タイトル: | 公開特許公報(A)_目及び脳機能改善剤 |
出願番号: | 2007080257 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 31/202,A61K 31/07,A61P 25/28,A61P 27/02,A61K 31/122,A61K 31/355 |
加藤 久仁子 高橋 友則 鈴木 則行 村越 倫明 JP 2008239528 公開特許公報(A) 20081009 2007080257 20070326 目及び脳機能改善剤 ライオン株式会社 000006769 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 加藤 久仁子 高橋 友則 鈴木 則行 村越 倫明 A61K 31/202 20060101AFI20080912BHJP A61K 31/07 20060101ALI20080912BHJP A61P 25/28 20060101ALI20080912BHJP A61P 27/02 20060101ALI20080912BHJP A61K 31/122 20060101ALI20080912BHJP A61K 31/355 20060101ALI20080912BHJP JPA61K31/202A61K31/07A61P25/28A61P27/02A61K31/122A61K31/355 2 2 OL 8 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA09 4C086MA03 4C086MA04 4C086NA05 4C086ZA15 4C086ZA33 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206BA04 4C206CB27 4C206DA05 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA13 4C206NA05 4C206ZA15 4C206ZA33 4C206ZC75 本発明は、目及び脳機能改善剤に関するものである。 近年、パソコン、携帯電話等、長時間ディスプレイを見る機会が増加すると共に、目の疲れを訴える人が増加している。また、加齢に伴う目の衰え、集中力の低下等は、男女を問わず大きな不満となっている。従来、目の機能改善を訴求したサプリメント市場はブルーベリー抽出物(アントシアニン)を主成分とするものがほとんどである。しかしながら、それらの目及び脳の機能の改善効果は必ずしも十分ではなかった。 一方、脳機能改善剤として不飽和脂肪酸(アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸等)を含むものが提案されているが(例えば、特許文献1:特開2006−83136号公報、特許文献2:特開平2−49723号公報参照)、目及び脳機能の両者を改善するものではなく、ヒトに対する効果は十分でなかった。以上のことから、目及び脳機能の両者について機能改善効果を有するものが望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。特開2006−83136号公報特開平2−49723号公報特開平10−287563号公報特開2005−287376号公報特開2007−31426号公報特開2005−225842号公報 本発明は上記事情に鑑みなされたもので、優れた目及び脳機能改善効果を有する目及び脳機能改善剤を提供することを目的とする。 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)パーム油カロテンと、(B)ドコサヘキサエン酸と、(C)クロセチンとを併用することにより、これらを単独で用いた場合には得られない顕著な効果、具体的には、視力向上、目の疲労予防、動体視力向上等の目の機能改善効果、中枢神経の疲労予防等の脳の機能改善効果が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。 従って、本発明は[1].(A)パーム油カロテンと、(B)ドコサヘキサエン酸と、(C)クロセチンとを有効成分として含有する目及び脳機能改善剤、[2].さらに、(D)コエンザイムQ10、トコフェロール、トコトリエノール、ルテイン、及びリコペンを有効成分として含有することを特徴とする[1]記載の目及び脳機能改善剤を提供する。 本発明によれば、優れた目及び脳機能改善効果を有する目及び脳機能改善剤を提供することができる。 本発明の目及び脳機能改善剤は、(A)パーム油カロテンと、(B)ドコサヘキサエン酸と、(C)クロセチンとを目及び脳機能改善有効成分として含有するものであり、目及び脳機能改善剤の製造のために、上記(A)、(B)及び(C)成分からなる混合物を使用することができる。 