タイトル: | 特許公報(B2)_ウイルスの生産方法 |
出願番号: | 2006512544 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C12N 7/00,A61K 39/145,A61K 39/235,A61K 39/245,A61K 39/155,A61K 39/275,A61K 39/125,A61K 39/12,A61P 31/12,A61P 31/16,C07K 5/062,C07K 7/06,C07K 7/08,C07K 5/083 |
甲斐 光 椿 正幸 黒川 祐人 JP 4650798 特許公報(B2) 20101224 2006512544 20050419 ウイルスの生産方法 デンカ生研株式会社 591125371 三洋化成工業株式会社 000002288 牛木 護 100080089 清水 栄松 100119312 外山 邦昭 100119334 吉田 正義 100137800 甲斐 光 椿 正幸 黒川 祐人 JP 2004122898 20040419 20110316 C12N 7/00 20060101AFI20110224BHJP A61K 39/145 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/235 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/245 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/155 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/275 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/125 20060101ALI20110224BHJP A61K 39/12 20060101ALI20110224BHJP A61P 31/12 20060101ALI20110224BHJP A61P 31/16 20060101ALI20110224BHJP C07K 5/062 20060101ALN20110224BHJP C07K 7/06 20060101ALN20110224BHJP C07K 7/08 20060101ALN20110224BHJP C07K 5/083 20060101ALN20110224BHJP JPC12N7/00A61K39/145A61K39/235A61K39/245A61K39/155A61K39/275A61K39/125A61K39/12A61P31/12A61P31/16C07K5/062C07K7/06C07K7/08C07K5/083 C12N 7/00 - 7/08 C07K 5/00 - 5/10 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 特表2000−517188(JP,A) 特開2004−000471(JP,A) 特開2003−304868(JP,A) 特開2003−189848(JP,A) 4 JP2005007459 20050419 WO2005103235 20051103 20 20071227 上條 肇 本発明は、ウイルスの生産方法に関する。 近年、BSE(ウシ海綿状脳症)感染やトリインフルエンザウイルス感染等の人獣共通感染症に対する危険性が懸念され始めている。そして、主に動物に由来する原料又は材料を用いた製品(例えば、ワクチン,血液製剤,細胞培養/遺伝子組換え製剤,細胞組織医療品など)には、感染因子が混入する危険性が高く、未知の感染性因子を含有している可能性が否定できない他、感染因子の不活化処理等に限界があるなどの問題があった。このような問題に関する対策として、平成15年度の薬事法の改正により「生物由来製品」という枠組みが新たに設けられるなど法的な安全性対策が強化されており、動物由来成分を全く含まない医薬製品の開発が望まれていた。 各培地メーカーより動物由来成分を含有しない無血清培地が市販されるなど血清を必要としない培養条件を得るための多くの試みがなされているものの、無血清培地と、接着性細胞の培養の支持体として担体表面に適正な電荷を帯びさせて細胞を付着させるマイクロキャリアーとを使用した培養方法では、マイクロキャリアーへの付着率が低下し細胞を効率よく大量に培養することが困難であるといった問題があった。そのため、従来このような培養条件下では、例えば非特許文献1に記載されているようなブタ変性コラーゲンが被覆されたマイクロキャリアーなどの動物由来成分を含有するものが用いられていた。 また、細胞の接着・増殖性が高く、無血清培地を用いても血清含有培地と同等以上の接触・増殖性を与える動物細胞培養用ビーズが特許文献1に開示されている。しかしながら、特許文献1には、細胞培養において無血清条件下で細胞の効率的な培養が可能なことが示されているものの、ウイルスの接種や増殖方法などウイルスの生産条件については開示されていない。 また、特許文献2には、Vero細胞のような脊椎動物細胞培養を得、(血清および非血清タンパクを含まない)無タンパク培地中のみで細胞を増殖させ、この培養にウイルスを感染させ、ウイルスを感染させた細胞培養をインキュベーションして、培地中でウイルスを増殖させ、ウイルス含有培地を生産する工程を含むウイルスの生産方法が開示され、さらに、ウイルスの活性を増強する物質として原核生物供給源由来のプロテアーゼを用いることが開示されている。特許文献2には、この方法によれば得られるウイルスがヒト供給源、または動物供給源由来のあらゆる夾雑化合物、または病原性物質であるタンパクを含まないと記載されているが、実施例には、ウイルスの活性を増強する物質として動物由来成分のトリプシンが使用されている。 さらに、特許文献3には、天然由来のタンパク質を使用せず細胞接着性の高い細胞接着支持体を用いたウイルス感染昆虫細胞の生産方法が開示されている。この生産方法は、細胞接着性人工ペプチド及び/又は細胞接着補助人工ペプチドを用いて、変温動物由来細胞及び基材を接着させ、この細胞接着基材を用いて細胞培養することを特徴とするウイルス感染昆虫細胞の生産方法である。特許文献3には、基材に天然由来のタンパク質を用いないためにヒト感染性のウイルス等の感染物質を含有する危険性がなく安全性が高いと記載されているものの、動物由来成分を含有しない細胞分散剤及び恒温動物由来の接着性細胞についての開示はない。一方、非特許文献1の細胞の継代には細胞分散剤として、動物由来のプロテアーゼ(例えば、ブタ由来トリプシンなど)が使用されている。特開2003−189848号公報特許3158157号公報(WO96/15231号パンフレット)特開2003−210166号公報Otfried Kistner et al. ”Development of a Novel MammalianCell (Vero) Derived influenza Vaccine”Poster Presented at:Options for ControlOf Influenza V,Okinawa,Japan,October 7-11,2003 そこで、本発明は、接着性細胞の培養とその細胞培養によるウイルスの工業的生産までの工程において、動物由来成分を全く含有せず、安全で効率の良いウイルスの生産方法を提供することを目的とする。 上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、動物由来成分を含有しない培養材料を用いることによって、安全で効率の良いウイルスの生産方法を見出し、本発明に想到した。 本発明のウイルスの生産方法の特徴は、細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(P)を有しかつ動物由来成分を含有しない支持体に、接着性細胞を接着させ、この接着性細胞を動物由来成分を含有しない培地で培養し、培養した接着性細胞を動物由来成分を含有しない植物由来の蛋白質分解酵素、遺伝子組換え微生物由来の蛋白質分解酵素又はこれらの組み合わせである細胞分散剤を用いて継代培養した後、接着性細胞の培養細胞にウイルスを接種して増殖させる点を要旨とする。 