タイトル: | 公開特許公報(A)_相間移動反応用触媒 |
出願番号: | 2007035119 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | B01J 31/26,B01J 35/02,C07C 17/20,C07C 19/07,C07B 61/00 |
佐藤 一彦 川村 真人 JP 2008194651 公開特許公報(A) 20080828 2007035119 20070215 相間移動反応用触媒 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 佐藤 一彦 川村 真人 B01J 31/26 20060101AFI20080801BHJP B01J 35/02 20060101ALI20080801BHJP C07C 17/20 20060101ALI20080801BHJP C07C 19/07 20060101ALI20080801BHJP C07B 61/00 20060101ALN20080801BHJP JPB01J31/26 ZB01J35/02 HC07C17/20C07C19/07C07B61/00 300 3 OL 12 4G169 4H006 4H039 4G169AA02 4G169AA03 4G169AA06 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BA49 4G169BC66B 4G169BE05A 4G169BE07A 4G169BE07B 4G169BE10A 4G169BE10B 4G169BE14A 4G169BE14B 4G169BE32A 4G169BE32B 4G169BE37B 4G169BE39A 4G169BE39B 4G169CB25 4G169CB62 4G169CB68 4G169EB19 4G169FA01 4G169FB06 4G169FB27 4G169FB57 4G169FB58 4H006AA02 4H006AC30 4H006BA53 4H006BA55 4H006BA65 4H006BB12 4H006BB14 4H006BC10 4H006EA02 4H039CA50 4H039CD20 本発明は、磁気によって分離可能なクラウンエーテルを主体とする相間移動反応用触媒に関する。 クラウンエーテルはその有用性が広く認識され、相間移動触媒、金属抽出剤、イオンセンサー、クロマトグラフィー材料等多岐にわたって応用されている。しかしながら、クラウンエーテルは非常に高価であるにも関わらず回収・再利用が困難である上に、毒性が高いために取り扱いに注意を要するといった諸問題が有る。 上記問題を解決する策として、クラウンエーテルの固定化が挙げられる。クラウンエーテルをポリマーに固定化することで、安全に取り扱うことができるだけでなく、ろ過により回収した後に再使用することが可能となる為、1回の使用当たりのコストをより低く抑える事ができる。例えば、非特許文献1にはポリスチレン上に担持されたクラウンエーテルの製造法およびそれを触媒に用いた相間移動反応が記載されている。しかしながら、ポリマーに担持することで、有機溶媒による膨潤の為に使用できる溶媒が限定されることや操作性が悪化すること、激しい撹拌によって粒子が壊れやすくなる為に回収が面倒となること、熱安定性が悪いこと等の新たな問題点が生じる。 また、最近、シリカゲル担体粒子に高密度に固定化可能なクラウンエーテルが提案されている(特許文献1)。このクラウンエーテルは、その末端にシロキシ基を配したものであるが、それらはあくまでも有機化合物等の分離を目的としたクロマトグラフィー材料として製造されるものであり、相間移動反応用触媒としての認識やその使用態様について何ら教示なされていない。 また、シリカゲルに固定化した場合でも、激しい撹拌によって粒子が壊れて微細化し、ろ過による分離回収が面倒になるという問題は解決されない。 一方、マグネタイト等の常磁性物質をナノサイズの微粒子で製造することが可能であり、その表面に機能性有機分子を固定化することで新たな機能を有する磁性微粒子を得る方法が多数報告されている。例えば特許文献2、3にはナノ磁性微粒子表面に固定化した生理活性物質や酵素の製造方法が記載されている。 これらの磁性微粒子は無機材料である為、有機溶媒にさらしても膨潤せず、ポリマー粒子と比べて熱的にも物理的にも安定であることが予想される。そして何よりも、ろ過を行わずに磁気を利用するだけで分離が可能であるという利点を有する。しかしながら、上記の特許文献において磁性微粒子に担持される主な対象化合物は酵素等の生体物質であって、クラウンエーテルを担持した例については未だ知られていない。