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タイトル:特許公報(B2)_エステル製造方法及びエステル化触媒
出願番号:2006510826
年次:2011
IPC分類:C07C 67/08,B01J 31/02,C07C 69/612,C07C 69/708,C07C 69/78,C07B 41/12,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

石原 一彰 坂倉 彰 JP 4734607 特許公報(B2) 20110513 2006510826 20050308 エステル製造方法及びエステル化触媒 財団法人名古屋産業科学研究所 805000018 特許業務法人アイテック国際特許事務所 110000017 石原 一彰 坂倉 彰 JP 2004063929 20040308 20110727 C07C 67/08 20060101AFI20110707BHJP B01J 31/02 20060101ALI20110707BHJP C07C 69/612 20060101ALI20110707BHJP C07C 69/708 20060101ALI20110707BHJP C07C 69/78 20060101ALI20110707BHJP C07B 41/12 20060101ALN20110707BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110707BHJP JPC07C67/08B01J31/02 103ZC07C69/612C07C69/708C07C69/78C07B41/12C07B61/00 300 C07C 67/08 C07C 69/612 C07C 69/708 C07C 69/78 B01J 31/02 CA/REGISTRY(STN) Kazunori Wakasugi et al.,Diphenylammonium triflate (DPAT): efficient catalyst for esterification of carboxylic acids and for transesterification of carboxylic esters with nearly equimolar amounts of alcohols,Tetrahedron Letters,2000年,41,5249-5252 中川晶子ら,アンモニウム塩触媒を用いる脱水縮合反応によるエステル合成,日本化学会第84春季年会−講演予稿集II,2004年 3月11日,1265頁, 4 K2-17 18 JP2005004398 20050308 WO2005085172 20050915 15 20080214 田名部 拓也 本発明は、エステル製造方法及びエステル化触媒に関し、詳しくはカルボン酸とアルコールを反応させてエステルを製造する方法及びその方法に使用されるエステル化触媒に関する。 エステル化反応は有機合成の最も基本的かつ重要な反応であり、これまでに膨大な報告例がある。近年、本発明者らは、特開2002−121170号公報に示すように、カルボン酸とアルコールのエステル化反応に四価ハフニウム化合物をエステル化触媒として用いることにより高収率でエステルを製造する方法を確立している。一方、Tetrahedron Letters vol.41(2000)p5249−5252には、ジフェニルアンモニウムトリフラートがカルボン酸とアルコールのエステル化反応を温和な条件で促進することが報告されている。このジフェニルアンモニウムトリフラートは金属を含まない点で興味深いエステル化触媒といえる。 しかしながら、本発明者らが検討したところ、ジフェニルアンモニウムトリフラートは触媒活性が四価ハフニウム化合物より低く、2級アルコールを基質に用いるとオレフィンへの副反応が起こることが明らかとなった。 本発明はこのような問題点を克服するためになされたものであり、速やかにエステル化が進行しオレフィンが副生しうる反応基質であってもそのオレフィンの副生を効果的に抑制することのできる新規なエステル製造方法を提供することを目的の一つとする。また、エステル化の触媒活性が高くオレフィンが副生しうる反応基質であってもそのオレフィンの副生を効果的に抑制することのできる新規なエステル化触媒を提供することを目的の一つとする。 上述した問題点を克服するために、本発明者らはジフェニルアンモニウムトリフラートを凌ぐ新規なエステル化触媒について鋭意研究を行った結果、特定の基本骨格を有するアンモニウムカチオンと特定のスルホン酸アニオンからなるアンモニウムスルホナートがエステル化の触媒活性が高くオレフィンが副生しうる反応基質であってもそのオレフィンの副生を効果的に抑制することを見いだし、本発明を完成した。 即ち、本発明は、カルボン酸とアルコールを反応させてエステルを製造する方法であって、下記式(1)(nは1又は2)を基本骨格としベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素は置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3−で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、又は嵩高いアルカンを表す)からなるアンモニウムスルホナートをエステル化触媒とするものである。 上述したアンモニウムスルホナートをエステル化触媒としてカルボン酸とアルコールを反応させると、エステル化触媒として公知のジフェニルアンモニウムトリフラートと比較して、速やかにエステル化が進行しオレフィンが副生しうる反応基質であってもそのオレフィンの副生を効果的に抑制することができる。