本発明のウイルスの生産方法は、安全で効率良くウイルスを生産することができる。よって、本発明の方法は、ワクチンの生産に好適である。実施例1及び比較例1〜3における細胞密度の経時的変化を示すグラフである。実施例1及び比較例1〜3におけるELISAによるウイルス産生量の経時的変化を示すグラフである。実施例1及び比較例1〜3におけるHAによるウイルス産生量の経時的変化を示すグラフである。 本発明において「動物由来成分を含有しない」とは、恒温動物、特に哺乳類(例えば、ヒト,ウシ,ブタ,イヌ,ウサギ,ネコなど),鳥類、魚類などの動物由来の成分を含有しないことを意味する。 また、本発明において接着性細胞とは、固体表面に接着して増殖し、ウイルスを増殖可能な恒温動物由来の細胞であれば特に限定されないが、例えば、上皮細胞(Vero細胞,MDCK細胞,CHO細胞,HEK293細胞、COS細胞など),腫瘍細胞(Hela細胞,VACO細胞など)、内皮細胞(HUVEC細胞,DBAE細胞など),白血球(HIT−T15細胞など),線維芽細胞(WI38細胞,BHK21細胞,SFME細胞など),筋肉細胞(HL1細胞,C2C12細胞など),神経/内分泌腺細胞(ROC−1細胞,IMR−32細胞など)及び初代細胞(鶏胚初代細胞、ウズラ胚初代細胞及びウサギ腎初代細胞等)などが挙げられる。これらのうち好ましくは、上皮細胞及び初代細胞、さらに好ましくは、Vero細胞、MDCK細胞及び初代細胞、特に好ましくVero細胞及びMDCK細胞、最も好ましくはVero細胞である。 また、本発明で接着性細胞に接種されるウイルスとしては、例えば、フラビウイルス科(Flaviviridae){例えば、黄熱病ウイルス(Yellow fever virus)、 日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)及びデング熱ウイルス(Dengue fever virus)等}、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae){インフルエンザウイルス(Influenza virus)等}、アデノウイルス科(Adenoviridae){ヒトアデノウイルス1〜34型(Human adenovirus 1-34)等}、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae){単純ヘルペスウイルス1型、(Herpes simplex I)、単純ヘルペスウイルス2型(Herpes simplex II)、仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus)、水痘帯状疱疹ウィルス(Varicella-zoster virus)及びヒトサイトメガロウイルス(Human cytomegalovirus)等}、ピコルナウイルス科(Picornaviridae){アフトウイルスO型(Aphthovirus O)、口蹄疫ウイルス(Foot-and-mouth disease virus)、ポリオウイルス(Poliovirus) 及びA型肝炎ウィルス(Hepatitis A virus)等}、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae){麻疹ウイルス(Measles virus)、おたふくかぜウイルス(Mumps virus)及びセンダイウイルス(Sendai virus)等}、トガウイルス科(Togaviridae){風疹ウイルス(Rubella virus)及び脳炎ウイルス(Encephalitis virus)等}、 ポックスウイルス科(Poxviridae){[ワクシニアウイルス(Vaccinia virus)、痘瘡ウイルス(Variola virus)、牛痘ウイルス(Cowpox virus)及びサル痘ウイルス(Monkeypox virus)等]、レトロウイルス科 (Retroviridae){ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus, HIV)及び 成人T細胞白血病ウィルス(Human T-lymphotropic virus)等}、及びコロナウイルス科(Coronaviridae){ニワトリ伝染性気管支炎ウイルス(Avian infections bronchitis virus)等}等が含まれる{生化学辞典(第2版)、東京化学同人1997年9月11日発行}。これらのうち、フラビウイルス科、オルソミクソウイルス科、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ピコルナウイルス科、パラミクソウイルス科、トガウイルス科又はポックスウイルス科に属するウイルスが好ましく、さらに好ましくはフラビウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科又はトガウイルス科に属するウイルス、特に好ましくはオルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科又はトガウイルス科に属するウイルス、最も好ましくはオルソミクソウイルス科に属するウイルスである。 さらに、本発明で使用した動物由来成分を含有しない培養材料(例えば、培地,細胞分散剤,接着性細胞を接着させるための支持体など)は、動物由来成分を含有していないため、外来性物質による汚染の可能性を最低限に抑えることができ、未知の感染性因子を含有していることがなく、さらに感染因子混入の危険性が低く、そのため感染因子を不活化させる処理を行う必要がないなどの利点を有する。以下、動物由来成分を含有しない培養材料について具体的に説明する。 接着性細胞の培養およびウイルス生産に用いる培地は、動物由来成分である血清やタンパク質などを含有しない培地(以下、無血清培地)であれば特に限定されず、例えば、市販の無血清培地{OPTIPROTMSFM培地(インビトロジェン社製)、VP−SFM(インビトロジェン社製)及びEX−CELL525(JRH Bioscience社製等)}、基礎培地{イーグルMEM培地、ダルベッコ改変イーグル培地、イスコフ培地、RPMI1640培地、ハムF10培地、ハムF12培地、MCDB105培地、MCDB107培地、MCDB110培地、MCDB131培地、MCDB151培地、MCDB152培地、MCDB153培地、MCDB201培地、MCDB302培地及びMEDIUM199等}及びこれらの混合培地等が挙げられる。これらのうち、培地の調製の観点等から、市販の無血清培地が好ましく、さらに好ましくはOPTIPROTMSFM培地、VP−SFM及びEX−CELL525、特に好ましくはVP−SFM及びEX−CELL525、特に好ましくはVP−SFMである。このVP−SFMは、ウイルスの増殖に利用されるVero,COS−7,MDCK,BHK−21,HEp−2等の細胞系の培養に適している。無血清培地中には、動物由来ではない添加物として、遺伝子組換え微生物由来等のホルモン(インシュリン及びヒドロコルチゾン等)、細胞増殖因子(上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)及び線維芽細胞増殖因子(FGF)等)及び抗菌剤(カナマイシン等)等を適宜添加して、細胞の増殖性を安定的に向上させることができる。 支持体の材質としては、接着性細胞が接着できる材質であれば特に限定されないが、細胞毒性の観点等から以下の物質を主成分とすることが好ましい。(1)合成高分子:ビニル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ナイロン及びポリカーボネート等。