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タイトル:再公表特許(A1)_コレステロール誘導体、リポソーム、リポソームの形成方法およびX線用造影剤
出願番号:2007073778
年次:2010
IPC分類:C07J 41/00,A61K 49/04,A61K 9/127,A61K 47/28,A61K 47/24


特許情報キャッシュ

三浦 紀生 二宮 英隆 JP WO2008081686 20080710 JP2007073778 20071210 コレステロール誘導体、リポソーム、リポソームの形成方法およびX線用造影剤 コニカミノルタホールディングス株式会社 000001270 三浦 紀生 二宮 英隆 JP 2006353771 20061228 C07J 41/00 20060101AFI20100402BHJP A61K 49/04 20060101ALI20100402BHJP A61K 9/127 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/28 20060101ALI20100402BHJP A61K 47/24 20060101ALI20100402BHJP JPC07J41/00A61K49/04A61K9/127A61K47/28A61K47/24 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20100430 2008552073 64 4C076 4C085 4C091 4C076AA19 4C076CC50 4C076DD49 4C076DD50 4C076DD63 4C076DD70 4C076GG41 4C085HH05 4C085JJ05 4C085KA09 4C085KA29 4C085KB45 4C085KB47 4C091AA01 4C091BB06 4C091CC01 4C091DD01 4C091EE06 4C091FF01 4C091GG01 4C091HH01 4C091JJ03 4C091KK01 4C091LL01 4C091MM03 4C091NN01 4C091PB05 4C091QQ01 4C091RR08 本発明は、新規なコレステロール誘導体、それを用いたリポソーム、リポソームの形成方法及び該リポソームを含有するX線用造影剤に関するものである。 近年、薬剤キャリアとして注目されているリポソームの表面に、糖鎖を提示する材料として、糖を修飾したコレステロール誘導体が盛んに研究されている。京都大学の橋田らはガラクトース、マンノース、フコースをコレステロールに修飾し、これを構成成分とするリポソームが肝臓に特異的に集積することを見出している。(たとえば非特許文献1参照)また、三菱化学ではスペルミジンをジョイントとして糖とコレステロールを結合した新規化合物を提案している。該コレステロール誘導体を構成成分とするリポソームは核酸成分(DNA,RNA断片)を内包することができ、標的細胞に目的の遺伝子を送り込むことで効果的な遺伝子治療を実現できることが期待されている。(たとえば特許文献1及び2参照)しかしながら、上記の糖修飾コレステロールはいずれもカチオン性であるため毒性に懸念があり、特に発明者らの研究対象である造影剤での使用を念頭とした場合には、遺伝子治療に対して使用量が格段に多いため、致命的な欠点となる問題があった。また非イオン性のヨウド化合物を内包するリポソームを作成する場合にカチオン性材料はその内包率が非常に低くなる欠点があった。さらに超臨界二酸化炭素に対する溶解度が低いため、この方法で効率的にリポソームを形成することには限界があった。 一方、ヨード原子を含有する造影剤は、汎用的には低分子量の有機ヨード剤として提供され、水に溶けるため、尿路撮影、血管造影、CTの造影のように、通常、静脈血管内投与で用いられる。ヨード造影剤は、投与されて数分間は血管内に滞留するが、急速に全身に分布し、通常は腎臓で排泄されて尿中に出る。現在使用されている低分子量・水溶性のヨード造影剤は血管から臓器や組織への移行が早く、血管の中でも特に静脈を明確に造影することが困難であった。 血中滞留性を上げるために今から20年程前、ヨウド化けし油をレシチンで分散したオイルエマルジョンタイプの造影剤がいくつか検討された(例えば、非特許文献2参照)。これらは目論見通り血中滞留性が向上し、全身血管の造影能力が格段に向上したが、発熱、悪心、アナフィラキシーショック等の重篤な副作用を引き起こす問題が解決できず、実用化に至っていない。 一方、近年、特定臓器の癌疾患の造影が強く求められている。しかしながら上述の造影剤には臓器特異的な集積性がないため要望を満たすことが困難である。上述のカチオン性コレステロールを用いたリポソームは肝臓への集積性が高いことが知られており(例えば、非特許文献1参照)、肝臓疾患用造影剤への応用が期待できる半面、膵臓への集積性は低く、膵臓疾患用造影剤への応用は期待できないのが現状である。現在、膵臓疾患、特に膵臓の転移性癌は早期発見が難しく、死亡率の高い疾患として知られており新規な造影剤の開発が切望されている。