タイトル: | 特許公報(B2)_超音波トランスデューサの駆動方法 |
出願番号: | 2006511673 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 29/00 |
浅田 隆昭 森田 成一 JP 4111236 特許公報(B2) 20080418 2006511673 20050329 超音波トランスデューサの駆動方法 株式会社村田製作所 000006231 町田 袈裟治 100092554 浅田 隆昭 森田 成一 JP 2004103055 20040331 20080702 G01N 29/00 20060101AFI20080612BHJP JPG01N29/18 G01N 29/00-29/52 A61B 8/00 JSTPlus(JDream2) 特開2003−259490(JP,A) 特開平06−030933(JP,A) 5 JP2005005883 20050329 WO2005095946 20051013 19 20060329 横井 亜矢子 本発明は、超音波を送受波して液体等の音速を測定する場合に使用される超音波トランスデューサの駆動方法に関する。 一般に、超音波トランスデューサは、圧電体を挟んで一対の電極が形成されてなる圧電振動子を有し、この圧電振動子の一方の電極の背面にバッキング層を設けて構成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、一対の電極間に駆動信号を印加することで圧電振動子を励振して超音波を送波する一方、超音波を受波した場合には、圧電振動子でその振動を電気信号に変換して出力する。また、バッキング層は励振時において圧電振動子からその背面側に放射される超音波を吸収して減衰するために設けられている。 このような超音波トランスデューサを用いて各種の液体の音速を測定する場合、一対の超音波トランスデューサを所定の間隔を存して対向配置し、一方の超音波トランスデューサから超音波を送波する。そして、液体中を通過した超音波を他方の超音波トランスデューサで受波し、計測回路で送受波に要する時間を計測してその計測時間と両超音波トランスデューサの対向間距離とに基づいて液体の音速を算出する。 この場合に圧電振動子とその背面に設けたバッキング層との音響特性インピーダンス(acoustic characteristic impedance)の差が大きい場合には、両者の界面で音波の反射が起こって圧電体の内部で共振が生じ、その共振に起因して振動が短時間で収束せずに尾を引く現象、いわゆるリンギングが発生する。そして、このようなリンギングが生じると、受波側の信号にリンギング成分が含まれるようになって測定誤差が増加し、時間分解能が低下するなどの不具合を起こす。このため、従来技術では、バッキング層の音響特性インピーダンスを、圧電振動子を構成する圧電体と略同じ音響特性インピーダンスになるように設定して両者を一体接合した超音波トランスデューサが提案されている(例えば、特許文献2参照)。 ところで、超音波トランスデューサに対して駆動パルスを印加する場合、駆動パルスの形状が問題となる。超音波トランスデューサに圧電体が用いられている場合には、印加された電圧パルス(=駆動パルス)と変位が略同じ波形となり、発生する超音波パルスの音圧および粒子速度は、印加電圧パルスの時間微分と略同じ波形となる。すなわち、駆動パルスが矩形波の場合、パルスの立ち上がりの微分は上がって下がる一つの山となり、パルスの立ち下がりでは逆に下がって上がる一つの谷となる。つまり、矩形の駆動パルスを印加した際、パルスに微分値によって音波が発生するため、例えば図5のTd=350nsecの波形のように山と谷の2つの連続した超音波の波形が生じる。なお、トランジスタ等を用いて素子を駆動する場合、駆動電流が限られるので素子の端子間電圧は、その静電容量が大きい場合には矩形パルスとならず三角波状となる。これは発生する超音波パルスの音圧が低下する原因となるので、実施時においては、駆動電流はできるだけ大きく、また素子の静電容量はできるだけ小さくして、端子間電圧をできるだけ矩形波に近づけることが望まれる。パルス幅が広い場合には山と谷とは時間的に分離する。 一方、上記のように各種の液体の音速を測定する場合には超音波トランスデューサに図23(a)に示すような駆動パルスを印加してから超音波を受波するまでに要する時間を測定する。その際、受波側において、例えば、図23(b),(c)に示すように、山の波形のピークあるいは谷のピークの近傍に達する時間T1を計測することは、アンプのゲインや雑音等の影響を受け易く、測定精度が劣化し易い。このため、従来より図23(d),(e)に示すように、山から次の谷に向かって立ち下がる振幅零の点を横切る時点、いわゆるゼロクロス点までの時間T2を検出することが行われている。特開平15−259490号公報特開2003−37896号公報 上述のように、受波した信号のゼロクロス点を精度良く検出するためには、ゼロクロス点における波形の傾きができるだけ急峻であることが望ましい。しかし、従来技術では、超音波トランスデューサに印加する駆動パルスの波形、特にパルス幅について十分な検討が加えられておらず、そのため、ゼロクロス点を検出する際の検出位置が不明確になるなどして測定誤差が増加し、時間分解能が低下するなどの不具合を生じていた。 また、特許文献2に開示されている従来技術のように、バッキング層の音響特性インピーダンスを、圧電振動子を構成する圧電体と略同じ音響特性インピーダンスに設定した場合には、両者の界面での反射をある程度まで抑えることが可能になる。 