タイトル: | 特許公報(B2)_外用製剤及び貼付剤 |
出願番号: | 2006544922 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 47/02,A61K 47/18,A61K 47/32,A61K 47/34,A61K 9/70,A61K 31/405,A61P 29/00 |
若松 真人 佐伯 雅和 義永 隆明 JP 4919807 特許公報(B2) 20120210 2006544922 20051109 外用製剤及び貼付剤 久光製薬株式会社 000160522 長谷川 芳樹 100088155 寺崎 史朗 100092657 沖田 英樹 100140578 若松 真人 佐伯 雅和 義永 隆明 JP 2004326951 20041110 20120418 A61K 47/02 20060101AFI20120329BHJP A61K 47/18 20060101ALI20120329BHJP A61K 47/32 20060101ALI20120329BHJP A61K 47/34 20060101ALI20120329BHJP A61K 9/70 20060101ALI20120329BHJP A61K 31/405 20060101ALI20120329BHJP A61P 29/00 20060101ALI20120329BHJP JPA61K47/02A61K47/18A61K47/32A61K47/34A61K9/70 401A61K31/405A61P29/00 A61K 47/00-47/48 A61K 9/00- 9/72 A61K 31/00-33/44 特開昭61−012621(JP,A) 特開2004−300113(JP,A) 国際公開第99/018955(WO,A1) 特開2001−172155(JP,A) 特開平11−349470(JP,A) 特開2002−193740(JP,A) 特開2005−320282(JP,A) 特開平1−316314(JP,A) 特開平1−153641(JP,A) 国際公開第92/08449(WO,A1) 9 JP2005020546 20051109 WO2006051819 20060518 12 20080825 小堀 麻子 本発明は、抗炎症薬等の薬効成分を有効成分とする外用製剤及び貼付剤に関する。 非ステロイド系消炎鎮痛薬等の抗炎症薬を有効成分として含有する外用製剤として、インドメタシン及びL−メントールを含有する貼付剤に、ポリオキシアルキレングリコール等から選択される成分を皮膚刺激性を低減する成分として組み合わせたもの(特許文献1)や、インドメタシン等を含有し特定のpHを有するように制御された膏体を用いた貼付剤(特許文献2)などが知られている。 一方、エデト酸塩に関しては、水系の外用製剤において保存剤等として用いられた例が知られている(特許文献3、4)。また、皮膚刺激性を低減するために、エデト酸塩等を実質的に含有しない組成とした水中油型乳化組成物が知られている(特許文献5)。特許第3542814号公報特開平10−158165号公報特開2002−212105号公報特開2003−250829号公報特開2003−081759号公報 しかしながら、抗炎症薬等の薬効成分を含有する従来の外用製剤は、薬効成分自体の刺激性によって、皮膚に発赤や浮腫等のかぶれを生じる等の不都合を生じることがあった。特に、有効成分を高濃度で含有する貼付剤等を肌に長時間接触させると、皮膚のかぶれを生じやすかった。 そこで、本発明は、抗炎症薬等の薬効成分を有効成分として含有し、皮膚のかぶれの発生が十分に抑制された外用製剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、抗炎症薬等の薬効成分を含有する外用製剤において、エデト酸塩が皮膚刺激低減剤として有効であることを見出し、本発明の完成に至った。 すなわち、本発明の外用製剤は、薬効成分と、エデト酸塩とを含有し、実質的に水を含有しないことを特徴とするものである。 本発明の外用製剤は、抗炎症薬等の薬効成分に、皮膚刺激低減剤としてのエデト酸塩を組み合わせたことにより、皮膚に適用したときのかぶれの発生が十分に抑制される。また、実質的に水を含有しないことにより、一般に難水溶性である薬効成分の結晶化や析出が抑制され、外用製剤の保存安定性が改善されるとともに、外用製剤中の薬効成分の濃度を高めること等が可能になる。薬効成分は抗炎症薬であることが好ましい。 上記エデト酸塩は、皮膚刺激性低減の効果が特に大きい点から、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム及びエデト酸4ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。 本発明の外用製剤は、皮膚のかぶれの発生をさらに効果的に抑制するため、エデト酸塩を全質量基準で0.01〜2質量%含有することが好ましい。 上記抗炎症薬は、非ステロイド系消炎鎮痛薬、疾患修飾性抗リウマチ薬及びサイトカイン遮断薬からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に、非ステロイド系消炎鎮痛薬は、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、フェルビナク、イブプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン、ロキソプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、メロキシカム及びバルデコキシブからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。