タイトル: | 特許公報(B2)_高分子アルコールの合成法 |
出願番号: | 2006546656 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07C 29/34,C07C 31/12,C07C 31/125,C07B 61/00 |
土田 敬之 佐久間 周治 JP 4903582 特許公報(B2) 20120113 2006546656 20051202 高分子アルコールの合成法 株式会社サンギ 000130776 廣田 雅紀 100107984 土田 敬之 佐久間 周治 JP 2004351307 20041203 20120328 C07C 29/34 20060101AFI20120308BHJP C07C 31/12 20060101ALI20120308BHJP C07C 31/125 20060101ALI20120308BHJP C07B 61/00 20060101ALN20120308BHJP JPC07C29/34C07C31/12C07C31/125C07B61/00 300 C07C 29/34 C07C 31/12 C07C 31/125 C07B 61/00 国際公開第99/038822(WO,A1) 2 JP2005022217 20051202 WO2006059729 20060608 10 20081119 岩井 好子 本発明は、リン酸カルシウム系触媒を使用し、エタノールから高分子アルコールを製造する方法に関するものである。 ブタノール(C4H9OH)、ヘキサノール(C6H13OH)、オクタノール(C8H17OH)、デカノール(C10H21OH)などの高分子アルコールは、現在石油から得られるプロピレンを原料としたオキソ法で合成されている。しかし、2004年には原油価格が50ドル/バレルを超え、原料のプロピレンの高騰により高分子アルコールの製造コスト高を招き、収益性が悪化している。 また、オキソ法の場合、原料にプロピレンの他に有害な一酸化炭素を使用しなくてはならず、しかも高圧反応であり、プロセスも複雑であるので、製造コストを高くする要因となっている。さらに、オキソ法では、例えばブタノール合成反応の場合、ブタノール1モルあたり、副生品として2モルの地球温暖化物質である二酸化炭素を発生し、地球環境保全の観点からも好ましくない。 CH3CH=CH2(プロピレン)+ 3CO(一酸化炭素)+ 2H2O(水)→ C4H9OH(ブタノール)+ 2CO2(二酸化炭素)……(1) エタノールから1−ブタノールの合成法として、MgO触媒( “Dimerisation of ethanol to butanol over solid-base catalysts” A. S. Ndou, N. plint, N. J. Coville, Applied catalysis A: General, 251, p. 337-345 (2003). )やアルカリ金属を担持したゼオライト(ZSM-5)触媒( “Bimolecular Condensation of Ethanol to 1-Butanol Catalyzed by Alkali Cation Zeolites” C. Yang, Z. Meng, J. of Catalysis, 142, p. 37-44 (1993). )の文献があるが、選択率が低く、工業的に適さない。 また、リン酸カルシウム系触媒を用いて1−ブタノールを合成する方法(国際公開WO99/38822)が、既に開示されているが、この合成方法は、反応温度が350〜450℃と高い為に、1−ブタノールの選択率が低い、触媒の特性劣化が早く、再生処理を頻繁に行わなくてはならない、装置の耐久性の低下、反応温度維持に要する燃料費が高くなるなどの問題点があった。国際公開WO99/38822号公報“Dimerisation of ethanol to butanol over solid-base catalysts” A.S. Ndou, N. plint, N. J. Coville, Applied catalysis A: General, 251, p. 337-345 (2003).“Bimolecular Condensation of Ethanol to 1-Butanol Catalyzed by Alkali Cation Zeolites” C. Yang, Z. Meng, J. of Catalysis, 142, p. 37-44 (1993). 