生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_カルパイン遺伝子をノックダウンする核酸
出願番号:2007091307
年次:2008
IPC分類:C12N 15/09,A61K 48/00,A61K 35/76,A61P 43/00,A61P 21/04,A61P 9/04


特許情報キャッシュ

豊岡 照彦 JP 2008245581 公開特許公報(A) 20081016 2007091307 20070330 カルパイン遺伝子をノックダウンする核酸 国立大学法人東北大学 504157024 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 豊岡 照彦 C12N 15/09 20060101AFI20080919BHJP A61K 48/00 20060101ALI20080919BHJP A61K 35/76 20060101ALI20080919BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080919BHJP A61P 21/04 20060101ALI20080919BHJP A61P 9/04 20060101ALI20080919BHJP JPC12N15/00 AA61K48/00A61K35/76A61P43/00 105A61P21/04A61P9/04 5 OL 23 (出願人による申告)国等の研究費による成果に係る特許出願 4B024 4C084 4C087 4B024AA01 4B024AA20 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA02 4B024EA02 4B024GA11 4B024HA17 4B024HA20 4C084AA13 4C084NA14 4C084ZA362 4C084ZA942 4C084ZB212 4C087AA01 4C087BC83 4C087CA12 4C087NA14 4C087ZA36 4C087ZA94 4C087ZB21 本発明は、カルパイン−2遺伝子を特異的にノックダウンできる核酸に関する。 カルパインは、哺乳類から無脊椎動物まで広く分布するCa2+依存性細胞質システインプロテアーゼの大きなファミリーを形成している。従来型のカルパイン(μ-及びm-カルパイン)はヘテロダイマーからなる酵素であり、触媒サブユニットと、共通の調節サブユニットから構成される(カルパイン-4)。カルパインの活性は、さまざまな要因(Ca2+、リン脂質、30-kDaの小サブユニット、内因性のカルパイン特異的な阻害ペプチドであるカルパスタチン、自己消化、及びERK/MAP経路を介したリン酸化など)によって調節される (非特許文献1及び2)。カルパインは、細胞の伸展と移動、筋芽細胞の融合、細胞周期とアポトーシスなどの数多くの生理的過程 (非特許文献2)、及び、神経筋疾患、心機能障害、白内障または糖尿病などのさまざまな病理的過程 (非特許文献3から5) と関係すると考えられている。カルパイン-1及びカルパイン-2は骨格筋と心筋に多く含まれているので、筋ジストロフィー等の筋変性疾患及び/又は進行性心不全の進行に寄与している可能性がある (非特許文献6〜8)。しかし、各々のカルパインに特異的な阻害剤が存在しないので、病態生理学的な役割を正確に証明することは困難であった。 新規タンパク質の生理的機能を明らかにし、いくつかの疾患の分子的メカニズムを解明するためにはトランスジェニック動物は非常に有用であり、新しい治療戦略をもたらす。しかし、個体レベルではなく、細胞及び/又は臓器レベルで、結果的に発生に及ぼす影響、代償的な遺伝子の発現、特異性の不足により、ノックアウトマウスには限界がある。カルパイン-2の場合、カルパイン-2遺伝子がホモ接合体でなくなると、着床前に胚致死性を示すことが示されている。これは、このプロテアーゼが初期胚形成に必須であることを意味する (非特許文献9)。Sorimachi, H., Ishiura, S., and Suzuki, K. Structure and physiological function of calpains. (1997) Biochem.J. 328, 721-732Goll, D. E., Thompson, V. F., Li, H., Wei, W., and Cong, J. The calpain system. (2003) Physiol Rev. 83, 731-801Huang, Y. and Wang, K. K. The calpain family and human disease. (2001) Trends Mol.Med. 7, 355-362Toyo-oka, T., Kawada T., Nakata J., Xie H., Urabe, M., Masui, F., Ebisawa, T., Tezuka, A., Iwasawa, K., Nakajima, T., Uehara Y, Kumagai H, Kostin S, Schaper J, Nakazawa M, Ozawa K. Translocation and cleavage of myocardial dystrophin as a common pathway to advanced heart failure: a scheme for the progression of cardiac dysfunction. (2004)Proc Natl Acad Sci U S A. 101, 7381-7385.Zatz, M. and Starling, A. Calpains and disease. (2005) N.Engl.J.Med. 352, 2413-2423Dayton, W.R., Goll, D.E., Zeece, M.G., Robson, R.M., and Reville W.J. A Ca2+-activated protease possibly involved in myofibrillar protein turnover. Purification from porcine muscle. (1976) Biochemistry 15: 2150-2158.Toyo-oka, T., T. Shimizu and T. Masaki. Inhibition of proteolytic activity of calcium activated neutral protease by leupeptin and antipain.