タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリマー被覆微粒子を用いる高解像度イメージング質量分析法 |
出願番号: | 2007073163 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 27/62 |
平 修 杉浦 悠毅 瀬藤 光利 JP 2008232842 公開特許公報(A) 20081002 2007073163 20070320 ポリマー被覆微粒子を用いる高解像度イメージング質量分析法 三菱化学株式会社 000005968 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 平 修 杉浦 悠毅 瀬藤 光利 G01N 27/62 20060101AFI20080905BHJP JPG01N27/62 V 4 5 OL 15 2G041 2G041CA01 2G041DA04 2G041GA06 2G041GA09 2G041JA08 本発明は、レーザー光を生体標本に照射してイオン化を行う際にイオン源となるポリマー被覆微粒子を用いる高解像度(高空間分解能)イメージング質量分析法に関する。 生化学、医療、ゲノム創薬などの分野においては、生体組織や細胞内のタンパク質などの構造解析を行いたいという要求が高い。こうした要求に応えるものとして、質量分析が挙げられる。質量分析装置は、試料にレーザーを照射し、その試料に含まれる生体分子をイオン化し、発生したイオンの質量(以下、「サンプル」、「標本」と称することがある)を分析するものである(非特許文献1)。また、生体内において、目的物質の局在を解明することは、疾患時における異常物質の探索、薬物動態追跡など非常に価値のあることである。それら目的物質を直接発見、同定する手法の一つが質量分析である。近年、2次元的に生体組織中の物質同定、局在の解明を質量分析で行うイメージング質量分析(IMS)が提示された(非特許文献2)。2次元的に生体組織内物質の分布の可視化、同定が行えれば病変部位の特定、疾患関連物質(中間体含む)の解明などin vivoでの情報が直接得られるため、社会的貢献が大きい。 こうした質量分析装置では分析を行うために試料を何らかの方法でイオン化する必要があり、イオン化法としては、イオン化支援剤(マトリクス)フリーの2次イオン質量分析法(SIMS)や、高分子物質も測定可能な、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)の利用が考えられる。しかし、SIMSで解析できる測定範囲は、質量電荷比(m/z)がたかだか1000程度である。MALDIで用いるマトリクスの種類には、金属酸化物(コバルト系)とグリセリンを混合したものや、化学合成物質(以下、ケミカル)マトリクスなどがある。ケミカルマトリクスには、1,8-dihydroxy-9(10H)-anthracenone (Dithranol)、2-(4-hydroxy phenylazo) benzoic acid (HABA)、2,5-dihydroxybenzoic acid (DHB)、α-cyano-4-hydroxycinnamic acid (CHCA)、sinapinic acid (SA)が挙げられ、解析したい物質(タンパク質、ペプチド、合成高分子)により選択して使用する。公知のIMSにおいては、全て既存の化学マトリクスを使用しており、元来これらはIMS用に開発された物ではないため、イオン化効率は高いが塩が混在するとマトリクス能が下がる、または失われるため、生体組織のような生のサンプルを解析するIMSには適切ではない。さらに詳細に述べると、ケミカルマトリクスをIMSに応用したときは以下の問題点がある。 一般に、既存のマトリクスをIMSで使用する際に、マトリクスは液体(溶液)状態で滴下或いは噴射されることで試料上に塗布され、試料上の分析対象物質を取り込む。そして、乾燥されると分析対象物質を含んだ結晶粒が形成される。このときのマトリクスの結晶粒のサイズは一般に50μm程度以上である(非特許文献3)。分析対象物質はマトリクスの結晶中に取り込まれ、このマトリクスの結晶粒中に分散しているため、イオン化のためのレーザー光の照射径を小さくしても、このマトリクスの結晶粒径よりも高い空間分解能を得ることはできない。例えば人間の組織のタンパク質の分布を調べたいような場合、組織上の細胞の大きさは小さいものでは10〜30μm程度であるため、数μm程度の空間分解能が得られないと十分な結果を得ることができない。これに対し、MALDIにおいてマトリクスの結晶粒を小さくしてゆくことも技術的には可能であるが、そうするとイオン化効率が極端に低下し、有効な質量分析を行うことができなくなる。 また、マトリクスはナトリウム、カリウムなどの塩成分が混在しているとイオン化効率が低下する。 マトリクス溶液を組織上に噴霧すると、マトリクスと共結晶化した物質のみがイオン化されるという解析対象物質の限定、また、組織上での生体物質の物理的移動(マイグレーション)が起こり微小領域を解析しようとすればするほど正確な分析対象物質の分布情報が失われていく。