タイトル: | 公開特許公報(A)_カルシトニン類の徐放性製剤 |
出願番号: | 2007124096 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 38/23,A61K 9/51,A61K 47/34,A61K 9/50,A61P 25/04,A61P 25/02 |
竹内 洋文 岸 潤一郎 JP 2008280264 公開特許公報(A) 20081120 2007124096 20070509 カルシトニン類の徐放性製剤 旭化成ファーマ株式会社 303046299 川口 義雄 100062007 小野 誠 100114188 渡邉 千尋 100140523 金山 賢教 100119253 大崎 勝真 100103920 坪倉 道明 100124855 竹内 洋文 岸 潤一郎 A61K 38/23 20060101AFI20081024BHJP A61K 9/51 20060101ALI20081024BHJP A61K 47/34 20060101ALI20081024BHJP A61K 9/50 20060101ALN20081024BHJP A61P 25/04 20060101ALN20081024BHJP A61P 25/02 20060101ALN20081024BHJP JPA61K37/30A61K9/51A61K47/34A61K9/50A61P25/04A61P25/02 101 5 OL 12 4C076 4C084 4C076AA61 4C076AA65 4C076AA67 4C076BB01 4C076BB11 4C076CC29 4C076DD08 4C076DD47 4C076EE06 4C076EE24A 4C076EE48A 4C076FF32 4C084AA03 4C084BA01 4C084BA19 4C084BA23 4C084CA18 4C084DB31 4C084MA05 4C084MA38 4C084MA55 4C084NA12 4C084ZA082 本発明は、神経因性疼痛の治療剤及び/又は予防剤として、安全、且つ、速効性の優れた鎮痛作用を有するカルシトニンの徐放性製剤に関する。 神経因性疼痛(ニューロパシックペインまたは神経障害性疼痛とも呼ばれるが、以下、本願明細書では神経因性疼痛と呼ぶ。)とは、末梢または中枢神経系の機能異常の結果として生じる難治性疼痛である。神経因性疼痛は外傷、感染、癌、虚血、糖尿病などの代謝障害等によって引き起こされる神経障害により発症する。発症のメカニズムは不明な点が多いが、知覚神経の異常な持続的発火等が原因と考えられている。神経因性疼痛の代表的な症状には、アロディニア、痛覚過敏又は知覚過敏などがある。これらの症状は、“焼け付くような”、“針で刺されるような”又は”電気ショックのような”等と表現される特徴的な痛みを呈する。神経因性疼痛には通常の侵害受容性疼痛に有効である鎮痛剤、特に麻薬性鎮痛薬等は効きにくいことが知られている(非特許文献1)。 この神経因性疼痛に対して、カルシトニン、特に[ASU1−7]ウナギカルシトニン(特許文献1に記載の化学名1−ブチル酸−7−(L−2−アミノブチル酸)−26−L−アスパラギン酸−27−L−バリン−29−L−アラニンカルシトニン;以下「エルカトニン」と称することもある)を持続投与すると速効性の強い鎮痛作用を示すこと、さらには血清カルシウムを変動させない用量の持続投与でも同様の効果を示すことが報告され、さらに、持続投与時間としては、8時間以上が好ましく、12時間以上がさらに好ましく、16時間以上が特に好ましく、投与期間としては1か月以下が好ましく、2週間以下がさらに好ましいことが報告されている(特許文献2)。 近年医薬品の製剤技術に関する研究領域において、生体内分解性高分子を基剤としたコントロールリリース製剤などの研究が数多くなされている。そのうち、すでにかなりの技術が積み重ねられているものに、マイクロスフェア(マイクロカプセルと称されることもある)と称されるものがあり、注射剤や経口剤などでの利用が試みられている。 これらのなかには、薬物として黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)の誘導体である酢酸リュープロレリンを含み、高分子として生体内分解性ポリマーである乳酸・グリコール酸共重合体を用いたもので(非特許文献2)、既に医薬品として利用されているものもある。 乳酸・グリコール酸共重合体を用いたマイクロスフェアの溶出特性の問題として、溶出初期に急激な薬物放出が生じる初期バーストが挙げられ、初期バーストが起こると血中濃度が上昇し、副作用を生じる恐れがあることが報告されている(特許文献3)。特公昭53−41677号公報国際公開WO2006/132261号パンフレット特開平9−110678号公報The Lancet 353,1959−1966,1999Chem.Pharm.Bull.,vol.36,1095−1103,(1988) 本発明は、神経因性疼痛の治療剤及び/又は予防剤として、安全、且つ、速効性の優れた鎮痛作用を有するカルシトニンの徐放性製剤を提供することを目的とするものである。