タイトル: | 再公表特許(A1)_アロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法 |
出願番号: | 2007000864 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07D 251/34,C08G 18/79,C07B 61/00 |
岸本 龍介 折戸 洋之 JP WO2008065732 20080605 JP2007000864 20070810 アロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法 日本ポリウレタン工業株式会社 000230135 岸本 龍介 折戸 洋之 JP 2006318268 20061127 C07D 251/34 20060101AFI20100205BHJP C08G 18/79 20060101ALN20100205BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100205BHJP JPC07D251/34C08G18/79 ZC07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW 再公表特許(A1) 20100304 2008546866 17 4H039 4J034 4H039CA42 4H039CA71 4H039CF40 4H039CH30 4J034AA01 4J034AA04 4J034BA03 4J034CA02 4J034CB01 4J034CC02 4J034DB07 4J034DP18 4J034HA01 4J034HA07 4J034HB05 4J034HB12 4J034HC03 4J034HC08 4J034HC12 4J034HC13 4J034HC17 4J034HC22 4J034HC46 4J034HC52 4J034HC61 4J034HC64 4J034HC67 4J034HC71 4J034HC73 4J034RA07 4J034RA08 本発明は、特に非極性有機溶剤や低臭溶剤に対する溶剤溶解性(以下、トレランスという。)に優れたアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法に関する。 塗料・塗装及び接着剤分野においては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという。)、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートより誘導される無黄変ポリイソシアネートは耐候性に優れているが、その中でもイソシアヌレート結合を含有するポリイソシアネートタイプが、化学的、熱的安定性が高く、特に耐候性、耐熱性、耐久性に優れているため、その用途に応じて幅広く使用されており、今後もより一層の用途展開が期待されている。 このイソシアヌレート結合を含有するタイプは、ビュレットタイプやウレタンタイプよりもトレランスに優れ、非極性の芳香族炭化水素系溶剤であるトルエン、キシレンなどに溶解するが、トルエン、キシレンなどの通常の溶剤はプラスチックを侵すほどの強い溶解性を有するため、塗装工程において下地が硬化するまで塗り重ねができないなど、溶剤選択性の点において実用上の制約が存在しているのが現状である。 これら従来技術の問題点を解決する方法として、たとえば、特許文献1、特許文献2の方法や、特許文献3の方法のように、ジイソシアネートをアルコールによって変性して得られるイソシアヌレート結合含有ポリイソシアネートとアロファネート結合含有ポリイソシアネートとの混合物により、非極性有機溶剤に対するトレランスを向上させる方法が提案されている。 さらには、悪臭防止の観点から非極性有機溶剤では刺激臭がするため好ましくなく、将来的にはパラフィン系炭化水素のような低臭溶剤を使用していく動きがあるが、これに溶解性の良い硬化剤は得られていないのが現状である。 前記特許文献1、特許文献2で提案されている方法のように、ジイソシアネートを炭素数の長いジアルコールにより変性した場合には、生成する変性ポリイソシアネートの分子量が大きくなるため粘度が高くなり、非極性有機溶剤、とりわけその中でも溶解能のないアニリン点の高い溶剤、そして低臭溶剤に対してトレランスが低下し好ましくない。 また、前記特許文献3の方法のように、炭素数の短いモノアルコールにより変性した場合にも同様に、前記溶剤に対するトレランスが不足する。 前記各特許文献に開示されている技術はいずれも、非極性有機溶剤に対するトレランスの向上のみを目標に掲げたもので、種々の変性剤を用いることによりトレランスの向上を図っているが、塗料組成物、接着剤組成物として使用する際の硬度、乾燥性については、通常の極性溶剤に溶解しやすい既存の硬化剤に比べて劣る傾向にあり、硬度、乾燥性に配慮した技術ではなかった。 すなわち、非極性有機溶剤、とりわけその中でも溶解能のないアニリン点の高い溶剤、そして低臭溶剤に対して高いトレランスを有し、かつ、硬度、乾燥性にすぐれた硬化剤は得られていないのが現状である。 塗料、接着剤分野においては、硬度低下は物性の低下につながり、乾燥性の低下は作業性の低下につながり、一般的に短所として位置付けられるものとなり好ましくない。 そこで、特許文献4には、各種溶剤に対するトレランス、硬化性、乾燥性,耐候性を更に改善した低粘度のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物の製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献4に開示の方法によって得られるアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート化合物もミネラルスピリットなどの非極性溶剤や低臭溶剤に対するトレランスは依然として充分満足しうるものとは言い難い。