タイトル: | 公表特許公報(A)_苦み抑制剤を含有する歯科組成物及びキット、並びに関連する方法 |
出願番号: | 2006551213 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | A61K 6/06 |
ミトラ,スミタ,ビー. JP 2007523063 公表特許公報(A) 20070816 2006551213 20050121 苦み抑制剤を含有する歯科組成物及びキット、並びに関連する方法 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 505005049 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 小林 純子 100093676 大森 規雄 100120134 古橋 伸茂 100114409 鈴木 康仁 100104282 ミトラ,スミタ,ビー. US 60/538,024 20040121 A61K 6/06 20060101AFI20070720BHJP JPA61K6/06 A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2005001596 20050121 WO2005072683 20050811 19 20060908 1.テフロン 2.TEFLON 4C089 4C089AA06 4C089AA10 4C089AA14 4C089BA01 4C089BC07 4C089BC12 4C089BC20 4C089BD01 4C089CA03 4C089CA06 本発明は、苦味受容体を遮断する苦み抑制剤を含有する歯科組成物(例えば、印象材及び歯科用セメント)及びキットに関する。 味の感覚的知覚は、典型的には、通常は味覚物質と称される呈味活性(taste−active)分子と、舌の乳頭に存在し、味覚の終末器官である味覚受容体細胞との相互作用を必要とする。各味覚のモダリティは、別個の機構を通して受容体細胞に影響を与える。次いで、味蕾はその情報を中枢神経系に伝達する。 様々な口腔処置のために歯科臨床医によって使用されるものなどの歯科組成物は、組成物に苦味を付与する有効化学成分(例えば、触媒構成成分)からなることが多い。このような苦味を呈する組成物の例としては、例えば、ある一定のセメント組成物(例えば、歯科矯正用バンドセメント)、および、ある一定のポリエーテル印象材が挙げられる。患者の舌がこれらの材料と接触するとき、例えば、口内に配置される間またはその使用期間中、患者は不快な苦味を経験する場合がある。 幾つかの歯科組成物(例えば、ある一定の歯科矯正用セメント、および、ある一定の印象材)の苦味をなくす一手法は、香味剤を添加して組成物の苦味をマスキングしようとするものであった。しかし、この手法では、典型的には、このような組成物で経験される不快な苦味の知覚全部は十分にマスキングされなかった。 幾つかの歯科組成物(例えば、ある一定の硬化性組成物)の苦味をなくす別の手法は、代替の構成成分(例えば、触媒構成成分)を使用して、苦味を引き起こす場合がある構成成分をなくそうとするものであった。例えば、代替の触媒構成成分が検討されてきたが、このような代替の触媒構成成分は、典型的には、例えば腐食の問題(例えば、包装系の腐食)に繋がり得る望ましくない特性(例えば、酸性)を有すると考えられる。 ある一定の歯科組成物の苦味をなくす追加の手法が必要である。国際公開第00/38536号パンフレット国際公開第02/096464A1号パンフレット米国特許出願公開第2002/0177576号明細書米国特許第6,540,978号明細書米国特許第6,127,449号明細書米国特許第6,395,801号明細書米国特許第5,569,691号明細書米国特許第4,695,251号明細書米国特許第4,503,169号明細書米国特許第6,387,981号明細書米国特許第6,572,693号明細書国際公開第01/30305号パンフレット国際公開第01/30306号パンフレット国際公開第01/30307号パンフレット国際公開第03/063804号パンフレット米国特許出願第10/847,781号明細書米国特許出願第10/847,782号明細書米国特許出願第10/847,803号明細書米国特許第5,130,347号明細書米国特許第5,063,257号明細書米国特許第5,520,725号明細書米国特許第5,859,089号明細書米国特許第5,925,715号明細書米国特許第5,962,550号明細書米国特許第5,154,762号明細書米国特許第5,871,360号明細書米国特許第4,872,936号明細書米国特許第5,227,413号明細書米国特許第5,367,002号明細書米国特許第5,965,632号明細書米国特許出願公開第2003/0087986号明細書米国特許第5,078,129号明細書米国特許第6,312,666号明細書米国特許第6,312,667号明細書米国特許第6,620,405号明細書米国特許第6,669,927号明細書米国特許出願公開第2004/151691号明細書米国特許出願公開第2004/162375号明細書米国特許出願公開第2004/185013号明細書ディン・ミン(Ding Ming)ら、ガストデューシンの味覚受容体活性化の遮断が苦味化合物に対する味覚応答を抑制する(Blocking taste receptor activation of gustducin inhibits gustatory responses to bitter compounds)、Proc. Natl. Acad. Sci., August, 1999, 9903−9908, vol.96, USAマティス(Mathis)ら、「新規なグラスアイオノマー/コンポジットレジンハイブリッド修復材の特性」(“Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative”)、Abstract No.51, J. Dent Res.,66:113(1987) 組成物に香味剤を添加することなど、歯科組成物における苦みの知覚を低減する従来の技法は、典型的には、これらの組成物中に存在する、ある一定の成分の不快な苦味を十分にマスキングできない。