特表2005−515257号公報特開平7−63761号公報特開2005−60221号公報Jounal of the American Chemical Society、1984年、第106巻、861−869頁 本発明は上記に挙げた従来技術の問題点を克服するためになされたものであって、磁気による分離回収が可能な新規な相関移動反応用触媒を提供することを目的とするものである。 本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、特有な構造を有するクラウンエーテルが相関移動反応用触媒として有用であり、また磁性微粒子表面に固定化することで、磁気により操作することが可能となるため、触媒として使用した後の分離回収および再利用が大幅に簡便になることを見いだし、本発明を完成するに至った。 すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。(1)下記一般式(1)(式中、Aはアルキル基、Bはメチレン基又はNH基を表す。R1、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字、nは1から3までの数字を表す。) で表されるクラウンエーテルを含有する相関移動反応用触媒。(2)磁性体微粒子上に前記一般式(1)で表されるクラウンエーテルを担持結合してなる相関移動反応用触媒。(3)相関移動反応が、ハロゲン化アルキルとハロゲン化アルカリとのハロゲン交換反応であることを特徴とする上記(1)又は(2)の相関移動反応用触媒。 本発明によれば、有用な磁気操作可能な、特有な構造を有する新規な相関移動反応用触媒が得られる。また、磁性微粒子に担持結合してなるクラウンエーテルを含む相間移動触媒は、相関移動反応たとえばハロゲン化アルキルとハロゲン化アルカリとのハロゲン交換反応によりハロゲン炭化水素を得るための触媒等として有用である。 本発明に係る第一の相関移動反応用触媒は、前記一般式(1)で表され、クラウンエーテル部位とその末端にシロキシ基が結合したものである。(式中、Aはアルキル基、Bはメチレン基又はNH基を表す。R1、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字、nは1から3までの数字を表す。) Aはアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基等が挙げられる。 Bはメチレン基(CH2)又はNH基を表す。 R1、R2は、二価の炭化水素基であり、アルキレン基、芳香環上に置換基を有してもよいアリーレン基の中から選ばれる。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ビナフチレン基等が挙げられる。 また、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子であり、それぞれが結合して環を形成していてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、芳香環上に置換基を有してもよいアリール基の中から選ばれる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ビナフチル基等が挙げられる。nは1から3までの数字を表す。 一般式(1)のトリ−又はジアルコキシシリル基を有するクラウンエーテルの具体例としては、下記の構造を有する化合物が挙げられる。 上記一般式(1)のアルコキシシリル基を有するクラウンエーテルのうち、BがNHを表すウレア型のクラウンエーテルについては、下記一般式(2)(式中、Aはアルキル基、R1は二価の炭化水素基を表す。R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字を表す。)で表されるイソシアナート基(−NCO)を有するアルコキシシランと、下記一般式(3)(式中、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。nは1から3までの数字を表す。)で表されるアミノ基を有するクラウンエーテルを溶媒中、混合撹拌する事によって得ることができる。 この際用いる溶媒は原料となる一般式(2)で表されるイソシアナートと一般式(3)で表されるクラウンエーテルを溶解し得るもので、尚且つ、イソシアナート基と反応しないものであれば特に制限は無く、具体的にはトルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。 反応条件としては、反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、また、高すぎても好ましくない副反応が起こる可能性があることから、0℃から150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から120℃の範囲である。又、反応時間は一概に定める事はできないが、通常は6時間〜24時間で十分である。 