生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_カルボキシメチルセルロースを主成分とするゲルの製造方法およびゲル
出願番号:2007070145
年次:2008
IPC分類:A61K 47/38,A61K 9/06,A61K 47/02,A61K 47/04


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瀧上 眞知子 長澤 尚胤 八木 敏明 玉田 正男 JP 2008230996 公開特許公報(A) 20081002 2007070145 20070319 カルボキシメチルセルロースを主成分とするゲルの製造方法およびゲル 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 505374783 財団法人群馬県産業支援機構 507089517 高田 幸彦 100074631 瀧上 眞知子 長澤 尚胤 八木 敏明 玉田 正男 A61K 47/38 20060101AFI20080905BHJP A61K 9/06 20060101ALI20080905BHJP A61K 47/02 20060101ALI20080905BHJP A61K 47/04 20060101ALI20080905BHJP JPA61K47/38A61K9/06A61K47/02A61K47/04 5 1 OL 7 4C076 4C076AA09 4C076AA74 4C076BB31 4C076DD22 4C076DD29 4C076EE32P 4C076FF35 本発明はカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(以下CMCと略記)をゲル化させて、高弾性で且つ強度が高い環境保全型のゲルを得るための製造方法及びその方法によって得られるゲルに関する。このようにして得られるゲルは家畜排泄物処理材、排水処理材、脱臭材、触媒担体、衝撃吸収材、医療用粘着材、医療用パテ材などに有用である。 CMCは、現在最も一般的に使用されている水溶性高分子である。CMCの分子同士を架橋させて3次元の網目構造を形成させ、この網目構造の内部に水をしっかり捕捉させたゲルを得る方法が従来知られている。具体的にはCMCを多価金属イオンで架橋させてゲルを製造する方法(例えば、特許文献1及び2)、CMCに架橋剤を添加してゲルを製造する方法(例えば、特許文献3)がある。しかしながらこれらの製造方法は高弾性を有するゲルを製造することが困難という欠点を有する。また、CMCに水を加えペースト状に練り、放射線を照射することによってゲルを製造する方法(例えば、特許文献4)も知られている。しかしながらこの方法は、放射線照射装置という高価な設備が必要であり、従ってコスト高になる欠点を有するとともに、簡便性にかける欠点を有する。特開平7−90121特開2005−263858特開平10−251447特開2005−82800 本発明者らは、最近、CMCに酸を加えるのみのゲルの製造方法、すなわち安価に、簡便にゲルを製造する方法も提案している(特願2006−250947)。しかしながらこの方法では、ゲルの強度及び弾性が高くならず、従って用途も限られるという欠点を有する。また、従来技術として述べた、多価金属イオンを使用し架橋させて製造する方法や架橋剤を使用して製造する方法では、高弾性を有するゲルを製造することが困難という欠点を有し、CMCに水を加えペースト状にしたものに放射線を照射し製造する方法は、放射線照射装置という高価な設備が必要であり、コスト高になると同時に簡便性に欠ける欠点を有する。 そこで本発明の目的は、高弾性で強度が高い環境保全型のゲルを安価に、簡便に得るための製造方法及びその方法によって得られるゲルを提供することにある。 本発明の具体的且つ好適なゲルの製造方法は、主成分であるCMCと、酸または酸水溶液及び非水溶性の金属化合物とを単に混練してCMCをゲル化させることを特徴とする。CMC、酸または酸水溶液、非水溶性金属化合物の混練順は限定されない極めて簡便な方法である。 好適にはCMCの重量は、得られるゲルの全体重量に対して65重量%未満であることが望ましい。CMC重量が65%以上であると均一に混練するのが困難であり、好ましくない。 酸または酸水溶液の使用量は得られるゲルの全体量に対して35重量%から95重量%が好ましい。35重量%未満だと不均一となり、また95重量%を超えるとゲル形成が困難となり好ましくない。また非水溶性金属化合物の使用量は、得られるゲルの全体量に対して1重量%から30重量%が好ましい。1重量%未満だと強度の増加がほとんど認められず、また30重量%を超えるとゲルが不均一となり好ましくない。また好適には、上述の製造方法において、酸または酸水溶液は塩酸または塩酸水溶液であり、非水溶性金属化合物は酸化アルミニウムであることが望ましい。CMC、上記塩酸または塩酸水溶液、水酸化アルミニウムの3者の混練により、強度が高く、且つ高弾性のゲルが、簡便に得られる。 