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タイトル:公開特許公報(A)_水系化粧料及びその製造方法
出願番号:2007106299
年次:2008
IPC分類:A61K 8/73,A61K 8/34,A61K 8/44,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

児島 孝子 JP 2008260735 公開特許公報(A) 20081030 2007106299 20070413 水系化粧料及びその製造方法 第一工業製薬株式会社 000003506 藤本 昇 100074332 薬丸 誠一 100114421 中谷 寛昭 100114432 児島 孝子 A61K 8/73 20060101AFI20081003BHJP A61K 8/34 20060101ALI20081003BHJP A61K 8/44 20060101ALI20081003BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20081003BHJP JPA61K8/73A61K8/34A61K8/44A61Q19/00 3 OL 13 4C083 4C083AB212 4C083AB242 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC182 4C083AC342 4C083AC352 4C083AC432 4C083AC482 4C083AC581 4C083AC582 4C083AD172 4C083AD261 4C083AD262 4C083BB21 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC19 4C083EE06 4C083EE07 4C083EE17 本発明は、水系化粧料及びその製造方法に関する。 水性溶媒を用いた水系化粧料は、みずみずしく、のびの良い使用感を有することから、例えば、ファンデーション、アイシャドー等のメイクアップ化粧品、サンスクリーン化粧品、乳液、クリームなどの各種化粧料として好まれている。 従来、この種の水系化粧料において、セルロース微粒子を添加して水系のゲルを形成させる方法が知られており(例えば、下記特許文献1及び2)、セルロース微粒子を添加することによってチクソトロピー性が増大し、使用性に優れた化粧料となることが開示されている。特開2000−319117号公報特開2000−26229号公報 しかしながら、このようなセルロース微粒子が添加されてなる水系化粧料に粉体を添加して分散させようとすると、前記セルロース微粒子によって主に発揮されている水系化粧料の所定の粘性が低下してしまい、経時安定性や使用感が悪化するという問題がある。 本発明は、経時安定性及び使用感に優れた水系化粧料とその製造方法を提供することを一の目的とする。 このような課題を解決すべく、本発明に係る水系化粧料は、平均重合度(DP)が300以下であり結晶化率が50%以下であるセルロースを少なくとも一部に有してなり且つ平均粒子径が5μm以下であるセルロース含有微粒子と、粉体と、一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上とを含有することを特徴とする。 また、本発明に係る水系化粧料の製造方法は、平均重合度(DP)が300以下であり結晶化率が50%以下であるセルロースを少なくとも一部に有してなり且つ平均粒子径が5μm以下であるセルロース含有微粒子を水性溶媒中に分散させることによってセルロース含有微粒子分散体を得る工程と、粉体を一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上に分散させることによって粉体分散体を得る工程と、前記セルロース含有微粒子分散体と前記粉体分散体とを混合する工程とを含むことを特徴とする。 本発明に係る水系化粧料によれば、セルロース含有微粒子および粉体とともに、一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上を用いることにより、この一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上が、分散助剤として作用し、粉体の分散状態およびセルロース含有微粒子により形成されたゲル状体を安定化させ、粘性の低下が抑制されることとなる。 よって、本発明の水系化粧料は、経時安定性と使用感に優れたものとなる。 また、本発明に係る水系化粧料の製造方法によれば、粉体を一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上(以下、分散助剤ともいう)に分散させた粉体分散体としておき、該粉体分散体を、前記セルロース含有微粒子分散体と混合するという工程を経ることにより、粉体の分散が良好となりセルロース含有微粒子による系のゲル化能の低減を抑えることにより、得られた水系化粧料は、経時安定性と使用感に優れたものとなる。 以下、本発明の実施形態について説明する。 本発明で用いられるセルロースは、平均重合度(DP)が300以下であり、好ましくは10以上100以下であり、より好ましくは20以上50以下である。 平均重合度(DP)が300を超える場合には、分散媒体に微細かつ高度に均一分散したセルロース分散体を得ることが難しく、増粘性や分散安定性に乏しいものとなる。 また、平均重合度(DP)が10未満の場合には、大部分のセルロースが水溶性となり、粘性の原動力となる微粒子が形成されにくくなるため、該セルロースによる粘度調整の効果が得られ難くなる虞がある。 尚、セルロースの平均重合度(DP)は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。 また、本発明で用いられるセルロースは、結晶化率が50%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは1〜30%である。 