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、目的とする溶出性を示す製剤処方を見いだし、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(1)カルシトニンを有効成分として含有し、生体内分解性ポリマーから形成されるマイクロスフェアであり、該マイクロスフェアを66.7mMリン酸緩衝液(pH7.4)中に懸濁させ、37℃にて毎分55〜65回の振とう条件で溶出試験を実施した際に、溶出率が溶出試験開始から1時間後の時点で約30%以下であり、且つ、溶出試験開始から1週間後の時点で約70%以上を示すことを特徴とする徐放性製剤、(2)生体内分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及び乳酸・グリコール酸共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である前記(1)に記載の徐放性製剤、(3)生体内分解性ポリマーが乳酸・グリコール酸共重合体であり、その組成が、乳酸/グリコール酸の重合比が約50/50、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体と乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体の組成比が約4:1〜約1:4である前記(2)に記載の徐放性製剤、(4)生体内分解性ポリマーが乳酸・グリコール酸共重合体であり、その組成が、乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約5000の乳酸・グリコール酸共重合体と乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体の組成比が約4:1〜約1:4である前記(2)に記載の徐放性製剤、(5)カルシトニンがエルカトニンである前記(1)〜(4)に記載の徐放性製剤、に関する。 本発明により、薬剤投与による患者への負担や、副作用が軽減でき、より効果の高い速攻性のある神経因性疼痛治療剤及び/又は予防剤であるカルシトニンの徐放性製剤を提供することが可能となる。 以下、本願発明について具体的に説明する。 本発明の神経因性疼痛治療剤及び/又は予防剤の有効成分として有用なカルシトニンとしては、種々の天然型カルシトニン、またはそのペプチド類似体等が挙げられる。天然型カルシトニンの例としては、ニワトリカルシトニン、ウナギカルシトニン、ヒトカルシトニン、サケカルシトニン、またはブタカルシトニン等が挙げられ、ウナギカルシトニン、サケカルシトニン(Helv.Chim.Acta(1969),52(7),1789−95)が好ましい例として挙げられ、ウナギカルシトニンが特に好ましい例として挙げられる。また、別の態様としては、サケカルシトニンが好ましい場合もある。 天然型カルシトニンのペプチド類似体の例としては、前述の天然型カルシトニンの構造に基づいて、その1,7位のジスルフィド結合を化学的に修飾した化合物等が挙げられ、具体的には[ASU1−7]ニワトリカルシトニン、[ASU1−7]ウナギカルシトニン等が好ましい例として挙げられ、[ASU1−7]ウナギカルシトニン(エルカトニン)が特に好ましい例として挙げられる。 本発明の神経因性疼痛治療剤及び/又は予防剤の有効成分として有用なカルシトニンとしては、エルカトニン、又はサケカルシトニンが特に好ましく、エルカトニンが最も好ましい。 本発明に用いられる生体内分解性ポリマーとは、下記の溶出性を示すマイクロスフェアを形成し、生体内で分解・消失される性質を有する高分子重合物であれば、特に限定されない。例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸およびヒドロキシ酪酸などからなる群から選ばれる一種の重合物でもよく、2種以上の共重合物でもよい。これらの中で、好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、及び乳酸・グリコール酸共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、より好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、又は乳酸・グリコール酸共重合体が挙げられ、さらに好ましくは乳酸・グリコール酸共重合体が挙げられる。 例えば、乳酸・グリコール酸共重合体の処方としては、乳酸/グリコール酸の重合比が約50/50、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体(=PLGA5020)と、乳酸とグリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体(=PLGA7520)を用いて、PLGA5020とPLGA7520の組成比率が約4:1〜約1:4、好ましくは約3:1〜約1:3、さらに好ましくは約2:1〜1:2、特に好ましくは、約1:2である。又、約1:1が好ましい別の態様もある。さらには、約2:3が好ましい別の態様もある。また別の例としては、乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約5000の乳酸・グリコール酸共重合体(=PLGA7505)と、乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体(=PLGA7520)を用いて、PLGA7505とPLGA7520の組成比率が、約4:1〜約1:4、好ましくは約3:1〜約1:3、さらに好ましくは約2:1〜1:2、特に好ましくは、約1:2である。