、粗大化した後、ピッチ障害を発生させる原因となる。また転写媒体としては、実際の抄紙マシンに使用される素材であり、なおかつ加圧、加熱により素材の変化しないものとして、ステンレス鋼が好ましく採用される。加熱する場合の温度としては、ポリアクリル酸エステルや、ホットメルト系樹脂の軟化する温度以上の温度をかける。その後、画像処理ソフト等を用い、特定の範囲の色成分を選択することにより、ピッチ粒子が抽出されるような条件を設定して、モニター画面上で目的とする粒子を抽出する。転写された粘着性ピッチの総量と総数の解析においては、付着物の形を見極め、その付着物の大きさ、数について正確な情報を得られることができる画像解析ソフトを用いることが好ましい。特にソフトを限定するものではないが、解像度が高く、的確に目的粒子を抽出できるように、各色成分を表す値(R値、G値、B値等)に対して、少なくとも256段階のレンジ調整が可能なものを用いることが好ましい。このようなソフトを使用することにより色成分のヒストグラムから、特定の範囲を抽出することが可能である。すなわち、ピッチ粒子以外に填料、微細繊維等も同条件で抽出されるが、これらの形状はピッチ粒子と異なるため、後に形状の違いから区別することが可能である。抽出した粒子に関しては、抽出画像を直接比較するか、または粒子の個数、面積、粒径、形状、移動距離等を測定することにより、系内のピッチの濃度、粒子の種類、ピッチの自己凝集の度合いが判定できる。また、ピッチコントロール剤の未添加と添加済製紙原料中のピッチ分の抽出結果を比較することにより、ピッチコントロール剤あるいは凝結剤の効果を判定することも可能である。ピッチ分を抽出する方法は、例えばRGB値(赤(R)、緑(G)、青(B)の3種の色の組み合わせで全ての色を表す)やHSI値(色相(H)、彩度(S)、明度(I)の組み合わせで全ての色を表す)等のヒストグラムから、適切なレンジ設定を行なうことにより、ピッチ粒子が抽出されるような色成分のみを選択して抽出する。顕微鏡の設定、元画像の明るさにより、設定レンジは調節するが、同一試験には同一条件を用いるのが好ましい。具体的な画像解析ソフトとしては、画像処理ソフトMedia Cybernetics,inc. IMAGE−PRO PLUS Ver.5.0などがある。転写された媒体表面の撮影時、用いる顕微鏡には、特に制限はないが、デジタルカメラと接続が可能であるか、またはモニター上かコンピュータ上に画像を映し出すことが可能なものが、画像の取込みと保存の面から好ましい。デジタルカメラは、解像度が高い方が、粘着ピッチの解析に有効であり、好ましくは100万画素以上で、粒子が鮮明に写せる画質を満たすデジタルカメラが好ましい。コンピュータは、使用する画像解析ソフトの動作環境を満たせるものであれば、特に制限はない。実際のモニター画面上における判別方法は、媒体表面、すなわちSUS板上の付着物画像の電子的な情報を上記方法によって抽出し、抽出した付着物の中から、大きさ、長短半径比、穴数、穴面積の最適条件下で再度抽出し、繊維分や他の付着物と、粘着性ピッチを判別する。粘着性ピッチ面積、個数等の測定結果の推移は、ヒストグラムを作成することにより、容易に比較できる。また、その平均値、最大値、最小値などの代表的値でピッチコントロール剤添加前後の薬剤効果を比較することができる。本発明は、このような手法を採用することにより既存の粗大粘着性ピッチの測定方法よりもより簡便に、また効率的に測定することが可能になり、抄紙系内の粘着性ピッチの存在量の情報を得ることが可能になった。またこれら粘着性ピッチによる障害作用を防止するためどのようなカチオン系凝結剤などピッチコントロール剤を使用したらよいのかも、より的確に選定することが可能になる。対象となる製紙原料は、上質用、中質用、新聞用、白ボール用、ライナー中芯原紙、ライナー用原紙など特に制限は無いが、粘着性ピッチが混入しやすい白ボール用原紙、ライナー中芯原紙、ライナー用原紙などの板紙原料の分析に適している。ここで本発明と従来のカチオン要求量、濁度、ヘマサイトメーター、あるいはカウンティングチェンバーによるピッチ数分析方法とを比較してみる。すなわち例として新聞故紙とダンボール古紙をあげてみると、前記製紙原料を20μm以下通過の濾紙により濾過した濾液中のカチオン要求量、濁度、ヘマサイトメーター、あるいはカウンティングチェンバー測定によるピッチ数については、新聞故紙がダンボール古紙に較べ高い数値であったが、本発明の方法によって粘着性ピッチを分析してみると、粘着性ピッチの個数および粘着性ピッチ総面積ではダンボール故紙が新聞故紙に較べより高い数値となって計測された。また比較として入れた化学バージンパルプでは、粘着性ピッチは計測されない結果であった。この結果を考察してみると、従来法では、20μm以下通過の微細なマイクロピッチ粒子を測定していて、製紙原料中の障害を起こす粗大なピッチに関して実態を反映しているかどうかが非常に疑問であった。しかし本発明によると、流通過程から検討してより粗大粘着性ピッチが多く含有すると推定されるダンボール古紙中に粗大粘着性ピッチが多く計測され、より実態を反映していると考えられる。