生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法
出願番号:2007051207
年次:2008
IPC分類:C12N 15/09,C12N 9/02,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

コン、クァンフン JP 2008073032 公開特許公報(A) 20080403 2007051207 20070301 膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法 チュンアンテハッキョ、サンハクヒョプリョクダン 507068291 Chung−Ang University Industry−Academy Cooperation Foundation 中尾 俊輔 100081282 伊藤 高英 100085084 畑中 芳実 100095326 大倉 奈緒子 100115314 玉利 房枝 100117190 鈴木 健之 100120385 磯田 志郎 100123858 高橋 洋平 100148068 コン、クァンフン KR 10-2006-0091308 20060920 C12N 15/09 20060101AFI20080307BHJP C12N 9/02 20060101ALI20080307BHJP C12N 1/15 20060101ALI20080307BHJP C12N 1/19 20060101ALI20080307BHJP C12N 1/21 20060101ALI20080307BHJP C12N 5/10 20060101ALI20080307BHJP JPC12N15/00 AC12N9/02C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 A 8 1 OL 16 4B024 4B050 4B065 4B024AA01 4B024BA08 4B024CA04 4B024CA09 4B024CA11 4B024CA20 4B024DA01 4B024DA02 4B024DA05 4B024DA06 4B024DA11 4B024EA04 4B024GA11 4B024HA01 4B050CC03 4B050DD11 4B050FF11C 4B050LL01 4B065AA26X 4B065AB01 4B065AC14 4B065BA02 4B065CA28 4B065CA44 本発明は、組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法に関し、より詳しくは、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子を発現させ、分離、精製した組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法に関する。 皮膚におけるメラニン色素の形成と表面沈着は自然現象にして、太陽光に含まれている有害な紫外線から身体を保護しようとする一種の人体防御システムである。皮膚に存在する高分子性メラニン色素は紫外線を吸収して熱エネルギーに変換して分散させ、さらに、紫外線が皮膚の脂質に作用して生成した自由ラジカルと皮膚細胞に、酸化による損傷を誘発する他の分子等を吸収することにより、身体を防御するようになる。 遺伝的にメラニン色素が不足な皮膚は紫外線に露出された場合、皮膚角質層の厚さが厚くなり、この角質層の蛋白質が紫外線を散乱させるか又は分散させ、人体を防御するようになる。一般的な人体の場合、皮膚に紫外線が照射されると、皮膚の基底層に存在するメラニン形成細胞は直ちにメラニンを生成し、生成されたメラニンはケラチン形成細胞に伝達され、表皮上部に運搬され、皮膚は紫外線遮断膜(紫外線遮断指数(SPF:Sun protection factor)3乃至5)が形成されて黒色に変化するようになる。しかしながら、生成されたメラニン色素が均一に分散されておらず、非正常的に塊になっている場合に、シミとそばかす等の症状が現れる。 このようにメラニン形成細胞において、メラニンを合成する際にチロシナーゼが作用するようになり、チロシナーゼはメラニン生成初期にアミノ酸の一種であるチロシン(ヒドロキシフェニルアラニン)に作用してジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)の形成を誘発し、引き続きジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)の酸化を促進し、キノン(ドパキノン:DOPA Quinone)に変形させる。このように生成されたドパキノンは一連の段階を経てメラニンが生成される。 チロシナーゼ(Tyrosinase,monophenol monooxgenase, EC 1.14.18.1)は哺乳動物、植物等に広く分布し、植物性チロシナーゼは果物及び野菜の加工の際に褐変する現象に関与している。哺乳動物のチロシナーゼは皮膚、毛嚢、目等に分布するメラニン形成細胞(melanocyte)に含まれ、紫外線による損傷を防御する役割をする。今まで複数種の生物体より多くのチロシナーゼが分離、精製され、その中で茸と鼠から分離されたチロシナーゼの構造及び機能に対する研究が最も活発になされた(Laskinand Paccinini, J. Biol. Chem. 261: 16626-16635, 1986; Mayer, Phytochem. 26:11-20, 1987; Jimenez-Cervantes et al., Pigment Cell Res. 6: 394-399, 1993;Sanchez-Ferrer et al., Biochim Biophys Acta. 1247: 1-5, 1995; Della Longa etal., J. Biol. Chem. 35: 21025-21030, 1996)。 チロシナーゼは活性部位に一対の銅イオンを含んでいる金属含有蛋白質(metalloprotein)である。人体に存在するチロシナーゼは分子量が約66,000Daであり、疎水性信号ペプチドを除外すれば548個のアミノ酸で構成されており、分子量は62,150Daである。チロシナーゼは下記反応式1の通り、モノヒドロキシフェノール(monohydroxyphenol)をO−ジヒドロキシフェノール(dihydroxyphenol)に転換させる水酸化(hydroxylation)反応を触媒するチロシン水酸化酵素活性(tyrosinehydroxylase activity)と、O−ジヒドロキシフェノールをO−キノン(quinone)に酸化させる反応を触媒するドパ酸化酵素活性(DOPAoxidase activity)を有する(Mason, Annu Rev. Biochem. 34: 105-184, 1965)。 人間チロシナーゼは黒色種細胞(melanoma cell)から分離され(Wittbjer, Acta Derm. Venereol. 69: 125-131,1989; Wittbjer, Acta Derm. Venereol. 70: 291-294, 1990)、米国特許(USP 4,898,814;1990:特許文献1)には人間チロシナーゼの生成を誘導するcDNAを発見してその塩基配列が開示されている。国際特許(WO 90/12869)には非メラニン生成細胞型眞核細胞(non-melanocyticeucaryotic cell)を利用して活性人間チロシナーゼを生産する方法を記述しているところ、人間チロシナーゼを誘導するDNAをレトロウィルス(retrovirus)等のような適切な発現ベクトルに挿入して新たな形質転換ベクトルを生産した後、これをさらに、繊維芽細胞(fibroblast)等のような眞核細胞に導入後、導入された細胞を培養後分離、精製して人間チロシナーゼを製造する方法が開示されている。 しかしながら、前記方法は人間チロシナーゼを形成するDNAをレトロウィルス(retrovirus)のような発現ベクトルに導入し、これをさらに繊維芽細胞に導入した後、細胞培養によりチロシナーゼを増量させた後、細胞膜を破砕し、複数の付属器官が存在する細胞内原形質において人間チロシナーゼを分離精製することにより、技術的に複雑で難しく大量生産による商業化が困難な短所があった。 一方、本発明者は、先行研究を通じて大腸菌を利用した組み換え人間チロシナーゼの製造方法を特許出願(韓国特許出願2001−0057379号、韓国特許出願2002−0073728号)している。しかしながら、前記記述された方法はDEAE−セパセルイオン交換クロマトグラフィーを利用して1次精製後、His・バインドレジンクロマトグラフィーで2次精製することにより、精製収率が減少する短所があった。 ここに、本発明者は、組み換え人間チロシナーゼの生産方法を研究している最中、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子を発現させる場合、不溶性凝集体の形成無しに高い酵素活性を有する組み換え人間チロシナーゼを生産することができ、His・バインドレジンクロマトグラフィーで1次精製のみを実施しても、精製収率が向上する効果を確認することにより本発明を完成した。USP 4,898,814 したがって、本発明の目的は、組み換え人間チロシナーゼ及びこれの生産方法を提供することである。 前記目的を達成するために、本発明は、配列番号2で表示されるアミノ酸配列を有する人間チロシナーゼを提供する。 本発明はさらに、前記人間チロシナーゼを暗号化するポリヌクレオチドを提供する。 本発明はさらに、前記ポリヌクレオチドを含む組み換えベクトル及び前記ベクトルで形質転換された細菌を提供する。 本発明はさらに、前記形質転換大腸菌を培養及び精製することを含む人間チロシナーゼの生産方法を提供する。 本発明では、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子を発現させ、分離精製した組み換え人間チロシナーゼを生産した。本発明による生産方法は、不溶性凝集体(inclusion body)の形成無しに高い酵素活性を示す組み換え人間チロシナーゼを大量生産できる優れた効果があり、精製工程が簡単で精製収率が向上される効果があるので、生物医薬、食品、化粧品、化学工業等の多様な産業分野で有用に用いられる。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、組み換え人間チロシナーゼを提供する。より具体的に、配列番号2で表示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする人間チロシナーゼを提供する。 前記組み換え人間チロシナーゼの酵素学的特性を整理すると、下記の通りである。1)分子量:53kDa2)非活性度(specificactivity)・チロシン水酸化酵素(tyrosine hydroxylase)活性に対する非活性度:108.3±2.10μmol/mg/h・ドパ酸化酵素(DOPAoxidase)活性に対する非活性度:807units/mg3)基質に対するKm値・L−チロシン(L-tyrosine):1.32μM・L−ドパ(L-DOPA):0.34mM 本発明の組み換え人間チロシナーゼは、人間チロシナーゼアミノ酸配列の内、膜貫通(transmembrane)部位が除去された蛋白質にして、人間チロシナーゼの全体の遺伝子配列は、M27160に記述されており、N末端のシグナル配列(signalsequnce)とC末端の膜貫通部位を除いた557番塩基配列から1924番塩基配列により暗号化された蛋白質である。 本発明において人間チロシナーゼ配列の内“膜貫通(transmembrane)域が欠失”されたということは、人間チロシナーゼ配列の内、カルボキシル末端から55個のアミノ酸が欠失されたことをいう。 前記のような特性を有する本発明の組み換え人間チロシナーゼは、配列番号2で表示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドの場合であることもあり得る。さらに、本発明で組み換え人間チロシナーゼは前記ポリペプチドの機能的同等物を含む。前記機能的同等物とは、アミノ酸の付加、置換又は欠失の結果、配列番号2で表示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上の配列相同性を有するものにして、本発明の膜貫通(transmembrane)部位が除去された組み換え人間チロシナーゼと実質的に同質の生理活性を示すポリペプチドをいう。