タイトル: | 公表特許公報(A)_チオ酢酸およびその塩の製造方法 |
出願番号: | 2006504506 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 327/06,C07B 61/00 |
テシュラー、クリストフ ハンセルマン、パウル アーノルド、クラウディオ JP 2006519242 公表特許公報(A) 20060824 2006504506 20040302 チオ酢酸およびその塩の製造方法 ロンザ ア−ゲ− 398075600 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 橋本 良郎 100092196 風間 鉄也 100100952 テシュラー、クリストフ ハンセルマン、パウル アーノルド、クラウディオ EP 03004654.4 20030303 C07C 327/06 20060101AFI20060728BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060728BHJP JPC07C327/06C07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2004002089 20040302 WO2004078706 20040916 12 20051003 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC60 4H006BA51 4H006BB14 4H006BB20 4H006BB24 4H006BB31 4H006BD60 4H006BE90 4H039CA65 4H039CF10 本発明は、チオ酢酸およびその塩を製造するための方法に関する。 チオ酢酸およびその塩は、重要な工業上の出発物質であり、例えば、D−アセチルチオイソ酪酸またはカプトプリル(高血圧に対するACE阻害剤、JP−A−09−295963)のような活性薬学的成分の製造に、およびビオチンの合成(DE−A−2807200)に用いられている。チオ酢酸カリウムは、例えば、テストステロン誘導体の調製(DE−A−19860917)に用いられている。 チオ酢酸の合成のための既知の方法は、例えば、無水酢酸から出発し、これを硫化水素(OA−A−2110)または硫化水素金属(US−A−2568020)と反応させて所望の生成物を得るものである。 もう一つの方法は、ケテンから出発し、これを、気相において、固体のアルミニウム含有触媒の存在下、10〜204.4℃(50〜400°F)、好ましくは65.6〜176.7℃(150〜350°F)で、硫化水素と反応させて、チオ酢酸またはジアセチルスルフィドを得るものである(US−A−2639293)。 チオカルボン酸アルカリ金属を製造するための普通の方法は、チオカルボン酸から出発し、これを、例えば、水素化アルカリ金属により、対応する塩に変換するものである(カトー、S.ら、Z.Naturforsch.1983,38B(12),1585〜1590)。 現在までに開示された方法は、チオ酢酸とその塩が常に別々のプロセス工程で製造されているという不利点を有する。 従って、本発明の目的は、「ワンポット(one pot)法」でも実施でき、安価に行え、容易に入手し得る出発物質を利用し、少量の廃生成物および副生成物を与える、チオ酢酸およびその塩の直接製造方法を提供することである。 本発明によると、この目的は、請求項1に記載の方法により達成される。ケテンを、窒素塩基の存在下に、硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属と直接反応させ得ることが見いだされた。要求に依存して、チオ酢酸は、直接良好な収率で、また後の蒸留により高い純度で得られ、その対応する塩は、アンモニアまたはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基の添加により得ることができる。より好ましくは、後の塩の生成を伴うチオ酢酸の生成は、「ワンポット法」として行うことができる。これにより、溶媒を節約し、廃物質を高い程度に防止することができる。 アルミニウム触媒の不存在下での本発明のケトンと硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属との反応は、驚くべきものである。US−A−2639293は、触媒の不存在下でのケテンと硫化水素との反応において、検出できる量のチオ酢酸または硫化ジアセチルは得られないと述べているからである。ケトンと溶解した硫化水素アルカリ金属との反応は、記述されたことがない。 式(ここで、Mn+は、アンモニウム、またはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウムおよびチタンからなる群の中から選ばれる、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタンカチオンであり、nは、このカチオンの正電荷の数である)で示されるチオ酢酸およびその塩を製造するための本発明による方法において、窒素塩基の存在下に、ケテンを硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属と反応させ、かくして得られたチオ酢酸を、任意的に、次にアンモニアまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基と反応させて対応する塩を得る。 本明細書において、硫化水素アルカリ金属は、特に、リチウム、ナトリウムおよびカリウムの硫化水素塩を指す。 本明細書において、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基は、特に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウムおよびチタンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩、酸化物、水素化物、スルホン酸塩、リン酸塩、硫化物、スルフィン酸塩、シュウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩およびテトラフルオロホウ酸塩を指す。 