本発明の外用製剤は、これらの非ステロイド系消炎鎮痛薬を用いる場合に特に有用である。 本発明の外用製剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び水酸化アルミニウムのうち少なくとも一方を更に含有することが好ましい。これにより、エデト酸塩との相乗効果によって、皮膚刺激性低減の効果がより一層高められる。 本発明の外用製剤は、薬効成分及びポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解又は分散させる基剤を更に含有することが好ましい。そして、この基剤は、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。これにより、外用製剤に長時間の貼付のために十分な粘着性を付与することができる。 また、本発明は、上記外用製剤からなる粘着剤層を支持体上に備えた貼付剤である。貼付剤は患部に長時間接触させる場合が多く、皮膚のかぶれが発生しやすいため、本発明の外用製剤が特に有用である。 本発明によれば、抗炎症薬等の薬効成分を有効成分として含有し、皮膚のかぶれの発生が十分に抑制された非水系の外用製剤が提供される。本発明による貼付剤の一実施形態を示す斜視図である。実施例におけるカラゲニン足浮腫試験の結果を示すグラフである。実施例におけるイースト炎症足疼痛試験の結果を示すグラフである。符号の説明 1…貼付剤、2…支持体、3…粘着剤層、4…剥離ライナー。 以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。 本発明の外用製剤は、薬効成分と、エデト酸塩とを少なくとも含有するものである。薬効成分は好ましくは抗炎症薬であり、抗炎症薬としては、非ステロイド系消炎鎮痛薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、サイトカイン遮断薬(DMARD)等が挙げられる。抗炎症薬以外の好適な薬効成分としては、血管拡張剤、不整脈用剤、血圧降下剤、鎮該去痰剤、抗痴呆剤、抗不安剤、排尿障害治療剤、抗うつ剤、神経症剤、抗血小板剤、抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、血液凝固阻止剤、鎮痙剤、全身麻酔剤、催眠・鎮痛剤、抗癲癇剤、興奮剤・覚醒剤、鎮暈剤、精神神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、抗パーキンソン剤、利尿剤、血管収縮剤、呼吸促進剤、消化性潰瘍治療剤、利胆剤、泌尿生殖器・肛門用剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、ビタミン剤、抗真菌剤、無機質製剤、止血剤、肝臓疾患用剤、習慣性中毒用剤、通風治療剤、糖尿病用剤、抗生物質、化学療法剤、麻薬、禁煙補助薬、及び狭心症薬が挙げられる。 非ステロイド系消炎鎮痛薬としては、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、チアプロフェン、インドメタシン、アセメタシン、ジクロフェナク、フェルビナク、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ナプロキセン、アザプロパゾン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、バルデコキシブ、セレコキシブ、ロフェコキシブ等が挙げられ、これらを単独で又は複数種組み合わせて用いることができる。これらの中でも、薬理効果に優れる点等から、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、フェルビナク、イブプロフェン、スプロフェン、チアプロフェンおよびロキソプロフェンが特に好ましい。また、疾患修飾性抗リウマチ薬としてはレフルノミド、オーラノフィン等が挙げられ、サイトカイン遮断薬としてはインフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムバブ、アナキンラ等が挙げられる。 血管拡張剤としては、塩酸ジルチアゼム、四硝酸ペンタエリスリトール、硝酸イソソルビド、タラジピル、ニコランジル、乳酸プレニラミン、モルシドミン、亜硝酸アルミ、塩酸トラゾリン、ニフェジピン等が挙げられる。不整脈用剤としては、塩酸プロカインアミド、塩酸リドカイン、塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、アテノロール、ナドロール、酒石酸メトプロロール、アジマリン、ジソピラミド、塩酸メキシレチン等が挙げられる。血圧降下剤としては、塩酸エカラジン、インダパミド、塩酸クロニジン、フマル酸ビソプロロール、塩酸ブニトロロール、塩酸ラベタロール、カプロプリル、酢酸グアナベンズ、メブタメート、硫酸ベタニジン等が挙げられる。