ここで、“実質的に同質の生理活性”とは、チロシン水酸化酵素活性及びドパ酸化酵素活性を意味する。 前記機能的同等物には、例えば、配列番号2で表示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドのアミノ酸の内、一部が置換されたり、又は欠失或いは付加されたりしたアミノ酸配列変形体が含まれる。アミノ酸の置換は好ましくは保存的置換である。天然に存在するアミノ酸の保存的置換の例は次の通りである;脂肪属アミノ酸(Gly, Ala, Pro)、疎水性アミノ酸(Ile, Leu, Val)、芳香族アミノ酸(Phe, Tyr, Trp)、酸性アミノ酸(Asp,Glu)、塩基性アミノ酸(His, Lys, Arg, Gln, Asn)及び硫黄含有アミノ酸(Cys, Met)。 アミノ酸の欠失は、好ましくは本発明の組み換え人間チロシナーゼの活性に直接関与しない部分に位置する。さらに、本発明の機能的同等物の範囲には、本発明に伴う組み換え人間チロシナーゼの基本骨格及びその生理活性を維持しながらポリペプチドの一部化学構造が変形されたポリペプチド誘導体も含まれる。例えば、本発明のポリペプチドの安定性、貯蔵性、揮発性又は溶解度等を変更させるための構造変更がこれに含まれる。 さらに、本発明の組み換え人間チロシナーゼは、膜貫通部位が除去された天然型アミノ酸配列を有する人間チロシナーゼのみならず、そのアミノ酸配列変異体も含む。人間チロシナーゼの変異体とは、膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ天然アミノ酸配列と、一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的若しくは保全的置換又はこれらの組み合わせにより相異した配列を有する蛋白質を意味する。分子の活性を全体的に変更させない蛋白質及びペプチドにおける、アミノ酸交換は当該分野で公知されている(H. Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。最も通常的に起こる交換はアミノ酸残基Ala/Ser,Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly,Thy/Phe, Ala/Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu, Asp/Gly間の交換である。 さらに、場合によってはリン酸化(phosphorylation)、硫黄化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylaion)、メチル化(methylation)、ファネシル化(farnesylaion)等で修飾(modification)されることもあり得る。 さらに、本発明は前記膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼを暗号化するポリヌクレオチドを提供する。好ましく前記ポリヌクレオチドは配列番号1で表示される塩基配列を有するDNA又はRNAの場合もあり得る。前記ポリヌクレオチドは自然の中で分離されるか又は化学的合成法により製造することもできる。 本発明はさらに、人間チロシナーゼを暗号化するポリヌクレオチドを含む組み換えベクトルを提供する。本発明で“組み換えベクトル”とは、適当な宿主細胞において目的蛋白質又は目的RNAを発現できるベクトルにして、遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された必須的な調節要素を含む遺伝子作製物をいう。 本発明において、用語“作動可能に連結された(operably linked)”は一般的な機能を行うように核酸発現調節配列と目的とする蛋白質又はRNAをコーディングする核酸配列が機能的に連結(functionallinkage)されていることをいう。例えば、プロモーターと蛋白質又はRNAをコーディングする核酸配列が作動可能に連結され、コーディングする核酸配列の発現に影響を及ぼし得る。組み換えベクトルとの作動的連結は、当該技術分野で公知された遺伝子組み換え技術を利用して製造することができ、部位−特異的DNA切断及び連結は当該技術分野において一般的に公知された酵素等を用いる。 本発明のベクトルはプラスミドベクトル、コズミドベクトル、バクテリオファージベクトル及びウィルスベクトル等を含むものの、これらに制限されない。適切な発現ベクトルはプロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びインハンサーのような発現調節エレメントの他にも、膜標的化又は分泌のためのシグナル配列又はリーダー配列を含み、目的により多様に製造できる。ベクトルのプロモーターは構成的又は誘導的の場合もある。 さらに、発現ベクトルはベクトルを含む宿主細胞を選択するための選択マーカーを含み、複製可能な発現ベクトルの場合複製起源を含む。シグナル配列には宿主が大腸菌の場合は、PhoAシグナル配列、OmpAシグナル配列等が、宿主がバシラス属菌の場合はα−アミラーゼシグナル配列、サブチリシンシグ ナル配列等が、宿主が酵母の場合にはMFαシグナル配列、SUC2シグナル配列等が、宿主が動物細胞の場合はインシュリンシグナル配列、α−インタフェロンシグナル配列、抗体分子シグナル配列等を利用できるものの、これらに制限されない。 本発明の一実施例では、蛋白質の精製を容易にする目的で、組み換え人間チロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含ませて発現させるために、His Tag配列を有しているpET26B(+)ベクトル(Novagen)を用いた。 本発明はさらに、前記組み換えベクトルで形質転換された形質転換体を提供する。形質転換は核酸を有機体、細胞、組織又は器官に導入するあらゆる方法も含まれ、当分野で公知された通り、宿主細胞により適切な標準技術を選択して行える。このような方法には電気衝撃遺伝子伝達法(electroporation)、原形質融合、リン酸カルシウム(CaPO4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl2)沈殿、シリコンカーバイト繊維を利用した撹拌、アグロバクテリアが媒介された形質転換、PEG、デキストラン硫酸、リポフェクトアミン等が含まれるものの、これに制限されない。 宿主細胞によって蛋白質の発現量と修飾等が異なって現れるので、目的に最も適合した宿主細胞を選択して用いれば良い。宿主細胞には大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、プロテウス菌(Proteusmirabilis)又はブドウ球菌(Staphylococcus)のような原核宿主細胞があるものの、これらに制限されるものではない。さらに、眞菌(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)、酵母(例えば、ピキア酵母(Pichiapastoris)、サカロマイセスセルビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces)、アカパンカビ(Neurosporacrassa)等のような下等眞核細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物等を含む高等眞核生物由来の細胞を宿主細胞として利用できるものの、好ましくは大腸菌である。 本発明はさらに、本発明の膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子を含む組み換えベクトルが導入された形質転換体を培養及び精製することを含む 組み換え人間チロシナーゼの生産方法を提供する。 前記方法は、前記形質転換された宿主細胞内で本発明の組み換え人間チロシナーゼをコーディングする、ポリヌクレオチドが発現されるように適切な培地及び条件下で培養することを含む。前記形質転換された細胞を培養して組み換え蛋白質を発現させる方法は当業界に公知されており、例えば、形質転換された細胞が成長できる適切な培地に接種して種培養後、これを本培養用培地に接種し、適合した条件で培養することにより蛋白質の発現を誘導することができる。以降、前記形質転換された細胞で発現が誘導された本発明の人間チロシナーゼの分離及び精製は、当業界に公知された多様な分離及び精製方法を通じて行うことができ、例えば、前記細胞を溶解後、溶解物を遠心分離して塩析(硫酸アンモニウムの沈澱及びリン酸ナトリウムの沈澱)、溶媒沈澱(アセトン、エタノール等を利用した蛋白質の分劃沈澱)、透析、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆状カラムクロマトグラフィー及び親和性クロマトグラフィー等の技法を単独又は組み合わせで適用させ、本発明の組み換え人間チロシナーゼを生産できる(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold SpringHarbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., MolecularCloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor LaboratoryPress(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology,vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990))。 本発明の一実施例では組み換え人間チロシナーゼを生産するために、発現ベクトルpET−hTyrosinase(TM−)を導入した大腸菌を培養して、膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの発現を誘導し、前記菌を破砕して遠心分離し、上澄液を収得し、これをHis・バインドレジンクロマトグラフィー(His・Bind Resin chromatography, Novagen)を利用して精製した。 上述の通り、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの生産方法は、DEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーを利用する精製過程が不要であることを特徴とする。His・バインドレジンクロマトグラフィーを利用するためには組み換え蛋白質に人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含ませて発現させるものの、蛋白質の固有構造により、6個のヒスチジンが部分的に隠される場合、His・バインドレジンクロマトグラフィーで精製の際、低いモル(mole)数のイミダゾールで精製しなければならない。本発明者の先行研究(大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2))において製造されたpET−hTyr発現ベクトルを利用して、大腸菌で生産された組み換え人間チロシナーゼの精製のためには、チロシナーゼのC末端に人為的に含ませた6個のヒスチジンが構造的に隠されるため、低いモル数のイミダゾールを利用して精製しなければならなかった。 低いモル数のイミダゾールの使用は、組み換え人間チロシナーゼの他に、別の不要な蛋白質の溶出を引き起し、したがってHis・バインドレジンクロマトグラフィーを利用する前に、DEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーを利用した精製過程が必要であった。しかしながら、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの場合、精製のための6個のヒスチジンが構造的に隠される問題が解決され、高いモル数のイミダゾールを用いることができ、それに伴いDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーの精製過程を行わずとも精製が可能となった。 