生命科学関連特許情報

タイトル:再公表特許(A1)_線維筋痛症治療用医薬品
出願番号:2007069492
年次:2010
IPC分類:A61K 31/635,A61K 31/573,A61K 31/5415,A61K 9/20,C07D 213/76,A61P 29/00,A61P 25/04,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

西岡 久寿樹 JP WO2008041751 20080410 JP2007069492 20071004 線維筋痛症治療用医薬品 学校法人 聖マリアンナ医科大学 596165589 清水 初志 100102978 刑部 俊 100119507 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 井上 隆一 100142929 大関 雅人 100114340 西岡 久寿樹 JP 2006274464 20061005 A61K 31/635 20060101AFI20100108BHJP A61K 31/573 20060101ALI20100108BHJP A61K 31/5415 20060101ALI20100108BHJP A61K 9/20 20060101ALI20100108BHJP C07D 213/76 20060101ALI20100108BHJP A61P 29/00 20060101ALI20100108BHJP A61P 25/04 20060101ALI20100108BHJP A61P 43/00 20060101ALI20100108BHJP JPA61K31/635A61K31/573A61K31/5415A61K9/20C07D213/76A61P29/00A61P25/04A61P43/00 121 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20100204 2008537552 19 4C055 4C076 4C086 4C055AA01 4C055BA02 4C055BA52 4C055BB16 4C055CA01 4C055DA01 4C076AA06 4C076AA17 4C076AA22 4C076AA31 4C076AA36 4C076AA53 4C076BB01 4C076BB11 4C076BB31 4C076CC01 4C076CC04 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC89 4C086DA10 4C086DA20 4C086GA10 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA16 4C086MA22 4C086MA23 4C086MA28 4C086MA31 4C086MA32 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA52 4C086MA63 4C086MA66 4C086NA14 4C086ZA08 4C086ZA21 4C086ZB11 4C086ZC75 本発明は、サラゾスルファピリジンの新規医薬用途に関し、具体的にはサラゾスルファピリジンを含む線維筋痛症の治療薬に関する。 線維筋痛症は、全身のびまん性疼痛、疲労感を主訴とし、他覚症状として特徴的な圧痛点を有する疾患である。その他、睡眠障害、不安感、うつ、焦燥感等の心身症的症状を示すことが多い。さらに症状が進行すると、頻尿、過敏性腸症状群、月経困難症、乾燥症候群などを呈することも少なくない。発症は50代の女性に圧倒的に多い。線維筋痛症は往々にして微熱や倦怠感などを伴っているために、診断時に関節リウマチや膠原病を疑われることも多いが、赤沈、RAテスト(rheumatoid arthritis test)、CRP(C反応性蛋白)、RAHAテスト(リウマチ赤血球凝集試験)など、生化学検査、免疫グロブリン定量等を行っても、通常これらの検査結果に異常はみられない。また、脊椎、大関節、小関節等のX線所見にも異常はない。 線維筋痛症の診断は、線維筋痛症に特異的な検査所見が知られてないこと、身体に器質的な変化も認められないことから、時に経験を要する。アメリカリウマチ学会は、広範囲の疼痛が続いていること、および特定の18箇所の圧痛点のうち11箇所以上に痛みがあること、の2点を評価基準とする線維筋痛症分類基準を1990年に公表した(非特許文献1)。現在の国内における線維筋痛症の診断は、1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準を参考に行われている。 線維筋痛症の痛みに関しては、いわいる一般的な痛みの経路とは異なる経路で起こると考えられている。すなわち、一般的な痛みの経路は、身体各部の炎症や刺激が痛覚受容器に伝わり、その刺激が脊髄を上行して脳に入って痛みを感じるが、線維筋痛症では、疼痛に対する不安が種々の精神症状を招き、それがまた新たな疼痛誘導要因となっているといわれている。 線維筋痛症の病因については、様々な議論があるが、決定的な原因はまだ明らかになっていない。これまでに、中枢神経系の異常、遺伝、心理的・社会的要因等との関係が報告されている。 線維筋痛症における中枢神経系の異常として、睡眠障害、神経ペプチド異常、機能的脳活動異常が報告されている。