また、一般式(1)におけるBがメチレン基を表すアミド型のクラウンエーテルは、下記一般式(4)(式中、Aはアルキル基、R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字を表す。)で表されるアルコキシシランと下記一般式(5)(式中、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。nは1から3までの数字を表す。)で表される末端二重結合を有するクラウンエーテルを溶媒中、既知のヒドロシリル化触媒存在下で混合撹拌することによって得ることができる。 この際用いる溶媒は原料となる一般式(4)で表されるアルコキシシランと一般式(5)で表されるクラウンエーテルを溶解し得るもので、尚且つ、ヒドロシリル化触媒にとって触媒毒とならないものであれば特に制限は無く、具体的にはトルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。 用いられるヒドロシリル化触媒は既知のものであれば特に制限は無く、具体的には塩化白金酸等が挙げられる。反応条件としては、反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、また、高すぎても好ましくない副反応が起こる可能性があることから、0℃から120℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から120℃の範囲である。又、反応時間は一概に定めることはできないが、通常は6時間〜24時間で十分である。 本発明に係る第二の相関移動反応用触媒は、磁性体微粒子上に、前記一般式(1)で表されるクラウンエーテル部位を有するシロキシ基が結合担持していることを特徴とする。 この第二の相関移動反応用触媒の代表例は、図式的には、下記構造で示される。(式中、Mは磁性微粒子、Aはアルキル基又は磁性微粒子表面と結合している酸素原子、Bはメチレン基又はNH基を表す。R1、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。nは1から3までの数字を表す。) 式中、Mは磁性微粒子を表す。本磁性微粒子の種類には特に制限が無く、マグネタイト、フェライト、マグヘマイト等、公知のものであれば如何なるものでも使用できる。本発明における磁性微粒子は如何なる大きさものでも使用可能であるが、小さすぎると磁気によって回収する事が困難となり、大きすぎても触媒効率が低下する為、100nmから100μmの粒径を有するものが好ましい。 また、A、B、R1、R2、R3、R4、R5は前記一般式(1)で説明したものと同様なものが用いられる。 上記の本発明の磁性微粒子担持クラウンエーテルは、前記一般式(1)で表されるトリ−又はジアルコキシシリル基を有するクラウンエーテルと磁性微粒子とを反応させることによって製造される。 この反応に使用できる溶媒は原料となる一般式(1)で表されるクラウンエーテルを溶解し得るものであれば特に制限は無く、具体的にはエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等が挙げられる。これらの溶媒は単独での使用に限られず、適宜混合して用いてもよい。また、有機溶媒に対して0.5〜1%の水の添加で反応が促進される場合もある。 反応条件としては、反応温度が低すぎると反応が進行しにくく、また、高すぎても好ましくない副反応が起こる可能性があることから、0℃から150℃の範囲が好ましく、更に好ましくは25℃から120℃の範囲である。 又、反応時間は一概に定める事はできないが、通常は12時間〜24時間で十分である。原料となる一般式(1)で表されるクラウンエーテルと磁性微粒子の使用割合に特に制限はないが、磁性微粒子に対してクラウンエーテルの割合が少なすぎると担持量が減少し、また大量に使用しすぎても製造コストの無駄につながる恐れが有る事から、磁性微粒子1モル当たり0.1〜0.5モルの範囲のクラウンエーテルを用いることが好ましい。 本発明に係る相関移動反応用触媒の対象となる相間移動反応としては、従来公知の相関移動反応、たとえばハロゲン交換反応、脱ハロゲン化水素反応、エーテル合成反応、シアノ化反応、酸化反応等が挙げられるが、以下、その代表反応例として、ハロゲン交換反応を例にとり具体的に説明する。 なお、本発明に係る相関移動反応用触媒は、前記した相間移動反応に用いることができるものであり、相間移動反応であれば、ここに挙げた以外の相間移動反応にも使用することができる。 上記[化9]で表される本発明の磁性微粒子担持クラウンエーテルを触媒として用いることにより、以下のハロゲン交換反応を行うことができる。 すなわち、前記触媒の存在下に、下記一般式(6) R7−X1 (6)(式中R7は炭化水素基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、ベンジル基から選ばれるいずれの基でもよい。