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タイトル:公表特許公報(A)_固体分散体組成物
出願番号:2006503227
年次:2006
IPC分類:A61K 9/14,A61K 47/34,A61K 47/14,A61K 47/44


特許情報キャッシュ

カムレシュ・エイチ・ペイテル ラビラジ・エス・ピライ JP 2006518380 公表特許公報(A) 20060810 2006503227 20040130 固体分散体組成物 スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション 591002957 SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION 田中 光雄 100081422 元山 忠行 100116311 冨田 憲史 100122301 カムレシュ・エイチ・ペイテル ラビラジ・エス・ピライ US 60/444,085 20030131 A61K 9/14 20060101AFI20060714BHJP A61K 47/34 20060101ALI20060714BHJP A61K 47/14 20060101ALI20060714BHJP A61K 47/44 20060101ALI20060714BHJP JPA61K9/14A61K47/34A61K47/14A61K47/44 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2004002833 20040130 WO2004069180 20040819 16 20050912 テフロン 4C076 4C076AA32 4C076AA53 4C076BB04 4C076DD09F 4C076DD46A 4C076FF06 4C076GG12発明の詳細な説明(発明の分野) 本発明は、化合物、特に、水溶性に乏しい(sparingly water-soluble)化合物、および/またはその医薬的塩の脂質マトリックスへの分子分散体からなる固体水分散性粒状組成物に関する。特に、本発明は、分散している化合物の生物学的利用能の増強に加えて溶解度および溶解の改良をもたらす固体分子分散体に関する。また、これらの固体分子分散体の製造方法および使用方法を提供する。(発明の背景) 固体分散体は、化合物、特に、医薬物質の脂質性担体マトリックス内での分子分散体である。かかる化合物の分子分散体(固溶体)の形成は、化合物の粒度をほぼ分子レベル(すなわち、粒子はない)に低下させる手段をもたらす。担体が溶解すると、化合物は、大きい粒子よりも迅速に溶解および吸収され得るアモルファスの微粒子として溶解媒体に暴露される。溶性に乏しい(sparingly soluble)化合物の固体分散体組成物の使用は、水溶性に乏しい化合物の溶解度、溶解および生物学的利用能を増強するために用いられてきた。 固体分散体を製造するための慣用的な技法は、化合物および担体を該担体および化合物の両方の融点以上の温度に加熱する溶融処理を包含しており、その結果、化合物の担体マトリックスへの若干の可溶化を伴う、化合物粒子の微細なコロイド(分子とは全く異なる)分散体の形成を引き起こす。このような溶融混合物の処理はしばしば急冷を含んでおり、その結果、カプセルに充填することができるかまたは錠剤にすることができる粉末を得るためにその後に微粉砕しなければならない凝固塊を形成する。この溶融処理技法にはいくつかの欠点がある。例えば、化合物および担体が溶融状態で混和できないならば、不均質混合物が形成され得る。加えて、該プロセスはまた、成分を溶融するために必要とされる高温で分解しない化合物および担体についての使用に限定される。 熱不安定性および/または化合物と担体との間の混和性について困難が生じる場合、融合−溶媒法と呼ばれる、固体分散体を調製するためのハイブリッド法を用いることができる。この技法では、化合物をまず少量の有機溶媒に溶解し、次いで、溶融担体に添加する。次いで、溶媒を蒸発させて、その後に粉砕して粉末を得ることができる生成物を得る。この溶媒プロセスにはまた、例えば、生成の間の爆発のハザード、医薬用途のために固体分散体生成物から微量の溶媒を全て取り除くことの困難さ、汚染を引き起こす大気への溶媒の拡散および溶媒除去後の化合物再結晶の可能性のような欠点もある。 これらの慣用的な製剤の安定性には問題があり得る。化合物を担体マトリックスに溶解するために高熱の使用または有機溶媒の使用が必要とされ得る。