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タイトル:公開特許公報(A)_(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法、(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法及び水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法
出願番号:2007207095
年次:2009
IPC分類:C08F 2/00,C08F 20/00,C08F 2/40,C07C 51/50,C07C 51/47,C07C 57/07


特許情報キャッシュ

塩路 尚武 JP 2009040875 公開特許公報(A) 20090226 2007207095 20070808 (メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法、(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法及び水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法 株式会社日本触媒 000004628 安富 康男 100086586 玉井 敬憲 100112025 塩路 尚武 C08F 2/00 20060101AFI20090130BHJP C08F 20/00 20060101ALI20090130BHJP C08F 2/40 20060101ALI20090130BHJP C07C 51/50 20060101ALI20090130BHJP C07C 51/47 20060101ALI20090130BHJP C07C 57/07 20060101ALI20090130BHJP JPC08F2/00 ZC08F20/00 510C08F2/40C07C51/50C07C51/47C07C57/07 7 OL 24 4H006 4J011 4H006AA02 4H006AD17 4H006AD41 4J011AA05 4J011AC05 4J011NA18 4J011NA23 4J011NB06本発明は、(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法、(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法及び水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法に関する。より詳しくは、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩に着色等が生じないようにするための原料(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法、(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法及び水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法に関する。(メタ)アクリル酸塩は、種々の重合体の原料として使用され、重合用単量体等として工業的に重要な化合物である。このような(メタ)アクリル酸塩から調製される重合体の例としてのポリ(メタ)アクリル酸塩は、例えば、凝集性、分散性及び増粘性等の特性を発揮することが知られており、例えば、医薬分野においては、湿布薬、パップ剤の粘着性や保水性の向上を目的とした添加剤や親水性軟膏基材として使用され、塗料分野においては、カーペット用コンパウンドの増粘剤、塗料の増粘剤や粘着剤、粘着性向上剤として使用されている。また、製造プロセスの分野においては、アルミナ製造時の赤泥沈降剤、ソーダ工業における塩水精製用凝集剤として多用されている。更に、土木・建築分野においては、掘削土処理剤や浚渫土処理剤、加泥剤として使用され、その他一般工業分野において、無機顔料分散剤、スケール防止剤、吸湿剤、乾燥剤、表面改質剤、各種増粘剤としても使用されている。このように(メタ)アクリル酸塩は、単量体として種々の分野で多岐にわたって使用されている。このような(メタ)アクリル酸塩としては、原料である(メタ)アクリル酸由来の重合禁止剤を除去するために中和塩水溶液とした後に処理される場合がある。これを重合することによりポリ(メタ)アクリル酸塩が調製されることになる。ところが処理の方法によっては、製品形態の1つである(メタ)アクリル酸塩重合体水溶液が、経日により、着色してしまう場合がある。例えば、重合体水溶液が生成した時点において着色がなくても、製品在庫として保存した結果、着色が生じる場合がある。重合体にいったん着色が生じてしまうと、工業製品として品質の低下を来たすことから、着色の抑制が極めて重要である。特に、重合禁止剤を除去する処理と共に、単量体原料を安定化処理して簡便に重合体の着色を防ぐことが望まれていた。従来の(メタ)アクリル酸塩水溶液の処理方法としては、アクリル酸アルカリ金属塩の水溶液のpHを8以上に保ち、活性炭で処理する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この水溶液を使用して水溶性ラジカル開始剤を添加し有効に重合させることにより、種々の分子量を有する重合体を得ることができる。一方、ポリ(メタ)アクリル酸塩を水溶液の状態で長時間置いても重合体の着色が起こらないような(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法が種々の分野において望まれていた。このような安定化処理方法を行うことができれば、ポリ(メタ)アクリル酸塩を扱いやすい水溶液の状態で安定に保存することが可能になり、種々の分野においてその利便性や有用性が大きく向上することになる。また、アクリル酸塩中のMEHQ(メトキノン)含量を減少させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。活性炭上での連続吸着によりアクリル酸又はそれらの塩のMEHQ含量を減少させる場合があることは開示されている。更に、プロピレン及び/又はプロパンを気相接触酸化して得られたアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする単量体成分を重合して、架橋された吸水性樹脂を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。高物性で且つ低着色の吸水性樹脂が得られることが示されている。しかしながら、処理条件についての詳細な開示はなく、この技術に対しても経日により着色が生じることがないようにすることが望まれるところであった。特公昭48−43331号公報(第1〜3頁)特表2006−509019号公報(第1、2、6頁)特開2003−246810号公報(第1、2、21頁)本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸塩水溶液から調製される重合体を着色が生じることなく、長期間保存することが可能となる(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法を提供することを目的とするものである。本発明者は、(メタ)アクリル酸塩水溶液の吸着処理工程を含む安定化処理方法について種々検討したところ、上記特許文献2に記載の重合禁止剤の処理方法条件だけでは重合体が着色してしまう場合があるという問題点があったことに先ず着目した。そして、本発明者は、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル酸の中和を行った後、吸着処理の実施有無、実施時期によって(メタ)アクリル酸塩のモノマーの着色の程度及び経日の着色の程度や、それを重合して得られる液体ポリマー又は固体ポリマーの着色の程度及び経日の着色の程度に大きな違いが生じることを見いだした。すなわち、中和を行った後、処理の違い(例えば、中和後すぐに吸着工程を行うか行わないか)によって、着色の程度、特に経日変化による着色の程度に大きな差が生じることを見いだしたのである。