結晶化率が50%を超える場合には、セルロース含有微粒子自体の分散性が低下するため、粉体の分散性改善を図ることができない。 また、本発明で用いられるセルロースは、I型結晶成分及びII型結晶成分の割合については特に限定されるものではないが、I型結晶成分の量が好ましくは10%以下、より好ましくは6%以下であり、II型結晶成分の量が好ましくは40%以下、好ましくは30%以下である。 尚、セルロースの結晶化率は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。 前記セルロースの結晶化率を調整する方法としては、例えば、セルロースを溶解させうる一般的な溶媒(硫酸、ジメチルアセトアミド、銅エチレンジアミン錯体)等にセルロースを一旦溶解させ、その後、該セルロースを再生させる方法が挙げられる。 また、本発明で用いられる前記セルロース含有微粒子としては、前記セルロースを少なくとも一部に有してなるものを使用でき、具体的には、前記セルロースのみで構成されたセルロース微粒子や、該セルロースと他の材料とが複合されてなるセルロース複合体微粒子を使用できる。 セルロース複合体微粒子を構成する他の材料としては、例えば、オイル系化合物、水溶性高分子、保湿剤、界面活性剤、金属酸化物、紫外線遮蔽剤、無機塩、金属粉、ガム類、染料、顔料、肥料、カーボンブラック、シリカ化合物、ラテックス、エマルジョン剤、アミノ酸類、香料、生薬及び防腐剤からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。 より詳しくは、メチルポリシロキサン、シリコーンポリエーテルコポリマー等のシリコンオイル、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油等の植物油、動物油、ラノリン、流動パラフィン、スクワラン等のオイル系化合物、水溶性高分子、ヒアルロン酸、グリセリン、1,3−ブチリレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、部分アセチル化キチン、シフィンゴ脂質等の保湿剤、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチリタウリン、アシルコラーゲンペプチド、酢酸ベタイン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、レシチン等の界面活性剤、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム等の金属化合物、ウロカニン酸、オキシベンゾン、フェニルサリシレート、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸エチルヘキシルエステル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、ジベンゾイルメタン等の紫外線遮蔽剤、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス等のラテックスが挙げられる。 また、前記水溶性高分子としては、カラギーナン、寒天、ファーセラン、グアーガム、クインスシード(マルメロ)、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)ローカストビーンガム、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガム、トラガカントガム、アラビノガラクタン、ペクチン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン、ポリビニルピロリドンの他、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。特に、疎水性粉体の分散安定化作用の向上という観点から、該水溶性高分子のうち、非イオン性の水溶性高分子を好適に使用することができる。 また、セルロース複合体微粒子に占める前記セルロースの割合は、好ましくは50重量%以上とし、より好ましくは70重量%以上とする。 セルロース複合体微粒子に占める前記セルロースの割合を50重量%以上とすることにより、前記粉体の分散性が向上するという効果がある。 該セルロース含有微粒子の平均粒子径は5μm以下であり、好ましくは5〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。 セルロース含有微粒子の平均粒子径が5μmを超える場合、粉体を安定化させる作用が低下し、該粉体の凝集や沈降が生じる虞がある。 尚、セルロース含有微粒子の平均粒子径は、下記実施例に記載された方法により測定されるものである。 本発明で使用される粉体は、通常化粧料に使用される粉体であればよく、球状、板状、針状等の任意の形状を有し、煙霧状、微粒子状、顔料級等の任意の粒子径を有し、多孔質、無孔質等の任意の粒子構造を有するものを使用でき、斯かる粉体としては、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。該粉体として、具体的には、酸化チタン、低次酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。 前記一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上(分散助剤)のうち、一級アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロパノール、t−ブタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ、中でも、化粧品に用いることができ、粉体の分散が容易になり安定性も向上するという観点から、エタノールを好適に使用することができる。 本発明に係る水系化粧料は、前記セルロース含有微粒子や前記粉体等が、水系溶媒中に分散されてなるものである。 