(1978) Biochem.Biophys.Res.Commun. 82, 484-491.Yoshida, H., Takahashi, M., Koshimizu, M., Tanonaka, K., Oikawa, R., Toyo-oka, T., and Takeo, S. Decrease in sarcoglycans and dystrophin in failing heart following acute myocardial infarction. (2003) Cardiovasc.Res. 59, 419-427Dutt, P., Croall, D. E., Arthur, S. C., De Veyra, T., Williams, K., Elce, J. S., and Greer, P. A. m-Calpain is required for preimplantationembryonic development in mice. (2006) BMC.Dev.Biol. 6, 3-14. 本発明の課題は、カルパイン−2遺伝子を特異的にノックダウンできる核酸、及び上記核酸を用いた薬剤を提供することである。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、RNA干渉(RNAi)により、細胞レベルでカルパイン-2を特異的にノックダウンすることに成功した。ノックアウトされる遺伝子が動物の発生過程で必須であるためにノックアウト動物が致死となるような場合であっても、RNAiは細胞生物学的な機能を特異的に阻害するために有用である。本発明では、効率よいアデノウイルスベクターを用いたRNAiによって骨格筋芽細胞C2C12のカルパイン-2をノックダウンし 、筋芽細胞の筋管細胞との融合や、筋発生のその他の面にカルパイン-2が関与することが明確に証明された。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。 本発明によれば、ggacgaagauucagaaauaTT(配列番号1)で示される塩基配列からなるsiRNAが提供される。 本発明によればさらに、GGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を含む組み換えウイルスベクターが提供される。 好ましくは、本発明の組み換えウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである。 本発明によればさらに、上記したsiRNAあるいは組み換えアデノウイルスベクターを含む、カルパイン−2抑制剤が提供される。 本発明によればさらに、上記したsiRNAあるいは組み換えアデノウイルスベクターを含む、カルパイン−2に起因する疾患の治療及び/又は予防のための医薬が提供される。 本発明によれば、カルパイン-1遺伝子をノックダウンすることなく、カルパイン−2遺伝子を特異的にノックダウンできる核酸が提供される。本発明の核酸は、カルパイン−2抑制剤として有用であり、特にカルパイン−2に起因する疾患の治療及び/又は予防のための医薬として用いることができる。 以下、本発明についてさらに具体的に説明する。本明細書で使用した略号は以下の通りである。:ITR:逆位末端反復配列、Ad:アデノウイルス、Dys:ジストロフィン、DAP:ジストロフィン結合タンパク質 本発明は、RNAiによりカルパイン−2遺伝子の発現を特異的にノックダウンできる核酸に関する。本発明はさらに、上記核酸を有効成分として含むカルパイン−2抑制剤並びに神経・筋疾患の治療及び/又は予防及び/又は研究のための医薬に関する。RNAiによりカルパイン−2遺伝子の発現を特異的にノックダウンできる核酸としては、ggacgaagauucagaaauaTT(配列番号1)で示される塩基配列からなるsiRNA、並びにGGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を含む組み換えアデノウイルスを挙げることができる。 本発明では、RNAi現象によりカルパイン−2遺伝子の発現を特異的にノックダウンする。RNAiでは、導入した核酸に相同な配列を有するRNA、即ち、カルパイン−2遺伝子のRNAが分解される。RNAi現象は、線虫,昆虫、原虫、ヒドラ、植物、脊椎動物(哺乳動物を含む)において見られる現象である。 本発明で用いることができるsiRNAとしては、約20塩基(例えば、約21〜23塩基)又はそれ未満の長さの二本鎖RNAを用いることができる。このようなsiRNA は、細胞に発現させることにより遺伝子発現を抑制し、そのsiRNA の標的となる遺伝子(本発明においては、カルパイン−2遺伝子)の発現を抑制することができる。 本発明において用いられるsiRNA は、RNAiを引き起こすことができる限り、どのような形態のものでもよい。