中和後すぐに活性炭に吸着させるか、例えば中和後3日という時間等が経過した後で活性炭に吸着させるかで、着色の程度、つまりは着色原因物質の吸着除去の程度が違ってくることになる。なお、モノマーの水溶液である(メタ)アクリル酸塩水溶液や、ポリマーの水溶液であるポリ(メタ)アクリル酸塩水溶液(液体ポリマー)のような水溶液の色目は、ハーゼン色数で測定することが好適である。またポリ(メタ)アクリル酸塩の形態が粉状等の固体状(固体ポリマー)である場合には、ハーゼン色数によって色目(色数)を測定することはできず、ハンター白色度で測定することになる。ハンター白色度は通常、液体ものの場合は測定しない。本明細書においては、色目を測定するのに、上記のようにモノマーであればハーゼン色数を用い、ポリマーであれば液体ポリマーについてはハーゼン色数を、固体ポリマーであればハンター白色度を用いることになるが、ハーゼン色数やハンター白色度について、以下、単に「色数」と称することもある。一般的にいえば、低分子量製品は製品形態として液体ポリマーと固体ポリマーの形態があるが、高分子量製品は、固体ポリマーの形態(粉体等)が殆どである。上記(メタ)アクリル酸塩は、本明細書中、微量の(メタ)アクリル酸を含むものであってもよい。例えば、本明細書における(メタ)アクリル酸塩は、pHが上記範囲に入る程度の微量の(メタ)アクリル酸を含むことができる。また、本明細書におけるポリ(メタ)アクリル酸塩は、上記(メタ)アクリル酸塩を必須とする単量体成分を重合して得られる重合体をいう。好ましくは、(メタ)アクリル酸塩を主体とする単量体成分を重合して得られる重合体であり、例えば、単量体成分全量を100質量%とすると、(メタ)アクリル酸塩を50質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、70質量%以上であり、更に好ましくは、90質量%以上である。上記の現象を考察したところ、(メタ)アクリル酸塩水溶液及びそれによって得られる重合体の安定性が重合禁止剤(メトキシフェノール類)の酸化物に起因すること、上記特許文献2では全く記載されていなかった中和してから吸着処理するまでの時間等に着目した。そして、例えば、メトキシフェノール類以外の重合禁止剤として4H−TEMPO(4H−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−1−オキシル)を用いる場合には、経日により酸化等の反応は生じないため着色は生じず(つまり、活性炭処理はいつ行っても同じ)、日が経過しても吸着処理することにより4H−TEMPOを除去することができること、またメトキシフェノール類以外の重合禁止剤であるヒドロキノンを用いる場合には、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点直後に吸着処理を行っても、ヒドロキノンは4−TEMPOほど充分に除去できないことを見いだした。一方、メトキシフェノール類を含んでなる重合禁止剤を用いる場合には、アクリル酸を中和してから速やかに処理しないと着色成分がカラムろ過できず、いったん着色が生じてしまうと脱色することが困難であること(中和後経日等によりいったんできてしまった着色原因物質を吸着処理により除去することが困難であること)を見いだした。本発明者は、メトキシフェノール類はアルカリ性域では酸化され易いものであり、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から特定の期間内に吸着処理を行うことにより、重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類の酸化が生じる前に除去すれば該酸化物に起因する着色を効果的に抑制することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決できることに想到した。上記特許文献2は、本発明が着目する(メタ)アクリル酸溶液安定化処理方法に関しては示されていないものである。本発明者は、重合禁止剤を含有する(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製して安定化処理する(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法であって、上記重合禁止剤は、メトキシフェノール類を含んでなり、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8以上であり、上記安定化処理方法が(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含む場合には、重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類が酸化される前に除去されて(メタ)アクリル酸塩水溶液が安定化処理され、この(メタ)アクリル酸塩を原料として得られた重合体水溶液は安定性が高いものであり長期間放置しても着色等が生じなくなることを見いだした。更に本発明者は、重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類が酸化されてしまうと吸着処理しにくくなること、重合禁止剤を有効に吸着処理し得るようにするには、上記のように吸着処理までの時間を適宜設定することが肝要であることを見いだしたものである。このような知見は従来知られていなかったことであり、本発明者によって見いだされたことである。従来行われていた安定化処理では、上述したような知見がなかったため、例えば、大型のタンクを用いて中和を行うような場合には、中和された液がタンク内に滞留することもあり、安定化処理されるまでに2日を超えてしまうおそれがあった。また、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製と安定化処理とを連続的に行えるような設備となっていないような場合には、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了後、すぐに中和安定化処理を行うことが困難な場合もあった。上記(メタ)アクリル酸塩水溶液を安定化処理するとは、着色の原因となる不純物(重合禁止剤等)を含んだ単量体原料を処理し、これから調製されるものを安定な状態とすることであり、すなわち、単量体を原料として安定なものとなるように処理し、それによって生成する生成物(製品)を安定なものとすることである。「安定な」とは、経日による原料及び生成物の物性、着色等における種々の変化が充分に抑制されていることを意味し、例えば、経日による原料(メタ)アクリル酸塩及び生成物ポリ(メタ)アクリル酸塩への着色がなく、これらの着色の変化が充分に小さなものとなっていることをいう。これにより、着色が充分に抑えられた生成物(製品)を得ることが可能となる。すなわち、本発明においては、このような安定化処理された単量体原料、並びに、単量体原料を重合して得られる重合体生成物が、長期間保存しても着色が生じる等の不具合が少ないものとすることができるという際立って優れた効果を発揮することになる。また、このような処理工程を(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から1日以内に行ったり、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液のpHを8.5〜13.5としたり、吸着処理を活性炭及び/又は吸着樹脂を用いて行うものとすると、より(メタ)アクリル酸塩水溶液を安定化処理され、(メタ)アクリル酸塩を原料として重合して得られるポリ(メタ)アクリル酸塩の着色をより充分に抑制することができることを見いだし、本発明に到達したものである。