該水系溶媒としては、、水、又は、水と相溶性の溶媒との混合液を使用することができ、該混合液としては、例えば、水10重量%以上、好ましくは20重量%以上とメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類との混合液、又は、ソルビトール、ショ糖等の固形状の糖アルコールの水溶液を挙げることができる。 本発明の水系化粧料を得る方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、前記セルロース含有微粒子、前記粉体、及び前記分散助剤を、必要に応じて油剤、保湿剤、分散剤、防腐剤等とともに攪拌し、均一な分散状態とする方法を採用しうる。 特に、粉体の分散安定化向上と、セルロース含有微粒子による系のゲル化能の低減を抑えるという観点から、前記セルロース含有微粒子を水性溶媒中に分散させることによってセルロース含有微粒子分散体を得る工程と、粉体を一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上(分散助剤)に分散させることによって粉体分散体を得る工程と、前記セルロース含有微粒子分散体と前記粉体分散体とを混合する工程とを含む方法が好ましい。 セルロース含有微粒子を水性溶媒中に分散させる方法としては、これらを、例えば、ホモミキサー型攪拌混合機にて分散させる方法を採用しうる。特に、セルロース含有微粒子の分散安定性の向上という観点から、高圧分散機を用いて、処理圧を100〜170MPaの高圧に保ちながら分散処理を行う方法が好適である。 また、前記粉体を前記分散助剤に分散させる方法としては、前記粉体と前記分散助剤とを、例えば、ホモディスパー型攪拌混合機にて分散させる方法が挙げられる。特に、セルロース含有微粒子分散体のゲル化能低減を抑えるという観点から、ビーズミルやロールミルまどの分散機を用いて分散処理を行う方法が好適である。 さらに、前記セルロース含有微粒子分散体と前記粉体分散体とを混合する方法としては、例えば、これらをホモミキサー型攪拌混合機にて分散させる方法が挙げられる。特に、セルロース含有微粒子分散体と粉体分散体の分散安定性向上という観点から、高圧分散機を用いて、処理圧を100〜170MPaの高圧に保ちながら分散処理を行う方法が好適である。 水系化粧料中におけるセルロース含有微粒子、粉体、及び分散助剤の含有量は、該水系化粧料の製品形態(用途)等に応じて適宜調整できる。具体的には、粉体の分散性という観点からは、前記セルロース含有微粒子は、前記粉体100重量部に対して好ましくは2〜200重量部、より好ましくは5〜50重量部とする。一方、前記分散助剤は、前記粉体100重量部に対して、グリシンでは好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部とし、一級アルコールでは好ましくは0.1〜200重量部、より好ましくは1〜100重量部とする。このような配合比率とすることにより、粉体の分散性を向上させうるという効果がある。 また、ゲル化という観点からは、前記セルロース含有微粒子を、水系化粧料全体に対して1.0〜4.0重量%とすることが好ましく、このような添加割合とするにより、セルロース含有微粒子による系のゲル化作用がより一層良好に発揮され、粉体の分散安定性も向上するという効果がある。 また、分散助剤に関しては、前記グリシンを、粉体100重量部に対して0.1〜10重量部とすることや、前記一級アルコールを、粉体100重量部に対して0.1〜200重量部とすることにより、前記粉体の分散性をより一層良好とし、また、セルロース含有微粒子による系のゲル化能低減を抑えるという効果がある。 また、本発明に係る水系化粧料は、さらに、多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールを含有することにより、分散された前記粉体の安定性がより一層優れたものとなる。 該多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。中でも、粉体の分散安定化作用の向上という観点から、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコールを好適に使用することができる。 本発明に係る水系化粧料は、油を配合する必要はなく、また、油相と水相との比率も特に限定されないが、好ましくは重量比で油相:水相=60:40〜1:99、より好ましくは油相:水相=40:60〜20:80である。油剤を入れることにより保湿性を高め、使用感を向上させることができるが、油相が60重量%を超えると粉体を分散させる水相が少なくなり、好ましくない。 本発明に係る水系化粧料には、本発明の効果を損わない範囲内において、通常、化粧料に添加される成分を配合することができる。このような成分としては、例えば水、油分、保湿剤、ワックス、界面活性剤、顔料、分散剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。 本発明に係る水系化粧料は、種々の形態の化粧料として適用されうるものである。適用される化粧料の具体例としては、例えば、化粧下地、リップグロス、口紅、マスカラ、ファンデーション、アイカラー、アイライナー、アイブロウ、チークカラー等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン剤等の化粧料などが挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明する。(1)セルロース微粒子分散体の調製 −5℃の65重量% 硫酸水溶液に、セルロース(サルファイト法により木材パルプから製造したサルファイトパルプ)を、終濃度2〜10重量%となるよう溶解させ、セルロースドープを得た。続いて、セルロースドープに対して2.5倍重量の5℃に維持された水中に、前記ドープを攪拌しながら添加し、セルロースをフロック状に凝集させた。