しかしながら、その場合においてもバッキング層の圧電振動子との境界側と反対側にある開放側端面で超音波の反射が起こるので、この反射成分が受波側に送波されると測定誤差の要因となる。したがって、このようなバッキング層の開放側端面での反射の影響を受けないようにする必要がある。 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、ゼロクロス点の検出精度を高めることができ、また、バッキング層の開放側端面での反射の影響などを受けないようにして、従来よりも超音波の測定精度を向上させることが可能な超音波トランスデューサの駆動方法を提供することを目的とする。 上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、圧電体を挟んで一対の電極が形成されてなる圧電振動子を有し、この圧電振動子の一方の電極に接して前記圧電体と同じ音響特性インピーダンスを有するバッキング層が設けられた超音波トランスデューサについて、前記一対の電極で挟まれた圧電体内を超音波が伝搬する時間をTh、前記圧電振動子を駆動する駆動パルスのパルス幅をTdとしたとき、 2Th≦Td≦6Thの条件を満たすように駆動することを特徴とする。 請求項2記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、請求項1に記載の駆動方法において、前記一対の電極で挟まれた圧電体の厚さをL1、前記バッキング層の厚さをL2、前記圧電体およびバッキング層の内部を超音波が伝搬する際の音速をVとしたとき、 Td<(2L2+L1)/Vの条件を満たすように設定されていることを特徴とする。 請求項3記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、請求項1または請求項2に記載の駆動方法において、超音波送波対象となる物質を挟んで一対の超音波トランスデューサを対向配置した場合において、両超音波トランスデューサの対向間距離をX、前記圧電振動子の超音波放射面の短辺の長さあるいは直径を2R、前記物質内を伝搬する超音波の音速をVMとしたとき、前記物質内を伝搬する超音波の波長をλとすると、λ=(VM×Td)で表され、 (R2+X2)1/2−X>(VM×Td)の条件を満たすように設定されていることを特徴とする。 請求項4記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の駆動方法において、前記圧電振動子の超音波放射面と超音波送波対象となる物質との間にこれらとは異なる物質からなる隔壁が介在する場合において、この隔壁の厚さをLw、その隔壁内を超音波が伝搬する際の音速をVwとしたとき、 Td<2Lw/Vwの条件を満たすように設定されていることを特徴とする。 請求項5記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、請求項4に記載の駆動方法において、前記隔壁の音響特性インピーダンスは、前記圧電振動子の音響特性インピーダンスと前記超音波送波対象となる物質の音響特性インピーダンスとの間の値となるように設定されていることを特徴とする。 請求項1記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法によれば、送波側において一定の条件を満たすように駆動パルスのパルス幅を設定することにより、受信側においてゼロクロス点における波形の傾斜を急峻に保つことができる。このため、ゼロクロス点の検出精度を高めることができる。これにより、従来よりも超音波を受信する際の時間分解能が向上し、精度良い音速測定が可能になる。 請求項2記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法によれば、送波側において一定の条件を満たすように駆動パルスのパルス幅あるいはバッキング層の厚さを設定することにより、受信側において超音波送波時のバッキング層の開放側端面での反射の影響を受けなくなるので、従来よりも音速測定精度を向上させることが可能になる。 請求項3記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法によれば、一定の条件を満たすように一対の超音波トランスデューサ間の距離Xを設定することで、超音波の受信は近距離音場内で行われるため、回折波の影響を除くことができ、従来よりも音速測定精度を向上させることが可能になる。 請求項4記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法によれば、圧電振動子の超音波放射面と超音波送波対象となる物質との間にこれらとは異なる物質からなる隔壁が介在する場合において、駆動パルスのパルス幅あるいは隔壁の厚さを一定の条件を満たすように設定することにより、受信側において隔壁で生じる反射の影響を除くことができ、従来よりも超音波を受信する際の時間分解能が向上し、精度良い音速測定が可能になる。 請求項5記載の発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法によれば、隔壁の音響特性インピーダンスを圧電振動子の音響特性インピーダンスと超音波送波対象となる物質の音響特性インピーダンスとの間の値となるように設定することにより、隔壁での超音波の反射による減衰量を小さくすることができ、超音波を効率良く受信側に向けて送波することができる。 