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タイトル:公開特許公報(A)_湿布薬及びその使用方法
出願番号:2007121009
年次:2008
IPC分類:A61K 9/70,A61K 47/38,A61K 47/32


特許情報キャッシュ

佐藤 正倫 JP 2008273892 公開特許公報(A) 20081113 2007121009 20070501 湿布薬及びその使用方法 佐藤 正倫 397003079 佐藤 正倫 A61K 9/70 20060101AFI20081017BHJP A61K 47/38 20060101ALI20081017BHJP A61K 47/32 20060101ALI20081017BHJP JPA61K9/70 401A61K47/38A61K47/32 10 1 OL 10 4C076 4C076AA77 4C076AA78 4C076EE23A 4C076EE32A 4C076FF56 本発明は、患部に貼り付けた瞬間の冷感が緩和された湿布薬に関するものである。 従来の市販の湿布薬(貼り薬) として、肩凝り、ねんざ、打ち身、腰痛、関節痛等の患部に貼り付けて使用するタイプのものがある。かかる湿布薬は、通常、布材等の支持材上に湿布効果が得られる湿布薬剤層を設け、その上に保護フィルムを貼着した構造からなっている。そして、使用に際しては保護フィルムを剥がしてから、あるいは、剥がしながら湿布薬剤が患部の皮膚に直接当たるように貼り付けるようになっている。 上記のような湿布薬は、その湿布薬剤が皮膚に直接触れるようになっているため、特に冬場のような気温の低い時期において貼った瞬間の冷感が極めて不快であった。このような事情は冷湿布薬の場合に限られず、温湿布薬の場合でも同様に発生していた。特に胴体部分や腿等の冷たさに敏感な部位に貼る場合には、貼った瞬間の冷感が問題であった。 また、上記の如き湿布薬は一般に湿布薬剤層を保護している保護フィルムをはがすのに困難を来し、更に保護フィルムを剥がした後の形状の安定が悪く、湿布薬剤層面が互いにくっ付き合うことがあった。更に背中や肩に貼る時は手が十分に届かないため、貼りたい箇所に正しく貼ることが困難であった。 上記の貼った瞬間の冷感に対する改善策として、特開平08−268879号公報には、湿布基剤層(本発明の湿布薬剤層に相当)の表面に低熱伝導性の触感緩和層(例えば繊維状物、具体的にはガーゼ等)を介在させ、その上に保護フィルムを設けたものを提案している。しかるに、本発明者の実験によれば、市販の湿布薬の保護フィルムを剥がし、露出した湿布基材層に市販のガーゼを触感緩和層として貼り付け、これを患部に接触させたところ、 接触した瞬間に冷たさを感じてしまうことが判明した。ガーゼが無い場合と比較すれば、冷たさはある程度軽減されているが、まだ不十分であった。またガーゼを介在させると保護フィルムは殆ど貼りつかなくなってしまった。更に、湿布薬を患部に貼り付けようとしても粘着力が殆ど無くなっているので、手を離すと湿布薬は重力で落下してしまった。粘着力を増すために、ガーゼをしごいて目の粗さを約2倍にして同様の実験をしたところ、接触した瞬間の冷たさが増し、粘着力は少し増したが患部を動かすとやはり重力で落下してしまった。上記のように触感緩和層を基材層の上に設けると保護フィルムが貼りつきにくくなる上、湿布薬が患部に貼りつく力も弱くなり、実用状問題である。上記のように、冷たさ軽減と湿布薬の粘着保持力の維持を両立させることは困難である。上記特許文献には、触感緩和層の表面に粘着剤を塗布して粘着保持力を向上させる提案もあるが、上記のように粘着剤を塗布したり、冷感を緩和するための緩和層の介在物を配置することは、経皮薬剤の効果を阻害してしまうことになる。 保護フィルムを剥がしやすくすることと、保護フィルムを剥がした後の湿布薬剤面が互いに貼りつくのを防止するための改善策が、特開平10−17465号公報に記載されている。保護フィルムの中央部の切り込みに指掛け部を設け、その近傍に折り目を付けたものである。これを患部に貼り付ける時は、まず指掛け部を持って折り目まで保護フィルムを剥がして限られた露出面を患部に押し当てて貼る位置を定め、次いで2枚の保護フィルムを順次剥がして湿布剤の全面を患部に貼り付ける。この湿布薬においては保護フィルムの剥がしやすさと、保護フィルムを剥がした後に湿布薬剤面が互いに貼りつくのを防止する効果は大きいが、貼った瞬間の冷感を緩和する効果は得られない。