生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_細胞培養表面化学
出願番号:2007138020
年次:2007
IPC分類:C12M 1/00,C12M 3/00


特許情報キャッシュ

ジョー・グランセリ トーマス・クミンス JP 2007312775 公開特許公報(A) 20071206 2007138020 20070524 細胞培養表面化学 ナルジェ・エヌユーエヌシー・インターナショナル 507170918 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 ジョー・グランセリ トーマス・クミンス US 11/420,267 20060525 C12M 1/00 20060101AFI20071109BHJP C12M 3/00 20060101ALI20071109BHJP JPC12M1/00 CC12M3/00 21 OL 44 4B029 4B029AA21 4B029BB11 4B029CC02 4B029CC08 細胞及び他の生物学的物質の培養方法及び培養装置。 哺乳動物細胞などの様々な生物学的物質を増殖及び研究できることは、研究所及び産業において重要である。しかし、多くの細胞及び他の生物学的物質は、それらが適切な基材に付着できる場合にのみ(すなわち、生物学的物質が、付着性表現型を示す)増殖する。多くの生物学的物質が、基材に付着し、増殖できることは、多少親水性となるように化学的に活性化されている基材によって決まる。親水性は、基材上の様々な官能基により提供され得る。これらの官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及びアミン(NH2及びNH)基が含まれる。 このような化学的に活性化された基材の調製は、一般に、(1)コロナ又はプラズマのいずれかの放電形態のエネルギーを基材に適用すること、又は(2)基材にコーティング(例えば、ポリ−D−リジン又はコラーゲン)を適用することを伴う。これらのプロセスは、生物学的物質が結合し得る基を提供する。例えば、コロナ放電において、処理されるべき基材は、放電、又はコロナに曝露される。放電領域内の酸素分子は、その原子形態に分解されて、処理されるべき基材の分子の末端と自由に結合でき、その結果、所望の化学的に活性化された基材が得られる。基材のコロナ又はプラズマ放電処理の主な利点は、製造が容易なことである;このような放電を受けた高分子基材は、容易に、インラインで処理され、滅菌され得る。 しかし、コロナ及びプラズマ放電処理は共に欠点を有する。例えば、コロナ放電は、基材の最初の数ナノメートル以内の酸素結合に限定され、ぬぐい取られ(wiped off)得る。従って、基材は急速に劣化(degradation)され得る。さらに、コロナ放電処理は、一般に、よくても最大で約20%の表面酸素しか基材上に提供し得ない。特定の細胞系などの、特定の生物学的物質は、より多くの酸素を必要とする。プラズマ放電は、コロナ放電よりも高い酸素レベルを生じさせ得るが、基材を真空で処理することを必要とする。 ポリ−D−リジン又はコラーゲンなどの様々な生物学的コーティングの適用による基材の処理は、細胞が、典型的には、その上で増殖する環境を模倣する。しかし、これらのコーティングは、多くの場合、ガンマ線照射による滅菌を乗り切れない。さらに、これらのコーティングの生物学的起源は、疾病伝播の可能性を高める。 エネルギー放電及びコーティング処理は、全ての生物学的物質とともに使用するための標準的な活性化基材をほんのわずかしか提供できず、生物学的物質を培養するために用いられる基材の表面化学において、ほとんどバリエーションを生じない。全ての細胞系又は他の生物学的物質は、培養基板上の官能基の特定のタイプ、混合物、及び/又は比率に対して、ある程度好み(preference)を示すので、これは問題である。例えば、あるものは、複数の異なる官能基に対して好みを示すが、他方、あるものは、特定の濃度範囲での、ただ一つの官能基に対して好みを示す。しかし、上述のとおり、現在の技術では、一般に、「万能サイズ(one−size−fits−all)」ストラテジー(例えば、全てのタイプの細胞系に用いられるコロナ処理された基材)を用いている。得られた基材は、いずれの化学をも生じさせ得るというよりむしろ、よくても、様々な表面化学を生じさせるために調節され得る。例えば、コロナ処理は、たとえ低いパワーであっても、その時点での大気条件(空気中の湿度、温度、及び揮発性有機物)に多少依存する、特徴的な表面化学を有する。最終的には、これは一般に、10〜20%の範囲の酸素濃度を有する基材をもたらす。しかし、これは、高い酸素濃度を有する基材をもたらすことができず、また、アミン基などの他の官能基又は追加の官能基を含む基材をもたらすこともできない。このような基材は、高い酸素レベル及び/又はアミン基に対して好みを示す特定の生物学的物質に適し得ない。 さらに、多くの生物学的物質は、上述のとおり処理される基材を有するだけでなく、増殖を高めるための血清を含んでいてもよい培養装置中で増殖される。例えば、ヒト胎児肝臓(HEK)293細胞系は、増殖し易く、遺伝的に安定で、ヒト染色体の正常な相補体を有しており、かつ遺伝子操作を扱いやすくさせるアデノウイルスゲノムの一部が組み込まれているので、ますます用いられている。類似した特徴を示す他の細胞系は、PER C6、Vero、BHK−21、及びMDCKである。 HEK細胞は、標準的な細胞培養基材(例えば、コロナ処理を受けたもの)上で、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)により推奨される条件下(例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎仔血清(FBS))、首尾よく増殖され得る。血清はHEK細胞増殖を高め、そのようなものとして、大部分の細胞培養手順に含まれている。しかし、近年、安全に対する懸念が高まっており、これは、大部分の媒体組成の最も高価な唯一の成分である。血清の必要性を全面的に低減又は排除することが望ましいが、血清濃度が低下すると、HEK細胞を含むほとんど全ての細胞系のコロナ処理基材上での増殖能力が低下する。 最近、Corning製品CellBIND(登録商標)が、全ての標準的な細胞培養フォーマットにおいて提供されている。CellBIND(登録商標)には、血清なしで付着性細胞の増殖を支持するものとして記載される基材が含まれる。HEK細胞を増殖させるCellBIND(登録商標)の高められた能力は、主として、コロナ処理基材に対する、その高い量の酸素、詳細にはヒドロキシル基の結果であり(CellBIND(登録商標)上15%の酸素対コロナ処理基材上8%の酸素)、より少ないが依然としてかなりの程度のカルボン酸量の結果である(CellBIND(登録商標)上7%のカルボン酸対コロナ処理基材上2%のカルボン酸)。しかし、CellBIND(登録商標)には、アミン基などの他の官能基が含まれておらず、異なる生物学的物質により示され得る異なる好みに適応されない。 他の製品及び方法が望ましい。例えば、二次処理(例えば、コロナ放電)せずに付着性基材の化学を調節する、及び/又は存在する二次処理の質を高める装置並びに方法が望ましい。さらに、劣化を受けず、かつ減少量の血清を用いることができるか、又は血清を用い得ずに、高分子基材上に官能基を含む装置が望ましい。さらに、特定の生物学的物質に装置を適応させるために、タイプ及び濃度の両方において官能基が異なる基材を有する装置の製造方法が所望される。 [発明の概要] 一実施態様において、装置には、基材への生物学的物質の付着性を高めるために、その上に曝露される親水性部分を有する基材が含まれる。各親水性部分は、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域も有する分子の一部であり、親水性部分が基材上に曝露されるように配置されている。より詳細には、装置は、ポリマープラスチック樹脂と両親媒性分子との混合物から調製される基材を有する。基材は、非繊維性であってよく、あるいはまた繊維状ポリマーで調製されてもよい。当業者に公知のとおり、両親媒性分子には、親水性領域と疎水性領域とが含まれる。親水性部分の官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及び/又はアミン(NH2又はNH)基が含まれてよい。疎水性領域は、ポリマープラスチック基材内に埋め込まれ、親水性部分が、ポリマープラスチック基材上に曝露される。さらなる実施態様において、基材は、別のプロセス、例えば、コロナ若しくはプラズマ放電、又はポリ−D−リジン若しくはコラーゲンなどの物質を用いたコーティングなどで任意選択で処理されてよい。 別の実施態様は、生物学的物質の付着性を高めるための基材であって、曝露される親水性部分と、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域とを有する分子を含む基材を有する装置の製造方法である。 別の実施態様は、特定の細胞集団などの特定の生物学的物質の付着性及び増殖を高めるために適応された装置の製造方法である。上述のとおり、全ての細胞系は、OH、COOH、及びNH2又はNHなどの官能基の特定のタイプ又は比率に対して、ある程度好みを有する。前記方法は、付着性表現型を有する特定の生物学的物質に対して、好ましいタイプの親水性官能基(単数又は複数)を決定する工程を含む。少なくとも1つの両親媒性分子が選択され、ここで、親水性領域(単数又は複数)には、選択した生物学的物質により好まれる特定の官能基が含まれる。選択した両親媒性分子(単数又は複数)は、ポリマープラスチック樹脂と混合され、混合樹脂を形成し、この混合樹脂を用いて、培養装置を調製する。例えば、混合樹脂から、ペトリ皿などの装置を成形できる。これは、コロナ放電若しくはプラズマ放電のいずれの処理をも施さずに、又はプラスチック表面のいずれのコーティングをも施さずに行ってよい。任意選択で、コロナ若しくはプラズマ放電、又はプラスチック表面のコーティングを実施してもよい。 [発明の詳細な説明] 付着性表現型を有する生物学的物質の付着を容易にする基材を含む、生物学的物質の培養装置。基材は、細胞の付着性を高めるために、その上に曝露される親水性部分を有する。各親水性部分は、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域も有する分子(すなわち、両親媒性分子)の一部である。