特表2004−522722号公報特表2004−520301号公報Chem.,Pharm.,Bull.,871−880 53(8),(2005)Radiology,216,154−162,2000 本発明の目的は、(1)生体に対する毒性が低く(2)内包率が高く(3)超臨界二酸化炭素に対する溶解度が高く(4)全身血管及び肝臓の造影に優れ、(5)かつ、膵臓の造影にも優れ、(6)さらに24時間以内に体外に大部分が排泄される安全性を有する新規なコレステロール誘導体、リポソーム、リポソームの形成方法、及び該リポソームを含有するX線用造影剤を提供することにある。 本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。 1.下記一般式(1)で表されることを特徴とするコレステロール誘導体。(式中、Gは糖の残基であって、該糖のアノマー位の炭素が、エーテル結合を形成する一価の残基を表し、〜線は糖のアノマー位の立体が、α体及び/又はβ体であることを表し、Jはアルキレン基を表す。) 2.前記糖がアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギュロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトロース、トレオース、セロビオース、フコース、マルトース、イソマルトース、ラクトースまたはマルトリオロースであることを特徴とする1に記載のコレステロール誘導体。 3.前記アルキレン基が、炭素数2〜10であるアルキレン基であることを特徴とする1または2に記載のコレステロール誘導体。 4.非イオン性ヨウド化合物、1〜3のいずれか1項に記載のコレステロール誘導体から選ばれる少なくなくとも1種の化合物及びリン脂質を含有することを特徴とするリポソーム。 5.4に記載のリポソームを形成する方法であって、超臨界状態の二酸化炭素を用いることを特徴とするリポソームの形成方法。 6.4に記載のリポソームを含有することを特徴とするX線用造影剤。 7.5に記載のリポソームの形成方法により得られたリポソームを含有することを特徴とするX線用造影剤。 本発明によれば、(1)生体に対する毒性が低く(2)内包率が高く(3)超臨界二酸化炭素に対する溶解度が高く(4)全身血管及び肝臓の造影に優れ、(5)かつ、膵臓の造影にも優れ、(6)さらに24時間以内に体外に大部分が排泄される安全性を有する新規なコレステロール誘導体、リポソーム、リポソームの形成方法、及び該リポソームを含有するX線用造影剤を提供することができる。 本発明者は鋭意検討の結果、前記一般式(1)で表される特定構造のコレステロール誘導体は、(1)生体に対する毒性が低く(2)内包率が高く(3)超臨界二酸化炭素に対する溶解度が高く(4)全身血管及び肝臓の造影に優れ、(5)かつ、膵臓の造影にも優れ、(6)さらに24時間以内に体外に大部分が排泄される安全性を有する新規なコレステロール誘導体であり、これを含む造影剤は優れた造影剤であることを見出した。 以下、本発明を詳細に説明する。 《一般式(1)で表されるコレステロール誘導体》 まず、本発明の一般式(1)で表されるコレステロール誘導体について詳述する。 一般式(1)において、Gは糖の残基であって、糖のアノマー位でエーテル結合を形成する一価の残基を表し、該糖は単糖、二糖、三糖、多糖の全てのアルドペントース、アルドヘキソースを表す。該糖としては、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギュロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトロース、トレオース、セロビオース、フコース、マルトース、イソマルトース、ラクトースまたはマルトリオロースが好ましく用いられる。〜線は糖のアノマー位の立体が、α体及び/又はβ体であることを表すが、α体、β体それぞれの単独であっても良いし、α体、β体の任意の比率での混合物であってもよい。Jはアルキレン基を表すが、直鎖でも分岐していても良く、好ましくは直鎖のアルキレン基である。アルキレン基の炭素数の合計は2〜10であることが好ましいが、特に好ましくは2〜6である。該アルキレン基は置換基を有していてもよいが、好ましくは無置換である。該置換基として具体的には、アルコキシ基、カルバモイル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、スルホンアミド基、エステル基等が挙げられる。 次に、本発明の一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。尚、例示化合物における糖構造は便宜上D体、もしくはL体で記載されているが、例示化合物はDL混合体である。 しかし本発明はこれらに限定されない。これらの例示化合物の合成方法は実施例に示す。 具体的化合物例 《非イオン性ヨウド化合物、コレステロール誘導体、及びりん脂質を含有するリポソーム》 本発明のリポソームは、通常公知のリポソームと同様に脂質二重膜から形成されている。