特開平08−268879号公報特開平10−17465号公報 従って、本発明の課題は、湿布薬の粘着力及び経皮薬剤効果を低下させることなく湿布薬を貼った瞬間の冷感を緩和すること、保護フィルムを剥がしやすくすること、及び保護フィルムを剥がした後の湿布薬剤層が互いに貼りつくのを防止すること、更に背中等の手の届かない箇所に正確にしかも楽に貼ることができる湿布薬を提供することである。 本発明の湿布薬は、支持材と、その上に塗布された湿布薬剤層と、湿布薬剤層の上に貼り付けられた保護フィルムと、更に保護フィルムの上に設けられたカバー部から成る湿布薬であって、カバー部は、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されて或いは連続して形成されたものであり、カバー部の全サイズ(即ち形状と面積)は少なくとも湿布薬剤層のサイズと同じであり、更に保護フィルムとカバー部の境界線から湿布薬剤層に略平行に延長しているカバー部の先端の少なくとも一部に、カバー部とそれに連続或いは接合されている保護フィルムを引き抜くための引き抜き部を有し、且つ保護フィルムの湿布薬剤層に接していない側の表面とカバー部の最外表面との間に、保護フィルムよりも断熱性が大きく、少なくとも湿布薬剤層のサイズ(即ち形状と面積)と同じである層を少なくとも1層存在させたことを特徴とする。 本発明の湿布薬の使用方法は、湿布薬のカバー部を患部に接触するようにして押し当て、この状態で暫時経過後に湿布薬を押し当てたまま、カバー部の引き抜き部を支持材にほぼ平行な方向に引っぱることにより、カバー部及びこれに接合或いは連続している保護フィルムを引き抜きながら湿布薬を患部に貼り付けることを特徴とする。 本発明によれば、湿布薬を患部に貼る場合、最初に患部に接触するのはカバー部の最外表面であり、カバー部の最外表面と保護フィルムの表面との間には保護フィルムよりも断熱性が大きい(以後、単に“断熱性が大きい”と表現する)層が少なくとも1層存在するので冷たさを殆ど感じない。この状態で通常数秒ないし10秒程度経過した後にカバー部を引き抜く。この際カバー部が引き抜かれるのに続いて保護フィルムが引き抜かれるが、それまでに湿布薬剤層は断熱層を通して患部の体温により徐々に温められているので、直接患部に接触しても殆ど冷たさを感じないのである。また、本発明によれば、保護フィルムとカバー部が接合されているか、或いは連続しており、カバー部を引き抜けば保護フィルムも一緒に引き抜かれるので、保護フィルムの剥離が容易である。更に、本発明によれば、患部に貼り付けられた湿布薬剤層の上に特開平08−268879に記載の湿布薬のように断熱性の介在物が存在しないので、粘着力及び経皮薬剤効果が低下しない。また本発明によれば保護フィルムが剥がされるのと同時に湿布薬剤層が患部に貼り付くので、保護フィルムが剥がされた湿布薬剤層が互いに接着してしまうことがない。更に背中等の手の届かない箇所に正確にしかも楽に貼ることができる 本発明において支持材としては、従来公知のものが使用でき、通常プラスチックフィルム、布、不織布等が用いられる。湿布薬剤としては、通常、例えば経皮鎮痛、消炎効果があり、更に患部の肌に対して粘着性のある組成物が使用される。保護フィルムとしては、従来使用されている柔軟性で切断しにくいフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の、通常厚さ0.04mm前後の薄いプラスチックフィルムが用いられる。カバー部を形成する材料としては、しなやかでカバー部と保護フィルムを引き抜くのに耐える程度の引っ張り強さを有するものを使用する。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンの如きプラスチックフィルム、またカバー部自体が断熱性の大きい材料としては多孔層がその上に設けられたプラスチックフィルム、或いは、繊維、紙、不織布、又は織物(好ましくはガーゼのように薄い布)が接着或いは融着されたプラスチックフィルム等を使うことができる。 図1〜7は本発明湿布薬の例を示すものであって各図のものは長方形の湿布薬の断面図である。各図において紙面に直角な方向を縦方向と呼び、それに直角な方向を横方向と呼ぶ。本発明の湿布薬の構造を理解しやすくするため、図1では横方向の寸法に対して上下方向(厚さ方向)の寸法が極端に拡大して表示されている。図1はカバー部が湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されたものであり、その断熱性が保護フィルムの断熱性より大きい湿布薬の例である。