X1はCl、Br、Iから選ばれるハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アルキルと、下記一般式(7) MX2 (7)(式中MはNa、K、Csの中から選ばれる金属原子、X2はF、Cl、Br、Iから選ばれるハロゲン原子を表す。)で表されるハロゲン化アルカリを、溶媒の存在下に反応させ、下記一般式(8) R8−X2 (8)(式中R8、X2は前記と同じ意味を持つ。)で表されるハロゲン化炭化水素を製造することができる。 この反応は、溶媒存在下で原料物質、及び触媒を添加し、混合撹拌する。溶媒には、水又は炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の有機溶媒を用いるが、水と有機溶媒を同時に使用してもよい。また、反応基質となるハロゲン化アルキルが液体の場合には溶媒を用いずに反応を行うことも可能である。触媒使用量は一概に定める事はできないが、基質に対して0.1〜10mmol%の使用で十分である。反応温度に制限はないが、低すぎると反応の進行が遅くなり、また、高すぎても望ましくない副反応が起こる可能性のあることから、25℃〜120℃で行うのが好ましい。 反応中は反応溶液を激しく撹拌する。反応終了後、反応容器の外壁に磁石を密着させることで、触媒のみが反応容器の内壁に集積する為、生成物を含む反応溶液のみをデカンテーションによって分別することが可能である。反応溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することで目的物質の収率を求めることができるが、溶媒抽出することによって目的物質を単離することも可能である。また、触媒は反応容器に残る為、次の反応にそのまま使用することができる。 かくして、上記[化5]で表される本発明の磁性微粒子担持クラウンエーテルを相間移動触媒として用いることで効率的に相間移動反応を行うことができる。更に、磁気を利用することで、従来のポリマー担持型相間移動触媒に比べ、触媒の分離回収および再利用が大幅に簡便にすることが可能である。 本発明を更に詳細するために以下に実施例を記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(参考例1)4’−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレイドベンゾ−18−クラウン−6の合成 窒素雰囲気下で(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシラン(1.13g、4.57mmol)、4’−アミノベンゾ−18−クラウン−6(1.36g、4.15mmol)、乾燥トルエン10mlの混合溶液を85℃で12時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、得られた粗生成物を乾燥ヘキサンで5回洗浄後、減圧乾燥して2.19g(収率92%)の淡黄色固体を得た。 生成物の各種分析値は下記のとおりであった。1H−NMR(499MHz,CDCl3):δ=0.59−0.65(m,2H),1.21(t,9H,J=7.0Hz),1.57−1.65(m,2H),3.21(pseudo q,J=6.7Hz),3.67−3.84(m,18H),3.88−3.92(m,2H),4.08−4.14(m,2H),5.11(br t,J=5.8Hz),6.55(brs,1H),6.69(dd,1H,J=2.3,8.6Hz),6.78(d,1H,J=8.6Hz),7.02(d,1H,J=2.3Hz). 13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=7.66,18.31,23.59,42.75,58.45,69.02,69.62,69.74,69.78,70.77,70.80,70.82,70.87,70.89,109.25,114.74,115.23,132.57,145.79,149.58,156.32. 元素分析:計算値:C,54.33;H,8.07;N,4.87. 測定値:C,54.34;H,8.01;N,4.83. 上記の結果から、上記[化3]で表されるクラウンエーテル誘導体が得られたことを確認した。(参考例2−1)4’−[N−(10−ウンデセノイル)アミノ]ベンゾ−15−クラウン−5の合成4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5(1.02g、3.60mmol)、ジクロロメタン10ml、トリエチルアミン(2ml)の混合溶液を0℃で撹拌しながら10−ウンデセノイルクロライド(803mg、3.96mmol)を加えた。