生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_電極界面の電気特性を評価する方法
出願番号:2007072864
年次:2008
IPC分類:G01N 27/02,G01N 13/16


特許情報キャッシュ

金 暢大 JP 2008232827 公開特許公報(A) 20081002 2007072864 20070320 電極界面の電気特性を評価する方法 富士通株式会社 000005223 眞鍋 潔 100105337 柏谷 昭司 100072833 渡邊 弘一 100075890 伊藤 壽郎 100110238 金 暢大 G01N 27/02 20060101AFI20080905BHJP G01N 13/16 20060101ALI20080905BHJP JPG01N27/02 BG01N13/16 101 3 1 OL 9 2G060 2G060AA09 2G060AE40 2G060AF02 2G060AF09 2G060AG01 2G060AG08 本発明は、原子間力顕微鏡(atomic force microscope:AFM)を用いて電極界面に於ける電気化学反応を解析して評価する方法の改善に関する。 現在、強誘電体薄膜を利用した不揮発性メモリ(ferroelectric radom access memory:FeRAM)の開発が盛んに進められている。 FeRAMは強誘電体の自発分極を利用したメモリであり、強誘電体の分極方向を0,1に対応付けることに依ってデータの読み書きを行っている。 FeRAMで用いる強誘電体膜そのものの性質、或いは、FeRAMを作製した後のCMOS工程に依る配線劣化などを評価する際には、分極特性を正確に評価することが重要になる。 通常、強誘電体キャパシタに於ける分極特性の評価は、静的なヒステリシス曲線を取得して行っている。即ち、試料に三角波を印加し、蓄積される電荷量を直接測定するか(前者)、或いは、流れる電流を積分して電荷量を得ることにより(後者)、そのときの分極量を求める。 前者の代表例としては、一般に、ソーヤタワー法が広く知られている。電流を測定する方法としては、容量可変型コンデンサを用いて電圧に変換する方法がある。強誘電体キャパシタへの電気的な導通確保には、セルが小さくなってきた昨今では広く原子間力顕微鏡AFM(atomic force microscope:AFM)が微小プローバとして用いられている。 また、近年、ポストフラッシュメモリの候補として、電圧印加により安定かつ可逆な巨大抵抗変化を示す物質、例えばPr1-x Cax Mn3 (PCMO)などのプロブスカイト型構造を持つ酸化物、TiO2 やNiOなどの二元遷移金属酸化物(TMO)、Cu2 Sなどの固体電界質を用いてReRAM(resistance random access memory)と呼ばれるメモリの開発が半導体メーカー各社で行われている。 ReRAMはその長所として、電圧パルスに依り膜の抵抗値が変化する抵抗素子であること、加えて構造が単純で加工が容易であること、また、セルサイズが4〜6F2 (F2 :デザインルールに於けるセルサイズの基本単位)であることなどに起因し、高密度化に有利であって、32nmノード世代以降の利用を視野に入れて開発が進んでいる。 ところで、前記したようなメモリの開発に於いては、強誘電体、PCMO、TMO等を上下の電極で挟んだ膜の評価方法が重要な役割を果たすことになるのであるが、その場合、種々な問題が介在している。 例えば、強誘電体を上下電極でサンドイッチ状に挟んだ構造を想定する。具体的には開発TEG(評価用のチップを組み込んだウェーハ)に於けるショートループ抜き出し品を模したものを考える。尚、ショートループとは、半導体装置を製造する場合の最終工程までを終えることなく、例えば、1層目の配線を形成した時点で製造を停止し、ウェーハを抜き取って特性を診断することが行われる。この場合の短縮した製造工程をショートループと呼んでいる。 さて、下部電極はAFMの導電性ステージと電気的に導通を取って接地する。その為には、裏面を利用するか、或いは、メモリのワードラインを端で露出し、導通を取るなどの手段をとる。 