タイトル: | 公開特許公報(A)_ラマン分光法による結晶多形の自動判定方法及びその装置 |
出願番号: | 2007086181 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 21/65,G01N 1/28 |
須納瀬 正範 秋元 克美 小野 誠 JP 2008241640 公開特許公報(A) 20081009 2007086181 20070329 ラマン分光法による結晶多形の自動判定方法及びその装置 セキテクノトロン株式会社 501440307 第一三共株式会社 307010166 増田 守 100069590 須納瀬 正範 秋元 克美 小野 誠 G01N 21/65 20060101AFI20080912BHJP G01N 1/28 20060101ALI20080912BHJP JPG01N21/65G01N1/28 F 7 2 OL 13 2G043 2G052 2G043AA04 2G043CA03 2G043CA05 2G043DA01 2G043DA05 2G043EA03 2G043FA02 2G043HA01 2G043KA09 2G043LA03 2G052AD26 2G052AD52 2G052CA03 2G052EB01 2G052GA32本発明は、目的化合物の結晶多形のスクリーニング方法および装置に関する。結晶多形は、溶液から結晶が析出する段階でエネルギー状態の異なった状態で結晶化するために生じるもので、固体物質化学において一般的に観測されるが、医薬品においては品質、安全性、有効性の面で非常に重要である。結晶多形は溶解度、溶解速度、融解温度、融解熱、格子エネルギー、酸塩基解離定数などの物理的、化学的性質が異なるため、バイオアベイラビリティー、生体内での有用性、安定性等に影響する。従って、医薬品においては結晶多形の管理は極めて重要であり、目的化合物の結晶多形のスクリーニングが重視され、自動的に結晶化を行うスクリーニング方法が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。結晶多形の形態や分子状態を調べる方法としては、X線回折法、熱分析法、IRスペクトル法、ラマン分光法、NMR法、マイクロバランスによる水蒸気吸着測定法、顕微鏡法などが挙げられる。なかでも、分光学的方法のひとつであるラマン分光法は、分子状態の把握のために有用である。しかし、スクリーニングを自動化した場合、試料ごとに目的の結晶の量、形状が異なるため、結晶に的確に励起レーザを照射できず、スペクトルが得られない場合があった。また、医薬品などの有機化合物は蛍光を発生することがあり、目的の結晶のスペクトルが蛍光に隠れて判別できない場合や、ベースラインが高くなり解析に供することが困難な場合があった。さらに、各ウェル内の結晶のラマンスペクトルを取得する作業や、得られた大量のスペクトルデータの解析に長時間を要することから、測定、解析について操作の自動化や簡略化が求められた。特表2004−504596号公報特表2005−502861号公報本発明の課題は、析出した結晶の位置(XYZ座標)をウェルの中心の画像処理もしくはウェル内のマッピングおよび画像処理によって自動判定することで的確にラマン分光分析を行い、取得したラマンスペクトルに蛍光が含まれた場合にはレーザプレ照射もしくはレーザ波長切替によって蛍光を除外ないし低減する条件で再測定を行い、さらに、取得したスペクトルを解析して結晶形の判定を的確に行えるようにした、結晶多形の自動判定方法及びその装置を提供することである。本発明のラマン分光法による結晶多形の自動判定方法及びその装置では、目的の化合物をマルチウェルプレートの各ウェル上で任意の条件で析出させて結晶を得る。このとき、[1]各ウェル内で化合物を円形、平型のマグネティックスターラーチップで撹拌して反応させ、反応終了後もマグネティックスターラーチップがウェル内に存在している状態でマグネティックスターラーチップ上にも結晶を析出させる場合と、[2]反応物中にマグネティックスターラーチップなどの異物を含まずウェル底面に結晶を析出させる場合がある。結晶の析出したマルチウェルプレートを顕微ラマン分光装置のXYZ移動ステージ上に設置し、コンピュータにマルチウェルプレート上の各ウェルの水平(XY)位置を認識させて、ウェル底面を基準とした高さ(Z)を設定する。続いて、設定した任意のウェルに自動的に移動する。前記マルチウェルプレートにハロゲン照明光を照射する。このとき、[1]ウェル内にマグネティックスターラーチップを含む場合および結晶が不透明な場合には落射照明となり、[2]結晶が透明な場合には透過照明となる。