又、約1:1が好ましい別の態様もある。さらには、約2:3が好ましい別の態様もある。 本発明のマイクロスフェアの溶出性としては、該マイクロスフェアを66.7mMリン酸緩衝液(pH7.4)中に懸濁させ、37℃にて毎分55〜65回の振とう条件で溶出試験を実施した際に、溶出試験開始から1時間後の時点での溶出率が約30%以下であれば、実質的に初期バーストは抑制されていると判断できるが、好ましくは約20%以下であり、さらに好ましくは約10%以下である。また、本発明のマイクロスフェアの溶出性としては、該溶出試験開始から1週間後ではなく、2週間後の時点での溶出率が実質的に100%となる様にコントロールされることが好ましい。該溶出試験開始から1週間後の時点での溶出率としては、70%以上であることが好ましく、72%〜95%であることがより好ましく、73%〜90%であることがさらに好ましく、75%〜85%であることが特に好ましい。そして、該溶出試験開始から2週間後の時点での溶出率としては78%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、84%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、95%以上が特に大変好ましい。すなわち、溶出試験開始から1時間後の時点での溶出率が約30%以下、好ましくは約20%以下、さらに好ましくは約10%以下であり、且つ、溶出試験開始から1週間後の時点での溶出率が約70%以上を示す溶出性が好適な例として挙げられ、溶出試験開始から1週間後の時点での溶出率が72%〜95%を示す溶出性がより好ましく、溶出試験開始から1週間後の時点での溶出率が73%〜90%を示す溶出性がさらに好ましく、溶出試験開始から1週間後の時点での溶出率が75%〜85%を示す溶出性が特に好ましい例として挙げられる。 本発明のマイクロスフェアの基本的な調製法の例として、「油中エマルション溶媒拡散法」の概略を以下に示すが、本発明のマイクロフェアーの調製法として、この方法のみにとらわれるものではない。 「油中エマルション溶媒拡散法」では、まず、脂肪酸グリセリドなどの脂質、n−ヘキサンなどの第1の有機溶媒、及び第1の乳化剤を混合し、溶解した外相<A>を調製する。一方、生体内分解性ポリマー、カルシトニン、及び第2の乳化剤を第2の有機溶媒に溶解した内相<B>を調製する。外相<A>中に攪拌下、内相<B>をペリスターポンプなどを用いて、ゆっくりと滴下する。次に、加温減圧下、数時間にわたり攪拌を続け、マイクロスフェアを生成させる。得られたマイクロスフェアの懸濁液について、必要に応じ第1の有機溶媒を加えたのち、遠心分離を行い、上澄み液を除去する。さらに必要に応じ、粒子表面の脂質を除去するために第1の有機溶媒を加えて再懸濁し、遠心分離後、上澄み液を除去する操作を繰り返す。 得られたペレットを、ポリビニルアルコールを溶解した水系溶液(水溶液、各種の緩衝液溶液)中に分散させる。その後、遠心分離、上澄み液を除去後、ペレットを水に再懸濁する。得られた懸濁液を凍結乾燥することにより、カルシトニンを封入したマイクロスフェアを得ることができる。 外相<A>に用いる脂質とは、生体内分解性ポリマー及びカルシトニンを溶かしにくい性質を持つ単純脂質であり、例としては、大豆油、ゴマ油、ヒマシ油、コーン油、綿実油などの植物油、脂肪酸グリセリドなどが挙げられ、脂肪酸グリセリドが好適な例として挙げられるが、前記の例の2種以上を混合して用いてもよい。脂肪酸グリセリドとしては、中鎖脂肪酸トリグリセリドが好ましく、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンが特に好ましい。また、これらの脂質の代わりに、流動パラフィンやシリコーンオイルを用いてもよい。 第1の有機溶媒とは、用いる脂質を溶かしやすく、且つ生体内分解性ポリマー及びカルシトニンを溶かしにくい溶媒であり、例えば炭化水素系溶媒が好ましく、具体的にはn−ヘキサン、n−ヘプタンなどが挙げられ、n−ヘキサンが特に好ましい。 外相<A>は、上記の脂質または第1の有機溶媒を単独で用いてもよいが、好ましくは、脂質と第1の有機溶媒を混合して用いた方がよく、さらに好ましくは、中鎖脂肪酸トリグリセリドとn−ヘキサンなどを混合して用いるのがよい。 内相<B>に用いる第2の有機溶媒とは、生体内分解性ポリマーおよびカルシトニンを溶かしやすく、第1の有機溶媒に溶け込む性質を持ち、且つ第1の有機溶媒より低沸点の有機溶媒である。該溶媒の沸点としては、約120℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは約30〜80℃である。例としては、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等であり、またこれらの2種以上の混合溶媒であってもよい。 第1及び第2の乳化剤は、それぞれの溶媒に溶解するものの中から、適当なものを選ぶことができる。第1の乳化剤は、条件によっては無くてもよい。乳化剤の例としては、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体などの非イオン性界面活性剤、レシチンなどが挙げられる。これらの乳化剤は2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは、それぞれ非イオン性界面活性剤を用いるのがよく、第2の乳化剤としては、モノオレイン酸ソルビタンが特に好ましい。 