従って、一態様では、本発明は、反応性構成成分および苦味物質を苦み抑制剤と組み合わせて含む歯科組成物を特徴とする。典型的には、反応性構成成分は、硬化性または重合性構成成分を含む。歯科組成物は、例えば、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、充填材、または、ポリエーテル印象材などの印象材であってよい。好適な苦み抑制剤としては、例えば、好ましくはアデノシン一リン酸などのモノホスフェートであるヌクレオチドが挙げられる。 別の態様では、本発明は、被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制する方法を提供する。本方法は、反応性構成成分、苦味物質、および苦み抑制剤を含む歯科組成物を被験者に投与することを含む。好ましくは、組成物は、苦味物質から生じる苦味の知覚を遮断するのに有効な苦み抑制剤を一定量含む。 別の態様では、本発明は、被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制する方法を提供する。本方法は、味覚組織に、苦み抑制剤を含む処置組成物(例えば、洗浄溶液または洗浄スプレー)を接触させる工程、および、歯科組成物を患者の口腔に導入する工程を含む。幾つかの実施形態では、処置組成物(例えば、洗浄溶液または洗浄スプレー)は、反応性歯科組成物も含むキットで提供されてもよい。 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および、特許請求の範囲から明らかである。 本発明は、苦味物質を含有する歯科組成物の苦味を低減するまたはなくす手段を提供する。「味覚物質」は、被験者の口腔内で味の感覚を引き起こす化合物または物質と定義される。本発明の組成物は、例えば、患者の味覚組織の苦味受容体を遮断することにより苦みの知覚を遮断できる試剤(即ち、本明細書で使用する「苦み抑制剤」、また、「苦さ遮断剤」または「苦み遮断剤」としても知られる)を含む。好ましくは、組成物は、例えば、歯科組成物中に存在する苦味物質から生じる苦味の知覚を遮断するのに有効な苦み抑制剤を一定量含む。 「有効量」は、本明細書で使用する時、苦味の知覚を抑制する濃度で苦み抑制剤が存在することを意味する。 一例では、有効量の苦み抑制剤を含む歯科組成物は、典型的には、歯科組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.05重量%、更に好ましくは少なくとも0.1重量%の苦み抑制剤を含む。このような例において、有効量の苦み抑制剤を含む歯科組成物は、典型的には、歯科組成物の総重量を基準にして、20重量%以下、好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の苦み抑制剤を含む。 別の実施例では、有効量の苦み抑制剤を含む洗浄溶液または洗浄スプレーは、典型的には、少なくとも0.01mM、好ましくは少なくとも0.1mM、更に好ましくは少なくとも1mMの苦み抑制剤を含む。このような例において、有効量の苦み抑制剤を含む洗浄溶液または洗浄スプレーは、典型的には、50mM以下、好ましくは20mM以下、更に好ましくは5mM以下の苦み抑制剤を含む。苦み抑制剤 好適な苦み抑制剤としては、例えば、ヌクレオチド、例えば、(特許文献1)(マルゴルスキー(Margolskee)ら)、(特許文献2)(マグレガー(McGregor)ら)、(特許文献3)(マグレガー(McGregor)ら)、および、(特許文献4)(マルゴルスキー(Margolskee)ら)に記載されているものなどが挙げられる。また、幾つかの点でプロセスを中断することにより苦味の伝達を遮断できる天然化合物の1種が、ミン(Ming)らによって記載されている((非特許文献1))。一実施形態では、苦み抑制剤は、アデノシン一リン酸などのモノホスフェートである。 例示的な苦み抑制剤としては、例えば、ヌクレオチド(即ち、ヌクレオシドのリン酸エステル、またはヌクレオシド誘導体、およびその塩)(例えば、ナトリウム塩、二ナトリウム塩、カリウム塩、二カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、二アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、トリス(tris)塩、およびこれらの組み合わせ)、および/または、その水和物が挙げられる。好ましいヌクレオチドとしては、例えば、リボヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、および、ウリジン)のリン酸エステルが挙げられる。更に好ましいヌクレオチドとしては、アデノシンのリン酸エステルおよびウリジンのリン酸エステルが挙げられる。例示的なリン酸エステルとしては、一リン酸エステル(例えば、環状または非環状)、二リン酸エステル、および、これらの組み合わせが挙げられる。好適なヌクレオチド一リン酸エステルとしては、例えば、3−一リン酸エステル、5−一リン酸エステル、および3’,5’−環状一リン酸エステルが挙げられる。 