この照射下に、ウェル底面の中央付近を低倍率対物レンズが設置された光学顕微鏡に接続した電荷結合素子で観察する。オートフォーカス機能により結晶位置の高さ(Z)を確定するとともに、拡大された結晶の画像を前記電荷結合素子で撮像する。撮影画像をコンピュータで画像処理する。画像処理によって結晶の位置(座標)、面積などを特定しコンピュータに記録する。画像処理ができず結晶位置を特定できなかった場合は、任意に設定した条件(X,Y方向への移動点数および点間の距離)に従い、XYZ移動ステージをXY方向に自動的に操作してウェル内をマッピングし、結晶位置高さ(Z)確定、撮影、画像処理を繰り返して結晶を検出する。続いて、低倍率対物レンズを高倍率対物レンズに自動交換する。低倍率対物レンズを用いて記録された座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるようにマルチウェルプレートを前記XYZ移動ステージによって移動する。高倍率対物レンズの焦点を結晶表面にオートフォーカスし、拡大された結晶の画像を前記荷電結合素子で撮像する。撮影画像をコンピュータで画像処理し、結晶の詳細な位置を計測してコンピュータに記録する。高倍率対物レンズを用いて記録された結晶の詳細な座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるようにマルチウェルプレートを前記XYZ移動ステージによって移動する。ハロゲン照明光のシャッタを自動で閉じるとともにラマン測定用の励起レーザ光のシャッタを自動で開き、結晶にレーザ光を照射する。レーザ照射光により発生するラマン散乱光をラマン光検出部で検出し、分光器でラマン散乱光を分光分析する。得られたラマンスペクトルを判定する。予め取得したウェル、マグネティックスターラーチップなどの結晶以外のラマンスペクトルと比較し、これら結晶以外のスペクトルと同等であると判断した場合は、再度結晶の位置特定を行う。また、ベースラインが高く蛍光が発生したと認識された場合は、結晶に一定時間励起レーザを照射し(プレ照射)、蛍光が消失してからラマン分光測定を行う。もしくは、ラマン分光装置に搭載した波長自動切替装置(例えば4波長切替)により励起レーザ波長を変更して蛍光の発生を回避する。このとき、一般的に近赤外レーザを用いることによって蛍光の発生が回避できる。光学顕微鏡の観察領域に上記以外のウェル底面の中央付近が来るように前記XYZ移動ステージを移動し、同じ作業を繰り返すことによってウェルプレート上のウェル内に析出した結晶のスクリーニングを行う。得られたスペクトルを多変量解析によって分類する。コンピュータに取り込んだスペクトログラムを解析ソフトウェア(多変量解析用の市販のコンピュータプログラムとしては、米国InfoMetrix社製のPirouetteがある。)を用いて解析し、結晶形を自動判定する。例えば、多変量解析手法の1つである主成分分析(PCA)によって解析結果をデンドログラムで表示し、視覚化することで結晶形をグループ分けする。また、結晶形が既知である場合は、予めラマンスペクトルを取得しSIMCA法によって予測モデルを作成する。予測モデルの各クラスごとに主成分分析を行い、未知試料のスペクトルを各クラスと比較して一番適合するクラスに割り当てる。さらに、得られたスペクトルをラマンスペクトルデータベースや取得済みの物質のスペクトルと比較することにより物質同定を行うことが可能である。結晶判定条件、ラマン分光分析条件、ラマンスペクトルなどの測定結果、および、多変量解析による結晶多形判定結果をレポート形式にしてまとめる。以上に記載した本発明のラマン分光法による結晶多形の自動判定方法及び装置を用いることによって、画像判定によって正確なサンプル結晶の位置(XYZ)を検出できるので、針状結晶などのこれまで判定が困難であった結晶のラマンスペクトルを得ることが可能となる。蛍光の発生によりスペクトルが得られなかった場合は、レーザプレ照射や波長切替機能によって蛍光を回避し、スペクトルを再取得することが可能である。また、測定の全過程を自動化し、得られたスペクトルデータを自動判定することによって、測定操作を簡易化し、結晶判定に要する時間を短縮することが可能となる。図1の構造式を有するスルファニルアミドは、β型の結晶形が安定であるが、晶出条件によっては準安定型のα型を析出する。また、加熱融解することによって高温で安定なγ型に転移する。このように結晶多形が存在する物質は、製剤過程における多形転移が起こらないことを確認する必要がある。