ここで、「siRNA 」とは、short interfering RNAの略称であり、人工的に化学合成されるか又は生化学的に合成されたものか、あるいは生物体内で合成されたものか、あるいは約40塩基以上の二本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対以上の短鎖二本鎖RNAをいい、通常、5'−リン酸、3'−OHの構造を有しており、3'末端は約2塩基突出している。 本発明で用いるRNA又はDNAの合成は、例えば市販のDNA/RNA 自動合成機を用いて一般的な方法で行うことができる。合成方法としては、例えば、ホスホロアミダイト法、ハイドロジェンホスフォネート法、ホスホロチオエート法、ホスホトリエステル法が挙げられる。また、合成したRNA及びDNAの精製も常法に従うことができ、例えば、通常の高速液体クロマトグラフィーやポリアクリルアミドゲル電気泳動、溶媒抽出、塩析等による方法を適宜採用することができる。 本発明で用いることができるsiRNAの具体例としては、ggacgaagauucagaaauaTT(配列番号1) で示される塩基配列を有するRNAが挙げられ、具体的には、上記塩基配列を有するRNAと、それに相補的な塩基配列を有するRNAとから成る二本鎖RNAを用いることができる。 本発明によれば、また、3'末端に突出部を有する短いヘアピン構造から成るshRNA(short hairpin RNA)を使用することができる。shRNAとは、一本鎖RNAで部分的に回文状の塩基配列を含むことにより、分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのような構造となる約20塩基対以上の分子のことを言う。そのようなshRNAは、細胞内に導入された後、細胞内で約20塩基(代表的には例えば、21塩基、22塩基、23塩基)の長さに分解され、siRNA と同様にRNAiを引き起こすことができる。上記の通りshRNAは、siRNA と同様にRNAiを引き起こすことから、本発明において有効に用いることができる。本発明では、GGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を含む組み換えアデノウイルスを用いて、細胞内でshRNAを発現させることができる。 本発明で用いるsiRNAiは、人工的に化学合成してもよいし、センス鎖及びアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラーゼによってインビトロでRNAを合成することによって作製することもできる。インビトロで合成する場合は、T7 RNAポリメラーゼ及びT7プロモーターを用いて、鋳型DNAからアンチセンス及びセンスのRNAを合成することができる。これらをインビトロでアニーリングした後、細胞に導入すると、RNAiが引き起こされ、カルパイン−2遺伝子の発現が抑制される。ここでは、例えば、リン酸カルシウム法、又は各種のトランスフェクション試薬(例えば、oligofectamine、Lipofectamine及びlipofectionなど)を用いてそのようなRNAを細胞内に導入することができる。 本発明のsiRNA及び組み換えアデノウイルスは、カルパイン−2抑制剤として使用することができ、さらにカルパイン−2に起因する疾患(例えば、神経・筋疾患など)の治療及び/又は予防及び/又は研究のための医薬としても使用することができる。 神経・筋疾患としては、カルパイン−2の発現が疾患の発症・進行などに関与している疾患を挙げることができ、具体的には、神経・筋疾患(例えば、筋ジストロフィーなど)、心機能障害(例えば、心不全など)、白内障、糖尿病、脳梗塞などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 本発明のカルパイン−2抑制剤及びカルパイン−2に起因する疾患の治療及び/又は予防のための医薬(以下、これらを総称として本発明の薬剤と言う)の投与方法は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与など)、患部への直接投与などが挙げられる。 また、遺伝子治療の形態としては、標的細胞を体外に取り出して遺伝子導入を行う体外法(ex vivo法)、体内に遺伝子を導入する体内法(in vivo法)があるが、本発明の薬剤は、いずれの方法にも適用することができる、体外法では患者由来の細胞を一旦体外で培養し、本発明の薬剤を導入した後に患者に投与すればよいし、体内法では、本発明の薬剤を直接患者の体内へ投与すればよい。 本発明の薬剤は、医薬組成物として使用する場合、必要に応じて薬学的に許容可能な添加剤を配合することができる。 薬学的に許容可能な添加剤の具体例としては、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、及び希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、キャリア、賦形剤及び/又は薬学的アジュバントなどが挙げられるが、これらに限定されない。 本発明の薬剤の製剤形態は特に限定されないが、例えば、液剤、注射剤、徐放剤などが挙げられる。本発明の薬剤を上記製剤として処方するために使用される溶媒としては、水性又は非水性のいずれでもよい。 注射剤は当該分野において周知の方法により調製することができる。例えば、適切な溶剤(生理食塩水、PBSのような緩衝液、滅菌水など)に溶解した後、フィルターなどで濾過滅菌し、次いで無菌容器(例えば、アンプルなど)に充填することにより注射剤を調製することができる。この注射剤には、必要に応じて、慣用の薬学的キャリアを含めてもよい。非侵襲的なカテーテルを用いる投与方法も使用され得る。本発明で用いることができるキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、又は血清アルブミンと混合された生理食塩水などが挙げられる。 GGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を含む組み換えウイルスベクターを用いて生体に投与する場合は、組換えアデノウイルス、レトロウイルスなどのウイルスベクターを利用することができる。無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、SV40などのDNAウイルス又はRNAウイルスに、GGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を有するDNAを導入し、細胞又は組織にこの組換えウイルスを感染させることにより、細胞又は組織内に遺伝子を導入することができる。 さらにまた、siRNA及び組み換えウイルスベクターは、生体の器官や組織などに直接注入することもできる。 本発明の薬剤の投与量は、使用目的、疾患の重篤度、患者の年齢、体重、性別、既往歴、又は有効成分の種類などを考慮して、当業者が決定することができる。有効成分であるsiRNA又は組み換えウイルスベクターの投与量は特に限定されないが、例えば、約0.1ng〜約100mg/kg、好ましくは約1ng〜約10mgである。ウイルスベクターとして投与される場合は、成人一人当たり、通常、0.0001〜100mg、好ましくは0.001〜10mg、より好ましくは0.01〜1mgである。 また本発明の薬剤の投与頻度としては、例えば、一日一回〜数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回〜1ヶ月に1回)の頻度で投与することができる。RNAiは、一般に投与後1〜3日間効果が見られる。したがって、毎日〜3日に1回の頻度で投与することが好ましい。ウイルルベクターを用いる場合、1週間に1回程度投与することも可能である。またアデノ随伴ウイルスは1年以上有効なことが示されており、1年間に1回程度投与することも可能である。 以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明は実施例によって限定されるものではない。(A)実験方法(1)材料 抗α-チューブリン抗体(クローンDM 1A)及び抗ビンキュリン抗体(クローンhVIN1)はSigma社(ミズーリ州セントルイス)から購入した。抗カルパイン-2抗体は東京都臨床医学総合研究所のH. 反町博士からご提供いただいた。Alexa Fluor 594-ファロイジンはMolecular Probes社(オレゴン州ユージーン)から購入した。その他の試薬はすべてSigma社から購入した。(2)細胞培養 理研ジーンバンク(日本、つくば市)から入手したC2C12細胞を、既報 (Kawada T, 他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 99; 901-906, 2002) に従ってダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で培養した。骨格筋芽細胞を筋管細胞及び筋細胞に分化させるために、培養細胞がコンフルエントに達した後、ウシ胎児血清を添加したDMEMから2%ウマ血清を含む分化培地(DM)に培地に交換した。(3)RNA干渉によるカルパイン-2のウイルス媒介遺伝子サイレンシング BLOCK-iTTMアデノウイルス発現システム(Invitrogen社製、カリフォルニア州、カールズバッド)を用い、RNAiのためにカルパイン-2のshRNAをC2C12細胞に一過性に導入する非増殖性アデノウイルスを作製した。マウスカルパイン-2(Ac# NM_009794)mRNAに特異的な領域を標的とするよう、ヘアピンRNAを設計した。スクランブル配列を持つコントロールは、既知のマウスmRNAのいずれともホモロジーがなかった。 以下のようなオリゴヌクレオチド2組を合成した(Invitrogen社製)。:sh_capn-2トップ;5'-CACCGGACGAAGATTCAGAAATACCCGAAGGTATTTCTGAATCTTCGTCC-3';(配列番号3)ボトム;5'-5'-AAAAGGACGAAGATTCAGAAATACCTTCGGGTATTTCTGAATCTTCGTCC-3'(配列番号4)sh_SCRトップ:5'-CACCGCTACACAAATCAGCGATTTCGAAAAATCGCTGATTTGTGTAG-3'; (配列番号5)ボトム:5'-AAAACTACACAAATCAGCGATTTTTCGAAATCGCTGATTTGTGTAGC-3'. (配列番号6) これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングさせ、メーカーの説明書に従って、pENTRTM/U6ベクターにクローニングした。ダイレクトシーケンスにより、全クローンを確認した。U6プロモーター、ヘアピン配列、及びターミネーター配列をpAd/BLOCK -itTM DESTベクターにライゲーションした。アデノウイルス発現プラスミドをPac Iで切断し、ITR(逆位末端反復配列:inverted terminal repeat)を末端に露出させた。その後、LipofectamineTM 2000(Invitrogen社製)を用いてウイルス産生細胞293Aにトランスフェクトし、アデノウイルスのストックを作成した。複製したアデノウイルスを用いてカルパイン-2をノックダウンした。タンパク質及び活性レベルでの発現を確認するため、以下の方法に従って、この酵素の発現をウエスタンブロット及びカゼインザイモグラフィーでそれぞれ分析した。(4)mRNAの定量 分岐DNAシグナル増幅アッセイ(Quantigene大容量bDNAシグナル増幅キット、Panomics社製、カリフォルニア州、フリーモント)を用い、メーカーの説明書に従って、培養細胞から抽出したmRNAを定量した。