生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_マーカーの組合せによる急性心筋虚血性疾患の診断
出願番号:2006537205
年次:2007
IPC分類:G01N 33/68,G01N 33/74


特許情報キャッシュ

アマン−ザラン,イールディコ スピンケ,ユールゲン JP 2007510146 公表特許公報(A) 20070419 2006537205 20041029 マーカーの組合せによる急性心筋虚血性疾患の診断 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 アマン−ザラン,イールディコ スピンケ,ユールゲン DE 10351238.1 20031103 G01N 33/68 20060101AFI20070323BHJP G01N 33/74 20060101ALI20070323BHJP JPG01N33/68G01N33/74 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2004012259 20041029 WO2005043169 20050512 23 20060428 2G045 2G045AA25 2G045DA36 2G045DA54 2G045DA60 2G045DA77 2G045FA11 2G045FB03 2G045FB05 2G045FB15 本発明は、急性心筋梗塞などの急性心筋虚血性疾患、特に、ECGにおけるST部が上昇しない心筋梗塞(NSTEMI)を診断する方法であって、検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定する方法に関する。さらに、該診断方法を実行するためのキット、および特に迅速テストを実行するためのテストストリップも提供する。 急性心筋梗塞の診断は、現在、3つの基準に基づいて行われている:すなわち、ECGの変化、胸痛、および心筋酵素の異常上昇の有無である。それでもなお、信頼性のある診断を行うのは難しい。なぜなら、急性心筋梗塞を患う患者の60%はECGに変化がなく、患者の33%は典型的な胸痛がないからである。その結果、急性心筋梗塞(特に、NSTEMIの場合)を診断するために、トロポニンTおよびB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)等の心臓特異的マーカーの測定が用いられることが多くなっている。これらのマーカーのいずれかの濃度の上昇は、死亡を含む虚血イベントの確率の上昇と関連する。これは、例えば、Hammら(New Engl. J. Med. 327 (1992), 146-150)、Hammら(New Engl. J. Med. 340 (1999), 1623-1629)、Heeschenら(The Lancet 354 (1999), 1757-1962)、KlootwijkおよびHamm(The Lancet 353, Suppl. II (1999), 10-15)、Weiら(Circulation 88 (1993), 1004-1009)、De Lemos(New Engl. J. Med. 345 (2001), 1014-1021)の文献に記載されている。 De Winterら(Cardiovasc. Res. 42 (1999), 240-245)、およびDe Winterら(Clin. Chem. 46 (2000), 1597-1603)では、CRP、およびトロポニンIまたはトロポニンTが、急性冠状症候群を患う患者の重症度分類についての2つの独立したマーカーであることが既に分かっている。 EP 03 010 818.7には、心筋梗塞の診断および/または急性冠状症候群の重症度分類のための方法が記載されており、この方法では少なくとも3つの異なる心臓特異的マーカーを測定し、そのいずれの場合にも、少なくとも1つの神経ホルモンマーカー、少なくとも1つの心臓特異的虚血マーカー(トロポニンTまたはトロポニンI等)、および少なくとも1つの炎症マーカー(C反応性タンパク質(CRP)等)を測定する。 米国特許第6 461 828号は、心臓特異的化学マーカー(トロポニンIおよびトロポニンT等)と心臓特異的神経ホルモンマーカー(ANP、ProANP、BNPおよびProBNP等)との組合せを、うっ血性心不全(CHF)を患う患者の診断および重症度分類のために使用することを開示している。 WO 02/089657は、心筋虚血を診断する方法を開示しており、この方法ではBNPまたはBNP関連マーカー(ProBNP等)、および任意に追加の診断マーカー(クレアチンキナーゼ、例えばCK-MB等)をマーカーとして測定する。 WO 2004/059293(2004年7月15日発行)は、心不全および心房細動の鑑別診断方法を含む診断方法に関し、この方法ではBNPもしくは関連ペプチド(ProBNPなど)、トロポニンIおよび/もしくはトロポニンT、ミオグロビン、ならびに/またはCK-MBをマーカーとして測定する。 