その脂質膜の成分として、一般にリン脂質が好ましく使用される。本発明に用いられるリン脂質は通常公知のもので制限はない。 リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリン等のリン脂質が挙げられる。卵黄、大豆その他の動植物材料に由来するリン脂質、それらの水素添加物、水酸化物の誘導体といった半合成のリン脂質、または合成加工品などが、限定されることなく用いられる。リン脂質の構成脂肪酸も特に限定されることはなく、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のどちらでもよい。 具体的なリン脂質の例として、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルエノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミンなどが挙げられる。 これらのリン脂質は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。 本発明のコレステロール誘導体は上述の脂質二重膜を構成する成分となるが、その使用量としてはリン脂質1質量部に対して0.05〜1.5質量部、好ましくは0.2〜1質量部、より好ましくは0.3〜0.8質量部の割合が望ましい。 本発明に係る非イオン性ヨウド化合物は、沃素を含有し、イオンを有さない構造の化合物であり、上述のリポソームに内包される成分である。非イオン性ヨウド化合物は水溶性であることが好ましく、具体的にはヨウ化フェニル基、例えば2,4,6−トリヨードフェニル基を少なくとも1個有する非イオン性ヨウド化合物が好適である。好ましい非イオン性ヨウド化合物として、具体的にはイオヘキソール、イオペントール、イオジキサノール、イオプロミド、イオトロラン、イオメプロール、N,N’−ビス〔2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−エチル〕−5−〔(2−ヒドロキシ−1−オキソプピル)−アミノ〕−2,4,6−トリヨード−1,3−ベンゼン−ジカルボキシアミド(イオパミドール);メトリザミドなどが挙げられる。 非イオン性ヨウド化合物はこれらの例示に限定されるものではない。また、非イオン性ヨウド化合物は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお本明細書において、化合物は遊離形態の他に、その塩、水和物なども含めて言及することがある。特に好適なヨウド系化合物として、高度に親水性であり、かつ高濃度でも浸透圧が高くならないイオメプロール、イオパミドール、イオトロラン、イオジキサノールなどが挙げられる。イオトラン、イオジキサノールといった二量体非イオン性ヨウド化合物では、ヨウ素担持効率が高く、同一ヨウド濃度の造影剤を調製しても全体のモル数が低いために浸透圧を低下させる利点がある。発明のリポソームの構成成分は上記に限定されず、他の成分を加えることができる。その例としては、FEBSLett.223,42(1987);Proc.Natl.Acad.Sci.,USA85,6949(1988)等に記載のモノシアルガングリオキシドGM1誘導体、Chem.Lett.2145(1989);Biochim.Biophys.Acta1148,77(1992)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim.Biophys.Acta1029,91(1990);FEBSLett.268,235(1990)等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられるが、これに限られるものではない。 《リポソームの形成方法》 本発明のリポソームは、当業者が利用可能ないかなる方法で形成してもよい。形成法の例としては、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9,467(1980)、”Liposomes”(M.J.Ostro編、MARCELLDEKKER、INC.)等に記載されている。具体例としては、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、カルシウム融合法、凍結融解法、逆相蒸発法等が挙げられるが、これに限られるものではない。リポソームの構造は特に限定されず、ユニラメラ又はマルチラメラなどのいずれの形態でもよい。また、リポソームの内部には、他の成分を含有してもよい。 本発明のリポソームの形成方法の一例を以下に示す。本発明のコレステロール誘導体、リン脂質、安定化剤、酸化防止剤等の構成成分を、フラスコ内のクロロホルム等の有機溶媒中で混合し、有機溶媒を留去した後、真空乾燥することによりフラスコ内壁に薄膜を形成させる。 次に前記フラスコ内に非イオン性ヨウド化合物の水溶液を加え、激しく攪拌することにより、リポソーム分散液を得る。