タイトル: | 特許公報(B2)_ベンジルイソキノリン誘導体またはビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品 |
出願番号: | 2006531440 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 31/472,A61P 25/20,C07D 217/20 |
中島 宏 棚橋 孝雄 山田 潤 孫 樹建 杉本 由美 JP 4698595 特許公報(B2) 20110311 2006531440 20050729 ベンジルイソキノリン誘導体またはビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品 株式会社漢方医科学研究所 300065822 中島 宏 504297032 河村 洌 100098464 藤森 洋介 100149630 谷 征史 100154449 中島 宏 棚橋 孝雄 山田 潤 孫 樹建 杉本 由美 JP 2004227227 20040803 20110608 A61K 31/472 20060101AFI20110519BHJP A61P 25/20 20060101ALI20110519BHJP C07D 217/20 20060101ALN20110519BHJP JPA61K31/472A61P25/20C07D217/20 A61K 31/472 C07D 217/20 CA/REGISTRY(STN) 特開昭63−208519(JP,A) 韓国公開特許第2004−0026175(KR,A) 特開平11−180873(JP,A) 国際公開第2004/082700(WO,A1) 韓国公開特許第2003−0079104(KR,A) 伊藤篤子,蓮子心のアルカロイド及びその鎮静作用について,日本生薬学会第50会年会要旨集,2003年,p.116,1p-34 XIONG Y. Q.,Effect of neferine on toxicodynamics of dichlorvos for inhibiting rabbit cholinesterase,ACTA PHARMACOL SIN,2003年,vol.24, no.4,,p.332-336 PROTAIS P.,effects of various isoquinoline alkaloids on in vitro 3H-dopamine uptake by rat striatal synaptosomes,J. NAT. 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pharmacological research of neferine,Chinese Pharmacological Bulletin,2004年 1月,Vol.20, No.1,p.8-10 4 JP2005013950 20050729 WO2006013792 20060209 45 20061017 安藤 倫世 本発明は、蓮子心由来のベンジルイソキノリン誘導体またはビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品、該誘導体の向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品の製造のための使用、該誘導体を使用する精神疾患、疼痛および/または炎症の予防および/または治療の方法に関する。 近年のストレス社会を反映し、精神疾患は増加の一途をたどっている。精神疾患は社会への適応が困難になるため、社会的な問題であるとともに、医療経済的にも重要な問題となっている。精神活動や行動に変化をもたらすことを主要な薬理作用とする薬物を向精神薬と称しているが、向精神薬は統合失調症治療薬、気分安定薬、抗鬱薬、抗不安薬、睡眠薬、鎮静薬、抗てんかん薬、嫌酒薬、抗パーキンソン病薬、抗痴呆薬などに分類され、それぞれ作用機序が異なる薬剤が開発され、各種の精神疾患治療に用いられている。 近年とくに広く知られ、社会的に重大な問題となってきている不安障害を例に取るならば、恐怖症性不安障害、広場恐怖、社会恐怖、パニック障害、全般性不安障害、強迫性障害、特定の恐怖症、他の不安障害に分類されるが、これらは互いに合併することもしばしばである。 また、鬱病の症状としては、抑うつ状態、アンヘドニア、精神運動抑制、思考/認知のゆがみ、不安と焦燥、自律神経症状などが挙げられる。 統合失調症とは、思考や行動、感情を1つの目的に沿ってまとめていく能力、すなわち統合する能力が長期間にわたって低下し、その経過中にある種の幻覚、妄想、ひどくまとまりのない行動が見られる病態であるが、うつ病や引きこもり、適応障害などと区別しにくいことがあり、確定診断は幻覚、妄想などの症状によって下される。しかし、この病気の原因は充分明らかにされておらず、単一の疾患であることにさえ疑いが向けられている。 前記症状の治療薬の例としては、抗鬱薬として現在使用されているものとして、イミプラミン、クロミプラミン、トリミプラミンなどの三環系抗鬱薬、マプロチリン、ミアンセリンなどの四環系抗鬱薬、トリアゾロピリジン系のトラゾドン、ベンズケトオキシム系の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるフルボキサミンなどが挙げられる。 また、睡眠剤としては、古くはバルビツール系睡眠薬があり、その後トリアゾラム、エチゾラム、ブロチゾラム、フルニトロラゼパム、ニトラゼパム、クアゼパム、ゾピクロンゾルピデム等のベンゾジアゼピン系睡眠薬が登場した。さらに抗不安薬としては、上記ベンゾジアゼピン系の薬剤やSSRIと称されるフルボキサミンやパロキセチンなどが推奨されてきている。 統合失調症の治療薬については、従来は脳内のドーパミン神経系に作用する薬物が用いられてきたが、副作用としての錐体外路障害(パーキンソン症候群)、すなわち動物実験系においてカタレプシーとして観測される副作用が問題となっている。最近ではセロトニン神経系にも作用する非定型統合失調症治療薬が導入され、治療効果を高めている。また従来から使用されている別の治療薬としては、緩和精神安定薬ともよばれ、主として、脳の視床、海馬、扁桃核などの大脳辺縁系に作用して、不安や緊張などの情動面の障害を選択的に改善し、また自律神経活動の安定効果を持つとされているベンゾジアゼピン系化合物やアザピロン系化合物が代表的な治療薬である。しかし、ベンゾジアゼピン系化合物では運動協調性障害、依存性、健忘、肝機能障害などの副作用が、アザピロン系化合物では肝機能障害、セロトニン症候群、眠気、ふらつき、めまいなどの副作用などの問題も残されている。 また、三環系あるいは類似の環状抗鬱薬では、抗コリン作用である口渇、目の調節障害(霧視)、便秘、排尿困難、抗ヒスタミン作用に起因するとされる体重増加、抗アドレナリン作用といえる低血圧、めまい、ふらつき、そしてさらに心毒症などの副作用や過剰摂取による急性中毒等が指摘されている。 また、上記SSRI群の薬剤においては副作用がかなり軽減されているとされてはいるが、セロトニン症候群の発症の危険が指摘されている。 一方、前記のような中枢神経系の異常に起因する各種の症状を軽減させる為の健康食品としては、例えばセントジョンズワートが有名で、鬱病に有効であるとされている(リンドレら、ブリティッシュ・メジカル・ジャーナル、313巻(1996年)253頁)。セントジョンズワートは、西洋オトギリ草とも云われ、欧州では古くから創傷や神経痛などの治療薬として使われてきたといわれる。近年では健康食品のタブレットとして欧米を中心に、我が国でも広く用いられている。 しかしながら、セントジョンズワートに含まれる成分によって重篤な副作用として光過敏症が表れることが知られているし、また成分中にシクロスポリンの体内動態に影響を及ぼす副作用も知られている。 次に、鎮痛薬には、麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬が知られている。モルヒネを代表とする麻薬性鎮痛薬は強力な鎮痛効力を有し、癌性疼痛、術後の疼痛など激しい痛みに有効である。モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬は、中枢神経内でオピオイド受容体を介して強力な鎮痛作用を示すが、薬物依存を起こしやすいという問題がある。解熱性鎮痛薬は鎮痛効力はモルヒネほど強くなく内臓痛などには無効であるが依存性はないことから、歯痛、頭痛、神経痛、関節炎などに広く使用されている。解熱鎮痛剤には、中枢神経に作用点を有するアセトアミノフェンに代表される抗炎症作用を有しない薬物や、アスピリンなどの、抗炎症作用を有し鎮痛作用を発揮する非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が知られている。非ステロイド性抗炎症薬の作用機序はプロスタグランジンの生合成阻害にあると考えられている。しかしながら、非ステロイド性抗炎症薬は効力が比較的強い薬剤ほど胃腸障害などの副作用の発生頻度が高くなる傾向がある。 スイレン科の植物であるハス(Nelumbo nucifera Gaertner)は古くから、薬膳の食材として、根から花まで広く利用されている。