すなわち本発明は、重合禁止剤を含有する(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製して安定化処理する(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法であって、上記重合禁止剤は、メトキシフェノール類を含んでなり、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8以上であり、上記安定化処理方法は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含む(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法である。以下に本発明を詳述する。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含むものである。これにより、重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類をその酸化前に取り除くことができ、(メタ)アクリル酸塩水溶液を安定化処理し、(メタ)アクリル酸塩を原料として重合して得られる重合体の水溶液を着色が生じることなく長期間保存することが可能となる。一方、上記中和塩水溶液調製終了時点から2日を過ぎてから吸着処理を行う場合は、重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類が酸化等により既にある程度変性されていると考えられ、このような変性したメトキシフェノール類は完全に取り除くことができなくなる。このような(メタ)アクリル酸塩を原料として重合して得られる重合体を水溶液状態で放置しておくと、水溶液中に残存している重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類の酸化が進み、有色のものとなる。酸化したメトキシフェノール類は吸着処理によって取り除くことができないので、このように着色が生じた重合体水溶液は脱色することができなくなる。上記着色が生じることの反応機構は、以下の通りであると考えられる。すなわち、酸化されると(1)、(2)、(3)のような化合物が形成され、これが吸着剤処理では除去できないものと推察される。(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理することにより、このような反応がほとんど進行していない状態で処理することになり、メトキシフェノール類を容易に除去することが可能であるが、2日を過ぎてから吸着処理した場合は、反応が進行してメトキシフェノール類が酸化変性されており、変性したメトキシフェノール類を吸着処理によって除去することは困難である。その結果、吸着処理しても変性したメトキシフェノール類を充分に除去することができず、その結果経日による水溶液の着色が生じることになる。吸着処理をしない場合も同様に経日による極めて強い着色が生じることになる。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において、上記吸着処理する工程が(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から1日以内に行われるものであることが好ましい。これにより、更に優れた着色抑制効果を発揮することができる。中和塩水溶液調製後は、中和される前よりもメトキシフェノール類が酸化されやすくなっているため、上記吸着処理する工程(安定化処理)が(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点直後に行われるものであることがより好ましい。上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点とは、重合禁止剤を含有する全ての(メタ)アクリル酸、及び、(メタ)アクリル酸の酸基に対して約1当量以上のアルカリ剤が混合された水溶液において、pHが8以上となる時点とすることが必要である。上記水溶液において、pHが8.5以上となる時点とすることがより好ましく、pHが9以上となる時点とすることが更に好ましく、pHが10以上となる時点とすることが特に好ましい。pHは、例えばpH電極を用いて測定することができ、25℃の温度で測定を行ったときの値を示している。本発明における吸着剤での処理は、(メタ)アクリル酸とアルカリ剤が反応した後の(メタ)アクリル酸の中和塩水溶液を活性炭処理する形態が好ましい。アルカリ剤に活性炭等の吸着剤を配合しておき、そこに(メタ)アクリル酸を添加して中和と吸着処理を同時に行う製造方法は、活性炭に中和されていない(メタ)アクリル酸が吸着し、重合禁止剤等の活性炭による除去効率が低下し良くないものである。よって、本発明の実施にあたっては、(メタ)アクリル酸をアルカリ剤で中和した後に活性炭と中和された(メタ)アクリル酸塩とを接触させ処理する方法がより好ましい。また中和後であれば、活性炭を中和後のアクリル酸塩溶液が入った装置容器に添加してもよいし、活性炭やイオン交換樹脂(吸着樹脂)が充填されたカラムに当該溶液を通過させて処理することも可能である。また本発明において規定されるpHの範囲内であれば、残存する(メタ)アクリル酸も少ないので、活性炭に(メタ)アクリル酸が吸着する結果、重合禁止剤の除去効率が低下することを抑制できる。以上をまとめると、未中和であるアクリル酸がある程度残っていると、活性炭の処理効率の低下に関しての問題がある場合がある。本発明の安定化処理方法においては、中和後、活性炭処理を行う形態が好ましい。すなわち、本発明の安定化処理方法においては、中和塩水溶液調製後、活性炭処理を行う形態が好ましい。 上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から処理工程までの間の期間において、水溶液は以下の条件下で保持されるのが好ましい。温度は、0〜50℃に維持されるのが好ましい。更に好ましくは、5〜35℃である。光は基本的には全く当たらないことが好ましい。通常の直射日光の当たらない室内条件下又は同程度以下の光量の条件下で保持されるものであってもよい。酸素量は、大気下又は大気と同程度以下の酸素含有量の雰囲気下で保持されるものであればよい。酸素が実質的に存在しない不活性気体下で保持されることは、色数等の安定化という観点からは好ましい。しかし、酸素が全く存在しない場合、(メタ)アクリル酸中和塩が重合してしまうおそれがある。温度、光量又は酸素量が上記条件下で保持されない場合、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に吸着処理を行っても、重合禁止剤の酸化変性した成分の生成を抑制できないため、重合体水溶液を充分に安定化することができないおそれがある。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において、上記吸着処理は、活性炭及び/又は吸着樹脂を用いて行うことが好ましい。上記活性炭によるアクリル酸中和塩水溶液の処理法(バッチ式)としては、実験室的には例えば、中和完了後のアクリル酸中和塩水溶液を、マグネチックスターラー等で攪拌下、処理剤としての活性炭を入れ、攪拌し、次いで、ろ紙等でろ過することにより行う(回分式)ことができる。攪拌時間は、例えば5〜30分が好ましく、10〜20分がより好ましい。このような回分式の他に、活性炭充填層にpH8以上の塩類水溶液を通す等の活性炭処理方法(液通式)を行うことができる。上記活性炭としては、市販されている種々のものを有効に使用することができ、粉末状、粒状等形状に制限されることなく有効に使用できるが、上記回分式では表面積が大きい粉末状活性炭を使用することが好ましく、液通方式では再生処理が可能な粒状活性炭を使用することが好ましい。粉末状活性炭としては、例えば、塩化亜鉛炭、水蒸気炭が挙げられる。上記塩化亜鉛炭としては、例えば太閤S、太閤FC、太閤FCS、太閤SA1000(商品名、二村化学工業株式会社製);カルボラフィン、強力白鷺、精製白鷺、特製白鷺(商品名、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。