生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規ヨードベンゼン誘導体,およびそれを用いたカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法
出願番号:2007096825
年次:2008
IPC分類:C07D 233/64


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東郷 秀雄 秋池 純之介 JP 2008214329 公開特許公報(A) 20080918 2007096825 20070306 新規ヨードベンゼン誘導体,およびそれを用いたカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法 東京化成工業株式会社 591105993 東郷 秀雄 秋池 純之介 C07D 233/64 20060101AFI20080822BHJP JPC07D233/64 103C07D233/64 4 書面 8 本発明はヨードベンゼン透導体,およびそれを用いたカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法に関するもので,有機合成の分野において利用される有用な合成中間体であるα−スルホニルオキシカルボニル化合物の製造に供されるものである。 有機ヨウ素化合物は,その原子価を容易に拡張し,オクテット則を超える超原子価ヨウ素化合物を形成する。代表的な超原子価ヨウ素化合物としては,(ジアセトキシヨード)ベンゼンや[ヒドロキシ(スルホニルオキシ)ヨード]ベンゼンが挙げられる。ことに,[ヒドロキシ(スルホニルオキシ)ヨード]ベンゼンはカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化剤として用いられており,得られたα−スルホニルオキシカルボニル化合物は複素環合成のための有用な合成中間体として多方面で利用されている。 α−スルホニルオキシ化剤として用いられる超原子価ヨウ素化合物は,[ヒドロキシ(メタンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン(HMIB),[ヒドロキシ(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン(HNIB),「ヒドロキシ(p−トルエンスルホニルオキシ)ヨード]ベンゼン(HTIBまたはKoser試薬)などが代表例として挙げられる。 近年,これらのスルホニルオキン化剤を事前に合成することなく,反応系内で生成させ,単離することなくそのまま利用する方法が研究されている。例えば,β−ジケトン,β−ケトエステルのクロロホルム溶液に,ヨードソベンゼンとメタンスルホン酸を加え,反応させる方法(非特許文献1参照),マイクロ波を利用し,カルボニル化合物と(ジアセトキシヨード)ベンゼンとp−トルエンスルホン酸を反応させる方法(非特許文献2参照)が報告されている。また,発明者らも,触媒量のヨードベンゼン,および3−クロロ過安息香酸,p−トルエンスルホン酸を用い、反応系内でHTIBを発生させることにより,効率的にカルボニル化合物をα−p−トルエンスルホニルオキシ化する方法を報告している(非特許文献3参照)。 上記の手法は,事前にスルホニルオキシ化剤を調整する必要がないため,簡便かつ,有用な手法であるが,反応後に副生するヨードベンゼンと目的物の分離がしばしば問題となる。この問題を解決すべく,スルホニルオキシ化剤を担体に結合させたポリマー担持HTIBやイオン液体担持HTIBか開発されている(非特許文献4,5参照)。これらを用いた反応では,反応終了後にポリマー担持ヨードベンゼン,およびイオン液体担持ヨードベンゼンが副生するが,前者は固体であり,後者はエーテルを加えることにより沈殿する。そのため,ろ過により容易に除去することができる。また,回収されたポリマー担持ヨードベンゼン,イオン液体担持ヨードベンゼンは再酸化,スルホニルオキン化により,ポリマー担持HTIBやイオン液体担持HTIBに再生,再利用することができる。 R.M.Moriarty.R.K.Vaid,V.T.Ravikumar,B.K.Vaid,T.E.Hopkins,Tetrahedron,1988,144,1603J.C.Lee,J.−H.Choi,Synlett,2001,234Y.Yamamoto,H.Togo,Synlett,2006,798S.Abe,K.Sakuratani,H.Togo,J.Org.Chem.,2001,66,6174S.T.Handy.M.Okello,,J.Org.Chem.,2005,70,2874 しかしながら,ポリマー担持HTIBは固体であるため,反応は不均一系となり,高収率で目的物を得るためには比較的,長時間の反応時間が必要である。また,副生物のポリマー担持ヨードベンゼンから,ポリマー担持HTIBを再生し,再利用できるが,再生するためには一旦アセトキシ化する必要があり,操作が煩雑である。イオン液体担持HTIBは液体であり,均一系反応であるため,比較的反応性が良好であるが,イオン液体担持超原子価ヨウ素化合物は一般的に安定性に問題があると言われている。この化合物の保存安定性についても報文には示されていない。また,副生物のイオン液体担持ヨードベンゼンは,ポリマー担持ヨードベンゼンと同様の手法で再生することができると報告されているが,実験例が記載されていない。このような状況から,簡便かつ副生物の除去が容易なカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法,および再利用が容易な反応試剤が強く求められている。 そこで,本発明者らは鋭意研究を重ねた結果,本発明を完成するに至った。 本発明は,下記構造式(4) (式中,R1,R3,R4はそれぞれ独立に水素,アルキル基,アルキルオキシメチル基,アルケニル基,芳香環,複素環から選択され,R2はアルキル基,アルキルオキシメチル基,アルケニル基,芳香環,複素環から選択され,R5,R6,R7,R8はそれぞれ独立に水素,ハロゲン,アルキル基から選択され,Aは炭素数1から10までのアルキル鎖で,鎖中の任意のメチレンが酸素,硫黄,窒素で置換されていても良く,Xはハロゲン,アセタート,トリフルオロアセタート,トリフルオロメタンスルホナート,p−トルエンスルホナート,テトラフルオロボラート,ヘキサフルオロホスファート,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドから選択される)で示されるヨードベンゼン誘導体に関するものである。 