外相<A>と内相<B>の混合比率は、内相<B>1重量部当たり、外相<A>0.5〜1000重量部、好ましくは1〜100重量部である。また、生体内分解性ポリマーの内相<B>中の濃度は、ポリマーの種類や分子量、第2の有機溶媒の種類によって異なるが、通常0.01〜50%(w/w)、好ましくは0.1〜30%(w/w)である。また、カルシトニンの生体内分解性ポリマーに対する割合は、例えば、0.0005〜50%(w/w)、好ましくは0.05〜20%(w/w)である。また、ポリビニルアルコールの水系溶液中の濃度は、通常0.05〜5%(w/w)であり、好ましくは0.3〜3%(w/w)である。また、乳化剤を使用する際の濃度は、通常0.01〜20%(w/w)であり、好ましくは0.05〜10%(w/w)である。 攪拌は、通常マグネティックスターラーなど緩和な条件で行うが、必要ならば高速ホモジナイザーなどを用いてもよい。 また、調製したマイクロスフェアの単離は、上記に示したような凍結乾燥の他、超遠心分離や透析などにより行うことができる。 また、上記に示した内相<B>に代えて、例えばW/O型エマルションを内相<B>として用いてマイクロスフェアを調製してもよい。即ち、生体内分解性ポリマーと乳化剤をクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどの揮発性有機溶媒に溶解し、これに、カルシトニンを、例えば水溶液、各種緩衝液などの水系溶媒に溶解したものを加え、ホモジナイザーなどを用いてW/O型エマルジョンを調製し、これを上記の内相<B>として用いてもよい。 本発明のマイクロスフェアの粒子径としては、該マイクロスフェアを精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定し、粒子径の算出方法として、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)として求めた場合において、400nm〜10000nmが好ましく、500nm〜5000nmがより好ましく、600nm〜3000nmがさらに好ましく、800nm〜2000nmが特に好ましい。 本発明のマイクロスフェアを含有する製剤としては、注射剤、経口投与剤、経鼻投与剤、経肺投与剤、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)などが挙げられ、好ましくは注射剤(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射又は腹腔内注射)が挙げられる。 製剤の投与量は、製剤からの薬物の放出量をもとに、以下の神経因性疼痛に有効な投与量から換算する。神経因性疼痛に有効な投与量は、ヒトにおける下限値として、0.003mU/kg/week以上が好ましく、0.01mU/kg/week以上がより好ましく、0.03mU/kg/week以上がさらに好ましい。ヒトにおける上限値として、血清カルシウム値を変動させない量、すなわち56U/kg/week未満が好ましく、40U/kg/week以下がより好ましく、18U/kg/week以下がさらに好ましく、3U/kg/week以下が最も好ましい。 (実施例) 以下に、実施例、参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。更に実験例を挙げて、本発明製剤の効果を具体的に示す。なお、以下の実施例において、乳酸・グリコール酸共重合体はPLGAと略す。 エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:1)粉末 ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(Hexaglyn PR−15;日光ケミカルズ社製)を1.2%含有するトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(トリエスターF810;日光ケミカルズ社製)60mLを調製し、さらにn−ヘキサン40mLを混合溶解し外相を調製した。次に、エルカトニン(旭化成ファーマ社製)1mgをメタノール1.5mLに溶解させ、モノオレイン酸ソルビタン(Span80:ナカライテスク社製)100mg、PLGA5020(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=50/50、和光純薬工業社製)50mgとPLGA7520(平均分子量20000、乳酸:グリコール酸重合比=75:25、和光純薬工業社製)50mgをアセトン3mLに溶解させたものと混合し、これを内相とした。 35℃に制御した外相を400rpmで攪拌下、ペリスタポンプを用いて内相を2mL/minの速度で滴下した。これを減圧下、3時間攪拌を続け、得られた懸濁液にn−ヘキサン20mLを加え、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)を行った。上清を除去し、沈殿物の粒子表面のトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを洗浄するため、沈殿物をn−ヘキサン中に再懸濁し、再度遠心操作を行った。この操作を2回行い、沈殿物を1%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社製)溶液 20mLに分散させた。