とくに成熟した種子の緑色胚芽(Nelumbinis embryo)である蓮子心は、東洋医学では、熱を去る、止血する、精を鈍らせる等の効能を持つとして、熱病、労心吐血、遺精の治療に使用されている(「和漢薬百科事典」難波恒雄著、216頁および「中薬大辞典」上海科学技術出版社、小学館編集、(1985年)2750頁)。 蓮子心のアルカロイドを中心とした成分研究としては、ベンジルイソキノリンアルカロイド類ならびに、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド類の構造決定のデータが報告されている(古川ら、薬学雑誌、84巻(1965年)335頁、冨田ら、ケミカル・ファーマスーティカル・ブレチン、13巻(1965年)39頁および國友ら、フィトケミストリー、12巻(1973年)669頁)が、ビスベンジルイソキノリンアルカロイドの一種であるネフェリン以外では、薬効に関しての報告はされていない。 一方、蓮子心についての最近の薬効研究としては、古くは、西部らによって解熱作用、血圧降下作用、抗精神病作用の記載(西部ら、ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ誌、49巻(1986年)547頁)を見いだすが、これら作用については何ら充分なその根拠が示されていない。すなわち、西部らは、(1)蓮子心から4種のアルカロイドを精製単離したこと、(2)血圧降下についての動物試験方法、および(3)4種のアルカロイドのうちの1種であるネフェリンに血圧降下作用を認めたことのみを開示しているものであり、解熱作用および抗精神作用の事実については全くその根拠が示されておらず、また血圧降下作用についても具体的なデータは示されていない(西部ら、ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ誌、49巻(1986年)547頁)。さらに、鎮痛作用、抗炎症作用については全く報告されていない。 また、2002年に2つの報告が日本薬学会でなされた。佐藤らはラットを用いての研究結果から、蓮子心に体温調節機能があることを報告し(佐藤ら,日本薬学会第123年会要旨集2 112頁)、川嶋らはヒト骨芽細胞の系で蓮子心抽出液の抗骨粗鬆作用を報告している(川島ら,日本薬学会第123年会要旨集2 146頁)。 一方、我々はマウスを用いた研究から、蓮子心の一成分であるネフェリンに自発運動抑制作用が認められたことを報告した(伊藤ら,日本生薬学会第50回年会要旨集 116頁)。 しかし、蓮子心成分については、上記以外の薬効について報告されている例は知られていない。 本発明の目的は、天然物由来で、長期に服用しても安全な向精神薬、特には統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される少なくとも1つの症状を予防および/または軽減する作用、および/または鎮静作用を有する向精神薬、ならびに健康食品を提供することである。 本発明の他の目的は、天然物由来で、長期に服用しても安全な鎮痛作用および/または抗炎症作用を有する薬剤、特には疼痛を予防および/または軽減する作用、および/または、炎症を予防および/または軽減する作用を有する薬剤、ならびに健康食品を提供することである。 前記の目的で、より安全な中枢神経系作用物質および鎮痛、抗炎症作用物質を発見するために鋭意検討した結果、蓮子心より抽出されるベンジルイソキノリン誘導体およびビスベンジルイソキノリン誘導体に、安全性の高い向精神作用を示す物質および鎮痛、抗炎症作用物質を見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、下記に示す、蓮子心由来のベンジルイソキノリン誘導体またはビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品、該誘導体の向精神薬、鎮痛薬および/または抗炎症薬、ならびに健康食品の製造のための使用、該誘導体を使用する精神疾患、疼痛および/または炎症の予防および/または治療の方法を提供する。 (1)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する向精神薬。 (2)向精神作用が、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される少なくとも1つの症状を予防および/または軽減する作用、および/または鎮静作用である前記(1)項記載の向精神薬。 (3)一般式(II):(式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減するための向精神薬。 (4)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(3)項記載の向精神薬。 (5)一般式(II)で表わされる化合物がリエンシニン:である前記(3)項記載の向精神薬。 (6)一般式(II)で表わされる化合物がイソリエンシニン:である前記(3)項記載の向精神薬。 (7)前記(1)項記載の一般式(I)で表わされる化合物;およびその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする、向精神用健康食品。 (8)前記(3)項記載の一般式(II)で表わされる化合物;およびその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減するための健康食品。 (9)飲料またはドリンク剤である前記(7)項または(8)項記載の健康食品。 (10)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;一般式(II):(式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびそれらの薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する鎮痛作用および/または抗炎症作用を有する薬剤。 (11)鎮痛作用および/または抗炎症作用が抗炎症作用に基づく鎮痛作用である前記(10)項記載の薬剤。 (12)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(10)項または(11)項記載の薬剤。 (13)前記(10)項記載の一般式(I)で表わされる化合物、一般式(II)で表わされる化合物およびそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする、疼痛および/または炎症を予防および/または軽減するための健康食品。 (14)飲料またはドリンク剤である前記(13)項記載の健康食品。 (15)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、向精神薬を製造するための使用。 (16)向精神作用が、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される少なくとも1つの症状を予防および/または軽減する作用、および/または鎮静作用である前記(15)項記載の使用。 (17)一般式(II):(式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減するための向精神薬を製造するための使用。 (18)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(17)項記載の使用。 (19)一般式(II)で表わされる化合物がリエンシニン:である前記(17)項記載の使用。 (20)一般式(II)で表わされる化合物がイソリエンシニン:である前記(17)項記載の使用。 (21)前記(15)項記載の一般式(I)で表わされる化合物;およびその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、向精神用健康食品を製造するための使用。 (22)前記(17)項記載の一般式(II)で表わされる化合物およびその塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減するための健康食品を製造するための使用。 (23)健康食品が飲料またはドリンク剤である前記(21)項または(22)項記載の使用。 (24)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;一般式(II): (式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびそれらの薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、鎮痛作用および/または抗炎症作用を有する薬剤を製造するための使用。 (25)鎮痛作用および/または抗炎症作用が抗炎症作用に基づく鎮痛作用である前記(24)項記載の使用。 (26)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(24)項または(25)項記載の使用。 (27)前記(24)項記載の一般式(I)で表わされる化合物、一般式(II)で表わされる化合物およびそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、疼痛および/または炎症を予防および/または軽減するための健康食品を製造するための使用。 (28)健康食品が飲料またはドリンク剤である前記(27)項記載の使用。 (29)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、有効成分として、必要な患者に投与することを特徴とする、精神疾患を予防および/または軽減し、および/または鎮静作用をもたらす方法。 (30)精神疾患が、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される少なくとも1つの症状である前記(29)項記載の方法。 (31)患者が鎮静作用を必要としている前記(29)項記載の方法。 (32)前記化合物が、該化合物を含有する健康食品の一部として経口投与される前記(29)項記載の方法。 (33)健康食品が飲料またはドリンク剤である前記(32)項記載の方法。 (34)一般式(II): (式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、有効成分として必要な患者に投与することを特徴とする、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減する方法。 (35)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(34)項記載の方法。 (36)一般式(II)で表わされる化合物がリエンシニン:である前記(34)項記載の方法。 (37)一般式(II)で表わされる化合物がイソリエンシニン:である前記(34)項記載の使用。 (38)前記化合物が、該化合物を含有する健康食品の一部として経口投与される前記(34)項記載の方法。 (39)健康食品が飲料またはドリンク剤である前記(38)項記載の方法。 (40)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、有効成分として、必要な患者に投与することを特徴とする、向精神作用をもたらす方法。 (41)前記向精神作用が鎮静作用であり、かつ患者が鎮静作用を必要としている前記(40)項記載の方法。 (42)前記向精神作用が精神疾患の軽減作用であり、かつ患者が統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される少なくとも1つの症状を有する前記(40)項記載の方法。 (43)一般式(I):(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表わされるベンジルイソキノリン誘導体;一般式(II): (式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされるビスベンジルイソキノリン誘導体;およびそれらの薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を、有効成分として、必要な患者に投与することを特徴とする、疼痛および/または炎症を予防および/または治療するための方法。 (44)炎症による疼痛を予防および/または治療する前記(43)項記載の方法。 (45)一般式(II)で表わされる化合物がネフェリン:である前記(43)項または(44)項記載の方法。 (46)前記化合物が、該化合物を含有する健康食品の一部として経口投与される前記(43)項記載の方法。 (47)健康食品が飲料またはドリンク剤である前記(46)項記載の方法。 本発明によって活性を見出された蓮子心由来のベンジルイソキノリン誘導体およびビスベンジルイソキノリン誘導体は、生体に対して毒性がなく安全性の高い中枢神経系疾患の予防効果および/または治療効果、疼痛および/または炎症の予防および/または治療効果を期待できる。また、健康食品、健康飲料としての利用も可能である。 さらに、本発明の向精神薬は、従来の薬剤と比較して副作用がなく、また広範囲な精神疾患、向精神作用に対して活性が見られ、非常に優れたものである。 さらに、本発明の鎮痛作用および/または抗炎症作用を有する薬剤は、従来の薬剤と比較して副作用がなく、また広範囲な疼痛、炎症に対して活性が見られ、非常に優れたものである。 本発明においてベンジルイソキノリン誘導体とは、一般式(I)(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Xは、NR4またはN+R5R6Y(式中、R4は水素原子またはC1-6のアルキル基であり、R5およびR6は、それぞれ独立して水素原子またはC1-6のアルキル基であり、Yはハロゲン化物イオン、水酸化物イオンまたは硫酸化物イオンである)である)で表される化合物をいう。 本発明においてビスベンジルイソキノリン誘導体とは、一般式(II): (式中、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいC1-6のアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基である)で表わされる化合物をいう。 前記式(I)または(II)の化合物において、「置換されていてもよいC1-6のアルキル基」におけるC1-6のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基などが用いられる。これらC1-6のアルキル基の置換基としては、たとえばハロゲン原子などがあげられる。「置換されていてもよいC1-6のアルキル基」としては、天然の蓮子心に多量に含まれ、食経験があることなどの点からメチル基が好ましい。 前記式(I)または(II)の化合物において、「置換されていてもよいアリール基」におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが用いられる。これらアリール基の置換基としては、たとえばハロゲン原子またはC1-6のアルキル基などが用いられ、置換されたアリール基としては、たとえば、トレイル基、フェネチル基などがあげられる。 「置換されていてもよいヘテロアリール基」におけるヘテロアリール基としては、フリル基、チオフェニル基、ピロリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾニル基、キノリル基、ベンゾチオフェニル基、モルフォリル基などが用いられる。これらへテロアリール基の置換基としては、たとえばハロゲン原子またはC1-6のアルキル基などが用いられる。 本発明のベンジルイソキノリン誘導体の具体例としては、などがあげられるがこれらに限定されるものではない。 本発明のビスベンジルイソキノリン誘導体の具体例としては、などがあげられるがこれらに限定されるものではない。 さらに前記式(I)または式(II)の化合物の塩としては、薬学的に許容し得る塩であればどのようなものでも使用することができる。薬学的に許容し得る塩としては、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩のいずれも可能であるが、具体的には、塩酸塩、グルコン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パモ酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、ジ−p−トルオイル酒石酸塩、酢酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、マンデル酸塩などがあげられる。 本発明の薬剤(向精神薬、鎮痛剤および/または抗炎症剤)および健康食品に含有される、式(I)および式(II)の化合物は、T. Kametani, S. Takano, J. Chem. Soc.(C), 1969, 298-300およびT.Kametani, H. Yagi, S.Kaneda, Chem. Pharm. Bull. 14(9), 947-980, (1966) に記載された方法と同一の方法、またはこれらと類似の方法により、合成することができる。 たとえば、式(I)の化合物は、それぞれ対応する置換基を有するフェネチルアミンとフェニル酢酸とをアミド化し、さらにオキシ塩化リンなどにより環化し、イソキノリン骨格を形成することにより合成することができる。また、必要に応じてイソキノリン骨格のアミンに既知の方法により置換基を導入することもできる。 式(II)の化合物は、たとえば、上述の式(I)の如くして得られるイソキノリン骨格を有する誘導体から銅などを触媒とするウルマン反応などのカップリング反応によって、誘導体2分子を縮合させてビスイソキノリン骨格を有する式(II)の化合物を合成することができる。 また、本発明の薬剤および健康食品に含有される、式(I)または式(II)の化合物は、従来の天然物からの抽出技術を使用して蓮子心から抽出したものを用いることができる。 本発明の薬剤および健康食品において、式(I)の化合物は一種または二種以上を組合わせて用いてもよく、式(II)の化合物も一種または二種以上を組合わせて用いてもよい。さらに、式(I)の化合物と式(II)の化合物を組合わせて用いることもできる。 蓮子心から抽出、単離する場合は、たとえば、蓮子心を乾燥させたのち、熱時メタノール、エタノール、含水エタノール、ヘキサンまたはクロロホルムなどの有機溶剤で抽出、濃縮する。