本発明に係るヨードベンゼン誘導体は文献未載の新規化合物である。本発明に係る新規ヨードベンゼン誘導体の代表例として,下記構造式(5) で示される1−[4−(4−ヨードフェノキン)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドを取り上げ,その合成法を例示する。 この反応は無溶媒でも溶媒を用いても良い。溶媒を用いる場合は,エーテル系溶媒を用いると,反応後の回収が容易である。反応温度は室温から70℃の間で適宜選択される。反応時間は10分から24時間の間で適宜選択される。 また,本発明に係るヨードベンゼン誘導体を用いるカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法の代表例として,1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドを用いたアセトフェノンのα−スルホニルオキシ化法を例示する。 1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドは化学量論量でも触媒量でも良い。酸化剤としては,過ホウ酸ナトリウム,過酸化水素水,3−クロロ過安息香酸などから適宜選択されるが,より好ましくは3−クロロ過安息香酸である。スルホン酸としては,メタンスルホン酸,p−ニトロベンゼンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸などから目的に応じて適宜選択される。反応溶媒として使用しうるイオン液体は,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート,1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどから適宜選択されるが,より好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート,1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナートである。反応温度は,反応溶媒として使用するイオン液体の融点から150℃まで適宜選択される。反応時間は1時間から12時間の間で適宜選択される。 以下に,1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミド(A),および1−[3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピル]−3−メチルイミダゾリウムブロミド(B)を用いた種々のカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化反応をとりあげ,本発明の有用性をさらに例示する。反応は以下の反応式に従い行った。 以下の表にその結果を示す。 本反応はイオン液体溶媒中,3−クロロ過安息香酸の存在下,p−トルエンスルホン酸と触媒量のヨードベンゼン誘導体から,反応系内でスルホニルオキシ化剤を形成させることにより,良好な収率でα−スルホニルオキシカルボニル化合物が得られる。さらに,ヨードベンゼン誘導体の回収,再利用について以下に示す。 反応終了後,目的物を酢酸エチルで抽出した後,有機層を分液する。ヨードベンゼン誘導体はイオン液体溶媒に保持されるため,イオン液体溶媒ごと次の反応に利用することができる。反応毎に3−クロロ過安息香酸,p−トルエンスルホン酸を追加し,繰り返し再利用したが,反応性が変化することなく,良好な収率で目的物が得られた。 上記のように,本発明に係るヨードベンゼン誘導体を用いたカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化は,スルホニルオキシ化剤を事前に調製することなく,目的物を得ることができる簡便かつ,有用なα−スルホニルオキシ化法である。また,反応終了後,ヨードベンゼン誘導体はイオン液体溶媒に保持されているため,目的物を抽出,分離した後,イオン液体溶媒ごと再利用することができる。以上のように,本発明に係るヨードベンゼン誘導体を用いたカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化は,非常に有用なカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法といえる。 以下に本発明の好ましい実施例を記載するが,これは例示であり,本発明を制限するものではない。 実施例1 1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドの合成 アセトン5mlに4−ヨードフェノール(1mmol,0.22001g),1,4−ジブロモブタン(3mmol,0.64773g),炭酸カリウム(1mmol,0.13821g)を加え,60℃で17時間攪拌した。反応後,ろ過してアセトンで洗浄し,エバポレータで濃縮,さらに蒸留で1,4−ジブロモブタンを除去することにより,4−(4−ヨードフェノキシ)ブチルブロミドを収率96%で得た。得られた4−(4−ヨードフェノキシ)ブチルブロミド(1mmol,0.355g)と1−メチルイミダゾール(1mmol,0.082g)を無溶媒,70℃で10〜20分攪拌すると固化した。これをエーテルで洗浄することにより,1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドを収率95%で得た。 以下に得られた1−[4−(4−ヨードフェノキシ)ブチル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドの物性値を示す。mp:126〜128℃1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=1.9(m,2H),2.2(m,2H),4.0(t,J=6.0Hz,2H),4.09(s,3H),4.47(t,J=7.3Hz,2H),6.67(d,J=8.4Hz,s,2H),7.4(d,J=12.8Hz,2H),7.5(d,J=8.4Hz,2H) 実施例2 1−[3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドの合成 4−ヨードベンジルブロミド(1mmol,0.296g)と2−(3−ヒドロキンプロポキシ)テトラヒドロピラン(1.1mmol,0.187g)のDMF(1ml)混合物に水素化ナトリウム(1.5mmol,0.06g)を加え,室温下,1時間反応させた。