前記分子は、親水性分子が基材上に曝露されるように配置される。 より詳細には、装置は、ポリマープラスチック樹脂と両親媒性分子との混合物から調製される基材を有する。この基材は、非繊維性であってよく、又は繊維状ポリマーから形成されてもよい。当業者に公知のとおり、両親媒性分子には、親水性部分と疎水性領域とが含まれる。親水性部分の官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及び/又はアミン(NH2又はNH)基が含まれてよい。特定の実施態様において、両親媒性分子は、アルキルアミンエトキシレート(例えば、図1に示すとおりのAtmer 163、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown NY))、ポリエチレンイミン、オクチルデカミン、又はこれらの混合物から選択されてよい。さらに、分子には、フッ化(fluoridated)基又はフッ化化合物が含まれてよい。疎水性領域は、ポリマープラスチック基材内に埋め込まれており、親水性部分が、ポリマープラスチック基材上に曝露される。基材は、別のプロセス、例えば、コロナ若しくはプラズマ放電、又はポリ−D−リジン若しくはコラーゲンなどの物質でのコーティングなどで任意選択で処理されてよい。任意選択で、血清とともに培養装置を用いてもよく、又は用いなくてもよい。 装置の成形に用いられるポリスチレン又は他の樹脂を、両親媒性分子と混合する。より詳細には、ペトリ皿などの任意の培養装置を成形する前に、プラスチックポリマーの樹脂粒子を両親媒性分子でコーティングし、混合物を形成するか、又はこれらを両親媒性分子と混成して(compound)、混合物を形成してよい。 樹脂がコーティングされる実施態様においては、成形時に、両親媒性分子を樹脂ペレットと混合する。例えば、このような両親媒性分子は、溶媒(例えば、エタノール)に溶解し、樹脂(例えば、ポリスチレンペレット)と手動で混合できる。他の溶媒には、例えば、イソプロピルアルコールが含まれてよい。別法として、ブレンダーを用いてもよい。ブレンダーには、ペレットの所定量を測定し、正確な量の液体添加物を分配し、物質を撹拌し、かつそれらを分配するためのウェイパン(weigh pan)が含まれてよい。 別法として、樹脂が両親媒性分子と混成され、結果として、樹脂に組み込まれた両親媒性分子が得られる実施態様においては、押出し時に、両親媒性化合物(例えば、Atmer 163)を、溶融ポリスチレンなどの樹脂中に混合する。物質が冷却して固まった場合に、これをペレットにカットし、その後、これを用いて培養装置を調製する。特定の実施態様において、樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、又はこれらの混合物から選択されてよい。 混合樹脂(すなわち、樹脂上にコーティングされるか、又は樹脂中に混成されるかのいずれかである両親媒性分子を有するプラスチック樹脂)を、プラスチック基材に形成する。これは、プラスチック樹脂が流れ始めるようにプラスチック樹脂を加熱する工程を伴う。ついで、溶融プラスチック樹脂を、ペトリ皿、マイクロタイタープレート、マルチウェルプレート、又は任意の他の所望の装置などの所望の装置に成形してよい。樹脂が流れる場合には、両親媒性分子は、ポリマーマトリックス内を自由に移動できる。図1に関して、Atmer 163は、用いてよい両親媒性分子の一例である。Atmer 163は、1分子当たり、2つのヒドロキシル(アルコール)官能基を有する長鎖合成炭化水素である。様々なプラスチックにおいて、帯電防止性を与えるように独創的に設計されているので、分子の長鎖部分は、ヒドロキシル基のためのアンカーとして役立つ。いずれの理論にも束縛されることなく、樹脂と両親媒性化合物とは、非相溶(incompatible)であり、両親媒性化合物は、比較的小さく、従って、ポリスチレンマトリックスにおいて、多少の移動性を有するべきである。従って、一部の両親媒性物質は、表面上にブルーム(bloom)すべきである。ブルームは、硬化又はセッティング(setting)後、通常は数時間以内に表面に移動する、ゴム又はプラスチック混合物の成分の薄いコーティングである。ブルーミングは、プラスチック及び生物学的システムの両方で起こる化学的現象である。両方の場合におけるブルーミングの原動力は、熱力学である;これは、より異なる分子が相互作用することに適するというより、類似構造の分子が互いに相互作用することに、より適する。分子はまた、近接分子の類似領域が相互作用することを可能にするようにそれらを配置する傾向にある。プラスチックにおいては、スリップ剤(すなわち、ビス−ステアラミド及びステアリン酸亜鉛)のブルーミングが、モールド表面からのパーツの解放を助ける。当業者に公知のとおり、スリップ剤は、モールドからの成形品の解放を容易にするか、又は静電気の蓄積を予防する、樹脂ペレットにコーティングされるか、又は混成される物質である。ペレットがモールディングポイントにデリバリーされる場合、例えば、通常はプラントの外側にある大きなサイロから、モールディングマシンへとそれらをデリバリーするパイプのオーバーヘッドシステムを介してペレットが吸引される場合に、このような静電気が蓄積し得る。 特に、図2に関して、両親媒性分子10は、疎水性ポリマーマトリックス12中を移動し、基材を形成する疎水性ポリマーマトリックス12の外面上に、親水性部分14を配置する。ポリマーマトリックス12は疎水性であるので、親水性領域14は、疎水性ポリマーマトリックスの外面に配置されるようになり、他方、疎水性領域16は、疎水性ポリマーマトリックス12と会合したままである。従って、基材を加熱して、ポリマーマトリックス内の両親媒性分子の移動性を増加させてよい。さらに、両親媒性分子が移動できる持続時間を延長することにより、装置の外面で、より多くの親水性領域曝露が提供されるので、タイミングは、装置調製における問題であり得る。従って、プラスチック樹脂の流動時間を増加させることにより、基材外面での親水性基の濃度を増加させることができる。 基材内での、Atmer 163などの両親媒性分子の移動は、他の拡散メカニズムと同様に、以下の影響を受ける:(1)そのポリマーマトリックスと関連する、分子の極性(非相溶性);異なるほど、ブルーム率は急速になる;(2)ポリマーの結晶化度;結晶性であるほど、ブルーム率が低下する(ポリスチレンは結晶性);(3)両親媒性化合物を隔離(sequester)又は結合する他の添加剤の存在;(4)濃度;濃度が高いほど、ブルーム率は大きくなる;及び(5)温度(移動性);温度が高いほど、ブルーム率は急速になる。 両親媒性分子は、可変長の疎水性領域を有するものから選択されてよい。疎水性領域は、成形されると、細胞培養プラスチック基材に埋め込まれるようになるアンカー領域を提供する。従って、疎水性領域は、例えば、約10〜約30個の炭素原子長を有する、炭素結合原子の鎖であってよい。このような分子の例には、ステアリン酸及びパルミチン酸が含まれる。 上述のとおり、両親媒性分子の親水性部分は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、又はこれらの混合物から選択されてよい。正確な親水性部分は、培養装置の調製が望まれる特定の生物学的物質に基づいて決定されてよい。先に述べたとおり、特定の細胞集団は、最適な付着及び増殖のために、特定の官能基(単数又は複数)の特定のタイプ、比率、及び/又は濃度を必要としてよい。従って、非限定的な例として、特定の生物学的物質のために、ヒドロキシル官能基のみで飽和されている基材を調製してよく、又は50/50の比率のヒドロキシル及びカルボキシル官能基を70%の範囲で示す基材を調製してもよい。これらの官能基及びそれらの濃度は、単に例示であって、当業者ならば、任意量の任意の官能基を装置に含有させてよいことを理解するだろう。 基材中への両親媒性分子の含有は、付着性表現型の生物学的物質に対する、従来の形態の培養装置の欠点を改善する;すなわち、ぬぐい取られ得るコロナ若しくはプラズマ放電、又は滅菌を乗り切れ得ない、ポリ−D−リジンなどのコーティング。しかし、本発明の培養装置にはまた、二次表面処理を提供してもよい。従って、本発明の装置には、コロナ放電又はプラズマ放電などのエネルギー放電プロセスでさらに処理される基材が含まれてもよい。別法として、本発明の装置には、ポリ−D−リジン又はコラーゲンなどの物質でさらにコーティングされる基材が含まれてもよい。 装置は、付着性表現型を有する生物学的物質のために用いられてよい。生物学的物質は、細胞、細胞小器官、細胞下構造、ウイルス、バクテリア、他の生体分子、脂質、核酸、タンパク質、及び/又は炭水化物であってよい。 また、生物学的物質の付着性を高めるための基材を有する装置であって、曝露される親水性部分と、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域とを有する分子を有する基材を含む装置の製造方法も開示する。 より詳細には、特定の細胞集団などの特定の生物学的物質の付着性及び増殖を高めるために、方法を適応させる。上述のとおり、全ての細胞系は、OH、COOH、及びNH2又はNHなどの官能基の特定のタイプ又は比率に対して、ある程度好みを有する。従って、特定の官能基(単数又は複数)が、付着性表現型を有する所定の生物学的物質との会合を促進する(facilitate association)という点に関して、最適な親水性官能基(単数又は複数)を決定する工程が方法に含まれる。以下に述べるとおり、生物学的物質により好まれる特定の官能基を含む両親媒性分子(単数又は複数)を選択し、ポリマープラスチック樹脂と混合して、混合樹脂を形成する。混合樹脂を、ペトリ皿、マイクロタイタープレート、マルチウェルプレート、又は他の培養装置に成形する。これは、コロナ放電若しくはプラズマ放電でのいずれの処理、又はプラスチック基材のいずれのコーティングをも行わずに実施してよい。任意選択で、コロナ若しくはプラズマ放電、又はプラスチック基材のコーティングを、二次的に実施してよい。 装置を調製するための、官能基タイプの決定工程に加えて、生物学的物質との最適な会合を促進する、親水性官能基の特定の濃度を決定する工程が方法に含まれてもよい。