また、このようにして得られる抽出物をさらにシリカゲルのような吸着剤に吸着させ、クロロホルム/メタノール混合物を溶離液として、単離精製することができる。また、本発明の式(I)または(II)の化合物を含有する抽出画分は、それ以上精製することなく、混合物の状態で本発明のベンジルイソキノリン誘導体またはジベンジルイソキノリン誘導体として、使用することができる。 このように、本発明の式(I)または式(II)の化合物としては、前記のように合成により製造されたものまたは蓮子心から抽出、単離されたもののどちらでも使用することができる。 また、本発明の薬剤および健康食品においては、式(I)または(II)の化合物を有効成分として調製することができるが、該化合物を主成分として含有する蓮子心の抽出物を使用することも可能である。 さらに、これらベンジルイソキノリン誘導体およびビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する蓮子心は、前述したように古来より摂取されており、安全な食品である。また、蓮子心は、様々な漢方専門店より入手可能であり、たとえば、上海葯材公司(中国上海市延安路110号)などより入手可能である。 本発明の向精神薬の投与方法は特に限定されるものではないが、経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経粘膜または腹腔内投与などがあり、ヒトでの内服が容易である点から経口投与が好ましい。 本発明の向精神薬の剤形としては、種々の剤形が可能であるが、経口投与可能な剤形が好ましい。例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤等があげられるが、これらに限定されない。また、製剤には例えば、賦形剤、着香剤、着色剤、甘味剤、乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤などの薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができるが、これらに限定されない。 本発明の向精神薬の投与量は、ベンジルイソキノリン誘導体の場合では、成人1日用量として0.1mg〜200mg、好ましくは0.1mg〜100mgであり、ビスベンジルイソキノリン誘導体の場合では、1mg〜2000mg、好ましくは1mg〜1000mgである。もちろん、このような投与量は、投与されるヒトの年齢、体重、症状、投与方法等に応じて変化させることもできる。 1日当たりの量を数回に分けて投与することもできる。また、他の抗鬱剤や治療法と組み合わせて投与することもできる。 本発明のベンジルイソキノリン誘導体を含有する向精神薬は、統合失調症、鬱病、不安障害、気分不安定、躁状態、てんかんおよび睡眠障害よりなる群から選択される症状を予防および/または軽減すること、または鎮静作用を示すことができる。 本発明の鎮痛薬および/または抗炎症薬の投与方法は特に限定されるものではないが、経口、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経粘膜または腹腔内投与などがあり、ヒトでの内服が容易である点から経口投与が好ましい。 本発明の鎮痛薬および/または抗炎症薬の剤形としては、種々の剤形が可能であるが、経口投与可能な剤形が好ましい。例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤等があげられるが、これらに限定されない。また、製剤には例えば、賦形剤、着香剤、着色剤、甘味剤、乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤などの薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができるが、これらに限定されない。 本発明の鎮痛薬および/または抗炎症薬の投与量は、ベンジルイソキノリン誘導体の場合では、成人1日用量として0.1mg〜200mg、好ましくは0.1mg〜100mgであり、ビスベンジルイソキノリン誘導体の場合では、1mg〜2000mg、好ましくは1mg〜1000mgである。もちろん、このような投与量は、投与されるヒトの年齢、体重、症状、投与方法等に応じて変化させることもできる。 1日当たりの量を数回に分けて投与することもできる。また、他の鎮痛薬、抗炎症薬や治療法と組み合わせて投与することもできる。 本発明のベンジルイソキノリン誘導体またはビスベンジルイソキノリン誘導体を含有する鎮痛薬および/または抗炎症薬は、頭痛、歯痛、神経痛、関節痛、筋肉痛、月経困難症、打撲痛、手術、外傷後の疼痛など各種の疼痛を予防および/または軽減することができる。また、関節炎、結合組織炎、痛風、慢性関節リウマチ、リウマチ熱、変形性関節症、手術、外傷後の炎症、上気道炎などの各種の炎症性疾患や炎症性病態を予防および/または軽減することができる。本発明の鎮痛薬および/または抗炎症薬は、特に抗炎症作用に基づく鎮痛作用を有効に発現すると考えられ、したがって炎症に起因する疼痛の予防および/または治療に有効である。 本発明におけるもう1つの実施態様は、前記式(I)または式(II)の化合物を含有する健康食品を提供することである。 本発明において「健康食品」とは、一般的に使用されている用語として、食品のうち「ふつうの食品よりも健康によいと称して売られている食品」のことをさす。現在我が国では、このいわゆる健康食品に関する単独の法律はなく、主に食品衛生法、栄養改善法、薬事法により規制をうけているが、平成13年度4月から保健機能食品制度が創設され、これまであった特定保健用食品(特保)に加え一部のビタミン・ミネラルに関する栄養成分機能表示ができる「栄養機能食品」という分類ができ、これら全ての食品の総称を意味する。本発明の「健康食品」には、栄養補助食品の定義として、一般的な意味で、「栄養成分を補給し、又は特別の保健の用途に資するものとして販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の食品の形態でないもの」などと表現されている、特別の保健の用途に資する「特殊用途食品」が含まれる。 本発明の健康食品は、経口摂取できるものであればどのようなものでもよく、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤等とすることができる。また、式(I)または式(II)の化合物を原材料に配合することにより種々の飲食品の形態とすることができる。そのような飲食品としては、麺類、粥、リゾット、ゼリー、クッキー、スープ、飲料があげられるが、これらに限定されない。 このような食品には他に、賦形剤、着香剤、着色剤、甘味剤、乳化剤、コーティング剤、ビタミンC、抗酸化剤などの薬剤的に許容できる種々の担体や、鉄、マグネシウム、カルシウム等のミネラル、ビタミン類、アルギン酸等の食物繊維のほか各種のタンパク質、脂質、乳糖等の糖類を加えることができる。 また、本発明の健康食品に、西洋ニンジン抽出物、イチョウ葉抽出物、大豆抽出物、甘草抽出物、ザクロ抽出物、ヤムイモ抽出物などを組み合わせることにより、精神的ストレス等から陥る前記各症状への改善効果を有する健康食品を得ることもできる。 ドリンク剤は、式(I)または(II)の化合物と水を主成分として混合して調製する。式(I)または(II)の化合物と、水との混合割合は、限定的ではないが、両者の重量比で、1対5000から1対1000000の範囲が適当であるが、好ましくは1対10000、さらに好ましくは1対100000が推奨される。 健康食品として、式(I)または式(II)の化合物を含有するタブレットを成形するためには、賦型剤および各種の添加剤、例えば、クリーミーパウダー、麦芽糖、セルロース粉末、シュガーエステル、リン酸カリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、焼成カルシウム、ボレー粉、シクロデキストリン、クエン酸マグネシウムなどを添加・混合した後、直接粉末圧縮法で打錠成形することによって製造することができる。 本発明の健康食品、飲料の投与量は特に制限されず、投与形態、年齢、体重、症状に応じて適宜選択することができる。 本発明の式(I)または(II)の化合物の中枢神経系の作用を評価する方法としては、一般的に使われているスクリーニング試験、すなわち向精神作用の範疇での各種作用や薬効の評価に用いられる動物試験法により評価することができる。たとえば、鎮静作用については、自発運動抑制試験(Hirose, A., Kato, T., Shimizu, H., Tanaka, H., Nakamura, N., Katsube, J., Jpn. J. Pharmacol. 53, 321-329 (1990)))、統合失調症治療作用については、メタンフェタミン誘発運動抑制試験(Hirose, A., Kato, T., Shimizu, H., Tanaka, H., Nakamura, N., Katsube, J., Jpn. J. Pharmacol. 53, 321-329 (1990))、抗鬱作用については、強制水泳試験(Porsolt, R.D., Bertin, A., Jalfre, M., Arch. Int. Pharmacodyn. 