本発明の(A)成分はパーム油カロテンであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。パーム油カロテンとしては、α−カロテン及びβ−カロテンを含むものが好適に用いられる。パーム油カロテンの組成は、例えばβ−カロテン55〜70質量%、α−カロテン40〜20質量%、β−カロテン及びα−カロテンの合計量85〜97質量%、γ−カロテン及びリコピン3〜15質量である。パーム油カロテンの調製方法は公知の方法が採用できる。例えば、パーム油を低級モノアルコールでアルコリシスし、得られた脂肪酸低級アルキルエステルを親水性溶媒、具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンを用いて希釈し、次いで水を添加することにより析出物を得、次いで本析出物を減圧蒸留、ケイ酸カラムを用いて精製する方法等を用いることができる。 (A)成分は含有するビタミンA活性を有するα−カロテンやβ−カロテン等のカロテノイドにより、ビタミンAとして上限量が「日本人の食事摂取基準(2005年版)」に記載されている。また、栄養機能食品と称して販売する場合、ビタミンAとして135〜600μgと定められている。 本発明の(B)成分はドコサヘキサエン酸(DHA)である。本発明のドコサヘキサエン酸としては、ドコサヘキサエン酸を含む油脂の抽出物、抽出物を公知の方法にしたがって単離精製したもの、さらにエステル化等をしたもの等を用いることができ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ドコサヘキサエン酸は、イワシ、サバ、アジ、サケ、サンマ等から抽出した魚油、マグロ等の眼窩脂肪由来の魚油、微生物や海草由来の油脂等に含まれる。本発明の(B)ドコサヘキサエン酸としては、精製したものを用いることが好ましい。 (B)成分の成人一人当たりの好適な摂取量は、50〜5000mg/dayであり、より好ましくは100〜2500mg/dayである。 本発明の(C)成分はクロセチンである。クロセチンは、カロテノイドの一つで、アヤメ科のサフラン(Crocus sativus)の柱頭や、アカネ科のクチナシ(Gardenia jasminoides)の果実等に含まれるクロシンを加水分解することにより得られる。上記植物からクロシンを抽出する方法としては公知の方法が用いられ、例えば上記植物を水、アルコール又はそれらの混合液を用いて抽出する方法が挙げられる。クロシンの加水分解は特に制限されず、酸、アルカリあるいは適当な加水分解酵素が用いられる。さらに、公知の精製方法で単離精製することが好ましい。本発明のクロセチンとしては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、その他の塩を用いてもよく、クロセチンは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。 (C)成分の成人一人当たりの好適な摂取量は、0.1〜500mg/dayであり、より好ましくは1〜200mg/dayである。 本発明の目及び脳機能改善剤においては、さらに(D)コエンザイムQ10、トコフェロール、トコトリエノール、ルテイン、及びリコペンを目及び脳機能改善有効成分として含有することが好ましい。 (D)成分のコエンザイムQ10(CoQ10)は、ユビキノン類の1種である。人の細胞中のミトコンドリアに存在する補酵素で、細胞を活性化させ人体のエネルギー産生に不可欠な成分である。 (D)成分のトコフェロールは植物油等に含まれる脂溶性ビタミンで、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールの4種が挙げられる。トコトリエノールは、トコフェロールの関連化合物で、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールの4種が挙げられる。これらは天然物由来のものでも、合成品でもよい。 (D)成分の、リコピンはトマトやパーム油等に含まれるカロテノイドである。ルテインは緑色の葉の中や卵黄に含まれるカロテノイドである。これらは天然物由来のものでも、合成品でもよい。 α−トコフェロールについて「日本人の食事摂取基準(2005年版)」に上限量が記載されている。また、栄養機能食品として販売する場合は、α−トコフェロールとして2.4mg〜150mgと定められている。コエンザイムQ10については、厚生労働省から医薬品として用いられる量(1日30mg)を超えないようにとの通知が出されている。 本発明の目及び脳機能改善剤の摂取方法は特に限定されず、食事等に左右されることなく、1日の有効量を摂取すればよい。 本発明の目及び脳機能改善剤は、目及び脳機能改善有効成分に適宜他の成分を添加して、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤等の経口投与剤である固形製剤、飲料等にすることができる。