例えば、線維筋痛症患者の63〜90%が睡眠障害の症状を持つ。全身の疼痛のために不眠傾向になるものともいえるが、浅い寝覚めのすっきりしない睡眠状態がこの疾患の特徴といわれている。行岡は、線維筋痛症の診断に睡眠脳波の検査を導入することを提唱している(非特許文献2)。行岡によれば、線維筋痛症では、第一段階のノンレム睡眠の増加や第三、四段階の減少、レム睡眠の出現率の低下が観察される。特に、ノンレム睡眠におけるα波干渉の存在について着目し、α波がδ波中に現れる現象は慢性疲労症候群や他の疾患にも認められるので、線維筋痛症のみに特徴的な病因とはいえないが、症状の指標になり得ると報告している。このα波が起床後の疼痛の増加を招いていると考えられる。モルドフスキーらは若い健康人のノンレム睡眠を障害すると、疼痛や疲労などの線維筋痛症様の症状が現れるということを確認した。 線維筋痛症における神経ペプチドの異常としては、セロトニン異常が挙げられる。モルドフスキーらは、線維筋痛症では血中トリプトファン濃度が低下することを報告している。ラッセルらは、線維筋痛症患者の抹消血中および髄液中のセロトニン値が低いこと、およびセロトニンの代謝産物である5-ヒドロキシ-インドール酢酸(5-HIAA)が髄液中で低下していることを報告している。トリプトファンはセロトニンの前駆物質である。セロトニンは脳の神経伝達物質であり、痛みの抑制に関与する縫線核群など広範囲の神経に作動する。一般に、セロトニンの欠乏は様々な障害を起こし、線維筋痛症における睡眠障害や疼痛の発現との関係が注目されている。 異常が観察された神経ペプチドはセロトニンだけでなく、線維筋痛症におけるサブスタントPの異常も報告されている。2000年のアメリカリウマチ学会で、線維筋痛症の患者の髄液中に、サブスタントPという物質が増加している事が報告された。サブスタントPはP物質とも呼ばれ、11個のアミノ酸からなる神経ペプチドである。知覚神経の神経伝達物質であり、主として痛覚情報伝達物質として知られている。腸管および脳の抽出物中に見出された物質で、片頭痛、疼痛、炎症、嘔吐、不安など多種類の病態に関与しているといわれている。 線維筋痛症における機能的脳活動異常に関する報告としては、線維筋痛症患者の脳の視床や尾状核において血流低下が起きることが、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)によって、複数の施設で確認されている(非特許文献3)。視床は疼痛信号の統合に重要な役割を果たし、尾状核は侵害受容に特異的なニューロンを含む組織であり、線維筋痛症の病因研究において上記血流低下が注目されている。また、米国では、大脳辺縁系の血流が増加しているとの報告もある。このように線維筋痛症では、睡眠障害、神経ペプチドの異常、機能的脳活動異常といった中枢神経系の各種異常が観察されており、発症との関係について研究がすすめられている。 線維筋痛症との遺伝との関係については、早くから家族性遺伝が報告されている。一親等内では、女性71%、男性35%に所見が認められたとの報告がある(非特許文献3)。疼痛への感受性、疼痛の神経伝達などについて、女性優位の遺伝的素因が線維筋痛症の発症傾向に影響している可能性がある。 最近、本発明者等によって200症例の患者のゲノム解析が進められており、一卵性双生児の双方に線維筋痛症を発症した症例が確認されている(非特許文献4)。また、他にも線維筋痛症の発症に遺伝的素因が影響していることを示唆する研究も多くみられる。 線維筋痛症は、遺伝的素因に心理社会的要因が加わって発症する場合があると考えられている。患者の多くはうつ状態を伴っており、患者に関係するストレスの形成要因として、不規則な生活、過労、疲労の蓄積などにより引き起こされる肉体的疲弊状態、さらに心理的葛藤、フラストレーション、不適当状態、正当な評価が得られないための欲求不満状態などが認められており、これらの心身の疲弊状態に、筋肉の疼痛を感じさせる肉体的外傷体験などが加わって発症するプロセスが考えられる、との見解がある(非特許文献5)。2000年の米国リウマチ学会での発表では、線維筋痛症に悪影響を与える事象が列挙された。国内においても、線維筋痛症群と診断された男性23例、女性116例のうち、外傷歴および手術歴のある症例が男性12例、女性57例、合計69例(49.6%)あったとの報告がある(非特許文献4、6)。 また、線維筋痛症と慢性疲労症候群との比較によって、いくつかの生活習慣が線維筋痛症の発症に関与していることが示された(非特許文献7)。上記検討によると、睡眠時間7〜8時間の場合は9時間以上の睡眠時間の約1/2のリスクに減少する。積極的に運動している場合に比べ、週1〜2時間しか運動していない場合は約9倍のリスクがあり、コーヒーを飲まない場合に比べて毎日飲む場合は3.7倍のリスクがある。さらに、飲酒は1日1合飲む場合は、飲まない場合の約1/3のリスクに減り、多量に飲む場合は逆にリスクが高くなる。 一方、一部の線維筋痛症発症患者において、腱付着部炎を併発している例が存在する。腱付着部炎は、骨に付着している腱とじん帯に炎症が起こる疾患であり、硬直性脊椎炎、反応性関節炎に共通して認められ、アキレス腱の踵や足底の腱付着部分などに症状が現れやすい痛みを伴う疾患である。線維筋痛症には腱付着部炎が起因となって生じる可能性が強く示唆されている。