上記水蒸気炭としては、太閤K、太閤KS、太閤K(A)、太閤A、太閤M、太閤AP、太閤RC、太閤B5、太閤P、太閤W(商品名、二村化学工業株式会社製);白鷺A、白鷺M、白鷺C−1、白鷺C、白鷺P(商品名、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)が挙げられ、これらの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。上記粒状活性炭としては、例えば、破砕炭が挙げられる。上記破砕炭としては、粒状白鷺G2C、粒状白鷺C2C、粒状白鷺WH2C、粒状白鷺W2C、粒状白鷺WH5C、粒状白鷺W5C、粒状白鷺LGK−400、粒状白鷺LGK−100、粒状白鷺LH2C(商品名、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。上記活性炭の使用量は、(メタ)アクリル酸塩100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。0.01質量部未満であると、吸着能が充分に発揮されないおそれがある。また、5質量部以下が好ましく、2質量部以下がより好ましい。5質量部を超えると、使用量に比例して処理効果が発揮されるわけではなく、経済的でなくなるおそれがあり、また処理操作に不都合が生じる場合もある。上記活性炭の使用量は、(メタ)アクリル酸塩水溶液の純度や濃度を勘案して活性炭の使用を決定すべきである。上記活性炭処理を行うに当たり、(メタ)アクリル酸塩水溶液の濃度としては、飽和濃度までの種々の濃度を採用することができるが、処理装置の規模、動力費、処理時間等の観点から飽和に近い高濃度とするのが好ましい。また、処理温度は水溶液の氷晶点から50℃までの広い範囲の温度とすることができるが、0〜40℃とすることが好ましい。上記吸着樹脂による(メタ)アクリル酸中和塩水溶液の処理法(連続式)としては、実験室的には例えば、ガラス製カラムの下部にグラスウールを詰め、その上部に吸着樹脂を充填し、ガラスカラムの上部より中和完了後のアクリル酸中和塩水溶液を供給し、処理液をカラム下部より連続的に排出させることにより行うことができる。上記処理法とは逆に、ガラスカラムの下部より中和完了後のアクリル酸中和塩水溶液を供給することによっても行うことができる。(メタ)アクリル酸中和塩水溶液をガラス製カラムに供給する速度は、例えば、SV0.3〜SV3(/Hr)が好ましく、SV0.5〜SV2(/Hr)がより好ましい。上記SV値は、透過水溶液量(L/Hr)/吸着樹脂量(L)を意味する。上記吸着樹脂としては、例えばダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、セパビーズSP825、セパビーズSP850、セパビーズSP207、ダイヤイオンHP2MG(三菱化学製);レバチットVP OC 1163、レバチットVP OC 1064 MD PH(バイエル株式会社製);デュオライトXAD761、デュオライトS874、デュオライトS876、デュオライトS877(住友化学工業株式会社製)等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、後述するように(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて調製される(メタ)アクリル酸中和塩の水溶液である。上記(メタ)アクリル酸中和塩としては、(メタ)アクリル酸を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物、すなわち(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、(メタ)アクリル酸以外の酸系単量体の中和塩やその他の単量体を含んでいてもよく、(メタ)アクリル酸塩単量体以外の酸系単量体としては、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート、スルホエチルマレイミド等の不飽和スルホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル酸単量体以外の酸系単量体の中和塩とは、これら酸型単量体を1価金属、2価金属、アンモニア、有機アミン等で中和してなる中和物である。上記その他の単量体としては、(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性単量体;3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレノール)、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノール)、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレンアルコール)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノールエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ビニルアルコール等の水酸基を有する不飽和単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のカチオン性単量体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法は、(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製して安定化処理するものである。アクリル酸中和塩水溶液の調製方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ剤の水溶液に(メタ)アクリル酸を添加する形態が好ましい。また、アルカリ剤と(メタ)アクリル酸を同時に混合する同時中和も好ましい。添加方法としては、例えば滴下することが好ましい。中和熱により水溶液の温度が高くなり過ぎないよう、容器外部を冷却水等により冷却して25〜30℃の温度を保持することが好ましい。(メタ)アクリル酸とともに上述した(メタ)アクリル酸以外の酸系単量体やその他の単量体を用いてもよい。上記アルカリ剤としては、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム等の1価金属の水酸化物、マグネシウム、カルシウム等の2価金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が好適であり、中でも水酸化ナトリウムが好ましい。上記アルカリ剤の使用量は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製するために用いる(メタ)アクリル酸の酸基に対して、約1当量以上であればよい。1.5当量以下が好ましく、1.3当量以下がより好ましく、1.1当量以下が更に好ましい。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8以上である。このようなpHとすることにより、吸着処理によって不純物である重合禁止剤を充分に除去することが可能となる。上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHの下限としては、8.5以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が特に好ましい。pHの上限としての制限は特にないが、14以下が好ましく、13.5以下がより好ましく、13以下が特に好ましい。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8.5〜13.5であることが好ましい。水溶液のpHは、例えばアクリル酸ナトリウム36%水溶液において、中和度(モル%)に対するpH(25℃)の値が図1のように表される。pH8は、中和度としては99.8モル%程度である。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法においては、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液中、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸塩との総和を100モル%とすると、(メタ)アクリル酸が0.2モル%以下であることが好ましい。