この定量法については、Hartley及びKlaassenによって報告されている (Russell, W. C. (2000) J.Gen.Virol. 81, 2573-2604)。(5)ウエスタンブロット 既報に従って、筋芽細胞C2C12中のカルパイン-1、カルパイン-2、及びα-チューブリンのタンパク質を定量した (Toyo-oka, T., 他、Proc Natl Acad Sci U S A. 101:7381-5, 2004;及び、Sakamoto, A., 他、Proc.Natl.Sci.Acad.USA. 94: 13873-13878, 1997)。タンパク質濃度はブラッドフォード法により測定した (Bradford, M. M. (1976) Anal.Biochem. 72, 248-254)。ブロットしたメンブレンをTween-20/PBSで洗浄した後、ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体又は抗マウスIgG抗体(DAKO社製、デンマーク、グロストルップ)とECL(GE Healthcare Bio- Sciences社製、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を用いて反応したバンドを検出した。(6)カルパイン活性の測定 細胞抽出物中のカルパイン-1活性とカルパイン-2活性の両方を、非変性系のカゼインザイモグラフィーで同時に測定した (Raser, K. J., Posner, A., and Wang, K. K. (1995) Arch.Biochem.Biophys. 319, 211-216)。(7)免疫蛍光顕微鏡観察 アクチンをAlexa Fluor594標識ファロイジン、ビンキュリンをFITC標識した特異的抗ビンキュリン抗体で染色し、Lab-Tek IIチャンバースライド(Nalge Nunc international社製、ニューヨーク州ロチェスター)で培養した筋芽細胞C2C12を二重染色した (Toyo-oka, T., 他、Proc Natl Acad Sci U S A. 101:7381-5, 2004.;及びKawada T, 他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 99; 901-906, 2002)。PBSで洗浄した後、共焦点レーザー走査顕微鏡(Zeiss社製LSM410型、ドイツ)で試料を観察した。(8)細胞の運動能の測定 培養皿上の細胞が剥がれた部分への筋芽細胞C2C12の運動能を検討した。0時間後及び24時間後に位相差像を撮影し、細胞が剥がれた部分へその時間内に移動した距離を測定することにより、細胞の移動を測定した。(9)細胞の伸展の測定 細胞の形態は蛍光顕微鏡で観察し、細胞質が観察可能又は観察不可能な細胞の数はLab-Tek IIチャンバースライド(Nalge Nunc international社製)上での視覚的検査によって測定した。伸展の割合は、「細胞質が観察可能な細胞数/全細胞数×100」と定義した。(10)統計解析 定量的分析ではAd_shSCRをトランスフェクトした細胞とAd_shcapn-2をトランスフェクトした細胞での差をStudentのt検定で評価した。p値が0.05未満を有意とした。(B)結果(1)C2C12細胞での筋発生過程におけるカルパイン-2のmRNAとタンパク質の発現 異なる筋発生過程でのカルパイン-2の発現量を決定するため、マウスC2C12細胞でmRNAとタンパク質の両方を定量した。サブコンフルエント(Day -1)、コンフルエント(Day 0)、及びDM中で培養した細胞分化誘導後のさまざまな発生過程(Day 3〜18)で、細胞からmRNAとタンパク質を抽出した。カルパイン-2 mRNAの発現量は、異なる発生過程でわずかに差が認められたが(p=0.02〜0.04、図1A)、カルパイン-2のタンパク質量には、異なる発生過程で有意差は認められなかった(p>0.05、図1B、図C)。転写産物の量とトランス遺伝子との間に明確な相関性は認められなかったので、翻訳後修飾又はタンパク質の折畳みによってこのプロテアーゼが制御されている可能性がある。カルパイン-2のタンパク質量は一定であり、増殖及び分化している筋芽細胞のどちらでも構成的に発現していると結論付けられた。(2)C2C12細胞でのアデノウイルスベクターを用いたRNA干渉によるカルパイン-2の抑制 アデノウイルスベクターのトランスフェクション効率はほぼ100%であるので、カルパイン-2に対するsiRNAを筋芽細胞C2C12で完全に発現させるためにはアデノウイルスベクターが非常に有用である (Bangari, D. S. and Mittal, S. K. (2006) Curr.Gene Ther. 6, 215-226)。shRNA(Ad_ shcapn-2)はカルパイン-2を標的とする。U6プロモーターを利用してshRNA(Ad_ shcapn-2)を発現させることにより、アデノウイルスベクターを用いたRNAiを行った。スクランブル配列を持つコントロールのベクター(Ad_shSCR)でも同様の実験を行った。カルパインRNAiを発現しているC2C12細胞では、トランスフェクトから3日後にカルパイン-2のタンパク質量が明らかに減少した(図2A)。ノックダウン細胞でのカルパイン-1とカルパイン-2の活性を同時に評価するため、カゼインザイモグラフィーを行った。Ad_shSCRをトランスフェクトした細胞では両酵素の活性が認められたが、ノックダウン細胞ではカルパイン-2活性は消失しており、カルパイン-1の活性のみが認められた(図2B)。 また、RNAiによるカルパイン-2の継続的な減少について評価するためにカルパイン-2量の変化をトランスフェクトから9日後まで経時的に測定したところ、トランスフェクトから時間が経つにつれてカルパイン-2の発現量が次第に回復することが明らかになった(図2C)。