これらの可溶化因子を取り除いた後(すなわち、冷却後または溶媒除去後)は、化合物はもはや担体に溶解し得ない。最も問題なのは、分散マトリックス中にて化合物の再結晶が生じて、化合物の溶解および生物学的利用能を有意に低下させる可能性がある場合である。 化合物成分の最終的な物理的形態を調製するためのこれらの慣用的な製剤の後処理にもまた問題がある場合がある。例えば、上記した慣用的な分散体、特に、有機溶媒を用いて調製されたものには、最終生成物(例えば、錠剤化またはカプセル充填)のために必要とされる微粒子を得るために粉砕することによって処理しなければならないものがある。しかしながら、粉砕または同様のサイズ低下処理により、溶解速度の多様性に関与し得る、多分散系の、不規則な形状の粒子が得られる。非常に高い温度での処理を必要とする慣用の製剤はまた、長い冷却時間を必要とする。加えて、担体マトリックス内での化合物の再結晶が最小となるようにこれらの製剤を取り扱う場合には他の特別な処理が必要とされる。かかる慣用の製剤技術を用いて調製された投与剤形からの化合物の溶解の間にも問題が生じる。一般的に、高分子量(MW>3000)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのような固体分散体を調製するために用いられる担体は、それに分散している化合物よりも良好な水への溶解性を有する。担体が優先的に溶解するので、少量のゆっくりと溶解する化合物が固体粒子の表面に残っている。担体の溶解速度が化合物の溶解速度よりも非常に大きい場合、化合物の凝集または結晶化が生じ得、それにより、胃腸(GI)媒体へのその溶解が低下し、その結果、生物学的利用能が低下する。加えて、これらの担体は、化合物の溶解および生物学的利用能に不利に作用し得る沈降粒子を乳化する能力を持っていない。 したがって、生物学的利用性を増強し、種々の最終的な物理的形態へ加工することができ、有機溶媒の使用を必要とせずかつ化合物をその融点以上の温度に加熱することを必要とせずに穏やかな製剤条件を用いて調製することができる、化合物、特に、溶性に乏しい化合物に関する製剤を提供するのが望ましい。(図面の簡単な説明) 図1は、化合物単独、および重量比50:50および90:5のグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13からなる2種類の水分散性脂質性担体中にて製剤化された化合物の単位投与量の溶解速度を例示する。 図2および3は、本発明のプロセスにより調製された微小粒子の走査電子顕微鏡写真である。 図4および5は、化合物単独、および各々重量比50:50のグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13ならびにグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)44/14からなる2種類の水分散性脂質性担体中に製剤化された化合物の溶解速度を例示する。 図6は、フロー剤(flow agent)を用いる、および用いない、グリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13(50:50)からなる固体分子分散体の溶解速度を例示する。(発明の概要) 本発明は、水溶性に乏しい化合物約0.01重量%〜約15重量%および粒子化可能な脂質性担体(particulatable lipid-based carrier)約85〜99.99重量%の固体分子分散溶液を含む、投与剤形での、水分散性粒子医薬組成物、それらの製造方法およびそれらの使用に関し、ここで、該化合物は25℃での水への溶解度が100μg/mL未満であり、粒子化可能な脂質性担体はポリグリコール化グリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される脂質性界面活性剤約5重量%〜約50重量%、および融点が50℃〜80℃の剛化剤(stiffening agent)約50重量%〜約95重量%で構成され、該剛化剤はモノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドまたはその混合物を含み、グリセロールモノステアレート、グリセロールパルミトステアレート、硬化植物油およびその混合物から選択される。 より詳しくは、本発明は、有機溶媒を用いずに、かつ、化合物をその融解温度(融点)に加熱せずに、水溶性に乏しい化合物が粒子化可能な脂質性担体に溶解されている、固体分子分散体に関する。 