さらにまた、マトリクス溶液を組織上に噴霧すると結晶が組織を被覆するために視覚情報が失われ、組織中の部位を特定しづらい。IMSは解析中に組織の像をCCDカメラまたは顕微鏡下で観察できることが望ましいが、マトリクス結晶が組織上に被覆していては、今、何処の部位をイメージングしているのか判別が困難である。さらにまた、解析後にどの組織部位から目的のタンパク質が得られたかなどを顕微鏡下で観察することができないという問題点もある。金属酸化物(コバルト系)とグリセリンを混合したものも、グリセロールのような溶液を使用するためにケミカルマトリクスと同様マイグレーションが起こり正確な分析対象物質の局在をイメージングすることは困難である。したがって、分析視野(組織上)の視覚情報を失わず、溶液を使用せず、また、測定可能範囲も広く、高解像度にイメージング質量分析が行える、イオン化支援剤が開発されれば非常に有用である。 発明者らは、既に直径1.3〜3nmのサイズの磁気超ナノ微粒子を機能化し、生きた細胞、組織内に導入する技術を有している(特許文献1、非特許文献4、5)。本願では、以下、平均粒子径がナノメートルオーダーの微粒子を「ナノ微粒子」と称し、特に平均粒子径が10nm以下のナノ微粒子を「超ナノ微粒子」と称することがある。また、すでにナノ微粒子を用いて生体試料をイオン化するナノ微粒子レーザー脱離イオン化法(nano-PALDI)の開発に成功している(特許文献2)。 しかしながら、ナノ微粒子をイメージング質量分析に使用することは開示されていない。特願2006-311611特願2007-004614内藤康秀、「生体試料を対象にした質量顕微鏡」、 J. Mass Spectrom. Soc. Jpn., Vol. 53, No. 3, 2005, pp.125-132.Markus Stoeckli他3名「Imaging mass spectrometry: A new technology for the analysis of protein expression in mammalian tissues」Nature Medicine誌(2001年) Vol.7 pp493-436)杉浦ほか2名「Two-Step Matrix Application Technique To Improve Ionization Efficiency for Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization in Imaging Mass Spectrometry」Analytical Chemistry誌(2006年) Vol. 78, 8227-8235森竹、平ほか6名「Functionalized Nano Magnetic Particles for an in vivo Delivery System」Journal of Nanoscience and Nanotechnology誌(2007年) Vol.7 937−944平ほか5名「Cellular Recognition of Functionalized with Folic acid Nanoparticles」e-Journal of Surface Science and Nanotechnology誌(2007年) Vol.5 23−28 本発明の目的とするところは、既存マトリクスを用いずに分析対象物質を高効率でイオン化でき、また既存マトリクスの結晶粒径よりも高い空間分解能で以て生細胞や組織などの試料に含まれる分析対象物質の解析を2次元的に行うことができる質量分析方法及びそれに使用できる材料を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子がIMSに使用できることを見いだした。特に、マコーレート様構造を有する機能性微粒子が高解像度(高空間分解能)IMSを行うのに好適であることを見いだした。また、塩を含んだ組織の様な生体標本にマコーレート様微粒子を付着させることで、従来のケミカルマトリクスではなしえなかった高効率に分析対象物質のイオン化を行うことに成功し、尚かつ、組織の視覚情報を失うことなく、IMSを行うことを可能にした。さらに極小の微粒子を用いた場合、空間分解能の制約を実質的に受けないことも見いだした。 既存のケミカルマトリクスは、低分子側にケミカルマトリクス由来の信号が出てしまい、その範囲の信号は、サンプル由来かどうかの判別が困難であった。これに対して、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子の場合、微粒子自体はレーザー照射によりイオン化されることなく、分析対象物質のみをイオン化することができるため、ペプチド、タンパク質のような高分子側だけでなく、低分子側の検出信号もサンプル由来のものであるとすることができ、幅広い(分子量)範囲の物質を同定できることを見いだした。 以上より、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。(1)細胞又は組織を含む生体標本に対して、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を付着させることを特徴とする、イメージング質量分析方法。