得られたリポソーム分散液を遠心分離し、上澄みをデカンテーションして封入されなかった化合物等を除去する。 また、別の方法として、上記の構成成分(本発明のコレステロール誘導体、非イオン性ヨウド化合物、リン脂質およびその他のリポソーム構成成分)を混合し、高圧吐出型乳化機により高圧吐出させることにより本発明のリポソームを得ることもできる。 上述のようにして得られたリポソームは、残留有機溶媒を含んでいる。残留有機溶媒、特にクロル系有機溶媒は完全に除去することが困難であり、生体に及ぼす悪影響が懸念されるという問題点がある。本発明のX線用造影剤に使用するリポソームを形成するには、上記の問題点を回避できる方法である超臨界もしくは亜臨界の二酸化炭素を使用するリポソーム形成法を利用することが好ましい。 二酸化炭素は、臨界温度が31.1℃、臨界圧力が75.3kg/cm2と比較的扱いやすく、大気圧下で不活性なガスゆえ残存しても人体に無害であり、高純度流体が安価で容易に入手できるなどといった理由により好適である。本発明のリポソームの形成方法で使用する超臨界状態(亜臨界状態を含む)の二酸化炭素の好適な圧力は、80〜500kg/cm2、好ましくは90〜400kg/cm2、より好ましくは100〜200kg/cm2である。 また好適な臨界状態の二酸化炭素ガスの温度としては、32〜200℃、好ましくは35〜100℃、さらに好ましくは40〜80℃である。これらの範囲内で、温度および圧力を適宜選択して組み合わせることにより、超臨界状態(亜臨界状態を含む)とするのがよい。 本発明の超臨界二酸化炭素を使用するリポソームの形成方法は、具体的に以下のようにして行なわれる。圧力容器に液体二酸化炭素を加え、上記の好適な圧力および温度のもとにある超臨界状態もしくは亜臨界状態にする。超臨界(もしくは亜臨界)状態の二酸化炭素に、本発明のリポソームに含有される各成分を溶解するか、あるいは予めこれらの化合物を加えた圧力容器に液体二酸化炭素を加え、次いで温度、圧力を調整して超臨界状態にして溶解してもよい。 その際、溶解助剤を添加すると、脂質膜の成分の超臨界二酸化炭素への溶解が短時間で充分に行われるため、形成されるリポソームにおける一枚膜リポソームの比率が高くなる。溶解助剤として、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテルなどを1種または2種以上併用することが望ましい。 例えばアルコール類を超臨界二酸化炭素の0.1〜10質量%、好ましくは、1〜8質量%の割合で助溶媒として使用するのがよい。より好ましい解助剤としては、安全性の観点からエタノールである。 引き続き、生成した脂質混合物に、非イオン性ヨウド化合物、必要に応じて公知の製剤助剤を含む水溶液を連続的に添加して、水相/二酸化炭素エマルジョンを形成する。 系内を減圧して二酸化炭素を排出すると、非イオン性ヨウド化合物を内包するリポソームが分散している水性分散液が生成する。 上記ヨウド化合物のリポソーム内への内包化の割合は、リポソーム用脂質の総量とヨウド化合物(必要に応じてさらに製剤助剤)を含む水溶液との比率によっても左右される。 リポソームの円滑な形成、ならびにその脂質膜内へのヨウド化合物の効率的な内包化には、使用する脂質総量と内包物質を含有する水溶液との比率もまた調整する必要がある。 この脂質総量とは、リポソーム膜を構成するリン脂質類、一般式(1)で表されるコレステロール誘導体、その他ステロール類、及びその他の添加した脂質類すべてを対象とした総和の質量である。 上記水溶液1リットル(L)に対して、脂質総量が5〜150mmolesの範囲、好ましくは30〜120mmolesの範囲、より好ましくは50〜100mmolesの範囲の割合でリポソーム膜構成物質を含む溶媒を混合する。 そうした場合、非イオン性ヨウド化合物のリポソーム内への内包化は良好に進行し、結果的にそのヨウド化合物の保持効率も向上する。 次に本発明に係るリポソームの粒子のサイズおよびその分布について詳述する。 以下にいう「中心粒径」とは、粒子分布で最も出現頻度の高い粒径を指している。 なお、粒径は、粒子の直径を意味する。粒径の調整は、処方またはプロセス条件で行なうことができる。例えば、上記の超臨界の圧力を大きくすると形成されるリポソームの粒径は小さくなる。リポソームの粒径の分布をより狭い範囲に揃えるには、作製されるリポソームの懸濁液を一定サイズの孔径を有する濾過膜、好ましくはポリカーボネート膜などに強制的に透過させてもよい。 この場合、濾過膜として0.05〜0.4μm、好ましくは0.1〜0.4μm、さらに好ましくは0.15〜0.2μmの孔径のフィルターを装着した静圧式押出し装置に通すことにより、リポソーム多重層膜の脂質膜枚数を減らすとともに、最適寸法である100〜300nmの範囲の中心粒径を有し、均一なリポソームを効率よく調製することができる。 具体的には、各種の静圧式押出し装置、例えば「エクストルーダー」(商品名、日油リポソーム製)などを使用して、フィルターを強制的に透過させる。フィルターは、ポリカーボネート系、セルロース系などのタイプを適宜使用することができる。