生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_ゾルピデムの更なる治療的使用
出願番号:2006530520
年次:2008
IPC分類:A61K 31/437,C07D 471/04,A61P 25/00,A61P 25/20,A61P 25/16,A61P 9/00,A61P 25/28,A61P 9/10


特許情報キャッシュ

クラウス、ラルフ・ピー. ネル、ウォリー・エイチ. JP 2008506630 公表特許公報(A) 20080306 2006530520 20040519 ゾルピデムの更なる治療的使用 サイエンコム・リミテッド 505429061 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 橋本 良郎 100092196 風間 鉄也 100100952 クラウス、ラルフ・ピー. ネル、ウォリー・エイチ. GB 0311457.6 20030519 US 60/473,821 20030527 A61K 31/437 20060101AFI20080208BHJP C07D 471/04 20060101ALI20080208BHJP A61P 25/00 20060101ALI20080208BHJP A61P 25/20 20060101ALI20080208BHJP A61P 25/16 20060101ALI20080208BHJP A61P 9/00 20060101ALI20080208BHJP A61P 25/28 20060101ALI20080208BHJP A61P 9/10 20060101ALI20080208BHJP JPA61K31/437C07D471/04 108AA61P25/00 101A61P25/20A61P25/16A61P9/00A61P25/28A61P9/10 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW GB2004002172 20040519 WO2004100948 20041125 12 20060118 4C065 4C086 4C065AA03 4C065BB05 4C065CC01 4C065DD02 4C065EE02 4C065HH01 4C065JJ01 4C065KK05 4C065LL01 4C065PP01 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB05 4C086NA14 4C086ZA02 4C086ZA05 4C086ZA16 4C086ZA36 4C086ZA40 本発明は、ゾルピデムの新規な治療的使用に関する。 WO96/31210 は、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセタミド誘導体の使用、特に、抗不眠症薬ゾルピデム(zolpidem)、を当該脳底神経節の神経回路の機能障害を付随する神経精神医学的な症候群の治療のための使用を開示する。この使用は、パーキンソン病の治療におけるゾルピデムの効果の知見が基礎になっている。PD(アキネジアおよび硬直)の症状と強迫性症状(言語反復の休止)の両方の改善が報告されている。 更に最近では、クラウスら(Clauss et al., S. Afr. Med. J. (2000 Jan.), 90(1):68-72)は、ゾルピデムの適用後に、持続的な植物状態を脱出し、薬物作用が低下すると元に戻る(reverts)半昏睡患者を記載している。この現象は、更に動物において研究され、霊長類脳におけるGABA(A)オメガ1受容体特異的作用に起因していた(Claussら、Arznein.Forsch./Drug Res.(2001)51(11):619-622を参照されたい)。 メイヤーらは、進行性核上性麻痺におけるゾルピデムの使用を報告している(Mayr et al, Eur. J. Neurol. (2002)9(2)3: 184-185)。 更なるクラウスらの研究は、アルツネイミッタル・ドラッグ・リサーチ、12月号、2002年(Arzneimittal Drug Research, Dec, 2002)に報告され、その内容は、引用により本明細書に組み込まれるものであるが、当該研究は、ヒヒにおけるゾルピデムおよびフルマゼニル(flumazenil)による治療後の大脳血液灌流について記載している。この研究の結果は、フルマゼニルが、異常なヒヒにおけるゾルピデムの影響を減弱すること、即ち、当該異常性のための非対称性灌流パターンを示すものである。 神経機能解離の概念は、最初にフォン・モナーコヴ(Von Monakow)によって20世紀初期に記述された。急性期中枢神経系障害のより広範囲に亘る現象および慢性期の性質のことなる現象についての説明が提供されている。