生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_油中水型乳化化粧料
出願番号:2007059916
年次:2008
IPC分類:A61K 8/26,A61K 8/23,A61K 8/20,A61K 8/04,A61Q 1/02,A61Q 1/04,A61Q 1/10


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住吉 明希子 粂井 貴行 JP 2008222586 公開特許公報(A) 20080925 2007059916 20070309 油中水型乳化化粧料 株式会社ファンケル 593106918 児玉 喜博 100105061 佐藤 荘助 100150681 長谷部 善太郎 100122954 住吉 明希子 粂井 貴行 A61K 8/26 20060101AFI20080829BHJP A61K 8/23 20060101ALI20080829BHJP A61K 8/20 20060101ALI20080829BHJP A61K 8/04 20060101ALI20080829BHJP A61Q 1/02 20060101ALI20080829BHJP A61Q 1/04 20060101ALI20080829BHJP A61Q 1/10 20060101ALI20080829BHJP JPA61K8/26A61K8/23A61K8/20A61K8/04A61Q1/02A61Q1/04A61Q1/10 5 OL 10 4C083 4C083AB172 4C083AB212 4C083AB232 4C083AB242 4C083AB341 4C083AB342 4C083AB361 4C083AB362 4C083AB431 4C083AB432 4C083AC022 4C083AC102 4C083AC122 4C083AC242 4C083AC352 4C083AC372 4C083AC422 4C083AC442 4C083AC912 4C083AD092 4C083AD152 4C083AD162 4C083AD172 4C083AD242 4C083BB01 4C083BB25 4C083CC05 4C083CC13 4C083CC14 4C083DD11 4C083DD32 4C083EE01 4C083EE03 4C083EE06 4C083EE07 グンジョウを配合した油中水型乳化化粧料に関する。 従来、化粧料には皮膚を着色するために着色顔料が配合されている。この着色顔料には主にカルミンなどの天然物、赤226号などの有機タール系色素、酸化鉄などの無機顔料がある(特許文献1)。天然物については原料の安定供給や品質の安定化が困難であり、有機タール系色素については皮膚への感作性が報告されていることから安全性について懸念があった(特許文献2)。一方、無機顔料については安定供給や素材の安全性については問題ないものの、色の種類が限られており、化粧料に鮮やかな着色をすることが困難であった。 このような背景から、有機タール系色素に無機粉体を被覆した複合化物(特許文献3)などが提案されている。特許第2902843号公報特許第2758496号公報特開第2001−234090号公報 ピンク色から青色の鮮やかな色を呈する無機顔料であるグンジョウを用いた粘度変色、粘度変化について経時安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。 本願発明の主な構成は次のとおりである。(1)(A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。(2)(A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、有機タール系色素を含まないことを特徴とする油中水型乳化化粧料。(3)前記(A)成分が、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の油中水型乳化化粧料。(4)前記(B)成分のグンジョウの化学式がNa7Al6Si6O24S4であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。(5)前記成分(A)が、油中水型乳化化粧料全体中0.05〜2重量%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。 無機顔料でありながら鮮やかなピンク色から青色を呈するグンジョウを配合し、変色、粘度変化について優れた経時安定性を有する油中水型乳化化粧料を提供することができた。 皮膚感作性の懸念のある有機タール系色素を用いずに、鮮やかな発色の油中水型乳化化粧料を提供できる。 成分(A)について 本発明に用いる二価の金属塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが好ましく、特に硫酸マグネシウムが好ましい。 本発明の二価の金属塩の配合量は、0.05〜2.00質量%が好ましい。