11は支持材、12はその上に設けられた粘着性を有する湿布薬剤層、13と13aは湿布薬剤層の上に設けられた保護フィルムであり、湿布薬の中央部の縦方向に2分画する線16に沿って保護フィルムに切りこみが形成されている。この例での保護フィルムは、長方形の湿布薬の短辺(縦方向)に平行に略2分割する位置で切断されており、13は右半分の保護フィルム、13aは左半分の保護フィルムである。14と14aはそれぞれ保護フィルム13と13aの端部16において接合されたカバー部である。17、17aはカバー部の最外表面である。カバー部のうち、湿布薬剤層よりも少し張り出している部分(図1の15、15a)が引き抜き部である。後述のように、この例に於ける引き抜き部を指でつまむ等してカバー部を引き出すのである。この例における分画線16は、必ずしも湿布薬の中央部でなくてもよいし、またカバーは湿布薬の一端で保護フィルムと接合されていてもよい。 図2は、図1の湿布薬の保護フィルム13とカバー部14の接合方法の例を示す断面図である。図2は、理解しやすいように厚さ方向が更に図1の約4倍に拡大されている。図2では支持材11が省略されている。カバー部14を、その一端が保護フィルムの切り込みに一致するように保護フィルムの上に重ね、切り込み部を中心線としてなるべく薄い粘着テープ21で保護フィルム13とカバー部14とを接合する。 図3は、図2において接合されたカバー部14を保護フィルムの切り込み部において右側に折り返した状態を示している。図3では、保護フィルム13とカバー部14との間に空間が生ずるように作図されているが、実際には各層は非常に薄く、また湿布薬剤層も支持材も柔らかいので、図1の如く空間は存在しない。以上のようにして、湿布薬の右半分のカバー部が接合されたが、左半分についても同様にして接合することができる。 図4は図1の湿布薬の保護フィルムにカバー部を接合する他の方法を示す断面図である。図2の接合方法では、分画線16に一致する位置で接合されたが、図4では保護フィルム41が分画線16において折り返され分画線16に非常に近い位置で例えば粘着テープ42により接合される。接合位置は分画線16から数mm(通常約2〜5mm)と非常に近いので、事実上分画線に沿っているとみなせる。分画線16より左の半分についても同様である。このように接合した方が、引き抜き操作が楽になる。 図5は湿布薬の他の例を示す断面図であって、カバー部は湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムが折り返され、折り返された保護フィルムの表面に、保護フィルムよりも断熱性が大きな層(以後断熱層と記載する)が設けられたものである。図5では支持材11が省略されている。図1の例では、保護フィルムにカバー部が接合されていたが、図5では2枚の保護フィルム51、51aがそれぞれ湿布薬の中央部で折り返され、その上に断熱層52、52aが設けられカバー部を構成している。断熱層52及び52aは、保護フィルム51及び51aの折り返された部分の全面に設けられている必要はなく、少なくとも湿布薬剤層12の全面積を覆うだけの大きさであればよく、図5はその状態を示している。即ち、引き抜き部55、55aは断熱性が大きい必要はないので、ここには断熱層を設ける必要は無いのである。断熱層は保護フィルムの折り返された部分に断熱性の大きな層が塗布、接着、熱融着等の方法により形成されたものでよい。たとえば、多孔質層を設けるか、或いは繊維、しなやかな紙(たとえば和紙、ティッシュペーパーの如き薄い紙)、織物等を接着或いは熱融着したものが使用できる。折り返しは、必ずしも中央部でなくてもよい。図5では、折り返された保護フィルムの表面に断熱層が設けられてカバー部を形成しているが、折り返された保護フィルムの裏面に断熱層を設けてカバー部を形成してもよい。 図6は、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムが折り返され、少なくとも保護フィルムの折り返されていない側の表面(即ち湿布薬剤層に接している保護フィルムの表面)に保護フィルムよりも断熱性の大きな層が設けられた湿布薬の例を示す断面図であって、図6では支持材11が省略されている。61は保護フィルムの折り返されてない部分62の表面に設けられた断熱層、63は保護フィルムの折り返された部分64の裏面に設けられた断熱層である。断熱層と保護フィルムが一体になったものの保護フィルム側を湿布薬剤層に貼着し、湿布薬の中央部の2分画線において折り返されてカバー部が形成されている。