生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ペクチンの製造方法
出願番号:2006511138
年次:2010
IPC分類:C12P 19/04,C08B 37/06,A61K 8/60,A61P 17/16


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加藤 嘉博 松原 浩一 多葉田 誉 JP 4430668 特許公報(B2) 20091225 2006511138 20050221 ペクチンの製造方法 北海道三井化学株式会社 501123547 速水 進治 100110928 佐藤 浩司 100127074 加藤 嘉博 松原 浩一 多葉田 誉 JP 2004087499 20040324 20100310 C12P 19/04 20060101AFI20100218BHJP C08B 37/06 20060101ALN20100218BHJP A61K 8/60 20060101ALN20100218BHJP A61P 17/16 20060101ALN20100218BHJP JPC12P19/04 ZC08B37/06A61K8/60A61P17/16 C12P 19/04 CA/BIOSIS/MEDLINE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第99/003892(WO,A1) 特開2001−294509(JP,A) 特開平07−149627(JP,A) 特開2003−199534(JP,A) 国際公開第02/098372(WO,A1) 5 JP2005002706 20050221 WO2005090410 20050929 22 20060920 松原 寛子 本発明は、細胞培養物から得られるペクチンとそれを含有する化粧料に関するものである。更に詳しくは、ニゲラ属植物の細胞培養物から得られるペクチンと保湿剤として使用される高分子量のペクチンに関するものである。 多くの植物の各器官にはペクチン質と呼ばれる多糖類が含まれ、分裂組織や柔組織に多く存在している。ペクチン質とは植物体内または植物体から得られるコロイド状炭水化物で、ガラクツロン酸基を多く含み、それが鎖状結合している一群の物質である。その存在形態は植物の細胞壁成分としてセルロース、ヘミセルロース、リグニン、タンパク質、無機質などと結合し、水に不溶のプロトペクチンと呼ばれる形である。ペクチン質の中で水溶性であり、適当な条件で糖及び酸とゲル化する物質がペクチンと呼ばれる。 ペクチンの一般的な製造は(1)植物出発材料からの高温酸性下での抽出、(2)液体抽出物の精製、及び(3)液体からの抽出ペクチンの単離の工程からなる。その中で、酸抽出段階では、植物材料を硝酸、硫酸、塩化水素酸または他の無機もしくは有機酸のような希釈酸を用い、通常、pH1〜2、温度80℃〜100℃の条件で処理する。一般に用いられる植物出発材料は、ジュースの製造で得られる柑橘類の果皮並びにリンゴジュースおよびリンゴ酒製造で得られるリンゴの絞りかすが使用されているが、それらの植物出発材料から得られるペクチンの分子量は6×104〜2×105にしかすぎない。 植物細胞を液体培地中で培養することによって、ペクチンが得られることは知られている。Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.85,p.2618-2622(1988年)には、ダイズ培養細胞から分子量1.8×104のペクチンが液体中に放出されることが報告されているが、その生産量は13.4mg/lと僅かである。また、上記の柑橘類などの木本性植物は細胞壁中のフェノール性物質の含量が高く、硬い組織であるため組織培養が困難であり、ペクチンの生産には適していない。そのため、培養によってペクチンを多量に生産できる植物は知られていない。 WO9636693号公報には、多くの植物細胞にDNAメチル化阻害剤で刺激を与えて、ペクチン断片が得られることが開示されている。しかし、同公報には、得られるペクチンの分子量や生産量については何ら開示されていない。 ペクチンはエステル化度、分子量の違いにより、さまざまな特性を有しており、ゲル化剤、増粘剤、安定剤などとして、大部分は食品分野で利用されている。エステル化の程度を示すエステル化度(DE)は、全ガラクツロン酸(全カルボキシル基)中に占めるエステル化されたガラクツロン酸(カルボキシル基)の割合を示す数値(%)であり、メチルエステル化度の高低により、高メトキシルペクチン(HMペクチン)と低メトキシルペクチン(LMペクチン)に分類される。通常、DEが50%より高いものをHMペクチン、50%以下のものをLMペクチンと呼ばれている。一般に、前記した、植物出発材料からの高温酸性条件下で抽出されるペクチンの多くはHMペクチンであり、LMペクチンを得るためには更に酸、アルカリ、酵素あるいはアンモニアを用いて脱メチル化する必要がある。柑橘類の果皮からのペクチン抽出に際して、抽出時の高温酸性条件や脱メチル化処理によってエステルの加水分解と共に糖鎖が切断され、分子量が低下する欠点があった。その結果、高分子量のペクチンにはさまざまな特性を有していることが期待されるが、そのようなペクチンを安定的に製造する方法は知られていなかった。 ペクチンを化粧料の一成分として使用することは既に知られている。化粧料に利用されるペクチンは専ら分子量が6×104〜2×105のペクチンであり、それらはゲル化剤、増粘剤、安定剤として、有効化粧成分の補助剤として添加されているのみであり、ペクチンを保湿剤の有効成分として利用することは知られていない。