本発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、圧電体を挟んで一対の電極が形成されてなる圧電振動子を有し、この圧電振動子の一方の電極に接して圧電体と同じ音響特性インピーダンスを有するバッキング層が設けられた超音波トランスデューサについて、一対の電極で挟まれた圧電体内を超音波が伝搬する時間をTh、圧電振動子を駆動する駆動パルスのパルス幅をTdとしたとき、 2Th≦Td≦6Th (1)の条件を満たすように駆動する。 各種の液体の音速を測定する場合、受波した信号のゼロクロス点を精度良く検出するためには、ゼロクロス点における波形の傾きができるだけ急峻であることが好ましい。すなわち、駆動パルスのパルス幅Tdが広過ぎる場合にはゼロクロス点における波形の傾斜が穏やかになってゼロクロス点が不明確になり、また、パルス幅Tdが極端に狭いときには信号のレベルが低くなるためS/N比が劣化し、加えて山から谷への変化度合いが小さくなって、やはりゼロクロス点の波形の傾斜が穏やかになってゼロクロス点が不明確になる。これに対して、上記の条件(1)を満たすように駆動パルスのパルス幅Tdを設定した場合には、ゼロクロス点における波形の傾斜を急峻にできるため、ゼロクロス点の検出精度を高めることができ、従来よりも超音波の測定精度を向上させることができる。 また、本発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、上記の駆動方法を採用する場合において、一対の電極で挟まれた圧電体の厚さをL1、バッキング層の厚さをL2、圧電体およびバッキング層の内部を超音波が伝搬する際の音速をVとしたとき、 Td<(2L2+L1)/V (2)の条件を満たすように設定する。 上記の条件(2)を満たすようにバッキング層の厚さL2を予め設定しておけば、圧電振動子から直接発生した超音波とバッキング層の開放端面で反射した超音波とを受信側において時間的に分離することができる。したがって、バッキング層の開放側端面で反射した超音波の影響を除くことができるため、従来よりも音速測定精度を向上させることができる。なお、バッキング層の厚さL2を設定する代わりに、上記の条件(2)を満たすように駆動パルスのパルス幅Tdを設定してもよい。なお、送波器と同様の構造を有する超音波トランスデューサを受波器に用いる場合にも受波器を(2)の条件を満たすように設定するとよい。 さらに本発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、超音波送波対象となる物質を挟んで一対の超音波トランスデューサを対向配置した場合において、両超音波トランスデューサの対向間距離をX、圧電振動子の超音波放射面の短辺の長さあるいは直径を2R、物質内を伝搬する超音波の音速をVMとしたとき、物質内を伝搬する超音波の波長をλとすると、λ=(VM×Td)で表され、 (R2+X2)1/2−X>(VM×Td) (3)の条件を満たすように設定する。 すなわち、送波される超音波には、送波面全面から同時に放射される直接波と、送波面のエッジ部分から放射される逆極性の回折波とが存在するが、上記の条件(3)を満たすように一対の超音波トランスデューサ間の距離Xを設定することで、超音波の受信は近距離音場内で行われるため、回折波の影響を時間的に分離して取り除くことができ、従来よりも音速測定精度を向上させることが可能になる。 さらにまた本発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、圧電振動子の超音波放射面と超音波送波対象となる物質との間にこれらとは異なる物質からなる隔壁が介在する場合において、この隔壁の厚さをLw、その隔壁内を超音波が伝搬する際の音速をVwとしたとき、 Td<2Lw/Vw (4)の条件を満たすように設定する。 上記の条件(4)を満たすように隔壁の厚さLwを予め設定しておけば、受信側において隔壁で生じる反射の影響を除くことができる。つまり、圧電振動子から直接発生した超音波と隔壁の端面で反射した超音波とを受信側において時間的に分離することができる。したがって、従来よりも超音波を受信する際の時間分解能が向上し、精度良い音速測定が可能になる。なお、隔壁の厚さLwを設定する代わりに、上記の条件(4)を満たすように駆動パルスのパルス幅Tdを設定してもよい。 また、本発明に係る超音波トランスデューサの駆動方法は、隔壁の音響特性インピーダンスを、圧電振動子の音響特性インピーダンスと超音波送波対象となる物質の音響特性インピーダンスとの間の値となるように設定する。これにより、隔壁での超音波の反射による減衰量を小さくすることができ、超音波を効率良く受信側に向けて送波することができる。当然ではあるが、送波器と同様の構造の超音波トランスデューサを受波側に用いる場合にも、隔壁の厚さLwや音響特性インピーダンスを上記のように設定することが好適である。 以下、上記の超音波トランスデューサの駆動方法を採用する根拠となる具体的な実施例について説明する。 図1はこの実施例1における超音波トランスデューサの構成を示すもので、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のZ−Z線に沿う断面図、図2はこの超音波トランスデューサの電極の具体的な寸法形状を示す平面断面図である。 この実施例1の超音波トランスデューサ1は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のセラミック材料からなる圧電体3を備えるとともに、この圧電体3の内部には所定の間隔を存して一対の電極4,5が形成されている。そして、上記の一対の電極4,5で挟まれた圧電体3の部分は分極処理されて圧電活性部31として構成されている。