しかし、公知の診断方法の欠点は、危険性のある患者を確実には検出できないことである。すなわち、トロポニンTおよび/またはI等の心臓特異的虚血パラメーターの上昇は、急性冠動脈イベントが発生した後に比較的遅れてから(一般的に約4時間後)しか起こらない。この段階で患者が曖昧な臨床症状またはECG結果を示すと、明確な診断を下して治療を開始することは比較的遅い時期までできない。虚血変性アルブミン(IMA)等の他の虚血マーカー、またはミオグロビン等の筋肉特異的マーカーは、より早い時期に上昇するが、心臓特異性は相対的に低い。proBNP等の神経ホルモンマーカーは、心筋梗塞の場合には心臓特異性が高いが、現状の知見によれば虚血に特異的ではない。 従って、本発明の目的は、急性冠動脈イベントのより早期のより良い検出を可能にする、急性心筋梗塞等の急性心筋虚血性疾患の診断方法を開発することであった。 この目的は、検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定し、そのいずれの場合にも、少なくとも1つの心臓特異的神経ホルモンマーカー、ならびに少なくとも1つの非心臓特異的虚血マーカーおよび/または非心臓特異的筋肉特異的マーカーを測定することによって、達成される。さらに、他のマーカー、特に血小板活性化についての非心臓特異的マーカーおよび/または心臓特異的虚血壊死マーカーを少なくとも1つ、さらに任意に測定してもよい。 驚くべきことに、心臓特異的神経ホルモンマーカーと少なくとも1つの前記非心臓特異的マーカーとを組合せた測定によって、急性冠動脈イベントの早期検出が改善され、従って、心臓特異的虚血パラメーターの上昇よりも前であっても診断または予後判断が可能になることが分かった。これにより、不必要な入院、または救急科もしくは集中治療室での長期滞在を回避することができる。 これにより得られる利点は、急性心筋梗塞、特にNSTEMI等の急性心臓イベントが生じた場合に、より多くの患者を現在の診断手順よりも早期の時点で特定し、適切な治療を施すことができることである。従って、診断における少なくとも2つの異なるマーカーの本発明による組合せは、死亡率および他の心合併症の発生率を低減できる。 本発明において「心臓特異的」とは、その上昇が心疾患と明確に関連し、主に心臓から分泌されるマーカーとして理解される。その一方、「非心臓特異的」マーカーは、心疾患とは明確には関連しておらず、非心疾患においても上昇し得る。 本発明による方法は、少なくとも2つのマーカーを測定することを含み、少なくとも1つの心臓特異的神経ホルモンマーカー、少なくとも1つの非心臓特異的虚血マーカー、および少なくとも1つの非心臓特異的筋肉特異的マーカーを測定する。 神経ホルモンマーカーは、例えば、心房性(A型)ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、またはプロペプチドNT-proANPおよびNT-proBNPのそれぞれのN末端断片から選択できる。BNPまたはNT-proBNPを神経ホルモンマーカーとして測定することが特に好ましい。 例えば、以下を非心臓特異的虚血マーカーとして測定してもよい: 虚血変性アルブミン(IMA)、脂肪酸結合タンパク質、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、グリコーゲンホスホリラーゼイソ酵素BB、および/またはスフィンゴシン-1-リン酸。IMAを非心臓特異的虚血マーカーとして測定するのが特に好ましい。 例えば、ミオグロビンおよび/またはクレアチンキナーゼMB(CK-MB)を、好ましい非心臓特異的筋肉特異的マーカーとして測定できる。ミオグロビンまたはCK-MBを非心臓特異的筋肉特異的マーカーとして測定するのが特に好ましい。 さらに、血小板活性化について少なくとも1つの非心臓特異的マーカーを、本発明の方法においてさらに測定できる。CD40が、血小板活性化についてのマーカーとして測定するのに特に好ましい。 さらに、少なくとも1つの心臓特異的虚血壊死マーカーを本発明の方法においてさらに測定してもよい。例えば、トロポニンTまたはトロポニンIを、心臓特異的虚血壊死マーカーとして測定できる。トロポニンTを心臓特異的虚血壊死マーカーとして測定するのが特に好ましい。 本発明による組合せ測定は、検査する患者から得た1つ以上のサンプルにおいてマーカーを並行して測定するように行うことが好ましい。急性疾患の存在についての陽性診断は、少なくとも1つのテストマーカーの陽性診断、好ましくは少なくとも2つのマーカーの陽性診断から得られる。所定のマーカーの組合せにより、テストの特異性および感度を上げることができる。 血液または血清サンプル等の患者に由来する1つ以上のサンプルは、1つ以上のテストにおいて同時にまたは順々に直ちに検査することが好ましい。測定は、単独の患者サンプルについて行うことが特に好ましい。 マーカーの組合せ測定は、原則的に、一般的な市販のテストを用いて任意の公知方法により行うことができる。例えば、自動分析器を測定のために使用してもよい。