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タイトル:公開特許公報(A)_半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法
出願番号:2007119882
年次:2008
IPC分類:H01L 21/66,G01R 31/26,G01N 27/00


特許情報キャッシュ

廣谷 太志 新村 忠 JP 2008277573 公開特許公報(A) 20081113 2007119882 20070427 半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法 株式会社東芝 000003078 日向寺 雅彦 100108062 廣谷 太志 新村 忠 H01L 21/66 20060101AFI20081017BHJP G01R 31/26 20060101ALI20081017BHJP G01N 27/00 20060101ALI20081017BHJP JPH01L21/66 LH01L21/66 XG01R31/26 JG01N27/00 Z 7 1 OL 11 2G003 2G060 4M106 2G003AA10 2G003AG04 2G003AH07 2G060AA09 2G060AF15 2G060EA07 2G060EB08 2G060KA16 4M106AA01 4M106AA11 4M106BA20 4M106CA08 4M106CA10 4M106CB01 4M106DH51 本発明は、半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体部分及び金属部分を有する半導体試料の評価方法及び半導体部分及び金属部分を有する半導体装置の製造方法に関する。 半導体装置においては、半導体層の表面状態が全体の性能に大きな影響を与える。このため、半導体装置の製造工程に半導体層の評価工程を組み込むことができれば、工程管理や品質管理を精度よく行うことができ、半導体装置の生産性を向上させることができる。 半導体層の表面状態は、例えば半導体層の不純物濃度に依存する。従来より、半導体層の不純物濃度を測定する方法として、SIMS(Secondary Ion mass Spectroscopy:二次イオン質量分析法)、Hall効果測定及びTLM(トランスミッションラインモデル)測定などが用いられている。SIMSは、試料の表面にイオンを照射してスパッタリングし、試料から放出された二次イオンを質量分析することにより、試料の組成を測定するものである(例えば、非特許文献1参照。)。スパッタリングをしながら逐次質量分析を行うことにより、積層膜の深さ方向の不純物濃度プロファイルを測定することができる。また、Hall効果測定は、Hall効果を利用して半導体層中のキャリア濃度を測定することができる(例えば、非特許文献2参照。)。更に、TLM測定は、半導体層のI−V特性を測定することにより、金属電極との間のコンタクト抵抗率を測定することができる。 しかしながら、SIMSは、測定対象となる半導体層をスパッタリングによって破壊してしまうため、半導体装置の製造工程に組み込むことができない。また、SIMSは、深さ方向のプロファイル測定が可能である反面、表面から数nm程度の最表層を測定することは困難であるため、表面の特性、例えば、コンタクト抵抗率の評価は困難である。また、Hall効果測定及びTLM測定は、評価対象が単層膜であることが必要であるため、専用の分析用サンプルが必要となる。このため、やはり半導体装置の製造工程に組み込むことはできない。 一方、半導体装置内に形成された半導体層の表面状態を非破壊で評価する方法として、KFM(Kelvin probe Force Microscopy:ケルビンプローブフォース顕微鏡)による表面電位の測定が考えられる。KFMはSPM(Scanning Probe Microscope:走査型プローブ顕微鏡)の一種であり、上下方向に変位自在な探針を試料の表面に沿って移動させることにより、試料の表面形状像を取得すると共に、探針と試料との間の静電引力による探針の変位を検出することによって、試料の表面電位像を取得することができる。これにより、半導体層の表面状態を非破壊で評価することができる。 しかしながら、KFMによって半導体層の表面電位を測定する場合には、測定環境並びに探針の形状及び先端部の状態などの要因によって測定値が大きく変動してしまうという問題点がある。