得られた産物を、85℃で20分間維持し、ついで、pH4以上になるまで、該産物の水洗と脱水とを繰り返し、ゲル状物を得た。 次に、前記ゲル状物に、固形分濃度4重量%となるように水を添加した。その後、得られた産物を、分散機(プライミクス社製、機種名:TKロボミックス)に供して、10000rpmにて10分間処理することにより分散させた。さらに、得られた産物を、超高圧ホモジナイザー(みづほ工業社製、機種名:マイクロフルイダイザーM−110−E/H、圧力:100MPa)に供して超高圧分散処理し、ゲル状のセルロース微粒子の分散体(固形分濃度4重量%)を得た。(2)セルロースの平均重合度の測定 前記(1)で得られたゲル状のセルロース微粒子の分散体を、70℃で乾燥させた。乾燥させたセルロース微粒子 200mg、400mg、600mg、800mgまたは1000mgを、カドキセン 50mlに溶解して得られた希薄セルロース溶液の25℃における比粘度をウベローデ型粘度計を用いて測定し、極限粘度数ηを、濃度0に外挿したときの比粘度として算出した。ついで、得られた極限粘度数ηに基づき、式(I):η=3.85×10-2×Mw0.76 (I)(式中、Mwは、重量平均分子量を示す)と、式(II):平均重合度=Mw/162 (II)(式中、Mwは、重量平均分子量を示す)とにより、平均重合度を算出した。 その結果、得られた分散体中のセルロースの平均重合度は、約40であった。(3)セルロースの結晶化率の測定 前記(1)で得られたゲル状のセルロース微粒子の分散体を、70℃で乾燥させた後、粉砕し、錠剤に成形して、線源CuKα、反射法での広角X線回折法(リガク社製、RINT−ULtimaIII)により得られた回折図において、セルロースI型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=15.0°における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1から下記(III)式よりセルロースI型結晶成分の分率(χI)を求めた。同様に、前記回折図において、セルロースII型結晶(110)面ピークに帰属される2θ=12.6°における絶対ピーク強度h0*と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*から下記(IV)式よりセルロースII型結晶成分の分率(χII)を求めた。 χI=h1/h0 (III) χII=h1*/h0* (IV) そして、セルロースI型結晶成分の分率(χI)とセルロースII型結晶成分の分率(χII)とを用い、下記(V)式よりセルロースの結晶化率を求めた。 結晶化率(%)=(χI+χII)×100 (V) その結果、得られた分散体中のセルロースの結晶化率は、20(%)であった。(4)セルロース微粒子の平均粒子径の測定 前記(1)で得られたセルロース微粒子の分散体を、1.5重量%濃度となるように、水で希釈し、続いて超高圧ホモジナイザー(マイクロフルタイザーM−110−E/H、圧力:100MPa)により超高圧分散処理した。得られた分散液を、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA(日機装社製)で平均粒子径を測定した。なお、平均粒子径としては、体積基準径における50%径である累積中位径((メジアン径)を採用した。 その結果、セルロース微粒子の平均粒子径は、20nmであった。水系化粧料についての試験 水系化粧料の一実施形態であるサンスクリーン剤として、表1に示した成分と配合により実施例及び比較例のサンスクリーン剤を作成した。具体的な手順を以下に示す。(実施例1)(a)メトキシケイヒ酸オクチル(アイエスピージャパン(株)製、商品名「エスカロール557」)5重量部と、オクタン酸イソセチル(高級アルコール工業社製、商品名「ICEH」)12重量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業社製、商品名「シリコンKF995」)5重量部と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(第一工業製薬社製、商品名「ノイゲンHC−800」)1重量部とを、手攪拌で75℃に加熱しながら混合した。(b)さらに、微粒子酸化チタン(石原産業社製、TTO-V-3)5重量部と、微粒子酸化亜鉛(石原産業社製、MTP-144)9重量部と、エタノール12.85重量部とをホモディスパー型攪拌混合機(同上)にて均一に分散した。(c)前記(1)で調製したセルロース微粒子分散体50重量部と、メチルパラベン0.1重量部と、フェノキシエタノール0.05重量部とをホモミキサー型攪拌混合機(同上)にて均一に分散した。(d)前記(b)工程で得た産物に前記(a)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機(同上)を用いて乳化させた。(e)前記(d)工程で得た産物に前記(c)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機を用いて均一な分散状態とすることにより、実施例1のサンスクリーン剤を得た。(実施例2) 前記(a)工程においてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(「ノイゲンHC−800」)の添加量を0.5重量部とし、前記(b)工程においてポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル(第一工業製薬社製、「ノイゲンET−69」)0.5重量部をさらに添加することを除き、他は実施例1と同様にして実施例2のサンスクリーン剤を得た。