0.05%未満では安定性が十分ではなく、2.00質量%を超えて配合した場合、経時的に析出する可能性があるとともに、安定性効果はあまり向上しない。 成分(B)について グンジョウは化粧品原料として「複合スルホケイ酸アルミニウムナトリウムであり、組成により様々な色調を呈する。」と定義されている。 本発明に用いるグンジョウとしては、化学式、NaxAl6Si6O24S4(xが6〜8)が挙げられ、特に、化学式、Na7Al6Si6O24S4であるグンジョウ(例えばUNIPURE PINK LC589:大東化成工業(株)製等)が鮮やかなピンク色を呈するので好ましい。 化学式、Na6Al6Si6O24S4であるグンジョウは、例えば、群青CB−80:第一化成工業(株)製、ダイイチピンクDP−3:第一化成工業(株)製等がある。 UNIPURE PINK LC589、群青CB−80及びダイイチピンクDP−3を分光色差計で測色した。結果を表1に示す。 ここで、彩度(C)及び彩度中の赤み(A)は以下の式で計算した。 彩度(C)=[(a*)2+(b*)2]1/2 彩度中の赤み(A)=a*/C 化学式Na7Al6Si6O24S4であるグンジョウUNIPURE PINK LC589は彩度中の赤みが大きく、鮮やかなピンク色を裏付けている。また、明度が高く、明るい発色である。 これらのグンジョウは、シリコーン類によって表面処理されたグンジョウを用いることが好ましい。表面処理剤としてシリコーン類は特に限定されず、ジメチコン、メチコン等が挙げられる。グンジョウへの表面処理方法は特に限定されず、乾式法又はスプレードライ法、湿式法等が挙げられる。乾式法は、粉体と処理剤を乾いた状態で混合後、焼き付ける方法である。スプレードライ法は処理剤を溶媒で溶解し、粉体と混合分散させ、噴霧状にしたものを熱風中に噴出させる方法である。湿式法は処理剤を溶媒で溶解し、粉体と混合分散し、乾燥させる方法である。なお、表面処理されたグンジョウを前記した各社より入手することができる。 本発明の油中水型乳化化粧料には、体質顔料、有機粉末、パール剤、無機顔料等を用いることができる。例えば、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、スチレンパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、デンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、雲母チタン、酸化チタン、酸化鉄雲母チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。 本発明の油中水型乳化化粧料には、さらに、多価アルコールを使用することができ、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が例示できる。 また、本発明の油中水型乳化化粧料には、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、ロウ、動植物油等の化粧料に通常用いられる油剤を用いることができる。シリコーン油としては、ジメチコン、環状シリコーン、揮発性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンゲル、アクリルシリコーン等が挙げられる。 さらに、本発明の油中水型乳化化粧料には、界面活性剤として非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。 本発明の油中水型化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられている成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、保香剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤その他の美容成分、薬効成分などを配合することができる。 本発明は、安全性に優れる無機顔料であるグンジョウを配合したピンク色から青色の鮮やかな色を呈する化粧料を提供する。そして、本発明は、安全性が懸念される有機タール系色素を用いずに、皮膚に対して安全でありかつピンク色から青色の鮮やかな色を呈するグンジョウを配合し、変色、粘度変化について経時安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。 本発明の化粧料としては、メーキャップベース、リキッドアイシャドウ、クリームアイシャドウ、リキッドチークカラー、クリームチークカラー、マスカラ、リキッドアイライナー、リップスティック、リップグロスなどが挙げられる。 本発明を利用した油中水型乳化化粧料を調製し、測色試験、粘度測定試験及び実使用試験を行った。[測色試験] 試料を調製した直後に分光色差計で測色し、初期値とする。試料作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過後のものについて分光色差計にて測色する。初期値と1ヶ月後の測色値の色差(ΔE)が小さいほど変色が少ないと評価した。