本明細書において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびチタンのアルコキシドおよびフェノキシドは、特に、式(ここで、R1は、C1-6アルキルまたはフェニル基、Mn+は、アルカリ金属カチオン好ましくはLi+、Na+またはK+、アルカリ土類金属カチオン好ましくはMg2+、Ca2+またはBa2+、アルミニウムカチオンまたはチタンカチオンであり、nは、このカチオンの正電荷の数である)で示される化合物を指す。 本明細書において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびチタンのカルボン酸塩は、特に、式(ここで、R2は、任意的に部分的または完全にハロゲン化されているC1-6アルキルまたはフェニル基、Mn+は、アルカリ金属カチオン好ましくはLi+、Na+またはK+、アルカリ土類金属カチオン好ましくはMg2+、Ca2+またはBa2+、アルミニウムカチオンまたはチタンカチオンであり、nは、このカチオンの正電荷の数である)で示される化合物を指す。 本明細書において、窒素塩基は、特に、>7のpKaを有する窒素化合物を指し、例えば、第1、第2および第3アルキルアミン、例えばジ−tert−ブチルアミン、トリメチルアミンおよびトリエチルアミン、第1、第2および第3アリールアミン、環式アミン、例えばピペリジン、ピロジジンまたはモルホリン、ピリジンまたは置換ピリジンのような芳香族窒素複素環化合物、例えば4−ジメチルアミノピリジン、アンモニア、グアニジン、二環式窒素化合物、例えば1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、およびまた例えば名称Lewatit(登録商標)、Duolite(登録商標)およびDowex(登録商標)の下で入手できる塩基性窒素含有イオン交換体を指す。窒素塩基の役割は、H2Sを活性化させることである。 好ましい態様において、Mn+は、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+およびBa2+からなる群の中から選ばれる。 使用する窒素塩基は、好ましくは第3アミン、より好ましくはトリアルキルアミン、最も好ましくはトリメチルアミンまたはトリエチルアミンである。 有利な方法の変形例において、ケトンと硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属との反応は、極性溶媒中で行われる。 好ましい態様において、使用する極性溶媒は、C1-4アルコール、水、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ピリジン、メチルピリジンまたはジメチルホルムアミドである。 特に好ましい態様において、使用する極性溶媒は、C1-4アルコールまたは水である。 さらなる特に好ましい態様において、チオ酢酸カリウムまたはチオ酢酸ナトリウムは、極性溶媒として1−ブタノールを用いることによって調製され、該溶媒中でチオ酢酸カリウムまたはチオ酢酸ナトリウムは特に効率的に晶出する。 特別の方法の変形例において、ケテンは、水溶液中で、任意的にガス状硫化水素の添加を伴って、硫化水素アルカリ金属と反応させることができる。 本発明による方法において、硫化水素とケテン、または硫化水素アルカリ金属とケテンは、有利には、0.5:1〜2:1のモル比で使用される。好ましい態様において、0.8:1〜1.3:1の硫化水素:ケテンモル比または硫化水素アルカリ金属:ケテンモル比が用いられる。特に好ましい態様において、1:1の硫化水素:ケテンモル比または硫化水素アルカリ金属:ケテンモル比が用いられる。 本発明による方法の好ましい態様において、1:0.001〜1:0.5のケテン:窒素塩基モル比が用いられる。特に好ましい態様において、1:0.001〜1:0.1のケテン:窒素塩基モル比が用いられる。 好ましい態様において、ケテンと硫化水素との反応は、+60〜−40℃、より好ましくは+10〜−20℃の温度で行われる。 チオ酢酸の塩の生成のために、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基を本発明による方法に用いることができる。使用するアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基は、好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウムまたはチタンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩、酸化物、水素化物、スルホン酸塩、リン酸塩、硫化物、スルフィン酸塩、シュウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩である。 得られるチオ酢酸金属は、任意的に、使用した対応する酸または金属塩基からろ過により取り出すことができ、溶解性に依存してチオ酢酸金属または対応する酸を溶解させることができる。 特に好ましい態様において、塩の生成のために、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、アルコキシド、フェノキシドまたはカルボン酸塩が用いられる。 1つの方法の変形例において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基は、固体として、または水性溶液および/または懸濁液として用いることができる。 さらなる方法の変形例において、塩の生成のために、難溶性または不溶性のアルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基、例えば水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンを、好ましくは微細顆粒、より好ましくは粉砕形態で、チオ酢酸と反応させることができる。 さらなる方法の変形例において、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基との反応は、−20〜+100℃の温度、より好ましくは−10〜+10℃の温度で行うことができる。 本発明による方法において、塩の生成は、チオ酢酸の事前の単離なしに、「ワンポット法」として行うこともできる。 例 以下の例は、本発明による方法の実行を、何らの含蓄された制限なしに示すものである。 例1 チオ酢酸 初めに1−ブタノール(1300ml)とトリエチルアミン(17.7g;0.175モル)の混合物を仕込み、−10℃に冷却した。