また、通常、電圧を有効に印加するには上部電極を設けた方が良い。然しながら、上部電極を形成するには、電極材料を成膜後に反応性アニールなどの熱処理を施すことが多いし、そして、一般には数十〜二百nm程度の厚さがあるので、強誘電体表面に於ける組成や形状等を変化させてしまう。 例えば、強誘電体に正或いは負のパルスを入れて分極の向きを揃えてやり、0或いは11 を書き込むような場合、強誘電体の変化をAFMで評価する場合、例えば、電荷の蓄積量の変化を見るにせよ、圧電応答で分極方向の変化を見るにせよ、強誘電体の特性が電極に強く依存することが極めて多い。 つまり、強誘電体本来の良否に加えて電極初期層の成膜条件という因子が加わり、どちらが支配的なのかも見分けることができない。 また、ReRAMに於いては、遷移金属酸化物に一定の電圧を印加してReRAMに特有のセット或いはリセットと呼ばれる抵抗変化現象を発生させ、変化が生じ始める時の電圧や電流等を評価しなければならない場合がある。然しながら、一般にAFMを用いてReRAMを評価する場合、抵抗変化が起こる電圧が一致せず、そして、電流変化時に流れる電流も一致しない等の安定性上の問題が起こる。 本発明では、強誘電体或いは遷移金属酸化物と電極との界面に於ける電気化学反応を促進させ、強誘電体や遷移金属酸化物の電気的特性を効率良く評価できるようにする。 本発明に依る電極界面の電気特性を評価する方法に於いては、AFMを含む装置に依る強誘電体の分極・電界ヒステリシス特性の測定、或いは、ReRAMに用いる遷移金属酸化物に於ける抵抗変化特性の測定に於いて、被測定試料に数原子層単位で材料素材を積層して上部電極を形成し、測定時に試料と上部電極との反応を促進させる為の所要ガスの導入、及び、加熱を行って実際のデバイスに於ける強誘電体或いは遷移金属酸化物と上部電極との界面に近い状態を現出して前記ヒステリシス特性或いは抵抗変化特性を測定する。尚、ここで、数原子層単位の「数」としては「1〜10」の範囲で任意に選択して良い。 前記手段を採ることに依り、AFMを含む装置で実施される電気特性評価に於いて、正確な結果が得られるので、半導体装置の製造歩留まりの向上や開発支援に有効である。 本発明では、AFMを用いて強誘電体や遷移金属酸化物などの中間物質の電気的特性を評価する場合、電極と中間物質膜との界面に於ける状況を擬似的に作成する。即ち、上部電極と中間物質膜、即ち、強誘電体膜やReRAM特性を示す遷移金属酸化物膜等との界面に於ける電気化学的な諸作用、即ち、密着性、混合組成、電荷の移動、酸素欠損、中間物質の結晶構造や組成の揺らぎ等が、電気的特性の重要要素となることが多いので、そのような環境を上部電極を数原子層分積層し、例えば酸素、窒素、水素、アルゴンなどの稀ガスなど各種のガス雰囲気下に於いて反応性アニールを行うことで疑似的に生成させ、その状態で評価を行う。尚、上部電極は極薄膜にした方が良好な実験結果が得られる。 ここで、遷移金属酸化物膜等、とあるのは、ReRAM特性を示す膜として、遷移金属酸化物膜の他にペロブスカイト膜、固体電解質膜などが存在することに依る。 図1は本発明に依って評価を行う場合を説明する為の試料及びAFMの要部切断側面図であり、図に於いて、1は導電性試料ステージ、2は試料、2Aは試料の基板、2Bは基板上の強誘電体或いは遷移金属酸化物などの評価対象膜、3は数原子層単位で積層した上部電極、4はAFMのカンチレバーをそれぞれ示している。 ここで、基板2AはSi基板に酸化膜(絶縁膜)及び下部電極を形成したものであり、その下部電極上に例えばNiOx 系の評価対象膜2Bを形成して試料2が構成される。 試料2は、導電性の試料ステージ1に載置できるように、15mm×15mm程度の大きさに切り出したものとする。 試料2にマーキングを施す。これは、AFMを用いてデータを蒐集した後の物理解析によく用いられる手法であるが、構造上の異物や特異点の近傍に約150nm×150nm程度のレーザーマーキングを5個程度作成する。 レーザーマーキングは正方形の四隅に作成し、方位決めの為、非対称な位置に更に一つ付け加えると良い。また、レーザーマーキングは、散乱を防止する為、AFM付属のCCDや光学顕微鏡で辛うじて見つけられる大きさにとどめておく方が良く、凹凸が必要以上の大きさを持って、測定を妨害することは避けなければならない。 