変色の評価基準を以下に示す。 ○:ΔE<1.0 変色が殆どない △:1.0≦ΔE<2.0 少し変色している ×:2.0≦ΔE 明らかに変色している[粘度測定試験] 試料を調製した直後にB型粘度計にて粘度を測定し、初期粘度とする。さらに、試料作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過したものについてもB型粘度計にて粘度を測定し、次の式により粘度変化率を求めた。 粘度変化率(%)=(1ヶ月後の粘度−初期粘度)/初期粘度×100粘度安定性の評価基準を以下に示す。 ○:粘度変化率の絶対値が20%未満 粘度変化が使用感触に殆ど影響しない △:粘度変化率の絶対値が20%以上50%未満 粘度変化が使用感触にわずかに影響する ×:粘度変化率の絶対値が50%以上 粘度変化が使用感触に影響する[実使用試験] 女子被験者(25〜40歳)20人に本発明の作成直後の油中水型乳化化粧料、及び作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過した油中水型乳化化粧料を使用させて、色の違いと塗布感触の違いを総合的に官能評価し、以下の評価基準に準じて判定した。 ◎:20人中、18名以上が使用感に差がないと評価した。 ○:20人中、14名以上17名以下が使用感に差がないと評価した。 △:20人中、10名以上13名以下が使用感に差がないと評価した。 ×:20人中、9名以下が使用感に差がないと評価した。〔実施例1〜5、比較例1〜6、参考例1〜3〕 表2の各成分について下記製造方法によりメーキャップベースを調整し、各試験を行った。結果を表2に示す。 (メーキャップベースの製造方法)(a):成分15〜24を80℃に加熱し、均一に混合する。(b):成分1〜14を均一に混合する。(c):bにaを添加して乳化混合し、室温まで冷却する。 なお、表2成分8のシリコーン処理群青のUNIPURE PINK LC589はNa7Al6Si6O24S4の構造を有し、表2成分9のシリコーン処理群青の群青CB-80及び成分10のシリコーン処理群青のSA−DP3のグンジョウはNa6Al6Si6O24S4の構造を有する。 グンジョウを配合していない参考例1〜3は、金属塩として硫酸マグネシウム(参考例1)、塩化ナトリウム(参考例2)を配合しても、また、金属塩を配合しない(参考例3)場合であっても、変色は殆ど生じず、顕著な粘度変化は生じなかった。 一方、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合した場合は金属塩を配合しない場合(比較例6)に明らかな変色を生じ、顕著な粘度低下が生じた。乳化安定剤として塩化ナトリウムを配合した(比較例1〜3)及び塩化カリウムを配合した比較例4は変色、粘度低下がともに生じており、実使用試験においても経時安定性が劣ると判定された。硫酸ナトリウムを配合した比較例5では、粘度変化の経時安定性は優れているが、変色が顕著であった。 しかしながら、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合し、かつ、金属塩として二価の金属塩を配合した実施例1〜5では、変色が殆ど生じなかった。さらに、金属塩として硫酸マグネシウムを配合した実施例1〜3では粘度変化も殆ど生じなかった。塩化マグネシウムを配合した実施例4、塩化カルシウムを配合した実施例5ではわずかに使用感触に影響を与える程度の粘度低下を生じたものの、殆ど変色しておらず、実使用上経時安定性に優れるものであった。〔実施例6、比較例7〜10〕 表3の各成分について下記製造方法によりクリームアイシャドウを調整し、各試験を行った。結果を表3に示す。 (クリームアイシャドウの製造方法)(a):成分4〜9を80℃に加熱し、均一に混合する。(b):成分1〜3、成分11〜16をaに添加して混合する。(c):成分17〜21を80℃に加熱し、均一に混合した後、これをbに添加して乳化混合して室温まで冷却する。 なお、表3成分12のシリコーン処理グンジョウ及び表3成分13の未処理グンジョウに使用されているUNIPURE PINK LC589はNa7Al6Si6O24S4の構造を有する。 シリコーン類で表面処理したグンジョウと乳化安定剤として硫酸マグネシウムを配合した実施例6では変色、粘度変化ともに殆ど生じなかったが、表面処理を施していないグンジョウを配合した場合は、金属塩として硫酸マグネシウム(比較例7)あるいは塩化ナトリウム(比較例9)を配合しても顕著な変色、粘度低下を生じた。シリコーン類で表面処理したグンジョウと塩化ナトリウムを配合した比較例8、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合し、金属塩は配合していない比較例10においても、顕著な変色、粘度低下を生じた。 処方例1 メーキャップベース 1.シクロメチコン 10 2.ジメチコン 30 3.ポリエーテル変性シリコーン 6 4.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 1 5.