このため、単一の試料内で領域間の比較をすることはできるものの、異なる測定チャンス間で測定結果を比較することは困難であった。従って、試料間で測定結果を比較することが難しく、KFMを半導体装置の工程管理及び品質管理に適用することは困難であった。このように、従来、半導体装置の製造工程において、半導体層の表面状態を評価する方法は存在していなかった。日本表面科学会 編 「表面分析図鑑」 p.92−93 共立出版株式会社 1994年5月30日発行S.M.ジィー 著 「半導体デバイス 基礎理論とプロセス技術(第2版)」 p.49−51 産業図書株式会社 1987年5月25日発行 本発明の目的は、半導体部分の表面状態を非破壊で評価できる半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法を提供することである。 本発明の一態様によれば、半導体部分及び金属部分を有する半導体試料の評価方法であって、同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出することを特徴とする半導体試料の評価方法が提供される。 本発明の他の一態様によれば、半導体部分及び金属部分を有する半導体装置の製造方法であって、同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出する工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。 本発明の更に他の一態様によれば、複数枚の基板の各々の基板上に順次半導体部分及び金属部分を形成していく半導体装置の製造方法であって、前記複数枚の基板のうちの一部の基板について、同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出する工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。 本発明によれば、半導体部分の表面状態を非破壊で評価できる半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法を実現することができる。 以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。 先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。 本実施形態は、半導体試料の評価方法についての実施形態である。 図1は、本実施形態に係る半導体試料の評価方法を例示する図である。 図1に示すように、本実施形態においては、評価対象となる半導体試料の一例として、半導体装置1を使用する。半導体装置1においては、半導体部分として半導体層2が設けられており、半導体層2上の一部の領域には、金属部分として金属層3が設けられている。半導体層2と金属層3とは相互に接触している。また、半導体装置1においては、半導体層2及び金属層3の双方が露出している。なお、半導体装置1は完成品には限定されず、製造途中の中間製品であってもよい。 この半導体装置1を、ケルビンプローブフォース顕微鏡(以下、「KFM」ともいう)によって評価する。KFMは、前述の如くSPM(Scanning Probe Microscope:走査型プローブ顕微鏡)の一種であり、本実施形態においては、上下方向に変位自在な探針部を試料の表面に沿って移動させることにより、試料の表面形状像及び表面電位像を取得するように機能し得るものである。具体的には、KFMは探針と試料との間の静電引力による探針の変位を検出することによって、試料の表面電位像を取得する。これにより、本実施形態では、半導体層2の表面状態を非破壊で評価することができる。すなわち、KFMの探針部であるカンチレバー6により、半導体層2の表面電位を測定し、その後、同じカンチレバー6により、金属層3の表面電位を測定する。なお、先に金属層3の表面電位を測定し、その後半導体層2の表面電位を測定してもよい。但し、半導体層2及び金属層3は同じ測定チャンスに測定する。そして、半導体層2の表面電位と金属層3の表面電位との電位差ΔVを算出する。 半導体層2の表面電位は、半導体層2の仕事関数とカンチレバー6の仕事関数との差に相当する。従って、電位差ΔVは、半導体層2の仕事関数と金属層3の仕事関数との差に相当し、半導体層2と金属層3との間の障壁高さを反映している。そして、この障壁高さは、半導体層2と金属層3との間のコンタクト抵抗率と強い相関関係がある。従って、電位差ΔVを求めることにより、半導体層2と金属層3との間のコンタクト抵抗率をある程度定量的に把握することができる。