試料2には、AFMに隣接するターゲットが約5cmφ(2インチφ)のスパッタリング装置を用い、Ptを5秒間スパッタリングする。これに依って成膜されたPt膜の膜厚は膜厚計で換算すると約40Åである。 試料2は、AFMの導電性ステージ1上にセットし、前記レーザーマーキングの位置を探索する。前記非対称の点からずらした位置でレーザーマーキングの凹凸像を取得し、予め取得しておいた像と重ね合わせる。 特に、凹凸の凹になっている部分で表面粗さが変化しているのが看取できるから、こうした部位を探し出し、カンチレバー4を静止させてIV測定を行う。 電流値が大きくなる場合は、カンチレバー4に於けるメタルの膜厚を100nm以上積層するか、数kΩの抵抗を挿入する等の対策を施し、流れる電流を所定値で遮断するコンプライアンスを設定しておかないとカンチレバー4のメタルが蒸発してしまうので注意が必要である。 図2は本発明の方法に依って取得された電流・電圧の関係を表す線図であり、電流値もセット、リセットに対応する電圧も大幅に改善されている。通常、セット電圧1V、リセット電圧 0 .5Vである既知の諸文献に見られる値とのずれは電圧・電流ともに2 倍以内に収まっており、組成のずれなどを考慮すると本発明に依る試験が本質的なセット及びリセットを擬似的に再現していることがわかる。 図2について更に具体的に説明すると、先ず、電圧を0Vからスタートし、下部電極側(試料ステージ1側)に+2Vを印加する。ステップ、即ち、測定点として1024点を採り、各点で流れる電流値を上部電極3、従って、カンチレバー4側から増幅器でセンスする。 1Vを若干越えた点で電流値は急激に大きくなる。即ち、HRS(高抵抗状態)からLRS(低抵抗状態)への遷移が起こる。そのまま、電圧を2Vまで上昇させ、次いで、2Vから0Vに低下させる。この状態でも測定点は1024点でセンスする。試料は低抵抗状態に在る為、2Vに上昇させた時点に比較すれば抵抗値は高い状態、即ち、データ線を見れば看取できるように、電流は流れ易い状態になっていることが判る。 次に、−2Vまで電圧を印加する。この場合は、測定上の都合で−1mAでコンプライアンスを設定してあり、−1.8V程度でコンプライアンスに達していることが判る。この後、−2Vまで電圧を印加し、その後、0Vに戻す操作を行う。−1.9V程度で急激に電流が低下することが看取される。即ち、LRSからHRSへの遷移が起こっている。上記0Vへと戻しているデータ線を見ると、0〜2Vの場合と比較して電流値は小さく、HRSへの遷移が起きたことを確認できる。 ここで、図3を用いて実施例1に対する比較例について説明するが、図3では図1に於いて用いた記号と同じ記号で指示した部分は同一或いは同効の部分を表すものとする。但し、試料2について、比較例では上部電極3がないのであるが、対照する便宜上、実施例1と同様に記号2を用いて表示する。 比較例に於ける試料2の構造は、実施例1と同様、Si基板に絶縁膜及び下部電極を形成したものであり、その下部電極上に例えばNiOx 系の評価対象膜2Bを形成したものとなっている。 試料2は、導電性の試料ステージ1に載置できるように、15mm×15mm程度の大きさに切り出したものとする。 この状態でNiOx からなる評価対象膜2Bの端をダイヤモンドペンで1mm2 程度けがくのであるが、表面に下部電極のメタルの色が露出するように10秒程度けがくとよい。 前記けがくことに代えて、金属に対し選択性のあるエッチング薬液を用いて同様の操作を行っても良いが、その場合、他の評価に用いる試料表面はダメージを受けないように充分にマスクしておくことが必要である。 この後、カンチレバー4を上部電極と見立てて評価対象膜2Bの上に静止させ、基板2A側から電圧を印加し、電流を検出する。 カンチレバー4の材料としては、通常、上部電極に一般的に用いられるPt系の合金であるPtIr5 を使用した。 図4は上部電極無しの試料についてAFMを用いて測定したReRAM変化を表す線図であり、縦軸に電流を、横軸に電圧をそれぞれ採ってある。 