WO9636693号Y.Hayashi,K.Yoshida,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.85,p.2618-2622(1988年) 上述のとおり従来の植物組織から抽出して得られる市販ペクチンの分子量は6×104〜2×105である。発明が解決しようとする課題は更に分子量の高いペクチンの特性を見い出し、分子量が高いペクチンを多量に供給できる方法を提供することである。 上記課題を解決するべく本発明者らは、従来のペクチンに対して更に分子量の高いペクチンを得るために、種々の植物が産出するペクチンを調べ、且つ該ペクチンを大量に製造する方法を鋭意検討した結果、ニゲラ属植物を原料植物としてカルスを誘導し、更に細胞を培養することによって、従来の市販ペクチンに対して、更に高分子量のペクチンが得られること、大量に製造できることを見出した。そして、得られた更に高分子量のペクチンは水分保持能が優れ、保湿剤として利用できることを見出した。これら知見に基づき本発明を完成した。即ち、本発明は以下のとおりである。[1]構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得ることを特徴とするペクチンの製造方法。[2]前記ペクチンの前記構成糖のモル比がガラクツロン酸:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸:グルコース:キシロース:ラムノース:マンノース:フルクトース=7〜9:0.4〜0.7:0.4〜0.6:0.1〜0.6:0.05〜0.5:0.04〜0.4:0〜0.1:0〜0.08:0〜0.05であることを特徴とする[1]記載のペクチンの製造方法。[3]ニゲラ属植物がクロタネソウ(Nigella damascena)又はニゲラ・サティバ(Nigella sativa)であることを特徴とする[1]又は[2]記載のペクチンの製造方法。[4]構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得る工程を含み、 前記培養物又は前記培養液から分離、回収した前記ペクチンを有効成分として配合することを特徴とする保湿剤の製造方法。[5]構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得る工程を含み、 前記培養物又は前記培養液から分離、回収した前記ペクチンを保湿剤の有効成分として配合することを特徴とする化粧料の製造方法。 本発明の植物細胞由来のペクチンは従来の方法で得られる市販ペクチンに対して、更に分子量が高い。そのため、本発明のペクチンは水分保持能に優れる。また、ゲル強度にも優れ、且つ粘性は低い。本発明のペクチンを化粧料素材として使用した場合、良好な使用感を発揮し、化粧料の保湿剤として最適である。実施例12(2)の結果を示す図(グラフ)である。図中、Aは分子量の範囲、Bは分子量のピークを表す。試験例2の結果を示す図(グラフ)である。図中、三角は本発明ペクチン、四角はヒアルロン酸ナトリウム、丸は市販ペクチン、バツは水を表す。 本発明のペクチンは植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得られるペクチンである。好ましくは、ニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得られるペクチンである。 ニゲラ属植物はキンポウゲ科に属し、地中海、西アジア、北アフリカを原産地として約20種が存在する。種としてはクロタネソウ(Nigella damascena)、ニゲラ・サティバ(Nigella sativa)、ニゲラ・ヒスパニカ(Nigella hispanica)、ニゲラ・アーベンシス(Nigella arvensis)が代表的である。本発明ではニゲラ属に属する植物の、いずれの植物を使用しても良いが、クロタネソウ(Nigella damascena)、ニゲラ・サティバ(Nigella sativa)を使用することが好ましい。 本発明のペクチンは、カルス(脱分化細胞)を誘導し、更に、得られたカルスを増殖させる2段階の培養で製造することができる。 先ず、カルスを誘導する培養では、ニゲラ属植物の種子、葉、茎、根等の組織を30〜95%エタノール、0.01〜0.1%塩化ベンザルコニウム、0.1〜5%次亜塩素酸ナトリウムなどによってその植物体の表面を殺菌して、カルスを誘導し、培養する。カルスを誘導する培地はムラシゲ・スクーグ、リンスマイヤー・スクーグ、ホワイト、ニッチ、ガンボーグ、WPM(Woody Plant Medium)等の、植物組織培養に一般的に用いられる培地成分に炭素源及び植物ホルモンを添加して、121℃、15分間の条件で蒸気加熱滅菌して使用する。炭素源はグルコース、フルクトース等の単糖又はそれらを構成糖とするショ糖、マルトース等の二糖類やオリゴ糖を0.1〜10%の範囲で添加して使用するが、中でもショ糖を0.5〜5%の範囲で用いることが好ましい。植物ホルモンとしてはオーキシン類、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、ブラシノステロイドなどを0〜10-4Mの濃度範囲で単独、又は組み合わせて使用する。