すなわち、電位差ΔVの絶対値が大きいほど、コンタクト抵抗率が高い傾向にある。なお、半導体層2の仕事関数は、半導体層2の組成の他に、半導体層2のキャリア濃度、表面の清浄度及び欠陥密度など種々の要因に依存している。 次に、本実施形態の効果について説明する。 前述の如く、KFMによる表面電位の測定結果は、測定環境並びに探針の形状及び先端部の状態などの要因によって、測定チャンスごとに大きく変動してしまう。このため、半導体層2の表面電位の絶対値を的確に評価することは困難である。そこで、本実施形態においては、半導体層2の表面電位を測定すると共に、同じ測定チャンスに同じカンチレバー6(探針)によって金属層3の表面電位も測定し、両電位の電位差ΔVを求めている。これにより、半導体層2の表面電位を、金属層3の表面電位を基準とした相対値として求めることができ、測定結果から測定環境の影響及び探針の影響などを排除することができる。この結果、電位差ΔVが測定ごとに大きくばらつくことがなくなる。これにより、測定チャンス間の比較が可能となると共に、測定結果を一定の基準に従って評価することができるようになる。 このように、本実施形態によれば、半導体装置の半導体部分の表面状態を非破壊で評価することができる。この結果、試料間で測定結果を比較したり、同一試料の経時変化を追跡したりすることが可能となる。また、KFMを半導体装置の工程管理及び品質管理に適用することが可能となる。 なお、本実施形態においては、半導体装置1に相互に異なる材料からなる複数の金属層3を設け、各金属層3の表面電位及び半導体層2の表面電位を測定し、それぞれの金属層3の表面電位を基準として電位差ΔVを求めてもよい。すなわち、1つの半導体層2に対して、複数の電位差ΔVを求めてもよい。この場合、後述の第2の実験例において示すように、複数の電位差ΔVは、ほぼ金属層3の仕事関数のみに依存して変化する。従って、金属層3の仕事関数を考慮して電位差ΔVを評価することにより、電位差ΔVの測定回数を増やして金属層3の影響を除去することができる。これにより、測定の信頼性を確保しつつ、半導体層2を評価することができる。 次に、本発明の第2の実施形態について説明する。 本実施形態は、前述の第1の実施形態に係る半導体試料の評価方法を適用した半導体装置の製造方法についての実施形態である。本実施形態においては、半導体装置としてLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を製造する場合を例にとって説明する。 例えば、サファイア基板上に、バッファー層を形成し、その上にn型GaNクラッド層を形成する。次に、n型GaNクラッド層上にInGaN/GaN活性層を形成し、その上にp型GaNクラッド層を形成する。次に、n型GaNクラッド層にn側電極を接続し、p型GaNクラッド層上にp側電極を形成する。p型GaNクラッド層は、例えば、GaN(窒化ガリウム)にアクセプタとしてマグネシウム(Mg)をドープした層とし、p側電極は例えばニッケル(Ni)層とする。これにより、LEDが製造される。 そして、この工程において、p型GaNクラッド層を図1に示す半導体層2とし、p側電極を図1に示す金属層3として、前述の第1の実施形態において説明した方法、すなわち、例えばKFMによる測定方法により、p型GaNクラッド層の表面電位とp側電極の表面電位とを測定し、これらの電位差ΔVを算出する。前述の第1の実施形態において説明したように、この電位差ΔVは、p型GaNクラッド層の表面状態を表しており、この測定結果から、p型GaNクラッド層(半導体層)とp側電極(金属層)との間のコンタクト抵抗を推定することができる。また、この電位差ΔVは測定ごとにばらつくことがなく、同じ状態の試料であれば常に同じ値をとる。これにより、電位差ΔVが一定の基準範囲内にあれば、p型GaNクラッド層とp側電極との間のコンタクト抵抗は正常であると判定し、電位差ΔVが基準範囲から外れていれば、コンタクト抵抗は異常であると判定することができる。 コンタクト抵抗が異常であると判定された場合は、各層の成膜条件及び不純物活性化温度などの工程条件を調整するか、又は、異常が発生した原因の調査を開始する。一方、該当する製品はリペア工程に送る。これにより、LEDの歩留まりが改善され、生産性が向上する。 このように、本実施形態によれば、前述の第1の実施形態に係る評価方法をLEDの製造工程に組み込むことにより、LEDの製造工程においてp型GaNクラッド層の表面状態を評価し、工程管理及び品質管理を行うことができる。 