さらに遠心操作した後、上清を除去し、沈殿物を精製水に再懸濁し、これを凍結乾燥し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:1)粉末(エルカトニン含有率:0.66%)を得た。 粒子径の測定:エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:1)粉末を精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定した。粒子径の算出は、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)は997.0nmであった。 エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:2)粉末 ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(Hexaglyn PR−15;日光ケミカルズ社製)を1.2%含有するトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(トリエスターF810;日光ケミカルズ社製)60mLを調製し、さらにn−ヘキサン40mLを混合溶解し外相を調製した。次に、エルカトニン(旭化成ファーマ社製)1mgをメタノール1.5mLに溶解させ、モノオレイン酸ソルビタン(Span80:ナカライテスク社製)100mg、PLGA5020(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=50/50、和光純薬工業社製)33.3mgとPLGA7520(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=75/25、和光純薬工業社製)66.7mgをアセトン3mLに溶解させたものと混合し、これを内相とした。 35℃に制御した外相を400rpmで攪拌下、ペリスタポンプを用いて内相を2mL/minの速度で滴下した。これを減圧下、3時間攪拌を続け、得られた懸濁液にn−ヘキサン20mLを加え、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)を行った。上清を除去し、沈殿物の粒子表面のトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを洗浄するため、沈殿物をn−ヘキサン中に再懸濁し、再度遠心操作を行った。この操作を2回行い、沈殿物を1%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社製)溶液 20mLに分散させた。さらに遠心操作した後、上清を除去し、沈殿物を精製水に再懸濁し、これを凍結乾燥し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:2)粉末(エルカトニン含有率:0.63%)を得た。 粒子径の測定:エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020:7520=1:2)粉末に精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定した。粒子径の算出は、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)は929.2nmであった。 エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7505:7520=1:1)粉末 実施例1のPLGA5020(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=50/50、和光純薬工業社製)の代わりにPLGA7505(平均分子量5000、乳酸/グリコール酸重合比=75/25、和光純薬工業社製)を用いて同様に調製し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7505:7520=1:1)粉末を得ることができる。 エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7505:7520=1:2)粉末 実施例2のPLGA5020(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=50/50、和光純薬工業社製)の代わりにPLGA7505(平均分子量5000、乳酸/グリコール酸重合比=75/25、和光純薬工業社製)を用いて同様に調製し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7505:7520=1:2)粉末を得ることができる。 [参考例1] エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020)粉末 ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(Hexaglyn PR−15;日光ケミカルズ社製)を1.2%含有するトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(トリエスターF810;日光ケミカルズ社製)60mLを調製し、さらにn−ヘキサン40mLを混合溶解し外相を調製した。