好ましい苦み抑制剤としては、例えば、アデノシン3’−一リン酸および塩および/またはその水和物、アデノシン5’−一リン酸および塩および/またはその水和物、アデノシン3’,5’−環状一リン酸および塩および/またはその水和物、ウリジン3’−一リン酸および塩および/またはその水和物、ウリジン5’−一リン酸および塩および/またはその水和物、ウリジン3’,5’−環状一リン酸および塩および/またはその水和物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。歯科組成物 本発明の歯科組成物は、重合性および/または硬化性歯科組成物を含む、患者の口内で使用する任意の反応性組成物であってよい。典型的には、本発明の歯科組成物は、苦味を呈する成分を含有する歯科または歯科矯正用接着剤、歯科または歯科矯正用セメント、歯科用充填材、または、印象材である。このような歯科組成物は、味覚感覚器官と接触することが多く、そのため、配合物中に苦み抑制剤を添加することは、それらが組成物の固化時間または他の特性に実質的に干渉しなければ、有利である。 本明細書で使用する時、「歯科用接着剤」は、典型的には、キュア性歯科材料(例えば、充填材)を歯表面に接着させるのに使用される、非充填または低充填の歯科組成物(例えば、40重量%未満のフィラー)を指す。 本明細書で使用する時、「歯科用セメント」は、典型的には、予備成形されたまたはプレキュアされた歯科物品(例えば、インレー、アンレー、またはクラウンなど)を歯表面に接着させるのに使用される、高充填歯科組成物(例えば、少なくとも40重量%のフィラー)を指す。 本明細書で使用する時、「歯科矯正用セメント」は、歯科矯正器具(例えば、バンド)を歯系構造(dental structure)に接着させるため、歯系構造(例えば、歯)の前処理剤として典型的に使用される組成物を指す。 本明細書で使用する時、「歯科矯正用接着剤」は、典型的には、歯科矯正器具(例えば、ブラケット)を歯系構造(例えば、歯)表面に接着させるのに使用される、高充填組成物(例えば、少なくとも40重量%のフィラー)を指す。一般に、歯科矯正用接着剤または歯科矯正用セメントの歯系構造表面への接着を向上させるため、歯系構造表面は、例えば、エッチング、プライマー処理、および/または接着剤の塗布により前処理される。 本明細書で使用する時、「印象材」は、口腔内の硬組織および/または軟組織の正確な印象を作製するため、軟化したまたは低粘度の形態(キュアしていない状態)で使用され、次いでキュアされて、硬組織および/または軟組織のネガ模型を表す硬質または高粘度の形態(キュアした状態)になる材料を指す。キュアした状態で、印象材は、固化(setting)(即ち、硬化)後に口の硬組織および/または軟組織のポジ模型を表す低粘度材料(例えば、石膏スラリー)を受容できなければならない。印象材は、典型的には、ポリエーテルまたはポリシロキサン化学をベースにする。苦み抑制剤が添加され得る例示的な印象材としては、例えば、(特許文献5)(ビシンガー(Bissinger)ら)、(特許文献6)(ビシンガー(Bissinger)ら)、および(特許文献7)(グッゲンバーガー(Guggenberger)ら)に記載されているものなどのポリエーテル印象材が挙げられる。 本明細書で使用する時、「充填材」は、歯の中の欠損を充填してその機能を回復するために使用される組成物を指す。このような充填材は、2剤が混合されると徐々にキュアする2剤型の系であることが多い。このような材料は、グラスアイオノマー、樹脂強化(resin modified)グラスアイオノマー、または、典型的には、メタクリレートもしくはエポキシマトリックスを有するセルフキュア樹脂ベースのコンポジット(composites)とすることができる。 本発明の硬化性歯科組成物は、典型的には、硬化性(例えば、重合性)構成成分を含み、それによって硬化性(例えば、重合性)組成物を形成する。ある一定の実施形態では、組成物は光重合性である、即ち、組成物は、化学線を照射すると組成物の重合(または硬化)を開始させる光開始剤(即ち、光開始剤系)を含有する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合性またはカチオン重合性とすることができる。他の実施形態では、組成物は、化学重合性である、即ち、組成物は、化学線の照射に依存することなく、組成物を重合、キュア、または他に硬化させることができる化学開始剤(即ち、開始剤系)を含有する。このような化学重合性組成物は、「セルフキュア」組成物と称されることがあり、それにはグラスアイオノマーセメント(例えば、従来のグラスアイオノマーセメントおよび樹脂強化グラスアイオノマーセメント)、レドックスキュア系、およびこれらの組み合わせを挙げてもよい。 好適な光重合性組成物としては、エポキシ樹脂(カチオン活性エポキシ基を含有する)、ビニルエーテル樹脂(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)、エチレン性不飽和化合物(フリーラジカル活性不飽和基を含有する)、およびこれらの組み合わせを挙げてもよい。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。また、単一の化合物中にカチオン活性官能基とフリーラジカル活性官能基の両方を含有する重合性材料も好適である。例としては、エポキシ官能性アクリレート、エポキシ官能性メタクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。 光重合性組成物としては、フリーラジカル活性官能基を有する化合物を挙げてもよく、それには1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、およびポリマーを挙げてもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を経ることができる。このようなフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート(即ち、アクリレートおよびメタクリレート)および(メタ)アクリルアミド(即ち、アクリルアミドおよびメタクリルアミド)が挙げられる。フィラー 本発明の組成物は、また、フィラーを含有することもできる。フィラーは、歯科修復組成物等に現在使用されているフィラーなど、歯科用途に使用される組成物に組み込むのに好適な様々な材料の1種類以上から選択されてもよい。 フィラーは、好ましくは、微粒子化されている。フィラーは、単蜂性(unimodial)または多蜂性(polymodial)(例えば、双蜂性(bimodal))粒度分布を有することができる。好ましくは、フィラーの最大粒度(粒子の最大寸法、典型的には、直径)は、20マイクロメートル未満、更に好ましくは10マイクロメートル未満、最も好ましくは5マイクロメートル未満である。好ましくは、フィラーの平均粒度は、0.1マイクロメートル未満、更に好ましくは0.075マイクロメートル未満である。 フィラーは、無機材料とすることができる。それはまた、樹脂系に不溶性であり、任意に無機フィラーが充填されている架橋された有機材料とすることもできる。フィラーは、いずれの場合でも、非毒性であり口内で使用するのに好適でなければならない。フィラーは、放射線不透過性または放射線透過性とすることができる。フィラーは、典型的には、水に実質的に不溶性である。 好適な無機フィラーの例としては、以下に限定されないが、石英;窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、ZnおよびAlに由来するガラス;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;チタニア;(特許文献8)(ランドクレブ(Randklev))に記載されるものなどの低モース硬度フィラー;および、サブミクロンシリカ粒子(例えば、オハイオ州アクロン、デグサ社(Degussa Corp., Akron, OH)製の「OX 50」、「130」、「150」および「200」シリカを含むアエロジル(AEROSIL)、並びに、イリノイ州タスコラ、キャボット社(Cabot Corp., Tuscola, IL)製のCAB−O−SIL M5シリカの商品名で入手可能なものなどの発熱性シリカ)を含む天然または合成の材料がある。好適な有機フィラー粒子の例としては、充填または非充填の微粉砕されたポリカーボネートおよびポリエポキシドなどが挙げられる。 好ましい非酸反応性フィラー粒子は、石英、サブミクロンシリカ、および、(特許文献9)(ランドクレブ(Randklev))に記載される種類の非ガラス質微粒子である。また、これらの非酸反応性フィラーの混合物、並びに、有機及び無機材料から製造されるコンビネーションフィラーも想到される。シラン処理ジルコニア−シリカ(Zr−Si)フィラーは、ある一定の実施形態でとりわけ好ましい。 フィラーは、また、酸反応性フィラーとすることもできる。好適な酸反応性フィラーとしては、金属酸化物、ガラス、および金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、およびフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスは、ガラスが硬化性組成物の構成成分と混合されると、硬化した歯科組成物が形成するように、典型的には、十分な溶出性カチオンを含有する。ガラスは、また、硬化した組成物が抗齲食性を有するように、典型的には、十分な溶出性フッ化物イオンも含有する。ガラスは、FASガラス製造分野の当業者に周知の技術を使用して、フッ化物、アルミナ、および他のガラス形成成分を含有する溶融物から製造することができる。FASガラスは、典型的には、他のセメント構成成分と好都合に混合でき、得られる混合物を口内で使用するとき良好に機能するように十分に微粒子化されている粒子の形態である。 一般に、FASガラスの平均粒度(典型的には、直径)は、例えば、沈降分析器を使用して測定する時、約12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、更に典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者に周知であり、様々な商業的供給元から入手可能であり、多くのものは、ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド(VITREBOND)、リライX合着セメント(RELY X LUTING CEMENT)、リライX合着プラスセメント(RELY X LUTING PLUS CEMENT)、フォタック−フィルクイック(PHOTAC−FIL QUICK)、ケタック−モラー(KETAC−MOLAR)、およびケッタック−フィルプラス(KETAC−FIL PLUS)(ミネソタ州セントポール、3M ESPEデンタル・プロダクツ(3M ESPE Dental Products, St. Paul, MN))、フジII LC(FUJI II LC)およびフジIX(FUJI IX)(日本東京、株式会社ジーシー(G−C Dental Industrial Corp., Tokyo, Japan))、および、ケムフィルスーペリア(CHEMFIL Superior)(ペンシルバニア州ヨーク、デンツプライ・インターナショナル(Dentsply International, York, PA))の商品名で市販されているものなどの現在入手可能なグラスアイオノマーセメント中に見出される。