例えば、本発明の固体分子分散体は HLB(親水親油平衡)値が10よりも高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤および融点が50℃〜80℃の範囲の固体剛化剤で構成される混合物を溶融する工程; 溶融した界面活性剤および剛化剤混合物に化合物、特に、水溶性に乏しい化合物を溶解して、化合物、界面活性剤および剛化剤の均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含むプロセスによって調製され得る。 別の実施態様において、当該固体分子分散体は、 HLB値が10よりも高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤を溶融する工程; 融点が50℃〜80℃の固体剛化剤を溶融する工程; 溶融した界面活性剤に化合物を溶解し、溶融した剛化剤と該化合物−界面活性剤溶液とを混合して、均質液体組成物を形成する工程;または 溶融した剛化剤に化合物を溶解し、溶融した界面活性剤と該化合物−剛化剤溶液とを混合して、均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含むプロセスによって調製され得る。(発明の詳細な説明) 本発明の固体分子分散体は室温で微小粒子固体であり、溶融した粒子化可能な脂質性担体に水溶性に乏しい化合物を溶解して均質混合物を得、得られた混合物を冷却し、その結果、その中に化合物が実質的に均一に分子分散されている状態で固化することにより調製されたものである。本発明の一の実施態様は、水溶性に乏しい化合物の、固体脂質性界面活性剤および剛化剤を含む粒子化可能な脂質性担体への分子分散体を含む、水溶性に乏しい化合物の経口デリバリーに有用な組成物に関する。本明細書で用いる場合、水溶性に乏しい化合物は25℃での水への溶解度が100μg/mL未満の化合物である。本発明の別の実施態様は、所望のサイズ範囲(50μm〜500μm)の球状微小粒子または微小球としてのこれらの固体分散体組成物の改良された製造方法に関する。有利には、該球状固体分散体組成物は、担体または化合物の完全性(integrity)に影響を及ぼさずに本発明の方法を用いて調製され得る。 如何なる理論にも束縛されることなしに、現在、脂質性界面活性剤および剛化剤はそれぞれ、化合物を溶解するための溶媒として作用し、その混合物中の化合物の均一な分散を促進するように作用し、固体分子分散体中における化合物の溶液状態を維持するように作用すると解される。固体分子分散体の溶解の間(例えば、対象体への経口投与後、または溶解媒体中においた後)、脂質性界面活性剤は乳化剤として作用して、溶解媒体、例えば、摂食した状態および絶食した状態のいずれもの状態の下での胃液および腸液への化合物の可溶化を増強する。 化合物、特に、水溶性に乏しい化合物は、本発明の固体分子分散体組成物中に、該分散体の総重量の約0.01%〜約15%、好ましくは、該分散体の総重量の約1%〜約10%の範囲の量で存在する。本発明の一の実施態様において、水溶性に乏しい化合物は、固体分子分散体中に、該分散体の総重量の約2%〜約5%の量で存在する。水溶性に乏しい化合物の例としては、25℃での水への溶解度が100μg/mL未満のものが挙げられる。かかる化合物は経口生物学的利用能が低く、親油性薬物、ビタミンおよびホルモンが挙げられる。これらの化合物としては、とりわけ、ステロイド、ステロイド拮抗薬、非ステロイド系抗炎症剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗癌剤、降圧剤、抗酸化剤、抗てんかん剤、抗うつ剤および非ペプチド酵素阻害剤が挙げられる。本発明はまた、水溶性に乏しい化合物の経口生物学的利用能を増大させる方法を提供する。より詳しくは、本発明は、脂質性界面活性剤および剛化剤で構成される脂質性担体中での水溶性に乏しい化合物の水分散性固体分子分散体に関する。 本発明の固体分子分散体の粒子化可能な脂質性担体中の脂質性界面活性剤の濃度は、粒子化可能な脂質性担体の総重量の約5〜50%の範囲、好ましくは、粒子化可能な脂質性担体の総重量の約10%〜約50%の範囲である。該脂質性界面活性剤は、融点が40℃〜50℃の範囲で、HLB値が10よりも高い、水溶性もしくは水分散性脂質物質または脂質物質混合物である。如何なる理論にも束縛されることなしに、脂質性界面活性剤の一の機能は溶解媒体または胃腸液中での沈降後に水溶性に乏しい化合物に対する乳化剤として作用することであると考えられる。