299, 327-336 (1977))、抗不安作用については、高架式十字迷路テスト(Lister, R.G., Psychopharmacology, 112, 13-20 (1993))、強迫性障害治療作用については、ガラス玉覆い隠し行動試験(Njung’e, K., Hadley, S.L., Pharmacol. Biochem. Behav., 38, 65-67 (1991))、睡眠障害改善作用については、チオペンタール睡眠増強試験(Sukma, M., Chaichamtipyuth, C., Murakami, Y., Tohda, M., Matsumoto, K., Watanabe, H., J. Ethopharmacology, 83, 87-94 (2002))などである。 また、従来の薬剤で見られる副作用である、運動協調性の低下やカタレプシー惹起については、ロータロッドテスト(Souri, E., Sharifzadeh, M., Farasam, H., Gharavi, N., J. Pharm. Pharmacol, 51, 853-855 (1999))、カタレプシーテスト(Hirose, A., Kato, T., Shimizu, H., Tanaka, H., Nakamura, N., Katsube, J., Jpn. J. Pharmacol. 53, 321-329 (1990))などの動物試験法により評価することができる。 本発明の式(I)または(II)の化合物の鎮痛作用および/または抗炎症作用は、一般的に使われているスクリーニング試験、すなわち鎮痛作用、抗炎症作用の範疇での各種作用や薬効の評価に用いられる動物試験法により評価することができる。たとえば、酢酸誘発writhing試験(Koster, R., Anderson, M., de Beer, E. J., Fed. Proc. 18, 412(1959))、tail-flick 試験(D'Amour, F. E., Smith, D. L., J. Pharmacol. Exp. Ther. 72, 74-79(1941))、ホルマリン足蹠試験(Abbott, F. C., Franklin, K. B. J., Westbrook, R. C., Pain 60, 91-102(1995))、ヒスタミン誘発足浮腫試験(Y. Oyanagui, Life Sci., 62, PL241-249(1998))などの動物試験法により評価できる。 本発明を以下の製造例および実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明によるベンジルイソキノリン誘導体およびビスベンジルイソキノリン誘導体には、当業者によれば種々の変更、修飾が可能であるが、これらの変更、修飾も本発明に含まれる。製造例1(ビスベンジルイソキノリン誘導体の抽出) まず蓮子心(上海葯材公司、中国上海市延安路110号)を水にて十分洗浄後、乾燥する。乾燥体500gを、エタノール1Lを用いて加熱還流処理を3回行った。得られた抽出液を濾別後、減圧下乾燥し、ペーストを約50g得た。得られたペーストの薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60F254、クロロホルム/メタノール/アンモニア水 90/9/1)のRf値からビスベンジルイソキノリン誘導体を定量した結果、ネフェリン、リエンシニン、イソリエンシニン、タリフォリンの含量はそれぞれ、0.4%、0.1%、0.1%、0.1%であった。これを以下の実施例において、抽出物1として使用した。製造例2(ビスベンジルイソキノリン誘導体の抽出) 蓮子心を水にて十分洗浄後、乾燥する。乾燥体1200gを熱メタノール2Lを用いて3回抽出処理をした。得られたメタノールエキスを減圧乾固し、水に懸濁後n−ヘキサン、クロロホルムで順次抽出する。このクロロホルム可溶画分を減圧乾固し、得られた固形画分は約8gであった。続けて以下の方法でさらに精製を行った。 すなわち、カラム長580mm、カラム径46mm、充填剤としてシリカゲル160gを用いて精製した。溶出はクロロホルム/メタノール混液を溶離液として用いて混合比率を変化させることで分画した。20%メタノール画分として489mg相当の固形分を得た。薄層クロマトグラフィー(シリカゲル60F254、クロロホルム/メタノール/アンモニア水 90/9/1)のRf値からビスベンジルイソキノリン誘導体を定量した結果、ネフェリン、リエンシニン、イソリエンシニンの含量はそれぞれ、4.0%、7.0%、1.8%であった。これを以下の実施例において、抽出物2として使用した。製造例3(ネフェリンの単離) まず蓮子心を水にて十分洗浄後、乾燥する。乾燥体1200gを熱メタノール2Lを用いて3回抽出処理をした。得られたメタノールエキスを減圧乾固し、水に懸濁後n−ヘキサン、クロロホルムで順次抽出する。このクロロホルム可溶画分を減圧乾固し、得られた固形画分は約8gであった。続けて以下の方法でさらに精製を行った。 すなわち、カラム長580mm、カラム径46mm、充填剤としてシリカゲル160gを用いて精製した。溶出はクロロホルム/メタノール混液を溶離液として用いて混合比率を変化させることで分画した。5%メタノール画分として2.16mg相当の固形分を得た。 得られた結晶固形物のTLCのRf値は0.39(シリカゲル60F254、クロロホルム:メタノール:アンモニア水 90:9:1)であった。 1H−NMRにおいて、2個のN−メチル基、3個のメトキシル基および11水素分芳香族水素シグナルが観測され、MS、UV、IRの結果を総合して本化合物は、ネフェリンと同定された。ネフェリンの物性値を以下に示す。1H-NMR (CDCl3) (δ 2.49, 2.52 (6H, each s)), (δ 3.51, 3.73, 3.80, 3.81 (12H, each s)), (δ 5.96 (1H, s), 6.35 (1H, s), 6.51 (1H, s), 6.54 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.64 (1H, s), 6.69 (2H, d, J=8.5 Hz), 6.70 (1H, dd, J=8.0, 2.0 Hz), 6.86 (1H, d, J=8.0 Hz), 6.90 (2H, d, J=8.5 Hz))EI-MS m/z: 624 [M]+, 503, 206.UV λmax (MeOH) nm (log ε): 230 sh (4.47), 283 (4.00).IR νmax (KBr) cm-1: 3421, 1612, 1510.製造例4(リエンシニンおよびイソリエンシニンの単離) 製造例3と同様にして、まず蓮子心を水にて十分洗浄後、乾燥する。乾燥体1200gを熱メタノール2Lを用いて3回抽出処理をした。得られたメタノールエキスを減圧乾固し、水に懸濁後n−ヘキサン、クロロホルムで順次抽出する。このクロロホルム可溶画分を減圧乾固し、固形画分8gを得た。これを、カラム長580mm、カラム径46mm、充填剤としてシリカゲル160gを用いて精製した。溶出はクロロホルム/メタノール混液を溶離液として用いて混合比率を変化させることで分画した。20%メタノール溶出画分488.5mgをさらにシリカゲルクロマトグラフィーに付しクロロホルム−メタノールで溶出した。7.5%メタノール溶出画分(16.4mg)、10%メタノール溶出画分(40.8mg)、15%メタノール溶出画分(74.9mg)20%メタノール溶出画分(33.0mg)、30%メタノール溶出画分(82.8mg)をそれぞれさらにプリパラティブ薄層クロマトグラフィー(展開溶媒、クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウム=90:9:1)で分離して、ネフェリン(19.7mg)、粗リエンシニン(41.3mg)、粗イソリエンシニン(12.5mg)を得た。これらをさらに同様のプリパラティブ薄層クロマトグラフィーにより精製し、それぞれリエンシニン(34.1mg)、イソリエンシニン(8.9mg)を得た。それぞれの物性値を以下に示す。リエンシニン1H-NMR (CDCl3), (δ 2.55, 2.59 (6H, each s)), (δ 3.43, 3.84, 3.90 (9H, each s)), (δ 5.71 (1H, s), 6.39 (1H, dd, J=8.0, 2.0 Hz), 6.44 (1H, s), 6.59 (1H, s), 6.69 (1H, s), 6.72 (1H, d, J=8.0 Hz), 6.81 (2H, d, J=8.5 Hz), 6.81 (1H, d, J=2.0 Hz), 7.00 (2H, d, J=8.5 Hz).SI-MS m/z: 611 [M+H]+, 503, 206.UV λmax (MeOH) nm (log ε): 228 sh (4.43), 282 (3.96).IR νmax (KBr) cm-1: 3415, 1612, 1514.