本発明は、エタノールを原料として、1−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノールなどの炭素数が偶数の高分子アルコールおよびそれらの混合物を、効率よくクリーンなプロセスで採取するための製造法を提供することを課題としている。 本願プロセスの出発原料であるエタノールは、現在サトウキビやビートなどから得られる糖を、発酵法により変換して合成される。近年、農林廃棄物であるバイオマスからエタノールを合成する技術も確立され、将来エタノールの生産量が飛躍的に増大することが期待できる。その結果、エタノールの製造コストが原油に匹敵するレベルにまで下がることが予想される。実際、エタノールの先進国であるブラジルでは、エタノール製造原価が10円/リットル程度と言われており、国際原油価格に匹敵、あるいはそれより安い価格となっている。従って、本願プロセスの採用で、オキソ法より安価な高分子アルコールが得られると考える。 本願の高分子アルコール合成法は、原料がエタノールのみであり、反応は常圧で容易に進行する。また、高分子アルコール合成反応の副生品は水のみである(下記反応式参照)。従って、本プロセスは、オキソ法のように有害物質の使用がなく、常圧反応であるので、プラントの安全管理費およびプラント建設費を安くすることができ、高分子アルコールの製造コストの低減が可能である。また、オキソ法では、副生品として二酸化炭素が発生するが、本反応では副生品は水のみであるので、地球環境に優しい、クリーンなプロセスである。主な高分子アルコール合成反応のオーバーオールの反応式を下記する。 2C2H5OH(エタノール)→ C4H9OH(1-ブタノール)+ H2O(水)……(2) 3C2H5OH(エタノール)→ C6H13OH(ヘキサノール)+ 2H2O(水)……(3) 4C2H5OH(エタノール)→ C8H17OH(オクタノール)+ 3H2O(水)……(4) 5C2H5OH(エタノール)→ C10H21OH(デカノール)+ 4H2O(水)……(5) これら高分子アルコールの合成量の比から、リン酸カルシウム系触媒によるエタノールから高分子アルコール合成反応は、エタノールの逐次反応であると考えられる。従って炭素数2のエタノールから、炭素数4のブタノール、炭素数6のヘキサノール、炭素数8のオクタノール、炭素数10のデカノールなど、炭素数が偶数の高分子アルコールが合成されると考える。上記高分子アルコールがエタノールの逐次反応の結果合成されるとすると、上記(3)〜(5)の反応は、下記(6)〜(8)式となる。 C4H9OH(1-ブタノール)+ C2H5OH(エタノール)→ C6H13OH(ヘキサノール)+ H2O(水)……(6) C6H13OH(ヘキサノール)+ C2H5OH(エタノール)→ C8H17OH(オクタノール)+ H2O(水)……(7) C8H17OH(オクタノール)+ C2H5OH(エタノール)→ C10H21OH(デカノール)+ H2O(水)……(8) 本発明者らは、エタノール転化反応における接触時間の影響について鋭意研究を重ねた結果、エタノールをリン酸カルシウム系触媒と、接触時間0.4秒以上で接触させることにより、上記高分子アルコールを高選択的に合成できることを見出した。通常、触媒反応における接触時間と反応生成物選択率の関係は、接触時間が長くなるに従い、原材料の縮重合および複数の反応の発生により、単一物質の選択率は低下するが、本願プロセスにおいては、任意の温度にて接触時間を0.4秒以上と長くすることにより、逆に高分子アルコールの選択率を高めることができた。 接触時間と高分子アルコールの存在量比の関係は、接触時間が長くなるに従いエタノールの逐次反応が進行し、分子量の大きなアルコールが合成された。これは、これら高分子アルコールが、ハイドロキシアパタイト触媒によるエタノール転化反応における反応中間体であるためと考えられる。図1は、表1の接触時間と高分子アルコール選択率との関係を示すグラフ図である。図2は、図1の接触時間0.0〜1.0秒の間を拡大したグラフ図である。図3は、GC−MSによる分析結果を示すグラフ図である。図4は、反応温度と1−ブタノール選択率との関係を示すグラフ図である。 