あるいはまた、迅速テストを、例えば救急科、病棟、集中治療室、外来科もしくは医師診療所における使用のために、または患者が自分で行うテストとして、用いることが可能である。 マーカーは、通常、マーカーに対する抗体を使用するイムノアッセイにより測定される。測定は、1つ以上のテストストリップ上で行われることが好ましく、このテストストリップ上には、個々のマーカーを測定するために用いる試薬が1つ以上のゾーンに乾燥形態で配置され、これらはサンプルとの接触後に溶解する。このテストストリップでは、個々のパラメーターが検出ゾーン内で検出され、好ましくは各パラメーターが検出ゾーンの別々の領域において検出される。単独のテストストリップ上で数個のマーカーが測定されることが特に好ましい。 さらに、マーカーは、勿論、液体テストによっても測定され得る。 神経ホルモンマーカーとしてのBNPまたはNT-proBNPの検出は、例えば、Richardsら(Circulation 97 (1998), 1921-1929)、Struthers(Eur. Heart J. 20 (1999), 1374-1375)、Huntら(Clin. Endocrinol. 47 (1997), 287-296)、Talwarら(Eur. Heart J. 20 (1999), 1736-1744)、Darbarら(Am. J. Cardiol. 78 (1996), 284-287)、EP-A-0 648 228、およびWO 00/45176に記載されている。特に好ましいテストは、電気化学発光イムノアッセイ(例えば、Roche Diagnostics GmbH, MannheimのECLIA(登録商標)テストフォーマット)である。 非心臓特異的マーカーとしてのIMAの検出は、例えば、Wuら(Journal: MLO Medical Laboratory Observer 35 (2003), 36-38; 40)に記載されている。ミオグロビンの検出は、例えば、Pentillaら(Clin. Biochem. 33 (2002), 647-653)に記載されている。CD40の検出は、例えば、Heeschenら(New Engl. J. Med. 348 (2003), 1104-1111)に記載されている。 心臓特異的虚血マーカーの一例としてのトロポニンTの測定に関しては、Katusら(Mol. Cell. Cardiol. 21 (1989), 1349-1353)、Hammら(N. Engl. Med. 327 (1992), 146-150)、Ohmannら(N. Engl. J. Med. 335 (1996), 1333-1334)、Christensonら (Clin. Chem. 44 (1998), 494-501)および多数の他の文献、およびEP-A-0 394 819に記載されている。トロポニンT検出のための特に好ましいテストは、電子化学発光イムノアッセイ(例えば、Roche Diagnostics GmbH, MannheimのテストフォーマットであるElecsys(登録商標)トロポニンTおよびElecsys(登録商標)トロポニンT STAT)である。 心筋梗塞を診断するマーカーの特に好ましい組合せは、神経ホルモンマーカー(特にNT-proBNP)、非心臓特異的虚血マーカー(特にIMA)、ならびに少なくとも1つの非心臓特異的心筋特異的マーカー(特にミオグロビンおよび/またはCK-MB)である。上記マーカーの少なくとも3つが陽性である場合には、心筋梗塞について有意な危険性がある。これは、特に、トロポニンT等の心臓特異的虚血壊死マーカーが陰性値の患者にも当てはまる。 虚血/不安定狭心症を診断するためのさらに具体的に好ましいマーカーの組合せは、心臓特異的神経ホルモンマーカー(特にNT-proBNP)、および非心臓特異的虚血マーカー(特にIMA)である。 本発明の別の態様は、急性心筋疾患、特に心筋梗塞を診断する試薬キットであって、少なくとも2つのマーカーを測定するための検出試薬を含み、かつ少なくとも1つの検出試薬が心臓特異的神経ホルモンマーカー用として含まれ、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬は非心臓特異的虚血マーカー用および/または非心臓特異的筋肉特異的マーカー用として含まれる、試薬キットである。さらに、少なくとも1つの検出試薬が、任意に、血小板活性化についての非心臓特異的マーカー用および/または心臓特異的虚血壊死マーカー用として含まれてもよい。 上記試薬キットは、マーカーの同時測定を行うのに、特に単独の患者サンプルについて測定を行うのに適するように、設計されることが好ましい。この目的のために、単独のテストフォーマット(例えば、酵素イムノアッセイ、電子化学発光テスト、比濁テスト、またはテストストリップ上での迅速テスト)によるマーカーの測定を可能にする検出試薬を使用することが都合が良い。 試薬キットは、自動分析器での測定を行うか、または迅速テストとして行うのに適するように設計され得る。