鎮該去痰剤としては、クエン酸カルベタペンタン、クロペラスチン、タンニン酸オキセラジン、塩酸クロプチノール、塩酸クロフェダノール、塩酸ノスカピン、塩酸エフェドリン、塩酸イソプロテレノール、塩酸クロリプレナリン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸プロカテロール、塩酸ツロブテロール、塩酸クレンプテロール、フマル酸ケトチフェン等が挙げられる。抗痴呆剤としては、塩酸ドネペジル等が挙げられる。抗不安剤としては、クエン酸タンドスピロン等が挙げられる。排尿障害治療剤としては、塩酸オキシブチニン、塩酸タムスロシン等が挙げられる。抗うつ剤としては、マレイン酸フルボキサミン、シタロプラム、フルオキセチン、塩酸セルトラリン、塩酸パロキセチン等が挙げられる。神経症剤としてはプレガバリン等が挙げられる。抗血小板剤としては塩酸ザルボクレラート等が挙げられる。抗ウイルス剤としては、アシクロビル、ガンシクロビル等が挙げられる。抗腫瘍剤としては、シクロフォスファミド、フルオロウラシル、メトトレキサート、デガフール、マイトマイシンC、塩酸プロカルバジン、ドキシフルリジン、ラニムスチン等が挙げられる。局所麻酔剤としては、アミノ安息香酸エチル、塩酸テトラカイン、塩酸ブロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸オキシブプロカイン、塩酸プロトカイン等が挙げられる。ホルモン剤としては、プロピルチオウラシル、チアマゾール、酢酸メテロノン、エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン等が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、塩酸ジプロヘプタジン、塩酸ジフェニルピラリン等が挙げられる。血液凝固阻止剤としては、ワルファリンカリウム、塩酸チクロピジン等が挙げられる。鎮痙剤としては、臭化メチルアトロピン、スコポラミン等が挙げられる。全身麻酔剤としては、チオペンタールナトリウム、ペントバルビタールナトリウム等が挙げられる。催眠・鎮痛剤としては、ブロムワレニル尿素、アモバルビタール、フェノバルビタール等が挙げられる。抗癲癇剤としてはフェニトインナトリウム等が挙げられる。興奮剤・覚醒剤としては塩酸メタンフェタミン等が挙げられる。鎮暈剤としては塩酸ジフェンドール、メシル酸ベタヒスチン等が挙げられる。精神神経用剤としては、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、メプロバメート、塩酸イミプラミン、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム等が挙げられる。骨格筋弛緩剤としては、塩酸スキサメトニウム、塩酸エペリゾン等が挙げられる。自律神経用剤としては、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等が挙げられる。抗パーキンソン剤としては、塩酸アマンタジン、メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、ロピニロール、セレギリン等が挙げられる。利尿剤としては、ヒドロフルメチアジド、イソソルビド、フロセミド等が挙げられる。血管収縮剤としては、エピネフリン、塩酸フェニレフリン等が挙げられる。呼吸促進剤としては、臭化ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等が挙げられる。消化性潰瘍治療剤としては、臭化グリコピロニウム、プログルミド、塩酸セトラキサート、シメチジン、スピゾフロン等が挙げられる。利胆剤としては、ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等が挙げられる。泌尿生殖器・肛門用剤としては、ヘキサミン、スパルティン、ジノプロスト、塩酸リトドリン等が挙げられる。寄生性皮膚疾患用剤としては、サリチル酸、シクロピロクスオラミン、塩酸コロコナゾール等が挙げられる。皮膚軟化剤としては尿素等が挙げられる。ビタミン剤としては、カルシトリオール、塩酸チアミン、リン酸リボフラピンナトリウム、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸アミド、パンテノール、アスコルビン酸等が挙げられる。抗真菌剤としては、ビホナゾール、クロトリマゾール、チオコナゾール、ミコナゾール、エコナゾール、イソコナゾール、イトラコナゾール、スルコナゾール、オキシコナゾール、オモコナゾール、クロコナゾール、ケトコナゾール、ネチコナゾール、ラノコナゾール、フルコナゾール、テルビナフィン、ナフチフィン、ブテナフィン、アモロルフィン等が挙げられる。無機質製剤としては、塩酸カルシウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等が挙げられる。止血剤としてはエタンシラート等が挙げられる。肝臓疾患用剤としてはチオプロニン等が挙げられる。習慣性中毒用剤としてはシアナミド等が挙げられる。通風治療剤としてはコルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等が挙げられる。糖尿病用剤としては、トルブタミド、クロルプロパミド、グリミジンナトリウム、グリプゾール、塩酸プホルミン、インスリン等が挙げられる。