オーキシン類としてインドール酢酸、インドール酪酸、α-ナフタレン酢酸、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、2,6-ジクロロ安息香酸、また、サイトカイニンの例としてゼアチン、フルフリルアミノプリン(カイネチン)、ベンジルアデニン、イソペンテニルアデニン、ジメチルアミノプリンなどが挙げられる。ジベレリンは活性型であるGA1、GA3、GA4、GA7が好ましく、ブラシノステロイドはブラシノライドが好ましい。カルスの誘導に使用する培地に加える成分の内、加熱によって分解する物質は、それ以外の成分を蒸気加熱滅菌した後に別途、0.2μmのフィルターを使用した濾過滅菌をして添加する。培地のpHは調製時に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの希アルカリ溶液によってpH5〜7、好ましくは5.5〜6とする。 カルス誘導は固体培地でも、液体培地でも可能であるが、通常、前記培地を0.4〜2%寒天や0.1〜0.5%ゲルライトなどによって固化した固体培地上で培養するのが好ましい。培養は15〜30℃、好ましくは23〜27℃の温度で培養し、その際、明所でも暗所でもどちら条件下で培養してもよい。通常、培養5〜60日後に、1〜30mm径の細胞塊としてカルスを得ることができる。 次に、カルスを新しい培地に移植して培養することによってカルスを増殖させる。本培養は固体培養、液体培養のどちらでも良いが、経済性、大量生産性を考えて液体培養で行うのが好ましい。培養はカルスを誘導する際の培地と同じか、又は塩濃度を減ずるなどの改変を加えた培地で培養を行う。塩濃度を減ずる改変を加えた培地とは培地成分中の硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の主要無機塩のうち1種又は2種以上の成分をペクチンの生産に影響を及ぼさない程度に減じた培地である。また、培地中に公知の添加剤として知られるカザミノ酸などの有機酸、アミノ酸などの窒素源、ココナッツミルク、酵母エキス、ポリペプトンを0.01〜10g/lの濃度で加えることもできる。 カルスを増殖させる培養の培養温度、光条件、培養期間はカルス誘導時の培養条件と同様の条件で、培養を2〜5回繰り返すことによって数細胞から数百の細胞によって作られる細胞塊として培養細胞が得られる。更に継続的に培養細胞を増殖させることによって、ペクチンを培養物又は培養液中にコロイド状態又は可溶化した状態で生産させることができる。大量にペクチンを製造するためには液体培養が好ましく、その培養方式は5〜30日毎に培養物及び培養液を全量回収する回分培養、5〜30日毎に一部の培養物及び培養液を回収し、新鮮培地を添加して培養する半回分培養、培養物及び培養液の回収と新鮮培地の添加を一定の割合で常に行う連続培養のいずれの方式でも良い。初期の細胞密度は1〜300g/lの範囲で培養が可能であるが、高密度化によって短期間で高濃度のペクチンを生産することもできる。液体培養時の酸素供給は往復及び旋回振とうや、培養液への直接通気またはフォローファイバーを用いた間接的な方法のいずれの方法でも可能である。ペクチン生産量を向上させるためには、酸素供給量を増大することが有効であり、例えば旋回振とう培養では振とう数を100回転/分以上、200回転/分以下とすることやフラスコ容器あたりの培地量を容量の5%以上、30%以下として気液界面を増大することが好ましく、培養液へ直接通気する場合では培養液あたりの通気量が毎分5容積%以上、20容積%以下とすることが好適である。酸素供給量の増大は細胞の増殖速度を早めることに対しても有効である。 かくして得られた培養物又は培養液中にペクチンはコロイド状態又は可溶化した状態で存在する。 植物細胞の培養において、ニゲラ属植物の細胞を培養する生産方法が特にペクチン生産量が高い。 培養物又は培養液中からペクチンを回収するには、コロイド状態又は可溶化した状態のペクチンを先ず可溶化させる。可溶化にあたって、ペクチン濃度が3g/l以下となるように該培養物及び培養液に水、キレート剤、酸性緩衝剤、炭酸塩のような希薄アルカリ溶液を加えて、0〜40℃、好ましくは15〜35℃の温和な温度条件でペクチンを可溶化する。キレート剤としてはシュウ酸、シュウ酸アンモニウム、重合リン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム又は食品添加物のカルゴン)、エチレンジアミン四酢酸またはその塩類などが挙げられる。酸性緩衝剤としてはリン酸、クエン酸などを用いることができ、炭酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。 ペクチンを可溶化した後、ペクチンを含む溶液から細胞などの固形物を濾過や遠心分離により除去する。その後、0.5〜5倍容量、好ましくは1〜3倍容量のエタノール、アセトンなどの有機溶媒を加えてペクチンを沈殿させて回収する。回収した沈殿物を再び水に溶解することによってペクチンを任意の濃度に濃縮することができる。また、必要に応じて、適当な分子量の分画が可能な透析膜及び限外濾過膜を用いて低分子成分を除くことによって、任意の分子量を有するペクチンが得られる。濃縮されたペクチン溶液は凍結乾燥によって白色又は微黄色粉末としてペクチンを得ることができる。 かくして得られたペクチンは分子量の範囲が1×104〜5×107にあり、且つ、ピークを示す分子量が2×105〜1×107のペクチンである。更に好ましくは、分子量の範囲が1×105〜1×107にあり、且つピークを示す分子量が1×106〜5×106のペクチンである。