従って、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂とを混合する場合には、生物学的物質との最適な会合を促進するように決定される濃度と実質的に類似する、ポリマープラスチック樹脂に対する濃度で分子を混合できる。 上述のとおり、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂との混合には、両親媒性分子でポリマープラスチック樹脂をコーティングする工程を含めることができる。別法として、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂との混合には、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂を混成する工程が含まれてもよい。 本発明の原理は、以下の実施例を参照して、より明らかになるだろう。 [実施例] [実施例1:コーティングされる樹脂の調製] 20リットルのカーボイにポリスチレンペレットを充填し、重量を量った。ついで、カーボイ自体の重量を結果から差し引き、ペレットの重量を得た。ついで、1.0%の混合物を作製するための量に、Atmer 163(液体)を検量し、一度に約3分の1、ペレットに添加した。0.1%の混合物を作製するために、第2のバッチを調製した。Atmer−163のパーセンテージは、(Atmer−163の重量/ペレットの重量)×100として算出した。従って、1.0%の混合物については、10 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。0.1%の混合物については、1 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。Atmer−163をそれぞれ3分の1ずつ添加した後、全てのペレットが視覚的に均一にコーティングされるまで、カーボイ中でペレットを回転させるか、又はパワードリル及びオーガー(auger)を用いて混合した。 [実施例2:混成される樹脂の調製] ポリマーは押出し機中で溶融されるので、混成される樹脂をインラインで混合した。それらが溶融される押出し機のバレルへと、適切な重量のペレット及び添加物を計量して供給した。実施例1と同様に、1.0%と0.1%の混合物を調製した。従って、1.0%の混合物については、10 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。0.1%の混合物については、1 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。押出し機のバレルはスクリューを有しており、これが、溶融物質(ポリスチレン及びAtmer−163)を一端へと押し進め、同時に物質を混合した。押出し機の遠端の小さな穴(bore)から出てくる際に、ポリマー混合物は固められており、これをペレットへとカットした。 [実施例3] 細胞収率に対する効果が観察され得るかどうかを測定するために、Atmer 163とポリスチレン(コーティングされた樹脂)の滅菌混合物を試験した。上記実施例1で述べたとおり、ポリスチレン中にAtmer 163を手動で混合することにより、最終的な割合が1%(w/w)及び0.1%(w/w)の2つの混合物を調製した。これらの混合物では、樹脂をAtmer 163でコーティングした。混合樹脂をペトリ皿に成形し、ついで滅菌した。滅菌後、1%及び0%(v/v)の血清でHEK 293細胞を培養することにより、ディッシュを評価し、標準的なコロナ表面処理を有するディッシュ、又はCorningのCellBIND(登録商標)装置と結果を比較した。細胞収率(1 cm2当たりの回収細胞の生数値)又は相対細胞収率(CellBIND(登録商標)に対する細胞収率)を用いて比較を実施した。コロナ処理を有するディッシュを評価する場合には、ベルトから23 mm離れて700ワットの回転電極で、10 cm/秒で移動する移動式ベルトコンベアー上にコロナ放電を適用した。 ATCCから得たHEK細胞(寄託(accession)番号Crl−1573)を液体窒素中での貯蔵から取り出し、37℃で瞬間解凍(flash thawed)し、37℃及び5%CO2でのウォータージャケット式CO2インキュベーターにおいて、DMEM+10%FBS中、一晩、回復(recover)させた。24時間後、媒体を交換した。この実験の使用前に、細胞を4回継代し、凍結細胞は、ATCCで41回継代されていた。従って、細胞の総継代回数は、試験時に45回であった。1%又は0%のいずれかの血清中、約20,000細胞/cm2の濃度で細胞を播種した。CD 293媒体(GIBCO、Invitrogen Corporation, Carlsbad CAの細胞培養システム部門)中0%血清で増殖させる細胞を、GIBCOの取扱説明書に従って、37℃及び8%CO2でインキュベートした。1%血清で増殖させる細胞は、37℃及び5%CO2の標準条件でインキュベートした。 4日後、以下のとおり、ディッシュを滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムを含まない)で洗浄した:ディッシュの端に1 mLのPBSを添加し、4回揺り動かし、ついでアスピレートした。洗浄後、1 mLのトリプシンを添加し、およそ2分間、静置(stand)させた。2分後、目視検査により測定されるとおり、細胞が完全に底から外れるまで、5〜10秒間、ボルテックスプラットフォームミキサーを用いて、1000 RPMでディッシュを撹拌した。1 mLの10%FBS含有DMEMを添加して、トリプシン処理を停止させた。ついで、この溶液を1 mL取り出し、4 mLのトリパンブルーに添加して、ついで、血球計の上部及び下部チャンバー中で細胞をカウントした。 2つの異なる濃度のAtmer(1%又は0.1%w/w)(Atmerのグラム数/樹脂ペレット100)を有するものと、有しないものとで、基材処理(滅菌、コロナ、及び加熱)を比較した。1%は高濃度であり、0.1%は低濃度である。帯電防止適用に関連して、Uniqema(New Castle DE)の推奨比率に基づいて、濃度を選択した。細胞を血清不含媒体で増殖させた場合に、グループ間の差が促進された。表1及び2に結果を示す。これらの表において、「Nunclon Delta」は、標準的なコロナ表面処理を有するディッシュを表す。Nunclon(登録商標)Delta(Nunc A/S, Roskilde, Denmark)は、製品が、Nalge Nuncの標準的な品質システム文書STP−3004により定義されるとおりの、ある一連の細胞培養試験を合格した場合に発行される証明書である。 異なるポリスチレン混合物における、細胞収率に対する滅菌効果を評価した。滅菌は、18〜30キログレイのレベルでのガンマ線照射を介した。滅菌は、結果として、生の(raw)ポリスチレン、及びAtmerと混合したポリスチレンの両方において、絶対細胞収率、及びCellBIND(登録商標)に対する細胞収率(サンプルの細胞収率/CellBIND(登録商標)の細胞収率;「RCY」)を増加させた。混合とは、成形時、又は事前にかのいずれかにおいて、物質をポリマー中に組み込んだことを意味する。血清不含条件下、滅菌した天然(すなわち、変えていない)ポリスチレンについての平均細胞収率は、1218±264細胞/cm2であった。ポリスチレンを高濃度のAtmer(すなわち、1%Atmer)と混合した場合には、血清不含条件下、滅菌ポリスチレン上の細胞の収率は、318±142細胞/cm2であり、低濃度(すなわち、0.1%Atmer)では、6887±536細胞/cm2であった。 この実施例においては、関連する2つの濃度が存在する:血清及びAtmer。Atmerの2つの濃度を、血清の2つの濃度での細胞培養に用いた。低濃度Atmer混合物(0.1%w/w)についての細胞収率は、滅菌単独により占められ得る細胞収率よりも大きかった。天然ポリスチレンと高濃度Atmer混合物(1.0%w/w)との収率における差は、統計的に優位でなかったが、天然ポリスチレンと低濃度グループのAtmer混合物との差は、有意であった(P<0.05)。ポリスチレンの0.1%w/w濃度で混合されるAtmerは、血清を含有させずに細胞を増殖させる際に滅菌以外の他の処理を施していないポリスチレン上のHEK細胞収率に対して、統計的に有意な効果を有した。これらのデータを上記表1及び2に示す。 滅菌天然ポリスチレンにおいて、ウシ胎仔血清(1%v/v)とともに増殖させたHEK細胞は61,862細胞/cm2の細胞収率を有し、他方、1%Atmerと混合した滅菌ポリスチレンにおいて、FBS(1%)とともに増殖させたHEK細胞は6,696細胞/cm2であり、0.1%では49,107細胞/cm2であった。これらの差は、統計的に有意(p<0.05)であった。この細胞収率は、天然ポリスチレンについては、血清不含の細胞収率よりも約50倍高く、高濃度の混合物については20倍高く、低濃度の混合物については、約7倍高かった。血清の存在は、Atmerと混合したポリスチレン上で増殖させたHEK細胞の細胞収率よりも、天然ポリスチレン上で増殖させたHEK細胞の細胞収率に対して、非常に顕著な効果を有しており、細胞との結合に対して、2つ以上のメカニズムが存在することを示唆していた。CellBIND(登録商標)上で増殖させたHEK細胞は、相対的に、血清不含条件下で増殖させた場合には平均35,357±1929細胞/cm2を産生し、血清とともに増殖させた場合には105,377±10,000細胞/cm2を産生した。 異なるポリスチレン混合物における、収率に対するコロナ処理の効果もまた評価した(表3及び4を参照されたい)。 およそ8秒間の処理時間、700ワットで、プレートの下部から23 mm離れた位置での回転ヘッドトリーター(head treater)により、コロナ処理を導入した。コロナ処理は、結果として、天然ポリスチレン及びAtmerと混合したポリスチレンの両方について、収率(すなわち細胞増殖)を増加させた。血清不含条件下、コロナ処理された滅菌天然ポリスチレン上での細胞収率は、コロナ処理していないものの1,218±264細胞/cm2と比較して、9,571±884細胞/cm2であり、これは、約8300細胞/cm2の絶対増加及びほぼ8倍の相対増加であった。ポリスチレンを高濃度(1%)のAtmerと混合した場合には、収率は、コロナ処理していないものの318±142細胞/cm2と比較して、9,566±2182細胞/cm2であり、これは、約9,200細胞/cm2の絶対増加及び約30倍の相対変化であった。