特公昭62−51968号公報特開昭62−215662号公報特開平4−306218号公報特開2002−60459号公報 本発明の目的は、優れた硬化性、乾燥性、耐候性を確保した上で、特に非極性有機溶剤や低臭溶剤に対するトレランスに優れた低粘度のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法を提供することである。 そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ね、非極性有機溶剤さらには低臭溶剤にも溶解する変性イソシアネート混合物の開発に取組み、「低粘度化」及び「優れた硬度や乾燥性」を確保した上で、従来技術よりも特段にこれらの溶剤に対する「トレランス向上」を同時に達成するべく、その製造について鋭意研究した結果、まずポリイソシアネートの一部をモノアルコールによりウレタン化、アロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートを除去し、更にイソシアヌレート化するという順序で反応を行なって、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下で反応させてアロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去し、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化すること、を特徴とするアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法である。 本発明は、モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下でモノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃で反応させてアロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去し、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下で40〜90℃でイソシアヌレート化すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法である。 本発明は、前記有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである、前記の各アロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法である。 また本発明は、モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下で反応させてアロファネート化する際に、まずモノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとを反応させて有機ポリイソシアネートとウレタン基含有イソシアネート化合物との混合物を合成する、前記の各アロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法である。 本発明により製造される変性イソシアネート混合物は、モノアルコールにより有機ポリイソシアネートの一部をウレタン化、(ウレタン基のすべてを)アロファネート化したのち有機ポリイソシアネート(モノマー)を除去して実質的にアロファネート基のみを含有する変性ポリイソシアネートを合成し、これを更にイソシアヌレート化しているので、低粘度で溶剤や多価ヒドロキシル化合物との相溶性が良く、特に、非極性有機溶剤及び/又は低臭溶剤に対するトレランスと、硬化性、乾燥性、耐候性の両立した(ポリウレタン塗料組成物や接着剤組成物の)硬化剤として使用することができる。そのため、金属、プラスチック、コンクリート、木材等の広範囲の被塗物に良好な作業性で適用可能である。また、従来の極性溶剤を使用した際と比較して、極性溶剤に侵されやすい塗膜の上に塗り重ねる場合や補修する際の塗膜のリフティングを発生させず、外観の良好な塗膜を得ることができる。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明において変性イソシアネート混合物を合成するために用いる有機ポリイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、HDI、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。 これらの有機ポリイソシアネートは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 これらの有機ポリイソシアネートのうち、耐候性等を考慮した場合には、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、HDIが更に好ましい。 本発明における変性イソシアネート混合物の合成において、モノアルコールは非極性有機溶剤及び低臭溶剤に対するトレランスをさらに上げるために使用されるものであり、炭素数1〜20のモノアルコールが好ましい。モノアルコールの炭素数が20を超えると、変性イソシアネート混合物のイソシアネート含量(以下、NCO含量という。)が低下したり、例えばステアリルアルコールの場合には低温で固化する傾向にある。 モノアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、エチルジメチル−1−ヘキサノール,メチル−1−ノナノール、ジメチル−1−オクタノール、テトラメチル−1−ヘキサノール、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクタノール、4,5,6,7−テトラメチルノナノール、4,5,8−トリメチルデカノール、4,7,8−トリメチルトリデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、2−ヘキサデシルオクタデカノールなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 モノアルコールの使用量は、有機ポリイソシアネートとの反応におけるウレタン化率が全イソシアネート基に対して2〜20モル%となる量であることが好ましい。