本発明で言うペクチンの分子量とはゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量を意味する。分子量の範囲とは、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定したペクチンの分子量分布の下限値と上限値を意味する。また、ピークを示す分子量とは、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定したペクチンの分子量分布において、最も頻度が高い点の分子量を意味する。 ペクチンの分子量はゲル濾過クロマトグラフィーの測定の結果、得られるペクチンの分布曲線と分子量が既知である標準物質のゲル濾過クロマトグラフィーの測定の結果、得られる分布曲線を比較して、決定する。本発明で言うペクチンの分子量を測定するゲル濾過クロマトグラフィーは以下の条件で測定する。 本発明のペクチンの分子量を求めるためのゲルろ過クロマトグラフィーの測定条件は以下のとおりである。尚、下記条件において、検出器として使用される示差屈折計とは、移動相との屈折率差によって物質を検出する検出器であって、ここにおいて島津製作所製RID-10A或いは同等品を使用する。 カラム :東ソー製TSKgelPWシリーズ或いは同等品 (内径:7.8mm×長さ:300mm) 充填剤 :親水性ビニルポリマーゲル 移動相 :0.1M硝酸ナトリウム水溶液 流速 :0.5ml/分 温度 :40℃ 試料濃度 :1g/l濃度の水溶液 試料注入量:10μl 検出器 :示差屈折計 上述した条件でペクチンを含有する試料および標準物質のゲル濾過クロマトグラフィーを測定する。標準物質の測定結果を用いて検量線を作成する。試料中のペクチンの分子量は、試料の測定結果を該検量線に当てはめて、標準物質換算の相対値として求める。 測定値からの分子量の求め方は具体的には以下のとおりである。 標準物質として使用されるものは、ポリエチレングリコール(分子量:2×106、和光純薬社製試薬)、ポリエチレンオキシド(分子量:1×106、5×105、2×105、5×104、ジーエルサイエンス社製試薬)、プルラン(分子量:1.6×106、8×105、4×105、2×105、昭和電工社製試薬)である。上記標準物質の中から分子量の異なる少なくとも3種類の標準物質を適宜選択して使用する。 上記条件でペクチンのゲル濾過クロマトグラフィーを測定すると、保持時間軸に対するペクチン特有の分布曲線が得られる。また、分子量が既知の標準物質のゲル濾過クロマトグラフィーを同条件で測定すると、保持時間軸に対する標準物質特有の分布曲線が得られる。尚、この場合、保持時間とは移動相(溶離液)の溶出量と同義である。試料又は標準物質の分布曲線において、ピークを示す位置の保持時間をそれぞれの物質に固有の保持時間として特定する。 標準物質固有の保持時間と標準物質の分子量の関係から検量線を作成し、その検量線に試料のペクチン固有の保持時間を当てはめることで該ペクチンの分子量を決定する。分子量が2×106以上、または5×104以下のペクチンを測定する場合は、上記の検量線を外挿、または内挿して、該ペクチンの分子量を決定する。 ペクチン中の構成糖の内、炭素鎖末端のヒドロキシメチル基がカルボキシル基に酸化されたウロン酸は公知のカルバゾール硫酸法によって比色定量(530nm吸収)することができる。本発明のペクチンは70〜96モル%のウロン酸を含有する。本発明で得られたペクチンの構成糖の組成は塩酸、硫酸、酢酸またはトリフルオロ酢酸によって50〜100℃の条件下に30分間〜6時間、酸加水分解した後に遊離する中性糖とウロン酸を高速液体クロマトグラフィーで定量することによって調べることができる。本発明のペクチンはガラクツロン酸、アラビノース、ガラクトース、グルクロン酸、グルコース、キシロース、ラムノース、マンノース、フルクトースなどで構成され、主な成分のモル比はガラクツロン酸:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸:グルコース:キシロース:ラムノース:マンノース:フルクトース=7〜9:0.4〜0.7:0.4〜0.6:0.1〜0.6:0.05〜0.5:0.04〜0.4:0〜0.1:0〜0.08:0〜0.05である。すなわち、本発明のペクチンは主要な構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有するペクチンである。 ペクチンのエステル化度はけん化されたカルボキシル基を定量する方法で調べることができる。本発明ペクチンのエステル化度は0〜60%である。 本発明のペクチンは従来得られている市販ペクチンと比較して、更に高分子量のペクチンである。本発明のペクチンの更なる特徴は、従来の市販のペクチンに対して、高い水分保持能を有するペクチンである。また、従来の市販のペクチンが有する性質、すなわち、水溶性であり、カルシウムイオンなどの2価以上の金属塩や糖及び酸と接触してゲル化する性質を有するペクチンである。 本発明のペクチンは従来の市販のペクチンと比べて、分子量が高く、水分保持能が高い特徴を有している。そのため、保湿剤の有効成分として、化粧料に使用することができる。ここで言う保湿剤とは皮膚から水分蒸発を防ぎ、皮膚表面の水分調節及びしっとり感を与えるために主に化粧料に配合される物質である。公知のペーパーディスク法による水分保持試験や皮表角層水分測定装置による生体角層水負荷試験において、本発明のペクチンはいずれの試験においても、一般的に保湿剤として使用されているヒアルロン酸ナトリウムより高い水分保持能を示している。