そこで、各ウェル内にポリテトラフルオロエチレン製の平型マグネティックスターラーチップを入れた96ウェルプレート内でスルファニルアミドを反応させた後、各ウェル上にスルファニルアミドの結晶を析出させて上記のスクリーニングを行った。図2に上記したラマン分光法による結晶多形の自動判定装置の概要図を示す。図2において、光学顕微鏡のXYZステージ37上に、スルファニルアミドの結晶が析出した石英ガラス製の96ウェルプレート36が固定され、96ウェルプレート上の各ウェル内には結晶が析出している。96ウェルプレートの上方にはターレット35に装着した自動切替可能な低倍率対物レンズ33と高倍率対物レンズ34が配置されている。また、96ウェルプレート36の下方には、前記[2]透明結晶を測定する場合の照射手段として必要なハロゲン透過照明光38が配置されている。光学顕微鏡には、ステージ上サンプルの照射手段として落射照明光32が配置されており、ハーフミラー31を介して電荷結合素子イメージセンサ39、ラマン光学系システム27が設置されている。また、励起レーザ照射部1,2, 3, 4(4波長、うち3, 4は波長可変型)と分光器29はそれぞれ光ファイバ5, 6, 7および28によってラマン光学系システム27に接続されている。顕微鏡部と励起レーザ照射部1,2, 3, 4、分光器29はファイバ長さの範囲で任意の場所に設置することが可能である。分光器29には冷却電荷結合素子検出器30が接続されている。ラマンスペクトル取得部40と自動波長切替部41、サンプル画像取得部42、顕微鏡制御部43、XYZ移動ステージ制御部44からなる制御用コンピュータ47は、分光器29、冷却電荷結合素子検出器30、電荷結合素子39、顕微鏡対物レンズ33,34 およびXYZ移動ステージ37と接続している。さらに、コンピュータは多変量解析のソフトウェア45とラマンスペクトルデータベース46を内包している。以上のように構成されたラマン分光法による結晶多形の自動判定装置の動作を図3に示す。まず、XYZ移動ステージ37にスルファニルアミドの結晶が析出した石英ガラス製の96ウェルプレート36を設置する。制御用コンピュータ47のXYZ移動ステージ制御部44からの指令によって、XYZ移動ステージ37を駆動し、観察領域にウェルの中心が入るように自動的に96ウェルプレート96を移動する。ハロゲン照明光32(または38)を照射し、低倍率対物レンズ33で拡大したウェル内の結晶について、オートフォーカス機能により結晶位置の高さ(Z)を確定するともに、拡大された画像を電荷結合素子39で撮像し、コンピュータ47で二値化処理する。二値化処理によって結晶のおよその位置、面積を計算し、コンピュータ47に記録する。結晶画像、二値化処理画像を図4に示す。二値化処理できず、結晶が特定できなかった場合は、予め設定した条件に従い、コンピュータ47からXYZ移動ステージ37のXY方向を制御してウェル内をマッピングし、フォーカッシングによる高さ(Z位置)確定、画像撮影、二値化処理を実施する。結晶が検出できればマッピングは終了する。次に、顕微鏡制御部43で低倍率対物レンズ33を高倍率対物レンズ34に自動交換する。低倍率対物レンズ33を用いて記録された座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるようにXYZ移動ステージ37を移動する。高倍率対物レンズ34の焦点を結晶表面にオートフォーカスし、拡大された結晶の画像を前記荷電結合素子39で撮像する。撮影画像をコンピュータ47で二値化処理し、結晶の詳細な位置および面積を計測してコンピュータ47に記録する。結晶画像、二値化処理画像を図5に示す。続いて、高倍率対物レンズ34を用いて記録した結晶の詳細な座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるようにマルチウェルプレート36をXYZ移動ステージ37によって移動する。ラマン分光測定を行うためにハロゲン照明光32(または38)のシャッタを自動で閉じる。レーザスポットは観察領域の中心に照射されるように予め調整しておく。従って、画像処理により検出した結晶に必ずレーザが照射される。励起レーザ照射部1(または2,3, 4)から光ファイバ5(または6, 7)を通じてラマン光学系システム27にレーザ光を導入する。レーザ光は自動波長切替部41によりプリズムを移動して4波長とも同じ光路を通るように反射させ、レーザ光と中心波長が合うように自動波長切替部41において自動的に選択したバンドパスフィルタ12(または13,14, 15)を通過し、フラットミラー17、および、自動波長切替部41において自動的に選択したビームスプリッタ18(または20, 23, 25)によって反射させて光学顕微鏡内に導入する。