(2)前記微粒子の懸濁液を噴霧することによって微粒子を生体標本に付着させる、(1)の方法。(3)前記微粒子が(a)コランダム単位胞がc軸方向に二重に並び、c軸方向の両面が二酸化ケイ素のネットワークに覆われた構造単位を有し、(b) 前記構造単位(a)がa,b軸方向に周期的に配列したマコーレート様構造をとり、(c)前記二酸化ケイ素に官能基が結合していることを特徴とする、機能性微粒子である、(1)または(2)の方法。(4)金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を含む、パウダー状のイメージング質量分析用イオン化支援剤。 本発明の方法においては、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された非常に小さな微粒子の粉末を組織上に付着させるので、視覚的に組織の形態を損なうことなく、細胞レベルでの高解像度(高空間分解能)イメージング質量分析が行うことができる。すなわち、分析対象物質の2次元における詳細で正確な位置情報を高解像度で得ることができる。また、微粒子粉末を組織上に噴霧するので組織上からの分析対象物質のマイグレーションもない。さらに、既存のケミカルマトリクスに比べてマトリクス由来のピークが出ないので、検出信号のS/N比や感度が向上し、分析対象物質の検出の精度を高めることもできる。 本発明の方法によれば、タンデム質量分析(MSn)による構造解析が組織上の任意の位置で(顕微鏡レベルで)行うことができる。 微粒子コアに金属酸化物が使用されており、その周りをシリカなどのポリマーで被覆した形態を有する微粒子を使用する場合、シリカからなるポリマーの表面は構造上、水酸基を示すので親水的であり、分析対象物質との相互作用が良い。このことは、イオン化支援剤と分析対象物質が接触しやすくなるため、分析対象物質のイオン化に必要なエネルギーを効率よく微粒子から分析対象物質に転送でき、MALDI質量分析法において必須の材料となるイオン化支援剤としての使用に非常に適している。 通常は、従来のケミカルマトリクスなどは塩などの混入により機能が低下する、またはしなくなる。これに対し、本発明において使用されたマコーレート様微粒子では、ナトリウム、カリウムなどの塩成分がサンプル中に混在していてもマトリクスとして機能する。これにより、生体細胞の中の特定物質の分析なども可能となり、特に組織上の分析対象物質の局在を2次元的に明らかにすることができ、生命科学の分野において有用な情報を収集することができる。 以下に本発明を詳細に説明するが、これらの記載は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明の範囲を限定するものではない。 本発明の方法は、細胞又は組織を含む生体標本に対して、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を付着させることを特徴とする、イメージング質量分析方法である。 以下に、本発明の方法において使用される、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子について説明する。(1)ポリマー被覆微粒子 金属酸化物としては、遷移金属または稀土類金属の酸化物で形成されることが好ましく、より好ましくはMn、Ni、Fe、Co 、GdまたはSmの酸化物であり、さらに好ましくはFeまたはCoの酸化物であり、特に好ましくはFeの酸化物である。 ポリマーとしては、ポリアリルアミン、ポリスチレン、ポリチオフェン、ポリアクリル酸、エチレングリコールグリシジルエステルとリジンの共重合体、シリカなどが挙げられるが、シリカが特に好ましい。 ポリマーで金属酸化物を被覆する方法としては、金属酸化物とポリマーの種類に応じて適宜選択すればよいが、湿式沈殿法(例えば、特開2003−252618号公報)が好ましい。 微粒子のサイズは質量分析に使用しうるサイズであればよいが、粒径が通常、1〜1000nmのナノ微粒子であり、好ましくは1〜30nmであり、より好ましくは1〜7nmであり、特に好ましくは1.3〜3.7nmの超ナノ微粒子が望ましい。 また、微粒子の形状は、球状、針状、円盤状、楕円球状、棒状など、いかなる形状でもかまわないが、球状が好ましい。 この微粒子は、湿式沈殿法を用いて調製するのが好ましい(特開2003−252618号公報)。例えば、以下の式(I)で与えられる超ナノ微粒子 [xM(OH)2・ySiO2]が挙げられる。ここで、xM(OH)2はコアを、ySiO2はシェルを表す。 MXp・nH2O+Na2SiO3・mH2O→ [xM(OH)2・ySiO2]+(1-x)MX2+(1-y)NaSiO2+2yNaX+2(x-y)HX+(n+m+y-2x)H2O (I) 上記式中、Mは遷移金属または稀土類金属を示し、Mn、Ni、Fe、Co 、GdまたはSmであり、好ましくはFeまたはCoであり、より好ましくはFeである。XはF, Cl, Br, Iから選ばれるハロゲン元素を示す。pは2または3、nは0から9までの整数、mは9または0である。xおよびyはともに1未満の正数である。磁性を発揮するコアおよびその表面修飾層としてのシェルの役割分担の観点から、x>y、かつ、x/yとしては、通常1〜100、好ましくは2〜20程度の範囲から選定される。 