かくして、化合物の溶解速度は、脂質性界面活性剤の適当な選択および/または脂質性担体中の界面活性剤の濃度によって制御され得る。界面活性剤のHLB値が低ければ低いほど(約10〜約5)、疎水性が高くなる。反対に、界面活性剤のHLB値が高ければ高いほど(約13〜約18)、親水性が高くなる。したがって、水溶性に乏しい化合物およびHLB値が高い脂質性界面活性剤を含有する固体分子分散体は、HLB値が低い脂質性界面活性剤を含有する分散体よりも化合物放出速度が速い分散体を提供するであろう。水溶性に乏しい化合物および高濃度の(40〜50%w/w)の脂質性界面活性剤を含有する固体分子分散体は、低濃度(5〜15%w/w)の界面活性剤を含有する分散体よりも化合物放出速度が速い。本明細書における記載内容およびルーチン的な実験法に基づいて、当業者には、所望の化合物放出速度をもつ固体分子分散体を得るための界面活性剤の選択および界面活性剤の濃度のバランスのとり方が理解されるであろう。 本発明の固体分子分散体の経口投与、ならびに胃液および腸液のような体液への暴露の後、該分散体は該胃腸環境中で乳化して(自己乳化性薬物送達系または(SEDDS))、水溶性に乏しい化合物および脂質性界面活性剤および/または剛化剤の微細なコロイド状ミセル分散体を形成することができる。有利には、本発明の固体分子分散体における担体は脂質性担体である。脂質性組成物が内因性胆汁酸塩(BS)ならびにリン脂質(PL)およびコレステロール(CH)を包含する胆汁脂質(BL)の分泌を増加させ、腸ミセルの形成を導き、次に、腸液の可溶化能を増大させ得ることは立証されている。これらの腸ミセルは化合物含有ミセルと相互作用して、さらに、胃腸環境中に存在し得る食物および/または消化酵素との相互作用から化合物を保護することができる。これらの腸ミセルは腸の吸収部位のすぐそばに存在するので、腸ミセルと化合物含有ミセルとの相互作用は可溶化および吸収の増強を導き、その結果、化合物の血漿中濃度を上昇させることができる。 したがって、本発明の固体分子分散体中に存在する脂質性界面活性剤は、該分散体の親水性または疎水性を調節することによって水溶性に乏しい化合物の放出を制御するために用いることができ、また、水性環境においてコロイド状分散体(SEDDS)を形成することによって化合物に対する乳化剤として用いることができる。化合物/薬物の乳化の結果、化合物/薬物の吸収および生物学的利用能の増大と付随して、摂食した状態および絶食した状態のどちらの条件下でもGI環境中での可溶化が増強される。 本発明の固体分子分散体の粒子化可能な脂質性担体中の剛化剤(混合グリセリド)の濃度は、該粒子化可能な脂質性担体の総重量の約50%〜約95%の範囲、好ましくは、粒子化可能な脂質性担体の総重量の約50〜75%の範囲である。 適当な脂質性界面活性剤および剛化剤は、水溶性に乏しい化合物を溶解することができ、融点が≧40℃のものである。 本発明の固体分散体における脂質性界面活性剤として有用な適当なポリグリコール化グリセリドの例としては、ラウロイルマクロゴグリセリドおよびステアロイルマクロゴグリセリド(各々、ニュージャージー州ウェスト・キンダーマック・ロードのGattefosse Corporationにより販売されているGelucire(登録商標)44/14およびGelucire(登録商標)50/13)が挙げられる。これらの界面活性剤はミセル、顕微鏡的ベシクルまたは小球を形成する水性媒体中にて分散する。ラウロイルマクロゴグリセリドおよびステアロイルマクロゴグリセリドは、各々、HLB値が約14および13で、融点が約44℃および50℃の、半固体ワックス状物質または顆粒またはパスティルとして入手可能な消化のよいGRAS物質である。 本発明の固体分散体における脂質界面活性剤として有用な適当なポリオキシエチレンヒマシ油誘導体の例としては、ポリオキシル60硬化ヒマシ油(商品名Cremophor RH60(登録商標)の下にニュージャージー州マウント・オリーブのBASF Corporationによって販売されている)が挙げられる。Cremophor RH60(登録商標)は、かすかな特徴的な匂いをもつ白色の半固体ペーストとして入手可能であり、ほとんど無味である。この界面活性剤は、HLB値が約15〜17で、融点が約40℃である。 本発明の固体分散体における界面活性剤として有用な適当なポリオキシエチレンステアレートの例としては、ポリオキシエチレン50ステアレート(デラウェア州ニューキャッスルのUniqema(ICIの一部門)によって商品名Myrj(登録商標)53の下に販売されている)が挙げられる。