そして、この圧電活性部31、および一対の電極4,5によって圧電振動子2が構成されている。 さらに、この圧電振動子2の一方の電極5の外側に位置する圧電体の部分はバッキング層32として形成され、また、他方の電極4の外側には薄肉の表皮部33が設けられている。したがって、圧電振動子2を構成する圧電活性部31、バッキング層32、および表皮部33は共に一体化されていて音響特性インピーダンスが同じになっている。なお、バッキング層32や表皮部33は未分極の非活性状態であるが、分極処理されていてもよい。また、圧電体2の電極形成面と直交する側の端面には、各電極4,5の引出部4a,5aに対して個別に接続された外部接続電極7,8が形成されている。 この実施例1では、上記構成を有する超音波トランスデューサ1を次のようにして製作した。まず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電セラミックの粉に水やバインダを加えてシート状に形成した。このセラミックシートの一層当たりの厚さは焼結前で約65μm、焼結後で約40μmであった。電極4,5に相当する部分にはスクリーン印刷法により、銀−パラジウムペーストを印刷した。焼成条件等により、パラジウムの量は0〜80%の範囲で選定されるが、ここでは30%とした。 上記のシートを用いて圧電活性部分31形成のために4層、バッキング層32形成のために37層、表皮部33形成のために1層のセラミックシートを積層し、最高で約1000℃の温度で一体焼成した。焼成後の超音波トランスデューサ1全体の寸法は、6×9×1.7mmであり、そのときの圧電活性部31の厚さは約160μm、バッキング層32の厚さは約1.5mm、表皮部33の厚さは約40μmであった。また、図2に示すように、各電極4,5の厚さは1〜2μmで、各電極4,5の圧電活性部31に対面する部分の寸法は5・5mmの正方形であり、また引出部分4a,5aは幅が0.5mmで、互いに圧電活性をもたないように互いに位置をずらせている。 次に、各電極4,5と外部との電気的接続をとるために、電極4,5の引出部4a,5aが側面に露出する部分に外部接続電極6,7を形成した。外部接続電極6,7は、銀粉末とガラス粉末とからなる電極ペーストを塗布し、約800℃で焼成して形成した。なお、金属膜を蒸着やスパッタなどの真空技術を用いた方法で形成することもできる。そして、両外部接続電極6,7の間に480Vの直流電圧を印加して分極処理を行った。 このようにして作成された超音波トランスデューサ1を、図3に示すように水槽10中に設置し、超音波トランスデューサ1から放射された超音波をPVDFハイドロホン11で受波し、前段増幅器12を介してデジルタオシロスコープ13で受波波形を観測した。超音波トランスデューサ1の駆動は、パルス発生器14により種々のパルス幅をもつ単発パルスを発生させ、このパルスをドライバ15を介して超音波トランスデューサ1に印加した。すなわち、図4に示すように、単発のパルスをドライバ15のインバータを利用した増幅器15aを介して直接一方の電極4に、また、増幅器15aで増幅後のパルスをインバータ15bを介してレベル反転させた後に他方の電極5にそれぞれ印加するようにした。なお、インバータを2個用いず、1個だけ用いた場合でも基本動作は同様である。つまり、本発明は駆動方式に依らずパルス幅の制御が重要である。 図5は種々のパルス幅Tdをもつ単発パルスを超音波トランスデューサ1の両電極に印加して超音波を送波したときの伝搬距離X=5mmで観測された波形を示している。また、図6は駆動パルスのパルス幅Tdを変化させた場合の受波波形の山のピークと谷のピークの各音圧を測定した結果である。 これらの図から分かるように、パルス幅Tdが80nsec未満の小さな範囲では山と谷の各振幅も小さくて変化度合いが緩やかで、山と谷とで非対称な波形となっており、ゼロクロス点が不明確である。また、パルス幅Tdが250nsecよりも大きくなると、超音波波形の山と谷とが分離してしまってゼロクロス点における波形の傾斜が穏やかになってゼロクロス点を検出する際の検出位置が不明確になる。 これに対して、パルス幅Tdが80nsec〜250nsecの間にあるときには、超音波波形の山と谷の対称性も良くて山から谷へと変化するゼロクロス点における波形の傾きが比較的急峻であり、ゼロクロス点を精度良く検出することができる。 この実施例1の場合、圧電振動子2を構成する圧電活性部31の厚さは約160μmで、そのときの音速は約4000m/sなので、圧電活性部31の伝搬時間Thは約40nsecである。そして、上記のようにパルス幅Tdが80nsec〜250nsecの間にあるときにゼロクロス点の検出精度が良好であることから、パルス幅Tdを伝搬時間Thで規格化すると、ゼロクロス点が明確に検出できるのは、駆動パルスのパルス幅Tdを圧電活性部32を通過する超音波の伝搬時間Thの2倍〜6倍の範囲に設定した場合であることが分かる。したがって、2≦(Td/Th)≦6、すなわち前述の条件(1)を満たすように駆動パルスのパルス幅Tdを設定して駆動すればゼロクロス点を明確に検出することができる。 さらにゼロクロス点を明確に検出する上での最適な範囲は、2≦(Td/Th)≦3である。その理由について、図24ないし図26を参照して説明する。 まず、理想的な場合を考える。超音波トランスデューサ1に図24(a)に示す駆動パルス(パルス幅Td)が印加された場合、そのときの変位波形は同図(b)に示すようになる。また、このとき、超音波トランスデューサ1から発生される音波の波形は同図(c)に示すようになる。