より具体的には、微粒子 [xM(OH)2・ySiO2]の構造は、図1Aのように模式的に表すことができる。 本発明の質量分析方法に使用される微粒子は金属酸化物を被覆するポリマーが表面処理されたものでもよい。表面処理を施すことで分析対象物質との親和性や組織、細胞などへの導入効率を向上させることができる。 ポリマー表面に導入される官能基の種類は特に制限されないが、具体的には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、クロロプロピル基、カルボキシル基、アクリロキシ基、ケチミノ基、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フルオロ基、メチル基、アリル基およびスルフィド基が挙げられる。 これらの官能基は、例えば、シリカ化合物を介して共有結合的に導入できる。カルボキシル基については、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基シラン化剤を用いて微粒子を調製した後、グルタル酸・無水を用いることによって導入できる。 また、ポリマー表面に水酸基を導入するための処理としては、エタノールなどの有機溶媒による洗浄、UV洗浄(特開平1-146330号公報)、プラズマ処理、オートクレーブ処理等が挙げられる。 本願では、官能基が結合している微粒子を「機能性微粒子」と称することがある。 本発明のイメージング質量分析法に使用される微粒子としては、以下に示すような官能基が露出したマコーレート(Macaulayite)様構造の微粒子が好ましい。<マコーレート様微粒子>(a)コランダム単位胞がc軸方向に二重に並び、c軸方向の両面が二酸化ケイ素のネットワークに覆われた構造単位を有し、 (b)構造単位(a)がa,b軸方向に周期的に配列したマコーレート様構造をとり、(c)前記二酸化ケイ素に官能基が結合していることを特徴とする、機能性微粒子。 この微粒子の単位胞は、コランダムである。図1Bにコランダム単位胞の構造を示した。 ここで、コランダム単位胞は、遷移金属または稀土類金属の酸化物で形成されることが好ましく、より好ましくはMn、Ni、Fe、Co、GdまたはSmの酸化物であり、さらに好ましくはFeまたはCoの酸化物であり、特に好ましくはFeの酸化物である。 このコランダム単位胞がc軸方向に二重に並び、その2重コランダム単位胞のc軸方向の両面が二酸化ケイ素のネットワークで覆われた構造単位を有し、これがa,b軸方向に周期的に配列したマコーレート様構造をとっており、その二酸化ケイ素に官能基が結合している。 構造単位(a)の構造を図1Cに示した。 なお、マコーレート様構造とは、金属、酸素、ケイ素の配置がマコーレートと同様の構造であることを意味し、金属原子はFeに限定されないことを意味する。 ここで、マコーレート構造とは公知の鉱物構造であり、以下の文献に記載されている。 Wilson, 他4名 「Macaulayite, a new mineral from North-East Scotland」 Mineral. Mag誌 (1984年) Vol.48, 127-129. Sawcer, 他3名 「A Mossbauer effect study of the mineral macaulayite」 Phys. Chem. Min er. 16, (1988年) 73-77. Wilson, 他5名 「A swelling hematite/layer-silicate complex in weathered granite」 Cray Minerals誌 (1981年) Vol.16, 261-278. 二酸化ケイ素に結合して微粒子表面に露出される官能基の種類は特に制限されないが、具体的には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、クロロプロピル基、スルフィド基、アクリロキシ基、ケチミノ基、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フルオロ基、メチル基、アリル基およびカルボキシル基が挙げられる。 このような官能基は以下のようなシリカ化合物を微粒子の調製に使用することで導入することができる。 シリカ化合物としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、 ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、 3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド,50%メタノール溶液、ジアリルジメチルシラン、n-オクチルジメチルクロロシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n-オクチルメトキシシロキサン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ジフェニルジメトキシシラン、トリフェニルシラノール、トリフルオロプロピルトリメトキシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、メチルエトキシシロキサン、メチルメトキシシロキサン、メチルメトキシシロキサン、ジメチル、フェニルメトキシシロキサン、ビニルトリメトキシシラン混合物、ビニルトリメトキシシラン混合物、オルガノシラン混合物、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、特殊アミノシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、 