すなわち腱付着部炎に伴う局所の痛みが全身性の疼痛を伴う線維筋痛症の発症の引き金になるとも考えられる。 線維筋痛症の治療としては、基本的に抗うつ薬の投与が第一選択肢とされているが、現在のところ明確な治療法はない。症状や身体機能障害の程度に応じて、認知療法や運動療法など様々な角度からのアプローチが必要とされている。線維筋痛症の痛み、不定愁訴に対しては薬剤としては通常の鎮痛薬、抗リウマチ薬ではなかなか症状が改善されないことが多く、抗うつ薬、抗不安薬、筋弛緩薬に加え、生活指導、自律訓練法、認知行動療法などの心理的治療が奏効する事が多い。最近になって、既存の医薬品を線維筋痛症に適用する動きもあるが(特許文献1、2)、一般的に、効果が確認された医薬品であっても応答する患者と応答しない患者があり、線維筋痛症治療薬の選択肢を増やすことは急務である。 ところで、臨床で使用されている抗リウマチ薬の一つとして、サラゾスルファピリジン(Salazosulfapyridine)がある。サラゾスルファピリジンの薬理作用としては、抗リウマチ作用が確認されているほか、免疫系に対する作用として、T細胞依存性抗原に対する免疫応答を用量依存的に抑制し、T細胞非依存性抗原に対する免疫応答をほとんど抑制しなかったことが報告されている(非特許文献8)。慢性関節リウマチ患者抹消血付着細胞からのIL-1及びIL-6産生を抑制したこと、およびT細胞のIL-2産生に対しても用量依存的な抑制作用を示したことが報告されている(非特許文献9-10)。サラゾスルファピリジンが抗リウマチ作用を示す作用機序は、以下のように説明されている。T細胞、マクロファージに作用し、それらの細胞からのサイトカイン(IL-1、2及び6)産生を抑制し、慢性関節リウマチ患者の異常な抗体産生を抑制する。さらに、滑膜細胞の活性化や炎症性細胞の浸潤等を抑制し、かつ多形核白血球の活性酸素産生も抑制する。これらの一連の作用により、慢性関節リウマチ患者の関節における炎症全般を抑制し、抗リウマチ作用を示すものと考えられる(非特許文献11)。 サラゾスルファピリジンは、上述のとおり関節リウマチに有効である他、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎の治療薬としても利用されているが、繊維筋痛症に対する効果はこれまでに全く知られていない。WO2004/039383 (PCT/JP2003/013999)特開2006-76945Wolfe F, Smythe HA, Yunus MB, et al : The American College of Rheumatology 1990 Criteria for the Classification of Fibromyalgia. Arthritis Rheum 1990 ; 33 (2) : 160-172行岡正雄:Fibromyalgia(2002)その診断と治療.リウマチ病セミナーXIV(七川歡次監修):p49-58、大阪、永井書店、2003西海正彦:Fibromyalgia syndrome. リウマチ科27(3):298-304、2002医歯薬出版 西岡久寿樹 監修/ホールネス研究会 著 線維筋痛症とたたかう:117-124村上正人、宗像和彦:ペインクリニック18(2):211-216、1997浦野房三:一次性線維筋痛症候群の補体値の異常.第42回日本リウマチ学会総会抄録集.リウマチ38:304、1998松本美富士:線維筋痛症候群.日本臨床57(2):364-369、1999Fujiwara M. et al. : Immunopharmacol. 19, 15(1990)Fujiwara M. et al. : Japan. J. Pharmacol. 54, 121(1990)橋本純子 他 : 炎症,11(3),279,1991アザルフィジンEN錠250mg、アザルフィジンEN錠 添付文書 2005年6月改訂(第8版) 3頁 本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、線維筋痛症の新規治療薬の提供である。 上記状況を解決すべく、本発明者等は鋭意努力した。しかし上述のとおり、線維筋痛症の病因、発生機序が解明されていないため、線維筋痛症治療薬の開発は極めて困難な状況にある。サラゾスルファピリジンは通常、リウマチ治療薬として使用される医薬品である。しかし本発明者は、線維筋痛症患者にサラゾスルファピリジンを投与したところ、予想外なことに、リウマチ因子や免疫異常を認めない線維筋痛症に対しサラゾスルファピリジンが有効であること、特に、腱付着部炎の疼痛緩和に有効であるとともに腱付着部炎を伴う線維筋痛症の疼痛緩和に有効であること、さらにはサラゾスルファピリジン単独での効果がない症例に関しては、副腎皮質ホルモンとサラゾスルファピリジンとの併用、または非ステロイド抗炎症剤とサラゾスルファピリジンとの併用が有効であることを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症の治療用医薬品および腱付着部炎を伴う線維筋痛症の治療用医薬品に関し、具体的には以下の発明を提供するものである。