この場合、駆動パルスの立ち上がりおよび立ち下がりで変位波形がそれぞれThの時間を要するとすれば、音波波形の山の幅と谷の幅も同じThになる。そして、超音波波形の山と谷の対称性が良くて山から谷へと変化するゼロクロス点における波形の傾きが急峻であるためには、超音波波形の山と谷との時間間隔Tg≒0のときである。したがって、図25(a)に示すようにTd=Thのときに、同図(b)に示すように最適な超音波波形となる。 ところが、実際の駆動パルスは、図26(a)に示すようにコンデンサに充電された電荷を抵抗を介して放電するような波形になるため、信号の立ち上がり時間Trを考慮すると、超音波トランスデューサ1の変位波形は、同図(b)に示すように圧電体3に駆動パルスが印加され始めてから終わるまでの時間としてTr+Thを要する。そのため、超音波トランスデューサ1から発生される音波の波形は同図(c)に示すようになる。この場合もゼロクロス点における波形の傾きが急峻であるためには、超音波波形の山と谷との時間間隔Tg≒0のときである。したがって、 Td=Tr+Th (イ)のときが実際上において最適な超音波波形となる。 ところで、図26に示す信号の立ち上がり時間Trは、実際の使用条件や回路構成などに左右されるが、必要最小限の電流源で最大電圧を得る条件は、Th=Trのときである。この条件を上記の(イ)式に適用すると、Td=2Th、すなわちTd/Th=2となる。実際にはTrはThよりも幾分大きくなるため、Td/Th=2はゼロクロス点を明確に検出する上での最適な範囲の下限値を示すものとなる。 一方、ゼロクロス点を明確に検出する上での最適な範囲の上限値は、Trの大きさ次第であるが、図5に示した実験結果よりTd/Th=6(すなわちTd=250nsec)が上限値であることが分かる。ただし、図5から読み取れるように、Td/Th=6では超音波波形の山と谷とが幾分分離してしまってゼロクロス点がやや不明確になっている。したがって、一層望ましいのは図5に示した実験結果よりTd/Th=3(すなわちTd=120nsec)である。 図7は図1に示した構成の超音波トランスデューサ1において、超音波が圧電振動子2の放射面から直接発射される超音波と、バッキング層32の開放端面32aで反射して再び圧電振動子2を通過して発射される超音波との関係を示している。また、図8は超音波トランスデューサ1に加える駆動パルスと超音波を受波したときの波形とを比較して示している。 超音波を受波したときの波形において、山の立ち上がり時点からゼロクロス点までの時間は駆動パルスのパルス幅Tdに略一致する。したがって、圧電振動子2で発生した超音波がバッキング層32の開放端面32aで反射して再び圧電振動子2の放射面にまで戻ってくるまでに要する時間Teが駆動パルスのパルス幅Tdよりも大きければ(Te>Td)、圧電振動子2の放射面から直接発生した超音波とバッキング層32の開放端面32aで反射した超音波とを受信側において時間的に分離することができる。 ここに、圧電活性層31の厚さをL1、バッキング層32の厚さをL2、圧電活性層31およびバッキング層32の内部を超音波が伝搬する音速をVとすると、Te=(2L2+L1)/Vである。したがって、(2L2+L1)/V>Td、すなわち前述の条件(2)を満たすようにバッキング層32の厚さL2を予め設定しておけば、バッキング層32の開放端面で反射する超音波の影響を除くことができる。なお、バッキング層の厚さL2を設定する代わりに、上記の条件(2)を満たすように駆動パルスのパルス幅Tdを設定してもよい。 図9,図10は実施例1,2で説明した構成および条件で駆動される一対の超音波トランスデューサを所定の間隔を存して対向配置して超音波送受波器を構成する場合の説明図である。 図9に示した超音波送受波器20は、圧電体3の内部に一対の対向する電極4a,5aおよび4b,5bを2組形成した後、上下各組の電極4a,5aおよび4b,5bの間に位置する中央部分を切削加工等等によってコの字形に切り欠くことにより、図1に示したのと同じ構造を有する一対の超音波トランスデューサ1a,1bを支持部34を介して一体的に連結した構成としている。 したがって、上方に位置する一対の電極4a,5aとこれらの電極4a,5aで挟まれた圧電体の部分、つまり圧電活性部31aにより圧電振動子2aが構成されるとともに、一方の電極5aの背面側にバッキング層32aが形成されて一方側の超音波トランスデューサ2aが構成されている。同様に、下方に位置する一対の電極4b,5bとこれらの電極4b,5bで挟まれた圧電体の部分、つまり圧電活性部31bにより圧電振動子2bが構成され、一方の電極5bの背面側にバッキング層32bが形成されて他方側の超音波トランスデューサ2bが構成されている。この構成の超音波送受波器20は、製作工数が少なくてすみ、また、両超音波トランスデューサ1a,1bのアライメントが容易であるという利点がある。 図10に示した超音波送受波器21は、それぞれ図1に示したのと略同じ構造を有する一対の超音波トランスデューサ1a,1bをスペーサ22および接着剤を用いて接合してコの字形に形成したものである。 ここで、図9あるいは図10に示した超音波送受波器20,21において、一対の超音波トランスデューサ1a,1bの超音波放射面の対向間距離Xは、次のように設定するのが望ましい。 いま、図11に示すように一方(例えば下側)の超音波トランスデューサ1bから他方(ここでは上側)の超音波トランスデューサ1aに向けて超音波を送波するとした場合、送波される超音波には、下側の超音波トランスデューサ1bの送波面全面から放射される直接波と、これと同時に送波面のエッジ部分から放射される逆極性の回折波とが存在する。 