シリコーン処理酸化チタン 7 6.シリコーン処理酸化鉄 0.5 7.シリコーン処理酸化亜鉛 1 8.シリコーン処理群青 2 9.パルミチン酸デキストリン 0.5 10.ポリメタクリル酸メチル 4 11.シリカ 2 12.1,3−ブチレングリコール 5 13.硫酸マグネシウム 2 14.水 残余 成分12〜14を80℃で均一に混合する(aとする)。1〜11を常温で均一に混合する(bとする)。bに常温に冷却したaを添加して乳化混合する。 処方例2 メーキャップベース 1.シクロメチコン 0.5 2.スクワラン 5 3.イソノナン酸イソトリデシル 10 4.ポリエーテル変性シリコーン 0.5 5.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 2 6.シリコーン処理酸化チタン 3 7.シリコーン処理酸化鉄 0.2 8.シリコーン処理酸化亜鉛 0.3 9.シリコーン処理群青 1 10.パルミチン酸デキストリン 0.5 11.ポリメタクリル酸メチル 2 12.シリカ 1 13.1,3−ブチレングリコール 5 14.グリセリン 2 15.硫酸マグネシウム 0.05 16.水 残余 成分13〜16を80℃で均一に混合する(aとする)。1〜12を常温で均一に混合(bとする)する。bに常温に冷却したaを添加して乳化混合する。 (A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有することを特徴とする油中水型乳化化粧料。 (A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、有機タール系色素を含まないことを特徴とする油中水型乳化化粧料。 前記(A)成分が、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の油中水型乳化化粧料。 前記(B)成分のグンジョウの化学式がNa7Al6Si6O24S4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。 前記成分(A)が、油中水型乳化化粧料全体中0.05〜2重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。 【課題】ピンク色から青色の鮮やかな色を呈する無機顔料であるグンジョウを用いた変色、粘度変化について経時安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供する。【解決手段】(A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有する油中水型乳化化粧料であり、好ましくは(A)成分として硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含み、また(B)成分としてグンジョウの化学式がNa7Al6Si6O24S4である油中水型乳化化粧料である。【選択図】なし


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特許公報(B2)_油中水型乳化化粧料

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_油中水型乳化化粧料
出願番号:2007059916
年次:2012
IPC分類:A61K 8/26,A61K 8/23,A61K 8/20,A61K 8/06,A61Q 1/02,A61Q 1/04,A61Q 1/10


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住吉 明希子 粂井 貴行 JP 5108337 特許公報(B2) 20121012 2007059916 20070309 油中水型乳化化粧料 株式会社ファンケル 593106918 児玉 喜博 100105061 佐藤 荘助 100150681 長谷部 善太郎 100122954 住吉 明希子 粂井 貴行 20121226 A61K 8/26 20060101AFI20121206BHJP A61K 8/23 20060101ALI20121206BHJP A61K 8/20 20060101ALI20121206BHJP A61K 8/06 20060101ALI20121206BHJP A61Q 1/02 20060101ALI20121206BHJP A61Q 1/04 20060101ALI20121206BHJP A61Q 1/10 20060101ALI20121206BHJP JPA61K8/26A61K8/23A61K8/20A61K8/06A61Q1/02A61Q1/04A61Q1/10 A61K 8/26 A61K 8/06 A61K 8/20 A61K 8/23 A61Q 1/02 A61Q 1/04 A61Q 1/10 特開昭61−236862(JP,A) 特開平11−124314(JP,A) 特開平07−133210(JP,A) 特開平03−163172(JP,A) 4 2008222586 20080925 9 20100210 八次 大二朗 グンジョウを配合した油中水型乳化化粧料に関する。 