Atmerを低濃度(0.1%)でポリスチレンと混合した場合には、コロナ処理した収率は、コロナ処理していないものの6,887±536細胞/cm2と比較して、30,676±1846細胞/cm2であり、これは、約24,000細胞/cm2の絶対増加及び約4.5倍の相対増加であった。 コロナ処理により提供される収率増加の絶対収率及び程度(magnitude)は、生のポリスチレンに対するものよりも、Atmerのいずれかの混合物に対するものの方が大きかった。最も大きな相対増加は、最も高い濃度のAtmerで観察された;1%混合物については30倍増加であり、0.1%混合物については4.5倍増加。 混合したポリマーの加熱効果を評価した。ブルーミングは拡散律速プロセスであることから、温度は、平衡が達成される速度に対して、大きな効果を有する。血清不含条件下、60℃で24時間加熱した表面は、非加熱表面よりも高い細胞収率を有した。結果を下記表5に示す。 高濃度(1%)で混合したAtmerから基材を調製した場合には、収率は、318±142細胞/cm2から8992±2337細胞/cm2に増加し、これは、8,674細胞/cm2の絶対増加及び約28倍の相対増加であった。低濃度(0.1%)では、加熱された表面上で増殖させた細胞の収率は、13,073±1681細胞/cm2であり、他方、加熱していない表面上で増殖させた細胞の収率は、6,877±1659細胞/cm2であり、これは、6,113細胞/cm2の絶対増加及びほぼ2倍の相対増加であった。この増加は、統計的に有意であった(p<0.05)。 加熱はまた、血清不含条件下、コロナ処理した部分の収率にも影響を及ぼした。さらに、加熱順序(コロナ処理の前又は後)は効果を有した。高濃度の混合物(1%Atmer)では、コロナ処理基材上の収率は、9,566±6902細胞/cm2であり、処理前に加熱した場合には、収率は24,617±4688細胞/cm2であり、処理後に加熱した場合には、収率は15,625±2792細胞/cm2であった。高濃度混合物としての表面上での細胞増殖については、処理前に加熱を適用すると、収率が約15,000細胞/cm2増加し、処理後に加熱を適用すると、収率が約6,000細胞/cm2増加した。低濃度混合物としての細胞増殖については、コロナ処理基材に対する収率が30,676±5841細胞/cm2であり、処理前に加熱すると、収率が29656±5754細胞/cm2であり、後で加熱すると、収率が31888±7914細胞/cm2であった。 低濃度基材(0.1%Atmer)上での細胞増殖に対する、実質的な加熱効果は全くないが、高濃度基材(1%Atmer)には顕著な効果を有した。加熱順序(sequence)の差もまた有意であった(p<0.05)。低濃度混合物は、順序に関わらず、高濃度のものより顕著に優れていた。低濃度基材に対する絶対収率は、加熱による影響を受けず、高濃度基材に対する加熱効果を考えたとしても、依然として高かった。 従って、細胞収率の改善が、低減した血清条件及び血清不含条件の両方において、より低い0.1%濃度のAtmerで特に観察された(Nunclon(登録商標)Deltaを超える)。血清不含媒体中の収率は、いくつかのグループについて、CorningのCellBIND(登録商標)表面に匹敵した。混合は、HEK 293細胞などの付着性細胞系の細胞収率を改善できることがデータから示された。 [実施例4] 細胞収率に対する効果が観察され得るかどうかを測定するために、Atmer 163とポリスチレン(混成された樹脂)の滅菌混合物を試験した。Polyvel Inc.(Hammonton, NJ)により、最終濃度が10%のAtmerとなるように、Atmer−163とポリスチレン樹脂を混成した。ついで、最終濃度が5%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、及び0.01%のAtmer−163となるように、通常のポリスチレンペレット(w/w)へと混成ペレットを計量して供給した。ついで、これらの樹脂混合物から60 mmのペトリ皿を成形し、非滅菌部分上で、血清不含媒体(GIBCO CD−293A)における、HEK−293細胞の増殖を観察した。上記実施例3のとおりに、HEK−293細胞の増殖が達成された。非処理混合物及びコロナ混合物の両方を用いてペトリ皿を調製した。クリスタルバイオレット染色抽出(extraction)及び顕微鏡検査を用いることにより、細胞の付着を概算(estimate)した。より詳細には、クリスタルバイオレット染色を5分間細胞に適用し、ついで、水道水ですすいだ。残った染色を、dH2O中1%Triton X−100の溶液で抽出した。分光光度法を用いて、562 nmで染色強度を測定した。図3に示す結果では、残った染色が多いほど、付着性細胞の数が多い。図に示すとおり、コロナ処理Atmer混合物の多くが、HEK−293細胞の増殖におけるCellBIND(登録商標)などの現行製品よりも優れていた。 本発明は、好ましい実施態様の詳細を参照することにより開示しているが、本発明の精神及び添付の請求項の範囲内で、当業者ならば変形を容易に行うことが意図されるので、本開示は、限定的な意味というよりもむしろ、例証として意図されることが理解されるべきである。 本明細書の一部に組み込まれ、これを構成する添付の図面は、本発明の実施態様を例証し、上記本発明の概要及び実施態様の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。図1は、本発明の原理に従って用いられてよい、両親媒性分子の一例であるアルキルアミンエトキシレート(Atmer 163)の構造を表す。図2は、ポリマープラスチック基材に関連する、両親媒性分子の「ブルーミング」を示す概略図である。図3は、本方法の異なる実施態様における、付着性細胞の数を示すグラフである。「Corona」はコロナ処理を示し、「PLASMA」はプラズマ処理を示す。 ポリマープラスチック樹脂と両親媒性分子との混合物から調製される、生物学的物質を付着させるための非繊維状基材であって、前記両親媒性分子が親水性部分と疎水性領域とを含み、前記疎水性領域が前記基材内に埋め込まれており、かつ前記親水性部分が前記基材表面上に曝露されている基材を含む、生物学的物質の培養装置。 前記混合物の樹脂が、前記両親媒性分子でコーティングされている、請求項1記載の装置。 前記混合物の樹脂が、前記両親媒性分子と混成されている、請求項1記載の装置。 前記親水性部分が、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、又はこれらの混合物から選択される、請求項1記載の装置。 前記表面のプラスチックポリマーが、ポリスチレン、ポリプロピレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、又はこれらの混合物から選択される、請求項1記載の装置。 前記両親媒性分子が、約1%w/wの割合で前記ポリマープラスチック樹脂と混合される、請求項1記載の装置。 前記両親媒性分子が、約0.1%w/wの割合で前記ポリマープラスチック樹脂と混合される、請求項1記載の装置。 前記表面が、コロナ放電又はプラズマ放電でさらに処理される、請求項1記載の装置。 前記表面が、ポリ−D−リジン又はコラーゲンでさらにコーティングされる、請求項1記載の装置。 前記疎水性領域が、10〜30個の炭素原子長を有する炭素結合原子の鎖である、請求項1記載の装置。 前記生物学的物質が、付着性表現型を有する、請求項1記載の装置。 前記生物学的物質が、細胞、細胞小器官、細胞下構造、ウイルス、バクテリア、生体分子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11記載の装置。 前記両親媒性分子が、アルキルアミンエトキシレート、ポリエチレンイミン、オクチルデカミン、又はこれらの混合物から選択される、請求項1記載の装置。 前記両親媒性分子が、フルオロ化合物を含まない、請求項1記載の装置。 − 付着性表現型の生物学的物質との会合を促進する親水性官能基のタイプを決定する工程; − 前記親水性官能基を含む親水性領域と疎水性領域とを含む両親媒性分子を選択する工程; − 前記両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂とを混合して、混合樹脂を形成する工程;及び − 前記混合樹脂から、前記生物学的物質の培養装置を調製する工程、を含む、生物学物質の培養装置の製造方法。 前記生物学的物質との会合を促進する前記親水性官能基の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。 前記両親媒性分子と前記ポリマープラスチック樹脂とを混合する工程が、前記生物学的物質との会合を促進する濃度と実質的に類似する、前記ポリマープラスチック樹脂に対する濃度で前記両親媒性分子を混合する工程をさらに含む、請求項16記載の方法。 前記両親媒性分子と前記ポリマープラスチック樹脂とを混合する工程が、前記ポリマープラスチック樹脂を前記両親媒性分子でコーティングする工程をさらに含む、請求項15記載の方法。 前記両親媒性分子と前記ポリマープラスチック樹脂とを混合する工程が、前記ポリマープラスチック樹脂を前記両親媒性分子と混成する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。 前記細胞培養装置の表面をコロナ放電又はプラズマ放電で処理する工程をさらに含む、請求項15記載の方法。 前記細胞培養装置の表面をポリ−D−リジン又はコラーゲンでコーティングする工程をさらに含む、請求項15記載の方法。 【課題】培養における細胞の増殖を支持する表面、生物学的物質の付着性を高めるために、それ上に曝露される親水性部分を提供するための表面調製。【解決手段】前記表面には、ポリマー基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域も有する両親媒性分子の一部として、親水性部分が含まれており、親水性部分が前記基材の外面上に曝露されるように配置されている。一実施態様において、表面をカスタマイズして、特定の細胞増殖を高めるための質的かつ量的部分を提供する。一実施態様において、ディッシュ又はプレートなどの培養装置上に表面が提供される。【選択図】なし