必要に応じてフィラーの混合物を使用することができる。 また、フィラーと樹脂との結合を向上させるため、フィラー粒子の表面をカップリング剤で処理することもできる。好適なカップリング剤の使用には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、およびγ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。 他の好適なフィラーは、(特許文献10)(チャン(Zhang)ら)および(特許文献11)(ウー(Wu)ら)、並びに、(特許文献12)(チャン(Zhang)ら)、(特許文献13)(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、(特許文献14)(チャン(Zhang)ら)、および(特許文献15)(ウー(Wu)ら)に開示されている。これらの参考文献に記載されているフィラー構成成分としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ナノフィラーは、(特許文献16);(特許文献17);および(特許文献18)にも記載されており、これらは3つとも全て2004年5月17日に出願されたものである。 フィラーを含む本発明の幾つかの実施形態(例えば、歯科用接着剤組成物)では、組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、少なくとも1重量%、更に好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%のフィラーを含む。このような実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下のフィラーを含む。 他の実施形態(例えば、組成物が歯科修復材または歯科矯正用接着剤である)では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、少なくとも40重量%、更に好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%のフィラーを含む。このような実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準にして、90重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、更により好ましくは70重量%以下、最も好ましくは50重量%以下のフィラーを含む。グラスアイオノマー 化学重合性組成物は、典型的には主成分としてエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、ポリアクリル酸、およびコポリ(アクリル、イタコン酸)など)の単独重合体または共重合体を使用する従来のグラスアイオノマーセメントなどのグラスアイオノマーセメント、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水、およびキレート剤(酒石酸など)を含んでもよい。従来のグラスアイオノマー(即ち、グラスアイオノマーセメント)は、典型的には、使用直前に混合される粉末/液体配合物で供給される。混合物は、ポリカルボン酸の酸性繰り返し単位とガラスから浸出したカチオンとのイオン反応のため暗所で自己硬化を経る。 また、グラスアイオノマーセメントとしては、樹脂強化グラスアイオノマー(「RMGI」)セメントを挙げてもよい。従来のグラスアイオノマーのように、RMGIセメントはFASグラスを使用する。しかし、RMGIの有機部分は異なる。RMGIの1種では、例えば、(特許文献19)(ミトラ(Mitra))に記載されるように、ポリカルボン酸を変性して酸性繰り返し単位の幾つかをキュア性のペンダント基で置換またはエンドキャップし、光開始剤を添加して第2のキュア機構を提供する。通常、アクリレート基またはメタクリレート基がキュア性のペンダント基として使用される。別の種類のRMGIでは、例えば、(非特許文献2)におけるように、および、(特許文献20)(アカハネ(Akahane)ら)、(特許文献21)(カトウ(Kato)ら)、(特許文献22)(チェン(Qian))、(特許文献23)(ミトラ(Mitra))、および、(特許文献24)(アカハネ(Akahane)ら)におけるように、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレートまたはメタクリレート官能性モノマー、並びに、光開始剤を含む。別の種類のRMGIでは、例えば、(特許文献25)(ミトラ(Mitra)ら)、(特許文献21)(カトウ(Kato)ら)、および(特許文献26)(カトウ(Kato))に記載されるように、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレートまたはメタクリレート官能性モノマー、および、レドックスまたは他の化学キュア系を含んでもよい。別の種類のRMGIでは、セメントは、(特許文献27)(エンゲルブレヒト(Engelbrecht))、(特許文献28)(ミトラ(Mitra))、(特許文献29)(ホワン(Huang)ら)、および、(特許文献30)(オルロウスキー(Orlowski))に記載されるように、様々なモノマー含有または樹脂含有構成成分を含んでもよい。RMGIセメントは、好ましくは、粉末/液体またはペースト/ペースト系として配合され、混合時及び適用時に水を含有する。組成物は、ポリカルボン酸の酸性繰り返し単位とガラスから浸出したカチオンとのイオン反応のため暗所で硬化することができ、市販のRMGI製品は、典型的には、また、歯科用キュアリングランプからの光にセメントを露光するとキュアする。