スルフィドシラン/CaCO3、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、が挙げられるが、特に、3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。カルボキシル基の導入については、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基シラン化剤を用いて微粒子を調製した後、グルタル酸・無水を用いることができる。 また、微粒子表面に水酸基を導入するための処理としては、エタノールなどの有機溶媒による洗浄、UV洗浄(特開平1-146330号公報)、プラズマ処理、オートクレーブ処理等が挙げられる。 マコーレート様微粒子のサイズは質量分析に使用しうるサイズであればよいが、通常、粒径が1〜1000nmのナノ微粒子であり、好ましくは1〜30nmであり、より好ましくは1〜7nmであり、さらに好ましくは1.3〜3.7nmの超ナノ微粒子が望ましい。 また、マコーレート様微粒子の形状は、球状、針状、円盤状、楕円球状、棒状など、いかなる形状でもかまわないが、球状が好ましい。 マコーレート様微粒子は金属酸化物を被覆するシリカ化合物に官能基が結合しており、それにより分析対象物質との親和性や細胞などへの導入効率が向上している。 マコーレート様微粒子は、水溶性金属塩の水溶液とシラン化剤をアルカリ雰囲気下で混合させることによって調製することができる。アルカリ雰囲気下とはpH7を超えるpHであればよいが、好ましくはpH10〜12である。 水溶性金属塩としては、コア金属の塩であって、水に溶解して金属イオンを生じさせるものであればよく、金属の塩化物塩、FeCl2・4H2O、CoCl2・6H2O、NiCl2・6H2O、GdCl3・6H2O、SmCl3・6H2O、MnCl2・4H2Oなどが挙げられる。 シラン化剤を上述したようなものから選択することによって、任意の官能基を導入することができる。また、各シラン化剤が有する各官能基に加えて全てのシラン化剤はヒドロキシシラン基を有するため、水酸基も導入される。なお、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどは、それ自体が水中でアルカリ性を示すために金属塩化物水溶液に混ぜるだけで良い。 水溶性金属塩の水溶液とシラン化剤をアルカリ雰囲気下で混合させることによって得られた微粒子をさらに焼結することによって、微粒子の粒径を調節することができる。(2)ポリマー被覆微粒子を用いた質量分析 本発明のイメージング質量分析方法においては、まず、細胞又は組織を含む生体標本に対して、上記微粒子を付着させる。 細胞又は組織を含む生体標本は分析対象物質を含むものであれば特に制限されないが、動物や植物由来の組織切片や、平板上に付着培養された動物や植物や微生物の培養細胞などが挙げられる。 ここで、分析対象物質の種類は特に制限されず、タンパク質、ペプチド、核酸、糖、脂質などの生体物質や、生体に投与された合成低分子化合物、合成ポリマーなどが挙げられる。 微粒子を生体標本に付着させる方法としては、例えば、微粒子の懸濁液を用意し、これを標本に噴霧する方法が挙げられる。なお、噴霧する前に懸濁液を超音波処理してより均一にしておくことが好ましい。微粒子を懸濁するための液体としては、揮発性溶媒が好ましく、アルコール類がより好ましく、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。 揮発性溶媒に懸濁された微粒子を噴霧することにより、微粒子のみを均一に付着させることができ、組織や細胞からの分析対象物質のマイグレーションが起こらない。 懸濁濃度は標本上に微粒子が十分付着する濃度であれば特に制限されないが、0.1mg/mL〜10mg/mLが好ましい。 微粒子の懸濁液を基板上の標本に噴霧することにより、均一に標本上に微粒子を付着させることができる。 本発明の質量分析方法においては、次に、微粒子を噴霧した標本にレーザー照射して分析対象物質のイオン化を微粒子に支援させる工程を行う。 照射するレーザー光は試料上での照射径が50μm以下になるように集光光学系により調整されることが好ましい。実際には、分析対象の試料が細胞であるような場合には、レーザー光の照射径を10μm以下に、例えば数μm程度まで絞ることが望ましい。レーザー照射装置は、通常のMALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化)質量分析に使用される装置を使用することができ、例えば、TOF2(島津製作所)、UltraFlex(Bruker Daltonics社)、ABI4800(ABI社)などが使用できる。 