イソリエンシニン1H-NMR (CDCl3) (δ 2.39, 2.51 (6H, each s)), (δ 3.74, 3.80, 3.81 (9H, each s), (δ 6.32 (1H, s), 6.37 (1H, s), 6.46 (1H, s), 6.49 (1H, d, J=2.0 Hz), 6.65 (1H, s), 6.71 (2H, d, J=8.5 Hz), 6.73 (1H, dd, J=8.0, 2.0 Hz), 6.83 (1H, d, J=8.0 Hz), 6.91 (2H, d, J=8.5 Hz).CI-MS m/z: 611 [M+H]+.UV λmax (MeOH) nm (log ε): 230 sh (4.44), 283 (4.02).IR νmax (KBr) cm-1: 3394, 1611, 1514.製造例5(N−ノルアルメパビンの合成) 3,4−ジメトキシフェネチルアミン 4.02g(22.2mmol)とp−ヒドロキシフェニル酢酸 3.37g(22.2mmol)をアルゴン気流下170℃で1時間15分間撹拌した。反応液を冷却後、メタノールを加えて析出した結晶を濾取し、アミド4.29gを得た。このアミド 4.02g(12.8mmol)をアセトニトリル80mLに溶解後、室温でオキシ塩化リン 8.0mLを滴下し、その後15分間油浴上で加熱還流した。冷却後溶媒を減圧留去し、残渣にメタノール80mLを加え溶解した。さらにアンモニア水を加えてpH 7〜8に調整後、NaBH4 800mgを徐々に加え30分間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去後、クロロホルムでアルカロイドを抽出、さらにカラムクロマトグラフィーにより精製し、N−ノルアルメパビン 2.46 g(収率64%)を得た。物性値を以下に示す。mp 199-201 ℃(MeOH, 塩酸塩). EI-MS m/z 296, 192 (100 %). CI-MS m/z 300 [M+H]+. 1H-NMR δ(CDCl3, 200 MHz) 2.76 (2H, brt, J=6.0 Hz, H2-4), 2.86 (1H, dd, J=14.0, 9.0 Hz, H-α), 2.95 (1H, dt, J=12.5, 6.0 Hz, H-3), 3.15 (1H, dd, J=14.0, 4.0 Hz, H-α), 3.24 (1H, dt, J=12.5, 6.0 Hz, H-3), 3.84, 3.86 (6H, each s, OMe x 2), 4.15 (1H, dd, J=9.0, 4.0 Hz, H-1), 6.59, 6.66 (2H, each s, H-5, 8), 6.65 (2H, d, J=8.5 Hz, H-11, 13), 7.03 (2H, d, J=8.5 Hz, H-10, 14).製造例6(アルメパビンの合成) 製造例5で得られたN−ノルアルメパビン 1.20g(4.01 mmol)をメタノール 45mLに溶解し、ホルマリン2.22mLを加えて室温で30分間撹拌後、NaBH4 890mgを加えてさらに室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧留去後クロロホルムでアルカロイドを抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーにより精製してアルメパビン 1.12 g(収率89%)を得た。物性値を以下に示す。EI-MS m/z 311, 206 (100 %). CI-MS m/z 314 [M+H]+. 1H-NMR δ(CDCl3, 300 MHz) 2.52 (3H, s, NMe), 2.62 (1H, m, H-4), 2.74 (1H, dd, J=13.5, 8.0 Hz, H-α), 2.78-2.95 (2H, m, H-3, 4), 3.14 (1H, dd, J=13.5, 5.0 Hz, H-α), 3.26 (1H, m, H-3), 3.54 (3H, s, OMe), 3.72 (1H, dd, J=8.0, 5.0 Hz, H-1), 3.83 (3H, s, OMe), 5.99, 6.56 (2H, each s, H-5, 8), 6.63 (2H, d, J=8.5 Hz, H-11, 13), 6.90 (2H, d, J=8.5 Hz, H-10, 14).製造例7(O,O−ジメチルコクラウリンの合成) 3,4−ジメトキシフェネチルアミン 8.01g(44.3mmol)とp−メトキシフェニル酢酸 7.34g(44.2mmol)をアルゴン気流下170℃で1時間30分間撹拌した。反応液を冷却後、メタノールを加えて析出した結晶を濾取し、アミド 12.5g(収率86%)を得た。このアミド 5.00g(15.2mmol)をアセトニトリル 100mLに溶解後、室温でオキシ塩化リン 10.0mLを滴下し、その後30分間油浴上で加熱還流した。冷却後溶媒を減圧留去し、残渣にメタノール 100mLを加え溶解した。さらにアンモニア水を加えてpH 7〜8に調整後、NaBH4 1.52 gを徐々に加え15分間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去後、クロロホルムでアルカロイドを抽出、さらにカラムクロマトグラフィーにより精製し、O,O−ジメチルコクラウリン 4.43g(収率93%)を得た。物性値を以下に示す。mp 185-187 ℃(MeOH, 塩酸塩). EI-MS m/z 313 [M]+, 192 (100 %). CI-MS m/z 314 [M+H]+. 1H-NMR δ(CDCl3, 300 MHz) 2.69 (1H, dt, J=16.0, 6.0 Hz, H-4), 2.77 (1H, brdt, J=16.0, 6.0 Hz, H-4), 2.87 (1H, dd, J=14.0, 9.0 Hz, H-α), 2.92 (1H, dt, J=12.0, 6.0 Hz, H-3), 3.15 (1H, dd, J=14.0, 4.5 Hz, H-α), 3.21 (1H, dt, J=12.0, 6.0 Hz, H-3), 3.80, 3.81, 3.86 (9H, each s, OMe x 3), 4.11 (1H, dd, J=9.0, 4.5 Hz, H-1), 6.59, 6.62 (2H, each s, H-5, 8), 6.87 (2H, d, J=8.5 Hz, H-11, 13), 7.17 (2H, d, J=8.5 Hz, H-10, 14).製造例8(O−メチルアルメパビンの合成) 製造例7で得られたO,O−ジメチルコクラウリン 1.51g(4.82mmol)をメタノール 75mLに溶解し、ホルマリン 3.0mLを加えて室温で30分間撹拌後、NaBH4 1.21gを加えてさらに室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧留去後クロロホルムでアルカロイドを抽出し、さらにカラムクロマトグラフィーにより精製してO−メチルアルメパビン 1.19g(収率75%)を得た。物性値を以下に示す。EI-MS m/z 326, 206 (100 %). CI-MS m/z 328 [M+H]+. 1H-NMR δ(CDCl3, 300 MHz) 2.53 (3H, s, NMe), 2.59 (1H, m, H-4), 2.75 (1H, dd, J=13.0, 7.5 Hz, H-α), 2.74-2.89 (2H, m, H-3, 4), 3.14 (1H, dd, J=13.0, 5.0 Hz, H-α), 3.18 (1H, m, H-3), 3.55, 3.77, 3.83 (9H, each s, OMe x 3), 3.67 (1H, dd, J=7.5, 5.0 Hz, H-1), 6.01, 6.55 (2H, each s, H-5, 8), 6.80 (2H, d, J=8.5 Hz, H-11, 13), 7.01 (2H, d, J=8.5 Hz, H-10, 14). 以下の実施例において、腹腔内投与の場合は、抽出物や薬物はすべて生理食塩水に溶解して使用し、投与量は、すべて生理食塩水溶液0.1ml/10gマウス体重で投与した。経口投与の場合は、抽出物や薬物はすべて1%カルボキシメチルセルロースNa生理食塩水に懸濁して使用し、投与量は、すべて1%カルボキシメチルセルロースNa生理食塩水懸濁液0.1ml/10gマウス体重で投与した。また、以下の試験例においては、特別の定めのない場合はすべて、体重25〜30gの雄性ICR系マウス(日本SLC社製)を使用し、室温23±1℃、相対湿度55±5%、7時から19時までの12時間毎の明暗サイクルの環境下で3〜5日予備飼育した。また、マウスには水道水および飼料は自由に摂取させた。実施例1(鎮静作用評価) マウス25匹を5匹ずつの5群に分け、それぞれに、N−メチルコクラウリン塩酸塩 5mg/kg(投与群1−1:腹腔内投与)、ネフェリン塩酸塩 50mg/kg(投与群1−2:経口投与、投与群1−3:腹腔内投与)、リエンシニン塩酸塩 50mg/kg(投与群1−4:経口投与)、および生理食塩水(陰性対照群1−1:腹腔内投与)を投与した。これらのマウスを用いて、自発運動量測定装置(モデルNS−AS01、ニューロサイエンス社)による試験を実施した。自発運動量の測定は5分毎に60分間行い、各測定時点でのカウント値から判定した。結果を表1に示す。 以上の結果、経口、腹腔内投与とも明らかな鎮静作用を惹起することが認められた。また、この結果は、ビスベンジルイソキノリン誘導体であるネフェリンやリエンシニンと比較して、ベンジルイソキノリン誘導体であるN−メチルコクラウリンが極めて活性が強いことを示している。 