レドックスキュア系を含有し、化学線を使用することなく暗所でキュアできるRMGIセメントは、(特許文献31)(ミトラ(Mitra))に記載されている。方法 本発明の重合性(即ち、硬化性)歯科組成物は、従来の混合技術を使用して、少なくとも1種類のヌクレオチド構成成分または他の苦み抑制剤を組成物の1種類以上の構成成分と合わせることにより調製できる。得られる組成物は、任意に、本明細書に記載の1種類以上の歯科添加物を含有してもよい。 本発明の重合性組成物は、1剤型の系および多剤型の系、例えば、粉末/液体、ペースト/液体、およびペースト/ペーストの2剤型の系を含む、様々な形態で供給できる。それぞれが粉末、液体、ゲル、またはペーストの形態である多剤の組み合わせ(即ち、2剤以上の組み合わせ)を使用する他の形態も可能である。多剤型のレドックス系では、1剤は、典型的には酸化剤を含有し、もう1剤は、典型的には還元剤を含有する。 硬化性組成物の構成成分をキットに含むことができ、組成物の内容物は、必要とされるまで構成成分の貯蔵を可能にするために包装される。 歯科組成物として使用するとき、硬化性組成物の構成成分は、従来の技術を使用して混合し、臨床に適用することができる。キュアリングライトは、一般に、光重合性組成物の開始のために必要である。組成物は、歯系構造に非常によく接着するコンポジットまたは修復材の形態とすることができる。任意に、硬化性組成物を使用する歯系構造上にプライマー層を使用することができる。例えば、FASガラスまたは他のフッ化物放出材料を含有する組成物は、非常に良好な長期フッ素放出も提供できる。本発明の幾つかの実施形態は、光または他の外部キュアエネルギーなしに多量に(in bulk)キュアすることができ、前処理を必要とせず、改善された曲げ強さを含む改善された物理的特性を有し、抗齲食効果のための高フッ化物放出を有する樹脂強化グラスアイオノマーセメントまたは接着剤を提供してもよい。 ある一定の実施形態では、本発明の組成物は、1種類以上の歯科添加剤を含むことができる。例示的な歯科添加剤としては、フッ化物供給源、ホワイトニング剤、抗齲食剤(例えば、キシリトール)、再石灰化剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔薬、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫応答調節剤、薬剤、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤、緩衝剤、粘度調節剤、チキソトロープ剤、フィラー、ポリオール、抗微生物剤、抗真菌剤、安定剤、口内乾燥症を治療するための試剤、知覚鈍麻剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。 本発明の歯科組成物は、プライマー(セルフエッチングプライマーを含む)、接着剤(セルフエッチング接着剤を含む)、歯科矯正用接着剤、コーティング剤、シーラント、セメント、および修復材(充填材、コンポジット、フロアブル剤、並びに、クラウン、ブリッジ、ベニア、インレー、およびアンレーなどの補綴物)として有用となり得る。歯科補綴物は、典型的には、歯に隣接して配置される前に、最終用途のために付形および重合されるフィラー含有コンポジットである。このような予備成形された物品は、歯科医または他の使用者によって研磨または他に成形され、個別に適合する形状にすることができる。プライマー、接着剤、またはセメントとして使用するとき、歯科組成物は、(キュアされたまたはキュアされていない)修復材を歯系構造表面に接着させるのに利用できる。歯科矯正用接着剤として使用するとき、歯科組成物は、歯科矯正器具(例えば、ブラケット、バッカルチューブ、バンド、クリート、ボタン、舌側リテーナー、または咬合阻止器)を歯系構造表面に接着させるのに利用できる。 苦み抑制剤は、本明細書に記載の歯科組成物と共に使用されるように、例えば、洗浄溶液または洗浄スプレーの形態で提供されてもよい。口腔用の溶液またはスプレーの調製および適用は、例えば、(特許文献32)(クラインベルク(Kleinberg)ら)、(特許文献33)(オクスマン(Oxman)ら)、(特許文献34)(トロム(Trom)ら)、(特許文献4)(マルゴルスキー(Margolskee)ら)、(特許文献35)(オクスマン(Oxman)ら)、および(特許文献36)(トロム(Trom)ら)、および(特許文献37)(オクスマン(Oxman)ら)、(特許文献38)(アリ(Ali)ら)、および(特許文献39)(ブルジオ(Burgio)ら)に記載されるように周知である。典型的には、洗浄溶液または洗浄スプレーは水溶液である。 例えば、洗浄溶液または洗浄スプレーは口腔環境の軟組織および/または硬組織に適用できる。軟組織としては、例えば、粘膜および歯肉組織が挙げられる。硬組織としては、例えば、歯およびその構成部分(例えば、エナメル質、象牙質、およびセメント質)が挙げられる。 本明細書に開示される洗浄スプレーは、当該技術分野で既知(例えば、(特許文献32)(クラインベルク(Kleinberg)ら)、および(特許文献35)(オクスマン(Oxman)ら))の任意の好適な手段により、微細なミストまたはエーロゾルとして口腔に適用されてもよい。例えば、洗浄スプレーをスプレーボトルに入れ、手押しポンプで送達してもよい。或いは、洗浄スプレーを噴射剤(例えば、空気、窒素、二酸化炭素、および炭化水素)と一緒に容器に入れ、加圧されたスプレー缶を使用して送達してもよい。どちらの場合も、組成物は微細なオリフィスに通されて微細なミストを形成する。 洗浄溶液または洗浄スプレーは、歯科組成物の苦味を低減する方法を提供するため、例えば、患者の口腔を苦み抑制剤で前処理するのに有用となり得る。