数個のマーカーに対する検出試薬が単独のテストストリップ上に存在することが特に好ましい。 本発明の特に好ましい実施形態では、急性心筋疾患を診断するためのテストストリップ形態の試薬キットであって、BNPまたはNP-proBNPを測定するための試薬、IMAを測定するための試薬、任意でミオグロビンおよび/またはCK-MBを測定するための試薬、ならびに任意でトロポニンTまたはトロポニンIを測定するための試薬(特にトロポニンTを測定するための試薬および/またはCD40を測定するための試薬)を含む試薬キットが提供される。 本発明の方法および本発明による試薬キットを使用すれば、急性冠状症候群を患う患者を特定でき、特に急性冠動脈イベントの早期検出を改善でき、例えば急性心筋梗塞の早期検出を改善できる。 本発明を以下の実施例によりさらに説明する。 マーカーの組合せによる急性心筋虚血性疾患の診断 以下に記載する試験は、本発明の数個のマーカーの測定が急性心筋虚血性疾患の診断を改善するという仮定を証明するものである。胸痛のある患者を例として用いて、本発明の数個のマーカーを測定することにより心筋梗塞(MI)または虚血性疾患のより早期の診断が可能であることを実証できる。 研究設計: リューベック大学病院(University Clinic in Lubeck)に入院した胸痛のある患者に由来する40の血清サンプルを過去に遡って調べた。グループ1(=MIグループ)の試験対象基準は、入院時にトロポニンTが陰性値で、4〜6時間後に陽性値の患者とした。グループ2(=対照グループ)は、入院時、および4〜6時間後にもトロポニンTが陰性値の患者から構成された。サンプルはランダムに選択した。 以下のマーカーを測定した: 心臓特異的神経ホルモンマーカーとしてNT-proBNP 非心臓特異的虚血マーカーとしてIMA 非心臓特異的筋肉特異的マーカーとしてミオグロビン 非心臓特異的筋肉特異的マーカーとしてCK-MB。 方法: サンプルは-20℃にて保存および輸送した。NT-proBNP(カタログ番号03121640)およびミオグロビン(カタログ番号1972146)は、製造元の指示書に従って、Roche ELECSYS自動分析器で、対応するRoche試薬キットを用いて測定した。CK-MBおよびIMAは、製造元の指示書に従って、Hitachi 912で、Roche CK-MBキット(カタログ番号213284)およびIschemia Technologies ACBキット(カタログ番号01VAC260)を用いて測定した。 結果: 全てのマーカーの測定結果を表1にまとめている。 a)MIを患う患者を早期特定するための、心臓特異的神経ホルモンマーカー(NT-proBNP)および非心臓特異的筋肉特異的マーカー(CK-MB)の測定 以下のカットオフ値を使用して陽性値を識別した: NT-proBNP: 350 pg/ml CK-MB: 12 U/l 上記2つのマーカーの陽性値を個別および組み合わせて考慮すると、以下の分布が見出される: NT-proBNPまたはCK-MBは単独では、トロポニンTの遅れた上昇、すなわち心筋梗塞の早期診断に特異的ではない。しかし両方のマーカーの陽性値を考慮すれば、心筋梗塞を、早期段階で、すなわち早くも入院時に、20%の患者について診断できた。 b)MIを患う患者の早期特定のための4つのパラメーター全ての測定 この場合、以下のカットオフ値を使用して、陽性値を識別した: NT-proBNP: 125 pg/ml IMA: 85 U/ml ミオグロビン: 70 ng/ml CK-MB: 12 U/ml MIグループの20人の患者のうち18人が、入院時に、4つのパラメーターのうち少なくとも1つについて既に陽性結果を示した。サンプルの65%で0〜2つのマーカーが上昇した。テストしたサンプルの35%で3〜4つのマーカーがカットオフ値を上回っていた。 しかし、対照グループでは、3または4つのマーカーについて陽性結果を示した患者はいなかった。入院時には、患者の10%ではいずれのマーカーについても上昇が認められず、30%では1つのマーカーについて上昇が認められ、60%では2つのマーカーについて上昇が認められた。 この結果を、同じく以下の表にまとめている: 4つのパラメーター全てを測定し、そのマーカーのうちの少なくとも3つが上昇してなければならないという基準を採用することにより、心筋梗塞は、患者の35%(全てトロポニン陰性)について入院時に既に診断可能である。 c)虚血/は、安定狭心症を特異的に診断するための、心臓特異的神経ホルモンマーカー(NT-pro-BNP)および非心臓特異的虚血マーカー(IMA)の測定 IMA陽性値は、原因不明な虚血を示す。上記患者グループ(表1)を虚血について検討すれば、そのほとんどが虚血性の病態生理学的特徴を示した34人の患者に対し、診断(MIまたはUAP)がなされたであろう。6人の患者は、最終診断としては虚血ではなかった(患者番号23、30、32、33、36、39=対照グループ)。しかし、これらの患者のうち4人は、IMA値の上昇を示した(カットオフ値:85 U/ml)(患者番号23、30、32、39=「偽陽性」)。