モノアルコールの使用量がウレタン化率2モル%未満となる量では、収率が悪く非効率的である。ウレタン化率20モル%となる量を超えると、得られる変性イソシアネートのNCO含量が少なくなり、また、塗料組成物あるいは接着剤組成物としたときの硬度、乾燥性及び耐候性の向上が達成できない。 ウレタン化反応は、20〜120℃の範囲で好適に行うことができる。 アロファネート化反応は、公知のアロファネート化触媒を使用して行う。 アロファネート化触媒としては、好適には、カルボン酸の金属塩又はこれと亜リン酸エステルとの混合触媒を挙げることができ、更に好適にはカルボン酸の金属塩を挙げることができる。 カルボン酸の金属塩の原料であるカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、オクチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上記したカルボン酸の混合物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。 また、カルボン酸の金属塩における金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム等の遷移金属、アルミニウム等のホウ素族、スズ、鉛等の炭素族の金属が挙げられる。 これらのカルボン酸の金属塩は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 これらのなかでは、飽和脂肪族カルボン酸のジルコニウム塩、スズ塩、亜鉛塩及び鉛塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。 助触媒として使用される亜リン酸エステルとしては、亜リン酸ジエステルと亜リン酸トリエステルが挙げられる。 亜リン酸トリエステルの具体例としては、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト等のモノホスファイトなどが挙げられる。また、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、ジトリデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルテトラトリデシルペンタエリスリチルテトラホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、トリペンタエリスリトールトリホスファイトなどの多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト類も挙げられる。さらに、炭素数が1〜20のジアルキルビスフエノールAジホスファイト、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジトリデシル)ホスファイトなどのビスフェノール系化合物から誘導されたジホスファイト類、水素添加ビスフェノールAホスファイトポリマー(分子量2400〜3000)等のポリホスファイト類、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスファイトも挙げられる。 亜リン酸ジエステルの具体例としては、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイトなどが挙げられる。 これらの亜リン酸エステルは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 カルボン酸の金属塩と亜リン酸エステルとを組合わせて使用すると、カルボン酸の金属塩自体の使用量はそれ単独で使用する場合よりも少ない量でよい。カルボン酸の金属塩の使用量はその種類により異なるが、通常、モノアルコールと有機ポリイソシアネートとの反応生成物に対して0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%が更に好ましい。前記反応生成物に対するカルボン酸の金属塩の使用量が0.0005質量%未満であると、実質的に反応が遅く、長時間を要し、他方、カルボン酸の金属塩の使用量が1質量%を超えると、反応制御が難しく、また、反応生成物を硬化剤とする二液型樹脂のポットライフが短くなる等の問題が生じることがある。 亜リン酸エステルの使用量は、モノアルコールと有機ポリイソシアネートとの反応生成物に対して0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましい。その使用量が0.005質量%未満であると、助触媒としての作用が充分でなく、他方、その使用量が1質量%を超えると、反応により得られた生成物を利用した最終製品の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。 アロファネート化率は、モノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で行うのが好ましい。アロファネート化率が水酸基に対して1.8倍モル量未満のイソシアネート基を消費する範囲で反応させて得られる生成物は1官能成分が多量に残り、塗膜物性を悪化させ、2.0倍モル量を超えるイソシアネート基が消費された場合、イソシアヌレート化反応が起きていると考えられるが、アロファネート化触媒でイソシアヌレート化させることは効率的でなく、また、濁りも発生させやすい。 アロファネート化反応は、70〜150℃の範囲で行うのが好ましい。反応温度が70℃未満では反応の進行が極めて遅く、150℃を超えると着色しやすくなる。 アロファネート化反応混合物中に存在している遊離の未反応の有機ポリイソシアネート(モノマー)を、例えばn−ヘキサンを用いる抽出あるいは10〜100Paの高真空下での120〜140℃における薄膜蒸留といった適当な手段により、1.0質量%以下の残留含有率まで除去する。 