生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_コハク酸トコフェロールカルシウム含有打錠用顆粒
出願番号:2007124312
年次:2008
IPC分類:A61K 9/20,A61K 47/04,A61K 31/355


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安西 浩之 舘下 謙吾 JP 2008280267 公開特許公報(A) 20081120 2007124312 20070509 コハク酸トコフェロールカルシウム含有打錠用顆粒 大正製薬株式会社 000002819 佐鳥 宗一 100115406 安西 浩之 舘下 謙吾 A61K 9/20 20060101AFI20081024BHJP A61K 47/04 20060101ALI20081024BHJP A61K 31/355 20060101ALI20081024BHJP JPA61K9/20A61K47/04A61K31/355 3 OL 6 4C076 4C086 4C076AA31 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC23 4C076CC24 4C076DD29 4C076DD67 4C076EE31 4C076EE32 4C076EE38 4C076FF07 4C076GG14 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA09 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA41 4C086NA20 4C086ZC29 本発明は、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する打錠用の顆粒に関し、医薬品等の分野で適用可能な固形製剤の製造技術に関する。 ビタミンEとして知られるコハク酸トコフェロールカルシウムは、油状物質を吸着させているため付着性があり、ハンドリングの悪い粉末状顆粒として提供されている。これを5質量%以上含有する顆粒を打錠すると、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒が打錠用の臼や杵に付着するという打錠障害が起こることがあった。 かかる打錠障害は顆粒中のコハク酸トコフェロールカルシウムの含有量が多いほど顕著であるとともに、短時間に大量の錠剤の製造を強いられる実生産規模における打錠の場合に顕著であった。 具体的には、打錠中に打錠用の臼や杵に顆粒が付着し、下杵の押し上げ圧力が上昇し、その程度が著しい場合には、打錠機が異音を発したりすることがあった。また、作業終了後に打錠機の整備のため、下杵を打錠機から取り外す際に杵がホルダーから外れなくなることもあった。 このような打錠障害を軽減するために一般的にはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤の配合が行われるが、滑沢剤を多量に配合すると錠剤の硬度が低下するという問題があった。また、軽質無水ケイ酸等の吸油能のある添加剤の配合も行われるが、多量に配合するとそれだけ錠剤が大きくなり、かつ、顆粒の嵩が増して製造時のハンドリングが難しくなるという問題があった。 これに対し、撹拌造粒において、処方中の付着性の少ない一部の粉末を造粒末期に添加すると、造粒粒子の表面を被覆し、打錠障害が軽減されうることが知られている(非特許文献1参照)。坂本浩ら「<医薬品・食品・化粧品>造粒・打錠プロセスにおける各種トラブル対策−ノウハウ集−」技術情報協会、2004年、p.168 本発明は、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒を打錠(圧縮成型)する際に生じる臼・杵への顆粒の付着を防止又は軽減する方法を提供することを課題とする。 本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒を調製し、これに比較的少量の含水二酸化ケイ素を添加・混合することにより、コハク酸トコフェロールカルシウムに起因する打錠(圧縮成型)時の臼・杵への顆粒の付着を軽減できることを見出した。 かかる知見より得られた本発明の態様の1つは、コハク酸トコフェロールカルシウムを 5〜30質量%含有する顆粒、及び該コハク酸トコフェロールカルシウムの1質量部に対して0.2〜0.5質量部の含水二酸化ケイ素、を含有することを特徴とする打錠用顆粒である。 本発明の他の態様は、前記打錠用顆粒を打錠することによって得られるコハク酸トコフェロールカルシウム含有錠剤である。 本発明の他の態様は、コハク酸トコフェロールカルシウムを5〜30質量%含有する顆粒に、該コハク酸トコフェロールの1質量部に対して0.2〜0.5質量部の含水二酸化ケイ素を添加・混合することによって、打錠時のコハク酸トコフェロールカルシウムに起因する臼・杵への打錠用顆粒の付着を防止又は改善する方法である。 本発明により、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒を打錠する際に生じる臼・杵への顆粒の付着を軽減し、打錠障害を改善したコハク酸トコフェロールカルシウム含有打錠用顆粒を提供することが可能となった。 「コハク酸トコフェロールカルシウム」とは、末梢循環障害改善などの目的で配合されるビタミンEである。 コハク酸トコフェロールカルシウムの含有(配合)量は、含水二酸化ケイ素を添加する前の顆粒中に5〜30質量%である。5質量%未満では打錠障害が生じないか、軽微で本発明を用いる意義に乏しく、30質量%を超えると本発明を以てしても打錠障害を改善しえないか、錠剤が大きくなりすぎて好ましくないからである。 コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する「顆粒」は、コハク酸トコフェロールカルシウムを前記のように5〜30質量%含有するほか、他の有効成分及び/又は公知の添加剤等によって構成される。「顆粒」はコハク酸トコフェロールカルシウムを直接含有する顆粒の他、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒を調製し、これとコハク酸トコフェロールカルシウムを含有しない顆粒を1種以上混合した顆粒であるとを問わない。顆粒は一般的には造粒物であり、例えば、コハク酸トコフェロールカルシウム、他の有効成分及び公知の添加剤を混合した粉体を、乾式造粒法又は湿式造粒法を経て調製される。