次に、第2の実施形態の変形例について説明する。 本変形例においては、複数枚のサファイア基板の各々の上に、順次LEDを形成していく。LEDの形成方法は、前述の第2の実施形態と同様である。そして、本変形例においては、複数枚のサファイア基板のうち一部の基板についてのみ、前述のKFMを使用した評価を行う。すなわち、製造ラインを流れていくサファイア基板について、何枚かに1枚を抜き取って検査する。これにより、全数検査を行う場合と比較して、製造条件の変動に起因する電位差ΔVの変化を、より効率的に検出することができる。この結果、検査を行っていないLEDについても、高い生産性で安定して製造することができる。本変形例における上記以外の構成及び効果は、前述の第2の実施形態と同様である。 なお、前述の第2の実施形態及びその変形例においては、半導体層がp型GaNクラッド層であり、金属層がNiからなるp側電極である例を示したが、本発明はこれには限定されず、半導体層はGaN以外の半導体、例えば、ZiO又はGaAsなどから形成されていてもよく、p側電極はNi以外の導電性材料、例えば、Al若しくはAuなどの金属又は合金から形成されていてもよい。また、本発明は、p型の半導体層と金属層との電位差の測定には限定されず、n型の半導体層と金属層との電位差を測定してもよい。更に、基板もサファイア基板に限定されず、例えば、SiC基板又はGaN基板などの半導体基板であってもよい。 また、前述の各実施形態においては、p型GaNクラッド層(半導体層2)とp側電極(金属層3)とが相互に接触しており、電位差ΔVに基づいて両層間のコンタクト抵抗率を評価する例を示したが、本発明はこれに限定されない。前述の如く、半導体層の表面電位は半導体層の仕事関数に依存し、仕事関数は不純物濃度、キャリア濃度、膜質、表面の清浄度及び欠陥密度などに依存するため、電位差ΔVの測定値に基づいて、これらの特性を評価することも可能である。この場合、半導体層と金属層とは必ずしも接続されている必要はない。 更に、第2の実施形態及びその変形例においては、半導体装置の製造工程としてLEDの製造工程を例示したが、本発明はこれに限定されず、本発明は半導体部分と金属部分とが設けられた半導体装置の製造工程であれば適用可能である。この場合、評価対象も半導体層には限定されず、例えば、半導体基板に形成された不純物拡散領域など、半導体装置内の一部分に形成された半導体部分であればよい。また、基準とする金属層も電極には限定されず、半導体装置に信号を入出力するためのパッド又は配線など、測定対象となる半導体層から見てカンチレバーの移動域内にある金属部分であればよい。更に、相互に異なる材料からなる金属部分を測定できる場合には、複数の基準を用いて複数の電位差ΔVの値を算出してもよい。 但し、半導体部分と金属部分とを同じ測定チャンスに測定するためには、半導体部分と金属部分とが同時に露出される工程があることが必要である。この点で、本発明は、化合物半導体層上の一部の領域に金属電極が形成される化合物半導体装置の製造工程に好適に適用することができる。このような化合物半導体装置としては、上述のLEDの他に、例えば、LD(Laser Diode:レーザーダイオード)がある。なお、半導体部分と金属部分とが同時に露出される工程がない場合には、評価対象となる半導体部分の近傍に、専用の金属部分を形成してもよい。 次に、前述の第1の実施形態の効果を具体的に示す実験例について説明する。 先ず、第1の実験例について説明する。 図2は、本実験例において使用した試料を示す側面図であり、 図3は、本実験例において使用した測定装置を示す模式図であり、 図4は、横軸に位置をとり、縦軸に高さ及び電位をとって、本実験例の測定結果を示すグラフ図であり、 図5は、横軸に測定チャンスをとり、縦軸に電位をとって、本実験例の測定結果を示すグラフ図である。 先ず、図2に示すように、測定用の試料11を作製した。すなわち、サファイア基板12上に、MOVPE法(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy法:有機金属気相成長法)によりi型GaN層13及びp型GaN層14をこの順に成膜した。このとき、i型GaN層13の膜厚は2μm(ミクロン)とした。また、p型GaN層14の膜厚は700nm(ナノメートル)とした。次に、高真空蒸着装置内において、蒸着材料であるニッケル材(高純度化学研究所製、純度99.99%)を電子銃により加熱して蒸発させ、p型GaN層14上における4ヶ所の領域に、直径が1mm程度の円形のNi層16を選択的に形成した。