本発明のペクチンは特に、初期の水分保持能に優れているため、皮膚浸透性や皮膚への親和性に優れている。また、本発明のペクチンはヒアルロン酸ナトリウムと同程度の高分子量であるにも関わらず、ヒアルロン酸ナトリウムよりも粘度が低い。そのため、使用者にしっとり感や滑らか感を与え、且つベタつき感が少ない使用感を与える。本発明のペクチンは、しっとり感や滑らか感が優れた化粧料用の素材として、化粧水などの溶液状、クレンジングフォームなどのジェル状、乳液などの乳化状、石けん、口紅のような固形状、プレストパウダーのような粉体状、ファンデーションのようなペースト状、パックのような皮膜状、ヘアスプレーのようなエアゾール状の形状を有する種々の化粧料を提供することができる。 本発明の化粧料には本発明のペクチンの外に、通常化粧品や医薬品等に用いられる成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アルコール類、糖類、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調製剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、水等を必要に応じて適宜配合し、溶液状、ジェル状、乳化状、固形状、粉体状、ペースト状、皮膜状、エアゾール状の化粧料等、目的とする剤形に応じて一般的に知られた方法により製造することが出来る。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、本発明のペクチンと、下記成分の任意の一種または二種以上とを配合して本発明の化粧料を調製することができる。 粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。 液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。 固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。 ロウとしては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。 炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。 高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。 エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。 シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。 アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。 カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。 両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。 非イオン界面活性剤のうち親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。 非イオン界面活性剤のうち親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。 水溶性高分子のうち天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、澱粉(米、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。 水溶性高分子のうち半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。 水溶性高分子のうち合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。 増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。 紫外線吸収剤としては下記化合物が挙げられる。(1)安息香酸系紫外線吸収剤例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステルなど。(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレートなど。(3)サリチル酸系紫外線吸収剤例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレートなど。(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメートなど。(5)トリアジン系紫外線吸収剤例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。(6)その他の紫外線吸収剤例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オンなど。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。 金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。 