このような「押出し」操作工程を取り入れることにより、上記サイジングに加えて、リポソーム分散液の交換、濾過滅菌も併せて可能になるという利点もある。引き続きリポソーム分散液を、遠心分離、ゲル濾過などの方法により未保持の薬剤を除去して精製したり、濃縮、希釈、凍結乾燥などの操作を任意に行ってもよい。本発明の造影剤リポソームの中心粒径は、通常50〜300nm、好ましくは50〜200nm、より好ましくは50〜130nmである。 《本発明のリポソームを含有する、X線用造影剤》 次に、本発明のリポソームを含有する、X線用造影剤について詳述する。 注射のために製剤化された本発明の造影剤は、迅速で簡便な注射を可能にするよう適度な粘度のみを有するべきである。粘度は、10.20×10−4kgf・s/m2(10mPa・s、10cP)未満、または好ましくは5.10×10−4kgf・s/m2(5mPa・s、5cP)未満、またはより好ましくは2.04×10−4kgf・s/m2(2mPa・s、2cP)未満である。また、注射のために製剤化された本発明のX線用造影剤は過度の浸透圧を有するべきではない。 なぜなら、これは毒性を増加させ得るからである。浸透圧は、3000ミリオスモル/kg未満、または好ましくは2500ミリオスモル/kg未満、または最も好ましくは900ミリオスモル/kg未満である。 本発明のX線用造影剤は、無機または有機の酸及び塩基から誘導される塩を含有することができる。塩の具体例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛塩)、有機塩基を有する塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、及びアミノ酸(例えば、アルギニン、リジン)を有する塩等を包含する。本発明の好ましい塩は、N−メチル−D−グルカミン、カルシウム及びナトリウム塩である。 本発明のX線用造影剤は、任意のキャリア、アジュバントもしくはビヒクルを含有することができる。本発明のX線用造影剤に使用され得るキャリア、アジュバント及びビヒクルは、イオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝性物質(例えば、ホスフェート)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及びラノリンを包含するが、これらに限定されない。 本発明のX線用造影剤は、注射可能な無菌の調合薬の形態(例えば、注射可能な無菌の水性または油性の懸濁液)であり得る。この懸濁液は、当該分野で公知の技術に従い、適切な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を用いて製剤され得る。注射可能な無菌の調合薬はまた、無毒性の非経口で受容可能な希釈剤または溶媒中における、無菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であってもよい。 用いられ得る受容可能なビヒクル及び溶媒は、水、リンガー溶液及び等張食塩水である。 上記溶媒としては、合成のモノ−またはジ−グリセリドを含む任意の刺激のない不揮発油が使用され得る。脂肪酸(例えば、オレイン酸及びそのグリセリド誘導体)は、天然の薬学的に受容可能なオイル(例えば、オリーブオイルまたはヒマシ油)と同様に、注射可能物の調製、特にこれらのポリオキシエチル化した変形物において有用である。 これらのオイル溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤(例えば、Ph.Helvまたは類似のアルコール)を含み得る。 本発明のX線用造影剤は、経口投与、非経口投与、吸入スプレーによる投与、局所投与、直腸投与、鼻腔投与、頬投与、膣投与または従来の無毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント及びビヒクルを含有する投薬製剤中に埋め込まれたリザーバを介して投与され得る。 本明細書に使用される用語「非経口」とは、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、くも膜下、肝臓内、病変内及び頭蓋内注射または点滴技術を含む。 経口投与される場合、本発明の薬学的組成物は任意の経口的に受容可能な投薬形態(カプセル、錠剤、水性の懸濁液または溶液が挙げられるがこれらに限定されない)で投与され得る。 錠剤を経口使用する場合、一般的に使用されるキャリアには、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。 代表的には、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤もまた添加される。カプセル形態の経口投与に対して、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用に水性懸濁液を必要とする場合、活性成分は乳化剤及び懸濁剤と配合される。所望の場合、特定の甘味料、香味料または着色料もまた添加してもよい。 