ここで、オレフィンは、主として、アルコールの水酸基が脱離するか又はエステルのアシル基が脱離することにより生成する。 式(1)のアンモニウムカチオンは、ベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素が置換されていないものであってもよいし、ベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素の一部又は全部が置換されていてもよい。後者の場合、ベンゼン環のうちオルト位(窒素に結合している炭素の隣の炭素)の水素が置換されていることが好ましく、置換基としては例えばアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンなどが挙げられる。このうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜10の直鎖又は分岐のあるアルキル基などが挙げられる。 式(1)のアンモニウムカチオンは、nが2であってベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素が置換されていないイミノジベンジルとしてもよい。このイミノジベンジルは容易に入手できるうえエステル化の触媒活性が高く、また副反応であるオレフィン化の抑制効果も高い。 本発明は、カルボン酸とアルコールを反応させてエステルを製造する方法であって、下記式(2)(R1〜R4はそれぞれ独立して炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基)を基本骨格としベンゼン環のR1〜R4以外の水素が置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3−で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、又は嵩高いアルカンを表す)からなるアンモニウムスルホナートをエステル化触媒とするものでもある。 上述したアンモニウムスルホナートをエステル化触媒としてカルボン酸とアルコールを反応させると、エステル化触媒として公知のジフェニルアンモニウムトリフラートと比較して、速やかにエステル化が進行しオレフィンが副生しうる反応基質であってもそのオレフィンの副生を効果的に抑制することができる。 式(2)のアンモニウムカチオンにおけるR1〜R4は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい炭素数1〜10の直鎖又は分岐のあるアルキル基であり、このようなアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。 式(2)のアンモニウムカチオンは、ベンゼン環のパラ位(窒素に結合している炭素からみてパラ位)の水素が炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基で置換されていてもよい。このようなアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。 本発明のエステル製造方法に使用されるアンモニウムスルホナートのスルホン酸アニオンとしては、例えばベンゼンスルホン酸アニオンやナフタレンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロナフタレンスルホン酸アニオンなどのアレンスルホン酸アニオン;トリフルオロメタンスルホン酸アニオンなどのパーフルオロアルカンスルホン酸アニオン;tert−ブタンスルホン酸アニオンやトリハロメタンスルホン酸アニオンなどの嵩高いアルカンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。このうち、アレンスルホン酸アニオンが好ましく、その中でもペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオンのように芳香環上の少なくとも一つの水素を電子吸引基(ハロゲン基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基など)で置換したアレンスルホン酸アニオンがより好ましい。なお、アレンは、少なくともオルト位、メタ位もしくはパラ位に電子吸引基を有するベンゼン(例えばペンタフルオロベンゼンなど)としてもよい。 本発明のエステル製造方法では、カルボン酸とアルコールのいずれか一方を過剰に用いても進行するが、等モルのカルボン酸とアルコールを用いても進行する。 本発明のエステル製造方法に用いられるカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸等の不飽和脂肪酸などのモノカルボン酸類;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸などのジカルボン酸類;ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類;ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,4,5−テトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸類;が挙げられる。これらのカルボン酸は適宜、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンなどを有していてもよい。 