詳細な症例においては、一般的に、脳卒中(cerebral stroke)患者の脳灌流試験において見られるように、例えば、当該発作(stroke)により障害された大脳半球に対する正常な小脳対側性のように脳の一部分で血流が減少することがある;この例は、交差小脳機能解離(CCD)と称する。 当該神経機能解離の発生は瞬間的であったり、または時間を掛けて発生することもあり、また自然に日単位または年単位で復帰することもある。神経機能解離の根本的な原因は、はっきりとはしていない。関係しているものは、神経生理学的な機能停止および脳障害の実際の部位から遠い無損傷の脳の脳血流の低下において生じるトリガーがである。 神経機能解離は、脳損傷および種々の中枢神経系疾患において報告されている。発作における神経機能解離の頻度は、約45%であると報告されている。神経機能解離は昏睡において役割を果たしている。外傷性の脳障害では、行動性欠損の程度および範囲に関連する代謝性神経機能解離が後に生じることが示されている。CCDは、より多くは皮質損傷を伴うようであり、幾つかの重篤な脳病変がよりはっきりしているように思われる。神経機能解離は、意識障害を生じ、その反転は、障害された機能の回復に関連している。一部の著者らは、神経機能解離の自然な反転が、発作からの回復において役割を果たしていると示唆している。[発明の概要] 本発明は、例えば WO96/31210 などに記載されるようなゾルピデムおよび関連する化合物が神経機能解離を呈する脳の状態を治療するために有用性を有するという驚くべき発見に基く。 ここに報告された当該発見を基礎に、脳損傷が、脳障害部位、近接する部位、または(典型的な神経機能解離におけるように)脳障害部位から離れた部位での正常なニューロン組織の休眠状態に帰着し得る1組のイベントのきっかけとなると仮定される。それから脳障害の患者において観察される総体症状は、脳組織の生存可能な休眠および死、生育不可能な脳組織の総体症状の組み合わせである。ゾルピデムの投与後、生存可能なニューロン組織における虚血または虚血後に誘導される復帰可能な休眠状態若しくは神経機能解離、または非機能性が、結果として脳障害効果の復帰を生じる。この効果は、典型的な神経機能解離の領域、および以前から認識されていた同側性の神経機能解離などと現在称され得る他の領域において生じ得る。ある特定の試験(下述する)において報告されるとおり、発作後の神経機能解離は、ゾルピデムにより復帰可能であり、当該患者がハサミを使用できるように協調が改善された。 理論により結び付けたいということではなしに、脳障害または脳病態の多くが神経の休止状態(または休眠状態)または神経機能解離と関係しており、恐らくこの休止状態や神経機能解離が、脳障害の間のその脳の神経保護反応にその根をもつ。休止状態は、その障害単独から予測されるであろうよりも実際には悪い臨床的症状を生ずる(即ち、当該関連する休止状態を伴わない脳病変)。 虚血発作の後の心筋の休止状態または冬眠は、心臓においては周知の現象である。冬眠心筋は、非機能的ではあるが、完全に生存可能である。バイパス手術の後に血液供給が復活された際には冬眠心筋は、再度機能的になる。心筋組織と同様に、脳休止状態も、虚血脳障害の大抵の形成または他の脳障害の形成と共に生じるように思われる。その逆転は、遺伝子的疾患、例えば、脊髄小脳運動失調2型、から発作および外傷性脳障害までの、無関係な脳障害におけるゾルピデムの広い効果を説明する。 脳の休止状態が多くの場合、複合体GABA受容体分子の構造上の変化またはホールディングと恐らく同時であるだろう。この状況は、少なくとも部分的には、ゾルピデムの選択的GABA作動性作用、特に、オメガ1受容体により復帰する。 脳障害患者におけるゾルピデムの利点は、一過性であること、およびそれは薬物が作用する間のみに生じることである。しかしながら、制御された環境における最初の適用および有効性の証明の後に、有害な作用なしに、脳障害患者における多年に亘って毎日使用され得る。当該薬物の効果は、多年の一定した治療の後でさえも、有効性は維持されることが可能である。 ゾルピデムは、脳休止状態による症状は復帰されるが、壊死性または瘢痕脳組織による症状を変えることはできないようである。それ故、当該薬物から期待できる臨床的効果は、復帰可能な脳休止状態の領域のサイズおよび部位に依存する。 広範囲の脳病理学の後遺症の治療におけるゾルピデムの重要な役割に関する、脳障害後の休眠神経組織のそれの復帰に基く証拠が増えてきている。脳が障害された患者の多くは、この治療から利益を得ている。[好ましい態様の説明] 本発明に従う治療から利益を得られる患者は、外傷に誘発された障害を有する患者を含むが、それらの患者がパーキンソン症におけるようなアキネジアおよび振戦を必ずしも呈してはいない。特に、当該患者は、認知損失を有しており、例えば、発作におけるような小脳または大脳梗塞を経験してきたなどである。当該患者は、運動失調、例えば、脊髄小脳運動失調、または大脳虚血障害に関与する他の症状などを呈する可能性がある。