(2)天然高分子:セルロース、セルロース誘導体(セルロースジアセテート及びセルローストリアセテート等)、及びデキストラン等。(3)無機物:酸化アルミニウム、ハイドロキシアパタイト、酸化チタン、シリカ及びガラス等。 これらのうち、合成高分子、天然高分子及びハイドロキシアパタイトが好ましく、さらに好ましくは合成高分子及び天然高分子、特に好ましくは合成高分子、最も好ましくはビニル樹脂及びナイロンである。 ビニル樹脂としては、ビニルモノマー{アクリルモノマー、アルケン及びスチレン等}及び必要により多官能性モノマー等を構成単位としてなるポリマー{ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド架橋体(アクリルアミドとエチレングリコールジアクリレートとの共重合体等)及びポリ(メタ)アクリロニトリル等}等が挙げられる。これらのうち、スチレンを必須構成単位としてなる樹脂が好ましく、さらに好ましくは架橋ポリスチレンである。 多官能性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリビニルベンゼン及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が含まれる。 支持体の形状としては、接着性細胞が接着できる形状であれば特に限定されず、プレート、シャーレ、T−フラスコ、ローラーボトル、マイクロキャリアー、ホローファイバー、シート(フィルム、フォーム(スポンジ)及び布等)及びゲル等のいずれでもよい。これらのうち、培養量の観点等から、シャーレ、T−フラスコ、ローラーボトル、マイクロキャリアー及びホローファイバーが好ましく、さらに好ましくはローラーボトル、マイクロキャリアー及びホローファイバー、特に好ましくはマイクロキャリアー及びホローファイバー、最も好ましくはマイクロキャリアーである。 マイクロキャリアーの形態には中実型と多孔質型とがあるがいずれも使用できるが、細胞への栄養や酸素の供給効率や細胞の回収率の観点等から、中実型が好ましい。また、マイクロキャリアーの形状としては、球状及び扁平(楕円)等のいずれも使用できる。 マイクロキャリアーの粒子径(μm)は、中実型の場合、20〜2000が好ましく、さらに好ましくは40〜1000、特に好ましくは80〜500である。一方、多孔質型の場合、粒子径(μm)は、30〜25000が好ましく、さらに好ましくは60〜12000、特に好ましくは120〜6000である。この範囲内であると、細胞の増殖量がさらに高くなる。 マイクロキャリアーの真比重は特に制限ないが、マイクロキャリアーを培地とともに撹拌しながら培養する一般的な方法において、撹拌中はビーズは浮遊し、撹拌を止めると沈降することが好ましい。このような観点から、マイクロキャリアーの真比重(g/cm3)は、1.00〜1.10が好ましく、さらに好ましくは1.01〜1.08、特に好ましくは1.01〜1.05である。 マイクロキャリアーは市場から容易に入手でき、以下のような商品等が使用できる。(1)ポリスチレン製:ナルジェヌンク社製バイオシロン(Biosilon)、ソロヒル社製プラスチックビーズ(Plastic beads)及びラックス社製サイトスフェア(Cytosphere)等。(2)ポリアクリルアミド製:バイオラッド(株)製バイオキャリア(Biocarrier)等。(3)ポリウレタン製:イノアック(株)製PUF等。(4)セルロース製:バイオマテリアル(株)製セルスノウ(Cellsnow)等。(5)デキストラン製:アムシャムファルマシア社製サイトデックス(Cytodex)等。(6)ガラス製:スコット社製シラン(SIRAN)等。 支持体は、細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(P)が含有している。ポリペプチド(P)を含有することにより、動物由来の材料を使用しなくても効率の高いウイルス生産が実現できるのである。 「細胞接着性最小アミノ酸配列」とは、細胞のインテグリンレセプターに認識され細胞が基材に接着しやすくなる性質を有する最小アミノ酸配列を意味する。 ポリペプチド(P)中の細胞接着性最小アミノ酸配列(X)の含有個数(個)は、細胞接着性の観点等から、(P)1分子中、1〜50が好ましく、さらに好ましくは3〜30、特に好ましくは4〜20である。 細胞接着性最小アミノ酸配列(X)としては、接着シグナルとして働くものであればいずれも使用でき、株式会社永井出版発行「病態生理」Vol.9、No.7、1990年、527頁に記載されているもの等が使用できる。これらのうち、接着しやすい細胞の種類が多いという観点等から、Arg Gly Asp配列、Leu Asp Val配列、Leu Arg Glu配列、His Ala Val配列、及び配列番号(1)〜(8)で表される配列が好ましく、さらに好ましくはArg Gly Asp配列、His Ala Val配列及び配列番号(7)で表される配列であり、特に好ましくはArg Gly Asp配列である。 ポリペプチド(P)は、細胞接着性最小アミノ酸配列(X)以外に、(P)の熱安定性向上の観点等から、補助アミノ酸配列(Y)を有することが好ましい。 補助アミノ酸配列(Y)としては、最小アミノ酸配列(X)以外のアミノ酸配列が使用でき、ポリペプチド(P)の耐熱性向上の観点等から、Gly 及び/又はAlaを有する配列が好ましい。 補助アミノ酸配列(Y)としては、(Gly Ala)a 配列、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)b配列、(Gly Ala Gly Ala Gly Tyr)c配列、(Gly Ala Gly Val Gly Tyr)d配列、(Gly Ala Gly Tyr Gly Val)e配列、{Asp Gly Gly (Ala)f Gly Gly Ala}g配列、(Gly Val Pro Gly Val)h配列、(Gly)i配列、(Ala)j配列、(Gly Gly Ala)k配列、(Gly Val Gly Val Pro)m配列、(Gly Pro Pro)n配列、(Gly Ala Gln Gly Pro Ala Gly Pro Gly)o配列、(Gly Ala Pro Gly Ala Pro Gly Ser Gln Gly Ala Pro Gly Leu Gln)p配列及び/又は(Gly Ala Pro Gly Thr Pro Gly Pro Gln Gly Leu Pro Gly Ser Pro)q配列を有する配列等が含まれる。これらのうち、(Gly Ala)a配列、(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)b配列、(Gly Ala Gly Ala Gly Tyr)c配列、(Gly Ala Gly Val Gly Tyr)d配列、(Gly Ala Gly Tyr Gly Val)e、{Asp Gly Gly (Ala)f Gly Gly Ala}g配列、(Gly Val Pro Gly Val)h配列、(Gly Val Gly Val Pro)m配列及び/又は(Gly Pro Pro)n配列を有するものが好ましく、さらに好ましくは(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)b配列、(Gly Val Pro Gly Val)h配列、(Gly Val Gly Val Pro)m配列及び/又は(Gly Pro Pro)n配列を有するもの、特に好ましくは(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)b配列を有するものである。 なお、aは5〜100の整数、b、c、d及びeは2〜33の整数、fは1〜194の整数、gは{1}〜{200/(6+f)}の小数点以下を切り捨てした整数、hは2〜40の整数、i及びjは10〜200の整数、kは3〜66の整数、mは2〜40の整数、nは3〜66の整数、oは1〜22の整数、p及びqは1〜13の整数である。 