リン酸カルシウム系触媒には、ハイドロキシアパタイトCa10(PO4)6(OH)2、リン酸3カルシウムCa3(PO4)2、リン酸1水素カルシウムCaHPO4・(0〜2)H2O、2リン酸カルシウムCa2P2O7、リン酸8カルシウムCa8H2(PO4)6・5H2O、リン酸4カルシウムCa4(PO4)2O、非晶質リン酸カルシウムCa3(PO4)2・nH2O等の存在が知られている。ハイドロキシアパタイトは、通常上記化学量論組成で示されるが、その特徴は、化学量論組成を満足しなくてもアパタイト構造を取りうることであり、そのような非化学量論組成のハイドロキシアパタイトは、Ca10-Z(HPO4)Z(PO4)6-Z(OH)2-Z・nH2O {0<Z≦1,n=0〜2.5} で示すことができる。非晶質リン酸カルシウム系触媒とは、X線回折ではハローなリン酸カルシウム系触媒のことである。 本発明は、これらのリン酸カルシウム系触媒を使用し、反応条件即ち接触時間と反応温度の最適化を行うことにより、前述の高分子アルコールを効率よく製造するものである。 本発明において、触媒として使用されるリン酸カルシウム系化合物の製造方法は、特に限定されるものではなく、乾式固相反応法、湿式沈殿反応法、湿式固相反応法、水熱合成法等の公知の合成法で合成することができる。 例えば、ハイドロキシアパタイトの合成の場合、所定の濃度のカルシウム塩溶液及びリン酸塩溶液を、撹拌している水溶液中にpHを調整しながら滴下し、析出する生成物を採取し、洗浄、乾燥、粉砕、必要に応じて焼成し、触媒原料とする。使用するカルシウム塩はCa(OH)2、Ca(NO3)2が、リン酸塩はリン酸アンモニウム塩が好ましい。ハイドロキシアパタイトのCa/Pモル比の制御は、原料の塩の調合比及び合成条件の制御にて行うことができる。例えば、合成時にアンモニア水等で水溶液を塩基性に調整すると、Ca/Pモル比が高くなり、水溶液を希酸で中性或いは弱酸性に調整するとCa/Pモル比が低くなる。また、Ca/Pモル比既知のリン酸カルシウム系触媒を混合後、水分雰囲気中で焼成しても得ることができる。 ハイドロキシアパタイトを触媒として使用する場合、Ca/Pモル比は1.4〜1.8、好ましくは1.5〜1.7に調整し、目的に応じて焼成温度及び焼成雰囲気を選択する。このとき、触媒の比表面積は2m2/g以上であることが望ましい。 リン酸カルシウム系触媒におけるCa/Pモル比の制御とは、触媒的には触媒表面の活性点である固体酸点及び固体塩基点の種類と分布密度を制御することである。ここで、酸点及び塩基点の強さと量は、NH3−TPD(Temparature Programmed Desorption:昇温脱離法)およびCO2−TPD、或いはピリジン吸着法、指示薬法等で判断することができる。また、触媒表面の酸性度及び塩基性度を制御する方法としては、一般的には金属を担持させることが知られている。 例えば、Ni、Zn、Cu、PdまたはPtなどを代表とする脱水素反応促進金属をハイドロキシアパタイトに担持させることは、Ca/Pモル比の増加と同じ効果、即ち固体塩基性の増加となる。またハイドロキシアパタイトの場合、Alを代表とする脱水反応促進金属を担持させることは、Ca/Pモル比の低下と同じ効果、即ち固体酸的特徴の増加となる。従って、Ca/Pモル比を変える代わりに、かかる金属を担持させることによってもハイドロキシアパタイト触媒の表面の固体酸/塩基度を変えることができる。また相乗効果或いは耐久性向上のため、複数の金属を共存担持させても良い。共存担持金属としては、例えば、Zn、Co、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Cu、Mn、Ti、V、Ga、Zr、Nb、Cd、In、Sn、Sb、Pb、La、Ce、Eu、Yなどの遷移金属或いはPt、Pd、Rh、Au、Ir、Ru、Agなどの貴金属及びBa、Na、K、Li、Sr、Ca、Mg、Cs、Rbなどのアルカリまたはアルカリ土類金属があり、場合によりこれらの金属の酸化物または硫化物も使用できる。これらの物質は、リン酸カルシウム系触媒のカルシウムに対し0.05〜70mol%の範囲で使用される。 本発明において、エタノールを原料として高分子アルコールおよびそれら混合物を合成する際、求める高分子アルコールの選択率を高めるためには、使用するリン酸カルシウム系触媒、触媒表面の酸塩基性の制御(例えばリン酸カルシウム系触媒のCa/Pモル比)、および反応条件(接触時間、反応温度、圧力など)を適宜選択して実施される。 