他の状態は、脳動脈瘤の破裂および脳内出血である。換わりになるものとして、または加えるものとして、当該患者は、斜視、流涎および筋肉スパスム、または嚥下、嗅覚若しくは味覚障害の1以上を呈し、長期、例えば1カ月、1年またはそれ以上のリハビリが必要である。 また、(以下に)例証されるように、当該発明は、ラムセイ−ハント症候群(Ramsay-Hunt syndrome)の治療も可能にする。ラムセイ−ハント症候群は、聴覚路における典型的な小胞の帯状疱疹発疹を伴う顔面神経膝のヘルペス・帯状疱疹感染の合併症である。ある著者たちに従うと、ラムセイ−ハント症候群として以前に記述された多くの症例、並びに、他の筋クローヌス癲癇に関連する従来分類されていないシステム変性症は、筋クローヌス、癲癇およびラゲット・レッド・ファイバーズ(ragged red fibres、MERRF)の例である。 血管および多発梗塞性の痴呆、および例えば、大脳起点などのベルズの麻痺(Bell's palsy)も、また、本発明によって治療され得る。そのような状態は、脳における神経機能解離/休止状態の領域により特徴付けられる。 そのような状態は、本発明に従って治療することが可能であり、そのために、当該患者は可動性および機能性が高まる。当該患者が、幾らかの再生の証明を示し得る。脊髄小脳運動失調症の症例におけるのと同様に、本発明は最初の有効な治療を提供し得る。 神経機能解離または休止状態の領域は、例えば、脳SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影法、single photon emission computed tomography)などによって、識別することが可能である。 本発明における使用のためには、ゾルピデム(これは例示のためにここで使用される)は、通常、過度の鎮静を回避する方法によって与えられるであろう。2例は、少量であるが、迅速な吸収のための舌下経路、または通常、錠剤若しくはカプセルの使用に続く吸収のピークを回避する徐放性を提供するデポ剤によって、相対的により高頻度の用量である。 ゾルピデムの投与量は、例えば、1日あたり1から100mgの薬物である。適切な剤形、投与経路および用量は、当該分野における当業者には明白であり、例えば、薬物の効力、投与経路、状態の重症度および当該患者の状態などの通常の要素に従って、選択されるであろう。 本発明は、以下の実例となる例に基くものである。 例1 男性患者に不眠症の治療のために10mgのゾルピデムを処方した。彼は、数年間前に発作(stroke)を経験しており、彼の発作の発病は左半身麻痺を呈した。彼の認知は、今まで通り正常であるが、多少の失語症があり、彼が右手でハサミが使用できないことから明らかであるように自己受容性感覚の低下があった。当該患者の臨床的および神経学的な特徴は上記から離れて目立たないものである。当該患者は、ゾルピデム適用の前後に99mTc HMPAO・ブレイン・スペクトによって検査された。 2ブレインSPECT調査は完全に異なる日に行った。第1の試験は、正常なベースライン状態において完了し、第2の試験は次の日に10mgのゾルピデムを適用した1時間後に行った。イメージングは、900MBq99mTc HMPAOの静脈内注射の30分後に、デュアルヘッドSOPHY DST XLi ガンマカメラを使用して開始した。パラメータの取得は、視野当たり45秒で360°に亘って64角視野であった。超高解像度扇形ビーム視準をズームなしで使用し、140KeV以上の20%の対称型ウインドを使用した。当該イメージを、メスフィルター(Metz prefilter)を使用して再構築した。トランス軸(transaxial)、球欠および冠状でのスライスを、減弱または扇形ビームの補正なしに作成する。ゾルピデムの適用の前および後のイメージを、比較上のトランス軸スライスにおいて、および当該脳の異なるセグメントにおいて評価する。 当該2つの調査の結果は、多くの観点において類似するようにみえる。右大脳半球の大部分において、トレーサー取り込みがなかった。発作において予期され得る通り、非ゾルピデムベースライン調査は、左小脳におけるトレーサー取り込みの減少を伴う交差した小脳の神経機能解離を示した。しかしながら、当該発作により影響を受けた当該領域がゾルピデム適用後に変化がなかったにも拘わらず、当該交差した小脳神経機能解離はリバースされ、且つ小脳の99TcHMPAO取り込みは正常化されていた。当該患者が、薬物活性が落ち込むまでの次の数時間に亘ってハサミを使用出来たことを除いては、ゾルピデム後の顕著な臨床学的変化はなかった。 例2 現在、脊髄小脳性運動失調のための効果的な薬理学的な治療はない。この例は、そのうちの4人が10mgのゾルピデム適用の1時間以内に臨床的な改善した5人の患者の家族を報告する。脊髄小脳運動失調2型は、分子的な分析により確認された。SCA1、-2、-3、-6および-7遺伝子において伸展するCAGリピートに関して分析されたDNAは、当該SCA2遺伝子座でCAGリピートが伸展していることを明らかにした。 