Ni層16の厚さは50乃至100nm程度とした。これにより、試料11において、p型GaN層14及びNi層16を露出させた。 次に、この試料11について、電位差ΔVを測定した。試料11の測定には、SII社製のSPM(型式SPI4000)のKFMモードを使用した。また、探針(プローブ)には、SII社製カンチレバー(SI−DF3−R:Rhコート)を使用した。 図3に示すように、このSPM21においては、試料11を載置するためのステージ22が設けられており、ステージ22には高周波電源23が接続されている。高周波電源23は、試料11に測定に必要な参照電圧を供給するものである。ステージ22の上方には、探針であるカンチレバー24が設けられている。そして、ステージ22上に試料11を載置し、ステージ22を1つのNi層16にワイヤー25によって接続した。これは、試料11のサファイア基板12が絶縁性であるためである。この状態で、他の1つのNi層16を含む測定領域17について、表面電位を測定した。測定に際しては、Ni層16(金属層)からp型GaN層14(半導体層)までカンチレバー24を直線的に移動させながら、試料11の表面高さ及び表面電位を測定した。測定結果の一例を図4に示す。 図4に示す測定結果のプロファイルにおいて、表面高さがNi層16の表面高さHNiとp型GaN層14の表面高さHGaNとの中間高さHMとなる中間位置XMを見つけ、この中間位置XMからNi層16側に50μm隔たった位置XNiの表面電位をNi層16の表面電位VNiと定義し、中間位置XMからp型GaN層14側に50μm隔たった位置XGaNの表面電位をp型GaN層14の表面電位VGaNと定義した。そして、表面電位VNiと表面電位VGaNとの差を、電位差ΔVとした。すなわち、ΔV=VNi−VGaNとした。 このような測定を同じ試料11について2回行った。そして、1回目の測定と2回目の測定との間に、カンチレバー24を交換した。結果を表1及び図5に示す。 表1及び図5に示すように、1回目の測定と2回目の測定との間で、p型GaN層14の表面電位VGaNは大きく変化した。これは、1回目の測定と2回目の測定との間にカンチレバー24を交換したためであると考えられる。しかし、Ni層16の表面電位VNiもp型GaN層14の表面電位VGaNと同様な傾向で変化しているため、電位差ΔVはほぼ一定であった。このように、本実験例により、前述の第1の実施形態に係る評価方法によれば、半導体層の表面電位を安定して評価できることが確認された。 次に、第2の実験例について説明する。 図6は、本実験例において使用した試料を模式的に示す側面図であり、 図7は、横軸に金属層の仕事関数をとり、縦軸に電位差ΔVをとって、金属層の仕事関数が電位差ΔVに及ぼす影響を示すグラフ図である。 先ず、図6に示すように、本実験例において使用する試料31を作製した。試料31の作製に際しては、前述の第1の実験例において使用した試料11(図2参照)と比較して、p型GaN層14上に、p型GaN層14に接するように、5つの金属層32a〜32eを形成した。このとき、金属層ごとにその材料を異ならせた。すなわち、金属層32aはNi層とした。金属層32bは、下層がNi層であり上層がAu(金)層である二層膜とした。金属層32cはPd(パラジウム)層とした。金属層32dはPt(プラチナ)層とした。金属層32eはTi(チタン)層とした。なお、試料31における上記以外の部分、すなわち、サファイア基板12、i型GaN層13、p型GaN層14の構成及び成膜方法は、前述の第1の実験例と同じとした。これにより、試料31においては、p型GaN層14及び金属層32a〜32eを露出させた。 そして、p型GaN層14及び金属層32a〜32eの各表面電位を測定し、各金属層の表面電位とp型GaN層14の表面電位との電位差ΔVを算出した。測定に際しては、前述の第1の実験例と同様に、同一のカンチレバーを使用して、同じ測定チャンスに測定した。結果を図7に示す。なお、図7の横軸は各金属層を形成する金属の仕事関数の文献値である。また、図7において、Ni/Au二層膜からなる金属層32bの仕事関数は、最上層を形成するAuの仕事関数とした。 図7に示すように、電位差ΔVは金属層の仕事関数にほぼ比例した。そして、図7に示す回帰直線Lのy切片は半導体層の仕事関数に対応している。この結果から、前述の第1の実施形態に係る評価方法によれば、算出された電位差Δは、ほぼ金属層の仕事関数と半導体層の仕事関数のみに依存し、他の要因にはほとんど依存しないことが確認された。