生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_trans−デカヒドロナフタレンの製造方法
出願番号:2007069177
年次:2008
IPC分類:C07C 7/04,H01L 21/027,C07C 13/50,C07C 7/12


特許情報キャッシュ

古川 泰一 岸田 高典 山田 欣司 JP 2008230976 公開特許公報(A) 20081002 2007069177 20070316 trans−デカヒドロナフタレンの製造方法 JSR株式会社 000004178 和気 操 100100251 古川 泰一 岸田 高典 山田 欣司 C07C 7/04 20060101AFI20080905BHJP H01L 21/027 20060101ALI20080905BHJP C07C 13/50 20060101ALI20080905BHJP C07C 7/12 20060101ALI20080905BHJP JPC07C7/04H01L21/30 515DC07C13/50C07C7/12 5 OL 10 4H006 5F046 4H006AA02 4H006AD11 4H006AD17 5F046CB01 5F046CB12 5F046CB26 5F046DA07 本発明はtrans−デカヒドロナフタレン(以下、デカリンと略称する)の製造方法に関し、特に液浸露光装置または液浸露光方法に用いるために吸光度を低下させることができる製造方法に関する。 半導体素子等を製造するのに際し、フォトマスクとしてのレチクルのパターンを投影光学系を介して、フォトレジストが塗布されたウエハ上の各ショット領域に転写するステッパー型、またはステップアンドスキャン方式の投影露光装置が使用されている。 投影露光装置に備えられている投影光学系の解像度の理論限界値は、使用する露光波長が短く、投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、集積回路の微細化に伴い投影露光装置で使用される放射線の波長である露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大してきている。 このように、半導体素子等の製造分野においては、従来、露光光源の短波長化、開口数の増大により集積回路の微細化要求に応えてきており、現在では露光光源としてArFエキシマレーザ(波長193nm)を用いた1L1S(1:1ラインアンドスペース)ハーフピッチ90nmノードの量産化が検討されている。しかしながら、更に微細化が進んだ次世代のハーフピッチ65nmノードあるいは45nmノードについてはArFエキシマレーザの使用のみによる達成は困難であるといわれている。そこで、これらの次世代技術についてはF2エキシマレーザ(波長157nm)、EUV(波長13nm)等の短波長光源の使用が検討されている。しかしながら、これらの光源の使用については技術的難易度が高く、現状ではまだ使用が困難な状況にある。 ところで、上記の露光技術においては、露光されるウエハ表面にはフォトレジスト膜が形成されており、このフォトレジスト膜にパターンが転写される。従来の投影露光装置では、ウエハが配置される空間は屈折率が1の空気または窒素で満たされている。 屈折率nの液体を投影露光装置のレンズとウエハの間に満たし、適当な光学系を設定することにより、解像度の限界値および焦点深度をそれぞれn分の1、n倍にすることが理論的に可能である。例えば、ArFプロセスで、レンズとウエハの間に満たす液体として水を使用すると波長193nmの光の水中での屈折率nはn=1.44であるから、空気または窒素を媒体とする露光時と比較し、解像度が69.4%、焦点深度が144%となる光学系の設計が理論上可能となる。 このように露光するための放射線の実効波長を短波長化し、より微細なパターンを転写できる投影露光する方法を液浸露光といい、今後のリソグラフィーの微細化、特に数10nm単位のリソグラフィーには、必須の技術と考えられている。 