これらの界面活性剤は、典型的には、クリーム色のワックス状固体として入手可能であり、HLB値が15よりも高く、融点が42℃〜52℃である。 本発明のおける剛化剤は、長鎖脂肪酸エステルで構成される混合グリセリドで構成される。有利には、剛化剤は、全体的な融点が50℃〜80℃の範囲であり、溶融状態から迅速に固化する能力を有する。剛化剤として本明細書において用いられる混合グリセリドはまた、水溶性に乏しい化合物を可溶化し、分散マトリックス中での化合物の分子易動性を阻害し、かくして、貯蔵の間の化合物の物理的および化学的安定性を改良することができる。 本発明の固体分子分散体における剛化剤として用いられるグリセリドは長鎖脂肪酸エステルである。如何なる理論にも束縛されることなしに、剛化剤は、処理の間、粒子形成を可能にするように作用し、水溶性に乏しい化合物に対する可溶化剤として作用し、分散体中の化合物の分子易動性を阻害することによって化合物の再結晶を妨げるように作用し(結晶化阻害剤)、それにより、貯蔵の間の固体分子分散体の物理的および化学的安定性を改良することができると考えられる。本明細書で用いられるグリセリドは、綿実油、パーム油、ラード、獣脂などのような適当な脂肪酸源から入手される食用油および脂肪から誘導される。本発明の固体分散体における剛化剤として有用な適当なステアレートの例としては、商品名Myverol 18−07(登録商標)およびImwitor 491(登録商標)の下に販売されているグリセロールモノステアレート(GMS)が挙げられる。Myverol 18−07(登録商標)は、イリノイ州ホフマン・エステイツのQuest Internationalによって販売されている食品用グリセロールモノステアレートである。Imwitor 491(登録商標)は、ドイツ国のSassolによって販売されている医薬品用グリセロールモノステアレートである。これらの製品はどちらも、平均分子量が約350で、融点が50℃〜70℃の範囲の、小さくてさらさらした(free flowing)マイクロビーズとして入手可能である。本発明の固体分散体における剛化剤として有用な適当なステアレートの別の例としては、ニュージャージー州ウェスト・キンダーマック・ロードのGattefosse Corporationによって販売されている商品名Precirol ATO5(登録商標)の下に販売されているグリセロールパルミトステアレートである。Precirol ATO5(登録商標)は、融点が52℃〜55℃の範囲の微細な白色粉末として入手可能である。本発明の固体分散体における剛化剤として有用な適当なステアレートのさらなる例としては、ウィスコンシン州ジェーンズヴィルのAbitec Corporationから商業的に入手可能な硬化植物油(混合グリセリド)であるSterotex(登録商標)HM、Sterotex(登録商標)K、Sterotex(登録商標)NFが挙げられる。これらの硬化植物油は、融点が60℃〜70℃の範囲の微細な粉末、フレークまたはペレットとして入手可能である。 本発明の固体分子分散体処方物は、さらに、1種類またはそれ以上の崩壊剤、1種類またはそれ以上のフロー剤、1種類またはそれ以上の可溶化増強剤、1種類またはそれ以上の孔形成剤、またはそれらの混合物のような1種類またはそれ以上の慣用の処方助剤を含み得る。一般に、当該固体分子分散体における1種類またはそれ以上の処方助剤の総重量は、該固体分散体の約0.01重量%〜約5重量%である。 本発明において用いるのに適当な崩壊剤の代表的な例としては、クロスポビドン(商品名PolyplasdoneTMの下にニュージャージー州マウント・オリーブのBASF Corporationによって販売されている)、デンプングリコール酸ナトリウム(商品名ExplotabTMの下にニュージャージー州トトワのGenerichem Corporationによって販売されている)、クロスカルメロースナトリウム(商品名Aci−Di−SolTMの下にペンシルベニア州フィラデルフィアのFMC Corporationによって販売されている)およびそれらの混合物が挙げられる。 適当なフロー剤の代表的な例としては、二酸化ケイ素、アモルファスヒュームドシリカ、デンプン、合成アモルファスヒュームドシリカ、沈降シリカ、およびコロイドシリカ(商品名Cab−O−Sil(登録商標)の下にイリノイ州タスコラのCabot Corp.によって販売されている)ならびにその混合物が挙げられる。 