65、65aは引き抜き部である。図6では、保護フィルムの折り返された部分64の裏面にも断熱層が設けられているが、この断熱層は無くてもよい。その場合、カバー部は折り返された保護フィルムによって形成されている。断熱層は1層有れば十分であるが、図6のように保護フィルムの全面に断熱層が設けられている方が、製造上有利な場合もある。断熱層は図5の湿布薬の場合と同様にして設けることができる。 図7は図6の湿布薬の断熱層63が設けられていない湿布薬の断面図である。図6では断熱層61と63の2層があったが、1層でも十分である。製造工程に応じて有利な方を採用することができる。 図8及び図9は本発明の湿布薬の他の実施例の上面図で、引き抜き部は図8の81、81aで示されるようにテーパー状に先端が細くなっている形状でもよいし、図9の91、91aで示されるようにカバー部の先端部にタブ状に形成されていてもよい。図1、図8及び図9の保護フィルムと引き抜き部15、15a、81、81a、91、91aは必ずしもカバー部の先端部が延長されているものである必要は無く、引き抜き部をカバー部に接着、融着、貼り付け等により取り付けてもよい。 カバー部の少なくとも一方の先端に紐状物又はテープ状物の先端を、たとえば、接着或いは粘着テープ、両面粘着テープ、クリップ等で固定し、この紐状物又はテープ状物の他端側を引っぱってカバー部と保護フィルムを引き抜くこともできる。紐状物又はテープ状物はカバー部の先端付近に直接取り付けてもよいし、又図8、9に示したような引き抜き部に取り付けてもよい。本発明において紐状物又はテープ状物としては上記引き抜きに耐えうる程度に丈夫なものであって、例えば通常商品の包装等に使用されているあまり太くない紐、たこ糸、毛糸等の細くて丈夫なもの、テープ状物とは、プラスチック製、不織布製、織物製或いは紙製のテープも含む。紐状物又はテープ状物の長さは、カバー部を引っ張り出すのに必要な長さ、通常1〜3cmでよい。更にこれを長くすると背中等の手の届かない箇所に貼り付けるのに極めて便利になる。このためには10cm前後の長さが適当である。 図1の例では、カバー部14、14aが湿布薬のほぼ中央部で保護フィルムと接合されているが、必ずしも中央部である必要は無く、端部(湿布薬の一辺)で接合されていてもよい。図5〜図7の例でも同様に保護フィルムが端部で折り返されていてもよい。その場合、引き抜き部は、1箇所だけでよい。図1、図5〜図9のように、接合部、或いは折り返し部が湿布薬のほぼ中央部にある方が、カバー部を引き抜く操作が安定している利点がある。 次に本発明湿布薬の使用方法について図10を参照して説明する。図10では図1の一部が示されている。図10において、101は患部、102は湿布薬を患部に押し当てる手の平である。手のひらに比べて湿布薬の厚さ方向の寸法が極端に大きく表示されている。一方の手の平で湿布薬のカバー部14,14aが患部に相対するように湿布薬を押さえつけた状態で通常、数秒から10秒程度保持し、次いで湿布薬を患部に押し付けたまま他方の手でカバー部の引き抜き部15をつまんで矢印103の方向に引くと、即ち患部表面に対してなるべく並行又は並行に近い方向に引っぱると、カバー部は容易に引き出され、それに接合或いは連続している保護フィルム13も引き出されて湿布薬剤層12の一部(図10の104)が露出する。図10から明らかなように、カバー部14と保護フィルム13とは、互いに接触した状態で動く即ち摺動するので、両者が接触する面は、どちらかの表面を粗面にするか、或いは表面に微小粉体を付着させることにより摺動性を良くすることが望ましい。図10は、カバー部14が途中まで引き出された状態を示している。そして、湿布薬剤層12が直接患部に接触するが、それまでに湿布薬剤層12は患部の体温によって徐々にある程度温められるので、冷たさは緩和されるのである。図10では、露出部104と患部101との間に空間が形成されているように作図されているが、実際にはカバー部の厚さは非常に小さいので、露出した部分104と患部101とは手の平102に押されて接触してしまう。引き抜き部15を更に引き続けると、カバー部14と保護フィルム13は完全に引き出され、湿布薬剤層12の右半分が患部に接触する。本発明はこの現象を利用しているのである。次にカバー部のもう一方の引き抜き部15aを左方向に引くと、残りのカバー部14aと保護フィルム13aも容易に引き出され、湿布薬剤層全体が患部に接触する。本発明に於いて、湿布薬剤層が暖められるのは、患部からの熱輻射と熱伝導の両方によると考えられる。