反応溶液を室温で24時間撹拌後、水100mlの入った分液ロートに移し、ジクロロメタンで2回抽出した。混合した有機層を濃縮して得られた粗生成物をショートパスのシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エタノール/ジクロロメタン=1/5)及び分取用薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)により精製し、1.17g(収率72%)の白色固体を得た。生成物の各種分析値は下記のとおりであった。1H−NMR(499MHz,CDCl3):δ=1.24−1.44(m,10H),1.71(quintet,2H,J=7.6Hz),2.00−2.06(m,2H),2.32(t,2H,J=7.6Hz),3.70−3.93(m,12H),4.07−4.15(m,4H),4.89−5.02(m,2H),5.80(ddt,1H,J=17.1,10.3,6.7Hz),6.79(d,1H,J=8.5Hz),6.82(dd,1H,J=2.2,8.5Hz),7.18(brs,1H),7.38(d,1H,J=2.2Hz). 13C−NMR(125MHz,CDCl3):δ=25.6,28.9,29.1,29.27,29.31,29.33,33.8,37.7,68.9,69.5,69.7,69.8,70.5,70.7,71.0,71.1,107.0,112.1,114.2,115.0,132.4,139.2,145.7,149.5,171.3. 上記の結果から、下記[化10]で表されるクラウンエーテル誘導体が得られたことを確認した。(参考例2−2)4’−[N−(11−ジエトキシメチルシリル)ウンデカノイルアミノ]ベンゾ−15−クラウン−5の合成ジエトキシメチルシラン(149μl,1.11mmol)、塩化白金酸六水和物(7 mg,0.14mmol)、参考例2−1で合成した4’−[N−(10−ウンデセノイル)アミノ]ベンゾ−15−クラウン−5(417mg,0.928mmol)、トルエン(5ml)の混合溶液を50℃で8時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して得られる粗生成物をヘキサンで5回洗浄後、減圧乾燥して淡黄色固体489mgを得た。生成物の各種分析値は下記のとおりであった。1H NMR(499MHz,CDCl3):δ=0.11(s,3H),0.56−0.65(m,2H),1.15−1.41(m,20H),1.71(quintet,2H,J=7.6Hz),2.33(t,2H,J=7.6Hz),3.67−3.93(m,16H),4.08−4.17(m,4H),6.80(d,1H,J=8.5Hz),6.75(dd,2H,J=2.1,7.5Hz),7.39(d,1H,J=2.1Hz). 13C NMR(125MHz,CDCl3):δ=−4.7,13.7,17.4,22.9, 25.6,29.27,29.31,29.4,29.5,33.3,37.7,57.1,67.7,69.4,69.67,69.70,70.4,70.6,70.9,71.0,107.0,112.2,114.9,132.5,145.5,149.3,171.4. 上記の結果から、下記[化6]で表されるクラウンエーテル誘導体が得られたことを確認した。(実施例1)(触媒1の製造) マグネタイト微粒子(1.45g,6.26mmol)、上記[化2]で表される4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレイドベンゾ−15−クラウン−5(770mg,1.45mmol)、エタノ−ル20ml、水0.13mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテ−ションによって磁性体のみを分離し、エタノ−ルで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、1.32gの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子の元素分析により窒素の含有量は0.75%であることがわかった。(実施例2)(触媒2の製造) マグネタイト微粒子(741mg,5.31mmol)、上記[化3]で表される4−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ウレイドベンゾ−18−クラウン−6(426mg,0.741mmol)、エタノ−ル10ml、水65μlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテ−ションによって磁性体のみを分離し、エタノ−ルで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、722mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子の元素分析により窒素の含有量は0.70%であることがわかった。