このような(メタ)アクリル酸量とすることにより、上述したような重合禁止剤を除去する効果を発揮することになる。上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、(メタ)アクリル酸量の上限としては、0.1モル%がより好ましい。上記(メタ)アクリル酸量の下限は、(メタ)アクリル酸が実質的に存在しない0モル%とすることができ、したがって、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液中の(メタ)アクリル酸量は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸塩との総和を100モル%とすると、0〜0.2モル%であることが好ましい。より好ましくは0〜0.1モル%である。中和度とは、(メタ)アクリル酸が有する酸基と(メタ)アクリル酸塩が有する中和された状態の基の総和を100モル%として示したときの、中和された状態の基の含有量である。上記中和された形態の基とは、酸基における解離し得る水素イオンが他のカチオンで置換された基である。したがって中和度の求め方としては、例えば、(メタ)アクリル酸をxモル、(メタ)アクリル酸塩をyモル、ノニオン性単量体をnモル含むとし、ノニオン性単量体がイオン性ではなく、中和された形態ではないために、下記式により求められることになる。上記式において、分母はアクリル酸が有する酸基量とアクリル酸塩が有する中和された形態の基量のモル数の和である。分子は中和された形態の基量である。上記式により中和度(中和された形態の基の含有割合)をモル%として得ることができる。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法は、上記重合禁止剤がメトキシフェノール類を含んでなるものである。上記重合禁止剤がメトキシフェノール類を含んでなるとは、重合禁止剤がメトキシフェノール類を主成分とすることを意味するが、実質的に重合禁止剤としてメトキシフェノール類だけを用いることが好ましい。上記重合禁止剤に含まれるメトキシフェノール類としては、具体的には、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基、水酸基等の1個又は2個以上の置換基を有するものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、中でもメトキノンが好ましい。また、重合禁止剤には、メトキシフェノール類以外のものが少量含有されていてもよい。具体的には、ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系化合物を用いたキノン系重合禁止剤;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系化合物を用いたアルキルフェノール系重合禁止剤;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン系化合物を用いたアミン系重合禁止剤;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系化合物を用いたジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルのエステル等のN−オキシル系化合物を用いたN−オキシル系重合禁止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において、上記重合禁止剤は、メトキノンであることが最も好ましい。メトキノンを用いることにより、本発明の効果をより充分に発揮することができる。上記(メタ)アクリル酸に含有される重合禁止剤の量は、(メタ)アクリル酸に対して、0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、5000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下が更に好ましく、300ppm以下が特に好ましい。上記重合禁止剤量の範囲が、収率の点、重合抑制の点及び経済性の点で好ましい。上記重合禁止剤量は、吸着処理工程後は、実質的に水溶液中に含有されないものとなる。本発明で安定化処理することのできる(メタ)アクリル酸塩水溶液に含まれる(メタ)アクリル酸塩の塩として、種々の塩類、例えばカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩類等の有機および無機塩類を挙げることができる。なお、重合禁止剤として、メトキシフェノール類を用いず、例えば、4H−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−1−オキシル(4H−TEMPO)のみを使用する場合には、経日による着色は生じない。また、日が経過しても安定化処理を行うことによって4H−TEMPOを除去することができる。しかしながら、4H−TEMPOは、その化合物自体が有色であるため吸着処理は必要不可欠であると共に高価な欠点がある。本発明はまた、上記(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法を行うことにより(メタ)アクリル酸塩水溶液を調製する(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法でもある。上述した重合禁止剤を含有する(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製し、吸着処理工程を行うことにより(メタ)アクリル酸塩水溶液を製造することができる。このようにして得られた(メタ)アクリル酸塩水溶液は、その重合体水溶液が着色が生じることなく長期間保存することができるものであり、また高品質の重合体の製造に好適なものである。重合禁止剤、原料、アルカリ剤及び溶媒やアクリル酸中和塩水溶液の調製方法、吸着処理工程の好ましい形態としては、上述した通りである。上記重合体水溶液は、pHが7.0〜12.0であることが好ましい。本発明は更に、上記安定化処理された(メタ)アクリル酸塩を重合させる工程を含む水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法でもある。上記重合は、特に限定されるものではなく、光重合、熱重合等の従来公知の種々の方法を用いることができる。重合時の固形分濃度としては、10〜60質量%とすることが好ましい。より好ましくは、15〜55質量%であり、更に好ましくは、20〜40質量%である。重合温度や重合時間、光重合の場合には光強度や波長等の重合条件については、(メタ)アクリル酸塩単量体を必須とする単量体成分を重合して(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体を調製するときに通常行われている条件で適宜設定すればよい。すなわち、この明細書に開示された原料やその他用いることができる原料を使用して、アクリル酸塩系単量体を必須とする単量体成分を重合して目的とする分子量や重合率の(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体が調製されるように重合条件を適宜設定すればよい。上述した本発明の安定化処理方法は、pHが8以上である(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含むものであるが、吸着処理後は、完全中和されていない(メタ)アクリル酸塩の形態であってもよい。例えば、活性炭処理したアクリル酸ナトリウム(重合禁止剤は実質的に含まれていない)に硫酸(H2SO4)を添加したり、イオン交換樹脂によって処理することにより部分中和の形態(又は酸型の形態)としてもよく、これを重合することによりポリアクリル酸部分中和重合体(又はポリアクリル酸系重合体)とするものであってもよい。また、活性炭処理したアクリル酸ナトリウムに重合禁止剤(例えば、メトキノン)を含有するアクリル酸を配合した単量体成分を得、この単量体成分を重合してポリアクリル酸部分中和物としたものであってもよい。