(実施例3) 前記(a)工程においてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(「ノイゲンHC−800」)に替えてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)を0.5重量部添加し、前記(b)工程においてエタノールを6.85重量部とし、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)0.5重量部をさらに添加するとともに得られた産物に1,3−ブチレングリコール6重量部を添加して加熱混合することにより(b)の産物とすることを除き、他は実施例1と同様にして実施例3のサンスクリーン剤を得た。(実施例4)(a)メトキシケイヒ酸オクチル(同「エスカロール557」)5重量部と、オクタン酸イソセチル(同「ICEH」)12重量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン(同「シリコンKF995」)5重量部と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(同「ノイゲンHC−800」)1重量部とを、手攪拌で75℃に加熱しながら混合した。(b−1)さらに、微粒子酸化チタン(同上)5重量部と、微粒子酸化亜鉛(同上)9重量部との混合物に、1,3−ブチレングリコール10重量部を添加して加熱混合した。(b−2)精製水14.85重量部とグリシン0.5重量部とを、ホモディスパー型攪拌混合機(同上)を用いて均一な分散状態とし、75℃に加熱しながら混合した。得られた産物を、前記(b−1)工程で得た産物に添加し、ホモミキサー型攪拌混合機(同上)にて混合した。(c)前記(1)で調製したセルロース微粒子分散体37.5重量部と、メチルパラベン0.1重量部と、フェノキシエタノール0.05重量部とをホモミキサー型攪拌混合機(同上)にて均一に分散した。(d)前記(b−2)工程で得た産物に前記(a)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機(同上)を用いて乳化させた。(e)前記(d)工程で得た産物に前記(c)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機を用いて均一な分散状態とすることにより、実施例4のサンスクリーン剤を得た。(比較例1) 前記(a)工程においてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(「ノイゲンHC−800」)に替えてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)を0.5重量部添加し、前記(b)工程においてエタノールを6.75重量部とし、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)0.5重量部をさらに添加するとともに得られた産物に1,3−ブチレングリコール6重量部を添加して加熱混合したのち、精製水50重量部を加えて均一に混合することにより(b)の産物とし、前記(c)工程においてセルロース微粒子分散体に替えてカーボポール0.1重量部を添加することを除き、他は実施例1と同様にして比較例1のサンスクリーン剤を得た。(比較例2) 前記(a)工程においてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(「ノイゲンHC−800」)に替えてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)を0.5重量部添加し、前記(b)工程においてエタノールを添加せず、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)0.5重量部をさらに添加するとともに得られた産物に1,3−ブチレングリコール6重量部を添加して加熱混合したのち、精製水6.95重量部を加えて均一に混合することにより(b)の産物とし、前記(c)工程においてメチルパラベンを添加しないことを除き、他は実施例1と同様にして比較例2のサンスクリーン剤を得た。[経時安定性の評価] 各実施例及び比較例のサンスクリーン剤をガラス製サンプル瓶に充填し、40℃で1ヶ月放置した後、組成物の分離状態を目視にて観察し、下記の基準に従い評価した。結果を表1に示す。◎:全く分離が認められない。○:ほとんど分離が認められない。△:わずかに分離が認められる。×:完全に分離している。[使用感の評価] 各実施例及び比較例のサンスクリーン剤について5名のパネルによる官能試験を行い、顔面での使用感(のびの軽さ、べたつきのなさ)を下記の基準に従い評価した。結果を表1に示す。◎:非常に良い。○:良い。△:やや悪い。×:悪い。 表1に示したように、実施例のサンスクリーン剤は、比較例のサンスクリーン剤に比して経時安定性に優れ、しかも、のびの軽さやべたつきの無さといった使用感も良好であることが認められた。 水系化粧料の一実施形態である水中油型乳化ファンデーションとして、表2に示した成分と配合により実施例及び比較例の水中油型乳化ファンデーションを作成した。具体的な手順を以下に示す。(実施例5)(f)スクワラン(日光ケミカルズ社製、商品名「スクワラン」)10重量部と、デカメチルシクロペンタシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名「シリコンKF995」)5重量部と、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)を0.5重量部とを手攪拌で分散させた。(g)前記(1)で調製したセルロース微粒子分散体50重量部と、1,3−ブチレングリコール8重量部と、グリセリン5重量部と、ショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)0.5重量部と、メチルパラベン0.1重量部と、フェノキシエタノール0.05重量部とをホモミキサー型攪拌混合機(同上)にて均一に分散した。(h)酸化チタン(石原産業社製、TTO-V-3)8重量部と、タルク(浅田製粉社製、JA-68R)4重量部と、黄酸化鉄(チタン工業社製、LL-100)0.5重量部と、黒酸化鉄(チタン工業社製、BL-100)0.06重量部と、赤酸化鉄(チタン工業社製、R-516-L)0.5重量部と、エタノール7.79重量部とをホモディスパー型攪拌混合機(同上)を用いて均一な分散状態とした。