あるいは、直腸投与のために座薬形態で投与される場合には、本発明のX線用造影剤は、室温で固体であるが直腸温で液体である適切な非刺激性の賦形剤とを混合して調製され得、その結果直腸内で溶け薬剤を放出する。このような物質として、ココアバター、ビーズワックス及びポリエチレングリコールが挙げられる。 また、前述のように、特に、処置標的が局所施用によって容易に接近可能な領域または器官(目、皮膚または下部腸道(lower intestinal tract)を含む)を含む場合に、本発明の造影剤は局所投与され得る。適切な局所製剤は、これらの各領域または器官用に容易に調製される。 下部腸道に対する局所施用は、直腸用座薬製剤または適切な浣腸製剤でなされ得る。局所−経皮性パッチもまた使用してよい。局所施用に対して、本発明の造影剤は、1つ以上のキャリア中に懸濁または溶解される活性成分を含有する、適切な軟膏に製剤され得る。 本発明のX線用造影剤の局所投与のためのキャリアは、鉱油、液体ペトロラタム、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を包含するが、それらに限定されない。あるいは、本発明の造影剤は、1つ以上のキャリア中に懸濁または溶解された活性成分を含有する、適切なローションまたはクリームに製剤されてもよい。 適切なキャリアは、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を包含するが、それらに限定されない。 眼使用に対して、本発明のX線用造影剤は防腐剤(例えば、ベンジルアルコニウムクロライド)を含有してもしなくてもよい。pH調節された等張の無菌生理食塩水中に微小化された懸濁液として、または好ましくはpH調節された等張の無菌生理食塩水中の溶液として製剤され得る。あるいは、眼使用に対して本発明の造影剤は、ペトロラタムのような軟膏に製剤され得る。 鼻腔エーロゾルまたは吸入による投与に対して、本発明のX線用造影剤は、製薬的製剤の分野で周知の技術に従って調製され、そしてベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、生体利用性を増大させる吸収促進剤、フルオロカーボン、及び/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用し、生理食塩水中の溶液として調製され得る。 本発明ではX線用造影剤の適切な投薬の投与に続いて、X線画像化が行われる。X線画像化は従来公知の方法による脳血管撮影、選択的血管撮影、四肢血管撮影、ディジタルX線撮影法による静脈性血管撮影、コンピューター断層撮影における造影、静脈性尿路撮影等による画像化であることが好ましい。本発明のX線用造影剤は全身血管、及び肝臓、特に膵臓の造影に優れているので選択的血管撮影、コンピューター断層撮影における腹部造影が最適な撮像方法である。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 なお、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を表す。 〔合成例1〕 下記スキーム(反応式1)により、例示化合物Man−3−Cholを合成した。 t−ブチルジメチルシロキシプロピルアミン(2)2.1g(11mmol)をメチレンクロリド50mlに溶解し、さらにトリエチルアミン1.1g(11mol)を加え、内温が0℃になるまで冷却した。 コレステロールクロロフォルメート(1)4.5g(10mmol)を内温を保ちながら少量づつ加えた。添加後、同温度で一時間攪拌し、さらに室温に戻し、3時間攪拌した。 有機層を飽和重曹水、飽和食塩水、純水で順次洗浄し、溶媒を減圧で濃縮した。 残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:2)にて精製し、中間体(3)を5.5g(収率91%)得た。 次に、中間体(3)28g(47mmol)をTHF90mlに溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオライドの1MTHF溶液93ml(93mmol)を室温下で加え、そのまま1時間攪拌した。反応液を飽和食塩水、純水で順次洗浄し、溶媒を減圧で濃縮した、残渣を酢酸エチルより再結晶し、中間体(4)を17g(収率76%)得た。 次に、ベンゾイル−トリクロロアセトイミドイル−D−マンノース(5)13g(26mmol)及び、中間体(4)13g(27mmol)をメチレンクロリド300mlに溶解し、十分に減圧乾燥したモレキュラーシーブス4A13gを加え、一時間攪拌した、その後内温を−20℃に冷却し、トリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)0.05ml(0.3mmol)をメチレンクロリド5mlに希釈した溶液を内温を維持しながら30分かけて滴下した。 滴下終了後、30分同温度で攪拌したのち、室温に戻した。