本願出願人は、液浸露光方法において、従来の純水よりも屈折率が大きく、優れた透過性を有し、フォトレジスト膜あるいはその上層膜成分(とりわけ親水性成分)の溶出や溶解を防ぎ、レンズを浸食せずレジストパターンの生成時の欠陥を抑えることができ、液浸用液体として使用した場合、より解像度および焦点深度の優れたパターンを形成できる液浸露光用液体の提供を目的として、種々の化合物について検討を行なった結果、遠紫外領域における吸収が小さく、液浸露光用液体として好適な高屈折率を有するデカリンなどの脂環式飽和炭化水素化合物について出願している(特許文献1)。 しかし、公知の方法で合成され、または市場で入手できるデカリンは、一般に遠紫外領域に大きな吸収を有する不純物を有し、このために、上記化合物を液浸露光用液体に用いた場合、透過率の不足により、感度低下に伴うスループットの低下、液体の光吸収による液体の発熱による屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題が生じる場合があった。 このため、脂環式飽和炭化水素化合物には、非常に微量であっても透過率に大きく影響する炭素−炭素不飽和結合または芳香族環を有する化合物、カルボニル基、水酸基等の官能基を有する化合物が不純物として僅かに存在しているためと考えられることから、処理温度の異なる複数の硫酸洗浄処理工程を含み、少なくとも最終硫酸洗浄処理工程の処理温度が該洗浄処理工程より前の処理工程の処理温度よりも低い処理温度で処理することを特徴とする方法を本発明者等は既に提案している(特許文献2)。 また、吸着剤を用いて脂環式飽和炭化水素化合物を精製する方法が開示されている(特許文献3および4)。 しかしながら、上記精製方法であってもデカリンの193nmにおける吸光度が十分に低下しないという問題がある。WO2005/114711特願2006−329265WO2005/119371WO2006/115268 本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、193nmにおける透過率に優れる液浸露光用液体として好適なデカリンの吸光度をより低下させることができる製造方法の提供を目的とする。 デカリンに含まれる不純物を効率よく除去することに関して種々の検討を行なった結果、精密蒸留および/または濃硫酸洗浄を含む精製後にAl2O3を含む酸化物に接触させることにより効率よく極微量の不純物を除去できる。その結果、193nmにおける透過率の高い液浸露光用液体が得られることを見出し発明を完成するに至った。 すなわち、本発明の製造方法は、波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.0437以下であるデカリンの製造方法であって、波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のデカリンを調製する第1工程と、この第1工程で調製されたデカリンをAl2O3を含む酸化物に接触させる第2工程とを含むことを特徴とする。 また、上記第1工程が精密蒸留工程および硫酸洗浄工程から選ばれた少なくとも1つの工程であることを特徴とする。 また、上記Al2O3を含む酸化物がアルミナ、シリカアルミナおよびゼオライトから選ばれた少なくとも1つの酸化物であることを特徴とする。 特にゼオライトを構成するシリカ/アルミナ比が7mol/mol以下であり、細孔径が0.8nm以上であることを特徴とする。 また、シリカアルミナを構成するシリカ/アルミナ比が3〜10mol/molであることを特徴とする。 本発明の製造方法は、原料化合物であるデカリンを、精密蒸留および/または濃硫酸洗浄を含む精製後、Al2O3を含む酸化物に接触させる精製により、少量の酸化物で効率よく極微量の不純物を除去できる。この製造方法で得られるデカリンは、193nmにおける透過率が高い液浸露光用液体となる。この液体を使用することにより、光吸収による発熱を抑えることができ、屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題を抑えることができる。 本発明の製造方法により製造されるデカリンは、波長193nmにおける光の吸光度が液体の光路長1cmあたり0.0437以下である。光路長1cmあたりの吸光度Aと光路長1mmあたりの透過率Tには、T = 100 × 10−0.1Aの関係があるので、光路長1cmあたりの吸光度0.0437以下とは光の透過率が99.0%/mm以上に相当する。