レーザ光は高倍率対物レンズ34によって集光されて結晶を照射する。レーザ光により結晶から発生したラマン散乱光は高倍率対物レンズ34によって集光され、ラマン光学系システム27内に戻る。続いて、ラマン散乱光は自動波長切替部41において自動的に選択したビームスプリッタ18(または20, 23, 25)、ノッチフィルタ19(または21, 22, 24)を直進し、光ファイバ28を介して分光器29に導入され、冷却電荷結合素子検出器30において検出される。検出したラマン散乱光のデータを制御用コンピュータ47のラマンスペクトル取得部40で解析することにより結晶のラマンスペクトルが得られる。ラマンスペクトルを図6に示す。得られたラマンスペクトルを、予め取得した石英製の96ウェルプレート36、ポリテトラフルオロエチレン製平型マグネティックスターラーチップのラマンスペクトルと比較する。ウェルプレートやマグネティックスターラーチップのスペクトルと同等であると判断される場合は、再度結晶の位置特定を行う。また、スルファニルアミドから蛍光が発生する場合がある。スペクトルが得られない、もしくは、ベースラインが高いなど蛍光が発生したと認識された場合は、結晶に数秒間励起レーザを照射し(プレ照射)、蛍光が減少してスルファニルアミドのスペクトルが得られたことを確認してから、ラマン散乱光のスペクトルをコンピュータ47に記録する。プレ照射を行っても蛍光が減少しない場合は、波長自動切替部41で励起レーザ1(または2, 3)をレーザ2(または3, 4)に変更して蛍光の発生を回避する。蛍光が発生し、近赤外レーザに波長を変更して測定を行った場合のラマンスペクトルを図6に示す。光学顕微鏡の観察領域に上記以外のウェル底面の中央付近が来るようにXYZ移動ステージ37を移動し、上記の作業を繰り返すことによってウェルプレート36上のウェル内に析出した結晶のスクリーニングを行う。設定したすべてのウェル内の結晶についてスペクトルを得た後、多変量解析によって結晶多形の判定を行う。コンピュータ47に取り込んだスペクトログラムは解析ソフトウェア45を用いて結晶形を自動判定する。例えば、HCA法によって解析する場合、図7のようなデンドログラム表示されグループに分けた結晶形候補を視覚的に捉えることができる。また、予め結晶形α、β、γのラマンスペクトル図8を取得し、SIMCA法によって予測モデルを作成した場合は、結晶のスペクトルは予測モデルの各クラスと比較して一番適合するクラスに割り当てられる。解析結果は図9の三次元図のように視覚的に捉えることができる。また、これらの解析結果は、図10のようにテーブル表示で示すこともできる。以上の測定、解析の条件および求められたラマンスペクトルなどの測定結果、多変量解析による結晶多形判定結果をレポート形式にまとめて報告する機能により、簡便、短時間で96ウェルプレート上の結晶の判定を行うことが可能となる。本発明の実施例に使用したスルファニルアミドの構造図である。本発明の実施例の構成略図である。本発明の実施例における動作フロー図である。本発明の実施例による結晶の二値化判定画像(対物レンズ倍率20倍)である。本発明の実施例による結晶の二値化判定画像(対物レンズ倍率50倍)である。本発明の実施例による波長切替前後のラマンスペクトルを示す。本発明の実施例によるスペクトル判定例(1)(HCA法)を示す。予め取得した結晶多形のラマンスペクトル(α、β、γ)を示す。本発明の実施例によるスペクトル判定例(2)(SIMCA法)を示す。本発明の実施例によるスペクトル判定例(3)(SIMCA法及び分類表)を示す。符号の説明1 励起レーザ照射部 (1)2 励起レーザ照射部 (2)3 励起レーザ照射部 (3)4 励起レーザ照射部 (4)5 光ファイバ(1)6 光ファイバ(1)7 光ファイバ(1)8 ミラー (1)9 ミラー (2)10 ミラー (3)11 ミラー(4)12 バンドパスフィルタ(1)13 バンドパスフィルタ(2)14 バンドパスフィルタ(3)15 バンドパスフィルタ(4)16 励起レーザ用シャッタ17 フラットミラー18 ビームスプリッタ (1)19 ノッチフィルタ (1)20 ビームスプリッタ (2)21 ノッチフィルタ (2)22 ノッチフィルタ (3)23 ビームスプリッタ (3)24 ノッチフィルタ (4)25 ビームスプリッタ (4)26 ラマン散乱光用シャッタ27 ラマン光学系システム28 光ファイバ29 分光器30 冷却電荷結合素子検出器31 ハーフミラー32 ハロゲン落斜照明光33 低倍率対物レンズ34 高倍率対物レンズ35 ターレット36 