手の平の代わりに、一つの面のサイズが湿布薬剤層とほぼ同じであるスポンジブロック、或いはタオル、毛羽立った布、ループ織りの布等を湿布薬とほぼ同じ大きさに折りたたんだもの、或いは軍手等を使用することもできる。これらの材料は、支持材が不織布の場合、支持材との間で滑りが殆ど生じないので特に優れている。スポンジを用いて湿布薬を患部に押し当てる場合、後述の図12に示す道具を利用すると特に便利である。カバー部の接合部が湿布薬の端部にある場合、図12のような道具は特に有効である。 本発明は上記のような原理を利用しているので、断熱層の断熱性があまりにも大きいと、数秒から10秒程度の間に湿布薬剤層が温まらないので、湿布薬剤層が患部に接触した瞬間に冷たさを感じることになる。カバー部を引き剥がすまでの保持時間を数10秒程度に長くすればこの問題は解決されるが、これでは実用上あまり好ましくない。そこで、断熱性はカバー部と患部が接触した瞬間に冷たさを感じない程度に抑えることが重要である。実際の試験によれば、図1に示した湿布薬の場合、カバー部は厚さ0.06〜0.08mmの市販の和紙、通常使用されている厚さの保護フィルムと同様のプラスチックフィルムの上に、ティッシュペーパーの如き薄い紙(通常厚さ約0.04mm)であれば1〜3枚程度、ペーパーナプキン程度の少し厚めの紙(通常厚さ約0.1mm)であれば1枚接着したものが適当であった。図5〜図7に示したような湿布薬の場合、断熱層は、ティッシュペーパーの如き薄い紙(通常厚さ約0.04mm)であれば1〜3枚程度、ペーパーナプキン程度の少し厚めの紙(通常厚さ約0.1mm)であれば1枚が適当であった。市販の不織布及び和紙でも同程度の厚さのものを接着すれば、同様の効果が得られる。 図11は本発明の他の湿布薬の例の上面図である。111,111aはタブ状の引き抜き部、112,112aはそれぞれのタブに接着、融着、貼り付け等により取り付けられたプラスチック製、紙製、不織布製等のテープである。テープは、カバー部に張り出しているタブ等を設けることなく、カバー部の先端に直接取り付けてもよい。図11においては引き抜き部111、111a、112、112aが湿布薬の端部で内側(カバー部面上)に折り返されている状態を示す。このように折り返すことによって、包装を簡易化することができる。 患部が背中や肩の場合、引き抜き部に手が届きにくいが、図12に示すように紐状物又はテープ状物の先端をあらかじめ引き抜き部に、接着するか或いは例えば粘着テープ、ホチキス、クリップ等で取り付け、この紐状物又はテープ状物の先端部を引くようにすれば、服を着たままでも背中に容易に湿布薬を貼ることができる。例えば、テープとして例えば幅10mm、厚さ0.1mm、長さ135mmのプラスチックテープを用い、先端を一方の引き抜き部に熱融着して固定し、同サイズのもう一本のテープを他方の引き抜き部に固定する。テープの一端から他方のテープの先端までの距離は約400mmにもなる。両手でテープの両端を持ち、背中や肩の貼着したい場所に湿布薬を持って行くことが可能になる。椅子の背もたれ或いはクッションに背中を軽く押し付けた状態で一方のテープを引っぱりカバー部と保護フィルムを引き抜き、次に他方のテープについても同様に行えば、更に容易に目的が達成される。テープは同時に引いてもよいし、或いは片側から1本ずつ引いてもよい。背もたれ或いはクッションが、図10の手の平102に相当する。このようにすれば手が届きにくい場合でも楽にカバー部と保護フィルムを引っ張り出すと同時に湿布薬を希望の箇所に貼り付けることができる。 図13はスポンジを用いた湿布薬押し付け具の1例の斜視図で、131はスポンジブロック、132はスポンジブロックが接着されたゴム又は柔軟性のあるプラスチック製のスポンジ取り付け板、133は板に取り付けられた取っ手である。取っ手は邪魔になることもあるので、無くてもよい。スポンジの厚さは2〜5cmあれば十分であり、サイズは湿布薬のサイズと同じか少し大きめであることが望ましい。この道具は湿布薬を手の平で患部に押し付けるより、湿布薬の全面を均一に押し付けることができるので、保護フィルムの引き抜き操作をより安定して行うことができ、本発明の湿布薬を患部に貼り付けるのに特に適している。 不織布の上に経皮鎮痛消炎剤を含有する粘着層が設けられた市販の湿布薬(埼玉第一製薬株式会社製、商品名:パテックスぺたんシップ)を使用した。湿布薬のサイズは、縦約100mm、横約140mmである。