タイトル: | 公開特許公報(A)_カーボンブラックの検査装置および検査方法 |
出願番号: | 2007103145 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 15/00 |
今井 将吾 JP 2008261668 公開特許公報(A) 20081030 2007103145 20070410 カーボンブラックの検査装置および検査方法 株式会社ブリヂストン 000005278 本多 一郎 100096714 杉本 由美子 100124121 今井 将吾 G01N 15/00 20060101AFI20081003BHJP JPG01N15/00 Z 3 1 OL 5 本発明は、カーボンブラックの検査装置および検査方法(以下、単に「検査装置」および「検査方法」とも称する)に関し、詳しくは、2次粒子を含有するカーボンブラックの検査装置および検査方法に関する。 画像形成装置に使用される各種ローラ部材等には、導電剤として、カーボンブラックが汎用されている。このカーボンブラックを製造する際には、製造条件のバラツキにより、ロットによって、1次粒子の凝集により形成された2次粒子が多く混入する場合があり、この2次粒子が分散時に粉砕できないと、異物として製品不良を引き起こすことになる。 しかし、この2次凝集粒子を砕くために分散時のせん断力を高めると、カーボンブラックのストラクチャーが破壊されて、電気抵抗が上昇するという別の問題が生ずる。このカーボンブラックの2次粒子の量は製造のロットにより異なるため、上記の異物不良の発生を低減するためには、2次粒子量の少ないロットを選別して使用することが望ましいといえる。 なお、特許文献1には、結晶安定性が高く、粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を含む分散液を得るための技術として、ビーズミル方式の分散装置を用いて、分散室に設置されたローラーを回転させるモーターのトルクを検出しながら分散を行い、計測されるトルク値を用いて所定の関係式により求められる分散の仕事量と分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の重量の比を所定範囲内とする分散液の作製方法が開示されている。特開2004−246300号公報(特許請求の範囲等) 上記のように、カーボンブラックをローラ材料等として使用するにあたって、2次粒子の混入に起因する製品不良の発生を防止するために、製造ロットごとにその含有量を評価しうる技術の確立が望まれている。 そこで本発明の目的は、カーボンブラック中に含まれる2次粒子を定量的に評価しうるカーボンブラックの検査装置および検査方法を提供することにある。 本発明者は鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明のカーボンブラックの検査装置は、分散媒に所定量のカーボンブラックが分散されたスラリー中で、該カーボンブラックの凝集状態を検査するためのカーボンブラックの検査装置であって、 前記スラリーを貯留するタンクと、該タンクに繋がる循環流路と、前記スラリーを圧送して該循環流路内で循環させるポンプと、該循環流路内に設けられたストレーナと、該循環流路内を循環する前記スラリーの循環圧力を測定するための圧力測定器と、を備えることを特徴とするものである。本発明において、前記ストレーナの網目の大きさは、好適には300μm以下である。 また、本発明のカーボンブラックの検査方法は、上記本発明の検査装置を用いたカーボンブラックの検査方法であって、 前記スラリーを前記循環流路内で循環させながら、前記圧力測定器により該スラリーの循環圧力を測定し、循環を開始してから循環圧力が変動するまでの時間により、前記カーボンブラックの凝集状態を検査することを特徴とするものである。 本発明によれば、上記構成としたことにより、カーボンブラック中に含まれる2次粒子を定量的に評価して、良好な製造ロットの判別を可能とすることで、2次粒子の混入に起因する製品不良の発生を効果的に防止できるカーボンブラックの検査装置および検査方法を実現することが可能となった。 以下、本発明の好適実施形態について詳細に説明する。 図1に、本発明のカーボンブラックの検査装置の概略説明図を示す。本発明のカーボンブラックの検査装置は、分散媒に所定量のカーボンブラックが分散されたスラリー中で、カーボンブラックの凝集状態を検査するための装置であって、図示するように、スラリーを貯留するタンク1と、タンク1に繋がる循環流路2と、スラリーを圧送して循環流路2内で循環させるポンプ3と、循環流路2内に設けられたストレーナ4と、循環流路2内を循環するスラリーの圧力を測定するための圧力測定器5と、を備えている。 かかる検査装置を用いることで、スラリー中に分散させたカーボンブラックの2次凝集粒子の量を評価して、製造ロットごとに、カーボンブラックの良品・不良品の判別を行うことが可能となる。したがって、製造ロットのうち良品のみを確保することができるため、これをローラ材料等として用いることで、製品不良の発生率を大幅に低下させることが可能となるものである。 上記検査装置を用いてカーボンブラックを検査するに際しては、具体的には、分散媒中に所定量のカーボンブラックを分散させてなるスラリーをタンク1に充填して、ポンプ3により循環流路2内を循環させながら、圧力測定器5によりスラリーの圧力を測定する。循環流路2内にはストレーナ4が配置されているため、スラリー内に2次粒子が含まれていると、スラリーがストレーナ4を通過する際にこの2次粒子がストレーナ4に詰まって、スラリーが循環しにくくなり、結果として循環圧力が低下することになる。