P1:49歳、男性、揺動(titubation)、浮動性めまい(dizziness)および平衡の損失を伴い、34歳から。言語および手書き(handwriting)の悪化。中程度のよろめき歩調(gait ataxia)、反復拮抗運動不能および揺動を含む小脳徴候が全て活発であった。ゾルピデムの後、運動失調、企図振戦および揺動は中程度に改善した。 P2:37歳男性、平衡損失および手書きの悪化、25歳から。彼は、両側性に活発な腱反射、運動失調、企図振戦、反復拮抗運動不能および揺動を有した。ゾルピデム運動失調の後、企図振戦および揺動が改善した。P3:45歳男性、30歳から言語協調不能(speech incoordination)を有する。現在の爆発性言語および重症の構語障害。彼の手書きおよび言語は継続して悪化している。腱反射は両側性に活発(brisk)。彼は、揺動、企図振戦、反復拮抗運動不能(disdiachokinesis)およびよろめき歩調を示す。ゾルピデム後、運動失調、企図振戦およびよろめき歩調は中適度に改善した。 P4:22歳女性、18歳で平衡損失になり、その後の言語悪化を有する。時々、揺動。彼女は、よろめき歩調および企図振戦を有する。ゾルピデム後に改善はなかった。 P5:24歳女性、脚虚弱および平衡損失あり。言語の悪化が22歳から。小脳徴候には、運動失調、企図振戦および断続的な揺動を含む反復拮抗運動不能を含んでいた。ゾルピデムは、若干、運動失調、企図振戦および揺動を改善した。 99mTc HMPAOブレインSPECTは、全ての患者における当該虫部(vermis)、小脳半球において、亜正常のトレーサー濃度を示した。1人の患者(P2)は、左視床および小脳における取り込みの顕著な減少を示したが、ゾルピデム後には正常化した。 例3 ゾルピデムを、60歳の患者におけるラムセイ−ハント症候群の治療のために使用した。彼は、ゾルピデム治療以前の2ヶ月間に亘り当該症状に罹患していた。治療において、以下の症状が改善した。彼は、ストローを介することなく、液体をコップから直接に飲むことが可能となり、並びに顔面神経の緊張が改善した。また、当該症候群の一部分として、彼は左眼を閉じることが出来なかった。ゾルピデムの後、彼はそれが可能になった。 皮質性の機能障害は、MERRFの顕著な臨床的な特徴である。ラムセイ−ハント症候群が恐らくMERRFの変異型であると考察を受け入れると、観察された当該ゾルピデムの効果は、MERFFにおける脳障害と関与し得る休眠神経組織または神経機能解離の成分の復帰が原因であることが最もありそうである 例4 この適用より約2年前のくも膜下出血(subachnoid haemorrhage)の後の聴覚障害を有する54歳の男性患者。彼は、当該イベントの10年以上前、42歳の時に、前発作(stroke)を起こしたことがあり、左腕および左脚における部分的な機能損失を有する。彼は、彼の環境において良好に対処しており、通常の生活に近いところまで導かれていた。 くも膜下出血の後、彼は数週間に亘って嚥下、聞く、話すが出来なかった。彼は平衡に乏しく、また、幾らかの認知および記憶の障害を幾らかの人格変化と共に有していた。視覚野の両側性の損失がある。その目は正常のままであったが、当該患者は、読むことが出来ず、且つ対象認識が低下していた。二重視、幻覚、括約筋損失、耳鳴、眩暈または声の変化はなかった。 嚥下は、出血後の8週間で改善した。当該患者は、多少時間が遅れて再び話し始めたにも拘わらず、構音(articulation)、表現および理解で困難性があった。当該出血の数ヶ月、彼は自宅に戻り、彼の養護者と生活していた。そこにおいて彼は、料理、歯磨き、洗濯およびアイロンがけを含む多くのことを彼自身で行っていた。 コミュニケーションと聴覚は、当該患者に問題を残しており、また彼は不眠について訴えていた。聴覚は僅かに障害があり、彼は、単語の意味を理解することが出来なかった。彼の言語にも障害があり、彼は定期的な言語セラピーに参加し、彼の話しを改善した。 広範なカウンセリングの後、当該患者とその家族に助言し、10mgの試験的用量のゾルピデムを処方した。当該患者は、次に、聴覚における何れかの変化のための試験を行った。結果は、ゾルピデムなしのベースライン状態と比較した。また、当該患者は、ゾルピデム投与前後に、言語セラピストにより評価された。 次に彼は、10mgゾルピデムの適用前後に脳SPECT検査の予約をした。2ブレインSPET調査は、異なる日に完了した。第1の調査は、ベースライン状態の間に完了され、第2の調査は、10mg歩るピデムの適用後1時間で実施された。(以前に、当該患者のゾルピデムに対する最大応答が、薬物適用後1時間であったことに注目されたい)。 当該患者は、10mgゾルピデムの後に若干の眠そうであったにも拘わらず、プレおよびポスト・ゾルピデムの聴力図に示された通り、彼の聴覚は改善した。更に、彼の言語能力も顕著に改善した。これらの改善は、薬物効果の持続時間に亘って存続した。