この活性の回復は、標的遺伝子導入後の一過性の作用が原因であった。しかし、これらのデータから、カルパイン-2をAd_shcapn-2で抑制できる可能性があることが示された。骨格筋のみに特異的にみられるカルパイン-3の活性は、今回のザイモグラフィーでは全く検出されなかった。カルパイン-2の抑制中にカルパイン-1が代償的に発現しなかったことは注目すべきである。トランスフェクションから3〜7日後のカルパイン-2活性は、Ad_shcapn-2をトランスフェクトした細胞ではAd_shSCRをトランスフェクトした細胞での5〜27%まで減少した(図2B、図C)。しかし、それらの時点で、Ad_shSCRとAd_shcapn-2との間でカルパイン-1活性に有意差は認められなかった(p>0.05、図2D)。トランスフェクトから9日後には、Ad_shcapn-2をトランスフェクションした細胞でのノックダウン率は最大40%まで減少し、Ad_shSCRと比べるとカルパイン-1活性はわずかに増加した(p=0.03、図2D)。(3)カルパイン-2ノックダウン細胞の分化過程での細胞の剥離 筋芽細胞はGMで培養した後、培地をDMに交換して分化誘導した。筋芽細胞はDay 3〜4に整列を開始し、その後、Day 5〜7には融合により多核の筋管細胞を形成した。カルパイン-2は、膜タンパク質の部分消化を介した筋芽細胞の筋管細胞への分化に必須であると仮定されている 。カルパイン-2のノックダウンによって、筋芽細胞の筋管細胞との融合及び/又は筋管細胞への分化が阻害されるかを検討した。トランスフェクトから3日後に細胞がコンフルエントに達したので、分化開始させた。分化誘導から3日後に、Ad_shSCRをトランスフェクトした筋芽細胞が整列し、融合が始まった。しかし、Ad_shcapn- 2をトランスフェクトした細胞は融合しなかった(図3A、図B)。また、カルパイン-2ノックダウン細胞の形態が変化して接着性が低下した結果、多くの細胞が培養皿から剥離した(図3C)。(4)カルパイン-2を選択的にノックダウンした細胞での、筋芽細胞と多核の筋管細胞の融合の阻害 アデノウイルスベクターを用いた発現では、転写産物とトランス遺伝子はどちらも発現が一過性であるので、恒常的なノックダウンは期待できない。実際、トランスフェクトから7日後にはノックダウンが回復した(図2C)。RNAiによる阻害効果の正確な評価では、筋芽細胞の分化を評価するために高いノックダウン活性が維持される必要があるので、最初の処理から3日後に再びトランスフェクションた。 DMに培地交換してから7日後のコントロールの細胞では、その3日後に再びAd_shSCRをトランスフェクションした後、多核の筋管細胞/筋細胞への融合が観察された(図4A、図C)。逆に、カルパイン-2ノックダウン細胞では、成熟した筋管細胞又は筋細胞との融合も、成熟した筋管細胞又は筋細胞への分化もみられなかった(図4B、図C)。最初のトランスフェクションから3日後にアデノウイルスベクターを再びトランスフェクションするとRNAi作用は7日後まで持続し、カルパイン-1の発現量は一定に保たれた(図4D)。したがって、Ad_shcapn-2は筋芽細胞の融合を完全に阻害し、この阻害はカルパイン-1とは無関係であることが分かった。(5)カルパイン-2ノックダウン後の移動能低下及び形態変化 カルパインを持たない胚性線維芽細胞は、線維芽細胞移動中に膜突起の動きを調節しないことが知られている。カルパイン-2の特異的なノックダウンが骨格筋芽細胞の移動に影響を及ぼすかを評価するため、Ad_ shSCR又はAd_shcapn-2をトランスフェクションした後に細胞の運動能を測定した。細胞の運動は細胞剥離部位修復アッセイ(wound healing assay)で分析した。単層培養した細胞の一部を剥がし、細胞が剥がれた部分に向かって移動した細胞数を計測した。Ad_shcapn-2をトランスフェクトしてから3日後のC2C12細胞では、タンパク質又は活性のレベルどちらでも、カルパイン-2は検出されなかった。これらの細胞では、Ad_shSCRをトランスフェクションしたコントロールの細胞と比較して移動率が明らかに減少していた(図5)。これは細胞の運動能にはカルパイン-2が必要であること実証している。形態学的には、これらのノックダウン細胞では播種から1時間後に多数の膜突起及び糸状仮足が観察され(図6A、図B)、トランスフェクションから4日後まで、この構造が維持された(図6C、図D)。(6)筋芽細胞が伸展する際の細胞骨格構造の破壊 カルパイン-2の機能を評価するために、筋芽細胞の伸展について検討した。Ad_shSCR又はAd_shcapn-2をトランスフェクションしたC2C12細胞を非コーティングチャンバースライド上に播種し、10分〜3時間観察した。Ad_shSCRをトランスフェクションしたコントロールの細胞では、伸展する細胞数が次第に増加した。逆に、Ad_shcapn-2をトランスフェクトした細胞では細胞の伸展が遅れ、多数の細胞が3時間、丸い形態のままであった。コントロールの細胞では、播種から3時間後には80.5±3.9%の細胞が伸展していた。しかし、カルパイン-2ノックダウン細胞では伸展している細胞の割合が減少した(64.3±7.1%、p<0.01、図7)。これらの結果は、カルパイン-2活性の阻害は伸展の欠如と関連することを示す。 また、カルパイン-2ノックダウン細胞での細胞骨格の分布はコントロールの細胞とは異なっていた。カルパイン-2のノックダウンが細胞骨格の構成に影響を及ぼすかを検討するために、Ad_shSCR又はAd_shcapn-2をトランスフェクションした筋芽細胞をチャンバースライドに播種し、二重蛍光染色して顕微鏡で細胞骨格を観察した。アクチンファイバーはAlexa Fluor594標識ファロイジンで染色した。