抗生物質としては、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピリシン、カルベニシリンナトリウム、セファロリジン、セファキシチンナトリウム、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン等が挙げられる。化学療法剤としては、イソシアニド、ピラジナミド、エチオナミド等が挙げられる。麻薬としては、塩酸モルヒネ、リン酸コディン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン、クエン酸フェンタニル等が挙げられる。禁煙補助薬としてはニコチン等が挙げられる。狭心症薬としてはニトログリセリン等が挙げられる。 なお、以上例示の薬効成分のうち、化合物のフリー体として挙げられているものはそれらの薬学的に許容される塩も用いることができる。また、塩として挙げられているものは、それらに対応する薬学的に許容されるフリー体又はその他の薬学的に許容される塩も用いることができる。 エデト酸塩としては、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム及びエデト酸4ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。 エデト酸塩の外用剤中の含有割合は、皮膚刺激性低減の効果の点から、全質量基準で0.01〜5質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。 本発明の外用製剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、水酸化アルミニウム等を更に含有することが好ましい。これらとエデト酸塩との相乗効果により、皮膚のかぶれを抑制する効果をより一層高めることができる。 ポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB値が9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。また、このHLB値は2以上であることが好ましい。 あるいは、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度2〜14のポリグリセリンと、炭素数8〜24の飽和又は不飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。この場合、皮膚刺激性をさらに低減するため、ポリグリセリンの平均重合度が8〜10で、飽和又は不飽和脂肪酸の炭素数が18〜22であることがより好ましい。 更に、ポリグリセリン酸脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと、水酸基を有する脂肪酸同士が縮合した縮合物とがエステル結合してなるものであってもよい。水酸基を有する脂肪酸としてはリシノレイン酸等が挙げられ、このリシノレイン酸同士をエステル結合により縮合させて得られる縮合物と、ポリグリセリンと、の間でエステル結合させたものを、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして好適に用いることができる。 このようなポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化反応等、従来公知の方法で得ることができるものであり、市販品としても入手可能である。 ポリグリセリン脂肪酸エステルの外用製剤中の含有割合は、0.01〜10質量%であることが好ましく、1〜3質量%であることがより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有割合が0.01質量%に満たないか又は10質量%を超えると、皮膚のかぶれ発生抑制の効果が低下する傾向にある。 一方、水酸化アルミニウムを用いる場合、その含有割合は、皮膚刺激性低減の効果の点から、全質量基準で0.01〜10質量%であることが好ましい。 本発明の外用製剤は、実質的に水を含有しない、油性の外用製剤である。外用製剤が水を実質的に含有しないことによって、難水溶性の薬効成分(特には抗炎症薬)の析出が抑制されて、外用製剤の特性が安定する。ここで、「実質的に水を含有しない」とは、外用製剤が本質的に非水系の成分で構成されることを意味する。ただし、皮膚のかぶれ抑制という本発明の効果が著しく損なわれない限り、外用製剤が、原料や製造環境等に由来する微量の水を含有していてもよい。より具体的には、外用製剤中、水の含有割合が外用製剤全体に対して1.0質量%以下であることが好ましい。 本発明の外用製剤は、薬効成分(好ましくは抗炎症薬)及びポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解又は分散させる基剤を更に含有することが好ましい。 上記基剤としては、薬効成分及びポリグリセリン脂肪酸エステル等の各成分を均一に分散又は溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、ゴム系基剤、アクリル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤が好適に用いられる。 ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が好適である。 アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又は共重合体であるアクリル系ポリマーが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルのアルキル基は、炭素数4〜18であることが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル又はアクリル」のことを意味する(以下同様)。 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。 上記アクリル系ポリマーは、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、他のモノマーとの共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又はピロリドン環を有するものが好適に用いられる。水酸基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、マレイン酸ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸が挙げられる。なお、無水マレイン酸もマレイン酸と同様の共重合成分を与えるので、これをモノマーとして用いてもよい。アミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドが挙げられる。アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチルアクリレート等が挙げられる。ピロリドン環を有するモノマーとしては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。 シリコーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサンを主成分とするものが挙げられる。 本発明の外用製剤は、以上のような成分の他、必要に応じて、かぶれ防止剤、糖類、金属酸化物、親水性高分子、保湿剤、清涼化剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、香料等の、薬学的に許容される他の成分を更に含有していてもよい。 本発明の外用製剤の剤型は特に制限されるものではなく、貼付剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、坐剤、リニメント剤、点眼剤、エアゾール剤等が挙げられるが、これらの中でも、上述した基剤を含有する外用製剤からなる粘着剤層を支持体上に備えた貼付剤が好ましい。 図1は、本発明による貼付剤の一実施形態を示す斜視図である。図1に示す貼付剤1は、支持体2の一方面上に、上記外用製剤からなる粘着剤層3と、剥離ライナー4とがこの順で積層した構成を有する。貼付剤1は、剥離ライナー4を剥がし、粘着剤層3が皮膚と接するように皮膚に貼付して用いられる。 この場合、粘着剤層3には、更に、粘着付与剤、軟化剤等を加えてもよい。粘着付与剤としては、例えば、ロジン及びロジンを水添、不均化、重合若しくはエステル化したロジン誘導体、α−ピネン及びβ−ピネンなどのテルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、脂肪族系、芳香族系、脂環族系若しくは共重合系の石油樹脂、アルキルフェノール樹脂、並びにキシレン樹脂が挙げられる。軟化剤は、ベースポリマーを可塑化又は軟化して、皮膚への適度な付着性を維持するための成分であり、例えば、ポリブテン、流動パラフィン及びミリスチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸エステル類、シリコーンオイル、並びにアーモンド油、ツバキ油、パーシック油及びラッカセイ油等の植物油が挙げられる。 貼付剤を構成する支持体2としては、伸縮性又は非伸縮性のものが用いられ、薬効成分を効率的に放出可能なものが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂で形成された、フィルム若しくはシート又はこれらの積層体、多孔質膜、発泡体、織布及び不織布、あるいは紙材を支持体2として好適に用いることができる。 上記のような貼付剤は、従来公知の製造方法によって製造することができる。例えば、ゴム系粘着剤を基剤として用いたテープ剤の場合、まず、ニーダー、ミキサー等の混合機を用いて、好ましくは120〜160℃に加熱しながら、基剤と、軟化剤及び粘着付与剤等の他の成分とを混合し、次いで、抗炎症薬等の薬効成分を添加し、これが熱分解しない程度に加熱しながら混合して粘着剤層形成用の混合物を調製する。そしてこの混合物を、支持体としてのフィルム上に直接展延して粘着剤層を形成するか、あるいは、離型処理された紙若しくはフィルム上に展延して粘着剤層を形成し、その上に支持体を載せて、粘着剤層を支持体上に圧着転写させてもよい。また、アクリル系粘着剤を基剤として用いたアクリル系テープ剤の場合、基剤、薬効成分及び吸収促進剤等を溶剤に溶解又は分散した塗工液を支持体表面に直接塗布してからこれを乾燥して粘着剤層を形成することができる。