保護フィルムを剥がし、新しい保護フィルムとして厚さ約0.04mmのポリプロピレンフィルムを全面に貼り、図1のように中央部(右端から70mmの所)で保護フィルムを2分割するように切断した。次いで縦100mm、横90mm、厚さ0.07mmの和紙を図2のように、和紙の1端が保護フィルムの切断線に一致するように重ね、切断線を中心線としてセロファンテープ(幅11mm、長さ100mm、厚さ0.05mm)で保護イルムに接合した。次いで接合された和紙を図3のように右側に折り返した。次に、折り返された和紙の上に同サイズの和紙を重ね、上記と同様にセロファンテープで保護フィルムに接合し、左側に折り返した。本実施例では、引き抜き部の長さ(折り返し線に対して直角方向)は約20mmである。 次に図10に示すようにこの湿布薬を、カバー部を上にして手の平に載せ患部に押し当てた。カバー部が患部に接触した瞬間、殆ど冷たさを感じなかった。約10秒後に湿布薬を押し付けたまま一方の引き抜き部を手で引いて片方のカバー部及び保護フィルムを引き抜いて湿布薬剤層を患部に貼り付けたが冷たさは殆ど感じなかった。もう一方の引き抜き部を引いて残りのカバー部と保護フィルムを引き抜き、湿布薬剤層を患部に貼り付けたがやはり冷たさは殆ど感じなかった。室温は摂氏20度であった。 同様の市販の湿布薬(久光製薬株式会社製、商品名:のびのびサロンシップα、サイズ:100×140mm)を使用した。保護フィルムは中央部近くで2分割されている。 縦100mm、横160mm、厚さ約0.04mmのポリエチレン製保護フィルムを、図5のように右半分に貼り中央部で折り返した。同様にして左半分にも同サイズの保護フィルムを貼り折り返した。折り返された保護フィルムの表面に粘着剤(3M社製の商品名:スプレーのり77)を均一に薄くスプレーして乾燥した。この粘着性面の右半分に厚さ約0.07mm、縦100mm、横70mmのティッシュペーパーを貼り付け、次いで左半分に同サイズのティッシュペーパーを貼り付けてカバー部とした。カバー部と接する側の保護フィルム表面に、カバー部との摩擦を小さくするためタルク粉末(市販のベビーパウダー)を、パフを使用して薄く付着させた。この湿布薬を実施例1と同様に使用し、同様の結果が得られた。本発明の湿布薬の一例を示す断面図である。図1の湿布薬の製作過程の例を示す断面図である。図1の湿布薬の製作過程の例を示す断面図である。図1の湿布薬の製作過程の他の例を示す断面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す断面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す断面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す断面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す上面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す上面図である。本発明の湿布薬を貼り付ける状態を示す断面図である。本発明の湿布薬の他の例を示す上面図である。図10の湿布薬を展開した状態を示す上面図である。湿布薬押し付け具の1例の斜視図である。符号の説明 11 支持材 12 湿布薬剤層 13、13a、41、41a、62 保護フィルム 14、14a、64 カバー部 15、15a、55、55a、65、65a、81、81a、91,91a、111、 111a 引き抜き部 16 2分画線 17、17a カバー部の最外表面 21、42、42a 粘着テープ 52、52a、61、63 断熱層 101 患部 102 手の平 103 引き抜き部の引っ張り方向 104 湿布薬剤層の露出部 112,112a 引き出し用テープ 131 スポンジブロック 132 スポンジ取り付け板 133 取っ手 支持材と、その上に塗布された湿布薬剤層と、湿布薬剤層の上に貼り付けられた保護フィルムと、更に保護フィルムの上に設けられたカバー部から成る湿布薬であって、カバー部は、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されて或いは連続して形成されたものであり、カバー部の全サイズは少なくとも湿布薬剤層のサイズと同じであり、更に保護フィルムとカバー部の境界線から湿布薬剤層に略平行に延長しているカバー部の先端の少なくとも一部に、カバー部とそれに連続或いは接合されている保護フィルムを引き抜くための引き抜き部を有し、且つ保護フィルムの湿布薬剤層に接していない側の表面とカバー部の最外表面との間に、保護フィルムよりも断熱性が大きく、少なくとも湿布薬剤層のサイズと同じである層を少なくとも1層存在させたことを特徴とする湿布薬。 