本発明のエステル製造方法に用いられるアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール等の脂肪族一価アルコール類;シクロヘキサノール、シクロドデカノール等の脂環式一価アルコール類;ベンジルアルコール等の芳香族一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール等の多価アルコール類;シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール等の脂環式二価アルコール類などが挙げられる。これらのアルコールは1級アルコールであってもよいし2級アルコールであってもよい。2級アルコールを用いた場合にはオレフィンが生成することがあるが、公知のジフェニルアンモニウムトリフラートに比較してオレフィンの生成を抑制することができる。また、ベンジルアルコールやアリルアルコールのように酸に敏感なアルコールを使用したり、ハフニウム(IV)塩やジルコニウム(IV)塩のようなルイス酸金属では用いることのできなかった1,2−ジオールを使用したりすることもできる。 本発明のエステル製造方法に用いられる反応溶媒としては、エステル化反応に不活性な溶媒であれば非極性溶媒であっても極性溶媒であっても特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアルカン類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン等のハロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等のベンゼン類;クロルベンゼン、ブロムベンゼン等のハロベンゼン類;ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル類;が挙げられる。また、本発明のエステル製造方法では必ずしも反応溶媒を用いる必要はなく、無溶媒でも反応は進行する。 本発明のエステル製造方法に用いられるアンモニウムスルホナートは、反応系(カルボン酸やアルコールの種類、反応溶媒の種類等)に応じて適宜設定すればよいが、例えばカルボン酸又はアルコールのうちモル量の少ない方に対して0.1〜20mol%、特に1〜10mol%使用するのが好ましい。このアンモニウムスルホナートは、一般的にはほぼ等量のアミンとスルホン酸を溶媒中で混合したあと蒸発乾固することにより得られる。 本発明のエステル製造方法における反応温度及び反応時間は、反応系に応じて適宜設定すればよいが、一般に反応温度は室温(例えば10〜30℃)以上好ましくは50℃以上であり、反応時間はカルボン酸又はアルコールがほぼ消失するまで(通常0.5〜72時間)とすることが好ましい。ただし、副生成物(オレフィンなど)を抑制するには、反応温度を室温以上90℃以下(好ましくは80℃以下)の範囲で反応基質であるアルコール等に応じて設定することが好ましい。特に、1級アルコールを用いたエステル化反応は無溶媒で室温という条件下で進行する。なお、エステル化反応に伴って生成する水は、必ずしも積極的に反応系外へ除去する必要はない。 図1は比較例1の実験結果を表すグラフである。 図2は比較例2の実験結果を表すグラフである。 図3は比較例3の実験結果を表すグラフである。 図4は実施例1の実験結果を表すグラフである。 図5は実施例2の実験結果を表すグラフである。 図6は実施例3の実験結果を表すグラフである。 図7は実施例4の実験結果を表すグラフである。 図8は実施例5の実験結果を表すグラフである。 図9は実施例6の実験結果を表すグラフである。 図10は実施例2,7〜11及び比較例1,4〜8の実験結果を表すテーブルである。 図11は実施例12〜21の実験結果を表すテーブルである。 図12は実施例22〜27の実験結果を表すテーブルである。 [測定機器および装置] 核磁気共鳴(NMR)装置はバリアン社製のGemini 2000(1HNMR 300MHz)を用いて測定した。分析用および分取用シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)にはメルク社製のシリカゲル60GF254(厚さ0.25mm)を使用した。分取用カラムクロマトグラフィーにはメルク社製のシリカゲルgrade 9385を用いた。[一般的製造方法](1)アンモニウムスルホナートの製造方法 アミン(1.0mmol)とスルホン酸(1.0mmol)をフラスコに入れて室温でトルエン(2ml)に溶かし、その混合物を30分間攪拌した。生成物を蒸発乾固しヘキサン5mlで3回洗浄し、精製品を得た。(2)カルボン酸エステルの製造方法 カルボン酸(1.0mmol)、アルコール(1.0mmol)、及びアンモニウム塩(1−10mol%)をヘプタン(2ml)中、115℃(油浴の温度)で加熱環流し、TLC上でアルコールが完全に消費されるまで反応混合物を攪拌した。減圧下でヘプタンを蒸発乾固して粗生成物を得た後、その粗生成物をカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製することにより所望のカルボン酸エステルを得た。[比較例1] 公知のジフェニルアンモニウムトリフラートをエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(下記式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。また、この反応では副生成物としてシクロドデセン(オレフィン)が得られた。図1に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図1から明らかなように、10時間後にカルボン酸エステルへの変換率が73%、オレフィンへの変換率が27%であった。この変換率はアルコールからの変換率であり1H−NMRのピーク面積により求めた。