従来、化粧料には皮膚を着色するために着色顔料が配合されている。この着色顔料には主にカルミンなどの天然物、赤226号などの有機タール系色素、酸化鉄などの無機顔料がある(特許文献1)。天然物については原料の安定供給や品質の安定化が困難であり、有機タール系色素については皮膚への感作性が報告されていることから安全性について懸念があった(特許文献2)。一方、無機顔料については安定供給や素材の安全性については問題ないものの、色の種類が限られており、化粧料に鮮やかな着色をすることが困難であった。 このような背景から、有機タール系色素に無機粉体を被覆した複合化物(特許文献3)などが提案されている。特許第2902843号公報特許第2758496号公報特開第2001−234090号公報 ピンク色から青色の鮮やかな色を呈する無機顔料であるグンジョウを用いた粘度変色、粘度変化について経時安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。 本願発明の主な構成は次のとおりである。(1)(A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、二価の金属塩が化粧料全体中0.05〜2重量%であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。(2)(A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、二価の金属塩が化粧料全体中0.05〜2重量%であり、有機タール系色素を含まないことを特徴とする油中水型乳化化粧料。(3)前記(A)成分が、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の油中水型乳化化粧料。(4)前記(B)成分のグンジョウの化学式がNa7Al6Si6O24S4であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。 無機顔料でありながら鮮やかなピンク色から青色を呈するグンジョウを配合し、変色、粘度変化について優れた経時安定性を有する油中水型乳化化粧料を提供することができた。 皮膚感作性の懸念のある有機タール系色素を用いずに、鮮やかな発色の油中水型乳化化粧料を提供できる。 成分(A)について 本発明に用いる二価の金属塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが好ましく、特に硫酸マグネシウムが好ましい。 本発明の二価の金属塩の配合量は、0.05〜2.00質量%が好ましい。0.05%未満では安定性が十分ではなく、2.00質量%を超えて配合した場合、経時的に析出する可能性があるとともに、安定性効果はあまり向上しない。 成分(B)について グンジョウは化粧品原料として「複合スルホケイ酸アルミニウムナトリウムであり、組成により様々な色調を呈する。」と定義されている。 本発明に用いるグンジョウとしては、化学式、NaxAl6Si6O24S4(xが6〜8)が挙げられ、特に、化学式、Na7Al6Si6O24S4であるグンジョウ(例えばUNIPURE PINK LC589:大東化成工業(株)製等)が鮮やかなピンク色を呈するので好ましい。 化学式、Na6Al6Si6O24S4であるグンジョウは、例えば、群青CB−80:第一化成工業(株)製、ダイイチピンクDP−3:第一化成工業(株)製等がある。 UNIPURE PINK LC589、群青CB−80及びダイイチピンクDP−3を分光色差計で測色した。結果を表1に示す。 ここで、彩度(C)及び彩度中の赤み(A)は以下の式で計算した。 彩度(C)=[(a*)2+(b*)2]1/2 彩度中の赤み(A)=a*/C 化学式Na7Al6Si6O24S4であるグンジョウUNIPURE PINK LC589は彩度中の赤みが大きく、鮮やかなピンク色を裏付けている。また、明度が高く、明るい発色である。 これらのグンジョウは、シリコーン類によって表面処理されたグンジョウを用いることが好ましい。表面処理剤としてシリコーン類は特に限定されず、ジメチコン、メチコン等が挙げられる。グンジョウへの表面処理方法は特に限定されず、乾式法又はスプレードライ法、湿式法等が挙げられる。乾式法は、粉体と処理剤を乾いた状態で混合後、焼き付ける方法である。スプレードライ法は処理剤を溶媒で溶解し、粉体と混合分散させ、噴霧状にしたものを熱風中に噴出させる方法である。湿式法は処理剤を溶媒で溶解し、粉体と混合分散し、乾燥させる方法である。なお、表面処理されたグンジョウを前記した各社より入手することができる。 本発明の油中水型乳化化粧料には、体質顔料、有機粉末、パール剤、無機顔料等を用いることができる。