このデータは±5Vを印加して得たI−V特性評価例であって、4曲線に分けられているが、そのおのおのに於いて、ステップは1024、即ち、4096点に於ける電流値をプロットしたものである。 ±4Vの近傍に抵抗変化の証であるセット、リセットに類似した変化が見られるが、先ず、この電圧値自体が文献に見られる通常の値に比較して数倍大きく、そして、電流値は約104 〜105 倍程度小さく、曲線のSNが悪い、即ち、反応が安定して行われていないと考えられる。 この場合の実験に於ける各操作は、前記した図2のデータを得た際の操作と略同じであり、印加する電圧が大きいのみで、その他の条件は変わりない。即ち、0Vから電圧を上昇させると、4V近傍でセットのような動作が起こったかのように見えるが、再現性に乏しくて有効なデータを取得することはできない。 0Vに戻す際の特性線を見ると、若干抵抗は低下しているが膜自体に大きな状態変化があったようには認識できず、その後の物理解析には適切とは思われない。次いで、0Vから−5Vまで電圧降下させ、更に、−5Vから0Vに戻す際には、−4Vの付近から曲線の傾きが変わり、0から−5Vの曲線、即ち、電流値よりは電流と流れていない。即ち、リセットのような状態遷移がここで起こった可能性があるが、これも再現性が乏しく、また、曲線のSN、特に−4〜−5V付近の曲線に於けるSNが極めて悪く、状態遷移が起こる電圧も実験に依ってまちまちであるから、この後の物理解析のことを考えると、良い方法であるとは思われない。 この後、カンチレバー4の直下に於ける状態変化を物理解析するにしても、カンチレバー4が接触する接点のうち、全部分が反応に寄与するとは考えられない。換言すると、定点でのみならず、例えば、一定電圧を印加して広い領域でセットのような変化を起こさせることが可能であるとして、その領域を解析しようとしても、図4について説明した手段で外部から加えた変化が本質的にReRAM膜に見られるセット・リセットに対応するとは考えられない。本発明に依って評価を行う場合を説明する為の試料及びAFMの要部切断側面図である。本発明の方法に依って取得された電流・電圧の関係を表す線図である。比較例を説明する為の試料及びAFMの要部切断側面図である。上部電極無しの試料についてAFMを用いて測定したReRAM変化を表す線図である。符号の説明 1 導電性試料ステージ 2 試料 2A 試料の基板 2B 基板上の強誘電体或いは遷移金属酸化物などの評価対象膜 3 数原子層単位で積層した上部電極 4 AFMのカンチレバー AFMを含む装置に依る強誘電体の分極・電界ヒステリシス特性の測定、或いは、ReRAMに用いる遷移金属酸化物に於ける抵抗変化特性の測定に於いて、 被測定試料に数原子層単位で材料素材を積層して上部電極を形成し、 測定時に試料と上部電極との反応を促進させる為の所要ガスの導入、及び、加熱を行って実際のデバイスに於ける強誘電体或いは遷移金属酸化物と上部電極との界面に近い状態を現出して前記ヒステリシス特性或いは抵抗変化特性を測定すること を特徴とする電極界面に於ける電気特性評価方法。 導入するガスが希ガス、酸素、窒素、水素から選択されたものであることを特徴とする請求項1記載の電極界面に於ける電気特性評価方法。 強誘電体或いは遷移金属酸化物が膜状であることを特徴とする請求項1或いは請求項2記載の電極界面に於ける電気特性評価方法。 【課題】電極界面の電気特性を評価する方法に関し、強誘電体或いは遷移金属酸化物と電極との界面に於ける電気化学反応を促進させ、強誘電体や遷移金属酸化物の電気的特性を実際のデバイスに近い状態で評価できるようにする。【解決手段】AFMを含む装置に依る強誘電体の分極・電界ヒステリシス特性の測定、或いは、ReRAMに用いる遷移金属酸化物に於ける抵抗変化特性の測定に於いて、被測定試料2に数原子層単位で材料素材を積層して上部電極3を形成し、測定時に試料2と上部電極3との反応を促進させる為のO2 など所要ガスの導入、及び、加熱を行って実際のデバイスに於ける強誘電体或いは遷移金属酸化物と上部電極3との界面に近い状態を現出して前記ヒステリシス特性或いは抵抗変化特性を測定する。【選択図】 図1


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