以下に、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に制約されるものではない。試験用の製紙原料として、ライナー原紙用製紙原料(ダンボール古紙を主体としたもの)、新聞用紙用製紙原料(新聞古紙を主体としたもの)、および比較のためCSF=400mLに叩解した広葉樹晒クラフトパルプを用いた。(ウェットシートの作成)対象原料を、直径90mmの円形濾紙(ワットマンNo.41 20〜25μm以上の粒子保持)で5分間濾過し、濾過後の原料から濾紙を剥がし、ウェットシートとする。測定面は、剥がしたウェットシートの濾紙に面していない側の面を使用する。製紙原料は、直径90mmの大きさで坪量150g/m2になるように、対象原料を採取する。このウェットシートを濾紙に面していない側を測定面とし、SUS板に張り合わせ、ウェットシート上の粘着物を媒体に転写する。この際、ウェットシートのSUS板(厚さ0.1mm)に張り付けた面と反対面に厚手の濾紙を合わせ、プレス機にセットし、410KPa、5分間加圧する。次にウェットシートを張り付けたSUS板をロータリードライヤーにセットし、105℃で6分間加熱する。この際、ロータリードライヤーのシリンダー側にSUS板を、フェルト側は転写されたウェットシート側をセットする。(転写された粘着物の総量と総数のカウント)加熱後、SUS板上のウェットシートからの付着面(直径90mm)中の任意の箇所20箇所を選択し、実体顕微鏡を用いてデジタルカメラで撮影し、画像としてコンピュータに保存する。その後、画像処理ソフト(Media Cybernetics,inc. IMAGE−PRO PLUS Ver.5.0) を用い、RGB値のレンジ設定を調整することにより、目的とする粒子を抽出した。抽出した付着物の中から、大きさ、長短半径比、穴数、穴面積の最適条件下で再度抽出し、繊維分や他の付着物と、粘着性ピッチを判別する。その抽出した粒子について、粘着性ピッチ総面積、総個数を測定し、1m2あたりに換算した。結果を表1に示す。(比較試験)比較試験として従来の製紙原料を20μm通過の濾紙を用いて濾過し、濾液中のカチオン要求量μeq/L(ミュ−テック社製のPCD−03型)、濁度(HACH社 2100P型濁度計により測定)、カウンティングチェンバーを使用し、光学顕微鏡下、1200倍でマイクロピッチ数を計測した。すなわち一つの升目(0.01314mm2×高さ0.2mm)の中の任意の3箇所につき、深さを変えて、30枚画像を撮影した。従って表1の数値は、90枚の画像に存在するマイクロピッチの総数になる。結果を表1に示す。表1の数値をみて分かるように、濁度およびカウンティングチェンバーによるマイクロピッチ数に関しては、新聞古紙のほうが数値は大きく、またカチオン要求量も高く、一見して汚れが著しいと判断してしまう。しかしダンボール古紙は、熱転写された粘着性ピッチ数が18倍多く、また粘着性ピッチ総面積も40倍以上高い。従ってダンボール古紙のほうが粘着性ピッチの存在量は高いと考えられる。さらに20μm通過の微細なピッチは、ピッチ障害には大きくは影響せず、これら粒子を測定しても実用にはあまりならない。従って本発明の方法を用いたほうが、より実用に適した手段と考えられる。(表1) 各原料中の分析結果抄紙前の製紙原料を濾紙で濾過し、ウェットシートを作成し該ウェットシート上の粘着性ピッチを加圧下、媒体に転写し、該粘着性ピッチを転写した前記媒体表面をデジタルカメラにより撮影した電子的な情報をコンピュータに入力した後、画像解析ソフトによって前記粘着性ピッチの数と総面積を計測することを特徴とする製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法。前記濾紙が、20μm未満の粒子を通過させるものであることを特徴とする請求項1に記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法。前記転写時、90〜110℃の範囲で加熱することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法前記媒体がステンレス板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法。前記製紙原料が板紙用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製紙原料中の粘着性ピッチの分析方法。 【課題】 板紙抄紙における粘着性ピッチのトラブル解決の過程において、より簡便にこれらの粗大粘着性ピッチの存在量をより実態に即して測定する技術を開発する。【解決手段】 抄紙前の製紙原料を濾紙で濾過し、ウェットシートを作成し該ウェットシート上の粘着性ピッチを加圧し媒体に転写し、該粘着性ピッチを転写した前記媒体表面をデジタルカメラにより撮影した電子的な情報をコンピュータに入力した後、画像解析ソフトによって前記粘着性ピッチの数と総面積を計測することによって達成できる。 【選択図】 なし