[比較例2] アミンとしてトリフェニルアミン、スルホン酸としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがってトリフェニルアンモニウムトリフラートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。図2に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図2から明らかなように、2時間後にカルボン酸エステルへの変換率は84%に達したが、3時間後には62%に下がり代わりにオレフィンへの変換率が38%まで上昇した。本実施例では2時間後にアルコールが消失していることから、オレフィンはカルボン酸エステルの脱アシル化によって生成したと考えられる。この結果、トリフェニルアンモニウム塩は比較例1のジフェニルアンモニウム塩に比べてエステル化の触媒活性は高いものの、オレフィンが生成しやすくエステル化を制御しにくいことがわかる。[比較例3] アミンとして2−ナフチルフェニルアミン、スルホン酸としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがって2−ナフチルフェニルアンモニウムトリフラートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。図3に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図3から明らかなように、3時間後にカルボン酸エステルへの変換率が63%、オレフィンへの変換率が29%となったことから、オレフィンの生成を抑制しにくいことがわかる。 [実施例1] アミンとしてイミノジベンジル、スルホン酸としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがってイミノジベンジルトリフラートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。図4に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図4から明らかなように、8時間後にカルボン酸エステルへの変換率が86%、オレフィンへの変換率が14%となり、その後9時間までほぼ横ばいに推移した。このことから、イミノジベンジルトリフラートは、比較例1のジフェニルアンモニウムトリフラートと比べてエステル化の触媒活性が高く、しかもオレフィンの生成を効果的に抑制していることがわかる。[実施例2] アミンとしてイミノジベンジル、スルホン酸としてペンタフルオロベンゼンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがってイミノジベンジルペンタフルオロベンゼンスルホナートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。図5に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図5から明らかなように、6時間後にカルボン酸エステルへの変換率が90%、オレフィンへの変換率が10%となり、その後9時間までほぼ横ばいに推移した。このことから、イミノジベンジルペンタフルオロベンゼンスルホナートは、比較例1のジフェニルアンモニウムトリフラートと比べてエステル化の触媒活性が高く、しかもオレフィンの生成を効果的に抑制していることがわかる。[実施例3] アミンとしてジメシチルアミン、スルホン酸としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがってジメシチルアンモニウムトリフラートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。また、ジメシチルアミンは文献(J.Phys.Chem.A,vol.106(2000),p11719−11725)にしたがって合成した。図6に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図6から明らかなように、9時間後にカルボン酸エステルへの変換率が84%、オレフィンへの変換率が16%となった。このことから、ジメシチルアンモニウムトリフラートは、比較例1のジフェニルアンモニウムトリフラートと比べてエステル化の触媒活性が高く、しかもオレフィンの生成を効果的に抑制していることがわかる。[実施例4] アミンとしてジメシチルアミン、スルホン酸としてペンタフルオロベンゼンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがってジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートを得た。この塩をエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用した。図7に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図7から明らかなように、9時間後にカルボン酸エステルへの変換率が91%、オレフィンへの変換率が9%となった。このことから、ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートは、比較例1のジフェニルアンモニウムトリフラートと比べてエステル化の触媒活性が高く、しかもオレフィンの生成を効果的に抑制していることがわかる。[実施例5] 反応温度を80℃(油浴の温度)とした以外は、実施例4と同様にしてエステル化反応を行った。