カルパイン-2によって加水分解されると報告があるビンキュリンは、FITC標識した特異的な抗体で検出した(図8)。Ad_shSCRをトランスフェクションした細胞には、接着斑と連結したストレスファイバーが多く含まれていた。しかし、カルパイン-2ノックダウン細胞ではストレスファイバー(特に、中心のストレスファイバー)が消失していた(図8D)。Ad_shcapn-2をトランスフェクトした細胞では葉状仮足が観察され、細胞の周辺部で接着斑を含むビンキュリンの消失も観察された。上記結果は、アクチン細胞骨格及び接着斑の局在化の調節において、カルパイン-2が重要な役割を果たしていることを示す。(C)考察 本実施例では、in vitroにおけるカルパイン-2の特異的なノックダウン系を作成し、生理的作用(筋芽細胞から筋管細胞/筋細胞への筋肉特異的な分化自体と、細胞骨格の構成を介した細胞の移動に関する一般的なメカニズムを含む)を評価した。その結果、以下の4つの結果が初めて証明された。a) 酵素であるカルパイン-2の選択的欠失、それによる活性の選択的欠失、b) カルパイン-2の完全阻害とは無関係に、カルパイン-1活性には直接的に影響を及ぼさないこと、c) 筋芽細胞の筋管細胞及び/又は筋細胞への発生の完全な抑制、及び、d) 筋芽細胞の移動及び増殖の不完全な阻害。 多くの種類の細胞で、カルパインが活性化された後、細胞内でのタンパク質分解が起こるであろう。活性については明記されなかったが、カルパインは線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、及び癌細胞の細胞伸展、移動、及びアクチンリモデリングと関係すると考えられてきた(表1)。 カルパイン-1及びカルパイン-2を安定発現させたにもかかわらず、筋管形成と同時に、筋芽細胞の融合中に両酵素の活性が上昇したが(図1、図2)、融合後には回復した。したがって、プロテアーゼと阻害剤が互いに自由に接近することが可能な場合は、カルパイン-1とその特異的阻害剤であるカルパスタチン、又は、カルパイン-2とカルパスタチンと差し引きにより、正味のタンパク質分解活性が決定されると考えられる。化学量論的にはカルパインの活性はカルパスタチンの活性の1/4である。したがって、以前に報告された筋管細胞でのカルパスタチン量の最大20〜30%の減少では、カルパインが優勢となるには不十分である。翻訳後修飾の後の酵素活性上昇 、結合相手からの解離及び/又は転位など、他のメカニズムが機能している可能性もある。また、カルパイン-1の発現はカルパイン-2とは無関係であった。このことは、これらのアイソフォーム間にはクロストークが存在しないことを意味する。カルパイン-2の活性化は、筋芽細胞の融合と密接に関係する可能性がある膜タンパク質の部分分解の誘導に必須であるが、カルパイン-1は必須ではない。 筋疾患(筋ジストロフィーのいくつかのタイプ、又は進行性心不全など)では、ジストロフィンの一次的又は二次的な消失に次いで起こる細胞内カルシウムイオン濃度[Ca2+]iの上昇が正のフィードバックを引き起こすのであろう。in vitro及びin vivoにおいて、カルパイン-2はジストロフィン(Dys)、ジストロフィン結合タンパク質(DAP)であるα-サルコグリカン及びβ-サルコグリカンを選択的に加水分解するので、以下の悪循環によって不可逆的な筋細胞の死又は進行性心不全が引き起こされる。 数種類の非特異的なカルパイン阻害剤で処理すると筋疾患の進行が抑制されるが、原因となったカルパインを特定することは困難であった。活性型カルパインが胚形成期の管構造の発生で機能している可能性があるが、これまでにノックアウトマウスは作製されていない。本発明では、C2C12細胞株へのトランスフェクト効率が完全なアデノウイルスベクターを用いたRNAiにより、カルパイン-2を効率的にノックダウンすることに成功した。本発明により、他のタンパク質分解系(ユビキチン-プロテアソーム系、又はリソソームなど)の干渉を受けることなく、カルパイン-2の実際の機能を正確に評価することが可能となる。 また、カルパイン-2のノックダウンはコンタクチンの分解を妨げ、膜突起を増加させる。アクチン細胞骨格の破壊は、カルパイン-2の抑制によっても観察された。カルパイン-2のノックダウンにより、ストレスファイバーが消失した。細胞骨格タンパク質(タリン、スぺクトリン、FAKなど)が分解されることが、細胞骨格の異常な構成の原因であると考えられてきた。カルパイン-2のノックダウンによりアクチンストレスファイバーが消失するという本実施例の結果は、カルパイン-2が筋芽細胞でのストレスファイバーの構成に関与することを強く示唆するものである。 本発明によるカルパイン-2ノックダウン細胞では、細胞の移動能の低下が観察された。カルパインは、RhoファミリーGTPaseの活性を調節することによって、リガンド依存的に細胞の移動に影響を与えることが示唆されている 。線維芽細胞では、カルパイン-2の特異的ノックダウンにより、細胞骨格タンパク質の分解はカルパイン-1とは無関係であること示された。これは、筋芽細胞と線維芽細胞の両方にとってカルパイン-2が重要であることを意味している。図1は、C2C12細胞でのカルパイン-2 mRNA及びタンパク質の発現を示す。Aでは、異なる発生過程でのカルパイン-2のmRNA量をQuantigeneシステムで測定した(方法は「実験方法」に従った)。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.05であることを示す。Bは、カルパイン-2の大サブユニット及びα-チューブリン(ローディングコントロール)のウエスタンブロット解析を示す。Cは異なる発生過程でのカルパイン-2タンパク質の定量を示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。