吸光度が上記範囲となることにより、光吸収による発熱を抑えることができ、屈折率変動に起因する光学像のデフォーカス、歪み、あるいは光学像のデフォーカスによる解像度、パターン形状の劣化等の問題を抑えることができる。 本発明における第1工程は、波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のデカリンを調製する工程である。 第1工程は、硫酸洗浄工程、精密蒸留工程、またはこれらの工程を組み合わせた工程であることが好ましい。 第1工程において、原料化合物は、試薬として、あるいは工業製品として市販されている材料を用いることができる。また、市販されている材料を原料として公知の方法で合成することができる。以下、原料となる化合物の製造法について具体例を挙げて説明する。 例えば、原料化合物は、石炭コークス炉からでる乾留油、石油系の接触改質油および流動接触分解油、更にはエチレンの製造副生成物のナフサ分解油等に含まれているナフタレンまたは、ナフタレン誘導体を適当な触媒を用いて、接触水素化により核水添することにより製造することができる。 上記、接触改質油、流動改質油、ナフサ分解油にはナフタレン、アルキルナフタレンの他、ベンゼン、アルキルベンゼン、フェナントレン、アントラセン、その他の多環芳香族およびその誘導体、ベンゾチオフェンおよびその誘導体等の硫黄含有化合物、ピリジンおよびその誘導体等の窒素含有化合物が含有されており、原料となるナフタレンおよびナフタレン誘導体はこれらの混合物から分離精製することにより得ることができる。 上記原料化合物の製造に使用するナフタレンおよびナフタレン誘導体中には上記のうち硫黄含有化合物の含有量が低いものが好ましい。この場合硫黄含有化合物の含有量は好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。硫黄含有化合物の含有量が100ppmをこえると該硫黄含有化合物が接触水素化の際の触媒毒となり核水添反応の進行を妨げる原因となる他、原料化合物中に該硫黄含有化合物に由来する硫黄含有不純物が混入する場合がある。硫黄化合物が含有すると193nm等の露光波長における透過率が低下する原因となる。 また、原料化合物は、原料となるナフタレンの純度が高いことが望ましく、好ましいナフタレンの純度は99.0%以上、特に好ましいナフタレンの純度は99.9%以上である。この場合、不純物として硫黄化合物等の含有量が高い場合上記の問題が起こるほか、不純物として他のナフタレン誘導体、芳香族化合物およびその誘導体が含まれた場合、これらの不純物が水添された分離困難な炭化水素化合物を生成し、デカリンの純度制御が困難となる。 また、接触水素化の触媒としては、ニッケル系、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム等の貴金属系触媒のほか、コバルト・モリブデン、ニッケル・モリブデン、ニッケル・タングステン等の硫化物を用いることができる。この中でニッケル系触媒がその触媒活性、コストの面から好ましい。 また、これらの金属触媒は適当な担体に担持して使用することが好ましく、この場合触媒が担体上に高分散されることにより、水素化の反応速度があがる他、特に、高温、高圧条件下における活性点劣化を防止し、また、触媒毒に対する抵抗力が向上する。 該担体としては、SiO2、γ−Al2O3、Cr2O3、TiO2、ZrO2、MgO、ThO2、珪藻土、活性炭等を好適に使用することができる。 また、上記接触水素化の方法としては、溶剤を用いない気相法および原料を適当な溶剤に溶解して反応させる液相法を用いることができる。この中で、気相法がコストおよび反応速度に優れるため好ましい。 気相法を用いる場合、触媒としてはニッケル、白金等が好ましい。使用する触媒の量は多いほど反応速度があがるが、コストの面から好ましくない。したがって、反応速度を速め、反応を完結させるためには触媒量を少なくし、温度および水素圧が高い条件で反応させることが好ましい。具体的には触媒量が原料ナフタレン(ナフタレン誘導体)対比0.01〜10重量部で水素圧が5〜15MPa、反応温度は100℃〜400℃程度で反応させるのが好ましい。 また、例えば特許文献(特開2003−160515)に記された方法によりニッケルまたは白金、パラジウム系触媒を用いて中間体のテトラリンからナフタレンを除去する方法により、マイルドな条件で目的物を得ることもできる。 