苦み抑制剤を含む洗浄溶液または洗浄スプレーは、洗浄溶液または洗浄スプレーの他に本明細書に記載の歯科硬化性組成物を含むキットで臨床医に提供されてもよい。 以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を更に詳細に例証するために記載したものであり、決してその限定を意図するものではない。実施例1〜3および比較例1(CE−1)苦み抑制剤を含有する歯科用セメント ヌクレオチド一リン酸(塩)添加剤が2剤型の歯科用セメント系の特性に悪影響を与えないことを実証するため、苦み抑制剤として機能できるヌクレオチド一リン酸(塩)をセメント粉末に添加したときの、典型的な粉末/液体セメント系の固化時間(set time)を決定した。 3Mユニテック・マルチキュアバンドセメント(3M Unitek Multicure Band Cement)(カリフォルニア州モンロビア、3Mユニテック(3M Unitek, Monrovia, CA))粉末を表Iに列記されるヌクレオチド一リン酸(塩)と混合し、粉末A〜Cを提供した。ヌクレオチド一リン酸(塩)は、ミズーリ州セントルイス、シグマアルドリッチ(Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)から入手した。粉末Dは対照であり、添加剤を含有しなかった。各粉末(1.9重量部)を、3Mユニテック・マルチキュアバンドセメント(3M Unitek Multicure Band Cement)液1部と混合し、混合物を30秒間スパチュラで混ぜた。37℃で固化時間を決定し、混合の開始からの固化時間を報告した。各セメント混合物に対して3つの複製を行ったが、その結果を表1に3つの複製の平均として報告する。 表1に示されるデータで分かるように、一リン酸(塩)の添加は、セメントの固化に悪影響を与えなかった。実施例2および3のセメントサンプルは、対照例CE−1よりも味が改善されていた。実施例1のセメントの味は試験しなかった。実施例4〜5および比較例2(CE−2)苦み抑制剤を含有する歯科修復材系 ヌクレオチド一リン酸(塩)添加剤が2剤型の歯科修復材系の特性に悪影響を与えないことを実証するため、苦み抑制剤として機能できるヌクレオチド一リン酸(塩)を修復材粉末に添加したときの、典型的なグラスアイオノマー修復材系の固化時間を決定した。 3M ESPEビトレマートリキュアグラスアイオノマーシステム(3M ESPE Vitremer Tri−cure Glass Ionomer System)(ミネソタ州セントポール、3M ESPE(3M ESPE,St. Paul, MN))製のグラスアイオノマー充填材)粉末をヌクレオチドアデノシン5’−一リン酸ナトリウム塩(ニュージャージー州クランベリー、リンガゲン社(Linguagen Corp., Cranbury, NJ))と混合し、粉末EおよびFを提供した。粉末Gは対照であり、添加剤を含有しなかった。グラスアイオノマー粉末中の一リン酸(塩)の濃度を表2に示す。各粉末(2.5重量部)を、3M ESPEビトレマートリキュアグラスアイオノマーシステム(3M ESPE Vitremer Tri−cure Glass Ionomer System)液1部と混合し、30秒間スパチュラで混ぜた。37℃で固化時間を決定し、混合の開始からの固化時間を報告した。修復材系の光キュア挙動、並びに、対照の光キュア挙動を、ヌクレオチド一リン酸(塩)がこの特性に影響を与えるかを決定するため、試験した。 各修復材(即ち、セメント)の新しい混合物を直径5mmおよび高さ5mmのテフロン(Teflon)金型内でキュアした。金型内の材料を24℃でフリーライト2デンタルキュアリングライト(3M ESPE)(Freelight 2 Dental Curing Light(3M ESPE))を用いて照射した。セメントの(光源から離れている)下側を元のように擦り取ってキュアしていない材料を除去し、キュアしたセメントの深さをキャリパを使用して決定した。各セメント混合物に対して3つの複製を行ったが、その平均の結果を表2に報告する。 表2に示されるデータで分かるように、一リン酸(塩)の添加は、グラスアイオノマー修復材の暗所キュアまたは光キュア固化挙動に悪影響を与えなかった。実施例4および5のセメントのサンプルは、対照例CE−2よりも味が改善されていた。実施例6〜7および比較例3(CE−3)苦み抑制剤を含有する歯科印象材 ヌクレオチド一リン酸(塩)添加剤が歯科印象材の特性に悪影響を与えないことを実証するため、苦み抑制剤として機能できるヌクレオチド一リン酸(塩)を材料の触媒ペーストに添加したときの、典型的な印象材の固化開始時間を決定した。 スピードミキサを使用して、3M ESPE印象材インプレガムペンタソフトミディアムボディ(Impregum Penta Soft medium body)(ドイツ、ゼーフェルト、3M ESPE(3M ESPE, Seefeld, Germany))触媒ペーストをヌクレオチドアデノシン5−一リン酸ナトリウム塩(ニュージャージー州クランベリー、リンガゲン社(Linguagen Corp., Cranbury, NJ))と混合し、触媒ペーストAおよびBを提供した。ペーストCは対照であり、添加剤を含有しなかった。触媒ペースト中の一リン酸(塩)の濃度を表3に示す。各触媒ペースト(0.5g)をミキシングパッド上でベースペースト0.12gと混合し、ボイドおよび気泡が入らないように45秒間スパチュラで混ぜた。混合されたペーストの約半分の量をミキシングパッド上で滑らかにした。残量を使用して固化開始時間を決定した。 23℃で硬化開始時間を決定し、混合の開始からの硬化開始時間を報告した。