同様の試験を、N−ノルアルメパビン 25mg/kg(投与群1−5、n=6)、O,O−ジメチルコクラウリン 25mg/kg(投与群1−6、n=5)、アルメパビン 10mgおよび25mg/kg(それぞれ投与群1−7、n=6、および投与群1−8、n=6)、O−メチルアルメパビン 10 mgおよび25 mg/kg(それぞれ投与群1−9、n=6、および投与群1−10、n=6)ならびに生理食塩水(陰性対照群1−2、n=5)についても、腹腔内投与により行なった。自発運動量の測定は5分毎に60分間行い、各測定時点でのカウント値から有意差検定(テューキー(Tukey)法)を行なった。結果を表2に示す。 いずれの投与群も対照群に対し有意な自発運動の抑制を示した。実施例2(睡眠増強作用評価) チオペンタール睡眠に対する各種化合物の作用を検討した。チオペンタールを生理食塩水に溶解し60mg/kgをマウスに腹腔内投与した。ネフェリン塩酸塩 50mg/kg(投与群2−1、n=9)、イソリエンシニン塩酸塩 50mg/kg(投与群2−2、n=9)、蓮子心抽出物2 100mg/kg(投与群2−3、n=9)、生理食塩水のみ(陰性対照群、n=6)、またはジアゼパム 1mg/kg(陽性対照群、n=9)をチオペンタール投与の15分前にマウスに腹腔内投与した。チオペンタール投与後、マウスの正向反射が消失した時間を睡眠発現時間とし、正向反射回復時間を覚醒時間として睡眠持続時間を算出した。結果を表3に示す。 以上の結果から明らかなように、投与群ではチオペンタール睡眠の睡眠持続時間を明らかに延長した。実施例3(統合失調症における精神興奮への作用評価) ネフェリンを用いて、メタンフェタミンによる自発運動亢進に対するネフェリンによる抑制効果を判定した。 マウス15匹を各群5匹の3群に分け、それぞれネフェリン塩酸塩 50mg/kg(投与群3−1)、100mg/kg(投与群3−2)および生理食塩水のみ(陰性対照群)を腹腔内投与した。投与15分後に、メタンフェタミン(1mg/kg)を投与した。メタンフェタミン投与後、マウスを1匹ずつポリカーボネート製の透明ケージ(22.5cm×33.8cm×14.0cm)に入れ、60分間のマウスの自発運動量を、自発運動測定装置(モデルNS−AS01、ニューロサイエンス社製)により測定した。 結果を自発運動量のカウントとして表4に示す。 以上の結果から明らかなように、ネフェリンには、対照群と比較して明らかなメタンフェタミンによる自発運動量亢進に対しての抑制作用が認められ、このことから、ネフェリンは、統合失調症における精神興奮に有効であることが確認された。実施例4(抗鬱作用評価) 強制水泳試験をポルソルトらの方法に準拠して行なった。すなわち、直径10cm、高さ25cmの円筒系ガラス水槽に水(水温23℃)を10cm入れ、そこに試験マウスを入れて強制水泳試験を行なった。14匹のマウスを各群7匹の2群に分け、それぞれネフェリン塩酸塩 100mg/kg(投与群4−1)または生理食塩水(陰性対照群4−1)を腹腔内投与した。投与後、15分および30分後に強制水泳を試行させ、6分間における不動時間を測定した。 結果を各群7匹の平均値として表5に示す。 陰性対照群と比較して、投与群では不動時間に明らかな短縮が認められた。強制水泳試験は抗鬱薬の薬効評価に広く使用されており、このことから、ネフェリンに抗鬱作用があることが確認された。 同様の試験を、アルメパビン 25mg/kg(投与群4−2、n=7)、O−メチルアルメパビン 25mg/kg(投与群4−3、n=6)および生理食塩水(陰性対照群4−2、n=5)についても、腹腔内投与により行なった。有意差検定はダネット(Dunnet)法により行なった。結果を表6に示す。 表6に示すように、いずれの投与群も対照群に対し有意に不動時間を短縮した。実施例5(抗不安作用評価) 高架式十字迷路としては、2本の壁無し走行路と2本の壁あり走行路が十字に直交しているマウス用高架式十字迷路(ニューロサイエンス社製)を使用した。中央のプラットホーム上にマウスの頭が壁無し走行路に向くように置き、試験マウスが、5分間に、両走行路に侵入した回数、壁無し走行路における滞在時間を測定した。結果は全侵入回数に対する壁無し走行路に侵入した回数の%および試験時間に対する壁無し走行路における滞在時間の%で評価した。 ネフェリン塩酸塩 100mg/kg(投与群5−1、n=5)、蓮子心抽出物2の塩酸塩 100mg/kg(投与群5−2、n=5)または生理食塩水(陰性対照群、n=5)をそれぞれ腹腔内に投与したマウスを用いて、投与30分後に測定した。 結果を表7に示す。 以上の結果から、全ての投与群で壁無し走行路へ侵入した回数と滞在時間について陰性対照群に比べ明らかな増加が認められた。この成績はネフェリンが抗不安作用を有することを示した結果である。実施例6(強迫性障害治療作用評価) ガラス玉覆い隠し行動は、実施例3記載の透明ケージの中に飼育用木屑(ベータチップ)(オリエンタル酵母社製)を深さ5cmになるよう敷き詰め、ガラス玉(直径1.5cm)20個を均等に並べた。 マウス21匹を7匹ずつの3群に分け、それぞれに、ネフェリン塩酸塩 25mg/kg(投与群6−1)、50mg/kg(投与群6−2)および生理食塩水(陰性対照群)を腹腔内投与した。投与15分後にマウスをケージに入れ、10分毎に木屑で覆い隠されていないガラス玉の個数を目視にて数えた。なお、判定基準としては、ケージを上方から観察した際にガラス玉表面の2/3以上が埋もれているものは埋もれたガラス玉としてカウントした。 7匹の平均値で、結果を表8に示す。 陰性対照群と比較して、全ての投与群で隠したガラス玉の数は明らかに少なかった。この試験成績と強迫性障害治療効果は良く相関することから、ネフェリンは強迫性障害治療薬として応用できることが確認された。実施例7(運動協調性の評価) ネフェリン塩酸塩 25mg/kg(投与群7−1、n=6)、リエンシニン塩酸塩 25mg/kg(投与群、n=6)、および生理食塩水(陰性対照群、n=6)とジアゼパム 5mg/kg(陽性対照群、n=6)を腹腔内に投与したマウスを用いて、ロータロッド装置(UGO BASILE社、イタリア)と自発運動量測定装置(モデルNS−AS01、ニューロサイエンス社)による試験を実施した。ロータロッドテストは、薬物投与15分後に8rpmで回転する直径4cmの回転棒の上に乗せ、回転棒上で動物が落下せずに、留まっていられるか否かを3分間測定した。3分間の測定中に回転棒から落下した個体を「運動協調性障害作用あり」と判定した。なお、試験当日に試験に先立ち3分間のプレテストを実施し、落下しない個体を選別して試験に用いた。また、自発運動量の測定は5分毎に60分間行い、各測定時点でのカウント値から有意差検定(テューキー(Tukey)法)をした。 結果を表9に示す。 この結果は、全ての投与群が、筋弛緩作用や運動協調性障害の副作用を発現しないで鎮静作用を引き起こすことが明らかになった。実施例8(カタレプシー評価) 蓮子心の抽出物1塩酸塩 200mg/kg(投与群8−1、n=6)および抽出物2塩酸塩 100mg/kg(投与群8−2、n=6)、ネフェリン 100mg/kg(投与群8−3、n=6)、アルメパビン 25mg/kg(投与群8−4、n=5)ならびにO−メチルアルメパビン 25mg(投与群8−5、n=5)を用いて、カタレプシーテストを行った。ただし投与群1においては、マウスに通常の飼料の代わりに蓮子心の抽出物1を飼料に10%添加混合した物を与えた。 投与群1以外のマウスには、薬物をそれぞれ腹腔内に投与した。投与15分後、飼育中に適宜に高さ5.5cmの棒にマウスを掴まらせ、30秒間、姿勢を保持した各6匹中のマウスの匹数(*/6で表示する)のカタレプシー陽性度を評価した。 対照例としては、生理食塩水(陰性対照群、n=5)および薬剤ハロペリドール1 mg/kg(陽性対照群、n=5)をそれぞれ用いた。 その結果、陰性対照群で(0/5)、投与群8−1〜8−3で(0/6)、投与群8−4および8−5で(0/5)、陽性対照群では(6/6)のカタレプシー発現であった。すなわち投与群ではカタレプシー惹起は認められなかった。 この結果は、投与群が錐体外路障害の副作用を発現していないことを示している。実施例9(ネフェリンの鎮痛作用評価…酢酸誘発writhing試験−1) ネフェリンの皮下投与における鎮痛作用を酢酸誘発writhing試験により評価した。 酢酸誘発writhing試験は、マウスに化学的刺激物質である酢酸を腹腔内投与すると腹膜炎が惹起され、writhingと称されている特異な症状(後脚を伸展し、腹部を延ばし、下半身をよじるなどの行動を間欠的に発する症状)を呈するので、これを利用して鎮痛作用を判定する方法である。生理食塩水を投与した対照群と被検薬を投与した群との間でこのwrithing回数を比較し、被検薬によるwrithing回数の抑制を調べ、鎮痛作用を評価する。 各群7〜10匹のマウスを使用した。ネフェリン塩酸塩は5mg/kg、10mg/kg、25mg/kg、50mg/kg、100mg/kgの投与量で背部皮下に投与し、15分後に0.6重量%酢酸水溶液を体重10g当り0.1mL腹腔内に投与した。酢酸投与直後から30分の間10分毎(0〜10分、10〜20分、20〜30分)にwrithing回数を計測した。また酢酸投与直後から30分間におけるwrithingの合計回数も求めた。