(1)サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症の治療用医薬品、(2)前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、前記(1)記載の医薬品、(3)サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療用医薬品、(4)サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症に伴う疼痛の治療用医薬品、(5)経口投与可能な剤型である、前記(1)から(4)のいずれかに記載の医薬品、(6)錠剤である、前記(5)に記載の医薬品、(7)腸溶錠である、前記(6)に記載の医薬品、(8)サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを組み合わせてなる、線維筋痛症の治療用医薬品、(9)サラゾスルファピリジンを含有してなる医薬品と、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンを含有してなる医薬品とを含むキットの形態である、前記(8)記載の医薬品、(10)副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンがプレドニゾロン、プレドニゾロンエステル、プレドニゾロン類縁体またはこれらの塩である、前記(8)または(9)に記載の医薬品、(11)サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを組み合わせてなる、線維筋痛症の治療用医薬品、(12)サラゾスルファピリジンを含有してなる医薬品と非ステロイド抗炎症剤を含有してなる医薬品とを含むキットの形態である、前記(11)記載の医薬品、(13)非ステロイド抗炎症剤がメロキシカムである、前記(11)または(12)に記載の医薬品、(14)配合剤である、前記(8)または(11)に記載の医薬品、(15)前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、前記(8)から(14)のいずれかに記載の医薬品、(16)サラゾススルファピリジンを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法、(17)サラゾスルファピリジンと、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法、(18)サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法、(19)前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、前記(16)から(18)のいずれかに記載の治療方法、(20)サラゾススルファピリジンを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法、(21)サラゾスルファピリジンと、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法、(22)サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法、(23)線維筋痛症治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用、(24)腱付着部炎を伴う線維筋痛症の治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用、(25)線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用。 本発明は、サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症の治療薬を提供する(以下において、「サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症の治療薬」を「本発明の医薬品」と称す)。サラゾスルファピリジンは、上記の作用機序から自己免疫の異常(リウマチ)に伴う関節部位の炎症に効果を示すし、リウマチ治療薬として使用されている。本発明者は、リウマチ因子や免疫異常を認めない線維筋痛症による腱付着部炎の疼痛、さらには腱付着部炎を伴う線維筋痛症の疼痛にも、サラゾスルファピリジンが有効である事を初めて見出した。 サラゾスルファピリジンは、Sulfasalazine(INN,USAN)ともいい、また、IUPAC命名法による化学名は、2-Hydoroxy-5-[4-(pyridine-2-ylsulfamoyl)phenylazo] benzoic acidである。サラゾスルファピリジンは、分子式:C18H14N4O5S、分子量:398.39の化合物であり、CAS No.599-79-1が付与されている。サラゾスルファピリジンは第十五改正日本薬局方に収載されており、サラゾスルファピリジンの性状、確認試験、定量法などは、上記日本薬局方によって知ることができる。 サラゾスルファピリジンは、Dr.N.Svartzとファルマシア(現ファイザー)との共同研究によって合成された。国内においては1984年から関節リウマチ治療剤として開発され、1995年9月29日に承認され、商品名アザルフィジンとして販売されている。