金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子材料では、微粒子に接触した試料に微小径のレーザー光が当たると、微粒子がレーザー光を吸収し、その金属酸化物から構成されている微粒子のコアと試料との相互作用(エネルギー転移)により試料分子をイオン化させる。したがって、この微粒子材料によれば、分析対象物質の種類に応じて選択が必要であった既存のマトリクスを用いることなく、質量分析を実行することができ、その分析対象物質のみのイオン化を支援することができる。 次に、イオン化された分子を検出する。検出は通常の質量分析に使用されるイメージング質量分析装置を使用することができ、例えば、イメージング質量分析装置として、TOF2(島津製作所)、UltraFlex(Bruker Daltonics社)、ABI4800(ABI社)などが使用できる。 目的の分析対象物質について、標本上の任意の位置で解析を行うことで、分析対象物質のイメージング(2次元)質量分析を行うことができる。本発明の方法では、微粒子のみを付着させるため、標本の視覚情報が失われず、CCDカメラまたは顕微鏡などを用いて同一標本の光学像を得ることができるため、分析対象物質の組織中の部位を特定できる。 本発明の質量分析方法によれば、分析者はまず生きた試料から分析対象物質をとらえることができ、既存のマトリクスを用いずに質量分析を行うことができる。それによって、分析者が本当に解析したい任意の物質の存在情報を得ることができ、既存の様々なマトリクス群から分析対象物質に合った物を探索する必要もなくなるため、測定に要する時間も節約することができる。 マコーレート様微粒子は塩存在下でも分析対象物質のイオン化効率が低下しない。したがって、マコーレート様微粒子を使用する場合は、イメージング質量分析を塩存在下で行うことも可能である。これにより、塩を含んだ細胞や組織などの生体標本を直接分析することも可能となる。 本発明のイメージング質量分析用イオン化支援剤は、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を粉末状で含むイメージング質量分析用のイオン化支援剤である。これは、使用時に揮発性溶剤などの液体に懸濁してイメージング質量分析に使用することができる。従来の支援剤は溶液(例えば、アセトニトリル:水を重量比1:1で混合した物)に溶解させて、分析対象物質と混合し、共結晶化させるために、前記[背景技術]で記載したようなイオン化される物質の限定、マイグレーションなど問題点があったが、本発明のイメージング質量分析用イオン化支援剤は上述のような方法で組織上に噴霧することで、微粒子のみを生体標本に付着させることができるため、視覚的に組織の形態を損なうことなく、細胞レベルでの高解像度(高空間分解能)イメージング質量分析が行うことができる。 次に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。実施例1:APTESマコーレート様微粒子の調製(コア組成;α-Fe2O3、微粒子構造;マコーレート様) 微粒子は単分散に微粒子が得られる湿式沈殿法を用いて調製した。調製に際して、FeCl2水溶液とアミノプロピルトリエトキシシラン(γ-APTES:信越化学)を材料として採用しAPTES微粒子(コア組成;γ-Fe2O3)を調製した。 FeCl2・4H2O (20 mL, 100 mM;2 mmol)とγ-APTES (20 mL;90 mmol)をそれぞれ調製し、室温で約1時間、充分攪拌しながら両者を混合させ反応を完結させた。得られた懸濁液を20分間遠心分離器に掛け上澄み液を捨て、蒸留水を注いで再分散させてから遠心分離器に掛け上澄み液を捨てる操作を数回繰り返し、沈殿物を洗浄した。ついで、約353Kに保持した恒温槽で乾燥後、乳鉢で微粉砕してからAPTESマコーレート様微粒子を得た。実施例2:微粒子のIR測定 HORIBA社製のIR測定装置(HORIBA機種)を用いて、得られたAPTESマコーレート様微粒子の測定を行った。用いた測定方法はAttenuated Total Refraction法(ATR法)である。IRの結果を図2に示す。Si-O (1000〜800cm-1)、C-H(2973−2822cm-1)、C-N(1500−1482cm-1)、O-H (3700〜3100 cm-1)のピークが観察された。実施例3: 微粒子像の撮影 得られたAPTESマコーレート様微粒子像を電子顕微鏡(JEM-1230:日本電子)により撮影した。加速電圧100kVでおこなった。 粒子径は、平均3.7 nm (変動係数(C.V.)40%)であった(図3)。 α-Fe2O3のコランダム単位胞がc軸方向に二つ並び、その2重コランダム単位胞のc軸方向の両面が二酸化ケイ素のシートで覆われているマコーレートという鉱物構造をとっており、その二酸化ケイ素にプロピルアミノが結合している形を成している。この構造を便宜的にマコーレート様単位胞とする。このマコーレート様単位胞のc軸長さは理論的に3.6nmであり、今回我々の微粒子は電顕の結果より3.7nmである。このマコーレート様単位胞が複数 a,b軸で並ぶような形をとり微粒子を形成していると考えられる。