直接波と回折波とが受波側の超音波トランスデューサ1aに重なることなく到達するときには、図12(a)に示すように、受波波形の山から谷へのゼロクロス点が明瞭であるが、直接波と回折波とが受波側の超音波トランスデューサ1aに重なって到達すると、図12(b)に示すように、受波波形に山から谷および谷から山への前後2つのゼロクロス点が連なって存在するようになるなどして、ゼロクロス点を精度良く検出することが難しく、超音波を受信する際の時間分解能の低下を招く。 ここで、下側の超音波トランスデューサ1bの超音波送波面中心から上側の超音波トランスデューサ1aの超音波受波面中心の間を結ぶ音軸23上の対向間距離をX、超音波放射面の電極4bの短辺の長さ(電極4bが円形の場合には直径)を2R、上下の超音波トランスデューサ1a,1bで挟まれた物質内を伝搬する超音波の音速をVMとすると、物質内を伝搬する超音波の波長λは、λ=VM×Tdで表され、一方の超音波トランスデューサ1bの超音波送波面のエッジから他方の超音波トランスデューサ1aの超音波受波面の音軸23上までの距離は、(R2+X2)1/2で表される。 いま、下側の超音波トランスデューサ1bの超音波送波面の中心から放射された超音波が距離Xを進んで受波側の超音波トランスデューサ1aに到達した場合、エッジから放射された回折波も同じ距離Xを進むが、この直接波と回折波とを時間的に分離するためには、直接波が受波側の超音波トランスデューサ1aに到達した時点における回折波との距離の差Δ=(R2+X2)1/2−Xが、物質内を伝搬する超音波の音速をVMと駆動パルスのパルス幅Tdとの積VM×Td、すなわち、超音波の波長λ以上離れていることが必要である。 したがって、Δ>λ、すなわち前述の条件(3)を満たすように対向間距離Xを設定しておけば、直接波と回折波とを時間的に分離でき、ゼロクロス点を精度良く検出することができる。なお、この場合、上記の距離の差Δは、出来るだけ波長λよりも大きな値をとることが望ましい。すなわち、近距離音場内であるこが望ましく、Δが小さくなり過ぎると(つまり対向間距離Xが大きくて遠距離音場になると)直接波と回折波との分離ができなくなる。なお、受波側の超音波トランスデューサが大きい場合には、直接波と回折波の分離ができない場合でも受波することになるが、直接波は受波面全て同じ位相で入射するのに対し、回折波は連続的に異なる位相で入射するので、結果として回折波の影響は非常に小さくなる。 図13は、超音波送波面の短辺長さ、もしくは直径2Rをパラメータとし、λ=Δ{√(R2+X2)}−Xをプロットしたグラフである。このグラフの下側にあれば近距離音場、上側にあれば遠距離音場である。 この実施例4では、図9および図10に示した実施例3の構成を備えた超音波送受器の各種の特性について検討した。 図14は、図9に示した構成の超音波送受波器20を用いて、水温によって変化する水中の超音波伝搬時間を測定した結果を示したものである。なお、ここでは70℃の値を0nsecとして示している。また、同図中の計算値は超音波トランスデューサ1a,1b間の距離X≒1.4mmと文献値から求めたものである。図14から分かるように、測定結果と計算値との差は小さく、繰り返し測定精度も良いことが理解される。 図15は、図10に示した構成の超音波送受波器21を用いて、水温によって変化する水中の超音波伝搬時間を測定した結果を示したものである。なお、同図(a)は一対の超音波トランスデューサ1a,1bとスペーサ22とをエポキシ樹脂で接着して一体化したものであり、また、同図(b)は一対の超音波トランスデューサ1a,1bとスペーサ22とをガラスで接着して一体化したものである。 両者を比較すると、スペーサ22をガラスで接着したものの方が、文献値との誤差が小さく、繰り返し精度も良いと言える。一方、エポキシ樹脂で接着したものは、ばらつきや文献値との差が大きく、高い時間分解能が要求される場合には不適である。その原因としては、水温の変化による樹脂の変形により、一対の超音波トランスデューサ1a,1b間の距離が変動したためと推察される。 この実施例5では、図9および図10に示した実施例3の構成を備えた超音波送受器20,21を使用する場合において、例えば図16に示すように、一対の超音波トランスデューサ1a,1bと音速計測対象となる液体等の物質24との間にパイプなどの隔壁25が存在することがあるので、その隔壁25の影響について検討したものである。ここでは、隔壁25として厚さLw=0.2mmのポリカーボネートを、超音波が伝搬する物質24として水を使用した。隔壁25となるポリカーボネートの音速は約2330m/sであった。 図17(a)は図9に示した構成の超音波送受波器20をそのままの状態で水中に漬けた状態で超音波の伝搬を測定した結果であり、図17(b)は超音波送受波器20と水24との間に隔壁25を設けた状態で超音波の伝搬を測定した結果である。図17(a),(b)において、上段の曲線は振幅4.5V、時間幅100nsecの駆動パルスの波形、中段の曲線は受波側の超音波トランスデューサ1aに伝搬した信号を20倍に増幅したときの波形、下段の曲線は中段の曲線の符号Pで示す部分を拡大したものである。なお、超音波送受波器20と隔壁25にはエポキシ樹脂やシリコンゴム等の接着剤を薄く塗布している。 図17から分かるように、隔壁25が存在する場合でも超音波の送受波は可能であり、受波した波形の振幅には大きな変動は見られない。しかし、超音波送受波器20と水24との間に隔壁25が存在する場合には、図18に示すように、送波側の超音波トランスデューサ1bの送波面からの直達波と隔壁25の端面で反射した超音波とが共に受波される。