(i)前記(g)工程で得た産物に(f)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機(同上)を用いて乳化させた。(e)前記(i)工程で得た産物に前記(h)工程で得た産物を加え、ホモミキサー型攪拌混合機(同上)を用いて均一な分散状態とすることにより、実施例5の水中油型乳化ファンデーションを得た。(実施例6) 前記(f)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)に替えてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(第一工業製薬社製、「ノイゲンHC−800」)を用い、前記(g)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)に替えてポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル(第一工業製薬社製、「ノイゲンET−69」)0.5重量部を用いることを除き、他は実施例5と同様にして、実施例6の水中油型乳化ファンデーションを得た。(実施例7) 前記(f)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)に替えてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(第一工業製薬社製、「ノイゲンHC−800」)を用いるとともに精製水7.29重量部をさらに加え、前記(g)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)に替えてポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル(第一工業製薬社製、「ノイゲンET−69」)0.5重量部を用い、前記(h)工程においてエタノールに替えてグリシン0.5重量部を用いることを除き、他は実施例5と同様にして、実施例8の水中油型乳化ファンデーションを得た。(比較例3) 前記(g)工程においてセルロース微粒子分散体50重量部に替え、精製水49.3重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.2重量部、及びベントナイト0.5重量部を用いることを除き、他は実施例5と同様にして、比較例3の水中油型乳化ファンデーションを得た。(比較例4) 前記(f)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−160」)に替えてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(第一工業製薬社製、「ノイゲンHC−800」)を用いるとともに精製水7.83重量部をさらに加え、前記(g)工程においてショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製、商品名「コスメライクS−50」)に替えてポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル(第一工業製薬社製、「ノイゲンET−69」)0.5重量部を用い、前記(h)工程においてエタノールを添加しないことを除き、他は実施例5と同様にして、比較例4の水中油型乳化ファンデーションを得た。 得られた実施例及び比較例の水中油型乳化ファンデーションにつき、前記サンスクリーン剤と同様にして、経時安定性および使用感(のびの軽さ、べたつきの無さ)の評価を行った。結果を表2に示す。 表2に示したように、実施例の水中油型乳化ファンデーションは、比較例の水中油型乳化ファンデーションに比して経時安定性に優れ、しかも、のびの軽さ、べたつきの無さといった使用感も良好であることが認められた。 本発明に係る水系化粧料は、例えば、化粧下地、リップグロス、口紅、マスカラ、ファンデーション、アイカラー、アイライナー、アイブロウ、チークカラー等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン剤等の化粧料として好適に適用することができる。 平均重合度(DP)が300以下であり結晶化率が50%以下であるセルロースを少なくとも一部に有してなり且つ平均粒子径が5μm以下であるセルロース含有微粒子と、粉体と、一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上とを含有することを特徴とする水系化粧料。 さらに、多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1記載の水系化粧料。 平均重合度(DP)が300以下であり結晶化率が50%以下であるセルロースを少なくとも一部に有してなり且つ平均粒子径が5μm以下であるセルロース含有微粒子を水性溶媒中に分散させることによってセルロース含有微粒子分散体を得る工程と、粉体を一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上に分散させることによって粉体分散体を得る工程と、前記セルロース含有微粒子分散体と前記粉体分散体とを混合する工程とを含むことを特徴とする水系化粧料の製造方法。 【課題】 経時安定性及び使用感に優れた水系化粧料とその製造方法を提供することを一の目的とする。 【解決手段】 平均重合度(DP)が300以下であり結晶化率が50%以下であるセルロースを少なくとも一部に有してなり且つ平均粒子径が5μm以下であるセルロース含有微粒子と、粉体と、一級アルコール及びグリシンからなる群より選択される一種又は二種以上とを含有することを特徴とする水系化粧料による。【選択図】 なし


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