図2は、アデノウイルスベクターを用いたRNAiによる、C2C12細胞でのカルパイン-2のタンパク質レベル及び活性レベルでの発現の抑制を示す。Aは、Ad_shSCR(サイレンシングを引き起こさないコントロール:SCR)又はAd_shcapn-2(カルパイン-2を標的とする:capn-2)のトランスフェクションから3日後のカルパイン-2及びα-チューブリンのウエスタンブロットを示す。Bは、トランスフェクションから3日後の細胞のザイモグラフィーを示す。Cは、ウエスタンブロット(上)又はザイモグラフィー(下)で検出したトランスフェクションから5〜9日後のカルパイン-2の持続的抑制を示す。Dは、カルパイン-1及びカルパイン-2の活性の定量化(コントロールの細胞と比較)を示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.05であることを示す。図3は、カルパイン-2ノックダウン細胞での分化誘導による細胞剥離の促進を示す。(A) にはAd_shSCR、(B) にはAd_shcapn-2をトランスフェクトした。10% FBSを含むDMEMでコンフルエントになるまでC2C12細胞を培養し、2%ウマ血清を含むDMEMに培地交換した。バーの長さは20μmに相当。Cは、剥離した細胞の相対数(4mm2あたり)を示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.001であることを示す。図4は、アデノウイルスベクターを用いたカルパイン-2ノックダウン細胞における多核の筋管形成の阻害を示す。トランスフェクションから4日後に、筋芽細胞C2C12にAd_shSCR (A) 又はAd_shcapn-2 (B) を再感染させ、培地をDMに交換した。7日後にこれらの細胞を光学顕微鏡で観察した。バーの長さは20μmに相当。Cでは、Ad_shSCR及びAd_shcapn-2の筋管細胞の数を測定した(4mm2あたり)。筋管細胞であると判定する基準は、その細胞に3個以上の核が含まれていることとする。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.001であることを示す。Dは、ウエスタンブロット(上)又はザイモグラフィー(下)で検出した、再トランスフェクションから7日後のカルパイン-2の抑制を示す。図5は、アデノウイルスベクターを用いたカルパイン-2ノックダウン後の筋芽細胞の移動の減少を示す。C2C12細胞にAd_shSCR(SCR)又はAd_shcapn-2(capn-2)を3日間トランスフェクションした。静止培地で24時間培養した後、コンフルエントになった筋芽細胞をピペットの先端で剥がして培地を交換した。細胞が剥離した部位に移動した筋芽細胞の数を顕微鏡下で計測した。独立した実験を5回行い、1回あたりの複数領域での平均値をデータとした。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.05であることを示す。図6は、カルパイン-2ノックダウン細胞の形態的特性を示す。Ad_shSCR (A)又はAd_shcapn-2 (B) をトランスフェクションしてから3日後、非コーティングチャンバースライドに筋芽細胞C2C12を播種し、Alexa Fluor594標識ファロイジンと1時間インキュベートした(方法は「実験方法」に従った)。Ad_shSCR (C) 及びAd_shcapn-2 (D) をトランスフェクションした筋芽細胞は、非コーティングプレート上でGMで4日間培養し、光学顕微鏡で観察した。バーの長さは20μmに相当。図7は、m-カルパインノックダウン細胞の伸展の減少を示す。Ad_shSCR(SCR)又はAd_shcapn-2(capn-2)をトランスフェクションしてから3日後、非コーティングチャンバースライドに筋芽細胞C2C12を播種して3時間培養し、抗ビンキュリン抗体及びAlexa Fluor594標識ファロイジンで染色した(方法は「実験方法」に従った)。「伸展細胞数」/「全細胞数」の比を算出し、伸展している細胞の割合を測定した。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。*印はStudentのt検定でP<0.05であることを示す。図8は、中心のアクチンストレスファイバーの消失を示す。Ad_shSCR(A、B、C)又はAd_shcapn-2(D、E、F)をトランスフェクションしてから5日後、非コーティングチャンバースライドに筋芽細胞C2C12を播種して1時間培養し、抗ビンキュリン抗体及びAlexa Fluor594標識ファロイジンで細胞を染色した(方法は「実験方法」に従った)。A、Dはファロイジン。B、Eはビンキュリン、C、Fは両方の写真を合成。バーの長さは20μmに相当。ggacgaagauucagaaauaTT(配列番号1)で示される塩基配列からなるsiRNA。GGACGAAGATTCAGAAATACC(配列番号2)で示される塩基配列を含む組み換えウイルスベクター。アデノウイルスベクターである、請求項2に記載の組み換えウイルスベクター。請求項1に記載のsiRNA、あるいは請求項2又は3に記載の組み換えアデノウイルスベクターを含む、カルパイン−2抑制剤。請求項1に記載のsiRNA、あるいは請求項2又は3に記載の組み換えアデノウイルスベクターを含む、カルパイン−2に起因する疾患の治療及び/又は予防のための医薬。 【課題】カルパイン−2遺伝子を特異的にノックダウンできる核酸、及び上記核酸を用いた薬剤を提供すること。【解決手段】ggacgaagauucagaaauaTT(配列番号1)で示される塩基配列からなるsiRNA。【選択図】なし配列表


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