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特許公報(B2)_細胞培養表面化学

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_細胞培養表面化学
出願番号:2007138020
年次:2012
IPC分類:C12M 1/00,C12M 3/00


特許情報キャッシュ

ジョー・グランセリ トーマス・クミンス JP 5106921 特許公報(B2) 20121012 2007138020 20070524 細胞培養表面化学 ナルジェ・エヌユーエヌシー・インターナショナル・コーポレーション 507170918 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 ジョー・グランセリ トーマス・クミンス US 11/420,267 20060525 20121226 C12M 1/00 20060101AFI20121206BHJP C12M 3/00 20060101ALI20121206BHJP JPC12M1/00 CC12M3/00 A C12M 1/00−1/42 C12M 3/00−3/10 PubMed 特開平08−033474(JP,A) 国際公開第2004/044012(WO,A1) 特開2004−331793(JP,A) 特開平08−173144(JP,A) 特開平06−181740(JP,A) 16 2007312775 20071206 16 20100521 伊達 利奈 細胞及び他の生物学的物質の培養方法及び培養装置。 哺乳動物細胞などの様々な生物学的物質を増殖及び研究できることは、研究所及び産業において重要である。しかし、多くの細胞及び他の生物学的物質は、それらが適切な基材に付着できる場合にのみ(すなわち、生物学的物質が、付着性表現型を示す)増殖する。多くの生物学的物質が、基材に付着し、増殖できることは、多少親水性となるように化学的に活性化されている基材によって決まる。親水性は、基材上の様々な官能基により提供され得る。これらの官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及びアミン(NH2及びNH)基が含まれる。 このような化学的に活性化された基材の調製は、一般に、(1)コロナ又はプラズマのいずれかの放電形態のエネルギーを基材に適用すること、又は(2)基材にコーティング(例えば、ポリ−D−リジン又はコラーゲン)を適用することを伴う。これらのプロセスは、生物学的物質が結合し得る基を提供する。例えば、コロナ放電において、処理されるべき基材は、放電、又はコロナに曝露される。放電領域内の酸素分子は、その原子形態に分解されて、処理されるべき基材の分子の末端と自由に結合でき、その結果、所望の化学的に活性化された基材が得られる。基材のコロナ又はプラズマ放電処理の主な利点は、製造が容易なことである;このような放電を受けた高分子基材は、容易に、インラインで処理され、滅菌され得る。 しかし、コロナ及びプラズマ放電処理は共に欠点を有する。例えば、コロナ放電は、基材の最初の数ナノメートル以内の酸素結合に限定され、ぬぐい取られ(wiped off)得る。従って、基材は急速に劣化(degradation)され得る。さらに、コロナ放電処理は、一般に、よくても最大で約20%の表面酸素しか基材上に提供し得ない。特定の細胞系などの、特定の生物学的物質は、より多くの酸素を必要とする。プラズマ放電は、コロナ放電よりも高い酸素レベルを生じさせ得るが、基材を真空で処理することを必要とする。 ポリ−D−リジン又はコラーゲンなどの様々な生物学的コーティングの適用による基材の処理は、細胞が、典型的には、その上で増殖する環境を模倣する。しかし、これらのコーティングは、多くの場合、ガンマ線照射による滅菌を乗り切れない。さらに、これらのコーティングの生物学的起源は、疾病伝播の可能性を高める。 エネルギー放電及びコーティング処理は、全ての生物学的物質とともに使用するための標準的な活性化基材をほんのわずかしか提供できず、生物学的物質を培養するために用いられる基材の表面化学において、ほとんどバリエーションを生じない。全ての細胞系又は他の生物学的物質は、培養基板上の官能基の特定のタイプ、混合物、及び/又は比率に対して、ある程度好み(preference)を示すので、これは問題である。例えば、あるものは、複数の異なる官能基に対して好みを示すが、他方、あるものは、特定の濃度範囲での、ただ一つの官能基に対して好みを示す。しかし、上述のとおり、現在の技術では、一般に、「万能サイズ(one−size−fits−all)」ストラテジー(例えば、全てのタイプの細胞系に用いられるコロナ処理された基材)を用いている。得られた基材は、いずれの化学をも生じさせ得るというよりむしろ、よくても、様々な表面化学を生じさせるために調節され得る。例えば、コロナ処理は、たとえ低いパワーであっても、その時点での大気条件(空気中の湿度、温度、及び揮発性有機物)に多少依存する、特徴的な表面化学を有する。最終的には、これは一般に、10〜20%の範囲の酸素濃度を有する基材をもたらす。しかし、これは、高い酸素濃度を有する基材をもたらすことができず、また、アミン基などの他の官能基又は追加の官能基を含む基材をもたらすこともできない。このような基材は、高い酸素レベル及び/又はアミン基に対して好みを示す特定の生物学的物質に適し得ない。 さらに、多くの生物学的物質は、上述のとおり処理される基材を有するだけでなく、増殖を高めるための血清を含んでいてもよい培養装置中で増殖される。例えば、ヒト胎児肝臓(HEK)293細胞系は、増殖し易く、遺伝的に安定で、ヒト染色体の正常な相補体を有しており、かつ遺伝子操作を扱いやすくさせるアデノウイルスゲノムの一部が組み込まれているので、ますます用いられている。類似した特徴を示す他の細胞系は、PER C6、Vero、BHK−21、及びMDCKである。 HEK細胞は、標準的な細胞培養基材(例えば、コロナ処理を受けたもの)上で、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)により推奨される条件下(例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎仔血清(FBS))、首尾よく増殖され得る。血清はHEK細胞増殖を高め、そのようなものとして、大部分の細胞培養手順に含まれている。しかし、近年、安全に対する懸念が高まっており、これは、大部分の媒体組成の最も高価な唯一の成分である。血清の必要性を全面的に低減又は排除することが望ましいが、血清濃度が低下すると、HEK細胞を含むほとんど全ての細胞系のコロナ処理基材上での増殖能力が低下する。 最近、Corning製品CellBIND(登録商標)が、全ての標準的な細胞培養フォーマットにおいて提供されている。CellBIND(登録商標)には、血清なしで付着性細胞の増殖を支持するものとして記載される基材が含まれる。HEK細胞を増殖させるCellBIND(登録商標)の高められた能力は、主として、コロナ処理基材に対する、その高い量の酸素、詳細にはヒドロキシル基の結果であり(CellBIND(登録商標)上15%の酸素対コロナ処理基材上8%の酸素)、より少ないが依然としてかなりの程度のカルボン酸量の結果である(CellBIND(登録商標)上7%のカルボン酸対コロナ処理基材上2%のカルボン酸)。しかし、CellBIND(登録商標)には、アミン基などの他の官能基が含まれておらず、異なる生物学的物質により示され得る異なる好みに適応されない。 他の製品及び方法が望ましい。例えば、二次処理(例えば、コロナ放電)せずに付着性基材の化学を調節する、及び/又は存在する二次処理の質を高める装置並びに方法が望ましい。さらに、劣化を受けず、かつ減少量の血清を用いることができるか、又は血清を用い得ずに、高分子基材上に官能基を含む装置が望ましい。さらに、特定の生物学的物質に装置を適応させるために、タイプ及び濃度の両方において官能基が異なる基材を有する装置の製造方法が所望される。 [発明の概要] 一実施態様において、装置には、基材への生物学的物質の付着性を高めるために、その上に曝露される親水性部分を有する基材が含まれる。各親水性部分は、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域も有する分子の一部であり、親水性部分が基材上に曝露されるように配置されている。より詳細には、装置は、ポリマープラスチック樹脂と両親媒性分子との混合物から調製される基材を有する。基材は、非繊維性であってよく、あるいはまた繊維状ポリマーで調製されてもよい。当業者に公知のとおり、両親媒性分子には、親水性領域と疎水性領域とが含まれる。親水性部分の官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及び/又はアミン(NH2又はNH)基が含まれてよい。疎水性領域は、ポリマープラスチック基材内に埋め込まれ、親水性部分が、ポリマープラスチック基材上に曝露される。さらなる実施態様において、基材は、別のプロセス、例えば、コロナ若しくはプラズマ放電、又はポリ−D−リジン若しくはコラーゲンなどの物質を用いたコーティングなどで任意選択で処理されてよい。 別の実施態様は、生物学的物質の付着性を高めるための基材であって、曝露される親水性部分と、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域とを有する分子を含む基材を有する装置の製造方法である。 別の実施態様は、特定の細胞集団などの特定の生物学的物質の付着性及び増殖を高めるために適応された装置の製造方法である。上述のとおり、全ての細胞系は、OH、COOH、及びNH2又はNHなどの官能基の特定のタイプ又は比率に対して、ある程度好みを有する。前記方法は、付着性表現型を有する特定の生物学的物質に対して、好ましいタイプの親水性官能基(単数又は複数)を決定する工程を含む。少なくとも1つの両親媒性分子が選択され、ここで、親水性領域(単数又は複数)には、選択した生物学的物質により好まれる特定の官能基が含まれる。選択した両親媒性分子(単数又は複数)は、ポリマープラスチック樹脂と混合され、混合樹脂を形成し、この混合樹脂を用いて、培養装置を調製する。例えば、混合樹脂から、ペトリ皿などの装置を成形できる。これは、コロナ放電若しくはプラズマ放電のいずれの処理をも施さずに、又はプラスチック表面のいずれのコーティングをも施さずに行ってよい。