図17(b)にはそのような直達波と隔壁の端面で反射した超音波とが共に受信された状態が現れている。したがって、直達波と反射波とが重なった状態で受波されるとゼロクロス点の位置を精度良く検出することが難しくなる。 送波側の超音波トランスデューサ1bからの直達波と隔壁25の端面で反射した超音波とを受信側において時間的に分離するためには、駆動パルスのパルス幅Tdよりも隔壁25内を超音波が往復するのに要する時間Twが長いこと(Tw>Td)が必要である。したがって、図18において、隔壁25の厚さをLw、その隔壁25内を超音波が伝搬する際の音速をVwとすると、Tw=2Lw/Vwなので、2Lw/Vw>Td、すなわち前述の条件(4)を満たすように隔壁25の厚さLwを設定しておけば、直達波と反射波とを時間的に分離でき、ゼロクロス点を精度良く検出することができる。 このような観点からポリカーボネートからなる隔壁25の厚さが0.2mmと0.5mmのものについてそれぞれ超音波の伝搬を測定した。その結果を図19に示す。図19(a)は隔壁25の厚さLw=0.2mmの場合、図19(b)は隔壁25の厚さLw=0.5mmの場合である。各図とも上段の曲線は振幅4.5V、時間幅100nsecの駆動パルスの波形、中段の曲線は受波側の超音波トランスデューサ1aに伝搬した信号を20倍に増幅したときの波形、下段の曲線は中段の曲線の符号Pで示す部分を拡大したものである。図19(a),(b)を比較すると分かるように、上記(4)の条件を満たすように隔壁25の厚さLwを設定すれば、直達波に対する反射波の影響が除かれることが理解される。 この実施例6では、上記の実施例5のように、超音波送受波器20,21を構成する一対の超音波トランスデューサ1a,1bと音速計測対象となる物質24との間にパイプなどの隔壁25が存在する場合において、その隔壁25の材質の影響について検討したものである。 ここでは、隔壁25の材料としてポリカーボネートと液晶ポリマをそれぞれ使用し、隔壁25は共に厚さをLw=0.5mmとし、また、超音波が伝搬する物質24として水を用いて超音波の伝搬状態を測定した。その結果を図20に示す。図20(a)は隔壁25がポリカーボネートの場合、図20(b)は隔壁25が液晶ポリマの場合である。各図とも上段の曲線は振幅4.5V、時間幅100nsecの駆動パルスの波形、中段の曲線は受波側の超音波トランスデューサ1aに伝搬した信号を20倍に増幅したときの波形、下段の曲線は中段の曲線の符号Pで示す部分を拡大したものである。この結果から分かるように、隔壁25の材質としては、ポリカーボネートだけでなく液晶ポリマを使用しても超音波の送受波が可能であり、そのS/N比も良好である。 図21に示すように、隔壁25となるポリカーボネートと液晶ポリマのいずれの材料も、その音響特性インピーダンスは超音波トランスデューサ1a,1bを構成する圧電セラミックの音響特性インピーダンスと超音波送波対象となる物質24(ここでは水)の音響特性インピーダンスとの間の値になっている。このため、隔壁25での超音波の反射による減衰量を小さくすることができ、超音波を効率良く受信側に向けて送波することができる。 なお、図9あるいは図10に示した超音波送受波器20,21を実際に使用する場合には、例えば、図22に示すような形状の流管27を使用することができる。図22(a)は流管27に超音波送受波器20,21を取り付けた状態を一部切除して示す正面図、図22(b)は同側面図、図22(c)は同図(a)のY−Y線に沿う断面図である。 この流管27は、ポリカーボネート製のもので、長手方向に沿って内部に長方形の流路27aが形成され、また、左右の側部にはそれぞれ凹部27b,27cが形成されている。そして、これらの各凹部27b,27cに図9あるいは図10に示した超音波送受波器20,21の各超音波トランスデューサ1a,1bが対向するようにして取り付けることで、流路27a内を流れる液体の音速を測定することができる。 このような流管27を使用すれば、流路27aを流れる腐食性の液体の流速を測定する場合でも超音波送受波器20,21の信頼性を損なうことなく測定することができる。また、この流管27には例えば温度測定機能を備えた集積回路をさらに取り付ることで、流管27、超音波送受波器20または21、集積回路が一体化されたモジュールとして構成することも可能である。また、このような構造をとることによって図10のスペーサ部22を省くことができ、より簡単な構成が可能となる。 なお、上記の実施例1〜6において、超音波トランスデューサ1,1a,1bの圧電体3として圧電セラミックスを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば高分子PVDF圧電体などを適用することができる。 本発明の超音波トランスデューサの駆動方法は液体等の媒体中を伝搬する音速を測定する場合の超音波トランスデューサに利用することが可能である。本発明の実施例1における超音波トランスデューサの構成を示すもので、同図(a)は断面図、同図(b)は同図(a)のZ−Z線に沿う断面図である。図1に示した超音波トランスデューサの電極の具体的な寸法形状を示す平面断面図である。図1に示す構成の超音波トランスデューサにより送波される超音波の受波波形を観察するために使用する装置の構成図である。同装置を用いて超音波トランスデューサの駆動パルスを印加する場合の説明図である。図3に示した装置を用いて超音波トランスデューサの駆動パルスのパルス幅を変化させた場合に得られる超音波の受波波形を示す図である。