前記アロファネート化反応生成物のイソシアヌレート化反応は、公知のイソシアヌレート化触媒を使用して行う。 イソシアヌレート化触媒の具体例としては、トリエチルアミン、N−エチルピペリジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−エチルモルフォリン、フェノール化合物のマンニッヒ塩基等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや有機弱酸塩、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、吉草酸、イソ吉草酸、オクチル酸、ミリスチン酸、ナフテン酸等のカルボン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。 これらのうち、カルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。 イソシアヌレート化触媒は、有機ポリイソシアネートに対して0.0001〜1.0質量%、特に0.001〜0.1質量%の量を用いるのが好ましい。 イソシアヌレート化反応は、40〜90℃の範囲で行うのが好ましい。反応温度が40℃未満又は90℃を超えると反応の進行が極めて遅く、また、90℃を超えると着色しやすいという不都合がある。 目的のイソシアヌレート化反応率に到達後、酸性リン酸エステル、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等の停止剤を添加してイソシアヌレート化反応を停止させる。 本発明により得られる変性イソシアネート混合物は、不活性溶剤で希釈して、塗料や接着剤の硬化剤として使用することができる。 このような不活性溶剤としては、HAWS(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点15℃)、スワゾール310(丸善石油株式会社製、アニリン点16℃)、エッソナフサNo.6(エクソン化学株式会社製、アニリン点43℃)、ロウス(シェルケミカルズジャパン株式会社製、アニリン点43℃)、Aソルベント(日本石油株式会社製、アニリン点44.5℃)などの非極性有機溶剤及び/又は低臭溶剤であるイソペンタン、イソヘキサン、イソオクタン、イソドデカンなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これらの不活性溶剤に極性有機溶剤を混合して使用することも好ましい。 以下、本発明について実施例及び比較例により更に詳細に説明する。実施例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9質量%、固形分=100質量%)950gを仕込み、次いでiso−プロパノール50gを仕込んだ。これを攪拌しながら85℃に加熱し、同温度で3時間攪拌してウレタン化反応を行った。そしてその後、この反応液中にアロファネート化触媒としてオクチル酸ジルコニウム0.05gを加え、110℃で4時間攪拌してアロファネート化反応を行った。次いで、未反応のHDIを130℃、0.04kPaで薄膜蒸留により除去し(HDI残存率0.1質量%)、50℃に冷却した。この中に、イソシアヌレート化触媒としてオクチル酸カリウム1.0gをジプロピレングリコール4.5gとテトラヒドロフラン4.5gの混合溶媒に溶解した溶液2.0gを加え、80℃で5時間攪拌してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル0.8gを加えて、100分間攪拌して反応を停止させて、変性イソシアネート混合物P−1を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネート混合物の性状などを表1にまとめて示す。 なお、残留の遊離HDI含有率はガスクロマトグラフィー分析により求めた。変性イソシアネート混合物の分析は、GPC分析、IR分析、13C−NMR分析により行った。このGPC分析チャートを図1に示す。比較例1 撹拌機、温度計及び還流冷却器を取り付けた四ッ口フラスコに、HDI(日本ポリウレタン工業株式会社製;NCO含量=49.9質量%、固形分=100質量%)950gを仕込み、次いでiso−プロパノール50gを仕込んだ。これを攪拌しながら85℃に加熱し、同温度で3時間攪拌してウレタン化反応を行った。そしてその後、この反応液中にアロファネート化触媒としてオクチル酸ジルコニウム0.05gを加え、110℃で4時間攪拌してアロファネート化反応を行った。次いで、50℃に冷却し、この中にイソシアヌレート化触媒としてオクチル酸カリウム0.5gをジプロピレングリコール4.5gとテトラヒドロフラン4.5gの混合溶媒に溶解した溶液1.5gを加え、80℃で3時間攪拌してイソシアヌレート化反応を行い、所定のNCO含量(反応停止時のNCO含量)に到達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル0.6gを加えて、100分間攪拌して反応を停止させた。未反応のHDIを130℃、0.04kPaで薄膜蒸留により除去し(HDI残存率0.1質量%)、変性イソシアネート混合物P−2を得た。 使用した各原料、それらの仕込み量、各反応条件、反応結果、変性イソシアネート混合物の性状などを表1にまとめて示す。 なお、残留の遊離HDI含有率はガスクロマトグラフィー分析により求めた。変性イソシアネート混合物の分析は、GPC分析、IR分析、13C−NMR分析により行った。このGPC分析チャートを図2に示す。〔トレランス〕 実施例1、比較例1で得られた製品を各5gとり、表2記載の各種溶剤をビュレットにて少しずつ加え、25℃においてよく振り混ぜて濁ったところを終点とし、その時の溶剤の所要ml数を求めた。そして次の式にて、各種溶剤に対応するトレランスを求めた。 トレランス=溶剤の所要ml数/サンプル量(5g)。 