なお、重合禁止剤を含有するアクリル酸を配合した単量体成分から得られる重合体であっても、吸着処理をしていない単量体成分のみから得られる重合体と比べると重合禁止剤量が低減されており、本発明の着色抑制効果を発揮することができる。上記ポリ(メタ)アクリル酸塩水溶液の着色は、例えばJIS K 4101−1993に規定される色数により求めることができる。上記ポリ(メタ)アクリル酸塩の粉体の着色は、例えばハンター白度により求めることができる。ハンター白度は、スペクトロフォトメーターにより測定することができる。上記スペクトロフォトメーターとしては、例えば、SE 2000(商品名、日本電色工業社製)を用いることができる。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法は、上述した吸着処理工程を含むことにより、(メタ)アクリル酸塩水溶液を安定化処理することができ、このような(メタ)アクリル酸塩水溶液から調製される重合体は、着色が生じることなく長期間保存することができるものであり、医薬分野、塗料分野、製造プロセスの分野、土木・建築分野、その他一般工業分野等の種々の分野において好適に使用することができる。なお、このような(メタ)アクリル酸塩水溶液における(メタ)アクリル酸塩から調製される重合体(製品)は、水溶液の状態のものでも粉体の状態のものでも着色が生じることなく長期間保存することができ、種々の分野において好適に使用されるものである。従来技術では、本願が着目する着色物質がいったん形成されてしまうと、その構造によっては、活性炭や吸着樹脂等では除去することができなくなること等の示唆はなかった。そのために、不用意に(メタ)アクリル酸塩水溶液が着色したり、長期にわたって着色等が発生せず安定に保管できる(メタ)アクリル酸塩重合体水溶液を製造することが困難であったのである。本発明の処理方法並びに製造方法は、その問題点等を解決できる工業的にも非常に有用なものである。以上を纏めると、本発明者らは、例えば、下記のようになることを見いだした。吸着処理が活性炭処理である場合を例にとって詳述する。(1)活性炭処理の実施無しの場合、モノマーが中和直後は低着色であるが、経日で高着色となり、液体ポリマーとしたときは、中和直後の低着色のモノマーを用いた場合、低着色であるが、経日で高着色となり、経日で高着色のモノマーを用いた場合、高着色となること、固体ポリマーとしたときは、中和直後の低着色のモノマーを用いた場合、低着色であり、経日でも変化はなく、経日で高着色のモノマーを用いた場合、高着色となる。(2)活性炭処理の実施有りの場合で、実施時期を中和3日後とした場合は、モノマーが着色し、経日で更に着色し、液体ポリマーとしたときも着色し、経日で更に着色し、固体ポリマーとしたときも着色する。(3)活性炭処理の実施有りの場合で、実施時期を中和直後とした場合は、モノマーの着色なし、経日でも着色なし、液体ポリマーとしたときも着色なし、経日でも着色なし、固体ポリマーとしたときも着色なし、経日でも着色なしとなる。これらを纏めると、下記の表1に示されるようになる。なお、本明細書中、「高着色」とは、着色程度が高い、着色が著しい、無色に比べ着色していることであり、例えば、本発明においては、重合禁止剤の酸化物に起因する着色が生じ、製品としての品質の低下をきたしたと評価される程度に着色していることである。「高着色のモノマー」とは、上記のように重合禁止剤の酸化物に起因する着色が生じ、製品としての品質の低下をきたしたと評価される程度に着色しているモノマー(単量体)である。「低着色」とは、例えば、本発明においては、重合禁止剤の酸化物に起因する着色が実質的に生じることなく、製品としての品質が維持されていると評価される状態であること(僅かに着色していること又は実質的に無色であること)である。これらの着色の程度は、上述したように、水溶液等の液体ポリマーの場合は、色数の大小によって評価することができ、粉状等の固体ポリマーの場合は、ハンター白度の大小によって評価することができる。上記「活性炭処理の実施」とは、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を、活性炭を用いて吸着処理することを意味する。「活性炭処理の実施有り」とは、上記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液の活性炭処理を行ったことであり、「活性炭処理の実施無し」とは、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液の吸着処理を行っていないことである。上記「液体ポリマー」とは、例えばモノマーを重合して得られるポリマーを含有する水溶液等の液体状態のポリマーである。「固体ポリマー」とは、実質的に溶媒を含まない固体状態(例えば、粉状)のポリマーであり、例えば、液体ポリマーから溶媒を除去して得られた固体等を固体ポリマーとすることができる。本発明の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法は、上述の構成よりなるので、(メタ)アクリル酸塩水溶液から調製される重合体水溶液、重合体粉末を着色が生じることなく長期間保存することができるものであり、種々の工業用途に好適に用いることができる。以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。<アクリル酸中和塩水溶液の作製方法>容量1Lのステンレス製ビーカーに48%水酸化ナトリウム水溶液328部及びイオン交換水388.6部を入れ均一に攪拌した。ビーカーの外部より冷水で冷却して25℃に調整した。次いで、攪拌下、アクリル酸約283.4部を少しずつ滴下して中和を開始した。中和期間中、温度は25〜30℃を保持した。アクリル酸が約260部滴下した時点でビーカー内にpH電極をセットした。更にアクリル酸の滴下を続けて所定のpH値に調整することによりアクリル酸中和塩水溶液を作製した。pHは、25℃の温度で測定を行った。該アクリル酸ナトリウム水溶液中のアクリル酸ナトリウムの濃度は37%であった。<活性炭によるアクリル酸中和塩水溶液の処理法(バッチ式)>容量1Lのステンレス製ビーカーに、中和完了後、所定時間(日数)経過したアクリル酸中和塩水溶液1000部を入れ、マグネチックスターラーで攪拌下、処理剤としての活性炭(白鷺M、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)2部を入れ、15分間攪拌した。次いで、ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製、No.2)でろ過することにより処理を完了した。<吸着樹脂によるアクリル酸中和塩水溶液の処理法(連続式)>図2に示したガラス製カラム(内径20φ、長さ280ミリ)の下部にグラスウールを詰め、その上部に吸着樹脂(ダイヤイオンHP2MG、三菱化学株式会社製、メタクリル系)を層高19cmになるように充填した。樹脂の上部には樹脂の浮き上がり防止の目的で目皿がセットしてある。ガラスカラムの上部より、中和完了後、所定時間(日数)経過したアクリル酸中和塩水溶液をSV1(/Hr)の速度で供給した。処理液はカラム下部より連続的に排出された。実施例1アクリル酸と水酸化ナトリウム及び水を用いて、前記した方法でpH10.0のアクリル酸ナトリウム37%水溶液を得た。該アクリル酸ナトリウム水溶液を、直ちに前記した活性炭処理法で処理した。該処理したアクリル酸ナトリウムを用いて以下に示した重合試験を行った。即ち、攪拌機とコンデンサーを備えた、容量5Lの4ツ口フラスコに、イオン交換水2191部を入れ、沸騰させた。攪拌下、上記活性炭処理したアクリル酸ナトリウム水溶液2703部及び1%過硫酸ナトリウム水溶液106部をそれぞれ別々の滴下ノズルより3時間かけて滴下した。この間、重合系の温度は終始沸点を維持した。滴下終了後、同温度に30分間保持することにより熟成を終了した。冷却後、pH調整剤(水酸化ナトリウム又は硫酸)を用いてpH10.0に調整することにより濃度20%のポリアクリル酸ナトリウムを得た。