上記の反応において、反応転化率は好ましくは90%以上、更に好ましくは99%以上である。上記反応後、以下の方法により、未反応原料、触媒等の不純物を除去する。 上記原料化合物を精密蒸留する場合、その精密蒸留は除去すべき不純物とデカリンとの沸点差に応じてその分離に必要な理論段数以上の理論段数を有する蒸留塔で行なうことが好ましい。本発明においては、精密蒸留の際の理論段数として10段以上が好ましい。好ましくは30段以上、さらに好ましくは40段以上である。また、該精密蒸留は適当な温度条件下で行なうことが好ましい。蒸留温度が高くなると化合物の酸化反応等により吸収の低減効果が小さくなる傾向にある。好ましい蒸留温度は30〜120℃、特に好ましい蒸留温度は30〜80℃である。上記の温度範囲での蒸留を行なうために、デカリンの精密蒸留は減圧下で行なう。 減圧蒸留を行なった場合、蒸留後適当な不活性気体で常圧にもどしそのまま保存することが好ましい。これにより、保存中の空気酸化を防ぐことができる。 また、上記原料を硫酸洗浄する場合、硫酸としては発煙硫酸、濃硫酸、および濃度80重量%以上の硫酸を使用できる。好ましくは濃度95重量%以上の濃硫酸である。硫酸濃度が80重量%未満であると硫酸洗浄による不純物の除去が困難となる。また、硫酸は空気中で放置すると吸湿して劣化するため、乾燥雰囲気下あるいは窒素雰囲気下で保存することが好ましい。 上記硫酸洗浄処理は原料化合物を硫酸と混合することにより行なう。混合は一回の処理であっても、複数回の処理であってもよく、また、処理温度の異なる複数の洗浄処理工程を含んでもよい。 硫酸洗浄に用いる硫酸の量はデカリン100体積部に対し、25〜100体積部、好ましくは25〜75体積部、更に好ましくは25〜50体積部である。100体積部をこえても洗浄効果は変わらず、硫酸の使用量が増大するのみで好ましくない、また25体積部未満の場合、精製効率が低下する。 硫酸洗浄を行なう時間は、1〜3時間が好ましい。 硫酸洗浄後、必要に応じてアルカリ中和、水洗を行なうことが好ましい。アルカリによる中和を行なった場合、例えば濃硫酸と不純物として存在する芳香族炭化水素との反応により生じたスルホン酸成分を効率よく除去することができる。用いるアルカリとしては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩は脂環式飽和炭化水素に不純物として溶解する場合が少ないので好ましい。アルカリ洗浄後は脱イオン水による洗浄を行なうことが好ましい。洗浄により、アルカリ中に含まれる金属イオン等の不純物を除去することができる。 上記精密蒸留工程、硫酸洗浄工程、またはこれらの工程を組み合わせることにより、工業原料より、波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のデカリンが得られる。 本発明の第2工程前におけるデカリンの吸光度が0.20以下、好ましくは0.15以下の場合、本発明の第2工程における精製で効率よくデカリンの吸光度を低下させることができる。 第2工程は、Al2O3を含む酸化物に接触させる工程である。Al2O3を含む酸化物は、吸着剤としても使用できる物質であり、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、またはこれらの組み合わせである。 アルミナはAl2O3と称されるものであり、シリカアルミナは無定形シリカ・アルミナと称されるものであり、ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩と称されるものである。 本発明で使用できる上記Al2O3を含む酸化物は、以下の方法により評価したとき、上記酸化物に接触させた後の吸光度と、上記酸化物に接触させる前のデカリンの吸光度との比が1.1以下であれば使用できる。<評価方法> ガラス製容器内に波長193nmにおける液体の光路長1cmあたり0.0437以下のデカリン30mLを入れ、このデカリン中に1.5gのAl2O3を含む供試酸化物を加えて窒素雰囲気下において、25℃で72時間静置する。酸化物に接触させる前の吸光度(A)と、接触させた後の吸光度(B)とを波長193nmの光で測定し、その吸光度比(B/A)を算出する。 