反応後,水を加え,塩基性条件下で分液し,有機層を濃縮した。メタノールとp−トルエンスルホン酸を加え攪拌した後,分液し,有機層を濃縮した。濃縮液をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にかけることにより,3−(4−ヨードベンジルオキシ)−1−プロパノールを収率73%で得た。得られた3−(4−ヨードベンジルオキシ)−1−プロパノール(1mmol,0.263g)とトリフェニルホスフィン(1.1mmol,0.289g),四臭化炭素(1.2mmol,0.398g)をジクロロメタン(2ml)中,50℃で16時間攪拌した。反応後,水を加え分液し,有機層を濃縮した。濃縮液をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にかけることにより,3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピルブロミド収率97%で得た。3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピルブロミド(1mmol,0.355g)と1−メチルイミダゾール(1.1mmol,0.090g)を混合し,70℃で2時間攪拌した。得られた液体をエーテル洗浄することにより,1−[3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドを収率95%で得た。 以下に得られた1−[3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピル]−3−メチルイミタゾリウムブロミドの物性値を示す。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ=2.3(m,2H),3.6(t,J=5.5Hz,2H),4.0(s,3H),4.4(s,2H),4.9(t,J=6.8Hz,2H),7.4(d,J=8.5Hz,2H),7.2(d,J=18.1Hz,2H),7.7(d,J=8.5Hz,2H),10.7(s,1H) 実施例3 1−[3−(4−ヨードベンジルオキシ)プロピル]−3−メチルイミダゾリウムブロミドを用いたアセトフェノンのα−スルホニルオキシ化 アセトフェノン(1mmol,0.120g)と1−[3−(4−ヨードベンンルオキシ)プロピル]−3−メチルイミダゾリウムブロミド(0.1mmol,0.0437g)とp−トルエンスルホン酸一水和物(1.1mmol,0.209g)の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホナート(2ml)混合物に3−クロロ過安息香酸(65%,1.3mmol,0.345g)を加え,50℃で5時間攪拌した。反応終了後,酢酸エチルで抽出し,有機層をエバポレータで濃縮した。これを塩基性条件下で分液し,有機層を濃縮した。濃縮液をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にかけることにより,2−(p−トルニンスルホニルオキシ)アセトフェノンが収率82%で得られた。 実施例4 触媒および溶媒の再利用 実施例3の反応終了後,酢酸エチルで目的物等を抽出,分離した後,残りのイオン液体層を室温下,真空ポンプで2時間減圧(約1mmHg)乾燥した。このイオン液体にアセトフェノン(1mmol,0.120g)とp−トルエンスルホン酸一水和物(1.1mmol,0.209g)と3−クロロ過安息香酸(65%,1.3mmol,0.345g)を加えて50℃で5時間攪拌した。反応後,酢酸エチルで抽出し、有機層をエバポレータで濃縮した。これを塩基性条件下で分液し,有機層を濃縮した。濃縮液をカラム(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にかけることにより,2−(p−トルエンスルホニルオキン)アセトフェノンが収率82%で得られた。 下記構造式(1)(式中,R1,R3,R4はそれぞれ独立に水素,アルキル基,アルキルオキシメチル基,アルケニル基,芳香環,複素環から選択され,R2はアルキル基,アルキルオキシメチル基,アルケニル基,芳香環,複素環から選択され,R5,R6,R7,R8はそれぞれ独立に水素,ハロゲン,アルキル基から選択され,Aは炭素数1から10までのアルキル鎖で,鎖中の任意のメチレンが酸素,硫黄,窒素で置換されていても良く,Xはハロゲン,アセタート,トリフルオロアセタート,トリフルオロメタンスルホナート,p−トルエンスルホナート,テトラフルオロボラート,ヘキサフルオロホスファート,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドから選択される)で示されるヨードベンゼン誘導体。 構造式(1)のR1,R3,R4,R5,R6,R7,R8が水素であり,R2がメチル基であり,Aが4−オキシブチル基であり,Xが臭素である下記構造式(2)で示される請求項1記載の新規ヨードベンゼン誘導体。 構造式(1)のR1,R3,R4,R5,R6,R7,R8が水素であり,R2がメチル基であり,Aが3−メトキシプロピル基であり,Xが臭素である下記構造式(3)で示される請求項1記載の新規ヨードベンゼン誘導体。 イオン液体溶媒中,酸化剤,スルホン酸,および請求項1記載のヨードベンゼン誘導体の存在下で行うカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化法。 【課題】簡便かつ副生物の除去が容易なカルボニル化合物のα−スルホニルオキシ化方法,および再利用が容易なそのための反応試剤の提供。【解決手段】式(1)(式中、R1、R3、R4はそれぞれ独立して水素、アルキル基等を示し;R2はアルキル基を示し;R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル基等を示し;Aは置換されていても良い炭素数1から10までのアルキル基鎖を示す。)で示されるヨードベンゼン誘導体を反応試剤として用いる。【選択図】なし


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