ウェルプレート37 XYZ移動ステージ38 ハロゲン透過照明光39 電荷結合素子40 ラマンスペクトル取得部41 自動波長切替部42 画像取得部43 顕微鏡制御部44 XYZ移動ステージ制御部45 多変量解析ソフトウェア46 ラマンスペクトルデータベース47 制御用コンピュータ目的の化合物をマルチウェルプレートの各ウェル上で任意の条件で析出させて結晶を得る工程と、結晶の析出した前記マルチウェルプレートを顕微ラマン分光装置のXYZ移動ステージ上に設置し、コンピュータに前記マルチウェルプレート上の各ウェルの水平(XY)位置を認識させて、ウェル底面を基準とした高さ(Z)を設定する工程と、前記マルチウェルプレート上の任意設定したウェルに自動的に移動し、ハロゲン照明光を照射する工程と、前記ウェル底面の中央付近を低倍率対物レンズが設置された光学顕微鏡に接続した電荷結合素子で観察し、オートフォーカス機能により結晶位置の高さ(Z)を確定するとともに、拡大された結晶の画像を前記電荷結合素子で撮像する工程と、前記撮影画像をコンピュータで画像処理し、画像処理によって結晶の位置(座標)、面積などを特定してコンピュータに記録する工程と、前記画像処理ができず結晶位置を特定できなかった場合は、任意に設定した条件(X,Y方向への移動点数および点間の距離)に従い、前記XYZ移動ステージをXY方向に自動的に操作してウェル内をマッピングし、結晶位置高さ(z)確定、撮影、画像処理を繰り返して結晶を検出する工程と、前記光学顕微鏡の低倍率対物レンズを高倍率対物レンズに自動交換し、低倍率対物レンズを用いて記録された座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるように前記マルチウェルプレートを前記XYZ移動ステージによって移動する工程と、前記高倍率対物レンズの焦点を結晶表面にオートフォーカスし、拡大された結晶の画像を前記荷電結合素子で撮像する工程と、前記撮影画像をコンピュータで画像処理し、結晶の詳細な座標位置を計測してコンピュータに記録する工程と、前記高倍率対物レンズを用いて記録された結晶の詳細な座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるように前記マルチウェルプレートを前記XYZ移動ステージによって移動する工程と、ハロゲン照明光のシャッタを自動で閉じるとともにラマン測定用の励起レーザ光のシャッタを自動で開いて結晶にレーザ光を照射し、前記レーザ照射光により発生するラマン散乱光をラマン光検出部で検出し、分光器でラマン散乱光を分光分析する工程と、得られたラマンスペクトルを判定し、予め取得したウェルやマグネティックスターラーチップなどの結晶以外のラマンスペクトルと比較し、前記結晶以外のスペクトルと同等であると判断した場合は、再度結晶の位置特定を行う工程と、前記光学顕微鏡の観察領域に上記以外のウェル底面の中央付近が来るようにXYZ移動ステージを移動し、同じ作業を繰り返すことによってウェルプレート上のウェル内に析出した結晶のスクリーニングを行う工程と、得られたスペクトルを多変量解析によって分類するために、コンピュータに取り込んだスペクトログラムを解析ソフトウェアによって解析し、結晶形を自動判定する工程、とからなるラマン分光法による結晶多形の自動判定方法。目的の化合物をマルチウェルプレートの各ウェル上で任意の条件で析出させて結晶を得る工程において、反応物中にマグネティックスターラーチップなどの異物が存在していない状態で、ウェル底面に結晶を析出させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動判定方法。目的の化合物をマルチウェルプレートの各ウェル上で任意の条件で析出させて結晶を得る工程において、各ウェル内で化合物を円形、平型のマグネティックスターラーチップで撹拌して反応させ、反応終了後もマグネティックスターラーチップがウェル内に存在している状態で、マグネティックスターラーチップ上にも結晶を析出させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動判定方法。前記マルチウェルプレート上の任意設定したウェルに自動的に移動し、ハロゲン照明光を照射する工程において、前記ウェル内の結晶が透明な場合は、ハロゲン照明光の照射を透過照明とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動判定方法。