上記のようにして調整したリン酸カルシウム系触媒は、例えば、顆粒、粉末状など何れの形態でも使用でき、また必要に応じて球体、ペレット、ハニカムなど任意の形に成形後、乾燥、焼成して用いることもできる。リン酸カルシウム系触媒は、当業者に周知である慣用のアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ゼオライト、粘土鉱物などの担体に担持させても良い。焼成は200℃〜1200℃、好ましくは400℃〜700℃で行う。 エタノールをリン酸カルシウム系触媒に接触させ、高分子アルコールを合成するのに適した本願反応温度は、通常150℃〜450℃の範囲で選択することが好ましく、より好ましくは200℃〜350℃が望ましい。150℃以下でも高分子アルコールの選択率を高く保つ手段はあるが、エタノールの転化率が低いので、収率が低くなり経済性が悪くなる。また、450℃以上では、エタノールの転化率は高くなるが、高分子アルコール選択率が低下し、不要な反応生成物が増え、その廃棄処分の問題が新たに発生し、また経済性も悪化する。 本願接触時間は、通常0.4秒以上である。好ましくは0.6秒以上が望ましい。0.4秒より短いと高分子アルコールの選択率が低く、またエタノール転化率も低いので合成収率が低くなり、経済性が悪くなる。低温域での反応であるならば、エタノール転化率を上げるため、接触時間無限大に相当するバッチ式反応装置も使用できる。高温域では、接触時間が長くなると、別の反応が増え、高分子アルコールの選択率は低下する。 エタノールから高分子アルコールを合成する反応は、発熱反応である。従って、高分子アルコールの高い収率を目標とすると、反応熱による反応塔内部の温度上昇が顕著となる。その結果、エタノール分解反応など別の反応の発現による高分子アルコール選択率の低下、触媒温度の上昇による触媒の劣化、反応装置の耐久性低下などの不具合を生じる。従って、エタノールから高分子アルコールを合成する反応の場合、高い収率を目指すよりは高い選択率を目標としたほうが工業化には向いている。但し、反応熱を除去するシステムを反応塔内部に導入するならば、その限りではない。 エタノールは気相で直接、または窒素或いはヘリウムのような不活性なキャリアガスの存在下で触媒と接触させることにより、効率よく反応させることができる。このとき触媒活性の維持のために、キャリアガス中に水素や炭化水素などの反応性ガスを同伴させても良い。 反応塔での反応形式としては、バッチ方式、連続方式、固定床、移動床、流動床またはスラリー床の何れの方法によってもよく、常圧または加圧下で行うことができる。高分子アルコール合成反応の場合、長時間の使用で触媒表面に炭素を析出し、エタノール転化率の低下、および反応の異質化を招く場合がある。その場合、定期的に触媒を酸素雰囲気下で加熱する再生処理を行う。これにより触媒の活性を回復できる。従って、触媒に炭素析出の多い反応条件の場合、触媒再生処理装置を組み込んだ上記記載の方式によるプラントが有効である。 このようにして得られた高分子アルコールは、従来用いられている分離、精製法、例えば、精溜、ミクロ孔膜分離、抽出、吸着法などを用いて分離、精製することができる。 触媒は以下のようにして合成した。得られた粉末の結晶構造は、(株)マックサイエンス社の粉末X線回折装置M18XHF22を、比表面積測定にはCOLTER(株)社のSA3100を、Ca/Pモル比測定には理学電気工業(株)社の蛍光X線分析装置RIX1000を使用した。[実施例1]触媒の調整 225.2gの硝酸カルシウム:Ca(NO3)2・4H2Oを蒸留水5.0リットルに溶かした液、及び78.87gのリン酸アンモニウム:(NH4)2HPO4を蒸留水3.0リットルに溶かした液を、pHを9〜11に調整したアンモニア水中に窒素雰囲気下で滴下し、1日撹拌する。その後、濾過、水洗、乾燥させ、得られた粉末にイオン交換水を加え、ボールミルで48時間粉砕させた。得られた泥漿は、オーブン中140℃で熟成および乾燥させた。この粉末を大気中で600℃、2時間焼成させてCa/Pモル比が1.64の粉末状の触媒組成物を得た。[実施例2]触媒特性の評価 反応装置は固定床ガス流通式触媒反応装置を用いた。粉末の触媒を14〜26メッシュのタブレットに成形した。