生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤
出願番号:2007187837
年次:2009
IPC分類:A61K 31/7048,C07H 17/04,A61P 29/00,A61P 19/02


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松田秀秋 西田升三 JP 2009023935 公開特許公報(A) 20090205 2007187837 20070719 消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤 学校法人近畿大学 000125347 高橋 剛 100096758 高橋 雅和 100114845 高橋 友和 100148781 松田秀秋 西田升三 A61K 31/7048 20060101AFI20090109BHJP C07H 17/04 20060101ALI20090109BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090109BHJP A61P 19/02 20060101ALI20090109BHJP JPA61K31/7048C07H17/04A61P29/00A61P19/02 2 OL 6 4C057 4C086 4C057BB02 4C057CC01 4C057DD01 4C057KK02 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA11 本発明は、抗炎症作用を有する、関節炎などの医薬品に関する。さらに詳しくは、オンガエル、漢薬・知母などに含有されるキサンチン誘導体であるマンギフェリンを有効成分とする消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤に関する。 インドメタシン、ステロイド剤などは関節炎などの治療に内服で広く用いられ、優れた治療効果が認められている。 しかし、インドメタシンの消炎機序をプロスタグランジン合成阻害とする故に、内服では重篤な胃腸障害が惹起される。近年、その副作用を防ぐために、液剤、軟膏剤、貼付剤が開発されている。しかし、この成分は皮膚からの吸収が悪く、外用投与では内服と同等あるいはそれ以上の治療効果が得られていないのが現状であり、皮膚からの吸収改善による治療効果の促進が最大の課題とされていた。 ステロイド剤はリンパ球の働きを抑え、炎症を抑制するものとして広く使用されている。しかし、その副作用として感染症への抵抗を弱める、消化管潰瘍、中心性肥満、血糖上昇作用による二次性糖尿病、うつ状態を引き起こすなどの重篤な副作用がある。 このように現在まで多くの消炎剤が開発されているが、安全性、特に関節炎,リウマチなどの慢性疾患のごとく、長期に連用しなければ、治療効果が発現しない疾患に対する治療剤が開発されていないのが現状である。 本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、古来、食経験があり、副作用が少なく安全性の高い、消炎作用を有する化合物として、天然由来の安全性に優れた薬物を鋭意研究した結果、オンガエル(Phaleria cumingiiの葉)から抽出、精製されたキサンチン誘導体であるマンギフェリンに、一般炎症のほか、関節炎、リウマチ等に対する消炎効果があることを見出した。 マンギフェリンについては、体温降下作用を有すること(例えば、特許文献1参照。)、血糖降下作用を有すること(例えば、特許文献2参照。)等が知られているが、消炎効果があることは知られていない。特開平7−267864号公報特開2002−267655号公報 そこで、本発明者は副作用が少なく、安全性が高く、且つ治療効果を有する消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤を提供することを目的とする。 前記目的を達成するため本発明の消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤は、下記式Iで表されるマンギフェリンを有効成分とすることからなる。 本発明に用いるマンギフェリンはオンガエルから単離精製した化合物である。オンガエルはジンチョウゲ科のPhaleria cumingii(MEISN.) F.VILL.の葉を基原とし、パラオ共和国では種々の疾病の予防や治療を目的とした茶剤処方のほとんどに配合され、万能薬として使用されているが、オンガエルに含有されているマンギフェリンに消炎作用があることは知られていない。 本発明においては、オンガエルから単離精製されたものを用いることができるが、本化合物を含む知母、あるいは他の植物から得たものを用いることもでき、さらに化学合成して得たものも用いることができる。 単離精製又は化学合成されたマンギフェリンは、これをそのまま、あるいは慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、人に投与することができる。消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤の剤型としては、いずれの剤型でも使用できる。例えば、外用製剤であれば、液剤、軟膏剤、貼付剤、エアゾール剤、硬膏剤、リニメント剤、ローション剤などであり、経口的に投与する製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、液剤、トローチ剤、ゼリー剤等を挙げることができる。これらの剤型は、その剤型に応じて通常の公知の基剤を用い、また賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤など適切な添加剤を加えることができる。 