上述の製造方法によって製造されたゲルは、CMCを主成分として含み、酸または酸水溶液及び非水溶性金属化合物を含む。上述の酸は塩酸または塩酸水溶液であることが望ましい。また非水溶性金属化合物は酸化アルミニウムであることが望ましい。 本発明によれば多価金属イオンを使用し架橋させて製造する方法や架橋剤を使用して製造するゲルと異なり、高弾性のゲルが得られ、放射線を使用する方法のように、放射線照射装置という高価な設備が不必要であり、従って安価に、簡便に製造でき、さらにまた酸のみを使用して製造する方法と異なり強度の高いゲルを製造することができる。すなわち当該製造方法よって得られるゲルは高弾性で強度が高く、安価で簡便に得られ、CMCという植物由来の材料を原料とした環境保全型のゲルであり、家畜排泄物処理材、排水処理材、脱臭材、触媒担体、衝撃吸収材、医療用粘着材、医療用パテ材などに有用である。 本発明に係るゲルの製造方法について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係るゲルの製造方法の概略構成を示すフローチャートである。 図1において、CMC、酸または酸水溶液、及び非水溶性金属化合物が、混練機により混練される。その結果、CMCゲルが製造される。 ここで、使用するCMCのエーテル化度、粘度は問わない。また、ここでいう粘度とはCMCを1重量%水溶液とした場合の粘度であり、粘度の高低は分子量の高低を間接的に示す。CMCは粉末として使用しても水溶液としても良く、酸または酸水溶液と湿潤状態で混練できる範囲であれば限定されない。より簡便に混練りするには、好ましくは5重量%以上の濃度の溶液とすることが望ましい。酸は有機酸または無機酸のいずれであっても良く、その種類は問わない。例えば、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、硝酸、蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、イタコン酸、マレイン酸、シュウ酸、クエン酸などが使用できる。さらにまた、これらの酸水溶液の濃度は問わないが、0.1mol/l以上が、混練を簡便にするためには望ましい。 本発明で用いられる非水溶性金属化合物は水に不溶の金属化合物であれば特に限定されず酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マンガン、二酸化マンガンなどの金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、リン酸バリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどの金属塩が使用できる。特に酸化アルミニウムが好ましい。 さらに、CMCと酸または酸水溶液を混練するときの温度は問わない。一般的に、混練時の温度が高いほどゲル化は速やかに進行するが、CMCが加水分解を受けるほどの温度(約70℃)以上は避けるべきである。また、CMC、酸または酸水溶液及び非水溶性金属化合物を混練した後の放置する時間は問わない。CMCの水溶液濃度、酸水溶液の濃度が高い場合にはゲル化は瞬時に進行する。一般的に放置時間が長いほど、水に不溶な部分、すなわちゲルの部分の割合が高くなる。以下、本発明の好適な実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。 市販のCMC(ダイセル化学工業株式会社製、エーテル化度1.36、濃度1%溶液の25℃での粘度は1640mPa・s)20gと市販の酸化チタン アナターゼ型(和光純薬製202−01725)5gを1mol/l塩酸75gに加え、シンキー製スーパーミキサー泡とり練太郎を用いて2000rpmで20分間混練し、10分間脱泡した。混練し、ペースト状になった試料を直径20mm、厚さ10mmのテフロン(登録商標)製の枠に入れ成型した。成型した試料を30℃で7日間保存した後、島津製作所製小型卓上試験機EZTestで物性測定した。直径50mmのテフロン(登録商標)製圧縮治具で圧縮し、ゲルの破壊強度を測定した。破壊強度は0.88N/mm2であった。また同試験機で50%圧縮時の弾性率を測定した。弾性率は1.12N/mm2であり、50%圧縮を2回行ってもゲルは元の形状を保持し、高回復力、高弾性を示した。 市販のCMC(ダイセル化学工業株式会社製、エーテル化度1.36、濃度1%溶液の25℃での粘度は1640mPa・s)40gと市販の酸化アルミニウム(和光純薬製012-01965)13.6gを1mol/l塩酸46.4gに加え、シンキー製スーパーミキサー泡とり練太郎を用いて2000rpmで20分間混練し、10分間脱泡した。混練し、ペースト状になった試料を厚さ10mmに展ばし、コルクボーラーで打ち抜き、試料とした。打ち抜いた試料を30℃で7日間保存した後、東洋精機製ストログラフVE5Dでゲルの破壊強度を測定した。破壊強度は5.87N/mm2であった。また、島津製作所製小型卓上試験機EZTestで50%圧縮時の弾性率を測定した。