現在では、国内数社がサラゾスルファピリジン製剤を販売しており、アザルフィジンの他、エミナピリン、サフィルジン、サラゾピリン、スラマ、ソアレジン、ラノフェンという商品名のサラゾスルファピリジン製剤が流通している。サラゾスルファピリジン製剤は、関節リウマチ以外の適応も認められており、上記サラゾスルファピリジン製剤のうち、サラゾピリン、エミナピリン、スラマ、ラノフェンは、潰瘍性大腸炎、限局性腸炎、非特異性大腸炎の治療剤である。 線維筋痛症は、上述のとおり、米国リウマチ学会の基準をもとに診断されることが一般的である。米国リウマチ学会によって1990年に公表された線維筋痛症分類基準は以下のとおりである。1)広範囲の疼痛が3ヶ月以上続いていること。次にあげるものが全て生じている場合には、広範囲の疼痛と考えられる。左半身の痛み、右半身の痛み、腰より上の痛み、腰より下の痛み、骨格系の痛み(頸部脊椎、前部脊椎、胸部脊椎、背中の下部)。 この定義においては、左右の肩部と臀部の痛みはそれぞれ左右半身の痛みに含まれ、背中の下部の痛みは下半身の痛みと考える。2)約4Kgの力で指圧したとき、18箇所の圧痛点のうち、11箇所以上に痛みがあること。18箇所の圧痛点とは、後頭部:後頭骨下部筋付着部(左右)、下頸部:C5−C7における横突間帯の前部(左右)、僧帽筋:上側縁付近の肩甲棘の上(左右)、第二肋間:第二肋骨軟骨接合部、接合部上面のすぐ脇(左右)、外側上顆:上顆から2cm(左右)、臀部:外側に張り出した片側臀部を四分割した上外側(左右)、大転子:転子窩突起の後部(左右)、膝:関節線近傍の内側脂肪体(左右)である。指圧により患者が痛いと感じた場合に、その指圧点を陽性とする。普段は痛みを感じないが、押したことにより痛い場合は陽性としない。なお、二次的臨床疾患の存在を理由により、線維筋痛症は除外されない。 上記2つの基準を満たしたときに線維筋痛症と診断されるが、臨床上では、専門医の判断により、上記2つの基準を満たしていなくても線維筋痛症と診断されることがある。臨床上と同様に、本発明の医薬品は、上記基準を満たす症例のみならず、専門医によって線維筋痛症と診断された症例にも適用できる。 本発明の医薬品は、線維筋痛症の各種症状を緩和することができる。線維筋痛症の各種症状のうち、とりわけ疼痛緩和に効果があり、特に、腱付着部炎の疼痛緩和に有効である。本発明の医薬品は、線維筋痛症に伴う腱付着部炎である限り、身体のどの部位の腱付着部であっても疼痛緩和可能である。さらには腱付着部炎を伴う線維筋痛症の疼痛治療にも有効である。 サラゾスルファピリジンは、既に製剤が市販されていることから自明なとおり、公知技術によって製剤化することができる。製剤形態は、有効成分を患部に到達させ得る形態であれば経口薬剤(錠剤、顆粒剤、液剤、カプセル剤など)、注射剤、貼布剤、リニメント剤、座剤、クリーム剤、懸濁剤、乳剤あるいは軟膏等でもよい。経口薬剤は、患者への侵襲性が比較的低い点で好ましく、腸溶錠とすることもできる。製剤化する際に使用する添加剤は、薬理学的に許容され得るものの中から目的に応じて選択することができる。「薬学的に許容され得る添加剤」とは、賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、コーティング剤、結合剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。 本発明の医薬品の投与量は、安全性と有効性のバランス、投与経路、患者の年齢や体重などを考慮して決定することができる。本発明の医薬品の投与量は経口薬剤であれば、一日あたりのサラゾスルファピリジン量として、例えば、0.01g〜10gであり、好ましくは、0.1g〜5g、より好ましくは、0.5g〜3g、最も好ましくは1g〜2gである。経口薬剤以外の製剤の場合は、製剤に応じた吸収・分布・代謝・排泄を考慮しながら、適宜決定することが可能である。 また本発明者は、サラゾスルファピリジン単独投与では治療効果が見られない線維筋痛症患者に対し、サラゾスルファピリジンと合成副腎皮質ホルモンとを投与することにより、高い治療効果が得られることを確認した。したがって本発明は、サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを組み合わせてなる、繊維筋痛症の治療用医薬品をも提供する。 副腎皮質ホルモンとは、一般的には、副腎皮質で産生される、または副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの総称であり、その作用により糖質コルチコイド、電解質コルチコイド、性ホルモンに大別される。代表的な天然の副腎皮質ホルモンとしては、コルチゾン、コルチゾール、コルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、アルドステロンなどを挙げることができる。天然の副腎皮質ホルモンに類似した構造および作用を有する合成副腎皮質ホルモンが、数多く開発および実用化されている。このような合成副腎皮質ホルモンの代表例として、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、パラメタゾンやこれらの塩類を挙げることができる。本発明において使用する副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンは、サラゾスルファピリジンと併用することにより線維筋痛症の治療効果を上昇させるものであれば、特に制限はない。