例えば、液剤ではアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等の懸濁化剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、ソルビタンモノ脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類等の乳化剤等が用いられる。 軟膏剤としては、油脂性基剤、水溶性基剤、乳剤性基剤又はゲル基剤のいずれでもよい。油脂性基剤としては、黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、プラスチベース、シリコーン等の鉱物性基剤、植物油、豚脂、牛脂、ロウ等の動植物性基剤等を用いることが出来る。乳剤性基剤としては、油剤と界面活性剤と水で構成されるクリーム剤等を用いることが出来る。水溶性基剤としては、ポリエチレングリコールを主基剤とするもの等を用いることが出来る。また、ゲル基剤としては、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの水溶性高分子等を用いることが出来る。 さらに、本発明の消炎組成物には有効性の改善、使用実感の改善を目的として、各種の佐薬や安定化剤などを配合できる。 本発明は、副作用がなく安全性が高く、消炎効果に優れたものであり、消炎剤として使用するに最適である。又、関節炎における炎症性疾患に対する治療剤として非常に有効である。 次に実施例及び実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。実施例1 マンギフェリン含有軟膏剤の調製常法により、以下に示す組成の軟膏剤を調製した。カルボキシビニルポリマー 1.0重量%、ベンジルアルコール 0.5重量%、オクチルドデカノール 5.0重量%、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル 0.5重量%、ジイソプロパノールアミン 0.7重量%、エデト酸 0.01重量%、ジメチルスルホキシド 10.0重量%、マンギフェリン 1.0重量%(または3.0重量%)精製水 全量100重量%(実験例)マンギフェリンの消炎効果の検討:(1) オンガエルからのマンギフェリンの単離精製;オンガエルの乾燥葉(400g)を細切し、さらに小型ミキサーで粉砕したものをヘキサン(4L)で、室温(25−30℃)、24時間、3回抽出した。溶媒を留去しヘキサン抽出エキス4.6gを得た。ヘキサン抽出残渣をメタノール(4 L)で、室温(25−30℃)、24時間、3回抽出した。溶媒を留去しメタノール抽出エキス40.8gを得た。メタノール抽出エキス39.8gを水200mLに懸濁し、ヘキサン200mLで3回抽出したところ、ヘキサンや水に溶けにくい不溶物が析出し乳化した。可及的にヘキサン層を分取し、乳化層をろ過しヘキサン層と水層に分液するとともに不溶物をろ取乾燥し、粗製のマンギフェリン10.0gを得た。これをdioxane−水混液(1:1、v/v)で再結晶を繰り返したところ、マンギフェリン(5.4g)を得た。この化合物は融点、旋光度、1H−および13C−NMRスペクトルデータおよびIRスペクトルを既知のxanthone C−glucosideであるマンギフェリンのそれらの物性データと比較してマンギフェリンと同定した。 (1)コラーゲン誘発関節炎(CIA)に対するマンギフェリンの消炎効果の検定試験;Freund's Complete AdjuvantおよびBovine type2 collagenの等量混合物を6週齢のオスDBA/1Jマウス(清水実験材料)に0.1μL投与を行った。2週間後に再度DBA/1Jマウスに、上記混合物を0.1μL注射し、2次免疫を行った。2次免疫後からマンギフェリンをマウスに2週間連日経口投与し、四肢の関節炎の度合いを記録し、下記に示したスコアーで関節炎の度合いを評価した。 <関節炎発症の基準> 0=変化なし、1=足指の腫脹、2=足指および足裏の腫脹、3=足全体の腫脹、4=重症度の腫脹、とし、骨病変が見られた場合+1を加算して評価した。(2)CIAマウスにおけるマンギフェリンの血清中の炎症性サイトカインの分泌に対する影響2週間連日経口投与したマウスの血液から血清を採取し、ELISA法にてIL−6およびTNF−αの血清中濃度を測定し、マンギフェリンによる炎症性サイトカイン分泌抑制について検討を行った。 その結果を表1、2に示した。表1表2その結果を表1、2に示したごとく、マンギフェリンはコラーゲン誘発関節炎に対して10mg/kgという極めて低い用量で抑制作用を示した。また、関節炎の誘発2週間後に採血し、血清TNF−αおよびIL−6を測定した結果、コラーゲン無処置群に比して対照群においては顕著に増加していた。マンギフェリンは50、100、400mg/kg用量でその増加を有意に抑制した。下記式Iで表されるマンギフェリンを有効成分とすることを特徴とする消炎剤。前記請求項1記載の式Iで表されるマンギフェリンを有効成分とすることを特徴とする関節炎における炎症性疾患治療剤。 【課題】副作用が少なく、安全性が高く、且つ治療効果を有する消炎剤、関節炎における炎症性疾患治療剤を提供すること。【解決手段】消炎剤がマンギフェリンを有効成分とすること。また、関節炎における炎症性疾患治療剤がマンギフェリンを有効成分とすること。これにより副作用がなく安全性が高く、消炎効果に優れた消炎剤を提供することができた。また、関節炎などの炎症性疾患を改善する関節炎における炎症性疾患治療剤を提供することができた。【選択図】なし


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