さらに、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの生産方法は、不溶性凝集体を形成しないので、その生産過程で界面活性剤の使用が不要であることを特徴とする。膜貫通部位は一般的に疎水性残基等で構成されているものの、疎水性残基等はその物理的特性上、水溶液で疎水性残基等同志で結合しようとする。しかしながら、このような疎水性残基等で構成された膜貫通部位は界面活性剤(detergent)を利用すればある程度不溶性凝集体の形成を防げる。本発明者等が出願した先行技術(大韓民国特許出願第2002−0073728号)では界面活性剤として、1%トリトンX−100を用いてチロシナーゼ蛋白質の不溶性凝集体形成を防いだ。しかしながら、本発明ではチロシナーゼの膜貫通部位を除去することにより、大韓民国特許出願第2002−0073728号とは別に、1%トリトンX−100を用いずとも、不溶性凝集体の形成を防ぐことができて、高い酵素活性を有する人間チロシナーゼを生産することができた。 さらに、本発明の生産方法は蛋白質精製の際、ヒスチジンタグ(tag)を除去する別途の工程が不要であることを特徴とする。本発明では蛋白質の精製を容易にする目的で組み換え人間チロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含めて発現させるものの、本発明者等が出願した先行技術(大韓民国特許出願第2001−0057379号)ではヒスチジンをN末端に位置させることにより、チロシナーゼの活性に影響を与えてこれを除去する工程が必要であった。しかしながら、本発明者は前記ヒスチジンをC−末端に存在するようにベクトルシステムを構築することにより、チロシナーゼの活性に影響を与えないようにして、ヒスチジンを除去する工程が不要となった。 以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであることから、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものとは解釈されない。 <実施例1>膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子のクローニング及び発現<1−1>プライマー製作 プライマーはジーンバンク登録番号M27160に開示されたメラノマDNA(melanoma DNA)のチロシナーゼ(tyrosinase)を暗号化しているcDNA配列を基に製作した。N末端のシグナル配列とC−末端の膜貫通部位を除外した、つまり、M27160の557番塩基配列から1924番塩基配列まで合成されるようにプライマーを合成し、蛋白質合成のために、M27160配列の557番位置の塩基配列の前に、MetをコードしているATGをNプライマー内部に人為的に挿入した。さらに、E.coliコードン使用頻度(E.coli codon usage)を利用して蛋白質がよく合成されるように誘導するために、開始コードンATGの次のcat配列をcacに置換し、プライマーの配列内にNde IとXho Iの制限酵素の座が存在するように製作した。Nde IとXhoIサイトは下線で表示した。正方向プライマー(40mer):5'-GGAATTCCATATGCACTTCCCTAGAGCCTGTGTCTCCTCT-3'(配列番号3)。逆方向プライマー(31mer):5'-CCGCTCGAGCGGGATCCGACTCGCTTGTTCC-3'(配列番号4)。 <1−2> PCRによる膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子の増幅 膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子をクローニングするために、人体5'−ストレッチプラスcDNAライブラリー(human5'-stretch plus cDNA library, Clontech, Palo Alto CA, USA)を鋳型にしてPCRを行った。PCRは鋳型DNA100ng、0.8μMの正方向及び逆方向プライマー、最終濃度0.2mMのdNTP混合物(TaKaRa)、10×Z−Taq緩衝溶液5μL、Z−Taq重合酵素(TaKaRa)1μLを含む総嵩50μLのPCR反応液を利用して行われた。PCR反応は98℃で10秒;65℃で30秒;及び72℃で60秒を1サイクルとして、35回繰返し行った。以降、1%アガロスゲルで電気泳動を行い、増幅されたPCR産物を確認し、ジーングリーンキット(Genecleankit, BIO101)を利用してゲルよりDNAを抽出した。 <1−3> クローニング及び発現 増幅されたPCR産物のクローニング過程を図1に示した。まず、前記ゲルより抽出された1399bp大のDNA断片をライゲーション反応液(pGEM-T easy vector 0.3μL. 2×buffer 2.5μL. Ligase 0.5μL)と混合してpGEM−T Easyベクトル(Promega.USA)に挿入した。以降、42℃で40秒間熱衝撃(heat shock)を加えて前記チロシナーゼ遺伝子が挿入されたpGEM−T EasyベクトルをBL21star(DE3)に形質転換させた。前記形質転換後50μg/mLのアンピシリン(Ampicillin)が含まれた平板L−ブロツ(Broth)培地上に培養して形質転換された大腸菌を選別した。培養されたコロニーの中で一つを選び、再度液体L−ブロツ培地に培養し、これよりDNAを抽出した。 一方、本発明の組み換え人間チロシナーゼの精製を容易にする目的で、組み換え人間チロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含めて発現させようとした。このため、His Tag配列を有しているpET26B(+)ベクトル(Novagen)に人間チロシナーゼ遺伝子を挿入した。 まず、前記抽出されたNde IとXho Iで切断した後、pET26B(+)ベクトル(Novagen)のNde I/Xho Iの位置にT4 DNAライゲーズ(ligase)を利用して16℃で24時間反応させた。ライゲーションの結果生成された組み換え発現ベクトルを‘pET−hTyrosinase(TM−)’と命名した。以降、熱衝撃(42℃)を加えて前記 pET−hTyrosinase(TM−)をBL21(DE3)に導入させた。形質転換されたBL21(DE3)を50μg/mLのカナマイシンが含まれたLB−アガプレートで12時間培養した。以降、各プレートで育ったコロニーの中で一つを選び組み換え人間チロシナーゼの大量発現に利用した。本発明により形質転換された大腸菌で発現される組み換え人間チロシナーゼは、ヒスチジン(histidine)6分子が結合された形態の融合蛋白質で発現される。 <実施例2>pET−hTyrosinase(TM−)を利用した組み換え人間チロシナーゼ蛋白質の発現及び精製 実施例1の通り、発現ベクトルpET26と人間チロシナーゼ誘導DNA(Human tyrosinase cDNA)を組み換えして得た発現ベクトルpET−hTyrosinase(TM−)を導入した大腸菌を30μL/mLのカナマイシン(kanamycin)が含まれたLB培地ILにおいて、37℃で2時間培養した。600nmにおける吸光度が0.4−0.5になった時IPTG(isopropylβ-D-thoigalactopyranoside)を0.4mM投入して酵素の合成を誘導し、8−10時間培養後、8,000gで10分間遠心分離して菌を集菌した。トリトンX−100を含まない500mM NaClが含まれた20mMトリスー塩酸(Tris−Cl)緩衝溶液(pH7.9;以下‘緩衝溶液A’と称す)を加えて菌を均質化し、超音波破砕機(Sonicsamp; Materials INC.)を利用して4℃で30−40watts、アンプリチュード(amplitude)8%の条件で9秒間パルス(pulse)を加え、1秒間止めることを繰返して20分間菌を破壊した。以降、8,000gで20分間遠心分離して別の蛋白質の滓を除去した粗抽出物を収得した。前記粗抽出物をHisバインドレジンクロマトグラフィー(Hisbind resin chromatography, Novagen)に導入して吸着させ、不要な蛋白質を除去するために、50mMイミダゾ−ル(imidazol)が含まれた緩衝溶液Aで十分に洗浄した。この際、洗浄は洗浄された液のOD 280値を測定してOD 280=0になるまで洗浄した。以降、500mMのイミダゾ−ルが含まれた緩衝溶液Aで1mL/minの速度で溶出させた。溶出液に含まれたイミダゾールを除去するために、20mMのトリスー塩酸(Tris-C1)緩衝溶液(pH7.9)を用いて8時間ずつ3回透析した。精製されたチロシナーゼの純度をSDS−PAGEで確認した。 実験結果は、図2に示した通り、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの分子量は約53kDaとして表れた。一般的に哺乳動物のチロシナーゼは翻訳後変形(post-translational modification)過程で糖質化(glycosylation)が起こり、分子量が増加するものと知られ(Imokawaand Mishima, J. Invest. Derm. 85: 165-168, 1985; Imokawa, J. Invest. Derm. 95:39-49, 1990)、糖質化が起こったチロシナーゼの分子量は約70kDaとして報告された(Laskin and Paccinini, J. Biol.Chem. 261: 16626-16635, 1986)。しかしながら、図2の結果から本発明により大腸菌より発現された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼは糖質化が起こっていないことが確認できた。 <比較例1>大韓民国特許出願第2001−0057379号に開示された方法により人間チロシナーゼを生産 本発明者の先行研究である大韓民国特許出願第2001−0057379号に開示された方法により人間チロシナーゼを生産した。発現ベクトルpTrcHisと人間チロシナーゼ誘導DNA(Human tyrosinase cDNA)を組み換えで得た発現ベクトルpHis−hTyrを導入した大腸菌を50μL/mLのアンピシリンが含まれたLBブロツ培地ILで37℃で2時間培養した。600nmにおける吸光度が0.4−0.5程度になった時、IPTG(isopropylβ-D-thoigalactopyranoside)を1mM投入して酵素の合成を誘導した。継続して8−10時間培養後、8,000gで10分間遠心分離して菌を集菌し、20mMリン酸カリウム緩衝溶液/1%トリトンX−100、pH6.8(緩衝液B)を加えて菌を均質化し、超音波破砕機で菌を破砕した。前記破砕物を20,000g、4℃で10分間遠心分離した後、上澄液を採り、緩衝溶液Bで平衡させたDEAE−Sephacelコラムの上層部に導入した。前記コラムに結合されずに溶離されたポリヒスチジンーチロシナーゼ融合蛋白質を50mMリン酸カリウム緩衝溶液/50mM NaCl/1%のトリトンX−100、pH7.8(緩衝溶液C)で平衡させた固定化金属親和コラム(metalaffinity column)に導入する。コラムを緩衝液Cで数回洗浄後50mMのイミダゾールを含む緩衝液Cで融合蛋白質を脱着させ、50mM Tris−HCl/5mM CaCl2、pH8.0(緩衝液D)に対して透析した。過量(酵素:基質=1:50)のエンテロキナーゼ(Biozyme)を溶解させた緩衝液Dにおいて、37℃で2時間反応させ、融合ペプチドを切断し、固定化金属親和コラムに導入して、ポリヒスチジンペプチドを吸着除去した。結合されない酵素部分は緩衝液Bに対して透析して精製された組み換えチロシナーゼを収得した。 <比較例2>大韓民国特許出願第2002−0073728号に開示された方法により人間チロシナーゼを生産 本発明者の先行研究である特許出願第2002−0073728号に開示された方法により人間チロシナーゼを生産した。pET−hTyr発現ベクトルで形質転換されたBL21(DE3)を培養して収得された菌体を、1%トリトンX−100 が含まれた20mMリン酸カリウム緩衝溶液(pH6.8;以下‘緩衝溶液E’と称す)10mLで2−3回洗浄後、菌体を再度緩衝溶液E10mLで均質化させた。以降、超音波破砕機(Sonicsamp; Materials INC.)を利用して菌を破壊した。菌破砕後に20,000gで4℃で20分間遠心分離して蛋白質と異なる細胞滓を分離した。