該ポリアクリル酸ナトリウムの常温一ケ月経過後の色数を測定し、その結果を表2に示した。実施例2〜12及び比較例1〜4実施例2〜12については、表2に示した条件でアクリル酸ナトリウムを処理した他は実施例1と同様にして安定化処理及び重合を行い、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウムの色数を測定し、その結果を表2に示した。比較例1〜4については、表3に示した条件でアクリル酸ナトリウムを処理した他は実施例1と同様にして安定化処理及び重合を行い、実施例1と同様にしてポリアクリル酸ナトリウムの色数を測定し、その結果を表3に示した。実施例13アクリル酸と水酸化ナトリウム及び水を用いて、前記した方法でpH10.0のアクリル酸ナトリウム37%水溶液を得た。上記アクリル酸ナトリウム水溶液を、直ちに前記した活性炭処理法で処理し、以下に示した重合試験を行った。容量1Lのビーカーに、上記アクリル酸ナトリウム37%水溶液525.4g、グリセリン4.86gを添加した。攪拌下、少量の希水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.5に調整した後、イオン交換水を添加して全量を536gに調整した。上記水溶液に窒素ガスをバブリングすることにより溶存酸素を4ppmに下げた。次いで、攪拌下、光重合開始剤として2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸塩(商品名:V−50、和光純薬工業社製)2%水溶液4.14gを添加することにより重合液を作製した。この重合液中の単量体であるアクリル酸ナトリウムの濃度は36%であった。また、グリセリンの添加量は、単量体に対して2.5%であった。V−50の添加量は、単量体1モルに対して0.04gであった。上記重合液を図3に示した重合容器(容器下部には35℃の冷却水が循環している。)に入れ、上面をラップフィルム(商品名:サランラップ、旭化成ライフ&リビング社製)で覆うと共に、空間部に窒素ガスを導入した。次に、重合容器の上部に設けたブラックライト水銀ランプ(H100BL−L、東芝ライテック社製)を使用して重合液に3.7W/m2の近紫外線を照射した。直ちに、重合が開始して17分後にピーク温度(69.7℃)になった。重合を開始して20分後、図4に示したブラックライト水銀ランプ(H400BL−L、東芝ライテック社製)を使用することにより、重合物に17W/m2の近紫外線を5分間照射して重合を完結した。得られた重合物は、厚みが14mmの含水ゲルであった。該含水ゲルをダイス径が1mmの押出機を使用して紐状に押出した。該紐状ゲルを温度200℃、線速1.5m/Sの熱風で乾燥した。次いで、該乾燥物を卓上型粉砕機で粉砕した後、32メッシュパスとなるように分級した。このようにして、粉末状のポリアクリル酸ナトリウムを得た。該ポリアクリル酸ナトリウムの粘度は660mPa・S、不溶解分は0.15%、残留単量体量は0.2%、ハンター白度は91.3であった。なお、粘度、不溶解分、残留単量体量及びハンター白度の測定方法については以下に示す。(溶液粘度の測定方法)容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで攪拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、30℃に温度調整してB型粘度計(株式会社トキメック社製)を用いて30rpmの回転数で測定した。(不溶解分の測定方法)容量500mlのビーカーにメタノール20mlを入れた後、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩を純分として1g添加する。マグネチックスターラーで撹拌しながら、イオン交換水500mlを添加した後、ジャーテスターを使用し100rpmで50分間攪拌溶解させた後、32メッシュのフィルターを用いてろ過することにより、含水状態の不溶物を取り出す。そして、この不溶物が乾燥しないように素早く秤量し、下記計算式(1)に基づいて不溶解分を算出する。なお、上記ろ過及び秤量は、25℃、相対湿度60%の状態で行う。不溶解分(質量%)={不溶物の質量(g)/500(g)}×100 (1)(残存単量体量)食品添加物公定書(第5版、D−870、ポリアクリル酸ナトリウム)に記載されている方法に従って測定した。(ハンター白度)スペクトロフォトメーター(商品名:SE2000、日本電色工業社製)を用いて測定した。比較例5アクリル酸と水酸化ナトリウム及び水を用いて、前記した方法でpH10.0のアクリル酸ナトリウム37%水溶液を得た。該アクリル酸ナトリウム水溶液を7日間放置した後、活性炭処理法で処理した。該処理したアクリル酸ナトリウムを用いた他は実施例13と同様に重合して、粉末状の比較用ポリアクリル酸ナトリウムを得た。該比較用ポリアクリル酸ナトリウムの粘度は610mPa・S、不溶解分は0.20%、残留単量体量は0.2%、ハンター白度は84.7であった。(重合禁止剤としてヒドロキノン及び4H−TEMPOを用いた場合の着色)ヒドロキノンを重合禁止剤として用いた場合及び4H−TEMPOを重合禁止剤として用いて吸着処理を行った場合について、経日による着色の評価を行った(参考例1〜10)。4H−TEMPOとは、4H−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−1−オキシルを意味する(例えば、商品名「ポリストップ7300P」、伯東社製が挙げられる)。(メタ)アクリル酸ナトリウムに用いる重合禁止剤として、ヒドロキノンを用いた場合及び4H−TEMPOを用いた場合の着色の測定結果を下記表4に示す。参考例1アクリル酸ナトリウム(SA)の濃度(質量%)が37%である中和塩水溶液にヒドロキノンを添加(配合)した。先ず、ヒドロキノンを含まないアクリル酸ナトリウム水溶液(pH11.7、色数10)に対して、30ppmとなるようにヒドロキノン(HQ)を添加した。活性炭処理(AC処理)を行わないで、禁止剤添加直後の水溶液の色数を評価した。参考例2禁止剤添加後、色数評価前に、活性炭処理を行った他は参考例1と同様にして、禁止剤添加直後の水溶液の色数を評価した。参考例3活性炭処理を行っていない参考例1の3日経過後の水溶液の色数を評価した。参考例4参考例2の3日経過後の水溶液の色数を評価した。参考例5参考例3の水溶液について活性炭処理を行ったときの水溶液の色数を示す。参考例6〜1030ppmとなるようにヒドロキノン(HQ)を添加する代わりに、300ppmとなるように4H−TEMPOを添加した他は、参考例1〜5と同様にして水溶液を調製し、水溶液の色数を評価した。上記水溶液の色数評価は、JIS K4101−1993に従って行った。下記表中、SAは、アクリル酸ナトリウムを表し、HQは、ヒドロキノンを表す。ヒドロキノンを重合禁止剤として用いた場合には、禁止剤添加直後の参考例1の場合は色数が190である。これに対して、活性炭処理を行った参考例2の場合は色数が200であり、ヒドロキノンは吸着処理では除去できないことが分かる。また、参考例1の水溶液の3日経過後である参考例3の水溶液の色数は500に増加しており、ヒドロキノンが経日により着色していることがわかる。すなわち、ヒドロキノンが経日で酸化されて色数が上昇している。4H−TEMPOを重合禁止剤として用いた場合には、禁止剤添加直後の参考例6の場合は色数が100である。これに対して、参考例7の場合は色数が10であり、4H−TEMPOは活性炭処理で除去できることが分かる。また参考例8の場合は色数が100であり、経日による着色が生じていないこと、すなわち4H−TEMPOは経日で色数が上昇しないことが分かる。また、参考例9の場合の色数は10であり、参考例10の場合の色数も10であり、重合禁止剤を配合した直後に活性炭処理を行っても、3日経過後に活性炭処理を行っても着色は変わらないことが分かる。すなわち、活性炭処理はいつ行っても同じであり、同様に重合禁止剤を除去して脱色することが可能である。これらの結果より、ヒドロキノンを用いた場合には、活性炭処理を行ってもヒドロキノンを完全に除去することができないことが分かる。