これは、この評価方法によれば、測定環境及びカンチレバーの状態などの変動要因を排除できるためと考えられる。このように、第2の実験例により、前述の第1の実施形態に係る評価方法によれば、半導体層の表面電位を高い信頼性で安定して評価できることが確認された。なお、金属層の仕事関数をWとするとき、回帰直線Lは、ΔV=−0.3791×W+2654と表すことができる。 また、他の実験結果によれば、半導体層の不純物濃度を変化させると、電位差ΔVが一定の傾向に沿って変化することが確認された。また、半導体層の成膜条件を変えても、電位差ΔVが一定の傾向に沿って変化することが確認された。 以上、実施形態、変形例及び実験例を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。本発明の第1の実施形態に係る半導体試料の評価方法を例示する図である。第1の実験例において使用した試料を示す側面図である。第1の実験例において使用した測定装置を示す模式図である。横軸に位置をとり、縦軸に高さ及び電位をとって、第1の実験例の測定結果を示すグラフ図である。横軸に測定チャンスをとり、縦軸に電位をとって、第1の実験例の測定結果を示すグラフ図である。第2の実験例において使用した試料を模式的に示す側面図である。横軸に金属層の仕事関数をとり、縦軸に電位差ΔVをとって、金属層の仕事関数が電位差ΔVに及ぼす影響を示すグラフ図である。符号の説明1 半導体装置、2 半導体層、3 金属層、6 カンチレバー、11 試料、12 サファイア基板、13 i型GaN層、14 p型GaN層、16 Ni層、17 測定領域、21 SPM、22 ステージ、23 高周波電源、24 カンチレバー、25 ワイヤー、31 試料、32a〜32e 金属層、L 回帰直線 半導体部分及び金属部分を有する半導体試料の評価方法であって、 同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出することを特徴とする半導体試料の評価方法。 前記金属部分は複数設けられており、前記複数の金属部分は相互に異なる材料により形成されており、各前記金属部分についてそれぞれ前記差を算出することを特徴とする請求項1記載の半導体試料の評価方法。 半導体部分及び金属部分を有する半導体装置の製造方法であって、 同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出する工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 複数枚の基板の各々の基板上に順次半導体部分及び金属部分を形成していく半導体装置の製造方法であって、 前記複数枚の基板のうちの一部の基板について、同一の探針部を使用して前記半導体部分の表面電位及び前記金属部分の表面電位を測定し、前記半導体部分の表面電位と前記金属部分の表面電位との差を算出する工程を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 前記金属部分は複数設けられており、前記複数の金属部分は相互に異なる材料により形成されており、各前記金属部分についてそれぞれ前記差を算出することを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。 前記半導体部分は化合物半導体からなる化合物半導体層であり、 前記金属部分は前記化合物半導体層に接続された電極であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。 前記半導体装置が発光ダイオード又はレーザーダイオードであることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。 【課題】半導体部分の表面状態を非破壊で評価できる半導体試料の評価方法及び半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】半導体層2及び金属層3を有する半導体装置1の評価において、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)の同一のカンチレバー6を使用して半導体層2の表面電位及び金属層3の表面電位を測定する。そして、これらの表面電位の電位差ΔVを算出する。これにより、測定環境及びカンチレバーの状態などの影響を受けることなく、半導体層2の表面電位を安定して評価することができる。【選択図】図1


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