このようにして、異なる細胞不純物が除去された粗抽出物を収得した。前記上澄液を緩衝溶液Eで平衡化させたDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィー(DEAE-Sephacelion exchange chromatography)(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)に吸着させ、1mL/minの速度で溶出させた。溶出された濾液を収集して1%トリトンX−100と500mM NaClが含まれた20mMトリス−塩酸(Tris-C1) 緩衝溶液(pH7.9;以下‘緩衝溶液F’と称す)で8時間ずつ3回透析した。以降、透析液を緩衝溶液Fで平衡化させたHisバインドレジンクロマトグラフィー(His・BindResin chromatography, Novagen)に吸着させた。その後、不要な蛋白質を除去するために、10mMイミダゾール(imidazol)が含まれた緩衝溶液Fで十分に洗浄した。この際、洗浄は洗浄された液のOD280値を測定し、OD 280=0になるまで洗浄した。以降、100mMイミダゾールが含まれた緩衝溶液Fで1mL/minの速度で溶出させた。溶出液を再度緩衝溶液Eで8時間ずつ3回透析した。透析液を20,000gで4℃で20分間遠心分離して組み換え人間チロシナーゼを分離した。 <実験例1> 人間チロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性の比較 実施例2で製造した組み換え人間チロシナーゼと比較例2で製造した組み換え人間チロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性を比較した。チロシン水酸化酵素活性度測定はフューサイン等の方法(Husain et al., J. Invest. Dermatol. 78: 243-252, 1982)により行った。L−ドーパ(DOPA)の濃度を0−30mMの範囲にして水酸化(hydroxylation)反応をさせ、L−ドーパに対する標準曲線を作成した。前記標準曲線を利用して反応後に生成されたL−ドーパの量を決定した。反応溶液は50Mmのリン酸カリウム緩衝溶液(pH6.8)に100μMのL−チロシン、各濃度のL−ドーパ、4mMのアスコルビン酸(ascorbicacid)及び人間チロシナーゼ100μLを加えて総量2.5mLに製造した。以降、37℃で3時間反応させた。この際、対照区としては精製された人間チロシナーゼを添加せずに反応させた。以降、ラム等の方法(Ramet al., J. Biol. Chem. 267: 23707-23712, 1992)により蛍光(fluorescence)を利用して360nmで励起(excitation)させ、490nmで発光(emission)させ、この時の強度を測定した。測定された値をL−ドーパの濃度に転換し、酵素の活性を測定した。本発明により精製された人間チロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性に対する非活性度(specificactivity)は、時間(h)当りの酵素の量(μg)に対するL−ドーパの生成モル数(mmol)で定めた。 測定結果は、前記表1に記載された通り、pET−hTyr発現ベクトルを利用して大腸菌から生産された組み換え人間チロシナーゼ(大韓民国特許出願第2002−0073728号)は、粗抽出物に比べてHis・バインドレジンクロマトグラフィーで最終精製された組み換え人間チロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性に対する非活性度が約49倍程増加された反面、本発明に伴う最終精製された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの水酸化酵素の活性は粗抽出物に比べて約52倍程増加した。一方、人のHeLa細胞から精製したチロシナーゼのチロシン水酸化酵素に対する非活性度(specific activity)が22.3±0.01pmol/μg/hのものと比較すると(Spritz et al., J.Invest. Dermato., 109:207-212, 1997)、本発明により大腸菌において、膜貫通部位が除去された状態で発現された組み換え人間チロシナーゼが、より優れたチロシン水酸化酵素活性を有していることが分かった。 <実験例2>人間チロシナーゼのドーパ酸化酵素活性の比較 実施例2で製造した組み換え人間チロシナーゼと比較例1及び比較例2で製造した組み換え人間チロシナーゼのドーパ酸化酵素活性を比較した。ドーパ酸化酵素の活性度測定はフリンジ等の方法(Fling et al. J. Biol. Chem. 238: 2045-2053, 1963)により行った。ドーパ酸化酵素の基質であるL−ドーパがチロシナーゼによりドーパクロム(DOPAchrome)の褐変生成物に転換されるのを475nmで測定した。ドーパクロムは475nmで濃度に伴う最大の吸光度値を最大に示し、この時のモル吸光係数は3600(M−1cm−1)である。50mMトリス−塩酸緩衝溶液(pH7.5)に3mM L−ドーパを添加して37℃で10分間静置し、人間チロシナーゼ30μLを添加した後、直に475nmで3分間吸光度の変化を測定した。この時、酵素の活性度の単位は1分当りに1μmoleのドーパクロームが生成されるのを1unit(μmole/min)として定めた。さらに、非活性度は酵素1mg当たりに1unitにした。 測定結果は、前記表2に記載された通り、本発明の方法により実施例2で生産された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの蛋白質量(粗抽出物の蛋白質量)が、大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)と大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)に開示された方法により生産された組み換え人間チロシナーゼの蛋白質量とほぼ類似することが確認できた。しかしながら、本発明による組み換え人間チロシナーゼの総活性は、大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)と大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)の組み換え人間チロシナーゼの総活性より著しく高く、これにより、非活性(specific activity)が大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)に比べて約31倍程増加し、大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)に比べては約1.2倍程増加したことが確認できた。これは、本発明の方法による大腸菌から生産された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼは不溶性凝集体を形成せずに、完全な活性を有する酵素として発現されたことを示す結果である。さらに、最終的に精製された酵素の量が本発明で著しく多いことが確認できた。 <実験例3>L−チロシンの濃度に対する影響 基質であるL−チロシンの濃度を0.01−1mMの範囲にして、実施例2で製造した組み換え人間チロシナーゼに対する基質濃度の影響を調査した。前記実験例1のチロシン水酸化酵素の活性度測定方法と同一な方法により行った。本発明による組み換え人間チロシナーゼのKm値をラインウェーバー・バークプロット(Lineweaver et al., J. Am. Chem. Soc., 56: 658-666, 1934)により計算した。 実験結果は、本発明に伴う組み換え人間チロシナーゼのL−チロシンに対するKm値は1.32μMで計算された。これは、本発明者の先行研究結果において製造された人間チロシナーゼのKm値0.17mM(大韓民国特許出願第2001−0057379号)、Km値2.34μM(大韓民国特許出願第2002−0073728号)とメラノマ細胞(melanoma cell)で抽出されたチロシナーゼのKm値である0.2mM(Sangjin et al., KoreanBiochem. J. 26: 632-637, 1993)より最大130倍程低い値である。これより、基質であるL−チロシンに対する本発明による膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの親和力が100倍以上高いことがわかった。さらに、前記結果は本発明による膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼの高次構造が完全にホールディングされたことばかりで無く、基質が人間チロシナーゼの反応触媒機構(activesite)への接近がより容易になったことを示す。 <実験例4>L−ドーパの濃度に対する影響 人間チロシナーゼのさらに異なる基質であるL−ドーパの濃度を0.05−5mMの範囲にし、実施例2で製造した組み換え人間チロシナーゼに対する基質濃度の影響を調査した。前記実験例2のドーパ酸化酵素活性度の測定方法と同一な方法により行った。以降、実験例3と同一な方法により、L−ドーパに対する本発明による組み換え人間チロシナーゼのKm値を計算した。 実験結果は、本発明による組み換え人間チロシナーゼのL−ドーパに対するKm値は0.34mMに計算された。これはメラノマ細胞で精製されたチロシナーゼのL−ドーパに対するKm値の0.4mMとほぼ類似した数値であった(Kang et al., Korean Biochem. J., 26: 632-637, 1993)。これよりL−ドーパに対する結合力において、本発明により大腸菌において発現された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼと、メラノマ細胞のチロシナーゼが殆ど差のないことがわかる。 図1は本発明に伴う組み換え発現ベクトルpET−hTyrosinase(TM−)の製作過程を示す模式図である。図2は粗抽出物より精製された組み換え人間チロシナーゼを確認するために、12.5%SDS−PAGEを行った結果を示すゲル写真である。レーンM:分子量マーカーレーン1:粗抽出物レーン2:His・バインドレジンクロマトグラフィーで精製された膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼ 配列番号2で表示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする人間チロシナーゼ。 請求項1に記載の人間チロシナーゼを暗号化することを特徴とするポリヌクレオチド。 配列番号1で表示される塩基配列を有することを特徴とする請求項2に記載のポリヌクレオチド。 請求項2に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする組み換えベクトル。 前記組み換えベクトルはpET−hTyrosinase(TM−)であることを特徴とする請求項4に記載の組み換えベクトル。 請求項4に記載の組み換えベクトルを含むことを特徴とする形質転換細菌。 請求項1に記載の人間チロシナーゼの生産方法であって、請求項6に記載の形質転換細菌を培養することを含むことを特徴とする人間チロシナーゼの生産方法。 前記培養された培養物を固定化金属親和カラムクロマトグラフィーで精製する段階を追加的に含むことを特徴とする請求項7に記載の人間チロシナーゼの生産方法。 【課題】組み換え人間チロシナーゼ及びこれの生産方法を提供する。【解決手段】本発明は、膜貫通部位が除去された組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法に関するものにして、より詳しくはカルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去された人間チロシナーゼ遺伝子を発現させ、分離、精製した組み換え人間チロシナーゼ及びその生産方法に関するものである。本発明に伴う生産方法は不溶性凝集体(inclusion body)の形成無しに高い酵素活性を示す組み換え人間チロシナーゼを大量生産できる効果があり、精製工程が簡単で、精製収率が向上される効果がある。【選択図】図1配列表