補助アミノ酸配列(Y)は、グリシン(Gly)及び/又はアラニン(Ala)を含むことが好ましい。グリシン(Gly)及びアラニン(Ala)を含む場合、これらの合計含有割合(%)は、補助アミノ酸配列(Y)の全アミノ酸個数に基づいて、10〜100が好ましく、さらに好ましくは20〜95、特に好ましくは30〜90、最も好ましくは40〜85である。この範囲であると、耐熱性がさらに良好となる。 グリシン(Gly)及びアラニン(Ala)の両方を含む場合、これらの含有個数割合(Gly/Ala)は、0.03〜40が好ましく、さらに好ましくは0.08〜13、特に好ましくは0.2〜5である。この範囲であると、耐熱性がさらに良好となる。 ポリペプチド(P)中の補助アミノ酸配列(Y)の含有個数は、耐熱性向上の観点等から、(P)1分子中、2〜51が好ましく、さらに好ましくは3〜35、特に好ましくは4〜20である。また、ポリペプチド(P)は、2種以上の補助アミノ酸配列(Y)を含んでもよい。 (Gly Ala)a配列を有する補助与アミノ酸配列としては、配列番号(9)〜(11)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Gly Ala Gly Ser)b配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(12)〜(14)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Gly Ala Gly Tyr)c配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(15)〜(17)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Gly Val Gly Tyr)d配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(18)〜(20)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Gly Tyr Gly Val)e配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(21)〜(23)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 {Asp Gly Gly (Ala)f Gly Gly Ala}g配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(24)〜(26)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Val Pro Gly Val)h配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(27)〜(30)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly)i配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(31)〜(33)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Ala)j配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(34)〜(36)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Gly Ala)k配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(37)〜(39)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Val Gly Val Pro)m配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(40)〜(42)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Pro Pro)n配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(43)〜(45)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Gln Gly Pro Ala Gly Pro Gly)o配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(46)〜(48)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Pro Gly Ala Pro Gly Ser Gln Gly Ala Pro Gly Leu Gln)p配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(49)〜(51)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 (Gly Ala Pro Gly Thr Pro Gly Pro Gln Gly Leu Pro Gly Ser Pro)q配列を有する補助アミノ酸配列としては、配列番号(52)〜(54)で表されるアミノ酸配列等が挙げられる。 これらのアミノ酸配列のうち、配列番号(9)、(10)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(18)、(19)、(21)、(22)、(24)、(25)、(26)、(27)、(28)、(30)、(31)、(32)、(34)、(35)、(37)、(38)、(40)、(41)、(43)、(44)、(46)、(47)、(49)、(50)、(52)又は(53)で表されるアミノ酸配列が好ましく、さらに好ましくは配列番号(10)、(12)、(13)、(14)、(16)、(19)、(22)、(26)、(27)、(28)、(29)、(30)、(32)、(35)、(38)、(41)、(44)、(47)、(50)又は(53)で表されるアミノ酸配列、特に好ましくは配列番号(12)、(13)又は(30)で表されるアミノ酸配列である。 ポリペプチド(P)は、分岐鎖を含んでいてもよく、一部が架橋されていてもよく、環状構造を含んでいてもよい。しかし、ポリペプチド(P)は、架橋されていないことが好ましく、さらに好ましくは架橋されていない直鎖構造、特に好ましくは環状構造を持たず架橋されていない直鎖構造である。なお、直鎖構造には、β構造(直鎖状ペプチドが折れ曲がってこの部分同士が平行に並び、その間に水素結合が作られる二次構造)も含まれる。 ポリペプチド(P)は、細胞接着性及び耐熱性の観点等から、最小アミノ酸配列(X)と補助アミノ酸配列(Y)とが交互に化学結合してなる構造であることが好ましい。この場合、最小アミノ酸配列(X)と補助アミノ酸配列(Y)との繰り返し単位(X−Y)の数(個)は、細胞接着性の観点等から、1〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜40、特に好ましくは3〜30、最も好ましくは4〜20である。 また、最小アミノ酸配列(X)と補助アミノ酸配列(Y)との含有個数は同じでも異なっていてもよい。異なっている場合は、いずれかの含有個数が他方の含有個数より1個少ないことが好ましい{この場合、補助アミノ酸配列(Y)が少ないことが好ましい}。ポリペプチド(P)中の最小アミノ酸配列(X)と補助アミノ酸配列(Y)との含有個数割合(X/Y)は、0.66〜1.5が好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.4、特に好ましくは1〜1.3である。 