反応液を飽和重曹水及び純水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、溶媒を減圧で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロメトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1)にて精製し、中間体(6)を17g(収率78%)得た。次に中間体(6)10g(12mmol)をジオキサン10ml及びメタノール150mlの混合溶媒に溶解し、1Mのソディウムメトキサイド溶液1.7ml(1.7mmol)を加え2時間攪拌した。 その後、陽イオン交換樹脂Dowex50Wを3g加えて、中和し、樹脂をろ別後、溶媒を減圧で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:メチレンクロリド:エタノール:8:1)にて精製し、目的物Man−3−cholを6.4g(収率81%)得た。トータル収率56%。元素分析および質量分析(FAB−Mass)により目的物であることを確認した。 元素分析値 (計算値%):C、68.38;H、9.77;N、2.16 (実測値%):C、68.31;H、9.71;N、2.26 FAB−Mass実測値(M/Z):650 以下、本発明のコレステロール誘導体を同上の方法により合成した。結果を表1〜3に示す。 実施例1 リポソームを含有するX線用造影剤の形成方法A ジパルミトイルホスファチジルコリン(50nmol)(日本油脂株式会社製、COATSOME MC−6060)、表1〜3に記載の本発明のコレステロール誘導体及び比較のコレステロール誘導体(10nmol)及びPEG−リン脂質(10nmol)(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−020CN)をJ.Med.Chem.,25(12),1500(1982)記載の方法によりナス型フラスコ内でクロロホルムに溶解して均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。 この薄膜を真空で乾燥後、非イオン性ヨウド化合物を含有する造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/ml(ヨウド含有量150mg/ml)、トロメタモールを1mg/ml、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mlを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)5mlを注入した。 次に超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1mW)を氷冷下5分実施することにより、非イオン性ヨウド化合を含有するリポソームの分散液を得た。(表4〜8に示す。)得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過した。得られた試料をスペクトラプロ社製、バイオテックRC透析チューブに封入し、多量の生理食塩水(9.0×10-1質量%、1000g)中に浸して透析を行い、リポソーム内に取り込めなかった非イオン性ヨウド化合物などを除去し、リポソーム含有造影剤を得た。 リポソームを含有するX線用造影剤の形成方法B ジパルミトイルホスファチジルコリン(50nmol)(日本油脂株式会社製、COATSOME MC−6060)、表1〜3に記載の本発明のコレステロール誘導体及び比較のコレステロール誘導体(10nmol)及びPEG−リン脂質(10nmol)(日本油脂株式会社製、SUNBRIGHT DSPE−020CN)の混合物をステンレス製の特製オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内を60℃に加熱し、次いで液体二酸化炭素13gを加えた。 撹拌を行いながら、50kg/cm2であったオートクレーブ内の圧力を、オートクレーブ内の体積を減ずることにより、120kg/cm2にまで上げて、二酸化炭素を超臨界状態にし、撹拌しながら脂質類を分散・溶解させた。さらに撹拌しながら、造影剤溶液(日局イオパミドール溶液306.2mg/ml(ヨウド含有量150mg/ml)、トロメタモールを1mg/ml、エデト酸カルシウム2ナトリウム(EDTANa2−Ca)0.1mg/mlを含有し、適量の塩酸および水酸化ナトリウムでpHを7前後に調整)5mlを定量ポンプで連続的に50分間かけて注入した。注入終了後、系内を減圧して二酸化炭素を排出し、非イオン性ヨウド化合物を含有するリポソームの分散液を得た。(表4〜8に示す。) 得られた分散液を60℃まで加熱し、アドバンテック社製のセルロース系フィルター、1.0μmで加圧濾過した。得られた試料をスペクトラプロ社製、バイオテックRC透析チューブに封入し、多量の生理食塩水(9.0×10-1質量%、1000g)中に浸して透析を行い、リポソーム内に取り込めなかった非イオン性ヨウド化合物などを除去し、リポソーム含有造影剤を得た。 