前記マルチウェルプレート上の任意設定したウェルに自動的に移動し、ハロゲン照明光を照射する工程において、前記ウェル内にマグネティックスターラーチップを含む場合および結晶が不透明な場合は、ハロゲン照明光の照射を落射照明とすることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の自動判定方法。ベースラインが高く蛍光が発生したと認識された場合は、ラマン分光装置に搭載した波長自動切替装置により励起レーザ波長を変更して蛍光の発生を回避するか、もしくは、結晶に一定時間励起レーザを照射し(プレ照射)、蛍光が消失してからラマン分光測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の自動判定方法。目的の化合物を各ウェル上で任意の条件で析出させて結晶を得るためのマルチウェルプレートと、結晶の析出した前記マルチウェルプレートがXYZ移動ステージ上に設置される顕微ラマン分光装置と、前記XYZ移動ステージ上に設置された前記マルチウェルプレート上の各ウェルについて、水平(XY)位置とウェル底面を基準とした高さ(Z)を記録するコンピュータと、前記マルチウェルプレート上の任意設定したウェルに自動的に移動し、ハロゲン照明光を照射するハロゲン照射装置と、前記マルチウェルプレートのウェルに向けて設置され、低倍率対物レンズと高倍率対物レンズが自動交換される光学顕微鏡と、前記光学顕微鏡に接続されてウェル底面の中央付近を観察し、オートフォーカス機能により結晶位置の高さ(Z)を確定するとともに、拡大された結晶の画像を撮像する電荷結合素子とからなり、前記コンピュータは、前記撮影画像の画像処理によって結晶の位置(座標)、面積などを特定して記録するものであり、前記XYZ移動ステージは、前記コンピュータによる画像処理ができず結晶位置を特定できなかった場合、任意に設定した条件に従って自動的に操作されてウェル内をマッピングし、撮影、画像処理を繰り返して結晶を検出するものであり、前記光学顕微鏡は、低倍率対物レンズが高倍率対物レンズに自動交換され、低倍率対物レンズを用いて記録された座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるように前記マルチウェルプレートを前記XYZ移動ステージによって移動させるものであり、前記荷電結合素子は、前記高倍率対物レンズの焦点を結晶表面にオートフォーカスして拡大された結晶の画像を撮像するものであり、前記コンピュータは、前記荷電結合素子の撮影画像を画像処理し、結晶の詳細な座標位置を計測して記録するものであり、前記マルチウェルプレートは、前記高倍率レンズを用いて記録された結晶の詳細な座標位置に基づいて、光学顕微鏡の観察領域の中心に結晶が配置されるように前記XYZ移動ステージによって移動させられるものであり、前記ハロゲン照射装置のハロゲン照明光のシャッタが自動で閉じられるとき、前記顕微ラマン分光装置のラマン測定用の励起レーザ光のシャッタが自動で開かれて、結晶にレーザ光が照射されるものであり、前記顕微ラマン分光装置は、前記レーザ照射光により発生するラマン散乱光をラマン光検出部で検出して、分光器でラマン散乱光を分光分析するものであり、得られたラマンスペクトルを判定し、予め取得したウェルやスターラチップなどの結晶以外のラマンスペクトルと比較し、前記結晶以外のスペクトルと同等であると判断した場合は、再度結晶の位置特定が行われるものであり、前記光学顕微鏡の観察領域に上記以外のウェル底面の中央付近が来るようにXYZ移動ステージを移動し、同じ作業を繰り返すことによってウェルプレート上のウェル内に析出した結晶のスクリーニングを行い、前記コンピュータに取り込んだスペクトログラムを解析ソフトウェアによって多変量解析し、結晶形を自動判定するようにしたラマン分光法による結晶多形の自動判定装置。 【課題】針状結晶などのラマンスペクトルを得ることを可能とし、結晶形の判定時間の短縮を可能とする。【解決手段】ウェルプレートを顕微ラマン分光装置のXYZ移動ステージに設置し、コンピュータに各ウェルのXY位置を認識させ、ウェル底面を基準とした高さ(Z)を設定する。ハロゲン照明下に電荷結合素子でウェル底面の中央付近を観察し、オートフォーカス機能により結晶位置の高さ(Z)を確定し、結晶画像を撮像する。低倍率レンズで記録した座標位置に基づいて、観察領域の中心に結晶が来るようにウェルプレートを移動し、高倍率レンズの焦点を結晶表面にオートフォーカスし、結晶画像を撮像する。高倍率対物レンズで記録した詳細な座標位置に基づいて、観察領域の中心に結晶が来るようにウェルプレートを移動し、励起レーザ光を照射して、ラマン散乱光を分光分析し、解析ソフトウェアで解析して結晶形を自動判定する。【選択図】図2