ブレインSPECTにおいては、彼の脳の右頭頂面において注目される欠点、即ち、ゾルピデム後に不変が残る点があるが、しかしながら、当該左視床および中央前頭領域の両側性において減少していたトレーサーの取り込みが、ゾルピデム後に改善した。 更なる根拠 以前の調査は、CCDが、当該GAVA(A)/BZR複合体における変化と関係すること、およびGABA媒介およびグルコース代謝の再編成は、小脳において発生し、それに続き皮質障害が生じると示されている(Niimura et al,1999)。他の調査においては、神経機能解離は、GABA受容体結合のダウンレギュレーションと、GABA受容体サブユニットの変化した成分が関与していた(Witte et al.,1997)。これらの知見は本発明を支持するものである。それらは、脳障害の後に、GABA受容体を短期および長期でモジュレートすること、並びに脳障害後の総合的症状は、GABA受容体およびそれらのサブユニットの一過性または永久的なアップまたはダウンレギュレーションにより影響され得るという理論を支持する。それらはまた、GABAメカニズムは神経機能解離に関係しているという見解も支持している。オメガ1-特異性薬物ゾルピデムの脳障害および神経機能解離において当該観察された効果は、オメガ1受容体が、特に、脳障害症状において重要な役割を演じていることを支持する。 更に、クラウスら(Clauss et al.(2002))による研究は、手短に以上を考察しており、当該対象が神経機能解離を呈したと理解されるとき、本発明を支持するものである。脳異常のヒヒゾルピデム(非対称に増加の灌流)および当該脳障害ヒト(半昏睡性意識)におけるゾルピデムの効果は、明白に、ゾルピデムが、異常な障害を受けた脳においてその影響を最も深く発揮すること、およびゾルピデムが有利な効果を、特に病理学的な脳状態の存在において示すことを証明する。 上述した証拠は、脳障害および究極的な昏睡におけるGABAおよびGABA依存系の役割を指示するものである。時折、ゾルピデムが、脳障害後に投与される場合には、当該脳障害により引き起こされた臨床的な特徴における改善がある。脳灌流と代謝における同時的な変化は、通常、99mTc HMPAO・ブレイン・SPECTにおいて検出される。当該作用は、高い特異性があり、特にオメガ1GABA系に関係している。例えば、半昏睡患者が非選択的ベンゾジアゼピン、ジアゼパムをゾルピデムの代わりに、イメージ研究として、受けた場合、彼は覚醒しなかった。 病変を有する、並びに対側性および他の部位での神経機能解離/休眠細胞を有する脳の状態の治療において使用する医薬品を製造するためのイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセタミドの使用。 請求項1に記載の使用であって、当該イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-アセタミドがゾルピデムである使用。 請求項1または2の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が外傷誘発性障害を有する使用。 請求項1から3の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が運動失調を呈する使用。 請求項4に記載の使用であって、当該治療の対象が、脊髄小脳性運動失調を呈する使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が、斜視、流涎、筋攣縮、および嚥下障害、嗅覚障害若しくは味覚障害、聴覚障害若しくは言語障害、または長期のリハビリテーションを必要とする障害から選択される状態を呈する使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が、脳動脈瘤破裂または脳内出血を有する使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が、小脳または大脳梗塞を有する使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該治療の対象が、認知損失を有する使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該状態が、虚血または虚血後である使用。 請求項1から5の何れか1項に記載の使用であって、当該状況がラムゼイ・ハント症候群である使用。 イミダゾール[1,2-a]ピリジンン-3-アセタミド、例えば、ゾルピデムは、病変を有する、並びに対側性および別の部位の神経機能解離/休眠細胞を呈する脳の状態、より詳しくは外傷誘発性障害、脊髄小脳性運動失調、小脳または大脳梗塞およびラムゼイ・ハント症候群の状態の治療において有益である。


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