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特許公報(B2)_膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの生産方法(MethodForProducingTheRecombinantHumanTyrosinaseRemovedTrans−MembraneDomain)

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの生産方法(MethodForProducingTheRecombinantHumanTyrosinaseRemovedTrans−MembraneDomain)
出願番号:2007051207
年次:2011
IPC分類:C12N 15/09,C12N 9/02,C12N 1/21,C07K 1/16


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コン、クァンフン JP 4769746 特許公報(B2) 20110624 2007051207 20070301 膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの生産方法(MethodForProducingTheRecombinantHumanTyrosinaseRemovedTrans−MembraneDomain) チュンアンテハッキョ、サンハクヒョプリョクダン 507068291 Chung−Ang University Industry−Academy Cooperation Foundation 中尾 俊輔 100081282 伊藤 高英 100085084 畑中 芳実 100095326 大倉 奈緒子 100115314 玉利 房枝 100117190 鈴木 健之 100120385 磯田 志郎 100123858 高橋 洋平 100148068 コン、クァンフン KR 10-2006-0091308 20060920 20110907 C12N 15/09 20060101AFI20110818BHJP C12N 9/02 20060101ALI20110818BHJP C12N 1/21 20060101ALI20110818BHJP C07K 1/16 20060101ALI20110818BHJP JPC12N15/00 AC12N9/02C12N1/21C07K1/16 C12N 15/00−15/90 C12N 9/02 C12P 21/00−21/02 UniProt/GeneSeq JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第2004/048560(WO,A1) 特開平08−140699(JP,A) Cancer Research,2000年,Vol.60,p.6656-6662 Novagen pEP System Manual タンパク質発現システム第10版 日本語版,メルク株式会社,2005年 3月20日,第53−56頁 竹縄忠臣編,実験医学別冊 バイオマニュアルUPシリーズ 改訂版 分子生物学研究のためのタンパク実験法,株式会社羊土社,1998年,第180−186頁 2 2008073032 20080403 16 20070301 長谷川 茜 本発明は、組換えヒトチロシナーゼ及びその生産方法に関し、より詳しくは、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子を発現させ、分離、精製した組換えヒトチロシナーゼ及びその生産方法に関する。 皮膚におけるメラニン色素の形成と表面沈着は自然現象にして、太陽光に含まれている有害な紫外線から身体を保護しようとする一種の人体防御システムである。皮膚に存在する高分子性メラニン色素は紫外線を吸収して熱エネルギーに変換して分散させ、さらに、紫外線が皮膚の脂質に作用して生成した自由ラジカルと皮膚細胞に、酸化による損傷を誘発する他の分子等を吸収することにより、身体を防御するようになる。 遺伝的にメラニン色素が不足な皮膚は紫外線に露出された場合、皮膚角質層の厚さが厚くなり、この角質層の蛋白質が紫外線を散乱させるか又は分散させ、人体を防御するようになる。一般的な人体の場合、皮膚に紫外線が照射されると、皮膚の基底層に存在するメラニン形成細胞は直ちにメラニンを生成し、生成されたメラニンはケラチン形成細胞に伝達され、表皮上部に運搬され、皮膚は紫外線遮断膜(紫外線遮断指数(SPF:Sun protection factor)3乃至5)が形成されて黒色に変化するようになる。しかしながら、生成されたメラニン色素が均一に分散されておらず、非正常的に塊になっている場合に、シミとそばかす等の症状が現れる。 このようにメラニン形成細胞において、メラニンを合成する際にチロシナーゼが作用するようになり、チロシナーゼはメラニン生成初期にアミノ酸の一種であるチロシン(ヒドロキシフェニルアラニン)に作用してジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)の形成を誘発し、引き続きジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)の酸化を促進し、キノン(ドーパキノン:DOPA Quinone)に変形させる。このように生成されたドーパキノンは一連の段階を経てメラニンが生成される。 チロシナーゼ(Tyrosinase, monophenol monooxgenase, EC 1.14.18.1)は哺乳動物、植物等に広く分布し、植物性チロシナーゼは果物及び野菜の加工の際に褐変する現象に関与している。哺乳動物のチロシナーゼは皮膚、毛嚢、目等に分布するメラニン形成細胞(melanocyte)に含まれ、紫外線による損傷を防御する役割をする。今まで複数種の生物体より多くのチロシナーゼが分離、精製され、その中で茸と鼠から分離されたチロシナーゼの構造及び機能に対する研究が最も活発になされた(Laskin and Paccinini, J. Biol. Chem. 261: 16626-16635, 1986; Mayer, Phytochem. 26: 11-20, 1987; Jimenez-Cervantes et al., Pigment Cell Res. 6: 394-399, 1993; Sanchez-Ferrer et al., Biochim Biophys Acta. 1247: 1-5, 1995; Della Longa et al., J. Biol. Chem. 35: 21025-21030, 1996)。 チロシナーゼは活性部位に一対の銅イオンを含んでいる金属含有蛋白質(metalloprotein)である。人体に存在するチロシナーゼは分子量が約66,000Daであり、疎水性信号ペプチドを除外すれば548個のアミノ酸で構成されており、分子量は62,150Daである。チロシナーゼは下記反応式1の通り、モノヒドロキシフェノール(monohydroxyphenol)をO−ジヒドロキシフェノール(dihydroxyphenol)に転換させる水酸化(hydroxylation)反応を触媒するチロシン水酸化酵素活性(tyrosine hydroxylase activity)と、O−ジヒドロキシフェノールをO−キノン(quinone)に酸化させる反応を触媒するドーパ酸化酵素活性(DOPA oxidase activity)を有する(Mason, Annu Rev. Biochem. 34: 105-184, 1965)。 ヒトチロシナーゼは黒色種細胞(melanoma cell)から分離され(Wittbjer, Acta Derm. Venereol. 69: 125-131, 1989; Wittbjer, Acta Derm. Venereol. 70: 291-294, 1990)、米国特許(USP 4,898,814;1990:特許文献1)にはヒトチロシナーゼの生成を誘導するcDNAを発見してその塩基配列が開示されている。国際特許(WO 90/12869)には非メラニン生成細胞型眞核細胞(non-melanocytic eucaryotic cell)を利用して活性ヒトチロシナーゼを生産する方法を記述しているところ、ヒトチロシナーゼを誘導するDNAをレトロウィルス(retrovirus)等のような適切な発現ベクターに挿入して新たな形質転換ベクターを生産した後、これをさらに、繊維芽細胞(fibroblast)等のような眞核細胞に導入後、導入された細胞を培養後分離、精製してヒトチロシナーゼを製造する方法が開示されている。 しかしながら、前記方法はヒトチロシナーゼを形成するDNAをレトロウィルス(retrovirus)のような発現ベクターに導入し、これをさらに繊維芽細胞に導入した後、細胞培養によりチロシナーゼを増量させた後、細胞膜を破砕し、複数の付属器官が存在する細胞内原形質においてヒトチロシナーゼを分離精製することにより、技術的に複雑で難しく大量生産による商業化が困難な短所があった。 一方、本発明者は、先行研究を通じて大腸菌を利用した組換えヒトチロシナーゼの製造方法を特許出願(韓国特許出願2001−0057379号、韓国特許出願2002−0073728号)している。しかしながら、前記記述された方法はDEAE−セパセルイオン交換クロマトグラフィーを利用して1次精製後、His・バインドレジンクロマトグラフィーで2次精製することにより、精製収率が減少する短所があった。 ここに、本発明者は、組換えヒトチロシナーゼの生産方法を研究している最中、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子を発現させる場合、不溶性凝集体の形成無しに高い酵素活性を有する組換えヒトチロシナーゼを生産することができ、His・バインドレジンクロマトグラフィーで1次精製のみを実施しても、精製収率が向上する効果を確認することにより本発明を完成した。USP 4,898,814 したがって、本発明の目的は、組換えヒトチロシナーゼ及びこれの生産方法を提供することである。 前記目的を達成するために、本発明は、 下記段階a)〜c)a)配列番号2のアミノ酸配列からなるヒトチロシナーゼをコード化するポリヌクレオチドを含む組換えベクターで細菌を形質転換する段階;b)前記a)段階で形質転換された細菌を培養する段階;及びc)前記b)段階で培養された培養物をDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーは使用せず、Hisバインドレジンクロマトグラフィーだけで精製する段階;を含み、下記酵素的特性1)〜3)1)分子量:53kDa2)比活性度・チロシン水酸化酵素活性に対する比活性度:108.3±2.10μmol/mg/h・ドーパ酸化酵素活性に対する比活性度:807(units/mg)3)基質に対するkm値・L−チロシン:1.32μM・L−ドーパ:0.34mMを有する配列番号2のアミノ酸配列からなるヒトチロシナーゼを生産する方法を提供する。 本発明はさらに、前記ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列からなることを特徴とする前記方法を提供する。 本発明では、カルボキシル末端に位置した膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子を発現させ、分離精製した組換えヒトチロシナーゼを生産した。本発明による生産方法は、不溶性凝集体(inclusion body)の形成無しに高い酵素活性を示す組換えヒトチロシナーゼを大量生産できる優れた効果があり、精製工程が簡単で精製収率が向上される効果があるので、生物医薬、食品、化粧品、化学工業等の多様な産業分野で有用に用いられる。 以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、組換えヒトチロシナーゼを提供する。より具体的に、配列番号2で表示されるアミノ酸配列からなることを特徴とするヒトチロシナーゼを提供する。 前記組換えヒトチロシナーゼの酵素学的特性を整理すると、下記の通りである。