アルコール類のうち低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。 アルコール類のうち多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6−ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE−テトラハイドロフルフリルアルコール;POP−ブチルエーテル;POP・POE−ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテル;POP−グリセリンエーテルリン酸;POP・POE−ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。 高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。 糖類のうち単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−ブシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。 糖類のうちオリゴ糖としては、例えば、ショ糖、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。 糖類のうち多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。 アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。 有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。 高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。 pH調製剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。 ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。 酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。 酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。 本発明の化粧料には本発明のペクチンと他の保湿剤とを併用しても良く、併用可能な保湿剤として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。 その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等);生薬(例えば、カルクエジャ[carqueja(南米)]、パロアズル[palo azul(南米)]、マセラミスタ[macelamista(南米)])等が挙げられる。本発明のペクチンと上記の1種以上の成分とを組み合わせて多機能化粧料として提供することもできる。 本発明のペクチンは化粧料全量に対して、0.0001〜50重量%、好ましくは、0.001〜20重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.02〜10重量%を配合する。化粧料に対して0.0001重量%未満の配合量では、保湿能に乏しく、50重量%を超える量を配合しても、効果の増加は望めない。 かくして得られる化粧料は保湿能に優れ、且つ、使用者にしっとり感や滑らか感を与え、ベタつき感が少ない使用感を与える化粧料である。 また、本発明のペクチンは上記の保湿剤としての利用の他に、例えば、食品分野ではジャムやマーマレードの粘物質、飲料の安定化剤、プリンやクリームのゲル化剤などに、また、医薬品分野でも従来の市販のペクチンと同様に使用することができる。 以下、本発明について実施例などを用いて更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより制限を受けるものではない。[実施例1] クロタネソウ(Nigella damascena)の幼苗を70%エタノールにより表面を殺菌し、続いて次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素濃度1%)で15分間処理した後、滅菌水により3回洗浄した。滅菌水は121℃、15分の蒸気加圧滅菌により作成した。3%ショ糖と植物ホルモンとして10-5Mα-ナフチル酢酸を含有する表1に示すWPM培地(0.1M水酸化ナトリウムによりpH5.7に調整)を0.8%寒天によって固化した固体培地上に表面殺菌したクロタネソウ幼苗を無菌的に置床した。25℃、暗所にて1週間培養後、不定形の脱分化細胞(カルス)が誘導された。得られたカルスの一部を分離し、カルス誘導に用いた培地と同じ組成の固体培地上に置床して増殖させた。この工程を3回繰り返すことによって、安定して増殖する細胞株が得られた。[実施例2] 実施例1により誘導された細胞を表1の組成の液体培地に懸濁して培養した。培養条件は3l容量のフラスコに培地量300mlを加えて、25℃、暗所、細胞密度9.6g/l、100回転/分の回転振とう培養及び、培養期間3週間とした。培養液にキレート剤CyDTA(トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N‘,N’-テトラ酢酸一水和物)を25mMとなるように加えて、高速液体クロマトグラフィー(使用カラム 東ソーTSKgelG5000PWXL)分析して、ペクチン濃度2.07g/l、細胞の増殖率42.8倍が得られた。