NT-proBNP陽性値をさらに診断に組み入れた場合(カットオフ値:350 pg/ml)には、特異性が大幅に上昇する。すなわち、偽陽性の症例はもはや認められなくなる。この結果を、以下の表にまとめている。 急性心筋虚血性疾患の診断方法であって、検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定し、そのいずれの場合にも少なくとも1つの心臓特異的神経ホルモンマーカー、ならびに少なくとも1つの非心臓特異的虚血マーカーおよび/または少なくとも1つの非心臓特異的筋肉特異的マーカーを測定することを特徴とする方法。 前記心臓特異的神経ホルモンマーカーが、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、pro-ANPのN末端断片(NT-proANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、およびpro-BNPのN末端断片(NT-pro-BNP)から選択される、請求項1に記載の方法。 BNPまたはNT-proBNPを神経ホルモンマーカーとして測定する、請求項2に記載の方法。 前記非心臓特異的虚血マーカーが、虚血変性アルブミン(IMA)、脂肪酸結合タンパク質、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、グリコーゲンホスホリラーゼイソ酵素BBおよび/またはスフィンゴシン-1-リン酸から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 IMAを非心臓特異的虚血マーカーとして測定する、請求項4に記載の方法。 前記非心臓特異的筋肉特異的マーカーが、ミオグロビンおよび/またはCK-MBから選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 血小板活性化についての非心臓特異的マーカーをさらに測定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 CD40を、血小板活性化についての非心臓特異的マーカーとして測定する、請求項7に記載の方法。 心臓特異的虚血壊死マーカーをさらに測定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 前記心臓特異的虚血壊死マーカーが、トロポニンTおよびトロポニンIから選択される、請求項9に記載の方法。 トロポニンTを虚血壊死マーカーとして測定する、請求項10に記載の方法。 急性心筋梗塞の診断のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。 急性心筋梗塞を診断する際の早期検出を改善するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 前記マーカーを並行して測定する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を単独の患者サンプルに対して行う、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を自動分析器で行う、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を迅速テストとして行う、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行う、請求項17に記載の方法。 急性心筋虚血性疾患を診断するための試薬キットであって、少なくとも2つのマーカーの測定用の検出試薬を含み、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が心臓特異的神経ホルモンマーカー用として含まれ、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が非心臓特異的虚血マーカー用および/または非心臓特異的筋肉特異的マーカー用として含まれることを特徴とする、試薬キット。 さらに少なくとも1つの検出試薬が、血小板活性化についての非心臓特異的マーカー用および/または心臓特異的虚血壊死マーカー用として含まれる、請求項19に記載の試薬キット。 マーカーの同時測定を行うための、請求項19または20に記載の試薬キット。 前記測定を単独の患者サンプルに対して行うための、請求項19〜21のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定を自動分析器で行うための、請求項19〜22のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定を迅速テストとして行うための、請求項19〜22のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行うための、請求項24に記載の試薬キット。 