スラリー中に2次粒子が含まれなければ循環圧力の変動はないため、循環を開始してから循環圧力が変動するまでの時間を測定することにより、この時間の違いで2次粒子の含有量、すなわち、カーボンブラックの凝集の少ない製造ロットを判別することが可能となるのである。 本発明においては、図示するような構成の検査装置を用いてカーボンブラックの検査を行う点のみが重要であり、その装置構成の詳細については、常法に従い適宜決定することができ、特に制限されるものではない。 例えば、スラリーの調製に用いるカーボンブラックの分散媒としては、液状のものであればいかなるものでも使用することが可能であり、具体的には例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)、エタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエンなどを用いることができる。本発明に用いるスラリーは、目的とするカーボンブラックを各製造ロットから所定量にて抜き取って、適宜選択した分散媒中に投入、攪拌して分散することにより調製することができる。なお、本発明に適用可能なカーボンブラックとしては、アセチレンブラック等、特に制限されない。 スラリーの圧送に用いるポンプ3としては、モノポンプ、ギヤポンプ等、公知のもののうちから適宜選択して用いることができ、特に制限されない。また、圧力測定器5についても、スラリーの循環圧力が測定できるものであれば特に制限されず、公知のもののうちから適宜選択して用いることができる。 ストレーナ4としては、カーボンブラックの2次粒子の粒度分布が300μmにピークを持っているため、網目の大きさが300μm以下であるものを用いることが好ましい。これにより、本発明による検査の精度をより高めることができる。ストレーナの網目の大きさは、100μm以上であれば問題なく検査を行って良品ロットと不良品ロットとを判断することができるが、網目の大きさが100μm未満の場合でも流量を下げるなどすることで良・不良の判断は可能となるため、300μm以下のストレーナであれば使用可能である。また、ストレーナ4は、図示する例ではポンプ3より下流側に配置しているが、上流側に配置してもよく、特に制限されない。 以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。 図1に概略を示すような、スラリーを貯留するタンク1と、タンク1に繋がる循環流路2と、スラリーを圧送するためのポンプ3と、循環流路2内に設けられたストレーナ4と、スラリーの循環圧力を測定するための圧力測定器5とを備える検査装置を用いて、下記条件に従い、カーボンブラックの凝集状態の検査を行った。<検査条件>タンク1の容量:30リットルポンプ3の流量:300ml/分ストレーナ4のメッシュ:♯60(網目300μm)(φ3.0mm×7.5mm)圧力測定器:KYOWA製、品番WGA−710A スラリーは、PPG/カーボンブラック=100/5の割合の配合物15kgを投入し、ディスパーにて攪拌、分散させることにより調製した。タンク1中にこのスラリーを充填して、ポンプ3で循環させ始めてから循環圧力が変動するまでの時間を測定した。なお、循環圧力は初期:19.6N(2kgf)であり、変動を確認した時点:0N(0kgf)であった。 結果として、120分でも循環圧力に変化がなかったロットのカーボンブラックでは、製品に使用した場合にも不良の発生が見られなかったのに対し、10分で循環圧力が変動したロットのカーボンブラックでは、製品に使用した場合に不良品の発生が多く見られた。すなわち、凝集物の少ない通常ロットと、凝集物の多い不良ロットとでは、循環圧力変動までの時間に明らかな差異が見られ、この時間を測定することにより、製造ロットごとのカーボンブラックの良・不良の別が判別できることが確かめられた。本発明の一実施の形態に係るカーボンブラックの検査装置を示す概略説明図である。符号の説明1 タンク2 循環流路3 ポンプ4 ストレーナ5 圧力測定器 分散媒に所定量のカーボンブラックが分散されたスラリー中で、該カーボンブラックの凝集状態を検査するためのカーボンブラックの検査装置であって、 前記スラリーを貯留するタンクと、該タンクに繋がる循環流路と、前記スラリーを圧送して該循環流路内で循環させるポンプと、該循環流路内に設けられたストレーナと、該循環流路内を循環する前記スラリーの循環圧力を測定するための圧力測定器と、を備えることを特徴とするカーボンブラックの検査装置。 前記ストレーナの網目の大きさが300μm以下である請求項1記載の検査装置。 請求項1または2記載の検査装置を用いたカーボンブラックの検査方法であって、 前記スラリーを前記循環流路内で循環させながら、前記圧力測定器により該スラリーの循環圧力を測定し、循環を開始してから循環圧力が変動するまでの時間により、前記カーボンブラックの凝集状態を検査することを特徴とするカーボンブラックの検査方法。 【課題】カーボンブラック中に含まれる2次粒子を定量的に評価しうるカーボンブラックの検査装置および検査方法を提供する。【解決手段】分散媒に所定量のカーボンブラックが分散されたスラリー中で、カーボンブラックの凝集状態を検査するためのカーボンブラックの検査装置である。スラリーを貯留するタンク1と、タンク1に繋がる循環流路2と、スラリーを圧送して循環流路2内で循環させるポンプ3と、循環流路2内に設けられたストレーナ4と、循環流路2内を循環するスラリーの循環圧力を測定するための圧力測定器5と、を備える。【選択図】 図1