その製造方法は公知の方法で得ることができる。この場合の(A)、(B)及び(C)成分からなる目及び脳機能改善有効成分の配合量は有効量であれば特に限定されないが、目及び脳機能改善剤中0.01〜80質量%の範囲が好ましい。 なお、本発明の目機能改善とは、例えば近点調節力、動体視力、静止視力、夜間視力の改善をいう。また、本発明の脳機能改善とは、例えば中枢神経の疲労の改善、集中力の向上等をいう。 本発明の目及び脳機能改善剤は、優れた目及び脳機能改善効果を有するため、パソコン使用時、携帯電話や小型機器類のモニターの使用時、車の運転時等の目や脳の疲労予防剤としても好適である。 以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 [実施例1,2] 下記表1に示す実施例1、実施例2に示す成分を植物油脂等に懸濁し、常法によりゼラチン等を用いてソフトカプセルを作製した。 [試験例] 目に異常がない30〜49歳の被験者20名を、実施例1摂取群、実施例2摂取群の2群(10名/群)に分け、ソフトカプセル一日6粒を1ヶ月間摂取させ、摂取前、摂取1ヶ月後に、以下の評価試験1〜4を実施した。結果を10名の平均値で示す。以下、*はt−testで危険率5%以下有意差あり、**はt−testで危険率1%以下有意差ありを示す。 評価試験の際、VDT(Visual Display Terminal)作業60分による疲労負荷をかけて作業前(A)、作業後(B)と休憩20分後(C)に試験を行った。なお、VDT作業とは、疲労(ストレス)負荷方法 VDT(Visual display terminal)作業として、パソコンを用いた1桁足し算(クレペリンテスト)を連続1時間実施する。測定フロー図を図1に示す。 [試験例1:フリッカー試験] TAKEI機器工業社製、デジタルフリッカー計を用いた。 “ちらつき”をflickerと呼ぶ。フリッカー値とは臨界融合頻度を表し、光の明と暗の回数を増加させるとある回数で連続した視標として感じるようになる。この回数をCFF(Critical Fusion Frequency)と呼ぶ。不連続光を用いて、視野中心部のCFFを測定することをフリッカーテストという。フリッカー値の低下は覚醒水準の減衰に起因する知覚機能の低下を反映し、視覚機能を含む知覚連合皮質における視覚情報処理能力の減衰をあらわしていると考えられており、フリッカー値の低下は中枢神経の疲労と考えられている。中枢神経の疲労を表す尺度とされる(産業医学、Vol5,9号,553−578(1968))。結果を表2及び図2に示す。摂取前はVDT作業直後にフリッカー値が低下するが、摂取1ヶ月後では低下が抑えられることが認められた。 [試験例2:近点調節力測定] 目の疲労により調節近点距離が延長する。疲労により近点調節力が低下する。調節近点距離を両眼開放式定屈折近点計(D’ACOMO製)で測定した。結果を表3及び図3に示す。近点調節力において、摂取前は作業直後に低下が認められたが、摂取1ヶ月後では共に近点調節力の低下は認められなかった。 [試験例3:動体視力測定] 動体夜間視力計KNV−500(ヤガミ・ニデック製)を用いて測定した。 疲労により動体視力は低下する。動体視力の結果を表4及び図4に示す。動体視力(50km/h)は、摂取前は作業直後に低下が認められたが、1ヶ月後では実施例1、実施例2共に動体視力の低下は見られなかった。(*:P<0.05) [試験例4:静止視力、夜間視力測定] 動体夜間視力計KNV−500(ヤガミ・ニデック製)を用いて測定した。夜間視力は視標コントラスト50%、眩光下での静止視力を測定した。静止視力の結果を表5、夜間視力の結果を表6に示す。静止及び夜間両視力は、実施例1、実施例2共に摂取1ヶ月後に向上傾向が見られ、実施例2では有意な向上が認められた。(**P<0.01) これらの結果より、VDT作業による眼の疲労、又は脳の疲労を有意に抑制し、また静止視力、夜間視力の向上が認められた。本発明の測定フロー図である。本発明のフリッカー試験の結果を示すグラフである。本発明の近点調節力測定の結果を示すグラフである。本発明の動体視力測定の結果を示すグラフである。本発明の静止視力測定の結果を示すグラフである。本発明の夜間視力測定の結果を示すグラフである。 (A)パーム油カロテンと、(B)ドコサヘキサエン酸と、(C)クロセチンとを有効成分として含有する目及び脳機能改善剤。 さらに、(D)コエンザイムQ10、トコフェロール、トコトリエノール、ルテイン、及びリコペンを有効成分として含有することを特徴とする請求項1記載の目及び脳機能改善剤。 【課題】優れた目及び脳機能改善効果を有する目及び脳機能改善剤を提供する。【解決手段】(A)パーム油カロテンと、(B)ドコサヘキサエン酸と、(C)クロセチンとを有効成分として含有する目及び脳機能改善剤。【選択図】図2