好ましくは、糖質コルチコイド作用を有する副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンであり、具体例として、プレドニゾロン、プレドニゾロンエステル、プレドニゾロン類縁体およびこれらの塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく上記治療効果を上昇させる作用を有する限り、本発明において使用することができる。プレドニゾロンエステル、類縁体およびこれらの塩としては、例えば、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンコハク酸エステル(コハク酸メチルプレドニゾロン)、プレドニゾロン酢酸エステル(酢酸プレドニゾロン)、プレドニゾロンコハク酸エステル(コハク酸プレドニゾロン)、プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(コハク酸プレドニゾロンナトリウム)、リン酸プレドニゾロンナトリウム、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ファルネシル酸プレドニゾロンなどが知られている。 本発明において、サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンを併用する場合は、それぞれを別の製剤として投与しても、配合剤として一つの製剤にして投与しても良い。使用上の便宜のため、サラゾスルファピリジン製剤と副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモン製剤とを組み合わせ、使用上の注意などが記載された説明書とともに、繊維筋痛症治療用のキットとすることもできる。 副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンの製剤化に際しては、成分、症状、患者年齢、体重、などを考慮して、投与経路、投与形態、投与量について適宜決定することが可能である。基本的に、既に臨床上使用されている成分の場合は、臨床上の投与経路、投与形態、投与量を参考にすることができる。 また本発明者は、サラゾスルファピリジン単独投与では治療効果が見られない線維筋痛症患者に対し、サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤との併用療法が有効であることを確認した。したがって本発明は、サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤を組み合わせてなる、繊維筋痛症の治療用医薬品をも提供する。 非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)とは、ステロイド以外の抗炎症剤の総称である。非ステロイド抗炎症剤は、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害を介してプロスタグランジン合成を阻害し、抗炎症作用を発揮する。従来の非ステロイド抗炎症剤はCOX-1とCOX-2の双方を阻害し、胃腸障害等の副作用が発生しやすい傾向が見られる。胃腸障害を中心とした非ステロイド抗炎症剤の副作用はCOX-2を選択的に阻害することにより副作用を軽減できると考えられ、このような考えの下、COX-2選択的非ステロイド抗炎症剤が開発された。日本でも既に、エトドラク、メロキシカム等のCOX-2選択的非ステロイド抗炎症剤が臨床上使用されているほか、海外では、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ等のCOX-2選択的非ステロイド抗炎症剤がすでに実用化または開発中である。 上市されている非ステロイド抗炎症剤の例として、サリチル酸ナトリウム、アセチルサリチル酸、サリチルアミド、フルフェナム酸アルミニウム、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、マレイン酸プログルメタシン、アセメタシン、ナブメトン、エトドラク、モフェゾラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、オキサプロジン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン酸、ナプロキセン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、ブコローム、ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、エピロゾール、塩酸チアラミド、エモルファゾン、ワクシニアウイルス摂取家兎炎症皮膚抽出液などが知られている。本発明において使用可能な非ステロイド抗炎症剤は、サラゾスルファピリジンと併用することにより線維筋痛症の治療効果を上昇させるものであれば特に制限はなく、上記非ステロイド抗炎症剤に限られず使用することができる。 本発明において、サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤を併用する場合は、それぞれを別の製剤として投与しても、配合剤として一つの製剤にして投与しても良い。