タイトル: | 公開特許公報(A)_軸受のグリース寿命予測方法 |
出願番号: | 2007059663 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01M 13/04,F16C 33/66,G01N 17/00,G01N 33/30 |
木野内 一宏 JP 2008224272 公開特許公報(A) 20080925 2007059663 20070309 軸受のグリース寿命予測方法 日本精工株式会社 000004204 森 哲也 100066980 内藤 嘉昭 100075579 崔 秀▲てつ▼ 100103850 木野内 一宏 G01M 13/04 20060101AFI20080829BHJP F16C 33/66 20060101ALI20080829BHJP G01N 17/00 20060101ALI20080829BHJP G01N 33/30 20060101ALI20080829BHJP JPG01M13/04F16C33/66 ZG01N17/00G01N33/30 2 1 OL 4 2G024 2G050 3J101 3J701 2G024AC02 2G024BA12 2G024CA30 2G024FA02 2G050AA02 2G050BA10 2G050EB10 2G050EC05 3J101CA11 3J101EA63 3J101FA31 3J701CA11 3J701EA63 3J701FA31 本発明は、軸受のグリース寿命予測方法に関する。 グリースによる潤滑性能の劣化は軸受寿命に大きな影響を与えるため、正確に把握する必要がある。特に、近年需要の高い高速・高温用として優れたウレア系グリースなどのグリース寿命の重要である。 従来のグリース寿命予測方法としては、軸受の使用前に新品のグリースの性状と軸受の使用条件とからグリース寿命を求める方法や、グリースの劣化度合いを主に酸価(油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要なKOHのmg数)の増大量で評価する方法がある。 使用開始後の測定データを用いた例としては、下記の特許文献1に記載された方法がある。この方法では、使用開始後の軸受から採取したグリースを別の軸受に入れて加速試験を行い、この試験後に測定したグリースのちょう度、潤滑油分離率、鉄分含有率を判断基準として、グリースの残りの寿命を推定している。 下記の特許文献2には、実験値をもとに統計学的解析を行ってグリース寿命予測式を作成する方法が記載されている。この方法では、真空用グリースを対象に、予め寿命到達までの実験を行って軸受寿命時のグリース質量を求めるとともに、寿命に至る前の段階で寿命要因を組み合わせた複数の条件で行って、寿命要因とグリース減少量と経過時間との関係を求め、これに基づいてグリース寿命予測式を作成している。 下記の非特許文献1および2では、ウレア系グリースおよびリチウム石鹸系グリースを対象とした耐久試験結果に基づいて、軸受温度、荷重、速度をパラメータとしたグリース寿命式が提案されている。 下記の非特許文献3には、軸受回転途中のグリース劣化状態を調査した結果、グリース漏れ率や油分離率などの物理的劣化が、酸化などの化学的劣化よりも、試験時間に対して良好な相関関係を示すことが記載されている。特開2004−85451号公報特開2005−233657号公報伊藤・小泉・中、「密封玉軸受用グリースの寿命式」、NSK Technical Journal No.660(1995)p.8 〜14川村・南・平田、「密封玉軸受のグリース寿命予測」、NSK Technical Review No.69(2001)p.76〜81中、「NSKにおける潤滑グリースの研究開発」、NSK Technical Journal No.667(1999)p.8 〜14 グリース寿命には、様々な要因が複雑な形で影響を与えているため、グリース寿命を理論的に正確に予測することは難しい。実際には、上記非特許文献1および2に示すように、軸受ユニットを対象としたグリース耐久試験によって得られたグリース寿命値を参考に、グリースの耐久性が検討されていることが多い。 しかし、一つのグリースについて耐久試験を行って寿命データが得られるまでに要する期間は、高温、高速、高荷重などの過酷な条件では通常数週間以上、条件が緩やかな場合には数カ月程度と時間がかかり、迅速にグリース寿命を予測することとは難しい。そのため、緊急時には、既存のグリース寿命試験のデータベースから得られた計算寿命を参照して、グリース寿命対策が施されるが、信頼度の点で不安が残る場合もある。 本発明の課題は、迅速且つ簡単でありながら、高い信頼性でグリース寿命を予測できる方法を提供することである。 上記課題を解決するために、本発明は、グリース潤滑で一定時間使用した軸受からのグリース漏れ量と、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命と、の関係を示す回帰直線を用意するとともに、軸受をグリース潤滑で一定時間使用して、その間にこの軸受から漏れたグリース量を測定し、この測定値から前記回帰直線を用いて、この軸受のグリース寿命を予測することを特徴とする軸受のグリース寿命予測方法を提供する。 グリース潤滑された軸受は、稼働初期に内部のグリースが攪拌されたり余分なグリースが排出されたりすることで、摩擦トルクが徐々に減少して、安定した回転状態となる。稼働初期におけるグリース漏れは、グリースの攪拌やせん断に起因した一時的な初期の温度上昇に起因して生じ、その後の潤滑状態に影響を与え(潤滑不良やグリース枯渇を引き起こすなど)、グリース寿命に影響及ぼすと考えられる。 本発明では、この初期漏れ量(グリース潤滑で一定時間使用した軸受からのグリース漏れ量)をグリース寿命の判断基準として設定している。そして、グリース潤滑で一定時間使用した軸受からのグリース漏れ量は、グリースを含む軸受ユニットの質量を使用前と一定時間後に測定することで、簡単に調べることができる。 したがって、本発明の方法によれば、迅速且つ簡単にグリース寿命を予測することができる。 また、本発明の方法では、相関係数が絶対値で0.83以上の回帰直線を使用することにより、高い信頼性でグリース寿命が予測できる。 本発明の方法によれば、迅速且つ簡単でありながら、高い信頼性でグリース寿命を予測することができる。 以下、本発明の実施形態について説明する。 玉軸受をウレア系グリースで潤滑した場合、回転開始から20時間後の漏れ量と、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命を調べた結果、両者に相関があることが分かっている。特に、150℃以上の高温で回転させた場合に相関性が高いことを確認している。図1は、その一例を示すグラフであり、この回帰直線は相関係数の絶対値が0.83以上であった。 したがって、先ず、回転開始前と回転開始から20時間後に軸受ユニットの質量を測定し、その差からグリースの漏れ量を算出して、その算出値をグリース封入量(軸受に入れたグリースの質量)で除算して、グリース漏れ率を計算する。そして、このグリース漏れ率から、図1のグラフを用いて、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命を予測することができる。これにより、迅速且つ簡単に、しかも高い信頼性でグリース寿命を予測することができる。実施形態の回帰直線を示すグラフである。 グリース潤滑で一定時間使用した軸受からのグリース漏れ量と、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命と、の関係を示す回帰直線を用意するとともに、 軸受をグリース潤滑で一定時間使用して、その間にこの軸受から漏れたグリース量を測定し、この測定値から前記回帰直線を用いて、この軸受のグリース寿命を予測することを特徴とする軸受のグリース寿命予測方法。 相関係数が絶対値で0.83以上の回帰直線を使用することを特徴とする請求項1記載の軸受のグリース寿命予測方法。 【課題】迅速且つ簡単でありながら、高い信頼性でグリース寿命を予測できる方法を提供する。【解決手段】グリース潤滑で一定時間使用した軸受からのグリース漏れ量と、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命と、の関係を示す回帰直線を用意するとともに、軸受をグリース潤滑で一定時間使用して、その間にこの軸受から漏れたグリース量を測定し、この測定値から前記回帰直線を用いて、この軸受をそのまま使用し続けた時のグリース寿命を予測する。【選択図】図1