また、ポリペプチド(P)の末端部分(最小アミノ酸配列(X)又は補助アミノ酸配列(Y)からペプチド末端まで)に他のアミノ酸を含んでもよい。他のアミノ酸を含む場合、その含有量は、ポリペプチド1個当たり、1〜1000個が好ましく、さらに好ましくは3〜300、特に好ましくは10〜100である。 ポリペプチド(P)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは2,000〜700,000、特に好ましくは3,000〜400,000、最も好ましくは4,000〜200,000である。なお、ポリペプチドの数平均分子量(Mn)は、SDS−PAGE(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動)法により、測定サンプル{ポリペプチド等}を分離し、泳動距離を標準物質と比較する方法等の公知の方法によって求められる(以下、同じ)。 ポリペプチド(P)の好適な例を以下に示す。(1)最小アミノ酸配列(X)がArg Gly Asp配列(x1)の場合(x1)の13個と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)9配列(13)(y1)の13個とを有し、これらが交互に化学結合してなる構造を有するMn約11万のポリペプチド(「プロネクチンF」、プロネクチン:登録商標(日本及び米国)、三洋化成工業(株)製<以下同じ>);(x1)の5個と(Gly Ala Gly Ala Gly Ser)3配列(12)(y2)の5個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するMn約2万のポリペプチド(「プロネクチンF2」);(x1)の3個と(Gly Val Pro Gly Val)2 Gly Gly (Gly Ala Gly Ala Gly Ser)3配列(30)(y3)の3個とを有しこれらが交互に化学結合してなる構造を有するMn約1万のポリペプチド(「プロネクチンF3」)等。(2)最小アミノ酸配列(X)がIle Lys Val Ala Val配列(x2)の場合 プロネクチンF、プロネクチンF2又はプロネクチンF3のArg Gly Asp配列(x1)をIle Lys Val Ala Val配列(7)(x2)に変更した「プロネクチンL」、「プロネクチンL2」、又は「プロネクチンL3」等。(3)最小アミノ酸配列(X)がTyr Ile Gly Ser Arg配列(x3)の場合プロネクチンF、プロネクチンF2又はプロネクチンF3のArg Gly Asp配列(x1)をTyr Ile Gly Ser Arg配列(x3)に変更した「プロネクチンY」、「プロネクチンY2」、又は「プロネクチンY3」等。 また、(1)〜(3)のポリペプチドの他、宝酒造(株)製RetroNectin(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH−296){最小アミノ酸配列(X)としてArg Gly Asp配列(x1)及びLeu Asp Val配列を含有するMn約6万のポリペプチド}、同RGDS−Protein A{最小アミノ酸配列(X)としてArg Gly Asp配列(x1)を含有するMn約3万のポリペプチド}も好ましく使用できる{ただし、これらのポリペプチドは補助アミノ酸配列(Y)が含まれていない。よって、耐熱性等が上記の(1)〜(3)よりも劣る。また、これらのポリペプチドのアミノ酸配列は特開平2−311498号(US5198423Aの開示内容を参照により本出願に取り込む)に開示されている。}。 ポリペプチド(P)の製造方法は特に制限されず、ペプチドを合成する従来既知の方法と同様にして製造することができ、例えば、有機合成法(固相合成法、液相合成法等)及び生化学的合成法[遺伝子組換え微生物(酵母、細菌、大腸菌等)]等によって合成することができる。有機合成法に関しては、例えば、日本生化学学会編「続生化学実験講座2、タンパク質の化学(下)」第641〜694頁(昭和62年5月20日;株式会社東京化学同人発行)に記載されている方法等が用いられる。生化学的合成法に関しては、例えば、特表平3−502935号公報(US5243038A、US5496712A、US5514581A、US5606019A、US5641648A、US5723588A、US5770697A、US5773249A、US5808012A、US5830713A、US6018030A、US6140072A、US6184348B1、US6355776B1、US6380154B1、US2003083464A1及びUS2003176355A1の開示内容を参照により本出願に取り込む)に記載されている方法等が用いられる。高分子量のポリペプチド(P)を容易に合成できる点で、遺伝子組換え微生物による生化学的合成法が好ましく、特に好ましくは遺伝子組換大腸菌を用いて合成する方法である。 支持体にポリペプチド(P)を含有する場合、(P)は、支持体の表面に含有していればよく、(P)は化学結合(イオン結合、水素結合及び/又は共有結合等)及び/又は物理吸着(ファンデルワールス力による吸着)によって、支持体の表面に結合されている。これらのうち、化学結合が好ましく、さらに好ましくは共有結合である。 支持体にポリペプチド(P)を共有結合させる反応は公知の方法で行うことができる。例えば、「ペプチド合成の基礎と実験、平成9年10月5日、丸善株式会社発行」に記載の方法が挙げられ、具体的には、以下の(1)〜(3)の通りである。 (1)ポリペプチドのうち1級アミノ基又は2級アミノ基を有するものとポリペプチド(P)を含有しない支持体(以下、P未含有支持体)のうちカルボキシル基を有するものとを反応させる場合、P未含有支持体のカルボキシル基を予めカルボジイミド化合物と反応させ、アシルイソ尿素{R’−N=C(OCOR)−NH−R’(−OCORが支持体に由来する部分)}を得た後、ポリペプチドのうち1級アミノ基又は2級アミノ基を有するものをこのアシルイソ尿素に加えることによって、P未含有支持体とポリペプチドとをアミド結合できる。 カルボジイミド化合物としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等が挙げられる。 (2)ポリペプチドのうち1級アミノ基又は2級アミノ基を有するものとP未含有支持体のうちヒドロキシル基を有するものとを反応させる場合、P未含有支持体のヒドロキシル基を予めカルボニルジイミダゾール化合物と反応させ、イミダゾール誘導体{R−Im、Imはイミダゾリン環、Rが支持体に由来}を得た後、ポリペプチドのうち1級アミノ基又は2級アミノ基を有するものをこのイミダゾール誘導体に加えることによって、P未含有支持体とポリペプチドとをN−C結合できる。 カルボニルジイミダゾール化合物としては、N,N’−カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。 (3)ポリペプチドのうちヒドロキシル基を有するものとP未含有支持体のうちカルボキシル基を有するものとを反応させる場合、P未含有支持体のカルボキシル基を予めカルボジイミド化合物と反応させ、アシルイソ尿素を得た後、ポリペプチドのうちヒドロキシル基を有するものをこのアシルイソ尿素に加えることによって、P未含有支持体とポリペプチドとをエステル結合できる。 ポリペプチドをP未含有支持体に、物理吸着、イオン結合及び/又は水素結合させる方法としては、溶媒等にポリペプチドとP未含有支持体とを投入し、混合して作製する方法等が挙げられる。溶媒としては特に制限はないが、水(水道水、イオン交換水、蒸留水及びイオン交換した蒸留水等)の他に、無機塩、有機酸塩、酸及び/又は塩基を含有する水溶液(例えば特開2003−189848)等が使用できる。無機塩、有機酸塩、酸及び塩基の含有量(重量%)は、水溶液の重量に基づいて、0.001〜50が好ましく、さらに好ましくは0.005〜30、特に好ましくは0.01〜10である。 