1)分子量:53kDa2)比活性度(specific activity)・チロシン水酸化酵素(tyrosine hydroxylase)活性に対する比活性度:108.3±2.10μmol/mg/h・ドーパ酸化酵素(DOPAoxidase)活性に対する比活性度:807units/mg3)基質に対するKm値・L−チロシン(L-tyrosine):1.32μM・L−ドーパ(L-DOPA):0.34mM 本発明の組換えヒトチロシナーゼは、ヒトチロシナーゼアミノ酸配列の内、膜貫通(transmembrane)部位が除去された蛋白質にして、ヒトチロシナーゼの全体の遺伝子配列は、M27160に記述されており、N末端のシグナル配列(signal sequnce)とC末端の膜貫通部位を除いた557番塩基配列から1924番塩基配列によりコード化された蛋白質である。 本発明においてヒトチロシナーゼ配列の内“膜貫通(transmembrane)域が欠失”されたということは、ヒトチロシナーゼ配列の内、カルボキシル末端から55個のアミノ酸が欠失されたことをいう。 前記のような特性を有する本発明の組換えヒトチロシナーゼは、配列番号2で表示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの場合であることもあり得る。さらに、本発明で組換えヒトチロシナーゼは前記ポリペプチドの機能的同等物を含む。前記機能的同等物とは、アミノ酸の付加、置換又は欠失の結果、配列番号2で表示されるアミノ酸配列と、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%以上の配列相同性を有するものにして、本発明の膜貫通(transmembrane)部位が除去された組換えヒトチロシナーゼと実質的に同質の生理活性を示すポリペプチドをいう。ここで、“実質的に同質の生理活性”とは、チロシン水酸化酵素活性及びドーパ酸化酵素活性を意味する。 前記機能的同等物には、例えば、配列番号2で表示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドのアミノ酸の内、一部が置換されたり、又は欠失或いは付加されたりしたアミノ酸配列変形体が含まれる。アミノ酸の置換は好ましくは保存的置換である。天然に存在するアミノ酸の保存的置換の例は次の通りである;脂肪属アミノ酸(Gly, Ala, Pro)、疎水性アミノ酸(Ile, Leu, Val)、芳香族アミノ酸(Phe, Tyr, Trp)、酸性アミノ酸(Asp, Glu)、塩基性アミノ酸(His, Lys, Arg, Gln, Asn)及び硫黄含有アミノ酸(Cys, Met)。 アミノ酸の欠失は、好ましくは本発明の組換えヒトチロシナーゼの活性に直接関与しない部分に位置する。さらに、本発明の機能的同等物の範囲には、本発明に伴う組換えヒトチロシナーゼの基本骨格及びその生理活性を維持しながらポリペプチドの一部化学構造が変形されたポリペプチド誘導体も含まれる。例えば、本発明のポリペプチドの安定性、貯蔵性、揮発性又は溶解度等を変更させるための構造変更がこれに含まれる。 さらに、本発明の組換えヒトチロシナーゼは、膜貫通部位が除去された天然型アミノ酸配列を有するヒトチロシナーゼのみならず、そのアミノ酸配列変異体も含む。ヒトチロシナーゼの変異体とは、膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ天然アミノ酸配列と、一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的若しくは保全的置換又はこれらの組み合わせにより相異した配列を有する蛋白質を意味する。分子の活性を全体的に変更させない蛋白質及びペプチドにおける、アミノ酸交換は当該分野で公知されている(H. Neurath, R.L.Hill, The Proteins, Academic Press, New York, 1979)。最も通常的に起こる交換はアミノ酸残基Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Thy/Phe, Ala/Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu, Asp/Gly間の交換である。 さらに、場合によってはリン酸化(phosphorylation)、硫黄化(sulfation)、アクリル化(acrylation)、糖化(glycosylaion)、メチル化(methylation)、ファネシル化(farnesylaion)等で修飾(modification)されることもあり得る。 さらに、本発明は前記膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼをコード化するポリヌクレオチドを提供する。好ましく前記ポリヌクレオチドは配列番号1で表示される塩基配列からなるDNA又はRNAの場合もあり得る。前記ポリヌクレオチドは自然の中で分離されるか又は化学的合成法により製造することもできる。 本発明はさらに、ヒトチロシナーゼをコード化するポリヌクレオチドを含む組換えベクターを提供する。本発明で“組換えベクター”とは、適当な宿主細胞において目的蛋白質又は目的RNAを発現できるベクターにして、遺伝子挿入物が発現されるように作動可能に連結された必須的な調節要素を含む遺伝子作製物をいう。 本発明において、用語“作動可能に連結された(operably linked)”は一般的な機能を行うように核酸発現調節配列と目的とする蛋白質又はRNAをコーディングする核酸配列が機能的に連結(functional linkage)されていることをいう。例えば、プロモーターと蛋白質又はRNAをコーディングする核酸配列が作動可能に連結され、コーディングする核酸配列の発現に影響を及ぼし得る。組換えベクターとの作動的連結は、当該技術分野で公知された遺伝子組換え技術を利用して製造することができ、部位−特異的DNA切断及び連結は当該技術分野において一般的に公知された酵素等を用いる。 本発明のベクターはプラスミドベクター、コズミドベクター、バクテリオファージベクター及びウィルスベクター等を含むものの、これらに制限されない。適切な発現ベクターはプロモーター、オペレーター、開始コドン、終結コドン、ポリアデニル化シグナル及びインハンサーのような発現調節エレメントの他にも、膜標的化又は分泌のためのシグナル配列又はリーダー配列を含み、目的により多様に製造できる。ベクターのプロモーターは構成的又は誘導的の場合もある。 さらに、発現ベクターはベクターを含む宿主細胞を選択するための選択マーカーを含み、複製可能な発現ベクターの場合複製起源を含む。シグナル配列には宿主が大腸菌の場合は、PhoAシグナル配列、OmpAシグナル配列等が、宿主がバシラス属菌の場合はα−アミラーゼシグナル配列、サブチリシンシグ ナル配列等が、宿主が酵母の場合にはMFαシグナル配列、SUC2シグナル配列等が、宿主が動物細胞の場合はインシュリンシグナル配列、α−インタフェロンシグナル配列、抗体分子シグナル配列等を利用できるものの、これらに制限されない。 本発明の一実施例では、蛋白質の精製を容易にする目的で、組換えヒトチロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含ませて発現させるために、His Tag配列を有しているpET26B(+)ベクター(Novagen)を用いた。 本発明はさらに、前記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供する。形質転換は核酸を有機体、細胞、組織又は器官に導入するあらゆる方法も含まれ、当分野で公知された通り、宿主細胞により適切な標準技術を選択して行える。このような方法には電気衝撃遺伝子伝達法(electroporation)、原形質融合、リン酸カルシウム(CaPO4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl2)沈殿、シリコンカーバイト繊維を利用した撹拌、アグロバクテリアが媒介された形質転換、PEG、デキストラン硫酸、リポフェクトアミン等が含まれるものの、これに制限されない。 宿主細胞によって蛋白質の発現量と修飾等が異なって現れるので、目的に最も適合した宿主細胞を選択して用いれば良い。宿主細胞には大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、プロテウス菌(Proteus mirabilis)又はブドウ球菌(Staphylococcus)のような原核宿主細胞があるものの、これらに制限されるものではない。さらに、眞菌(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)、酵母(例えば、ピキア酵母(Pichia pastoris)、サカロマイセスセルビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces)、アカパンカビ(Neurospora crassa)等のような下等眞核細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物等を含む高等眞核生物由来の細胞を宿主細胞として利用できるものの、好ましくは大腸菌である。 本発明はさらに、本発明の膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子を含む組換えベクターが導入された形質転換体を培養及び精製することを含む 組換えヒトチロシナーゼの生産方法を提供する。 前記方法は、前記形質転換された宿主細胞内で本発明の組換えヒトチロシナーゼをコーディングする、ポリヌクレオチドが発現されるように適切な培地及び条件下で培養することを含む。前記形質転換された細胞を培養して組換え蛋白質を発現させる方法は当業界に公知されており、例えば、形質転換された細胞が成長できる適切な培地に接種して種培養後、これを本培養用培地に接種し、適合した条件で培養することにより蛋白質の発現を誘導することができる。以降、前記形質転換された細胞で発現が誘導された本発明のヒトチロシナーゼの分離及び精製は、当業界に公知された多様な分離及び精製方法を通じて行うことができ、例えば、前記細胞を溶解後、溶解物を遠心分離して塩析(硫酸アンモニウムの沈澱及びリン酸ナトリウムの沈澱)、溶媒沈澱(アセトン、エタノール等を利用した蛋白質の分劃沈澱)、透析、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆状カラムクロマトグラフィー及び親和性クロマトグラフィー等の技法を単独又は組み合わせで適用させ、本発明の組換えヒトチロシナーゼを生産できる(Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.(1982); Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989); Deutscher, M., Guide to Protein Purification Methods Enzymology, vol. 182. Academic Press. Inc., San Diego, CA(1990))。 本発明の一実施例では組換えヒトチロシナーゼを生産するために、発現ベクターpET−hTyrosinase(TM−)を導入した大腸菌を培養して、膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの発現を誘導し、前記菌を破砕して遠心分離し、上澄液を収得し、これをHis・バインドレジンクロマトグラフィー(His・Bind Resin chromatography, Novagen)を利用して精製した。 上述の通り、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの生産方法は、DEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーを利用する精製過程が不要であることを特徴とする。His・バインドレジンクロマトグラフィーを利用するためには組換え蛋白質に人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含ませて発現させるものの、蛋白質の固有構造により、6個のヒスチジンが部分的に隠される場合、His・バインドレジンクロマトグラフィーで精製の際、低いモル(mole)数のイミダゾールで精製しなければならない。