急性心筋虚血性疾患を診断するためのテストストリップ形態の試薬キットであって、BNPまたはNP-proBNPを測定するための試薬、IMAを測定するための試薬、任意でミオグロビンおよび/またはCK-MBを測定するための試薬、ならびに任意でトロポニンTおよび/またはCD40を測定するための試薬を含むことを特徴とする、試薬キット。 急性心筋梗塞を患う患者を特定するための、請求項19〜26のいずれか一項に記載の試薬キットの使用。 本発明は、急性心筋虚血性疾患、例えば急性心筋梗塞、特に、EKGにおけるSTパスが上昇しない心筋梗塞(NSTEMI)を診断する方法に関する。検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定する。本発明はまた、上記診断方法を実行するためのキット、特に迅速テストを実行するためのテストストリップにも関する。20050415A16333全文3 急性心筋虚血性疾患の診断方法であって、検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定し、そのいずれの場合にも少なくとも1つの心臓特異的神経ホルモンマーカー、および少なくとも1つの非心臓特異的虚血マーカー、ならびに任意で非心臓特異的筋肉特異的マーカーを測定することを特徴とし、但しその非心臓特異的虚血マーカーが虚血変性アルブミン(IMA)、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、およびスフィンゴシン-1-リン酸から選択されるものである、前記方法。 前記心臓特異的神経ホルモンマーカーが、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、pro-ANPのN末端断片(NT-proANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、およびpro-BNPのN末端断片(NT-pro-BNP)から選択される、請求項1に記載の方法。 BNPまたはNT-proBNPを神経ホルモンマーカーとして測定する、請求項2に記載の方法。 前記非心臓特異的筋肉特異的マーカーが、ミオグロビンおよび/またはCK-MBから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 血小板活性化についての非心臓特異的マーカーをさらに測定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 CD40を、血小板活性化についての非心臓特異的マーカーとして測定する、請求項5に記載の方法。 心臓特異的虚血壊死マーカーをさらに測定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 前記心臓特異的虚血壊死マーカーが、トロポニンTおよびトロポニンIから選択される、請求項7に記載の方法。 トロポニンTを虚血壊死マーカーとして測定する、請求項8に記載の方法。 急性心筋梗塞の診断のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。 急性心筋梗塞を診断する際の早期検出を改善するための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。 前記マーカーを並行して測定する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を単独の患者サンプルに対して行う、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を自動分析器で行う、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を迅速テストとして行う、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行う、請求項15に記載の方法。 急性心筋虚血性疾患を診断するための試薬キットであって、少なくとも2つのマーカーの測定用の検出試薬を含み、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が心臓特異的神経ホルモンマーカー用として含まれ、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が非心臓特異的虚血マーカー用として含まれ、かつ任意で非心臓特異的筋肉特異的マーカー用として含まれることを特徴とし、但しその非心臓特異的虚血マーカーが虚血変性アルブミン(IMA)、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、およびスフィンゴシン-1-リン酸から選択されるものである、試薬キット。 さらに少なくとも1つの検出試薬が、血小板活性化についての非心臓特異的マーカー用および/または心臓特異的虚血壊死マーカー用として含まれる、請求項17に記載の試薬キット。 マーカーの同時測定を行うための、請求項17または18に記載の試薬キット。 