任意選択で、コロナ若しくはプラズマ放電、又はプラスチック表面のコーティングを実施してもよい。 [発明の詳細な説明] 付着性表現型を有する生物学的物質の付着を容易にする基材を含む、生物学的物質の培養装置。基材は、細胞の付着性を高めるために、その上に曝露される親水性部分を有する。各親水性部分は、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域も有する分子(すなわち、両親媒性分子)の一部である。前記分子は、親水性分子が基材上に曝露されるように配置される。 より詳細には、装置は、ポリマープラスチック樹脂と両親媒性分子との混合物から調製される基材を有する。この基材は、非繊維性であってよく、又は繊維状ポリマーから形成されてもよい。当業者に公知のとおり、両親媒性分子には、親水性部分と疎水性領域とが含まれる。親水性部分の官能基には、例えば、ヒドロキシル(OH)基、カルボキシル(COOH)基、及び/又はアミン(NH2又はNH)基が含まれてよい。特定の実施態様において、両親媒性分子は、アルキルアミンエトキシレート(例えば、図1に示すとおりのAtmer 163、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown NY))、ポリエチレンイミン、オクチルデカミン、又はこれらの混合物から選択されてよい。さらに、分子には、フッ化(fluoridated)基又はフッ化化合物が含まれてよい。疎水性領域は、ポリマープラスチック基材内に埋め込まれており、親水性部分が、ポリマープラスチック基材上に曝露される。基材は、別のプロセス、例えば、コロナ若しくはプラズマ放電、又はポリ−D−リジン若しくはコラーゲンなどの物質でのコーティングなどで任意選択で処理されてよい。任意選択で、血清とともに培養装置を用いてもよく、又は用いなくてもよい。 装置の成形に用いられるポリスチレン又は他の樹脂を、両親媒性分子と混合する。より詳細には、ペトリ皿などの任意の培養装置を成形する前に、プラスチックポリマーの樹脂粒子を両親媒性分子でコーティングし、混合物を形成するか、又はこれらを両親媒性分子と混成して(compound)、混合物を形成してよい。 樹脂がコーティングされる実施態様においては、成形時に、両親媒性分子を樹脂ペレットと混合する。例えば、このような両親媒性分子は、溶媒(例えば、エタノール)に溶解し、樹脂(例えば、ポリスチレンペレット)と手動で混合できる。他の溶媒には、例えば、イソプロピルアルコールが含まれてよい。別法として、ブレンダーを用いてもよい。ブレンダーには、ペレットの所定量を測定し、正確な量の液体添加物を分配し、物質を撹拌し、かつそれらを分配するためのウェイパン(weigh pan)が含まれてよい。 別法として、樹脂が両親媒性分子と混成され、結果として、樹脂に組み込まれた両親媒性分子が得られる実施態様においては、押出し時に、両親媒性化合物(例えば、Atmer 163)を、溶融ポリスチレンなどの樹脂中に混合する。物質が冷却して固まった場合に、これをペレットにカットし、その後、これを用いて培養装置を調製する。特定の実施態様において、樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、又はこれらの混合物から選択されてよい。 混合樹脂(すなわち、樹脂上にコーティングされるか、又は樹脂中に混成されるかのいずれかである両親媒性分子を有するプラスチック樹脂)を、プラスチック基材に形成する。これは、プラスチック樹脂が流れ始めるようにプラスチック樹脂を加熱する工程を伴う。ついで、溶融プラスチック樹脂を、ペトリ皿、マイクロタイタープレート、マルチウェルプレート、又は任意の他の所望の装置などの所望の装置に成形してよい。樹脂が流れる場合には、両親媒性分子は、ポリマーマトリックス内を自由に移動できる。図1に関して、Atmer 163は、用いてよい両親媒性分子の一例である。Atmer 163は、1分子当たり、2つのヒドロキシル(アルコール)官能基を有する長鎖合成炭化水素である。様々なプラスチックにおいて、帯電防止性を与えるように独創的に設計されているので、分子の長鎖部分は、ヒドロキシル基のためのアンカーとして役立つ。いずれの理論にも束縛されることなく、樹脂と両親媒性化合物とは、非相溶(incompatible)であり、両親媒性化合物は、比較的小さく、従って、ポリスチレンマトリックスにおいて、多少の移動性を有するべきである。従って、一部の両親媒性物質は、表面上にブルーム(bloom)すべきである。ブルームは、硬化又はセッティング(setting)後、通常は数時間以内に表面に移動する、ゴム又はプラスチック混合物の成分の薄いコーティングである。ブルーミングは、プラスチック及び生物学的システムの両方で起こる化学的現象である。両方の場合におけるブルーミングの原動力は、熱力学である;これは、より異なる分子が相互作用することに適するというより、類似構造の分子が互いに相互作用することに、より適する。分子はまた、近接分子の類似領域が相互作用することを可能にするようにそれらを配置する傾向にある。プラスチックにおいては、スリップ剤(すなわち、ビス−ステアラミド及びステアリン酸亜鉛)のブルーミングが、モールド表面からのパーツの解放を助ける。当業者に公知のとおり、スリップ剤は、モールドからの成形品の解放を容易にするか、又は静電気の蓄積を予防する、樹脂ペレットにコーティングされるか、又は混成される物質である。ペレットがモールディングポイントにデリバリーされる場合、例えば、通常はプラントの外側にある大きなサイロから、モールディングマシンへとそれらをデリバリーするパイプのオーバーヘッドシステムを介してペレットが吸引される場合に、このような静電気が蓄積し得る。 特に、図2に関して、両親媒性分子10は、疎水性ポリマーマトリックス12中を移動し、基材を形成する疎水性ポリマーマトリックス12の外面上に、親水性部分14を配置する。ポリマーマトリックス12は疎水性であるので、親水性領域14は、疎水性ポリマーマトリックスの外面に配置されるようになり、他方、疎水性領域16は、疎水性ポリマーマトリックス12と会合したままである。従って、基材を加熱して、ポリマーマトリックス内の両親媒性分子の移動性を増加させてよい。さらに、両親媒性分子が移動できる持続時間を延長することにより、装置の外面で、より多くの親水性領域曝露が提供されるので、タイミングは、装置調製における問題であり得る。従って、プラスチック樹脂の流動時間を増加させることにより、基材外面での親水性基の濃度を増加させることができる。 基材内での、Atmer 163などの両親媒性分子の移動は、他の拡散メカニズムと同様に、以下の影響を受ける:(1)そのポリマーマトリックスと関連する、分子の極性(非相溶性);異なるほど、ブルーム率は急速になる;(2)ポリマーの結晶化度;結晶性であるほど、ブルーム率が低下する(ポリスチレンは結晶性);(3)両親媒性化合物を隔離(sequester)又は結合する他の添加剤の存在;(4)濃度;濃度が高いほど、ブルーム率は大きくなる;及び(5)温度(移動性);温度が高いほど、ブルーム率は急速になる。 両親媒性分子は、可変長の疎水性領域を有するものから選択されてよい。疎水性領域は、成形されると、細胞培養プラスチック基材に埋め込まれるようになるアンカー領域を提供する。従って、疎水性領域は、例えば、約10〜約30個の炭素原子長を有する、炭素結合原子の鎖であってよい。このような分子の例には、ステアリン酸及びパルミチン酸が含まれる。 上述のとおり、両親媒性分子の親水性部分は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、又はこれらの混合物から選択されてよい。正確な親水性部分は、培養装置の調製が望まれる特定の生物学的物質に基づいて決定されてよい。先に述べたとおり、特定の細胞集団は、最適な付着及び増殖のために、特定の官能基(単数又は複数)の特定のタイプ、比率、及び/又は濃度を必要としてよい。従って、非限定的な例として、特定の生物学的物質のために、ヒドロキシル官能基のみで飽和されている基材を調製してよく、又は50/50の比率のヒドロキシル及びカルボキシル官能基を70%の範囲で示す基材を調製してもよい。これらの官能基及びそれらの濃度は、単に例示であって、当業者ならば、任意量の任意の官能基を装置に含有させてよいことを理解するだろう。 基材中への両親媒性分子の含有は、付着性表現型の生物学的物質に対する、従来の形態の培養装置の欠点を改善する;すなわち、ぬぐい取られ得るコロナ若しくはプラズマ放電、又は滅菌を乗り切れ得ない、ポリ−D−リジンなどのコーティング。しかし、本発明の培養装置にはまた、二次表面処理を提供してもよい。従って、本発明の装置には、コロナ放電又はプラズマ放電などのエネルギー放電プロセスでさらに処理される基材が含まれてもよい。別法として、本発明の装置には、ポリ−D−リジン又はコラーゲンなどの物質でさらにコーティングされる基材が含まれてもよい。 装置は、付着性表現型を有する生物学的物質のために用いられてよい。生物学的物質は、細胞、細胞小器官、細胞下構造、ウイルス、バクテリア、他の生体分子、脂質、核酸、タンパク質、及び/又は炭水化物であってよい。 また、生物学的物質の付着性を高めるための基材を有する装置であって、曝露される親水性部分と、基材内に固定又は埋め込まれている疎水性領域とを有する分子を有する基材を含む装置の製造方法も開示する。 より詳細には、特定の細胞集団などの特定の生物学的物質の付着性及び増殖を高めるために、方法を適応させる。上述のとおり、全ての細胞系は、OH、COOH、及びNH2又はNHなどの官能基の特定のタイプ又は比率に対して、ある程度好みを有する。従って、特定の官能基(単数又は複数)が、付着性表現型を有する所定の生物学的物質との会合を促進する(facilitate association)という点に関して、最適な親水性官能基(単数又は複数)を決定する工程が方法に含まれる。以下に述べるとおり、生物学的物質により好まれる特定の官能基を含む両親媒性分子(単数又は複数)を選択し、ポリマープラスチック樹脂と混合して、混合樹脂を形成する。混合樹脂を、ペトリ皿、マイクロタイタープレート、マルチウェルプレート、又は他の培養装置に成形する。これは、コロナ放電若しくはプラズマ放電でのいずれの処理、又はプラスチック基材のいずれのコーティングをも行わずに実施してよい。任意選択で、コロナ若しくはプラズマ放電、又はプラスチック基材のコーティングを、二次的に実施してよい。 