この値が大きいほどトレランスに優れている。 その結果を表2に示す。〔塗膜試験〕 実施例1、比較例1で得られた変性イソシアネート混合物とアクリルポリオール(アクリディックHU−596、大日本インキ化学工業株式会社製、水酸基価30mgKOH/g、Nv=50%)と溶剤HAWS(High Aromatic White Spirit)からなる組成物を、メチルエチルケトンで脱脂した鋼板(JIS G 3141 SPCC−SB、PF−1077処理、日本テストパネル工業株式会社製)にアプリケーターを用いWet100μmで塗布し、20℃、65%RHの環境下で1週間養生を行い、乾燥膜厚30〜40μmの塗膜を形成させた。 これら塗膜を下記の手法を用いて評価を行った。 塗膜の乾燥性を評価するためにドライングレコーダー(理研光学:現・株式会社リコー)を用いて行った。 さらに円筒形マンドレルにより折り曲げられた場合に塗膜の割れ、ひび、金属基盤からのはがれに対する抵抗性を評価するための耐屈曲性試験(円筒型マンドレル法)(JIS K 5600−5−1に準拠)、塗膜が押し込みによって部分変形を受けた場合に塗膜の割れ、ひび、金属基盤からのはがれに対する抵抗性を評価するための耐カッピング性試験(JIS K 5600−5−2)、おもり落下によって変形する塗膜の割れ、ひび、金属基盤からのはがれに対する抵抗性を評価するための耐おもり落下試験(デュポン法)(JIS K 5600−5−3に準拠)、塗膜表面の硬度を評価するために引っかき硬度試験(鉛筆法)(JIS K 5600−5−4に準拠)、塗膜の密着性を評価する碁盤目テープ試験(JIS K 5600−8−5−2に準拠)、QUVによる照射1056時間後の耐候性試験(JIS K 5600−7−8に準拠)を実施した。耐候性試験装置はQ−Panel製であり、サイクル条件は1サイクル:70℃でUVのみ8hr、次いで50℃で水噴霧のみ4hrである。 その結果を表3に示す。 図1と2における各チャートにおいて、その各ピークの分子量(Mn、Mw)から、ピーク(1)はHDIのモノアロファネート体、ピーク(2)は3分子のHDIからなるイソシアヌレート体、ピーク(3)はHDIのジアロファネート体、ピーク(4)は3分子のモノアロファネート化HDIからなるイソシアヌレート体とそれぞれ推定される。 チャート1と2を対比すると、変性イソシアネート混合物P−2は、ピーク(2)の生成がその全体(合計)ピーク面積中で14.2%であり、ピーク(4)はP−2の全体(合計)ピーク面積中でほとんど存在しないのに対し、変性イソシアネート混合物P−1は、ピーク(2)の生成がその全体(合計)ピーク面積中で3.0%であり、ピーク(4)はP−1の全体(合計)ピーク面積中で9.1%生成している。HDIのモノ及びジアロファネート体と3分子のHDIからなるイソシアヌレート体が混在している変性イソシアネート混合物P−2より、HDIのモノ及びジアロファネート体と3分子のHDIからなるイソシアヌレート体に更に3分子のモノアロファネート化HDIからなるイソシアヌレート体がある程度以上の比率(9.1%)で混在している変性イソシアネート混合物P−1の方が、非極性有機溶剤や低臭溶剤に対するトレランスが高くなっているものと推定される。変性イソシアネート混合物P−1のGPC分析チャートである。変性イソシアネート混合物P−2のGPC分析チャートである。モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下で反応させてアロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去し、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化すること、を特徴とするアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法。モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下でモノアルコールの水酸基に対して1.8〜2.0倍モル量のイソシアネート基を消費する範囲で70〜150℃で反応させてアロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去し、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下で40〜90℃でイソシアヌレート化すること、を特徴とする25℃での粘度が2,000mPa・s以下のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法。前記有機ポリイソシアネートが脂肪族ジイソシアネートである、請求項1又は2に記載のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法。モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下で反応させてアロファネート化する際に、まずモノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとを反応させて有機ポリイソシアネートとウレタン基含有イソシアネート化合物との混合物を合成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法。 【課題】優れた硬化性、乾燥性、耐候性を確保した上で、特に非極性有機溶剤や低臭溶剤に対するトレランスに優れた低粘度のアロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法を提供する。【解決手段】モノアルコールと過剰量の有機ポリイソシアネートとをアロファネート化触媒の存在下で反応させてアロファネート化した後、未反応の有機ポリイソシアネートをその含有量が1.0質量%以下となるように除去し、次いでイソシアヌレート化触媒の存在下でイソシアヌレート化する、アロファネート結合及びイソシアヌレート結合含有変性イソシアネート混合物の製造方法である。【選択図】図1