図8に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図8から明らかなように、5時間後にカルボン酸エステルへの変換率が83%、オレフィンへの変換率は0%となった。なお、図示しなかったが、22時間後にはカルボン酸エステルへの変換率が97%、オレフィンへの変換率が0%となった。実施例4と実施例5の反応結果から、反応温度(油浴の温度)を115℃から80℃に下げることによりオレフィンの生成をほぼ完全に抑制できることがわかる。[実施例6] アミンとして2,6−ジイソプロピルフェニルメシチルアミン、スルホン酸としてペンタフルオロベンゼンスルホン酸を用いて、上述した一般的製造方法の(1)にしたがって2,6−ジイソプロピルフェニルメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートを得た。なお、2,6−ジイソプロピルフェニルメシチルアミンは、公知文献(J.Org.Chem.,1998,vol.63,p7727−7737)を参照して2,6−ジイソプロピルアニリンと1−ブロモ−2,4,6−トリメチルベンゼンとのカップリング反応を行うことにより合成した。得られたアミンの1H−NMRのデータを以下に示す。なお、化学シフトはδ(ppm)で表し、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質としその信号をδ=0とした。結合定数はJで表し、信号の分裂の様式は一重線をs、二重線をd、七重線をseptet、広幅な一重線をbrsと略表記した。1H−NMR(CDCl3,300MHz);δ1.10(d,J=6.9Hz,12H),1.95(s,6H),2.22(s,3H),3.12(septet,J=6.9Hz,2H),4.69(brs,1H),6.76(s,2H),7.10(brs,3H)。 そして、ジイソプロピルフェニルメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートをエステル化触媒とし、カルボン酸として4−フェニル酪酸、アルコールとしてシクロドデカノールを用いて、上述した一般的製造方法の(2)にしたがって4−フェニル酪酸シクロドデシルを得た(式(3)参照)。なお、エステル化触媒はカルボン酸に対して5mol%使用し、反応温度(油浴の温度)を80℃とした。図9に、この反応における時間に対するアルコール、エステル及びオレフィンの推移を表すグラフを示す。図9から明らかなように、9時間後にカルボン酸エステルへの変換率が91%、オレフィンへの変換率が0%となった。なお、図示しなかったが、22時間後にはカルボン酸エステルへの変換率が>98%、オレフィンへの変換率が<2%となった。実施例5と実施例6の反応結果から、反応温度(油浴の温度)を80℃にすることによりオレフィンの生成をほぼ完全に抑制でき、また、エステル化触媒のアミンに結合したアリール基(フェニル基)の2つのオルト位をメチル基からより嵩高い基(イソプロピル基)に変えることによりエステル化が促進されることがわかる。[実施例7〜11,比較例4〜8] エステル化触媒として、実施例7〜11ではイミノジベンジルペンタフルオロベンゼンスルホナートを使用し、比較例4〜8ではジフェニルアンモニウムトリフラートを使用した。カルボン酸としては、実施例7〜9及び比較例4〜6においては4−フェニル酪酸を使用し、実施例10,11及び比較例7,8においては安息香酸を使用した。アルコールとしては、実施例7,10,11及び比較例4,7,8では1−オクタノールを使用し、実施例8及び比較例5ではl−メントールを使用し、実施例9及び比較例6では6−ウンデカノールを使用した。カルボン酸エステルの製造は、図10のテーブルに記載した条件で上述した一般的製造方法の(2)に準じて行った。これらの結果を図10のテーブルに示す。なお、図10には実施例2及び比較例1の結果も併せて記載した。この図10から明らかなように、実施例2,7〜11は、それぞれ対応する比較例1,4〜8と比べていずれもエステル化の触媒活性が高く、しかもオレフィンの生成を効果的に抑制していることがわかる。[実施例12〜21] 実施例12〜21のエステル化反応を図11のテーブルに示す条件下で行ったところ、同テーブルに示す収率でエステル化反応が進行した。このテーブルから明らかなように、ベンジルアルコール(実施例14)やアリルアルコール(実施例15)のように酸に敏感なアルコールを使用した場合でも、対応するエステル化合物が極めて高い収率で得られた。また、ハフニウム(IV)塩やジルコニウム(IV)塩のようなルイス酸金属では用いることができなかった1,2−ジオール(実施例19,20)を使用した場合でも、対応するエステル化合物が高収率で得られた。[実施例22〜27] 実施例22〜27のエステル化反応を図12のテーブルに示す条件下で行ったところ、同テーブルに示す収率でエステル化反応が進行した。このテーブルから明らかなように、1級アルコールを用いた場合には無溶媒で室温(ここでは22℃)という条件下でも高収率でエステル化が進行した。特に、1級アルコールとしてメタノール(実施例22〜24,27)を使用した場合に良好な結果が得られた。[実施例28] ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートを触媒として、4−フェニル酪酸と6−ウンデカノールとのエステル縮合をヘキサン中で生成水を除去せずに行った場合と、共沸脱水で生成水を除去しつつ行った場合とを比較したところ、時間に対するアルコール、エステル、オレフィンの各変換率の推移は全く同じように進行した。このことから、このエステル縮合は水の影響を受けないことがわかった。[実施例29] ジメシチルアンモニウムペンタフルオロベンゼンスルホナートとジメシチルアンモニウム−p−トルエンスルホナートとをそれぞれ触媒として、同一条件下での4−フェニル酪酸と6−ウンデカノールとのエステル縮合を行ったところ、両者は同等の触媒活性を示した。 なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。 本発明は、主に化学産業に利用可能であり、例えば種々の油脂やポリエステルを製造したり医薬品や農薬の中間体として利用される種々のカルボン酸エステルを製造したりする際に利用することができる。 カルボン酸とアルコールを反応させてエステルを製造する方法であって、 下記式(1)(nは1又は2)を基本骨格としベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素が置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3-で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、tert−ブタン又はトリハロメタン)からなるアンモニウムスルホナートをエステル化触媒とする、エステル製造方法。 前記アンモニウムカチオンは、式(1)(nは1又は2)を基本骨格としベンゼン環のオルト位、メタ位、またはパラ位の水素が炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基で置換されていてもよい、 請求項1に記載のエステル製造方法。 前記アンモニウムカチオンは、式(1)(nは2)であってベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素が置換されていないイミノジベンジルである、 請求項1又は2に記載のエステル製造方法。 カルボン酸とアルコールを反応させてエステルを製造する方法であって、 下記式(2)(R1〜R4はそれぞれ独立して炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基)を基本骨格としベンゼン環のR1〜R4以外の水素が置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3-で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、tert−ブタン又はトリハロメタン)からなるアンモニウムスルホナートをエステル化触媒とする、エステル製造方法。 前記アンモニウムカチオンは、式(2)を基本骨格としベンゼン環のオルト位、メタ位、又はパラ位の水素が炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基で置換されている、 請求項4に記載のエステル製造方法。 前記スルホン酸アニオンは、芳香環上の少なくとも一つの水素を電子吸引基で置換したアレンスルホン酸アニオンである、 請求項1〜5のいずれかに記載のエステル製造方法。 等モルのカルボン酸とアルコールを用いる、 請求項1〜6のいずれかに記載のエステル製造方法。 反応溶媒として脂肪族炭化水素系溶媒又は芳香族炭化水素系溶媒を用いる、 請求項1〜7のいずれかに記載のエステル製造方法。 前記エステル化触媒をカルボン酸に対して0.1〜20mol%使用する、 請求項1〜8のいずれかに記載のエステル製造方法。 反応温度を室温以上90℃以下とする、 請求項1〜9のいずれかに記載のエステル製造方法。 前記アルコールとして1級アルコールを使用し、反応溶媒を使用せず反応温度を室温とする、 請求項1〜9のいずれかに記載のエステル製造方法。 反応系外へ生成水を除去することなく反応させる、 請求項1〜11のいずれかに記載のエステル製造方法。 下記式(1)(nは1又は2)を基本骨格としベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素は置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3-で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、tert−ブタン又はトリハロメタン)からなるアンモニウムスルホナートを主成分とする、エステル化触媒。 アンモニウムカチオンは式(1)(nは1又は2)を基本骨格としベンゼン環のオルト位、メタ位、又はパラ位の水素が炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基で置換されていてもよい、 請求項13に記載のエステル化触媒。 アンモニウムカチオンは、式(1)(nは2)であってベンゼン環の水素及び架橋炭素の水素が置換されていないイミノジベンジルである、 請求項13又は14に記載のエステル化触媒。 下記式(2)(R1〜R4はそれぞれ独立して炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基)を基本骨格としベンゼン環のR1〜R4以外の水素は置換されていてもよいアンモニウムカチオンと、RSO3-で表されるスルホン酸アニオン(Rはアレン、炭素数1〜8のパーフルオロアルカン、tert−ブタン又はトリハロメタン)からなるアンモニウムスルホナートを主成分とする、エステル化触媒。 アンモニウムカチオンは式(2)を基本骨格としベンゼン環のオルト位、メタ位、又はパラ位の水素が炭素数1〜10の直鎖又は分岐を有するアルキル基で置換されている、 請求項16に記載のエステル化触媒。 スルホン酸アニオンは、芳香環上の少なくとも一つの水素を電子吸引基で置換したアレンスルホン酸アニオンである、 請求項13〜17のいずれかに記載のエステル化触媒。


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