混合後、ペーストがもはや流動できず付形され得ない急激な転移温度に達するまで、ペーストは糸を引き流動性の状態を維持した。混合の開始からこの転移温度に達するまでの時間を固化開始時間と定義した。各印象材に対して3つの複製を行ったが、その結果を表3に3つの複製の平均として報告する。 表3に示されるデータで分かるように、一リン酸(塩)の添加は、印象材の固化開始時間に悪影響を与えなかった。 本発明を幾つかの実施形態を参照して説明してきた。特定の実施形態および実施例の前述の説明は、本発明を例証するために記載したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく前述の実施形態に多くの変更をなし得ることが当業者には明らかである。 前述の全ての特許、出願および出版物は、参照により本明細書に援用される。 反応性構成成分、苦味物質、および苦み抑制剤を含む歯科組成物。 前記反応性構成成分が、硬化性または重合性構成成分を含む、請求項1に記載の歯科組成物。 前記組成物が、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、または、充填材である、請求項1に記載の歯科組成物。 前記歯科矯正用セメントが、歯科矯正用バンドセメントである、請求項3に記載の歯科組成物。 前記組成物が、印象材である、請求項1に記載の歯科組成物。 前記印象材が、ポリエーテルを含む、請求項5に記載の歯科組成物。 前記苦み抑制剤が、ヌクレオチドもしくはその水和物、ヌクレオチド塩もしくはその水和物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の歯科組成物。 前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩が、一リン酸エステルである、請求項7に記載の歯科組成物。 前記苦み抑制剤が、アデノシン一リン酸またはウリジン一リン酸を含む、請求項8に記載の歯科組成物。 前記組成物が、前記苦味物質から生じる苦味の知覚を遮断するのに有効な苦み抑制剤を一定量含む、請求項1に記載の歯科組成物。 被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記被験者に投与することを含む方法。 被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制する方法であって、 前記味覚組織に苦み抑制剤を含む処置組成物を接触させる工程、および、 前記歯科組成物を前記患者の口腔に導入する工程、を含む方法。 前記処置組成物が、洗浄溶液または洗浄スプレーを含む、請求項12に記載の方法。 前記反応性歯科組成物が、反応性構成成分および苦味物質を含む、請求項12に記載の方法。 前記反応性構成成分が、硬化性または重合性構成成分を含む、請求項14に記載の方法。 前記歯科組成物が、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、または、充填材である、請求項12に記載の方法。 前記歯科矯正用セメントが、歯科矯正用バンドセメントである、請求項16に記載の方法。 前記歯科組成物が、印象材である、請求項12に記載の方法。 前記印象材が、ポリエーテルを含む、請求項18に記載の方法。 前記苦み抑制剤が、ヌクレオチドもしくはその水和物、ヌクレオチド塩もしくはその水和物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。 前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩が、一リン酸エステルである、請求項20に記載の方法。 前記苦み抑制剤が、アデノシン一リン酸またはウリジン一リン酸を含む、請求項21に記載の方法。 反応性歯科組成物、および 苦み抑制剤を含む洗浄溶液、を含むキット。 反応性歯科組成物、および 苦み抑制剤を含む洗浄スプレー、を含むキット。 被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制するため、反応性構成成分、苦味物質、および苦み抑制剤を含む歯科組成物を調製するための苦み抑制剤の使用。 被験者の味覚組織に苦味物質を接触させることに起因する反応性歯科組成物の苦味を抑制するため、苦み抑制剤を含む処置組成物を調製するための苦み抑制剤の使用。 前記処置組成物が、洗浄溶液または洗浄スプレーを含む、請求項26に記載の使用。 前記反応性歯科組成物が、反応性構成成分および苦味物質を含む、請求項26に記載の使用。 前記反応性構成成分が、硬化性または重合性構成成分を含む、請求項28に記載の使用。 前記歯科組成物が、歯科用接着剤、歯科矯正用接着剤、歯科用セメント、歯科矯正用セメント、または、充填材である、請求項26に記載の使用。 前記歯科矯正用セメントが、歯科矯正用バンドセメントである、請求項30に記載の使用。 前記歯科組成物が、印象材である、請求項26に記載の使用。 前記印象材が、ポリエーテルを含む、請求項32に記載の使用。 前記苦み抑制剤が、ヌクレオチドもしくはその水和物、ヌクレオチド塩もしくはその水和物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項26に記載の使用。 前記ヌクレオチドまたはヌクレオチド塩が、一リン酸エステルである、請求項34に記載の使用。 前記苦み抑制剤が、アデノシン一リン酸またはウリジン一リン酸を含む、請求項35に記載の使用。 本発明は、苦み抑制剤を含有する歯科もしくは歯科矯正用接着剤、歯科もしくは歯科矯正用セメント、または、印象材などの歯科組成物、および/またはキットに関する。歯科組成物およびキットは、苦味物質によって引き起こされる苦みの知覚を遮断するのに有用である。