例えば、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、スチレンパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、デンプン、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム、雲母チタン、酸化チタン、酸化鉄雲母チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。 本発明の油中水型乳化化粧料には、さらに、多価アルコールを使用することができ、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等が例示できる。 また、本発明の油中水型乳化化粧料には、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、ロウ、動植物油等の化粧料に通常用いられる油剤を用いることができる。シリコーン油としては、ジメチコン、環状シリコーン、揮発性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンゲル、アクリルシリコーン等が挙げられる。 さらに、本発明の油中水型乳化化粧料には、界面活性剤として非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。 本発明の油中水型化粧料には、発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に通常用いられている成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、保香剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤その他の美容成分、薬効成分などを配合することができる。 本発明は、安全性に優れる無機顔料であるグンジョウを配合したピンク色から青色の鮮やかな色を呈する化粧料を提供する。そして、本発明は、安全性が懸念される有機タール系色素を用いずに、皮膚に対して安全でありかつピンク色から青色の鮮やかな色を呈するグンジョウを配合し、変色、粘度変化について経時安定性に優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。 本発明の化粧料としては、メーキャップベース、リキッドアイシャドウ、クリームアイシャドウ、リキッドチークカラー、クリームチークカラー、マスカラ、リキッドアイライナー、リップスティック、リップグロスなどが挙げられる。 本発明を利用した油中水型乳化化粧料を調製し、測色試験、粘度測定試験及び実使用試験を行った。[測色試験] 試料を調製した直後に分光色差計で測色し、初期値とする。試料作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過後のものについて分光色差計にて測色する。初期値と1ヶ月後の測色値の色差(ΔE)が小さいほど変色が少ないと評価した。変色の評価基準を以下に示す。 ○:ΔE<1.0 変色が殆どない △:1.0≦ΔE<2.0 少し変色している ×:2.0≦ΔE 明らかに変色している[粘度測定試験] 試料を調製した直後にB型粘度計にて粘度を測定し、初期粘度とする。さらに、試料作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過したものについてもB型粘度計にて粘度を測定し、次の式により粘度変化率を求めた。 粘度変化率(%)=(1ヶ月後の粘度−初期粘度)/初期粘度×100粘度安定性の評価基準を以下に示す。 ○:粘度変化率の絶対値が20%未満 粘度変化が使用感触に殆ど影響しない △:粘度変化率の絶対値が20%以上50%未満 粘度変化が使用感触にわずかに影響する ×:粘度変化率の絶対値が50%以上 粘度変化が使用感触に影響する[実使用試験] 女子被験者(25〜40歳)20人に本発明の作成直後の油中水型乳化化粧料、及び作成から40℃恒温保管下で1ヶ月経過した油中水型乳化化粧料を使用させて、色の違いと塗布感触の違いを総合的に官能評価し、以下の評価基準に準じて判定した。 ◎:20人中、18名以上が使用感に差がないと評価した。 ○:20人中、14名以上17名以下が使用感に差がないと評価した。 △:20人中、10名以上13名以下が使用感に差がないと評価した。 ×:20人中、9名以下が使用感に差がないと評価した。〔実施例1〜5、比較例1〜6、参考例1〜3〕 表2の各成分について下記製造方法によりメーキャップベースを調整し、各試験を行った。結果を表2に示す。 (メーキャップベースの製造方法)(a):成分15〜24を80℃に加熱し、均一に混合する。(b):成分1〜14を均一に混合する。(c):bにaを添加して乳化混合し、室温まで冷却する。 なお、表2成分8のシリコーン処理群青のUNIPURE PINK LC589はNa7Al6Si6O24S4の構造を有し、表2成分9のシリコーン処理群青の群青CB-80及び成分10のシリコーン処理群青のSA−DP3のグンジョウはNa6Al6Si6O24S4の構造を有する。 グンジョウを配合していない参考例1〜3は、金属塩として硫酸マグネシウム(参考例1)、塩化ナトリウム(参考例2)を配合しても、また、金属塩を配合しない(参考例3)場合であっても、変色は殆ど生じず、顕著な粘度変化は生じなかった。 