カバー部が、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されたものであり、その断熱性が保護フィルムの断熱性より大きいことを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 カバー部が、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムが折り返され、折り返された保護フィルムの表面又は裏面に、保護フィルムよりも断熱性が大きな層が設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムが折り返され、少なくとも保護フィルムの折り返されていない側の表面に保護フィルムよりも断熱性の大きな層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 カバー部が、プラスチックフィルム、紙、不織布、多孔層がその上に設けられたプラスチックフィルム、繊維が接着或いは融着されたプラスチックフィルム、紙が接着或いは融着されたプラスチックフィルム、及び不織布又は織物が接着或いは融着されたプラスチックフィルムの中から選ばれた一つであることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 保護フィルムよりも断熱性の大きな層が、紙、不織布、織物、多孔層の中から選ばれた一つであることを特徴とする請求項3及び4に記載の湿布薬。 少なくとも一つの引き抜き部が、カバー部の先端の少なくとも一部が保護フィルムよりも張り出したものであることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 少なくとも一つの引き抜き部が、カバー部の一部に紐状物又はテープ状物が取り付けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。 引き抜き部がカバー部の上面に折り返されていることを特徴とする請求項1に記載の湿布薬。支持材と、その上に塗布された湿布薬剤層と、湿布薬剤層の上に貼り付けられた保護フィルムと、更に保護フィルムの上に設けられたカバー部から成る湿布薬であって、カバー部は、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されて或いは連続して形成されたものであり、カバー部の全サイズは少なくとも湿布薬剤層のサイズと同じであり、更に保護フィルムとカバー部の境界線から湿布薬剤層に略平行に延長しているカバー部の先端の少なくとも一部に、カバー部とそれに連続或いは接合されている保護フィルムを引き抜くための引き抜き部を有し、且つ保護フィルムの湿布薬剤層に接していない側の表面とカバー部の最外表面との間に、保護フィルムよりも断熱性が大きく、少なくとも湿布薬剤のサイズと同じである層を少なくとも1層存在させた湿布薬のカバー部が患部に接触するように湿布薬を押し当て、この状態でカバー部の引き抜き部を支持材にほぼ平行な方向に引っぱることにより、カバー部及びこれに接合或いは連続している保護フィルムを引き抜きながら湿布薬を患部に貼り付けることを特徴とする湿布薬の使用方法。 【課題】湿布薬を貼った瞬間の冷感を緩和すること、湿布薬の粘着力及び経皮薬効が低下しないようにすること、保護フィルムを剥がしやすくすること、保護フィルムを剥がした後の湿布薬剤層が互いに貼りつかないようにすること、且つ湿布薬を希望の位置に楽に貼れるようにすること。【解決手段】支持材と、その上に塗布された湿布薬剤層と、その上に貼り付けられた保護フィルムと、更にその上に設けられたカバー部から成る湿布薬であって、カバー部は、湿布薬の一端或いは湿布薬を2分画する位置において保護フィルムに接合されて或いは連続しており、カバー部の先端にカバー部と保護フィルムを引き抜くための引き抜き部を有し、且つ保護フィルムとカバー部の最外表面との間に、保護フィルムよりも断熱性が大きい層を少なくとも1層存在させた湿布薬。カバー部を患部に押し当て、引き抜き部を引っぱることにより、カバー部及び保護フィルムを引き抜きながら湿布薬を患部に貼り付ける。【選択図】図1


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