本発明者の先行研究(大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2))において製造されたpET−hTyr発現ベクターを利用して、大腸菌で生産された組換えヒトチロシナーゼの精製のためには、チロシナーゼのC末端に人為的に含ませた6個のヒスチジンが構造的に隠されるため、低いモル数のイミダゾールを利用して精製しなければならなかった。 低いモル数のイミダゾールの使用は、組換えヒトチロシナーゼの他に、別の不要な蛋白質の溶出を引き起し、したがってHis・バインドレジンクロマトグラフィーを利用する前に、DEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーを利用した精製過程が必要であった。しかしながら、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの場合、精製のための6個のヒスチジンが構造的に隠される問題が解決され、高いモル数のイミダゾールを用いることができ、それに伴いDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーの精製過程を行わずとも精製が可能となった。 さらに、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの生産方法は、不溶性凝集体を形成しないので、その生産過程で界面活性剤の使用が不要であることを特徴とする。膜貫通部位は一般的に疎水性残基等で構成されているものの、疎水性残基等はその物理的特性上、水溶液で疎水性残基等同志で結合しようとする。しかしながら、このような疎水性残基等で構成された膜貫通部位は界面活性剤(detergent)を利用すればある程度不溶性凝集体の形成を防げる。本発明者等が出願した先行技術(大韓民国特許出願第2002−0073728号)では界面活性剤として、1%トリトンX−100を用いてチロシナーゼ蛋白質の不溶性凝集体形成を防いだ。しかしながら、本発明ではチロシナーゼの膜貫通部位を除去することにより、大韓民国特許出願第2002−0073728号とは別に、1%トリトンX−100を用いずとも、不溶性凝集体の形成を防ぐことができて、高い酵素活性を有するヒトチロシナーゼを生産することができた。 さらに、本発明の生産方法は蛋白質精製の際、ヒスチジンタグ(tag)を除去する別途の工程が不要であることを特徴とする。本発明では蛋白質の精製を容易にする目的で組換えヒトチロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含めて発現させるものの、本発明者等が出願した先行技術(大韓民国特許出願第2001−0057379号)ではヒスチジンをN末端に位置させることにより、チロシナーゼの活性に影響を与えてこれを除去する工程が必要であった。しかしながら、本発明者は前記ヒスチジンをC−末端に存在するようにベクターシステムを構築することにより、チロシナーゼの活性に影響を与えないようにして、ヒスチジンを除去する工程が不要となった。 以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためのものであることから、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものとは解釈されない。 <実施例1>膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子のクローニング及び発現<1−1>プライマー製作 プライマーはジーンバンク登録番号M27160に開示されたメラノマDNA(melanoma DNA)のチロシナーゼ(tyrosinase)をコード化しているcDNA配列を基に製作した。N末端のシグナル配列とC−末端の膜貫通部位を除外した、つまり、M27160の557番塩基配列から1924番塩基配列まで合成されるようにプライマーを合成し、蛋白質合成のために、M27160配列の557番位置の塩基配列の前に、MetをコードしているATGをNプライマー内部に人為的に挿入した。さらに、E.coliコードン使用頻度(E. coli codon usage)を利用して蛋白質がよく合成されるように誘導するために、開始コードンATGの次のcat配列をcacに置換し、プライマーの配列内にNde IとXho Iの制限酵素の座が存在するように製作した。Nde IとXho Iサイトは下線で表示した。正方向プライマー(40mer):5'-GGAATTCCATATGCACTTCCCTAGAGCCTGTGTCTCCTCT-3'(配列番号3)。逆方向プライマー(31mer):5'-CCGCTCGAGCGGGATCCGACTCGCTTGTTCC-3'(配列番号4)。 <1−2> PCRによる膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子の増幅 膜貫通部位が除去されたヒトチロシナーゼ遺伝子をクローニングするために、人体5’−ストレッチプラスcDNAライブラリー(human5'-stretch plus cDNA library, Clontech, Palo Alto CA, USA)を鋳型にしてPCRを行った。PCRは鋳型DNA100ng、0.8μMの正方向及び逆方向プライマー、最終濃度0.2mMのdNTP混合物(TaKaRa)、10×Z−Taq緩衝溶液5μL、Z−Taq重合酵素(TaKaRa)1μLを含む総嵩50μLのPCR反応液を利用して行われた。PCR反応は98℃で10秒;65℃で30秒;及び72℃で60秒を1サイクルとして、35回繰返し行った。以降、1%アガロスゲルで電気泳動を行い、増幅されたPCR産物を確認し、ジーングリーンキット(Geneclean kit, BIO101)を利用してゲルよりDNAを抽出した。 <1−3> クローニング及び発現 増幅されたPCR産物のクローニング過程を図1に示した。まず、前記ゲルより抽出された1399bp大のDNA断片をライゲーション反応液(pGEM-T easy vector 0.3μL. 2×buffer 2.5μL. Ligase 0.5μL)と混合してpGEM−T Easyベクター(Promega. USA)に挿入した。以降、42℃で40秒間熱衝撃(heat shock)を加えて前記チロシナーゼ遺伝子が挿入されたpGEM−T EasyベクターをBL21star(DE3)に形質転換させた。前記形質転換後50μg/mLのアンピシリン(Ampicillin)が含まれた平板L−ブロツ(Broth)培地上に培養して形質転換された大腸菌を選別した。培養されたコロニーの中で一つを選び、再度液体L−ブロツ培地に培養し、これよりDNAを抽出した。 一方、本発明の組換えヒトチロシナーゼの精製を容易にする目的で、組換えヒトチロシナーゼに人為的に6個のヒスチジン(Histidine)を含めて発現させようとした。このため、His Tag配列を有しているpET26B(+)ベクター(Novagen)にヒトチロシナーゼ遺伝子を挿入した。 まず、前記抽出されたNde IとXho Iで切断した後、pET26B(+)ベクター(Novagen)のNde I/Xho Iの位置にT4 DNAライゲーズ(ligase)を利用して16℃で24時間反応させた。ライゲーションの結果生成された組換え発現ベクターを‘pET−hTyrosinase(TM−)’と命名した。以降、熱衝撃(42℃)を加えて前記 pET−hTyrosinase(TM−)をBL21(DE3)に導入させた。形質転換されたBL21(DE3)を50μg/mLのカナマイシンが含まれたLB−アガプレートで12時間培養した。以降、各プレートで育ったコロニーの中で一つを選び組換えヒトチロシナーゼの大量発現に利用した。本発明により形質転換された大腸菌で発現される組換えヒトチロシナーゼは、ヒスチジン(histidine)6分子が結合された形態の融合蛋白質で発現される。 <実施例2>pET−hTyrosinase(TM−)を利用した組換えヒトチロシナーゼ蛋白質の発現及び精製 実施例1の通り、発現ベクターpET26とヒトチロシナーゼ誘導DNA(Human tyrosinase cDNA)を組換えして得た発現ベクターpET−hTyrosinase(TM−)を導入した大腸菌を30μL/mLのカナマイシン(kanamycin)が含まれたLB培地ILにおいて、37℃で2時間培養した。600nmにおける吸光度が0.4−0.5になった時IPTG(isopropyl β-D-thoigalactopyranoside)を0.4mM投入して酵素の合成を誘導し、8−10時間培養後、8,000gで10分間遠心分離して菌を集菌した。トリトンX−100を含まない500mM NaClが含まれた20mMトリスー塩酸(Tris−Cl)緩衝溶液(pH7.9;以下‘緩衝溶液A’と称す)を加えて菌を均質化し、超音波破砕機(Sonics amp; Materials INC.)を利用して4℃で30−40watts、アンプリチュード(amplitude)8%の条件で9秒間パルス(pulse)を加え、1秒間止めることを繰返して20分間菌を破壊した。以降、8,000gで20分間遠心分離して別の蛋白質の滓を除去した粗抽出物を収得した。前記粗抽出物をHisバインドレジンクロマトグラフィー(His bind resin chromatography, Novagen)に導入して吸着させ、不要な蛋白質を除去するために、50mMイミダゾ−ル(imidazol)が含まれた緩衝溶液Aで十分に洗浄した。この際、洗浄は洗浄された液のOD 280値を測定してOD 280=0になるまで洗浄した。以降、500mMのイミダゾ−ルが含まれた緩衝溶液Aで1mL/minの速度で溶出させた。溶出液に含まれたイミダゾールを除去するために、20mMのトリスー塩酸(Tris-C1)緩衝溶液(pH7.9)を用いて8時間ずつ3回透析した。精製されたチロシナーゼの純度をSDS−PAGEで確認した。 実験結果は、図2に示した通り、本発明に伴う膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの分子量は約53kDaとして表れた。一般的に哺乳動物のチロシナーゼは翻訳後変形(post-translational modification)過程で糖質化(glycosylation)が起こり、分子量が増加するものと知られ(Imokawa and Mishima, J. Invest. Derm. 85: 165-168, 1985; Imokawa, J. Invest. Derm. 95: 39-49, 1990)、糖質化が起こったチロシナーゼの分子量は約70kDaとして報告された(Laskin and Paccinini, J. Biol. Chem. 261: 16626-16635, 1986)。しかしながら、図2の結果から本発明により大腸菌より発現された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼは糖質化が起こっていないことが確認できた。 <比較例1>大韓民国特許出願第2001−0057379号に開示された方法によりヒトチロシナーゼを生産 本発明者の先行研究である大韓民国特許出願第2001−0057379号に開示された方法によりヒトチロシナーゼを生産した。発現ベクターpTrcHisとヒトチロシナーゼ誘導DNA(Human tyrosinase cDNA)を組換えで得た発現ベクターpHis−hTyrを導入した大腸菌を50μL/mLのアンピシリンが含まれたLBブロツ培地ILで37℃で2時間培養した。600nmにおける吸光度が0.4−0.5程度になった時、IPTG(isopropyl β-D-thoigalactopyranoside)を1mM投入して酵素の合成を誘導した。継続して8−10時間培養後、8,000gで10分間遠心分離して菌を集菌し、20mMリン酸カリウム緩衝溶液/1%トリトンX−100、pH6.8(緩衝液B)を加えて菌を均質化し、超音波破砕機で菌を破砕した。前記破砕物を20,000g、4℃で10分間遠心分離した後、上澄液を採り、緩衝溶液Bで平衡させたDEAE−Sephacelコラムの上層部に導入した。前記コラムに結合されずに溶離されたポリヒスチジンーチロシナーゼ融合蛋白質を50mMリン酸カリウム緩衝溶液/50mM NaCl/1%のトリトンX−100、pH7.8(緩衝溶液C)で平衡させた固定化金属親和コラム(metal affinity column)に導入する。コラムを緩衝液Cで数回洗浄後50mMのイミダゾールを含む緩衝液Cで融合蛋白質を脱着させ、50mM Tris−HCl/5mM CaCl2、pH8.0(緩衝液D)に対して透析した。