本発明で使用するために、上記Al2O3を含む酸化物は200〜500℃、好ましくは250〜500℃の温度で第2工程の使用前に焼成することが好ましい。200℃未満の焼成であったり、未焼成であったりする場合は、上記評価の値を達成することができなくなり、第2工程後のデカリンの吸光度は波長193nmにおける液体の光路長1cmあたり0.0437以下が得られない。 また、上記酸化物のシリカ(SiO2)/アルミナ(Al2O3)のmol比の値は0〜10、好ましくは0〜7であることが好ましい。酸化物に含まれるシリカ(SiO2)の量が多くなると、第2工程後のデカリンの吸光度を低下させることが困難になる。 さらに、ゼオライトの場合、上記シリカ/アルミナのmol比に加えて、0.8nm以上の細孔径を有するゼオライトが好ましい。0.8nm未満のゼオライトを用いると第2工程後のデカリンの吸光度を低下させることが困難になる。 また、シリカアルミナの場合、上記シリカ/アルミナのmol比が3〜10、好ましくは5〜10であることが好ましい。酸化物に含まれるシリカの量が少なくなると、第2工程後のデカリンの吸光度を低下させることが困難になる。 Al2O3を含む酸化物とデカリンとの接触は、例えばバッチ法やカラムクロマトグラフィー法により行なうことができる。 バッチ法で行なう場合、上記酸化物の量はデカリン100重量部に対し、1.5〜50重量部、好ましくは1.5〜30重量部、更に好ましくは1.5〜20重量部である。50重量部をこえても洗浄効果は変わらず、酸化物の使用量が増大するのみで好ましくない、また1.5重量部未満の場合、精製効率が低下する。 カラムクロマトグラフィー法で行なう場合、単数または複数段のいずれとしてもよい。 上述の精製を行なったデカリンは純度が約99重量%と向上する。また、レジスト成分とりわけ、揮発性不純物の溶出が少ないため、簡便な方法で回収、精製を行なうことにより、光学特性を再現性よく回復し、再利用することができる。 再利用する場合の精製の方法としては、水洗処理、酸洗浄(硫酸洗浄)、アルカリ洗浄、精密蒸留、適当なフィルター(充填カラム)を用いた精製、ろ過等の方法および、上記に述べた精製法、あるいはこれらの精製法の組み合わせによる方法が挙げられる。この中で、水洗処理、アルカリ洗浄、酸洗浄、精密蒸留、酸化物吸着あるいはこれらの精製法の組み合わせにより精製を行なうのが好ましい。 上記アルカリ洗浄は液浸露光用液体に溶出した露光により発生した酸の除去、酸洗浄は液浸露光用液体に溶出したレジスト中の塩基性成分の除去、水洗処理は液浸露光用液体に溶出したレジスト膜中の光酸発生剤、塩基性添加剤、露光時に発生した酸等の溶出物の除去に対して有効である。 本発明で開示したデカリンの製造方法は上記回収、精製においても有効であり、本方法により、樹脂中の酸解離性保護基の分解または、液体への放射線の照射により生じる光反応生成物である炭素、炭素不飽和結合を有する不純物の除去を有効にできるため、透過率の変動を防ぐことが可能である。 精密蒸留については、上記添加剤のうち低揮発性の化合物の除去に対して有効な他、露光時にレジスト中の保護基の分解により発生する疎水性成分を除去するのに有効である。 本発明の製造方法により得られたデカリンは必要に応じて本発明以外の液体と混合して使用することができ、そうすることにより、例えば屈折率、透過率等の光学特性値、接触角、比熱、粘度、膨張率等の物性値を所望の値にすることができる。 本目的に使用される本発明以外の液体としてはその他の液浸露光可能な溶剤の他、各種の消泡剤、界面活性剤等を使用することができ、バブルの低減や、表面張力のコントロールに有効である。 フォトレジスト膜、または液浸用上層膜が形成されたフォトレジスト膜に本発明のデカリンを媒体として、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、次いで現像することにより、レジストパターンを形成することができる。 液浸露光に用いられる放射線は、使用されるフォトレジスト膜およびフォトレジスト膜と液浸用上層膜との組み合わせに応じて、例えば可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線の如き各種放射線を選択使用することができる。特にArFエキシマレーザ(波長193nm)あるいはKrFエキシマレーザ(波長248nm)が好ましい。 