〔試験1〕 リポソームの粒径の測定 表4〜8の試料(リポソーム分散液)をWBCアナライザー(日本光電社製、A−1042)にてリポソームの平均粒径を求めた。平均粒径が100−400nmのものが好ましく、600nm以上のものは凝集が起こっており好ましくない。 〔試験2〕 ヨウド化合物の内包率の測定 表4〜8の試料(リポソーム分散液)を等張の食塩水で透析し、透析終了後にエタノールを添加してリポソームを破壊し、吸光度の測定によりリポソーム内のヨウド化合物量を求めた。試料中の全ヨウド化合物量に対する比率を内包率(質量%)として表した。 結果を表4〜8に示す。 表4〜8からわかるように本発明のコレステロール誘導体を含有するリポソームは形成方法A及びBのいずれにおいても良好な平均粒径を示したが、比較のコレステロール誘導体は特に形成方法Bですべて凝集が起こり粒径600nmを超えており好ましくないことが分かる。 また、本発明のコレステロール誘導体を用いたリポソームは良好な内包率を示すが、比較のコレステロール誘導体を用いたリポソームの内包率は明らかに低く、特に形成方法Bでは特に低く、好ましくないことが分かった。これは比較のコレステロール誘導体がカチオン性であり超臨界二酸化炭素に対する溶解度の低さに起因していると考えられる。 実施例2 表4〜8のリポソームを含有する分散液及び生理食塩水を用い体重30gのマウス一匹当たり3ml注入でヨウ素量が2500mgI/kgの投与量となるX線用造影剤を調製した。 〔試験3〕 急性毒性試験 上記造影剤をddyマウスの尾静脈より投与することにより、投与後24時間以内に死亡したマウスの数をカウントした。検体数を20として得られた結果を表9〜11に示す。 表9〜11に示すように本発明のX線用造影剤は生体に対する毒性が低いことが分かる。 実施例3 表4〜8のリポソームを含有するリポソームを含有する分散液(形成方法A)及び生理食塩水を用い、体重30gのマウス一匹当たり0.3ml注入でヨウ素量が250mgI/kgの投与量となるX線用造影剤を調製した。 この造影剤をddyマウスの尾静脈より投与することにより組織内分布を評価した。 〔試験4〕 組織内分布の評価 この造影剤をddyマウスの尾静脈より投与することにより組織内分布を評価した。投入後、5分、30分、2時間、24時間の肝臓、膵臓及び血液内のヨウ素の濃度を、誘導結合プラズマ発光分析装置(Urtima−2、Jyobin Yvon社製)にて測定した。検体数を20として得られた結果の平均値を表12〜16に示す。なお、投与後24時間以内に死亡したり、重篤な障害が生じる検体はなかった。 表12〜16より、本発明の造影剤は、比較の造影剤に対して、全身血管及び肝臓の造影に優れ、かつ膵臓の造影にも優れ、さらに24時間以内に体外に大部分が排泄される安全性を有することが分かる。下記一般式(1)で表されることを特徴とするコレステロール誘導体。(式中、Gは糖の残基であって、該糖のアノマー位の炭素が、エーテル結合を形成する一価の残基を表し、〜線は糖のアノマー位の立体が、α体及び/又はβ体であることを表し、Jはアルキレン基を表す。)前記糖がアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギュロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、エリトロース、トレオース、セロビオース、フコース、マルトース、イソマルトース、ラクトースまたはマルトリオロースであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコレステロール誘導体。前記アルキレン基が、炭素数2〜10であるアルキレン基であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のコレステロール誘導体。非イオン性ヨウド化合物、請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に記載のコレステロール誘導体から選ばれる少なくなくとも1種の化合物及びリン脂質を含有することを特徴とするリポソーム。請求の範囲第4項に記載のリポソームを形成する方法であって、超臨界状態の二酸化炭素を用いることを特徴とするリポソームの形成方法。請求の範囲第4項に記載のリポソームを含有することを特徴とするX線用造影剤。請求の範囲第5項に記載のリポソームの形成方法により得られたリポソームを含有することを特徴とするX線用造影剤。 本発明は、新規なコレステロール誘導体であり、下記一般式(1)で表されることを特徴とし、(1)生体に対する毒性が低く(2)内包率が高く(3)超臨界二酸化炭素に対する溶解度が高く(4)全身血管及び肝臓の造影に優れ、(5)かつ、膵臓の造影にも優れ、(6)さらに24時間以内に体外に大部分が排泄される安全性を有するコレステロール誘導体、リポソーム、リポソームの形成方法、及び該リポソームを含有するX線用造影剤が提供できる。 【化1】


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