これらの溶媒の中で、無機塩、酸及び/又は塩基を含有する水溶液、並びに水が好ましく、さらに好ましくは無機塩、酸及び/又は塩基を含有する水溶液、並びにイオン交換した蒸留水、特に好ましくは無機塩、酸及び/又は塩基を含有する水溶液である。 支持体にポリペプチド(P)を含有する場合、ポリペプチド(P)の含有量(μg/cm2)は、支持体の平均表面積1cm2当り、0.0001〜100000が好ましく、さらに好ましくは0.001〜10000、特に好ましくは0.01〜1000である。この範囲であると、細胞培養の効率がさらに高くなる。 ポリペプチド(P)の含有量は、次のようにして求められる。(1)支持体の単位重量当たりのポリペプチド(P)の含有量(μg/g)を、例えば免疫学的測定法(特開2004−049921等に記載)により定量する。すなわち、支持体と、ポリペプチド(P)と結合する抗体に酵素を標識したもの(以下、酵素標識抗体1)とを反応させ、この反応した酵素標識抗体1の酵素量を測定することにより、単位重量あたりのポリペプチド(P)の含有量を測定する。(2)次に、表面形状測定顕微鏡{共焦点原理を利用した3D形状測定顕微鏡、たとえばキーエンス(株)製VK−9500}を用いて、支持体をスライドガラスに接着剤等で固定化したもの(以下、固定化支持体)の上部の表面(例えば、20μm×20μm)について、表面形状の3次元データ得る。そして、この3次元データから細孔(直径1μm未満)部分を一律に除外して(平坦な表面として補正して)、リブ(畝)等を有する支持体の部分表面積(A)を求める。また、表面形状の3次元データから、細孔(直径1μm未満)及びリブ(畝)等を一律に除外して(平坦な表面として補正して)、表面がフラットな支持体の部分表面積(B)を求める。さらに支持体の9個について3次元データを同様にして測定し、支持体の部分表面積(A)及び支持体の部分表面積(B)を求める。そして、支持体10個について、リブ等を有する支持体の部分表面積(A)の平均部分表面積(HA)及び表面がフラットな支持体の部分表面積(B)の平均部分表面積(HB)を算出する。 支持体が球状の場合は、式{単位重量当たりの平均表面積(cm2/g)=[4×π×(ra/2/10000)2]/[4/3×π×(ra/2/10000)3×d]×[(HA)/(HB)]}から、支持体の単位重量当たりの平均表面積を算出する。なお、raは支持体の粒子径であり、dは支持体の真比重である。 なお、球状でない支持体(棒状、直方体及び板状等)や多孔質の支持体であって、上記の方法では計算できない場合、支持体の単位重量当たりの平均表面積は、以下のようにして算出される。 比表面積計(例えば、QUANTASORB(ユアサアイオニクス製)を用いて支持体の表面積を測定(測定ガス;He/Kr=99.9/0.1体積比、検出ガス;窒素)し、式{支持体の表面積/支持体の重量}から、支持体の単位重量当たりの平均表面積(cm2/g)を算出する。(3)単位重量当たりのポリペプチド(P)の含有量(μg/g)を、単位重量当たりの平均表面積(cm2/g)で除して、支持体の平均表面積1cm2当たりの含有量(μg/cm2)を算出する。 細胞分散剤とは、継代培養の際に使用される動物由来成分を含有しない細胞分散剤であって、支持体から細胞を剥離する目的で使用するものを意味する。細胞分散剤としては、キレート剤(EDTA等)、2〜30℃の無血清培地、植物由来の蛋白質分解酵素(パパイン等)、遺伝子組換え微生物由来の蛋白質分解酵素(トリプシン様酵素(インビトロジェン社製rProtease等))及びこれらの組合せ等が挙げられる。これらのうち、支持体から細胞の剥離性の観点等から、植物由来の蛋白質分解酵素、遺伝子組換え微生物由来の蛋白質分解酵素及びこれらの組合せが好ましく、さらに好ましくは遺伝子組換え微生物由来の蛋白質分解酵素である。 本発明のウイルスの生産方法は、接着性細胞を動物由来成分を含有しない支持体に接着させ、この接着性細胞を動物由来成分を含有しない培地で培養し、培養した接着性細胞を動物由来成分を含有しない細胞分散剤を用いて継代培養した後、接着性細胞の培養細胞にウイルスを接種して増殖させることによりウイルスを大量に生産することができる。 細胞播種に用いる接着性細胞を得るための培養(以下、プレ培養)には特に制限が無く、動物由来成分を含有する材料(支持体、培地及び細胞分散剤等)及び動物由来成分を含有しない材料(支持体、培地及び細胞分散剤等)のいずれを用いてもよい。しかし、プレ培養においても、動物由来成分を含有しない材料(支持体、培地及び細胞分散剤等)だけを用いることが好ましい。 プレ培養で得られた接着性細胞を支持体に接着させる方法は、通常の方法でよく、培地及び支持体に細胞播種すること等が適用できる。 接着性細胞の播種量(万個/cm2)は、接着性細胞の種類等によって決定されるが、支持体の平均表面積1cm2当り、0.001〜1000が好ましく、さらに好ましくは0.01〜100、特に好ましくは0.1〜10である。接着性細胞の個数の測定方法には特に制限がないが、例えば、細胞核数をウィーゼル(Wezel)によるクリスタルバイオレットを用いた細胞核計数法で測定することができる。また、培地の細胞密度(万個/mL)は、培地1mL当たり、0.01〜10000が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1000、特に好ましくは1〜100、特に好ましくは5〜50、最も好ましくは10〜30である。 接着性細胞の培養の期間(日)は、3〜30が好ましく、さらに好ましくは4〜21、特に好ましくは5〜15、次に好ましくは6〜10、最も好ましくは7又は8である。接着性細胞の種類等によって異なるが、8日間培養すると、培地の細胞密度は、培養開始時に比べて3〜30倍程度に増加する。 培地の交換は、1〜5日毎に、1/3量〜全量の培地を交換することが好ましい。 培養中の二酸化炭素濃度(体積%)は、培養雰囲気の体積に基づいて、2〜10が好ましく、さらに好ましくは4〜6、特に好ましくは5である。 培養温度(℃)は、25〜42が好ましく、さらに好ましくは30〜40、特に好ましくは35〜39、最も好ましくは37である。 支持体としてマイクロキャリアー(粒子径;20〜500μm、表面積;100cm2〜100m2等)を用いるとき、培養容器としては、(1)スピンナーフラスコ又はベッセルと、(2)ラジアルフロー型リアクター等が使用できる。 (1)スピンナーフラスコ又はベッセル等を使用する場合、例えば、培養容器(容量;100mL〜100L等)中に、接着性細胞、マイクロキャリアー及び培地を入れて、撹拌しながら培養する方法が適用できる。 (2)ラジアルフロー型リアクター等を使用する場合、例えば、培養容器(全容量;100mL〜100L等)にマイクロキャリアーをセットした後、接着性細胞を含む培地を循環しながら培養する方法等が適用できる。 一方、支持体としてホローファイバー(内径10〜500μm等)を用いるとき、カートリッジ(全容量;10mL〜10L等)等に、接着性細胞を含む培地を加えた後、ホローファイバー内に培地を循環しながら培養する方法等が適用できる。 また、支持体としてローラーボトル(全容量;0.1〜20L等)等を用いるとき、接着性細胞を含む培地を培養容器に加えた後、撹拌させながら培養する方法等が適用できる。 細胞分散剤を用いた継代培養とは、上記のようにして培養により得た接着性細胞を細胞分散剤によって細胞分散液にした後、この細胞分散液を用いて再び接着性細胞の培養を行うことを意味する。 接着性細胞の培養細胞にウイルスを接種するタイミングとしては、接着性細胞の培養を開始後、3〜30日目が好ましく、さらに好ましくは4〜21日目、特に好ましくは5〜15日目、次に好ましくは6〜10日目、最も好ましくは7又は8日目である。 またウイルスを接種する際の培養細胞の細胞密度(万個/mL)は、0.2〜200000が好ましく、さらに好ましくは2〜20000、特に好ましくは20〜2000、次に好ましくは100〜1000、最も好ましくは200〜500である。 