以下に実施例を示す。なお、吸光度は0.5ppm以下に管理した窒素雰囲気のグローブボックス中でポリテトラフルオロエチレン製蓋付の光路長1cmおよび2cmのセルに液体のサンプリングを行ない、日本分光社製JASCO−V−700を用いて、上記液体の入ったセルをサンプル、空気をリファレンスとして吸光度を測定し、両者の差を1cmあたりの吸光度とした。この値を元にランベルトベールの法則により1mmあたりの透過率を算出した。サンプルの透過光強度をl0、リファレンスの透過光強度をlとすると、吸光度はlog10(l0/l)で示される。各実施例で示す表中の値はセルの反射を計算により補正した値である。 また、Al2O3を含む酸化物は以下のものを使用した。 シリカゲル:和光純薬社製、ワコーゲル C−200 アルミナ:住友化学社製、KHD−12 ゼオライト−1:東ソー社製、HSZ−341NHA ゼオライト−2:東ソー社製、HSZ−690HOA ゼオライト−3:東ソー社製、A−3 ゼオライト−4:東ソー社製、A−4 ゼオライト−5:東ソー社製、F−9 シリカアルミナ−1:日揮化学社製、N632L シリカアルミナ−2:日揮化学社製、N633L シリカアルミナ−3:日揮化学社製、N633HN 上記酸化物を使用するにあたり表1に示す方法で処理し、上記酸化物の評価方法で評価した。結果の一例を表1に示す。 表1より、250℃以上で焼成処理することが好ましいことが分かった。以下の実施例において、処理条件の記載のないもの以外は500℃で3時間焼成後の酸化物を使用した。 また、上記酸化物以外にムライトおよびカオリンを比較例として用いた。 波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のデカリンを以下の方法で調製した。 市販のデカヒドロナフタレン(新日鐵化学社製)3000Lを理論段数40段の蒸留塔で精密蒸留することによりGC純度デカリン99.98重量%の留分を180L得た。得られた留分の入ったフラスコを窒素雰囲気下で窒素置換した。本液体をEK−1とする。 得られたEK−1の193nmにおける吸光度を測定したところ、0.142/cm、透過率は96.78%/mmであった。 上記第1工程で得られたEK−1を以下の方法で精製した。実施例1〜4および比較例1〜7 上記得られたEK−1 30mLに対して表2に示す酸化物を1.5g加えて、窒素雰囲気下で72時間静置後に吸光度測定を行ない、酸化物の精製能力を評価した。吸光度測定は日本分光社製JASCO−V−700を用いる上述した方法で行なった。各酸化物の特性と精製結果を表2に示す。 実施例1〜4および比較例4より、Al2O3を含む酸化物で処理することにより、透過率99%/mm以上のデカリンを得ることができる。 また、実施例2、4および比較例1、2および3より、ゼオライトを用いる処理に関しては、シリカ/アルミナ比が7mol/mol以下、かつ細孔径が0.8nm以上のときに透過率99%/mm以上のデカリンを得ることができる。 また、実施例3および比較例7より、シリカアルミナを用いる処理に関しては、シリカ/アルミナ比が3mol/mol以上のときに透過率99%/mm以上のデカリンを得ることができる。実施例5および比較例8 酸化物の焼成処理による精製能力を評価するために、焼成処理温度を変化させたアルミナを用いて実施例1と同様の処理を行なった。結果を表3に示す。なお、実施例2の結果を併記する。 実施例2および5と、比較例8より250℃以上で焼成したアルミナを使用した場合に透過率99%/mm以上のデカリンを得ることができる。実施例6 EK−1 30mLに対してゼオライト−5を1.5g加えて、窒素雰囲気下で72時間静置後にデカンテーションによりゼオライト−5を除去後に、新たに1.5gのシリカアルミナ−2を加えて、窒素雰囲気下で24時間静置後に吸光度を測定したところ、0.0357/cm、透過率は99.17%/mmであった。実施例2および6より、1種類の吸着剤への接触で吸光度を充分に低減化することができる。実施例7 市販のデカヒドロナフタレン(新日鐵化学社製)3000Lを理論段数40段の蒸留塔で精密蒸留することによりGC純度デカリン99.91%の留分を180L得た。得られた留分の入ったフラスコを窒素雰囲気下で窒素置換した。本液体をEK−2とする。 