ついで、硫化水素を、34.4g/時の流量で、合計60.2g(1.75モル)導入した。10分後、さらにケテンを、42g/時の流量で、合計99.4g(1.75モル)導入した。硫化水素とケトンの導入中、反応温度を−5℃以下に保った。 導入の完了後、生成したチオ酢酸を留去した。 86g(65%)のチオ酢酸を、>98%の純度(GC)で得た。 1H NMR (400 MHz, DMSO): Δ= 2.41 (s, 3H); 13C NMR (133 MHz, CDCl3): Δ = 171.6 ppm。 例2 チオ酢酸カリウム 初めに1−ブタノール(1300ml)とトリエチルアミン(17.7g;0.175モル)の混合物を仕込み、−10℃に冷却した。ついで、硫化水素を、34.4g/時の流量で、合計60.2g(1.75モル)導入した。10分後、さらにケテンを、42g/時の流量で、合計99.4g(1.75モル)導入した。硫化水素とケトンの導入中、反応温度を−5℃以下に保った。 導入の完了後、45%水酸化カリウム水溶液(218g;1.75モル)を20分内で量り入れ、混合物を還流下で1時間加熱した。 その過程で、白色のチオ酢酸カリウムが析出し、反応混合物を−5℃に冷却した後、これをろ別し、1−ブタノールで洗浄し、乾燥した。 98.5g(63%)のチオ酢酸カリウムを、>98%の純度(滴定法)で得た。 式:(ここで、Mn+は、アンモニウム並びにアルカリ金属のカチオン、アルカリ土類金属のカチオン、アルミニウムのカチオンおよびチタンのカチオンからなる群の中から選ばれるカチオンであり、nは、前記カチオンの正電荷の数である)で示されるチオ酢酸およびその塩を製造するための方法であって、窒素塩基の存在下に、ケテンを硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属と反応させ、かくして得られたチオ酢酸を、任意的に、次にアンモニアまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基と反応させて対応する塩を得ることを特徴とする方法。 Mn+が、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+およびBa2+からなる群の中から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。 使用する前記窒素塩基が、>7のpKaを有する、第1、第2および第3アルキルアミン、第1、第2および第3アリールアミン、アンモニア、グアニジン、二環式窒素複素環化合物、および塩基性イオン交換体からなる群の中から選ばれる塩基であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。 使用する前記窒素塩基が、第3アミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 極性溶媒中で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 使用する前記極性溶媒が、C1-4アルコール、水、ジメチルホルムアミドまたは任意的に置換されているピリジン、好ましくはC1-4アルコールまたは水であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 ケテンを水溶液中で硫化水素アルカリ金属と、任意的に硫化水素の添加を伴って、反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 硫化水素とケテン、または硫化水素アルカリ金属とケテンを、0.5:1〜2:1、好ましくは0.8:1〜1.3:1のモル比で使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 ケテンと窒素塩基を、1:0.001〜1:0.5、好ましくは1:0.001〜1:0.1のモル比で使用することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 ケテンと硫化水素または硫化水素アルカリ金属との反応を、+60〜−40℃、好ましくは+10〜−20℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 使用する前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウムまたはチタンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコキシド、フェノキシド、カルボン酸塩、酸化物、水素化物、スルホン酸塩、リン酸塩、硫化物、スルフィン酸塩、シュウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物、アルコキシド、フェノキシドまたはカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基を、固体として、または水性溶液および/または懸濁液として添加することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 前記アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムまたはチタン塩基との反応を、−20〜+100℃、好ましくは−10〜+10℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 前記塩の生成を、チオ酢酸の事前単離をすることなく行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。 本発明は、窒素塩基の存在下に、ケテンを硫化水素または溶解した硫化水素アルカリ金属と反応させることにより、式(I)および(II): 【化1】(ここで、Mn+は、アンモニウム、アルカリ土類金属カチオン、アルミニウムカチオンまたはチタンカチオンである)で示されるチオ酢酸およびその塩を製造するための方法に関する。こうして得られたチオ酢酸を、任意的に、次にアンモニアまたはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムもしくはチタン塩基と反応させて対応する塩に変換することができる。チオ酢酸の変換および塩の生成は、ワンポット法として行われる。