実施例4:微粒子の粉末X線回折測定 実施例1で得られた官能基露出型マコーレート微粒子の粉末X線回折測定(RINT2000:Rigaku)をおこなった(図4)。得られたピークは粉末X線回折パターン総合解析ソフト (JADE 7:Rigaku)を用い、コランダム単位胞を基本骨格とするマコーレート鉱物とほぼ同様のピークを表すことを確認した。さらに詳細に述べると、用いた材料が塩化鉄・6水和物であるので、α-Fe2O3のコランダム単位胞を基本骨格とするマコーレート様構造であると予想される。実施例5: APTESマコーレート様微粒子を用いた組織切片の質量分析 サンプルとしてWistar rat (Crl:WU) (8週齢;オス)の小脳を用いた。採取した脳をドライアイスで急速凍結し、クライオスタット(Leica CM 3050)で5μm厚にスライスし、得られた切片をインジウムシンオキサイド(ITO)被覆スライドガラスに乗せ小脳切片を作製した。 APTESマコーレート様微粒子20mgをメタノール(10mM 酢酸ナトリウム含有)2mLに懸濁し、超音波をかけて凝集した微粒子を分散させた。その後、遠心分離(8KG 30秒)で分散しきらなかった微粒子凝集物を分離した。その微粒子溶液(2mL)の上澄みをエアブラシ(GSIクレオス社製)で、組織上に噴霧した。この際、組織から10〜15cm離して噴霧しているのでメタノールは揮発し、組織上には微粒子粉末のみが噴霧されている。一方、DHB(既存マトリクス)溶液を組織上に噴霧したものをコントロールとした。 質量分析装置(Ultraflex; Bruker Daltonics)によりReflector Positiveモードでサンプル解析を行った。結果より、APTESマコーレート様微粒子粉末を噴霧した組織からはm/z100〜900の間で強い多数のシグナルが得られた(図5上段)。逆にDHB溶液(50 mg mL-1 DHB, 70% methanol 0.1% トリフルオロ酢酸、10mM 酢酸ナトリウム)を噴霧した組織からはシグナルは得られるものの、DHB由来のシグナル(図5(a)下段 *マーク)も含み、全体的なシグナル強度は微粒子を噴霧したそれより弱いものであった。また、APTESマコーレート様微粒子またはDHBは、噴霧する際に酢酸ナトリウムを含んだメタノールで懸濁したものであるので、これらのピークはNa+付加体と考えるのが妥当である。得られたシグナルは、レーザーを100ショットしたものを5回積算したものを示している。特に、質量電荷比(m/z)820.7と850.8のシグナルに注目した。これらのMS/MSを測定して構造を解析したところ、(m/z)820.7については、リン脂質特有のトリメチルアミンの(m/z)59落ちと、シクロフォスフォネートの124落ちのシグナルが観察された。このことと、(m/z)820.7であることを併せて考えると、この物質はリン脂質のPC(1-alk38:3)である(図5(b))。(m/z)850.8については、糖脂質特有のグルコースの(m/z)162落ちと、不飽和脂肪酸(C24h:0)の366落ちのシグナルが観察された。このことと、(m/z)850.8であることを併せて考えると、この物質は糖脂質のカラクシドセラミドGalCer(C24h:0)である(図5(c))。nano-PALDI法を用いて組織(生体標本)上からMS/MSにより生体内物質の構造解析が可能になった。実施例6:nano-PALDI法を用いた組織切片のイメージング質量分析(着目質量電荷比範囲;(m/z)500−900) 図6(a)はAPTESマコーレート様微粒子またはDHBで処理前の小脳切片のヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)像である。白質(W)、分子層(M)、顆粒層(G)を示している。同じく処理前の切片の光学顕微鏡像を図6(b)に示す。図6(c)と図6(d)は、APTESマコーレート様微粒子またはDHBを噴霧した標本の光学顕微鏡像である。明らかにAPTESマコーレート様微粒子を噴霧したサンプルは組織の形態が確認できる(図6(c))。しかし、DHBを噴霧したものはDHB自体の針状結晶が組織を被覆してしまい視覚的に形態を観察できない(図6(d))。 これらの組織切片を質量分析装置(Ultraflex; Bruker Daltonics)によりReflector Positiveモードでイメージング質量分析を行った。図6(b)のエリアを15 μm 間隔でレーザー照射を行った。実施例5で同定した2つの脂質のイメージング像を示す。PC(1-alk38:3)((m/z)820.7)は、分子層、白質部分から検出され、細胞体の多い顆粒層からは検出されないコントラストのとれた画像が得られた(図6(e))。GarCel(C24h:0)は白質からのみ検出された(図6(f))。GalCerはミエリン(脳の神経繊維を包む脂肪(リポタンパク)層)の構成成分の一つで白質に多いことが知られていることからこの結果は位置情報が正確であることが示される。この2つの画像を重ね合わせた物を(図6(g))に示す。 これに対し、DHB溶液を噴霧した組織からは、微粒子の様な正確なイメージング像は得られなかった(h)、(i)。