使用上の便宜のため、サラゾスルファピリジン製剤と非ステロイド抗炎症剤とを組み合わせ、使用上の注意などが記載された説明書とともに、繊維筋痛症治療用のキットとすることもできる。 非ステロイド抗炎症剤の製剤化に際しては、成分、症状、患者年齢、体重、などを考慮して、投与経路、投与形態、投与量について適宜決定することが可能である。基本的に、既に臨床上使用されている成分の場合は、臨床上の投与経路、投与形態、投与量を参考にすることができる。 なお本明細書において引用されたすべての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。(実施例1)サラゾスルファピリジン単独投与による線維筋痛症治療 線維筋痛症と診断された患者に、市販のサラゾスルファピリジン製剤であるアザルフィジン(登録商標)EN錠を投与して経過を観察したところ、サラゾスルファピリジン製剤による顕著な治療効果が確認された。 10名の線維筋痛症患者を対象としてアザルフィジン500〜1000mg/日を2〜10週間投与したところ、著しく自覚症状が改善した。圧痛点の減少は75.5%、VAS値の改善率は60.7%であった。(実施例2)サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは非ステロイド抗炎症剤との併用による線維筋痛症治療(症例1) パニック発作のため、ルボックス、レキソタン、セルシン内服にて治療開始。その2年後より背部痛出現、全身的な疼痛のため歩行困難まで来たした。血液検査では炎症所見・膠原病等示唆する所見はなく、全身精査でも異常所見認めなかった。しかし、後頭部・僧帽筋・勅上筋・臀部などの圧痛を認め、線維筋痛症を疑い下記処方にて治療を開始した。 処方: アムロジン(5mg)1錠 ボルタレン(25mg)3錠 デパス(0.5mg)1錠 ザンタック(150mg)2錠 ルボックス(25mg)3錠 レキソタン(2mg)3錠 セルシン(2mg)3錠 上記処方で治療したが、圧痛点14/18、腱付着部の圧痛、入眠困難を認めたため、下記処方を追加した。なお、RA因子の陽性化、炎症所見、腫脹等は認めなかった。 追加処方:アザルフィジン(500mg)2錠 プレドニン(一般名:プレドニゾロン)(5mg)1錠 追加処方開始2週間後、圧痛点が14/18から3/18へ軽減され、アザルフィジンによる明らかな疼痛改善効果を認められた。腱付着部の圧痛に対しては、特に有効であった。(症例2) 初期症状としては疲労の訴えがあり、次第に重くなり7ヶ月後には外出困難となった。その間、血液検査等の精査、また膠原病の専門機関での検査も受けたが、当該検査結果に異常が認められることはなかった。通院期間中も、症状は悪化し、全身の重度な疼痛の出現及び、微熱、蕁麻疹、倦怠感と疲労感あり、歩行困難となった。 内服薬はビタミンC及び、モービック(一般名:メロキシカム)、胃薬のみで、自宅安静と通院により症状はやや軽減したものの、依然として一人での外出は困難な状況が持続していたため当院受診。 初診時、ノイロトロピン1アンプルの点滴を処方した。2週間後、モービック(痛み止め)で痛みは軽減したものの、VAS(痛みのスケール)5.5/10であったため、以下のように処方を変更した。 処方変更 ノイロトロピン 3錠 アザルフィジン(500mg)1錠 初診時から10週間後、疼痛の明らかな軽減を認め、VAS(痛みのスケール)1〜2/10であった。その後、アザルフィジンによる治療を継続し、初診時より8ヶ月経過した時点において、圧痛点が18/18より4/18までに減少した。疼痛の程度もほぼ改善し、外出可能な状況となった。(症例3) 2005年12月、下肢の捻挫。その後右肘の疼痛および腕の肘から先のびりびり感を訴え、整形外科を受診し頚椎レントゲンを受けたが、異常なしとの所見であった。翌年5月より足指の疼痛および朝のこわばりが出現し、神経内科、大学病院を受診した。リウマチ因子、他精密検査等にも異常を認めなかった。線維筋痛症の圧痛点に圧痛を認めたため、線維筋痛症を疑い当院受診。治療開始時(2006年7月21日)処方 モービック(10mg)1錠/1日 (1日1回投与) ノイロトロピン 4錠/1日 (1日量を1日2回にわけて投与)治療開始1週間後(2006年7月27日)に下記追加処方 アザルフィジン(250mg)2錠/1日 (1日量を1日2回にわけて投与)治療開始約2週間後(2006年8月10日)に下記追加処方 プレドニン(5mg)1錠/1日 (1日1回投与) 処方追加治療開始後約5週間後(2006年8月24日)に疼痛改善傾向が認められる。休職中だったが、症状改善が認められるため職場復帰を予定。(症例4) 臨床兆候として、肩こり、早朝覚醒、倦怠感、疲労感、起床時の全身関節痛、こわばり、両手肘から手指の痛み・しびれ、両膝裏から足指先の痛みを訴えた38歳女性に対しアザルフィジン等を投与し、約2ヶ月で痛み指標VAS10がVAS2に改善されたケース。 当院外来までの経緯は以下のとおり。2005年12月 転倒し左足首を捻挫、その晩に右肘の疼痛発現。頚椎レントゲン異常なし。1週間後 肘の痛みが手首・指先へ広がる。2週間後 左肘・左手首・指先に広がり整形外科受診して頚椎X線、リウマチ血液検査も異常なし。2006年1月 内科的検査受診も異常なし。2006年2月 うつ病発症、2月から4月まで入院。