このタブレットを接触時間に応じた分量だけ反応管に充填し、前処理として、キャリアガス(1%Ar/Heベース;流量112ml/min)雰囲気下で500℃、30分間加熱脱水処理を行った。前処理終了後、エタノール濃度16vol%、キャリアガス流量112ml/min(総流量134ml/min)の条件で常圧にて反応させた。 高分子アルコール合成試験の場合、反応温度は300℃に固定し、接触時間を0.02秒〜29.4秒の範囲で行った。1−ブタノール合成条件の最適化試験では、接触時間1.0秒で固定し、エタノール濃度8.1%、反応温度を150〜500℃の範囲で行った。 反応ガス成分の同定にはガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用い、エタノールの転化率及び合成ガスの選択率測定にはガスクロマトグラフ(GC)(検出器:FID)を用いた。ここで、原料エタノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノールの選択率算出のために、それぞれ0.70、0.85、0.90、0.93、0.94のカーボンモル感度補正係数を用いた。エタノール転化率(%)=(1-エタノールカーボンモル数/全カーボンモル数)×1001-ブタノール選択率(%)=(1-ブタノールカーボンモル数/全カーボンモル数)×100 ※ヘキサノール、オクタノール、デカノール選択率の計算は1−ブタノールと同じ。高分子アルコール選択率(%)=1-ブタノール選択率+ヘキサノール選択率+オクタノール選択率+デカノール選択率 試験結果を表1、図1及び図2(図1の接触時間0.0〜1.0秒の間を拡大したもの)に示す。 表1は、ハイドロキシアパタイト触媒を用い、エタノール濃度16%、反応温度300℃にてエタノール転化試験を行った時の、接触時間と高分子アルコール選択率の関係を示したものである。 1−ブタノール選択率は、接触時間1.34秒で最大値をとり、接触時間がそれより長くなると低下した。ヘキサノール、オクタノール、デカノールの選択率は、この順番に低くなり、接触時間29.4秒まででは、接触時間の増加と共にそれぞれの選択率は増加した。 高分子アルコール選択率は、接触時間0.02秒で2.4%と非常に小さい値であるが、接触時間の増加で急激に高くなり、接触時間0.4秒で60%を越えた。さらに、接触時間0.6秒以上では高分子アルコール選択率は工業化に有利な70%以上と非常に高い値となった。[実施例3]ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)による分析例 ハイドロキシアパタイト触媒を用い、エタノール濃度16%、接触時間1.78秒、反応温度300℃にてエタノール転化試験を行い、GC−MSにより分析を行った。その結果を図3に示す。 リテンションタイム8.5分に1−ブタノール、同13〜14分にヘキサノール(イソとノルマルの2種)、同17〜18分にオクタノール(イソとノルマルの2種)、同20〜22分にデカノール(イソとノルマルで3種)のピークが確認できる。 この結果より、炭素数が4以上かつ偶数である高分子アルコールが選択的に合成されることがわかる。[実施例4]反応温度と1−ブタノール選択率の評価 ハイドロキシアパタイト触媒を用い、エタノール濃度8.1%、接触時間1.0秒にてエタノール転化試験を行なった。また比較として、接触時間だけを0.3秒にしてエタノール転化試験を行った。その結果を図4に示す。 接触時間1.0秒と、0.3秒の1−ブタノール合成特性を比較した結果、接触時間1.0秒の1−ブタノール選択率は、接触時間0.3秒の1−ブタノール選択率に比べて、選択率が最大約12%高くなっており、その最大値での反応温度を比較すると、接触時間1.0秒では、接触時間0.3秒に比べて約75℃低下している。 本願方法による触媒は、安価で簡単に製造できる上、反応および再生処理に対して安定であり、反応温度と接触時間を選択することにより、効率よくエタノールから高分子アルコールを得ることができる。 エタノールを、ハイドロキシアパタイトと、接触時間0.6秒以上で接触させることを含むことを特徴とする、炭素数が6以上かつ偶数である高分子アルコールの合成法。 エタノールを、ハイドロキシアパタイトと、接触時間0.6秒以上かつ200℃〜350℃で接触させることを含み、 ブタノールの選択率が70.3%以上であることを特徴とする1−ブタノールの合成法。