過量(酵素:基質=1:50)のエンテロキナーゼ(Biozyme)を溶解させた緩衝液Dにおいて、37℃で2時間反応させ、融合ペプチドを切断し、固定化金属親和コラムに導入して、ポリヒスチジンペプチドを吸着除去した。結合されない酵素部分は緩衝液Bに対して透析して精製された組換えチロシナーゼを収得した。 <比較例2>大韓民国特許出願第2002−0073728号に開示された方法によりヒトチロシナーゼを生産 本発明者の先行研究である特許出願第2002−0073728号に開示された方法によりヒトチロシナーゼを生産した。pET−hTyr発現ベクターで形質転換されたBL21(DE3)を培養して収得された菌体を、1%トリトンX−100 が含まれた20mMリン酸カリウム緩衝溶液(pH6.8;以下‘緩衝溶液E’と称す)10mLで2−3回洗浄後、菌体を再度緩衝溶液E10mLで均質化させた。以降、超音波破砕機(Sonics amp; Materials INC.)を利用して菌を破壊した。菌破砕後に20,000gで4℃で20分間遠心分離して蛋白質と異なる細胞滓を分離した。このようにして、異なる細胞不純物が除去された粗抽出物を収得した。前記上澄液を緩衝溶液Eで平衡化させたDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィー(DEAE-Sephacel ion exchange chromatography)(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)に吸着させ、1mL/minの速度で溶出させた。溶出された濾液を収集して1%トリトンX−100と500mM NaClが含まれた20mMトリス−塩酸(Tris-C1) 緩衝溶液(pH7.9;以下‘緩衝溶液F’と称す)で8時間ずつ3回透析した。以降、透析液を緩衝溶液Fで平衡化させたHisバインドレジンクロマトグラフィー(His・Bind Resin chromatography, Novagen)に吸着させた。その後、不要な蛋白質を除去するために、10mMイミダゾール(imidazol)が含まれた緩衝溶液Fで十分に洗浄した。この際、洗浄は洗浄された液のOD280値を測定し、OD 280=0になるまで洗浄した。以降、100mMイミダゾールが含まれた緩衝溶液Fで1mL/minの速度で溶出させた。溶出液を再度緩衝溶液Eで8時間ずつ3回透析した。透析液を20,000gで4℃で20分間遠心分離して組換えヒトチロシナーゼを分離した。 <実験例1> ヒトチロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性の比較 実施例2で製造した組換えヒトチロシナーゼと比較例2で製造した組換えヒトチロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性を比較した。チロシン水酸化酵素活性度測定はフューサイン等の方法(Husain et al., J. Invest. Dermatol. 78: 243-252, 1982)により行った。L−ドーパ(DOPA)の濃度を0−30mMの範囲にして水酸化(hydroxylation)反応をさせ、L−ドーパに対する標準曲線を作成した。前記標準曲線を利用して反応後に生成されたL−ドーパの量を決定した。反応溶液は50Mmのリン酸カリウム緩衝溶液(pH6.8)に100μMのL−チロシン、各濃度のL−ドーパ、4mMのアスコルビン酸(ascorbicacid)及びヒトチロシナーゼ100μLを加えて総量2.5mLに製造した。以降、37℃で3時間反応させた。この際、対照区としては精製されたヒトチロシナーゼを添加せずに反応させた。以降、ラム等の方法(Ramet al., J. Biol. Chem. 267: 23707-23712, 1992)により蛍光(fluorescence)を利用して360nmで励起(excitation)させ、490nmで発光(emission)させ、この時の強度を測定した。測定された値をL−ドーパの濃度に転換し、酵素の活性を測定した。本発明により精製されたヒトチロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性に対する比活性度(specificactivity)は、時間(h)当りの酵素の量(μg)に対するL−ドーパの生成モル数(mmol)で定めた。 測定結果は、前記表1に記載された通り、pET−hTyr発現ベクターを利用して大腸菌から生産された組換えヒトチロシナーゼ(大韓民国特許出願第2002−0073728号)は、粗抽出物に比べてHis・バインドレジンクロマトグラフィーで最終精製された組換えヒトチロシナーゼのチロシン水酸化酵素活性に対する比活性度が約49倍程増加された反面、本発明に伴う最終精製された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの水酸化酵素の活性は粗抽出物に比べて約52倍程増加した。一方、人のHeLa細胞から精製したチロシナーゼのチロシン水酸化酵素に対する比活性度(specific activity)が22.3±0.01pmol/μg/hのものと比較すると(Spritz et al., J.Invest. Dermato., 109:207-212, 1997)、本発明により大腸菌において、膜貫通部位が除去された状態で発現された組換えヒトチロシナーゼが、より優れたチロシン水酸化酵素活性を有していることが分かった。 <実験例2>ヒトチロシナーゼのドーパ酸化酵素活性の比較 実施例2で製造した組換えヒトチロシナーゼと比較例1及び比較例2で製造した組換えヒトチロシナーゼのドーパ酸化酵素活性を比較した。ドーパ酸化酵素の活性度測定はフリンジ等の方法(Fling et al. J. Biol. Chem. 238: 2045-2053, 1963)により行った。ドーパ酸化酵素の基質であるL−ドーパがチロシナーゼによりドーパクロム(DOPAchrome)の褐変生成物に転換されるのを475nmで測定した。ドーパクロムは475nmで濃度に伴う最大の吸光度値を最大に示し、この時のモル吸光係数は3600(M−1cm−1)である。50mMトリス−塩酸緩衝溶液(pH7.5)に3mM L−ドーパを添加して37℃で10分間静置し、ヒトチロシナーゼ30μLを添加した後、直に475nmで3分間吸光度の変化を測定した。この時、酵素の活性度の単位は1分当りに1μmoleのドーパクロームが生成されるのを1unit(μmole/min)として定めた。さらに、比活性度は酵素1mg当たりに1unitにした。 測定結果は、前記表2に記載された通り、本発明の方法により実施例2で生産された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの蛋白質量(粗抽出物の蛋白質量)が、大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)と大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)に開示された方法により生産された組換えヒトチロシナーゼの蛋白質量とほぼ類似することが確認できた。しかしながら、本発明による組換えヒトチロシナーゼの総活性は、大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)と大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)の組換えヒトチロシナーゼの総活性より著しく高く、これにより、比活性(specific activity)が大韓民国特許出願第2001−0057379号(比較例1)に比べて約31倍程増加し、大韓民国特許出願第2002−0073728号(比較例2)に比べては約1.2倍程増加したことが確認できた。これは、本発明の方法による大腸菌から生産された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼは不溶性凝集体を形成せずに、完全な活性を有する酵素として発現されたことを示す結果である。さらに、最終的に精製された酵素の量が本発明で著しく多いことが確認できた。 <実験例3>L−チロシンの濃度に対する影響 基質であるL−チロシンの濃度を0.01−1mMの範囲にして、実施例2で製造した組換えヒトチロシナーゼに対する基質濃度の影響を調査した。前記実験例1のチロシン水酸化酵素の活性度測定方法と同一な方法により行った。本発明による組換えヒトチロシナーゼのKm値をラインウェーバー・バークプロット(Lineweaver et al., J. Am. Chem. Soc., 56: 658-666, 1934)により計算した。 実験結果は、本発明に伴う組換えヒトチロシナーゼのL−チロシンに対するKm値は1.32μMで計算された。これは、本発明者の先行研究結果において製造されたヒトチロシナーゼのKm値0.17mM(大韓民国特許出願第2001−0057379号)、Km値2.34μM(大韓民国特許出願第2002−0073728号)とメラノマ細胞(melanoma cell)で抽出されたチロシナーゼのKm値である0.2mM(Sangjin et al., Korean Biochem. J. 26: 632-637, 1993)より最大130倍程低い値である。これより、基質であるL−チロシンに対する本発明による膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの親和力が100倍以上高いことがわかった。さらに、前記結果は本発明による膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼの高次構造が完全にホールディングされたことばかりで無く、基質がヒトチロシナーゼの反応触媒機構(active site)への接近がより容易になったことを示す。 <実験例4>L−ドーパの濃度に対する影響 ヒトチロシナーゼのさらに異なる基質であるL−ドーパの濃度を0.05−5mMの範囲にし、実施例2で製造した組換えヒトチロシナーゼに対する基質濃度の影響を調査した。前記実験例2のドーパ酸化酵素活性度の測定方法と同一な方法により行った。以降、実験例3と同一な方法により、L−ドーパに対する本発明による組換えヒトチロシナーゼのKm値を計算した。 実験結果は、本発明による組換えヒトチロシナーゼのL−ドーパに対するKm値は0.34mMに計算された。これはメラノマ細胞で精製されたチロシナーゼのL−ドーパに対するKm値の0.4mMとほぼ類似した数値であった(Kang et al., Korean Biochem. J., 26: 632-637, 1993)。これよりL−ドーパに対する結合力において、本発明により大腸菌において発現された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼと、メラノマ細胞のチロシナーゼが殆ど差のないことがわかる。 図1は本発明に伴う組換え発現ベクターpET−hTyrosinase(TM−)の製作過程を示す模式図である。図2は粗抽出物より精製された組換えヒトチロシナーゼを確認するために、12.5%SDS−PAGEを行った結果を示すゲル写真である。レーンM:分子量マーカーレーン1:粗抽出物レーン2:His・バインドレジンクロマトグラフィーで精製された膜貫通部位が除去された組換えヒトチロシナーゼ 下記段階a)〜c)a)配列番号2のアミノ酸配列からなるヒトチロシナーゼをコード化するポリヌクレオチドを含む組換えベクターで細菌を形質転換する段階;b)前記a)段階で形質転換された細菌を培養する段階;及びc)前記b)段階で培養された培養物をDEAE−セファセルイオン交換クロマトグラフィーは使用せず、Hisバインドレジンクロマトグラフィーだけで精製する段階;を含み、下記酵素的特性1)〜3)1)分子量:53kDa2)比活性度・チロシン水酸化酵素活性に対する比活性度:108.3±2.10μmol/mg/h・ドーパ酸化酵素活性に対する比活性度:807(units/mg)3)基質に対するkm値・L−チロシン:1.32μM・L−ドーパ:0.34mMを有する配列番号2のアミノ酸配列からなるヒトチロシナーゼを生産する方法。 前記ポリヌクレオチドは、配列番号1の塩基配列からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。配列表


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