この2つの画像を重ね合わせた物を(図6(j))に示す。光学顕微鏡像(図6(d))でみられたDHBの針状結晶上からのみシグナルが得られている。これは、結晶中に分析対象物質が取り込まれ、マイグレーションを起こしたために正確なイメージングが行えなかったことを示す。既存のIMSではレーザー照射間隔を50〜200μmで行う。このため、もともと解像度(空間分解能)が低質であるため、多少のマイグレーションは測定上問題にならなかった。nano-PALDI法により、レーザ照射間隔15μmの高解像度IMSが行えた。またそのイメージングされた局在情報はマイグレーションの影響を受けないために非常に正確であることが示される。実施例7:nano-PALDI法を用いた組織切片のイメージング質量分析((着目質量電荷比範囲;(m/z)100−500) 低分子領域(m/z 200−500)においてAPTESマコーレート様微粒子とDHB被覆組織を比較した。着目した(m/z)は236.9、239.0、462.8である。これらの物質はMS/MSが困難であるために同定はできていない。これら3つのm/zは微粒子被覆組織からはイメージングができた(図7(a〜c)、図7(g)は光学顕微鏡像)。DHB被覆組織からは全く検出されないもの((m/z)236.9)、DHBの針状結晶上から検出されるもの((m/z)239.0)、逆に結晶以外の場所から観察されるもの((m/z)462.8)と分子の局在をイメージングするのは非常に難しい結果である。これは、DHBのような既存のマトリクスが物質によってイオン化できないものがあることを示す。 以上のことから、APTESマコーレート様微粒子は物質を選ばずにイオン化していることが示される。 本発明の方法によれば、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子は、細胞、組織内へ容易に取り込まれうるため、生細胞や組織などの試料に含まれる分析対象物質の高解像度イメージング質量分析に用いることができる。微粒子 [xM(OH)2・ySiO2]の構造。●はSi、○は酸素、中心は金属酸化物を表す。コランダム単位胞の構造予想図。APTESマコーレート様微粒子の構造予想図。APTESマコーレート様微粒子のIRスペクトル。APTESマコーレート様微粒子の電子顕微鏡図(写真)。官能基露出型マコーレート様微粒子の粉末X線回折測定のグラフ。横軸は回折角度であり、縦軸は回折強度である。ラット小脳のMSスペクトル(a)。(b)はPC(1-alk38:3)の構造とMS/MSスペクトルを、(c)はGalCer(C24h:0)の構造とMS/MSスペクトルを示す。ラット小脳におけるm/z 820.7, 850.8のイメージングMSスペクトル(写真)。(a):HE染色、(b):噴霧前の光学像、(c):APTESマコーレート様微粒子噴霧後の光学像、(d):DHB噴霧後の光学像、(e):APTESマコーレート様微粒子を用いたPC(1-alk38:3)のIMS、(f):APTESマコーレート様微粒子を用いたGalCer(C24h:0)のIMS、(g):(e)と(f)の重ねあわせ像、(h):DHBを用いたPC(1-alk38:3)のIMS、(i):DHBを用いたGalCer(C24h:0)のIMS、(j):(h)と(i)の重ねあわせ像。ラット小脳におけるm/z 236.9, 239.0, 462.8のイメージングMSスペクトル(写真)。(a):APTESマコーレート様微粒子を用いたm/z 236.9のIMS、(b):APTESマコーレート様微粒子を用いたm/z 239.0のIMS、(c):APTESマコーレート様微粒子を用いたm/z 462.8のIMS、(d):DHBを用いたm/z 236.9のIMS、(e):DHBを用いたm/z 239.0のIMS、(f):DHBを用いたm/z 462.8のIMS、(g):APTESマコーレート様微粒子噴霧後の光学像、(h):DHB噴霧後の光学像。細胞又は組織を含む生体標本に対して、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を付着させることを特徴とする、イメージング質量分析方法。前記微粒子の懸濁液を噴霧することによって微粒子を生体標本に付着させる、請求項1に記載の方法。前記微粒子が(a)コランダム単位胞がc軸方向に二重に並び、c軸方向の両面が二酸化ケイ素のネットワークに覆われた構造単位を有し、(b) 前記構造単位(a)がa,b軸方向に周期的に配列したマコーレート様構造をとり、(c)前記二酸化ケイ素に官能基が結合していることを特徴とする、機能性微粒子である、請求項1または2に記載の方法。金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を含む、パウダー状のイメージング質量分析用イオン化支援剤。 【課題】既存マトリクスの結晶粒径よりも高い空間分解能で以て生細胞や組織などの試料に含まれる分析対象物質の解析を2次元的に行うことができる高解像度イメージング質量分析方法を提供する。【解決手段】細胞又は組織を含む生体標本に対して、金属酸化物からなるコアにポリマーが被覆された微粒子を付着させることを特徴とする、イメージング質量分析方法。【選択図】図5