次に、エルカトニン(旭化成ファーマ社製)2mgをメタノール1.5mLに溶解させ、モノオレイン酸ソルビタン(Span80:ナカライテスク社製)100mg、PLGA5020(平均分子量20000、乳酸/グリコール酸重合比=50/50、和光純薬工業社製)100mgをアセトン3mLに溶解させたものと混合し、これを内相とした。 35℃に制御した外相を400rpmで攪拌下、ペリスタポンプを用いて内相を2mL/minの速度で滴下した。これを減圧下、3時間攪拌を続け、得られた懸濁液にn−ヘキサン20mLを加え、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)を行った。上清を除去し、沈殿物の粒子表面のトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを洗浄するため、沈殿物をn−ヘキサン中に再懸濁し、再度遠心操作を行った。この操作を2回行い、沈殿物を1%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社製)溶液 20mLに分散させた。さらに遠心操作した後、上清を除去し、沈殿物を精製水に再懸濁し、これを凍結乾燥し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020)粉末(エルカトニン含有率:1.54%)を得た。 粒子径の測定:エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020)粉末に精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定した。粒子径の算出は、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)は689.7nmであった。 [参考例2] エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7520)粉末 ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(Hexaglyn PR−15;日光ケミカルズ社製)を1.2%含有するトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(トリエスターF810;日光ケミカルズ社製)60mLを調製し、さらにn−ヘキサン40mLを混合溶解し外相を調製した。次に、エルカトニン(旭化成ファーマ社製)1mgをメタノール2mLに溶解させ、モノオレイン酸ソルビタン(Span80:ナカライテスク社製)100mg、PLGA7520(平均分子量20000、乳酸:グリコール酸重合比=50:50、和光純薬工業社製)100mgをアセトン3mLに溶解させたものと混合し、これを内相とした。 35℃に制御した外相を400rpmで攪拌下、ペリスタポンプを用いて内相を2mL/minの速度で滴下した。これを減圧下、3時間攪拌を続け、得られた懸濁液にn−ヘキサン20mLを加え、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)を行った。上清を除去し、沈殿物の粒子表面のトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを洗浄するため、沈殿物をn−ヘキサン中に再懸濁し、再度遠心操作を行った。この操作を2回行い、沈殿物を1%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社製)溶液 20mLに分散させた。さらに遠心操作した後、上清を除去し、沈殿物を精製水に再懸濁し、これを凍結乾燥し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7520)粉末(エルカトニン含有率:0.63%)を得た。 粒子径の測定:エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7520)粉末に精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定した。粒子径の算出は、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)は1264.9nmであった。 [参考例3] エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(7505)粉末 ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル(Hexaglyn PR−15;日光ケミカルズ社製)を1.2%含有するトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン(トリエスターF810;日光ケミカルズ社製)60mLを調製し、さらにn−ヘキサン40mLを混合溶解し外相を調製した。次に、エルカトニン(旭化成ファーマ社製)2mgをメタノール2mLに溶解させ、モノオレイン酸ソルビタン(Span80:ナカライテスク社製)100mg、PLGA7505(平均分子量5000、乳酸/グリコール酸重合比=75/25、和光純薬工業社製)100mgをアセトン3mLに溶解させたものと混合し、これを内相とした。 35℃に制御した外相を400rpmで攪拌下、ペリスタポンプを用いて内相を2mL/minの速度で滴下した。