4H−TEMPOでは酸化等の変性が生じておらず、4H−TEMPO自体が着色しているが、活性炭処理によって4H−TEMPO自体をいつでも除去することができ、脱色可能であることが分かる。そして、上述した実施例において示されているように、本発明がメトキシフェノール類の着色の抑制に対して顕著な効果を発揮することがわかる。上述した実施例及び比較例から、本発明の数値範囲の臨界的意義については、次のようにいえることがわかった。すなわち、本発明の安定化処理方法が、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含むことにより、(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化において有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。日数制限の上限の技術的意義については、活性炭を用いる実施例3と比較例1、吸着樹脂を用いる実施例9と比較例3について比較を行うと、実施例3が2日で上限値であり、上限値を上回る比較例1(3日)と比較すると明らかである。実施例3では、重合体の色数が40であり、それに対して、比較例1では、90である。また、実施例9では、重合体の色数が30であり、それに対して、比較例3では、100である。したがって、実施例において本発明の有利な効果が顕著に現れることになる。実施例1〜12では、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩水溶液の着色が充分抑えられているために各種の用途において使用可能であるレベルであるが、比較例1及び3は、着色しているためにこのような各種の用途に有用なものではない。このような効果、つまり水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製品を生産して各種用途に好適に使用することができるという効果は、際立ったものであるということはいうまでもない。また、粉状製品について、実施例13と比較例5について比較を行うと、実施例13は中和塩水溶液調製終了後直ちに活性炭処理を行ったものであり、ハンター白度が91.3である。比較例5は、中和塩水溶液調製終了後7日経過後に活性炭処理を行ったものであり、ハンター白度が84.7である。このように重合を行って得られた粉状製品についても、実施例において本発明の有利な効果が顕著に現れることになり、実施例13では、水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の着色が充分抑えられているために各種の用途において使用可能であるが、比較例5は、着色しているために用途によっては使用制限があるものである。なお、上述した実施例では、重合原料として、アクリル酸ナトリウムを用いているが、「(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含む」形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法において少なくとも上記吸着処理工程を必須とするところに本発明の本質的特徴があり、この吸着処理工程が同様の特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することができる。したがって、アクリル酸ナトリウム以外の(メタ)アクリル酸塩であっても、本発明の効果(性能)を発揮することができる。例えば、メタクリル酸ナトリウムを用いた場合であっても、本発明における必須とされる吸着処理工程を行えば、本発明の有利な効果を発現させることが可能となる。少なくとも、アクリル酸ナトリウムを使用する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。アクリル酸ナトリウム水溶液の中和曲線を示すグラフである。本発明の安定化処理方法に好適に用いられる吸着処理装置の一例を示すものであり、該処理装置の概略の断面図である。本発明の(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体の製造方法において、最初の光重合工程の実施の一形態を示す図である。本発明の(メタ)アクリル酸塩系水溶性重合体の製造方法において、第2段階目の光重合工程の実施の一形態を示す図である。符号の説明1:フィード液2:樹脂固定目皿(SUSメッシュ)3:ガラス製カラム(内径20Φ、280L)4:吸着樹脂(層高19cm)5:ガラスウール6:オーバーフロー液7:排出(処理)液(→ポンプへ)8:伝熱性基材(SUS304板)9:サランラップ(登録商標)(旭化成ライフ&リビング社製)10:温度計11:水(冷却水)12:水入り口13:水出口14:ブラックライト水銀ランプ(H100BL−L)、東芝ライテック株式会社製15:ランプホルダー、東芝ライテック株式会社製16:ブラックライト水銀ランプ(H400BL−L)、東芝ライテック株式会社製17:反射笠(SN−4057T)、東芝ライテック株式会社製重合禁止剤を含有する(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製して安定化処理する(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法であって、該重合禁止剤は、メトキシフェノール類を含んでなり、該(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8以上であり、該安定化処理方法は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含むことを特徴とする(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。前記処理工程は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から1日以内に行われることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。前記(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8.5〜13.5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。前記吸着処理は、活性炭及び/又は吸着樹脂を用いて行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。前記重合禁止剤は、メトキノンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法を行うことにより(メタ)アクリル酸塩水溶液を調製することを特徴とする(メタ)アクリル酸塩水溶液の製造方法。請求項1〜5のいずれかに記載の安定化処理された(メタ)アクリル酸塩を重合させる工程を含むことを特徴とする水溶性ポリ(メタ)アクリル酸塩の製造方法。 【課題】(メタ)アクリル酸塩水溶液から調製される重合体を着色が生じることなく、長期間保存することが可能となる(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法を提供する。【解決手段】重合禁止剤を含有する(メタ)アクリル酸、アルカリ剤及び水を用いて(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を調製して安定化処理する(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法であって、上記重合禁止剤は、メトキシフェノール類を含んでなり、該(メタ)アクリル酸中和塩水溶液は、pHが8以上であり、上記安定化処理方法は、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液調製終了時点から2日以内に、(メタ)アクリル酸中和塩水溶液を吸着処理する工程を含む(メタ)アクリル酸塩水溶液の安定化処理方法。【選択図】なし


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