2006年5月 足指の疼痛、朝のこわばりにて神経内科受診(FMS圧痛点あり)。2006年7月 当院初診 治療経緯は以下のとおり。2007年6月21日 圧痛点14/18、腱付着部の痛みを伴う。痛みVAS10。モービック(10mg)1錠、ノイロトロピン(4ノイロトロピン単位)4錠を処方。2007年7月27日 VAS 10。アザルフィジン(250mg)2錠を追加処方。2007年8月10日 気分安定(mood stable)、VAS 9。プレドニン(5mg) 1錠を追加処方。2007年8月24日 痛みが少なくなってきている印象あり(VAS 9)。処方薬剤同上。 2007年9月21日 圧痛点 3/18、VAS 2。処方薬剤同上。2007年10月19日 VAS 2。処方薬剤同上。2007年11月16日 VAS 2。カトレップを追加処方。 本発明によって、線維筋痛症の新規治療薬が提供された。本発明によれば、これまでは特効薬がないとされていた線維筋痛症に対し、有効な治療法を提供することができる。サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症の治療用医薬品。前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、請求項1記載の医薬品。サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療用医薬品。サラゾスルファピリジンを含有する、線維筋痛症に伴う疼痛の治療用医薬品。経口投与可能な剤型である、請求項1から4のいずれかに記載の医薬品。錠剤である、請求項5に記載の医薬品。腸溶錠である、請求項6に記載の医薬品。サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを組み合わせてなる、線維筋痛症の治療用医薬品。サラゾスルファピリジンを含有してなる医薬品と、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンを含有してなる医薬品とを含むキットの形態である、請求項8記載の医薬品。副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンがプレドニゾロン、プレドニゾロンエステル、プレドニゾロン類縁体またはこれらの塩である、請求項8または9に記載の医薬品。サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを組み合わせてなる、線維筋痛症の治療用医薬品。サラゾスルファピリジンを含有してなる医薬品と非ステロイド抗炎症剤を含有してなる医薬品とを含むキットの形態である、請求項11記載の医薬品。非ステロイド抗炎症剤がメロキシカムである、請求項11または12に記載の医薬品。配合剤である、請求項8または11に記載の医薬品。前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、請求項8から14のいずれかに記載の医薬品。サラゾススルファピリジンを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法。サラゾスルファピリジンと、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法。サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを投与する工程を含む、線維筋痛症の治療方法。前記線維筋痛症が腱付着部炎を伴う線維筋痛症である、請求項16から18のいずれかに記載の治療方法。サラゾススルファピリジンを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法。サラゾスルファピリジンと、副腎皮質ホルモンまたは合成副腎皮質ホルモンとを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法。サラゾスルファピリジンと非ステロイド抗炎症剤とを投与する工程を含む、線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療方法。線維筋痛症治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用。腱付着部炎を伴う線維筋痛症の治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用。線維筋痛症に伴う腱付着部炎の治療用医薬品の製造のための、サラゾスルファピリジンの使用。 線維筋痛症は、病因、発生機序が解明されていないため、治療薬開発が困難な疾患である。線維筋痛症患者にリウマチ治療薬であるサラゾスルファピリジンを投与したところ、予想外なことに、リウマチ因子や免疫異常を認めない線維筋痛症に対し治療効果が認められ、特に、腱付着部炎の疼痛緩和に有効であった。さらに腱付着部炎の軽快とともに線維筋痛症の疼痛緩和に有効であった。また、サラゾスルファピリジン単独では効果が低い症例に対しては、サラゾスルファピリジンと副腎皮質ホルモンまたは非ステロイド抗炎症剤との併用が、サラゾスルファピリジンによる治療効果を上昇させた。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る