装置を調製するための、官能基タイプの決定工程に加えて、生物学的物質との最適な会合を促進する、親水性官能基の特定の濃度を決定する工程が方法に含まれてもよい。従って、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂とを混合する場合には、生物学的物質との最適な会合を促進するように決定される濃度と実質的に類似する、ポリマープラスチック樹脂に対する濃度で分子を混合できる。 上述のとおり、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂との混合には、両親媒性分子でポリマープラスチック樹脂をコーティングする工程を含めることができる。別法として、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂との混合には、両親媒性分子とポリマープラスチック樹脂を混成する工程が含まれてもよい。 本発明の原理は、以下の実施例を参照して、より明らかになるだろう。 [実施例] [実施例1:コーティングされる樹脂の調製] 20リットルのカーボイにポリスチレンペレットを充填し、重量を量った。ついで、カーボイ自体の重量を結果から差し引き、ペレットの重量を得た。ついで、1.0%の混合物を作製するための量に、Atmer 163(液体)を検量し、一度に約3分の1、ペレットに添加した。0.1%の混合物を作製するために、第2のバッチを調製した。Atmer−163のパーセンテージは、(Atmer−163の重量/ペレットの重量)×100として算出した。従って、1.0%の混合物については、10 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。0.1%の混合物については、1 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。Atmer−163をそれぞれ3分の1ずつ添加した後、全てのペレットが視覚的に均一にコーティングされるまで、カーボイ中でペレットを回転させるか、又はパワードリル及びオーガー(auger)を用いて混合した。 [実施例2:混成される樹脂の調製] ポリマーは押出し機中で溶融されるので、混成される樹脂をインラインで混合した。それらが溶融される押出し機のバレルへと、適切な重量のペレット及び添加物を計量して供給した。実施例1と同様に、1.0%と0.1%の混合物を調製した。従って、1.0%の混合物については、10 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。0.1%の混合物については、1 gのAtmer−163を1 kgのポリスチレンペレットに添加した。押出し機のバレルはスクリューを有しており、これが、溶融物質(ポリスチレン及びAtmer−163)を一端へと押し進め、同時に物質を混合した。押出し機の遠端の小さな穴(bore)から出てくる際に、ポリマー混合物は固められており、これをペレットへとカットした。 [実施例3] 細胞収率に対する効果が観察され得るかどうかを測定するために、Atmer 163とポリスチレン(コーティングされた樹脂)の滅菌混合物を試験した。上記実施例1で述べたとおり、ポリスチレン中にAtmer 163を手動で混合することにより、最終的な割合が1%(w/w)及び0.1%(w/w)の2つの混合物を調製した。これらの混合物では、樹脂をAtmer 163でコーティングした。混合樹脂をペトリ皿に成形し、ついで滅菌した。滅菌後、1%及び0%(v/v)の血清でHEK 293細胞を培養することにより、ディッシュを評価し、標準的なコロナ表面処理を有するディッシュ、又はCorningのCellBIND(登録商標)装置と結果を比較した。細胞収率(1 cm2当たりの回収細胞の生数値)又は相対細胞収率(CellBIND(登録商標)に対する細胞収率)を用いて比較を実施した。コロナ処理を有するディッシュを評価する場合には、ベルトから23 mm離れて700ワットの回転電極で、10 cm/秒で移動する移動式ベルトコンベアー上にコロナ放電を適用した。 ATCCから得たHEK細胞(寄託(accession)番号Crl−1573)を液体窒素中での貯蔵から取り出し、37℃で瞬間解凍(flash thawed)し、37℃及び5%CO2でのウォータージャケット式CO2インキュベーターにおいて、DMEM+10%FBS中、一晩、回復(recover)させた。24時間後、媒体を交換した。この実験の使用前に、細胞を4回継代し、凍結細胞は、ATCCで41回継代されていた。従って、細胞の総継代回数は、試験時に45回であった。1%又は0%のいずれかの血清中、約20,000細胞/cm2の濃度で細胞を播種した。CD 293媒体(GIBCO、Invitrogen Corporation, Carlsbad CAの細胞培養システム部門)中0%血清で増殖させる細胞を、GIBCOの取扱説明書に従って、37℃及び8%CO2でインキュベートした。1%血清で増殖させる細胞は、37℃及び5%CO2の標準条件でインキュベートした。 4日後、以下のとおり、ディッシュを滅菌PBS(カルシウム又はマグネシウムを含まない)で洗浄した:ディッシュの端に1 mLのPBSを添加し、4回揺り動かし、ついでアスピレートした。洗浄後、1 mLのトリプシンを添加し、およそ2分間、静置(stand)させた。2分後、目視検査により測定されるとおり、細胞が完全に底から外れるまで、5〜10秒間、ボルテックスプラットフォームミキサーを用いて、1000 RPMでディッシュを撹拌した。1 mLの10%FBS含有DMEMを添加して、トリプシン処理を停止させた。ついで、この溶液を1 mL取り出し、4 mLのトリパンブルーに添加して、ついで、血球計の上部及び下部チャンバー中で細胞をカウントした。 2つの異なる濃度のAtmer(1%又は0.1%w/w)(Atmerのグラム数/樹脂ペレット100)を有するものと、有しないものとで、基材処理(滅菌、コロナ、及び加熱)を比較した。1%は高濃度であり、0.1%は低濃度である。帯電防止適用に関連して、Uniqema(New Castle DE)の推奨比率に基づいて、濃度を選択した。細胞を血清不含媒体で増殖させた場合に、グループ間の差が促進された。表1及び2に結果を示す。これらの表において、「Nunclon Delta」は、標準的なコロナ表面処理を有するディッシュを表す。Nunclon(登録商標)Delta(Nunc A/S, Roskilde, Denmark)は、製品が、Nalge Nuncの標準的な品質システム文書STP−3004により定義されるとおりの、ある一連の細胞培養試験を合格した場合に発行される証明書である。 異なるポリスチレン混合物における、細胞収率に対する滅菌効果を評価した。滅菌は、18〜30キログレイのレベルでのガンマ線照射を介した。滅菌は、結果として、生の(raw)ポリスチレン、及びAtmerと混合したポリスチレンの両方において、絶対細胞収率、及びCellBIND(登録商標)に対する細胞収率(サンプルの細胞収率/CellBIND(登録商標)の細胞収率;「RCY」)を増加させた。混合とは、成形時、又は事前にかのいずれかにおいて、物質をポリマー中に組み込んだことを意味する。血清不含条件下、滅菌した天然(すなわち、変えていない)ポリスチレンについての平均細胞収率は、1218±264細胞/cm2であった。ポリスチレンを高濃度のAtmer(すなわち、1%Atmer)と混合した場合には、血清不含条件下、滅菌ポリスチレン上の細胞の収率は、318±142細胞/cm2であり、低濃度(すなわち、0.1%Atmer)では、6887±536細胞/cm2であった。 この実施例においては、関連する2つの濃度が存在する:血清及びAtmer。Atmerの2つの濃度を、血清の2つの濃度での細胞培養に用いた。低濃度Atmer混合物(0.1%w/w)についての細胞収率は、滅菌単独により占められ得る細胞収率よりも大きかった。天然ポリスチレンと高濃度Atmer混合物(1.0%w/w)との収率における差は、統計的に優位でなかったが、天然ポリスチレンと低濃度グループのAtmer混合物との差は、有意であった(P<0.05)。ポリスチレンの0.1%w/w濃度で混合されるAtmerは、血清を含有させずに細胞を増殖させる際に滅菌以外の他の処理を施していないポリスチレン上のHEK細胞収率に対して、統計的に有意な効果を有した。これらのデータを上記表1及び2に示す。 滅菌天然ポリスチレンにおいて、ウシ胎仔血清(1%v/v)とともに増殖させたHEK細胞は61,862細胞/cm2の細胞収率を有し、他方、1%Atmerと混合した滅菌ポリスチレンにおいて、FBS(1%)とともに増殖させたHEK細胞は6,696細胞/cm2であり、0.1%では49,107細胞/cm2であった。これらの差は、統計的に有意(p<0.05)であった。この細胞収率は、天然ポリスチレンについては、血清不含の細胞収率よりも約50倍高く、高濃度の混合物については20倍高く、低濃度の混合物については、約7倍高かった。血清の存在は、Atmerと混合したポリスチレン上で増殖させたHEK細胞の細胞収率よりも、天然ポリスチレン上で増殖させたHEK細胞の細胞収率に対して、非常に顕著な効果を有しており、細胞との結合に対して、2つ以上のメカニズムが存在することを示唆していた。CellBIND(登録商標)上で増殖させたHEK細胞は、相対的に、血清不含条件下で増殖させた場合には平均35,357±1929細胞/cm2を産生し、血清とともに増殖させた場合には105,377±10,000細胞/cm2を産生した。 異なるポリスチレン混合物における、収率に対するコロナ処理の効果もまた評価した(表3及び4を参照されたい)。 およそ8秒間の処理時間、700ワットで、プレートの下部から23 mm離れた位置での回転ヘッドトリーター(head treater)により、コロナ処理を導入した。コロナ処理は、結果として、天然ポリスチレン及びAtmerと混合したポリスチレンの両方について、収率(すなわち細胞増殖)を増加させた。血清不含条件下、コロナ処理された滅菌天然ポリスチレン上での細胞収率は、コロナ処理していないものの1,218±264細胞/cm2と比較して、9,571±884細胞/cm2であり、これは、約8300細胞/cm2の絶対増加及びほぼ8倍の相対増加であった。