得られたEK−2の193nmにおける吸光度を測定したところ、3.0/cm、透過率は50.11%/mmであった。 得られたEK−2 30mLを窒素置換したなす型フラスコ内に入れ、濃硫酸10mLを加えてマグネティックスターラーにより攪拌した。その後分液操作により新しいなす型フラスコに入れ、その後圧力1〜3mmHg、温度35〜45℃で減圧蒸留を行なった。本液体をEK−3とする。本液体の吸光度を測定したところ0.056/cm、透過率は98.72%/mmであった。 得られたEK−3 30mLに対してゼオライト−1を1.5g加えて、窒素雰囲気下で72時間静置後に吸光度を測定したところ0.0379/cm、透過率は99.13%/mmであった。比較例9 上記の方法で得られたEK−2 30mLに対してゼオライト−1を1.5g加えて、窒素雰囲気下で72時間静置後にデカンテーションでゼオライト−1を除去後に、新たにゼオライト−1を1.5g加えて上記の操作を2回行ない、吸光度測定を行なったところ0.3905/cm、透過率は91.40%/mmであった。 実施例7および比較例9より、精密蒸留後の吸光度が0.20/cm以上の原料である場合には、硫酸洗浄、単蒸留による精製で吸光度を0.20/cm以下とした後に吸着剤との接触により精製することで透過率99%/mm以上のデカリンを得ることができる。 本発明のデカリンの製造方法は、原料化合物であるデカリンを、精密蒸留および/または濃硫酸洗浄を含む精製後、Al2O3を含む酸化物に接触させる精製により、さらなる吸光度の低減が実現できる。そのため、今後更に微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造に必須の技術である液浸露光に用いられる液体として極めて好適に使用することができる。 波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.0437以下であるtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法であって、 波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のtrans−デカヒドロナフタレンを調製する第1工程と、 前記第1工程で調製されたtrans−デカヒドロナフタレンをAl2O3を含む酸化物に接触させる第2工程とを含むことを特徴とするtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。 前記第1工程は、精密蒸留工程および硫酸洗浄工程から選ばれた少なくとも1つの工程であることを特徴とする請求項1記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。 前記Al2O3を含む酸化物は、アルミナ、シリカアルミナおよびゼオライトから選ばれた少なくとも1つの酸化物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。 前記ゼオライトは、シリカ/アルミナ比が7mol/mol以下であり、細孔径が0.8nm以上であることを特徴とする請求項3記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。 前記シリカアルミナは、シリカ/アルミナ比が3〜10mol/molであることを特徴とする請求項請求項3記載のtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法。 【課題】193nmにおける透過性に優れる液浸露光用液体として好適なデカリンの吸光度をより低下させることができる。【解決手段】波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.040以下であるtrans−デカヒドロナフタレンの製造方法であって、波長193nmにおける吸光度が液体の光路長1cmあたり0.20以下のtrans−デカヒドロナフタレンを調製する第1工程と、この第1工程で調製されたtrans−デカヒドロナフタレンをAl2O3を含む酸化物に接触させる第2工程とを含む。【選択図】なし


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