一方、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合した場合は金属塩を配合しない場合(比較例6)に明らかな変色を生じ、顕著な粘度低下が生じた。乳化安定剤として塩化ナトリウムを配合した(比較例1〜3)及び塩化カリウムを配合した比較例4は変色、粘度低下がともに生じており、実使用試験においても経時安定性が劣ると判定された。硫酸ナトリウムを配合した比較例5では、粘度変化の経時安定性は優れているが、変色が顕著であった。 しかしながら、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合し、かつ、金属塩として二価の金属塩を配合した実施例1〜5では、変色が殆ど生じなかった。さらに、金属塩として硫酸マグネシウムを配合した実施例1〜3では粘度変化も殆ど生じなかった。塩化マグネシウムを配合した実施例4、塩化カルシウムを配合した実施例5ではわずかに使用感触に影響を与える程度の粘度低下を生じたものの、殆ど変色しておらず、実使用上経時安定性に優れるものであった。〔実施例6、比較例7〜10〕 表3の各成分について下記製造方法によりクリームアイシャドウを調整し、各試験を行った。結果を表3に示す。 (クリームアイシャドウの製造方法)(a):成分4〜9を80℃に加熱し、均一に混合する。(b):成分1〜3、成分11〜16をaに添加して混合する。(c):成分17〜21を80℃に加熱し、均一に混合した後、これをbに添加して乳化混合して室温まで冷却する。 なお、表3成分12のシリコーン処理グンジョウ及び表3成分13の未処理グンジョウに使用されているUNIPURE PINK LC589はNa7Al6Si6O24S4の構造を有する。 シリコーン類で表面処理したグンジョウと乳化安定剤として硫酸マグネシウムを配合した実施例6では変色、粘度変化ともに殆ど生じなかったが、表面処理を施していないグンジョウを配合した場合は、金属塩として硫酸マグネシウム(比較例7)あるいは塩化ナトリウム(比較例9)を配合しても顕著な変色、粘度低下を生じた。シリコーン類で表面処理したグンジョウと塩化ナトリウムを配合した比較例8、シリコーン類で表面処理したグンジョウを配合し、金属塩は配合していない比較例10においても、顕著な変色、粘度低下を生じた。 処方例1 メーキャップベース 1.シクロメチコン 10 2.ジメチコン 30 3.ポリエーテル変性シリコーン 6 4.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 1 5.シリコーン処理酸化チタン 7 6.シリコーン処理酸化鉄 0.5 7.シリコーン処理酸化亜鉛 1 8.シリコーン処理群青 2 9.パルミチン酸デキストリン 0.5 10.ポリメタクリル酸メチル 4 11.シリカ 2 12.1,3−ブチレングリコール 5 13.硫酸マグネシウム 2 14.水 残余 成分12〜14を80℃で均一に混合する(aとする)。1〜11を常温で均一に混合する(bとする)。bに常温に冷却したaを添加して乳化混合する。 処方例2 メーキャップベース 1.シクロメチコン 0.5 2.スクワラン 5 3.イソノナン酸イソトリデシル 10 4.ポリエーテル変性シリコーン 0.5 5.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 2 6.シリコーン処理酸化チタン 3 7.シリコーン処理酸化鉄 0.2 8.シリコーン処理酸化亜鉛 0.3 9.シリコーン処理群青 1 10.パルミチン酸デキストリン 0.5 11.ポリメタクリル酸メチル 2 12.シリカ 1 13.1,3−ブチレングリコール 5 14.グリセリン 2 15.硫酸マグネシウム 0.05 16.水 残余 成分13〜16を80℃で均一に混合する(aとする)。1〜12を常温で均一に混合(bとする)する。bに常温に冷却したaを添加して乳化混合する。 (A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、二価の金属塩が化粧料全体中0.05〜2重量%であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。 (A)二価の金属塩、(B)シリコーン類で表面処理されたグンジョウを含有し、二価の金属塩が化粧料全体中0.05〜2重量%であり、有機タール系色素を含まないことを特徴とする油中水型乳化化粧料。 前記(A)成分が、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の油中水型乳化化粧料。 前記(B)成分のグンジョウの化学式がNa7Al6Si6O24S4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油中水型乳化化粧料。


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