ウイルスを接種する前に、無血清培地で培地交換を行うことが好ましく、さらに好ましくは細胞培養の培地を除去し、PBS(0.02Mリン酸緩衝液等)及び/又は無血清培地を加えて1分〜1時間攪拌した後、加えたPBS及び/又は無血清培地を除去し、無血清培地を加えることである。 この無血清培地は、細胞培養で使用したものと同じものが好ましい。 この無血清培地には細胞分散剤が含有されていてもよく、含有されていなくてもよい。インフルエンザウイルス等の場合、無血清培地に細胞分散剤が含有されていることが好ましい。無血清培地に細胞分散剤が含有される場合、この含有量(体積%)は、無血清培地の体積に基づいて、0.5〜40が好ましく、さらに好ましくは1〜20、特に好ましくは2〜10である。 ウイルスを接種する時のM.O.I(感染多重度)は、細胞やウイルスの種類によって異なるが、1〜0.0000001が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.00001、特に好ましくは0.05〜0.0001である。 ウイルスの培養期間(増殖期間;日)は、2〜14が好ましく、さらに好ましくは3〜10である。 ウイルスの培養温度(増殖温度;℃)は、30〜39が好ましく、さらに好ましくは32〜38、特に好ましくは33〜37である。 培地のpHは、一定の範囲に制御することが好ましく、その範囲は、6〜9が好ましく、さらに好ましくは6.5〜8.5、特に好ましくは7〜8である。 本発明のウイルスの生産方法を用いて製造され得るワクチンとしては特に制限がないが、日本脳炎ワクチン、デング熱ワクチン、西ナイル熱ワクチン、インフルエンザワクチン、狂犬病ワクチン、水痘ワクチン、ポリオワクチン、A型肝炎ワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン及びおたふくかぜワクチンが好ましく、さらに好ましくは日本脳炎ワクチン、デング熱ワクチン、西ナイル熱ワクチン、インフルエンザワクチン、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン及びおたふくかぜワクチン、特に好ましくはインフルエンザワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン及びおたふくかぜワクチン、最も好ましくはインフルエンザワクチンである。 本発明の方法によれば、細胞培養およびウイルスの生産の工程において、全く動物由来成分を含有しない培養材料を用いているため、安全で且つ品質が一定した接着性細胞が大量に培養できる。さらに、外来性物質による汚染の可能性を最低限に抑えることができ、さらに未知の感染性因子を含有していることがないため感染因子を不活化させる処理を行う必要がないなどの利点を有する。 本発明は上記の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。 以下、本発明について、実施例及び図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。<細胞播種に用いる接着性細胞を得るための培養> ダルベッコminimum essential medium(DMEM)培地 + 5体積%ウシ胎児血清(FBS)(インビトロジェン社製)にてプレ培養中のVero細胞を、細胞分散剤(インビトロジェン社製、rProtease(登録商標))を必要に応じてPBSで希釈した希釈液にて37℃条件下で細胞分散を行い、遠心操作により上清を除去して、細胞播種用Vero細胞(S)を得た。<無血清培地及びプロネクチンF結合ナイロンビーズを用いた日本脳炎ウイルスの生産>(1)プロネクチンFをリン酸バッファー液(PBS)でプロネクチンFの濃度が300μg/mlとなるように希釈し、プロネクチンF溶液を作製した。水溶性カルボジイミド溶液{1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロリド、ドジンド(株)製、300mM水溶液)100mlに、12ナイロンビーズ(粒子径150〜250μm、トライアル株式会社製)50gを加え、撹拌子で2時間撹拌した後、これにリン酸緩衝液(pH=7.2)100mlを添加し溶液を吸引除去する操作を5回行うことにより(洗浄)カルボジイミド結合ナイロンビーズ(1)を得た。引き続きこのカルボジイミド結合ナイロンビーズ(1)をプロネクチンF溶液100mlに浸積して2時間撹拌し、リン酸緩衝液(pH=7.2)100mlを添加し溶液を吸引除去する操作を3回行った(洗浄)後、アンモニア水溶液(300mM、100ml)中で2時間撹拌した。その後、イオン交換水100mlを添加し溶液を吸引除去する操作を3回行い(洗浄)、次いで100℃の熱風を吹きつけながら、60分間乾燥しプロネクチンF結合ナイロンビーズ{プロネクチンF結合量:0.3μg/cm2を得た。(2)動物由来成分を含有しない無血清培地(インビトロジェン社製、VP−SFM)と動物由来成分を含有しないプロネクチンF結合ナイロンビーズからなるサンプル4をスピンナーフラスコ(テクネ社製、F7689)に入れた。 次に、細胞播種用Vero細胞(S)が細胞密度2×105cells/mLとなるように上記サンプル4の入ったスピンナーフラスコに播種し、作動容量(M)100mLとした。その後、細胞,培地およびマイクロキャリアーの入った培養液を25rpmで攪拌し、細胞をマイクロキャリアーに接着させた後、細胞を24日間、37℃の恒温室にてマグネチックスターラー(テクネ社製、MCS-104L)を用いて25rpm〜35rpmの攪拌回転数により培養した。 細胞継代は8日毎に行い、細胞播種3日目より毎日50体積%の培地交換を行った。なお、動物由来成分を含有しない細胞分散剤(インビトロジェン社製、rProtease(登録商標))をPBSで5倍希釈した希釈液にて37℃条件下で細胞分散を行い、遠心操作により上清を除去後、必要量を予め用意されたスピンナーフラスコに播種して、継代操作を行った。 サンプル4の経時変化における細胞密度を、一般的な血球計数法や顕微鏡観察法などの方法により求め、縦軸に細胞密度(cells/mL)を横軸に時間を表すグラフを図1に示した。 細胞培養開始24日目にスピンナーフラスコ内の培養液を除去し、PBSによる洗浄を2回行った後、日本脳炎ウイルス(JEV)をM.O.I=0.01で接種し、37℃恒温室で攪拌回転数35rpmにて培養した。JEV培養2日目に7.5体積%炭酸水素ナトリウム溶液をスピンナーフラスコにそれぞれ1.5mL添加し、pHを7.2とした。 サンプリングは、JEV培養2〜8日目まで行い、細胞数についてはクエン酸処理後の核数を測定した。JEV増殖の指標は(1)HA(赤血球凝集反応、Hemagglutination)価については定法に従い測定し、(2)ELISA(酵素抗体法、Enzyme-linked immunosorbent assay)については、抗JEV抗血清をプロテインAカラムによる抗体精製を実施し、ウエスタンブロッティング法により特異反応性を確認後、精製抗体のペルオキシダーゼ標識を行い、サンドイッチELISAを構築した。なお、ELISA値は参照日本脳炎ワクチン北京株Lot.197−Pより自家値を付し、不活性精製JEV液を標準抗原として使用した。ELISAによるJEV産生量の経時変化を表すグラフを図2に示し、HAによるJEV産生量の経時変化を表すグラフを図3に示した。また、ELISA及びHAの測定値の最高値を表1に示した。比較例1<血清培地とデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex1))を用いた日本脳炎ウイルスの生産> 実施例1に記載のサンプル4の代わりに、サンプル1{血清培地(DMEM培地+5体積%FBS)と動物由来成分を含有しないデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例1と同様にしてウイルスの生産を行った。