これを減圧下、3時間攪拌を続け、得られた懸濁液にn−ヘキサン20mLを加え、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)を行った。上清を除去し、沈殿物の粒子表面のトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを洗浄するため、沈殿物をn−ヘキサン中に再懸濁し、再度遠心操作を行った。この操作を2回行い、沈殿物を1%ポリビニルアルコール(PVA−403、クラレ社製)溶液 20mLに分散させた。さらに遠心操作した後、上清を除去し、沈殿物を精製水に再懸濁し、これを凍結乾燥し、エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020)粉末(エルカトニン含有率:1.05%)を得た。 粒子径の測定:エルカトニン封入PLGAマイクロスフェア(5020)粉末に精製水中に懸濁させ、Zetasizer3000HS(Malvern Instruments Ltd,Malvern UK)を用いて粒子径を測定した。粒子径の算出は、動的光散乱(光子相関法)で求めた自己相関係数よりキュムラント法で行い、その平均粒子径(ZAve)は1108.8nmであった。 [試験例1] 溶出試験 実施例1、実施例2、参考例1、参考例2、参考例3で調製したエルカトニン封入PLGAマイクロスフェア3mgを66.7mMリン酸緩衝液(pH7.4)5mL中に懸濁させ、37℃の恒温槽にて毎分55〜65回で振とうし、経時的に採取し、遠心操作(20000rpm、4℃、10min)した。上清を除去し、沈殿物にアセトニトリル1mLを加えポリマーを溶解し、続いて66.7mMリン酸緩衝液(pH7.4)4mLを加えエルカトニンを溶解させた。析出したポリマーを遠心操作(20000rpm、4℃、10min)し、その上清中の薬物濃度をHPLCにより定量した。 その結果、参考例1及び参考例3のエルカトニン封入PLGAマイクロスフェアでは、溶出試験開始後1時間時点において、エルカトニンの溶出率がそれぞれ36%及び48%であり、初期バーストが観察された。また、参考例2のエルカトニン封入PLGAマイクロスフェアでは、初期バーストは抑制されるものの、溶出試験開始後1週間時点において、エルカトニンの溶出率が67%であり、2週間では完全には溶出しないことが予測された。それに対して、実施例1及び実施例2のエルカトニン封入PLGAマイクロスフェアでは、溶出試験開始後1時間時点において、エルカトニンの溶出率がそれぞれ10%及び25%で、初期バーストを抑制し、かつ、溶出試験開始後1週間時点において、エルカトニンの溶出率がそれぞれ78%及び84%の溶出率を示し、目的とする溶出率をコントロールできる処方であることが確認できた。 以上から、神経因性疼痛の治療剤及び/又は予防剤として、安全、且つ、速効性の優れた鎮痛作用を有するカルシトニンの徐放性製剤であることが確認された。 本発明は、神経因性疼痛に対して有効な作用を示し、医薬用として好適である。図1は実施例1、実施例2、参考例1、参考例2、参考例3で得られるエルカトニン封入PLGAマイクロスフェア粉末の薬物溶出曲線を示す。 カルシトニンを有効成分として含有し、生体内分解性ポリマーから形成されるマイクロスフェアであり、該マイクロスフェアを66.7mMリン酸緩衝液(pH7.4)中に懸濁させ、37℃にて毎分55〜65回の振とう条件で溶出試験を実施した際に、溶出率が溶出試験開始から1時間後の時点で約30%以下であり、且つ、溶出試験開始から1週間後の時点で約70%以上を示すことを特徴とする徐放性製剤。 生体内分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及び乳酸・グリコール酸共重合体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の徐放性製剤。 生体内分解性ポリマーが乳酸・グリコール酸共重合体であり、その組成が、乳酸/グリコール酸の重合比が約50/50、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体と乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体の組成比が約4:1〜約1:4である請求項2に記載の徐放性製剤。 生体内分解性ポリマーが乳酸・グリコール酸共重合体であり、その組成が、乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約5000の乳酸・グリコール酸共重合体と乳酸/グリコール酸の重合比が約75/25、分子量が約20000の乳酸・グリコール酸共重合体の組成比が約4:1〜約1:4である請求項2に記載の徐放性製剤。 カルシトニンがエルカトニンである請求項1〜4に記載の徐放性製剤。 【課題】神経因性疼痛の治療剤及び/又は予防剤として、安全、且つ、速効性の優れた鎮痛作用を有するカルシトニンの徐放性製剤の提供。【解決手段】カルシトニン、特にエルカトニンを有効成分として含有し、生体内分解性ポリマーである乳酸/グリコール酸の重合比が50/50〜75/25、分子量が5000〜20000の乳酸・グリコール酸共重合体を適切な比率の処方にて作製したマイクロスフェアで、神経因性疼痛治療剤及び/又は予防剤として有用な溶出パターンを示す徐放性製剤。【選択図】なし