得られた結果についてダネット(Dunnet)の多重比較検定法により有意差検定を行なった。結果を表10に示す。 表10から明らかなように、ネフェリンは15分前皮下投与において、陰性対照群に対して投与量10mg/kg以上で有意な鎮痛作用を示す。(ネフェリンの鎮痛作用評価…酢酸誘発writhing試験−2) 前記酢酸誘発writhing試験−1において、ネフェリンの皮下投与の30分後に酢酸を腹腔内投与したほかは、酢酸誘発writhing試験−1と同様にして酢酸誘発writhing試験を行なった。ただしネフェリンの投与量は50mg/kgのみとした。結果を表11に示す。 表11から明らかなように、ネフェリンは30分前皮下投与においても、陰性対照群に対して有意な鎮痛作用を示す。(ネフェリンの鎮痛作用評価…酢酸誘発writhing試験−3) ネフェリンの経口投与における鎮痛作用を酢酸誘発writhing試験により評価した。 前記酢酸誘発writhing試験−1において、ネフェリンの経口投与の30分後に酢酸を腹腔内投与したほかは、酢酸誘発writhing試験−1と同様にして酢酸誘発writhing試験を行なった。ただし、各群5〜6匹のマウスを使用した。またネフェリンの投与量は10mg/kg、50mg/kgとした。また陽性対照薬としてアスピリンを使用した。アスピリンの投与量は50mg/kgとした。結果を表12に示す。 表12から明らかなように、経口投与でネフェリンはアスピリンに比較して強い鎮痛作用を示す。実施例10(アルメパビンの鎮痛作用評価…酢酸誘発writhing試験) アルメパビンの皮下投与における鎮痛作用を酢酸誘発writhing試験により評価した。 前記酢酸誘発writhing試験−1において、ネフェリンに代えてアルメパビンを使用したほかは、酢酸誘発writhing試験−1と同様にして酢酸誘発writhing試験を行なった。ただしアルメパビンの投与量は5mg/kg、10mg/kgとした。結果を表13に示す。 表13から明らかなように、アルメパビンは投与量5〜10mg/kgで陰性対照群に対して有意な鎮痛作用を示す。実施例11(O−メチルアルメパビンの鎮痛作用評価…酢酸誘発writhing試験) O−メチルアルメパビンの皮下投与における鎮痛作用を酢酸誘発writhing試験により評価した。 前記酢酸誘発writhing試験−1において、ネフェリンに代えてO−メチルアルメパビンを使用したほかは、酢酸誘発writhing試験−1と同様にして酢酸誘発writhing試験を行なった。ただしO−メチルアルメパビンの投与量は5mg/kg、10mg/kgとした。結果を表14に示す。 表14から明らかなように、O−メチルアルメパビンは投与量5〜10mg/kgで陰性対照群に比べて有意な鎮痛作用を示す。実施例12(ネフェリンの鎮痛作用評価…tail-flick試験) tail-flick試験は、マウスの尾根部から1〜2cmの尾の部分へ局所的に輻射熱刺激を加えると、仮性疼痛反応として尾を振り上げる反応を発現するが、この反応を利用して抗侵害作用を判定する方法である。 各群7〜9匹のマウスを使用した。マウスを固定し、tail-flick unit 装置(Ugo Basil 社製)を用いて尾根部から1〜2cmの部分へ局部的に輻射熱刺激を加え、マウスが輻射熱により尾を振り上げる反応を仮性疼痛反応とみなし、その発現までの時間(潜時)を測定した。ネフェリン塩酸塩は50mg/kg、100mg/kgの投与量で腹腔内に投与した。被検薬投与後の潜時を測定潜時(test latency)とし、被検薬投与15分後に測定した。マウスの尾の損傷を避けるため、カットオフタイムは10秒とした。%MPE(percent maximum possible effect)=[(被検薬投与群の潜時−対照群の潜時)/(10−対照群の平均潜時)]×100 得られた結果についてダネット(Dunnet)の多重比較検定法により有意差検定を行なった。結果を表15に示す。 表15から明らかなように、ネフェリンは投与量100mg/kgで陰性対照群に対して仮性疼痛反応発現までの潜時を有意に延長した。実施例13(ネフェリンの鎮痛作用評価…ホルマリン足蹠試験) ホルマリン足蹠試験は、マウスの足蹠にホルマリンを皮下投与すると、足をなめる行動(licking)を起こすので、これを利用して被検薬の鎮痛作用を判定する方法である。生理食塩水を投与した対照群に対して被検薬を投与した群における足なめ行動の抑制を調べ、鎮痛作用を評価する。 各群6匹のマウスを使用した。ネフェリン塩酸塩は25mg/kg、50mg/kg、100mg/kgの投与量で腹腔内に投与し、15分後に0.2重量%ホルマリン水溶液の20μlを右後肢足蹠に皮下投与した。ホルマリン投与後、足なめ行動を仮性疼痛反応とみなし、ホルマリン投与直後から5分後までを第一相、15分から30分までを第二相とし、足なめ行動の持続時間を測定した。得られた結果についてダネット(Dunnet)の多重比較検定法により有意差検定を行なった。結果を表16に示す。 表16から明らかなように、第一相反応ではネフェリン100mg/kg投与群でのみマウスの足なめ行動の抑制がみられた。第二相反応ではネフェリン25mg/kg投与群では有意な差はみられなかったが、50mg/kg、100mg/kg投与群では用量依存的にマウスの足なめ行動の抑制を引き起こした。 ホルマリン誘発疼痛試験における第一相はホルマリン自体の神経終末への直接作用による疼痛反応であり、第二相はそれに続く炎症による疼痛反応である。ネフェリンについての前記試験結果から、ネフェリンは炎症に基づく第二相の足なめ行動を強く抑制することが認められた。したがって、酢酸誘発writhing試験およびtail-flick試験の結果(酢酸誘発writhing反応に対してネフェリンは10mg/kg以上で抑制作用が認められるが、tail-flick試験ではネフェリン100mg/kg投与群が弱い抑制作用を示すのみである)から、ネフェリンの鎮痛作用は主に抗炎症作用を惹起することにより発現すると考えられる。 炎症は、生体への侵襲に対して起こる組織・全身反応である。炎症による疼痛にはPGE2やPGI2が関与する。PGs(プロスタグランジン類)は炎症部位の血流量を増加させ、疼痛を助長する。前述したNSAIDはPGsの生成を抑制し鎮痛作用を示す。ネフェリンも炎症反応機構に作用し、鎮痛作用を惹起すると考えられる。また、炎症が起こっている場合には、ヒスタミンやセロトニンなども遊離され痛覚の調節に関わっている。ネフェリンがこれら生体内物質に作用することによっても鎮痛作用を発現すると推察される。実施例14(O−メチルアルメパビンの鎮痛作用評価…ホルマリン足蹠試験) ネフェリンに代えてO−メチルアルメパビン10mg/kgを腹腔内投与したほかは実施例13と同様にしてホルマリン足蹠試験を行なった。結果を表17に示す。 表17から明らかなように、O−メチルアルメパビン10mg/kg投与群においては、第一相反応ではマウスの足なめ行動の抑制はみられなかったが、第二相反応ではマウスの足なめ行動の抑制を引き起こした。実施例15(ネフェリンの抗炎症作用評価…ヒスタミン誘発足浮腫試験) 各群6匹のマウスを使用した。ネフェリン塩酸塩100mg/kgを腹腔内投与し、30分後に起炎剤であるヒスタミン10μgを右後肢足蹠に皮下投与した。ヒスタミン投与直前およびヒスタミン投与12分後に右後肢の厚さを測定した。ヒスタミン投与後の足の厚さから投与直前の厚さを差し引き、足浮腫の厚さとした。結果を表18に示す。表18から明らかなように、ネフェリンによりヒスタミンによる足浮腫は抑制された。実施例16(O−メチルアルメパビンの抗炎症作用評価…ヒスタミン誘発足浮腫試験) O−メチルアルメパビン10mg/kgを腹腔内投与し、15分後に起炎剤であるヒスタミン10μgを右後肢足蹠に皮下投与したほかは実施例15と同様にしてヒスタミン誘発足浮腫試験を行なった。結果を表19に示す。表19から明らかなように、O−メチルアルメパビンによりヒスタミンによる足浮腫は抑制された。実施例17(製剤例)(A)タブレットの製造例: ネフェリン4gにオリゴ糖400g、リン酸カルシウム30g、蔗糖脂肪酸エステル170gを加え、V型混合機で20分間混合した後、ロータリープレスで800kgf/cm2で加圧成形し、1錠100mgの錠剤を作成した。(B)ドリンク剤の製造例: ネフェリン0.1g、ジャスミン茶の煎じ液 20gを水970ccに溶解し、濾過した。(C)カプセル剤の製造例: ネフェリン2gをボールミルで平均粒径を約100μmに破砕したものに乳糖50gを良く混合し、これをゼラチンカプセル化することによりカプセル剤を製造した。(D)散剤の製造例: ネフェリン2gと西洋人参抽出液20g、ひまし油10g、ハイビスワコー(和光純薬工業(株)製)5gを混合した。これを回転ディスク上に滴下することで直径約30μmの散剤を得た。 N−メチルコクラウリン:アルメパビン:O−メチルアルメパビン:であるベンジルイソキノリン誘導体およびその薬学的に許容し得る塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有効成分として含有する鎮静薬。 前記ベンジルイソキノリン誘導体がN−メチルコクラウリンである請求項1記載の鎮静薬。 前記ベンジルイソキノリン誘導体がアルメパビンである請求項1記載の鎮静薬。 前記ベンジルイソキノリン誘導体がO−メチルアルメパビンである請求項1記載の鎮静薬。