もっとも、本発明においては、顆粒は必ずしも造粒物であることを要せず、例えば、コハク酸トコフェロールカルシウム、他の有効成分及び公知の添加剤を混合した粉体であってもよい。この場合には、かかる粉体に含水二酸化ケイ素を添加・混合したものが後述する「打錠用顆粒」となり、一般的には直打用顆粒と呼ばれる。 なお、他の有効成分としては塩酸ジセチアミン、リン酸ピリドキサール、ガンマ−オリザノールなどが挙げられ、公知の添加剤としては結晶セルロース、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。これらを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。 「含水二酸化ケイ素」は、流動性改善などの目的に使用される賦形剤であり、カープレックス(商品名:塩野義製薬製)、アドソリダー102(商品名:フロイント産業製)などとして市販されている。 含水二酸化ケイ素の添加(配合)量は、顆粒中のコハク酸トコフェロールカルシウムの含有量に依存し、通常コハク酸トコフェロールカルシウムの1質量部に対して0.2〜0.5質量部であり、好ましくは0.25〜0.4質量部である。0.2質量部未満であるとコハク酸トコフェロールカルシウムに起因する打錠障害の改善作用が充分でなく、0.5質量部を超えて添加(配合)してもコハク酸トコフェロールカルシウムに起因する打錠障害の改善作用が増強されることはなく、却って打錠用顆粒の嵩や錠剤が大きくなる等の不都合を生じるからである。 「打錠用顆粒」は、前記コハク酸トコフェロールカルシウム含有「顆粒」に含水二酸化ケイ素を添加し、混合することによって調製される粉体であり、錠剤を打錠(圧縮成型)するのに用いられる。前述のごとく通常は造粒物であるコハク酸トコフェロールカルシウム含有顆粒に含水二酸化ケイ素を後末添加して調製されるが、直打用顆粒とする場合にはコハク酸トコフェロールカルシウムを含有する粉体に含水二酸化ケイ素を直接添加し、混合させてもよい。この場合にはコハク酸トコフェロールカルシウムと含水二酸化ケイ素の添加順序は問題にならないし、造粒物であるコハク酸トコフェロールカルシウム含有顆粒を含水二酸化ケイ素に添加し、混合しても本発明の作用を奏する限りは、本発明に包含される。 なお、含水二酸化ケイ素を添加する際には、他の公知の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合してもよい。このような添加剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、タルク、酸化チタン、カルナバロウなどが挙げられる。 「錠剤」は、前記打錠用顆粒を打錠(圧縮成型)することによって調製され、そのままでも服用できるが、フィルムコーティングや糖衣を施してもよい。 「打錠」には、一般的な打錠機が用いられ、実生産打錠機を高速稼働させた場合に本発明を用いる意義が特に大きい。 以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。[1]処方[2]製造方法 上表1のA顆粒及びB顆粒の成分をそれぞれ秤量し、ビニール袋中で混合後粉砕した。その後バーチカルグラニュレータを用いて、A顆粒はエタノールで、B顆粒は精製水でそれぞれ撹拌造粒を行い、流動層乾燥機にて乾燥した。得られた顆粒をそれぞれ22M(710μm)篩で整粒し,A顆粒、B顆粒及び整顆成分を混合し打錠用顆粒を調製した。得られた打錠用顆粒をロータリー式打錠機(バーゴ;菊水製作所製)で、1錠重量を実施例1〜3及び比較例2では242mgに、比較例1では231mgに設定し、錠径8.5mm、2段R面の錠剤を40rpm下、25分間打錠して製造した。 試験例1 付着状況の評価[1]評価方法及び結果 付着状況を下杵の最大押上圧力、及び打錠終了後の下杵の抜けやすさ(下記)で評価し、その評価に該当する下杵の本数との積を付着指数として、算出した。結果を表2に記載する。 打錠終了後の下杵の抜けやすさ: 簡単に抜ける:0,若干力を加えないと抜けない:0.5,手では抜けない:1[2]結果及び考察 多孔性のケイ酸を添加しない場合,下杵の最大押上圧を示す値が24.4kgfを示した。しかし多孔性のケイ酸を後末添加すると押上圧力が低下し、特にカープレックス♯80(商品名:塩野義製薬製)、アドソリダー102(商品名:フロイント産業製)では16.0kgf、17.0kgfまで低下することが判明した。多孔性のケイ酸を添加しないときは打錠終了後、4本中1本の下杵が完全に抜けなくなったが、カープレックス♯80,アドソリダー102などを添加した場合、全ての下杵を手で抜くことができた。 以上の結果から、カープレックス♯80及びアドソリダー102が、コハク酸トコフェロールカルシウムに起因する臼・杵への打錠用顆粒の付着を最も効果的に改善することができる多孔性のケイ酸であることが明らかとなった。そして、比重が重くハンドリング性が良い等の理由から、アドソリダー102が最も好ましいと思料する。 本発明により、コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する錠剤を短時間に大量に製造し、製造後の打錠機のメンテナンスにかかる負担を大幅に軽減することが期待される。 コハク酸トコフェロールカルシウムを5〜30質量%含有する顆粒、及び該コハク酸トコフェロールカルシウムの1質量部に対して0.2〜0.5質量部の含水二酸化ケイ素、を含有することを特徴とする打錠用顆粒。 請求項1に記載の打錠用顆粒を打錠することによって得られるコハク酸トコフェロールカルシウム含有錠剤。 コハク酸トコフェロールカルシウムを5〜30質量%含有する顆粒に、該コハク酸トコフェロールの1質量部に対して0.2〜0.5質量部の含水二酸化ケイ素を添加・混合することによって、打錠時のコハク酸トコフェロールカルシウムに起因する臼・杵への打錠用顆粒の付着を防止又は改善する方法。 【課題】コハク酸トコフェロールカルシウムを含有する顆粒を打錠する際に生じる臼・杵への顆粒の付着を防止又は軽減する方法を提供する。【解決手段】コハク酸トコフェロールカルシウムを5〜30質量%含有する顆粒、及び該コハク酸トコフェロールカルシウムの1質量部に対して0.2〜0.5質量部の含水二酸化ケイ素、を含有することを特徴とする打錠用顆粒。【選択図】なし


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