図3に示した装置を用いて超音波トランスデューサの駆動パルスのパルス幅を変化させた場合に得られる超音波の受波波形の山のピークと谷のピークの各音圧を測定した結果を示す特性図である。図1に示した構成の超音波トランスデューサにおいて、超音波が圧電振動子の放射面から直接発射される超音波と、バッキング層の開放端面で反射して再び圧電振動子2を通過して発射される超音波との関係を示す説明図である。超音波トランスデューサに加える駆動パルスと超音波を受波したときの波形とを比較して示す説明図である。実施例1,2で説明した構成および条件で駆動される一対の超音波トランスデューサを所定の間隔を存して対向配置して超音波送受波器を構成する場合の説明図である。実施例1,2で説明した構成および条件で駆動される一対の超音波トランスデューサを所定の間隔を存して対向配置して他の超音波送受波器を構成する場合の説明図である。図9あるいは図10に示した超音波送受波器において、超音波放射に伴って生じる直接波と回折波とを分離するための対向間距離を設定する場合の説明図である。図11において一対の超音波トランスデューサの対向間距離を変えた場合に生じる受波波形を示す特性図である。超音波送波面の短辺長さ、もしくは直径2Rをパラメータとし、Δ={√(R2+X2)}−Xをプロットしたグラフである。図9に示した構成の超音波送受波器を用いて、水温によって変化する水中の超音波伝搬時間を測定した結果を示す特性図である。図10に示した構成の超音波送受波器を用いて、水温によって変化する水中の超音波伝搬時間を測定した結果を示す特性図である。一対の超音波トランスデューサと計測対象となる物質との間に隔壁が存在する場合の状況を模式的に示す説明図である。図9に示した構成の超音波送受波器を使用して隔壁の有無に応じて超音波の伝搬状況を測定した結果を示す特性図である。一対の超音波トランスデューサと計測対象となる物質との間に隔壁が存在する場合において、隔壁の存在により超音波が反射を起こす状況を模式的に示す説明図である。一対の超音波トランスデューサと計測対象となる物質との間に隔壁が存在する場合において、隔壁厚さが異なる場合の超音波の伝搬状況を測定した結果を示す特性図である。図9に示した構成の超音波送受波器を使用して隔壁の材質の違いに応じて超音波の伝搬状況を測定した結果を示す特性図である。各種材料の密度、音速、音響特性インピーダンスの関係を示す説明図である。図9あるいは図10に示した超音波送受波器を使用する場合に適用される流管を示すもので、同図(a)は超音波送受波器を取り付けた状態を一部切除して示す正図、同図(b)は同側面図、同図(c)は同図(a)のY−Y線に沿う断面図である。超音波トランスデューサを用いて物質の音速を測定する場合の駆動パルスと受波した超音波の波形、および計測パルスの関係を示すタイミングチャートである。本発明の超音波トランスデューサの駆動方法において、駆動パルスのパルス幅の最適な範囲を設定するための説明に供する波形図である。本発明の超音波トランスデューサの駆動方法において、駆動パルスのパルス幅の最適な範囲を設定するための説明に供する波形図である。本発明の超音波トランスデューサの駆動方法において、駆動パルスのパルス幅の最適な範囲を設定するための説明に供する波形図である。符号の説明 1,1a,1b 超音波トランスデューサ 2,2a,2b 圧電振動子 3 圧電体 31,31a,31b 圧電活性部 4,4a,4b 電極 5,5a,5b 電極 20,21 超音波送受波器 24 音速計測対象となる物質 25 隔壁 圧電体を挟んで一対の電極が形成されてなる圧電振動子を有し、この圧電振動子の一方の電極に接して前記圧電体と同じ音響特性インピーダンスを有するバッキング層が設けられた超音波トランスデューサを駆動する方法であって、 前記一対の電極で挟まれた圧電体内を超音波が伝搬する時間をTh、前記圧電振動子を駆動する駆動パルスのパルス幅をTdとしたとき、 2Th≦Td≦6Thの条件を満たすように駆動することを特徴とする超音波トランスデューサの駆動方法。 前記一対の電極で挟まれた圧電体の厚さをL1、前記バッキング層の厚さをL2、前記圧電体およびバッキング層の内部を超音波が伝搬する際の音速をVとしたとき、 Td<(2L2+L1)/Vの条件を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波トランスデューサの駆動方法。 超音波送波対象となる物質を挟んで一対の超音波トランスデューサを対向配置した場合において、両超音波トランスデューサの対向間距離をX、前記圧電振動子の超音波放射面の短辺の長さあるいは直径を2R、前記物質内を伝搬する超音波の音速をVMとしたとき、 前記物質内を伝搬する超音波の波長をλとすると、λ=(VM×Td)で表され、 (R2+X2)1/2−X>(VM×Td) の条件を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波トランスデューサの駆動方法。 前記圧電振動子の超音波放射面と超音波送波対象となる物質との間にこれらとは異なる物質からなる隔壁が介在する場合において、この隔壁の厚さをLw、その隔壁内を超音波が伝搬する際の音速をVwとしたとき、 Td<2Lw/Vwの条件を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサの駆動方法。 前記隔壁の音響特性インピーダンスは、前記圧電振動子の音響特性インピーダンスと前記超音波送波対象となる物質の音響特性インピーダンスとの間の値となるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波トランスデューサの駆動方法。