比較例2<無血清培地とデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex1))を用いた日本脳炎ウイルスの生産> 実施例1に記載のサンプル4の代わりに、サンプル2{動物由来成分を含有しない無血清培地(インビトロジェン社製、VP−SFM)と動物由来成分を含有しないデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例1と同様にしてウイルスの生産を行った。比較例3<無血清培地とブタ変性コラーゲンが被覆されたデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex3))を用いた日本脳炎ウイルスの生産> 実施例1に記載のサンプル4の代わりに、サンプル3{動物由来成分を含有しない無血清培地(インビトロジェン社製、VP−SFM)とブタ変性コラーゲンが被覆されたデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例1と同様にしてウイルスの生産を行った。 比較例1〜3について、実施例1と同様にして、ウイルス接種時細胞数及びELISA及びHAの測定値の最高値を表1に示し、細胞密度−時間グラフを図1に、ELISA Titer−日数グラフを図2に、HA Titer−日数グラフを図3に示した。 図1及び表1より、実施例1(サンプル4)では、培養開始8日目、16日目及び24日目の細胞密度が最高位であり、比較例1(サンプル1)、比較例2(サンプル2)及び比較例3(サンプル3)に比べて、安定的に且つ効率よく増殖していることが判った。 また、図2、図3及び表1より、実施例1(サンプル4)は、ELISA及びHAとも、比較例1(サンプル1)、比較例2(サンプル2)及び比較例3(サンプル3)に比べて、高い数値を示しており、日本脳炎ウイルスが効率よく増殖していることが判った。<無血清培地とプロネクチンF結合ナイロンビーズを用いたインフルエンザウイルスの生産> VP−SFM培地とプロネクチンF結合ナイロンビーズからなるサンプル8をスピンナーフラスコ(テクネ社製、F7689)に入れた。 次に、細胞播種用Vero細胞(S)が細胞密度2×105cells/mLとなるように上記サンプル8の入ったスピンナーフラスコに播種し、作動容量(M)100mLとした。その後、細胞,培地およびマイクロキャリアーの入った培養液を35rpmで攪拌し、細胞をマイクロキャリアーに接着させた後、細胞を24日間、37℃の恒温室にてマグネチックスターラー(和研薬社製、MODEL1104M)を用いて35rpmの攪拌回転数により培養した。 細胞継代は8日毎に行い、細胞播種3日目より毎日50体積%の培地交換を行った。細胞継代時に用いたrProteaseを37℃条件下で細胞分散を行い、遠心操作により上清を除去後、必要量を予め用意されたスピンナーフラスコに播種して、継代操作を行った。 細胞洗浄操作は細胞培養開始24日目にスピンナーフラスコの攪拌を止め、培養液を除去し、PBSを50mL加え、33℃恒温室にて20分間攪拌した。続いて、同様の条件で細胞洗浄操作をVP-SFM培地にて行った。その後、VP-SFM培地を除去し、新たにVP-SFM培地を容量95mLになるようにスピンナーフラスコに加えた。このスピンナーフラスコにrProteaseを5mL加え、M.O.I=0.001になるようにインフルエンザウイルス(B/Johannesburg/5/99)を接種した。インフルエンザウイルス培養は33℃恒温室にて、35rpmの攪拌回転数で行い、スピンナーフラスコのキャップを緩めて培養を行った。なお、インフルエンザウイルスを接種後、培地のpHは7.5体積%炭酸水素ナトリウム溶液にてpH7.2〜pH7.8に維持した(インフルエンザウイルス培養18時間後に、7.5体積%炭酸水素ナトリウム溶液を0.4mL、同様に42時間後に0.6mL加えた。)。サンプリングはインフルエンザウイルス培養67時間後に行い、ニワトリ赤血球を用いたHA法をインフルエンザウイルス増殖の指標としたところ、HAは128倍となった。<無血清培地とプロネクチンF2結合ナイロンビーズを用いたインフルエンザウイルスの生産> 実施例2に記載のプロネクチンF結合ナイロンビーズの代わりに、プロネクチンF2結合ナイロンビーズ{プロネクチンF2結合量:0.3μg/cm2、プロネクチンFの代わりにプロネクチンF2を使う以外はプロネクチンF結合ナイロンビーズと同様にして製造した。)}を使用すること以外、実施例2と同様にしてウイルスの生産を行った。実施例2と同様にして得たHAは128倍であった。<無血清培地とプロネクチンF3結合ナイロンビーズを用いたインフルエンザウイルスの生産> 実施例2に記載のプロネクチンF結合ナイロンビーズの代わりに、プロネクチンF3結合ナイロンビーズ{プロネクチンF3結合量:0.2μg/cm2、プロネクチンFの代わりにプロネクチンF3を使う以外はプロネクチンF結合ナイロンビーズと同様にして製造した。)}を使用すること以外、実施例2と同様にしてウイルスの生産を行った。実施例2と同様にして得たHAは128倍であった。比較例4<血清培地とデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex1))を用いたインフルエンザウイルスの生産> 実施例2に記載のサンプル8の代わりに、サンプル5{血清培地(DMEM培地+5体積%FBS)と動物由来成分を含有しないデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例2と同様にしてウイルスの生産を行った。実施例2と同様にして得たHAは32倍であった。比較例5<無血清培地とデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex1))を用いたインフルエンザウイルスの生産> 実施例2に記載のサンプル8の代わりに、サンプル6{動物由来成分を含有しない無血清培地(インビトロジェン社製、VP−SFM)と動物由来成分を含有しないデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例2と同様にしてウイルスの生産を行った。実施例2と同様にして得たHAは4倍であった。比較例6<無血清培地とブタ変性コラーゲンが被覆されたデキストランビーズ(アマシャム製、商品名Cytodex3))を用いたインフルエンザウイルスの生産> 実施例2に記載のサンプル8の代わりに、サンプル7{動物由来成分を含有しない無血清培地(インビトロジェン社製、VP−SFM)とブタ変性コラーゲンが被覆されたデキストランビーズ}を使用すること以外、実施例2と同様にしてウイルスの生産を行った。実施例2と同様にして得たHAは4倍であった。 実施例2、実施例3及び実施例4では、比較例4、比較例5及び比較例6と比較して、HAの値が極めて高く、インフルエンザウイルスが極めて効率よく増殖していることが判った。 細胞接着性最小アミノ酸配列(X)を1分子中に少なくとも1個有するポリペプチド(P)を有しかつ動物由来成分を含有しない支持体に、接着性細胞を接着させ、この接着性細胞を動物由来成分を含有しない培地で培養し、培養した接着性細胞を動物由来成分を含有しない植物由来の蛋白質分解酵素、遺伝子組換え微生物由来の蛋白質分解酵素又はこれらの組み合わせである細胞分散剤を用いて継代培養した後、接着性細胞の培養細胞にウイルスを接種して増殖させることを特徴とするウイルスの生産方法。 前記ウイルスが、フラビウイルス科、オルソミクソウイルス科、アデノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ピコルナウイルス科、パラミクソウイルス科、トガウイルス科及びポックスウイルス科からなる群より選ばれる少なくとも1種に属するウイルスである請求項1記載の生産方法。 前記支持体が、マイクロキャリアーである請求項1又は2記載の生産方法。 請求項1〜3のいずれかに記載のウイルスの生産方法を用いて製造され得るワクチン。配列表