弾性率は7.99N/mm2であり、50%圧縮を2回行ってもゲルは元の形状を保持し、高回復力、高弾性を示した。比較例1 市販のCMC(ダイセル化学工業株式会社製、エーテル化度1.36、濃度1%溶液の25℃での粘度は1640mPa・s)20gを1mol/l塩酸80gに加え、シンキー製スーパーミキサー泡とり練太郎を用いて2000rpmで20分間混練し、10分間脱泡した。混練し、ペースト状になった試料を直径20mm、厚さ10mmのテフロン(登録商標)製の枠に入れ、成型した。成型した試料を30℃で7日間保存した後、島津製作所製小型卓上試験機EZTestで物性測定した。直径50mmのテフロン(登録商標)製圧縮治具で圧縮し、ゲルの破壊強度を測定した。破壊強度は0.44N/mm2であった。また同試験機で50%圧縮時の弾性率を測定した。弾性率は0.16N/mm2であり、50%圧縮を2回行うと、ゲルは元の形状には戻らなかった。比較例2 市販のCMC(ダイセル化学工業株式会社製、エーテル化度1.36、濃度1%溶液の25℃での粘度は1640mPa・s)40gを1mol/l塩酸60gに加え、シンキー製スーパーミキサー泡とり練太郎を用いて2000rpmで20分間混練し、10分間脱泡した。混練してペースト状になった試料を厚さ10mmに展ばし、コルクボーラーで打ち抜き、試料とした。打ち抜いた試料を30℃で7日間保存した後、島津製作所製小型卓上試験機EZTestで物性測定した。直径50mmのテフロン(登録商標)製圧縮治具で圧縮し、ゲルの破壊強度を測定した。破壊強度は1.03N/mm2であった。 上述の本発明の製造方法は、多価金属イオンや架橋剤を使用して製造する方法に比べ高弾性のゲルが得られ、放射線照射による方法のように、放射線照射装置という高価な設備が不必要であるため、安価に且つ簡便に製造でき、さらにまた酸のみを使用して製造する方法と異なり強度の高いゲルを製造することができる。すなわち当該製造方法よって得られるゲルは高弾性で且つ強度が高く、安価で簡便に得られるものであり、CMCという植物由来の材料を原料とした環境保全型のゲルである。 以上のようにして製造されたゲルは、高弾性、高強度で安価で簡便に製造されたものであり農業、工業、医療、食品等の広範囲の分野において利用可能で、例えば家畜排泄物処理材、排水処理材、脱臭材、触媒担体、衝撃吸収材、医療用粘着材、医療用パテ材などに有用である。本発明に係るゲルの製造方法の概略構成を示すフローチャートである。符号の説明 CMC カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩 主成分であるカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)に、酸または酸水溶液及び非水溶性金属化合物を混練し、前記カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩をゲル化させることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を主成分とするゲルの製造方法。 請求項1に記載のゲルの製造方法において、前記カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)の、前記カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を主成分とするゲルの全体重量に対する重量が、65%未満であることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩を主成分とするゲルの製造方法。 請求項1または2に記載のゲルの製造方法において、前記酸または酸水溶液が塩酸または塩酸水溶液であって前記非水溶性金属化合物が酸化アルミニウムであることを特徴とするカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)を主成分とするゲルの製造方法。 カルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩(CMC)を主成分として含み、さらに酸または酸水溶液及び非水溶性金属化合物を含むことを特徴とするゲル。 請求項4に記載のゲルにおいて、前記酸または酸水溶液が塩酸または塩酸水溶液であって、前記非水溶性金属化合物が酸化アルミニウムであることを特徴とするゲル。 【課題】高弾性で強度が高い環境保全型のゲルを、安価に、簡便に得るための製造方法及びその方法によって得られるゲルを提供すること。【解決手段】主成分であるカルボキシメチルセルロース(CMC)と、酸または酸水溶液及び非水溶性の金属化合物とを単に混練してCMCをゲル化させる。この製造方法よって得られるゲルは、高弾性で且つ強度が高く、安価で簡便に得られるものであり、CMCという植物由来の材料を原料とした環境保全型のゲルでもある。【選択図】図1


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