(実施例3)(触媒3の製造) マグネタイト微粒子(930mg,4.02mmol)、上記[化6]で表される4’−[N−(11−ジエトキシメチルシリル)ウンデカノイル]アミノベンゾ−15−クラウン−5(218mg,0.373mmol)、エタノ−ル10ml、水0.07mlの混合物を室温で1分間超音波撹拌した後、12時間還流撹拌した。ネオジウム磁石を用いたマグネティックデカンテ−ションによって磁性体のみを分離し、エタノ−ルで5回洗浄した。残った磁性微粒子を減圧乾燥する事により、908mgの茶黒色微粒子を得た。得られた微粒子の元素分析により窒素の含有量は0.11%であることがわかった。(実施例4) ヨウ化ナトリウム562mg(3.75mmol)、触媒1(83.6mg、クラウンエ−テル0.0225mmol相当)、1−ブロモオクタン0.13ml(0.75mmol)、トルエン1ml、テトラデカン(20μl:ガスクロマトグラフィ−の内標準物質)の混合物を封管中100℃で12時間撹拌した。ガスクロマトグラフィ−により1−ヨ−ドオクタンの収率を求めたところ、76%であった。(実施例5) ヨウ化カリウム623mg(3.75mmol)、触媒1(83.6mg、クラウンエ−テル0.0225mmol相当)、1−ブロモオクタン0.13ml(0.75mmol)、トルエン1ml、テトラデカン(20μl:ガスクロマトグラフィ−の内標準物質)の混合物を封管中100℃で12時間撹拌した。ガスクロマトグラフィ−により1−ヨ−ドオクタンの収率を求めたところ、77%であった。(実施例6) 実施例3において触媒1の代わりに触媒2(90.4mg、クラウンエ−テル0.0225mmol相当)に代えた以外は実施例3と同様の操作を行ったところ、1−ヨ−ドオクタンの収率は83%であった。(実施例7) 実施例5において触媒1の代わりに触媒2(90.4mg、クラウンエ−テル0.0225mmol相当)に代えた以外は実施例8と同様の操作を行ったところ、1−ヨ−ドオクタンの収率は83%であった。(比較例1) 実施例4において触媒1を省略した以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、1−ヨ−ドオクタンの収率は3%であった。(比較例2) 実施例5において触媒1を省略した以外は実施例5と同様の操作を行ったところ、1−ヨ−ドオクタンの収率は2%であった。 以上の結果から明らかなように、触媒1〜3は触媒活性を有することが確認された。これにより本発明の磁性微粒子担持クラウンエ−テルが相間移動反応に対して有効な触媒となることが認められたのである。(実施例8〜9)(触媒の再利用) 実施例7の反応終了後、反応容器の外壁にネオジウム磁石を密着させることで触媒1を反応容器の壁面に集めた。反応溶液をピペットで分取した後、残った触媒1はヘキサン、エタノール、水により繰り返し洗浄した。洗浄後の触媒1を減圧乾燥後、実施例10と同じ条件下での1−ヨードオクタンの製造に用いた。これらの操作を繰り返し行った結果を表1に示す。 表1の結果から本発明の磁性微粒子担持相間移動触媒は磁気により迅速且つ容易に分離回収されるだけでなく、繰り返し再使用可能であることが確認された。 本発明の磁性微粒子担持クラウンエ−テルは、磁気により迅速且つ容易に分離回収されるだけでなく、繰り返し再使用可能であることから、環境調和型の有機合成反応である相間移動反応において特に有用であり、多くの化合物の工業的製法に用いることができる。 下記一般式(1)(式中、Aはアルキル基、Bはメチレン基又はNH基を表す。R1、R2は二価の炭化水素基、R3、R4、R5は一価の炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字、nは1から3までの数字を表す。)で表されるクラウンエーテルを含有する相関移動反応用触媒。 磁性体微粒子上に前記一般式(1)で表されるクラウンエーテルを担持結合してなる相関移動反応用触媒。 相関移動反応が、ハロゲン化アルキルとハロゲン化アルカリとのハロゲン交換反応であることを特徴とする請求項1又は2の相関移動反応用触媒。 【課題】磁気による分離回収が可能な新規な相関移動反応用触媒を提供する。【解決手段】 下記一般式(1)【化1】(式中、Aはアルキル基、Bはメチレン基又はNH基を表す。R1、R2は炭化水素基、R3、R4、R5は炭化水素基又は水素原子を表し、それぞれが結合して環を形成していてもよい。R6は炭素数1から3のアルキル基を表す。mは0から1までの数字、nは1から3までの数字を表す。)で表されるクラウンエーテルを含有する相関移動反応用触媒。該相関移動反応用触媒に磁性微粒子(M)を担持させ、下記構造で表される磁石により分離回収可能な相関移動反応用触媒。【化2】【選択図】 なし