このとき用いられる溶剤としては、基剤、薬効成分等の構成成分を全て溶解可能なものが好ましく、例えば、トルエン、ベンゼン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、並びに四塩化炭素、クロロホルム及び塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。(貼付剤の作製) 実施例及び比較例として表1に示す処方(質量%)で均一に混合した混合物を、展延機を用いてポリエステルフィルム上に厚さ100μmとなるように展延して粘着剤層を形成し、粘着剤層を覆うように支持体を積層した後、所定の形状に裁断して貼付剤を作製した。また、比較例2として従来のインドメタシン含有貼付剤(インドメタシン含有率3.75質量%)を、参考例として日局絆創膏を、比較例3として従来のインドメタシン含有クリーム製剤(インドメタシン含有率1.0質量%、エデト酸塩及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有しない)を、それぞれ準備した。(48時間クローズドパッチテスト) 上記貼付剤について、健康成人男性15名を対象にした48時間パッチテストを実施し、皮膚刺激性を評価した。試験は、各貼付剤(直径1.5cmの円状)を各人の背中に貼付し、48時間後の皮膚刺激指数(SI値)を求めるという方法で行った。なお、皮膚刺激指数は須貝式(「皮膚」、第27巻、第4号、昭和60年8月参照)によって求めた。得られた結果を表1に示す。(カラゲニン足浮腫試験) 実施例3、5及び6の貼付剤、並びに比較例3のクリーム製剤について、以下のようにしてカラゲニン足浮腫試験を行った。 まず、体重140g前後のSD系雄性ラット(1群10匹)の右後肢に適用し、適用開始から4時間後、薬剤(貼付剤又はクリーム製剤)を除去した。なお、実施例3、5及び6の貼付剤は8cm2のサイズで、比較例3のクリーム製剤は200mgの量で、それぞれ適用した。薬剤を除去後、直ちに1.5%カラゲニン溶液0.1mLを足蹠皮下へ注射して炎症反応を惹起した。炎症惹起から3時間後に足容積を測定し、注射前の足容積に対する比率を、浮腫率とした。なお、擬似投与の試験も併せて行った。得られた結果を図2に示す。(イースト炎症足疼痛試験) 実施例3、5及び6の貼付剤、並びに比較例3のクリーム製剤について、以下のようにしてイースト炎症足疼痛試験を行った。 まず、体重130g前後のSD系雄性ラット(1群12匹)の右後肢に適用し、適用開始から4時間後、薬剤を除去した。なお、実施例3、5及び6の貼付剤は8cm2のサイズで、比較例3のクリーム製剤は200mgの量で、それぞれ適用した。薬剤を除去後、直ちに25%イースト液0.2mLを足蹠皮下へ注射して炎症反応を惹起した。炎症惹起から3時間後に疼痛閾値を測定した。なお、擬似投与の試験も併せて行った。得られた結果を図3に示す。 表1、図2及び図3に示すように、実施例の貼付剤は、エデト酸塩を含有しない比較例よりも、皮膚刺激性が少なく、かぶれの発生が抑制されていることがわかった。したがって、本発明によれば、皮膚のかぶれの発生が十分に抑制された外用製剤が得られることが確認された。 薬効成分と、エデト酸塩と、水酸化アルミニウムと、を含有し、前記薬効成分が抗炎症薬であり、水の含有割合が当該外用製剤全体に対して1.0質量%以下である、外用製剤。 前記エデト酸塩が、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム及びエデト酸4ナトリウムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1記載の外用製剤。 前記エデト酸塩を、全質量基準で0.01〜2質量%含有する、請求項1又は2記載の外用製剤。 前記抗炎症薬が、非ステロイド系消炎鎮痛薬、疾患修飾性抗リウマチ薬及びサイトカイン遮断薬からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3の何れか一項に記載の外用製剤。 前記非ステロイド系消炎鎮痛薬が、インドメタシン、ケトプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、フェルビナク、イブプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン、ロキソプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、メロキシカム及びバルデコキシブからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の外用製剤。 ポリグリセリン脂肪酸エステルを更に含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載の外用製剤。 前記薬効成分及び前記エデト酸塩を溶解又は分散させる基剤を更に含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載の外用製剤。 前記基剤が、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリル系粘着剤及びシリコーン系粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項7記載の外用製剤。 請求項7又は8記載の外用製剤からなる粘着剤層を支持体上に備える貼付剤。