[実施例3、4] 3l容量のフラスコに対して、300mlの培地量を500ml及び800mlとして実施例2と同様の培養を行い、各々、ペクチンを得た。結果を表2に示した。[実施例5] 実施例1において誘導された細胞を表1の組成の液体培地に懸濁して細胞密度を高密度化した条件で培養した。培養条件は300ml容量のフラスコに培地量40mlを加えて、25℃、暗所、細胞密度200g/l、100回転/分の回転振とう培養、及び培養期間1週間とした。培養液を実施例2と同様の方法で分析して、ペクチン濃度は1.51g/l、細胞の増殖率1.87倍が得られた。[実施例6〜9] 実施例5で40mlの培地量を60、80、100ml及び120mlとして実施例5と同様の培養を行い、各々、ペクチンを得た。結果を表3に示した。[実施例10] ニゲラ・サティバ(Nigella sativa)の幼苗を実施例1と同様の方法でカルスを誘導し、繰り返して3回培養することによって、安定増殖する細胞株を得た。得られた細胞を表1の組成の液体培地に懸濁して、実施例7と同様の条件で培養した。培養液を分析して、ペクチン濃度1.60g/l、細胞の増殖率18.6倍が得られた。[実施例11] 実施例3で得られた培養液から細胞等の固形物を濾過によって除いた液2l(フラスコ5本)に40mlの0.5Mエチレンジアミン四酢酸(pH8)を添加し、溶液中のペクチンを可溶化した後、更に微細な固形物を濾過分離した。濾過液にエタノール6lを加えて、緩やかに攪拌することによってペクチンを沈殿物として得た。1日冷蔵後、沈殿物を濾過分離し、水1lに再溶解して、ペクチン溶液を得た。更に溶液から濾過によって不溶性成分を除いて凍結乾燥することによって、白色粉末としてペクチン3.2gが得られた。[実施例12](1)検量線の作成 ポリエチレングリコール(分子量2×106、和光純薬試薬)を1g/l濃度となるように水に溶解し、以下の条件でゲル濾過クロマトグラフィーを測定した。 カラム :東ソー製TSKgelG5000PWXL 移動相 :0.1M硝酸ナトリウム水溶液 流速 :0.5ml/分 温度 :40℃ 試料濃度 :1g/l濃度の水溶液 試料注入量:10μl 検出器 :示差屈折計(島津製作所製RID-10A) 得られた分布曲線において、ピークを示す保持時間が10.8分であった。同様にポリエチレンオキシド(分子量1×106、5×105、2×105、ジーエルサイエンス試薬)をゲル濾過クロマトグラフィーで測定して、ピークを示す保持時間がそれぞれ、11.3分、11.8分、13.2分であった。分子量と保持時間の関係をプロットして、検量線を作成した。(2)ペクチンの分子量の測定 実施例11において得られたペクチンを1g/l濃度となるように水に溶解し、上記の条件でゲル濾過クロマトグラフィーを測定した。得られた分布曲線は保持時間が9.1分〜13.2分の範囲にあり、且つ、ピークを示す保持時間が10.8分であった。検量線から、実施例11において得られたペクチンは分子量の範囲が2×105〜1×107であり、ピークを示す分子量が2.0×106であった(図1)。 [試験例1] 実施例11において得られた本発明のペクチンをペーパーディスク法で水分保持能を調べた。すなわち、本発明のペクチンの濃度1g/lの水溶液を調製し、直径8mmの濾紙にサンプル10μlを含浸させ、温度25℃、相対湿度20%の条件下に置き、経時的に重量変化(水分残存率)を測定した。対照として、水、1g/l濃度のヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬、分子量の範囲が1×105〜5×106であり、分子量ピークは1.7×106)水溶液、及び、1g/l濃度の市販ペクチン(柑橘由来のペクチン、東京化成、分子量の範囲が1×104〜8×105であり、分子量ピークは1.0×105)水溶液を用いた。結果を表4に示した。本発明のペクチンは対照と比較して、高い水分残存率であり、高い水分保持能を持つことがわかった。 [試験例2] 実施例11において得られた本発明のペクチンの1g/l濃度の水溶液を調製し、皮表角層水分量測定装置SKICON-200(アイ・ビイ・エス)を用いた生体角層水負荷試験を行った。試験方法は温度25℃、相対湿度20%の環境において、上腕内側の皮膚上にサンプル20μlを滴下、10秒後に拭き取り、その後の皮膚角層の水分量を電気伝導度の変化によって測定した。対照として、試験例1で使用した、水、1g/l濃度のヒアルロン酸ナトリウム水溶液、1g/l濃度の市販ペクチン水溶液を用いた。結果を図1に示した。本発明のペクチンは市販のペクチン及びヒアルロン酸ナトリウムより皮膚上の水分を保持する能力が高く、特に初期水分量が高いことから皮膚浸透性、親和性に優れることがわかる。[試験例3] 実施例11において得られた本発明のペクチンの1g/l濃度の水溶液を調製し、レオメーター(REOLOGICA)を用いて、温度35℃、応力1Paでの粘度を測定した。対照としてグリセリン(和光純薬)、ヒアルロン酸ナトリウム(和光純薬)の1g/l濃度の水溶液を用いた。結果を表5に示した。本発明のペクチンはグリセリンよりも高い粘性を与えるが、ヒアルロン酸ナトリウムより粘度が低かった.これは、化粧品素材として、しっとり感や滑らか感は保ちつつ、ベタつきが少ない使用感を与えることができる。 [製造例1] 実施例11で得られたペクチン0.1重量%、1,3-ブチレングリコール2.5重量%、グリセロール(86%)0.5重量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油0.5重量%、乳酸0.05重量%、乳酸ナトリウム0.7重量%、エタノール7.0重量%、パラオキシ安息香酸メチル0.1重量%、香料0.05重量%、精製水88.5重量%の処方により化粧水を調製した。[製造例2] 実施例11で得られたペクチン0.2重量%、流動パラフィン4.0重量%、スクワラン4.0重量%、セタノール0.5重量%、ステアリン酸1.5重量%、モノオレイン酸ソルビタン1.0重量%、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン1.0重量%、モノステアリン酸グリセロール0.5重量%、パラオキシ安息香酸エチル0.2重量%、グリセロール(86%)3.0重量%、1,3-ブチレングリコール5.0重量%、香料0.05重量%、精製水79.05重量%の処方により乳液を調製した。 [製造例3] 実施例11で得られたペクチン0.5重量%、ワセリン8.0重量%、ラノリン2.0重量%、スクワラン20.0重量%、セタノール5.0重量%、モノステアリン酸グリセロール2.0重量%、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン2.0重量%、パラオキシ安息香酸エチル0.2重量%、グリセロール(86%)5.0重量%、1,3-ブチレングリコール5.0重量%、香料0.1重量%、精製水50.2重量%の処方によりクリームを調製した。[製造例4] 実施例7で得られた培養液を実施例11と同様の方法で処理して得られたペクチン0.3重量%、ポリビニルアルコール18.0重量%、ポリエチレングリコール2.0重量%、1,3-ブチレングリコール5.0重量%、エタノール8.0重量%、パラオキシ安息香酸メチル0.1重量%、香料0.05重量%、精製水66.55重量%の処方によりパックを調製した。[製造例5] 実施例10で得られた培養液を実施例11と同様の方法で処理して得られたペクチン1.0重量%、1,3-ブチレングリコール20.0重量%、グリセロール(86%)15.0重量%、ポリエチレングリコール5.0重量%、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル0.1重量%、クエン酸0.05重量%、クエン酸ナトリウム0.5重量%、パラオキシ安息香酸メチル0.2重量%、香料0.1重量%、精製水58.05重量%の処方によりエッセンスを調製した。[製造例6] 実施例7で得られた培養液を実施例11と同様の方法で処理して得られたペクチン0.3重量%、タルク30.0重量%、セリサイト25.0重量%、酸化チタン10.0重量%、変性シリコーン7.0重量%、ポリエチレン粉末4.0重量%、スクワラン2.0重量%、パラオキシ安息香酸メチル0.1重量%、香料0.05重量%、精製水21.55重量%の処方によりファンデーションを調製した。[製造例7] 実施例10で得られた培養液を実施例11と同様の方法で処理して得られたペクチン0.3重量%、変性シリコーン45.0重量%、キャデリラワックス20.0重量%、パラフィンワックス10.0重量%、カルバナワックス10.0重量%、イソパルミチン酸イソブチル4.0重量%、リンゴ酸ジイソステアリル3.7重量%、イソノナン酸イソノニル2.0重量%、赤色202号2.0重量%、赤色101号1.0重量%、酸化チタン1.0重量%、黄色4号1.0重量%の処方により口紅を調製した。 実施例に詳述した様に、本発明の植物の細胞培養によって高分子量のペクチンを提供することができる。得られた高分子量のペクチンは高い水分保持能と低い粘性を有しているため、化粧品素材、特に、保湿剤としての利用が可能となる。 構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得ることを特徴とするペクチンの製造方法。 前記ペクチンの前記構成糖のモル比がガラクツロン酸:アラビノース:ガラクトース:グルクロン酸:グルコース:キシロース:ラムノース:マンノース:フルクトース=7〜9:0.4〜0.7:0.4〜0.6:0.1〜0.6:0.05〜0.5:0.04〜0.4:0〜0.1:0〜0.08:0〜0.05であることを特徴とする請求項1記載のペクチンの製造方法。 ニゲラ属植物がクロタネソウ(Nigella damascena)又はニゲラ・サティバ(Nigella sativa)であることを特徴とする請求項1又は2記載のペクチンの製造方法。 構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得る工程を含み、 前記培養物又は前記培養液から分離、回収した前記ペクチンを有効成分として配合することを特徴とする保湿剤の製造方法。 構成糖としてガラクツロン酸を70〜90モル%含有し、且つ、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した分子量の範囲が1×104〜5×107であり、且つピークを示す分子量が2×105〜1×107の範囲であるペクチンをニゲラ属植物の細胞を培養することによって得られる培養物又は培養液から分離、回収して得る工程を含み、 前記培養物又は前記培養液から分離、回収した前記ペクチンを保湿剤の有効成分として配合することを特徴とする化粧料の製造方法。


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