前記測定を単独の患者サンプルに対して行うための、請求項17〜19のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定を自動分析器で行うための、請求項17〜20のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定を迅速テストとして行うための、請求項17〜20のいずれか一項に記載の試薬キット。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行うための、請求項22に記載の試薬キット。 急性心筋虚血性疾患を診断するためのテストストリップ形態の試薬キットであって、BNPまたはNP-proBNPを測定するための試薬、IMAを測定するための試薬、任意でミオグロビンおよび/またはCK-MBを測定するための試薬、ならびに任意でトロポニンTおよび/またはCD40を測定するための試薬を含むことを特徴とする、試薬キット。 急性心筋梗塞を患う患者を特定するための、請求項17〜24のいずれか一項に記載の試薬キットの使用。20070222A16333全文3 急性心筋虚血性疾患の診断方法であって、検査する患者について少なくとも2つのマーカーを測定し、そのいずれの場合にも少なくとも1つの心臓特異的神経ホルモンマーカー、および少なくとも1つの非心臓特異的虚血マーカー、ならびに任意で非心臓特異的筋肉特異的マーカーを測定することを特徴とし、但しその非心臓特異的虚血マーカーが虚血変性アルブミン(IMA)、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、およびスフィンゴシン-1-リン酸から選択されるものである、前記方法。 前記心臓特異的神経ホルモンマーカーが、A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、pro-ANPのN末端断片(NT-proANP)、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、およびpro-BNPのN末端断片(NT-pro-BNP)から選択される、請求項1に記載の方法。 血小板活性化についての非心臓特異的マーカーをさらに測定する、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。 心臓特異的虚血壊死マーカー、特にトロポニンTをさらに測定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 急性心筋梗塞の診断のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 急性心筋梗塞を診断する際の早期検出を改善するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 前記マーカーを並行して測定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 前記測定を迅速テストとして行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行う、請求項8に記載の方法。 急性心筋虚血性疾患を診断するための試薬キットであって、少なくとも2つのマーカーの測定用の検出試薬を含み、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が心臓特異的神経ホルモンマーカー用として含まれ、そのいずれの場合にも少なくとも1つの検出試薬が非心臓特異的虚血マーカー用として含まれ、かつ任意で非心臓特異的筋肉特異的マーカー用として含まれることを特徴とし、但しその非心臓特異的虚血マーカーが虚血変性アルブミン(IMA)、遊離脂肪酸、妊娠関連血漿タンパク質A、およびスフィンゴシン-1-リン酸から選択されるものである、試薬キット。 さらに少なくとも1つの検出試薬が、血小板活性化についての非心臓特異的マーカー用および/または心臓特異的虚血壊死マーカー用として含まれる、請求項10に記載の試薬キット。 マーカーの同時測定を行うための、請求項10または11に記載の試薬キット。 前記測定をテストストリップ上で行い、特に単独のテストストリップ上で行うための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の試薬キット。 急性心筋虚血性疾患を診断するためのテストストリップ形態の試薬キットであって、BNPまたはNP-proBNPを測定するための試薬、IMAを測定するための試薬、任意でミオグロビンおよび/またはCK-MBを測定するための試薬、ならびに任意でトロポニンTおよび/またはCD40を測定するための試薬を含むことを特徴とする、試薬キット。 急性心筋梗塞を患う患者を特定するための、請求項10〜14のいずれか一項に記載の試薬キットの使用。


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