ポリスチレンを高濃度(1%)のAtmerと混合した場合には、収率は、コロナ処理していないものの318±142細胞/cm2と比較して、9,566±2182細胞/cm2であり、これは、約9,200細胞/cm2の絶対増加及び約30倍の相対変化であった。Atmerを低濃度(0.1%)でポリスチレンと混合した場合には、コロナ処理した収率は、コロナ処理していないものの6,887±536細胞/cm2と比較して、30,676±1846細胞/cm2であり、これは、約24,000細胞/cm2の絶対増加及び約4.5倍の相対増加であった。 コロナ処理により提供される収率増加の絶対収率及び程度(magnitude)は、生のポリスチレンに対するものよりも、Atmerのいずれかの混合物に対するものの方が大きかった。最も大きな相対増加は、最も高い濃度のAtmerで観察された;1%混合物については30倍増加であり、0.1%混合物については4.5倍増加。 混合したポリマーの加熱効果を評価した。ブルーミングは拡散律速プロセスであることから、温度は、平衡が達成される速度に対して、大きな効果を有する。血清不含条件下、60℃で24時間加熱した表面は、非加熱表面よりも高い細胞収率を有した。結果を下記表5に示す。 高濃度(1%)で混合したAtmerから基材を調製した場合には、収率は、318±142細胞/cm2から8992±2337細胞/cm2に増加し、これは、8,674細胞/cm2の絶対増加及び約28倍の相対増加であった。低濃度(0.1%)では、加熱された表面上で増殖させた細胞の収率は、13,073±1681細胞/cm2であり、他方、加熱していない表面上で増殖させた細胞の収率は、6,877±1659細胞/cm2であり、これは、6,113細胞/cm2の絶対増加及びほぼ2倍の相対増加であった。この増加は、統計的に有意であった(p<0.05)。 加熱はまた、血清不含条件下、コロナ処理した部分の収率にも影響を及ぼした。さらに、加熱順序(コロナ処理の前又は後)は効果を有した。高濃度の混合物(1%Atmer)では、コロナ処理基材上の収率は、9,566±6902細胞/cm2であり、処理前に加熱した場合には、収率は24,617±4688細胞/cm2であり、処理後に加熱した場合には、収率は15,625±2792細胞/cm2であった。高濃度混合物としての表面上での細胞増殖については、処理前に加熱を適用すると、収率が約15,000細胞/cm2増加し、処理後に加熱を適用すると、収率が約6,000細胞/cm2増加した。低濃度混合物としての細胞増殖については、コロナ処理基材に対する収率が30,676±5841細胞/cm2であり、処理前に加熱すると、収率が29656±5754細胞/cm2であり、後で加熱すると、収率が31888±7914細胞/cm2であった。 低濃度基材(0.1%Atmer)上での細胞増殖に対する、実質的な加熱効果は全くないが、高濃度基材(1%Atmer)には顕著な効果を有した。加熱順序(sequence)の差もまた有意であった(p<0.05)。低濃度混合物は、順序に関わらず、高濃度のものより顕著に優れていた。低濃度基材に対する絶対収率は、加熱による影響を受けず、高濃度基材に対する加熱効果を考えたとしても、依然として高かった。 従って、細胞収率の改善が、低減した血清条件及び血清不含条件の両方において、より低い0.1%濃度のAtmerで特に観察された(Nunclon(登録商標)Deltaを超える)。血清不含媒体中の収率は、いくつかのグループについて、CorningのCellBIND(登録商標)表面に匹敵した。混合は、HEK 293細胞などの付着性細胞系の細胞収率を改善できることがデータから示された。 [実施例4] 細胞収率に対する効果が観察され得るかどうかを測定するために、Atmer 163とポリスチレン(混成された樹脂)の滅菌混合物を試験した。Polyvel Inc.(Hammonton, NJ)により、最終濃度が10%のAtmerとなるように、Atmer−163とポリスチレン樹脂を混成した。ついで、最終濃度が5%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、及び0.01%のAtmer−163となるように、通常のポリスチレンペレット(w/w)へと混成ペレットを計量して供給した。ついで、これらの樹脂混合物から60 mmのペトリ皿を成形し、非滅菌部分上で、血清不含媒体(GIBCO CD−293A)における、HEK−293細胞の増殖を観察した。上記実施例3のとおりに、HEK−293細胞の増殖が達成された。非処理混合物及びコロナ混合物の両方を用いてペトリ皿を調製した。クリスタルバイオレット染色抽出(extraction)及び顕微鏡検査を用いることにより、細胞の付着を概算(estimate)した。より詳細には、クリスタルバイオレット染色を5分間細胞に適用し、ついで、水道水ですすいだ。残った染色を、dH2O中1%Triton X−100の溶液で抽出した。分光光度法を用いて、562 nmで染色強度を測定した。図3に示す結果では、残った染色が多いほど、付着性細胞の数が多い。図に示すとおり、コロナ処理Atmer混合物の多くが、HEK−293細胞の増殖におけるCellBIND(登録商標)などの現行製品よりも優れていた。 本発明は、好ましい実施態様の詳細を参照することにより開示しているが、本発明の精神及び添付の請求項の範囲内で、当業者ならば変形を容易に行うことが意図されるので、本開示は、限定的な意味というよりもむしろ、例証として意図されることが理解されるべきである。 本明細書の一部に組み込まれ、これを構成する添付の図面は、本発明の実施態様を例証し、上記本発明の概要及び実施態様の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。図1は、本発明の原理に従って用いられてよい、両親媒性分子の一例であるアルキルアミンエトキシレート(Atmer 163)の構造を表す。図2は、ポリマープラスチック基材に関連する、両親媒性分子の「ブルーミング」を示す概略図である。図3は、本方法の異なる実施態様における、付着性細胞の数を示すグラフである。「Corona」はコロナ処理を示し、「PLASMA」はプラズマ処理を示す。 ポリマープラスチック樹脂と、アルキルアミンエトキシレート、ポリエチレンイミン、オクチルデカミン、又はこれらの混合物から選択される両親媒性分子(10)との混合物から調製される、生物学的物質を付着させるための非繊維状基材を含む生物学的物質の培養装置であって、前記両親媒性分子が親水性部分(14)と疎水性領域(16)とを含み、前記疎水性領域(16)が前記基材内に埋め込まれており、かつ前記親水性部分(14)が前記基材表面上に曝露されていることを特徴とする、生物学的物質の培養装置。 前記混合物の樹脂が、前記両親媒性分子(10)でコーティングされている、請求項1記載の装置。 前記混合物の樹脂が、前記両親媒性分子(10)と混成されている、請求項1記載の装置。 前記プラスチックポリマーが、ポリスチレン、ポリプロピレン、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、又はこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。 前記両親媒性分子(10)が、1%w/wの割合で前記ポリマープラスチック樹脂と混合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。 前記両親媒性分子(10)が、0.1%w/wの割合で前記ポリマープラスチック樹脂と混合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。 前記表面が、コロナ放電又はプラズマ放電でさらに処理される、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。 前記表面が、ポリ−D−リジン又はコラーゲンでさらにコーティングされる、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。 前記疎水性領域(16)が、10〜30個の炭素原子長を有する炭素結合原子の鎖である、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。 前記生物学的物質が、付着性表現型を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。 前記生物学的物質が、細胞、細胞小器官、ウイルス、バクテリア、生体分子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10記載の装置。 − 付着性表現型の生物学的物質との会合を促進する親水性官能基のタイプを決定する工程; − 前記親水性官能基を含む親水性領域(14)と疎水性領域(16)とを含む、アルキルアミンエトキシレート、ポリエチレンイミン、オクチルデカミン、又はこれらの混合物から選択される両親媒性分子(10)を選択する工程; − 前記両親媒性分子(10)とポリマープラスチック樹脂とを混合して、混合樹脂を形成する工程;及び − 前記混合樹脂から形成された基材を含む前記混合樹脂から、前記生物学的物質の培養装置を調製する工程、を含み、前記疎水性領域(16)が前記基材内に埋め込まれており、かつ前記親水性部分(14)が前記基材表面上に曝露されていることを特徴とする、生物学物質の培養装置の製造方法。 前記生物学的物質との会合を促進する前記親水性官能基(14)の濃度を測定する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。 前記両親媒性分子(10)と前記ポリマープラスチック樹脂とを混合する工程が、前記ポリマープラスチック樹脂を前記両親媒性分子(10)でコーティングする工程をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。 前記両親媒性分子(10)と前記ポリマープラスチック樹脂とを混合する工程が、前記ポリマープラスチック樹脂を前記両親媒性分子(10)と混成する工程をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。 前記細胞培養装置の表面をコロナ放電又はプラズマ放電で処理する工程をさらに含む、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。


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