本発明において用いるのに適当な孔形成剤の代表的な例としては、シュークロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、デキストロース、マンニトールおよびそれらの混合物が挙げられる。 固体分子分散体が錠剤または丸剤に処方される場合、該錠剤または丸剤を、さらに、当該技術分野で知られている医薬上許容される物質で被覆または化合して、持効性または遅延もしくは持続放出性を与える投与剤形を提供することができる。 ほとんどの粉末材料は、適当なフロー剤を固体分子分散体の総重量の約0.5%〜約2%の濃度で添加することによってさらさらした状態を保つことができる。好ましくは、最終生成物中のフロー剤の重量パーセントは、約1〜2%(総重量)の範囲であろう。 有利には、化合物/脂質性担体混合物に少なくとも1種類の可溶化増強剤または分散剤を添加して脂質性担体中の化合物の溶解度、流動および/または溶解を増強することができる。 本発明において用いるのに適当な可溶化増強剤の代表的な例としては、分子量が2000〜8000の中重量ポリエチレングリコールが挙げられる。好ましくは、可溶化増強剤は、平均分子量が2000〜6000、より好ましくは、3000〜6000の範囲のポリエチレングリコールである。本発明の固体分散体において有用な特に好ましいPEGは、コネティカット州ダンバリーのUnion Carbide Corporationから入手可能なPEG 3350(CarbowaxTMSentryTMPolyethylene Glycol 3350 Powder NFとも呼ばれている)およびPEG 6000である。 有利には、本発明の固体分子分散体の組成物は、担体マトリックス中の脂質性界面活性剤および剛化剤のタイプおよび相対的な濃度を変化させることによって水溶性に乏しい化合物の可溶化速度を変化させるように変更することができる。例えば、それぞれ50:50および90:5の2つの異なる重量比のグリセロールモノステアレート(GMS)およびGelucire(登録商標)50/13で構成される水分散性脂質性担体中に単位投与量の化合物(水への溶解度:約5μg/mL)を含有する固体分散体組成物は、シンク(sink)条件下に維持した溶解媒体(2.0%w/vのラウリル硫酸ナトリウム)への該化合物の可溶化の速度の差異を示した(図1)。脂質性界面活性剤の量の増加(すなわち、分散マトリックスの親水性の増大)により化合物の速い可溶化が生じた。かかるバリエーションおよびモディフィケーションは、ルーチン的な実験に伴って当業者によって行うことができる。 また、本発明の固体分子分散体中に処方された水溶性に乏しい化合物は、非シンク(non-sink)条件下にて標準的なUSP−II Dissolution Apparatusにおける溶解の1時間後に評価した場合、未処方化合物よりも2〜10倍可溶であり得る(すなわち、非シンクは化合物の媒体ヘの溶解限界をいい、USPによって記載されている典型的なシンク条件は化合物を溶媒に溶解させることを含んでおり、ここで、化合物の濃度は化合物の選択された溶媒ヘの溶解濃度の限界の5分の1〜3分の1である)。 本発明の固体分子分散体のさらなる利点は、担体マトリックスの組成および分散体の調製方法が分散体の最終的な物理的形態の選択においてフレキシビリティを提供することである。如何なる理論にも束縛されることなしに、本発明の分子分散体において有用な脂質性界面活性剤および剛化剤は融点が比較的低く、水溶性に乏しい化合物は、冷却後および溶融状態から急速に結晶化または凝固させて粒子を形成することができる担体マトリックスにおける剛化剤の使用の後でさえも担体に溶解したままであるので、かかるフレキシビリティが得られると考えられる。有利には、水溶性に乏しい化合物を脂質性界面活性剤および剛化剤に溶解した後に形成される液体組成物を、固体分散体に関する慣用的な製造技術の欠点を克服することができる一段法で水分散性微小粒子に処理することができる。 商業スケールでの固体分散体微小粒子の現行製造法は、溶融押出法またはスプレー凝固法を用いる。溶融押出法では、化合物は冷却および固化の後に固溶体を形成する担体と一緒に同時押出される。次いで、押出物を微粉砕し、フルイにかけて、良好な溶解を確実なものとするための所望のサイズ範囲の粒子を生成する。この方法は、化合物の添加、下流生成物の取扱(例えば、担体が粘着性であるために、固体分散体押出物の粒子への微粉砕がしばしば困難である)、長い洗浄時間、および高い投資を包含する多くの欠点をもっている。スプレー凝固法では、当該化合物を溶融担体中に分散し、スプレーノズルを用いて、冷気を循環させている冷却チャンバーまたは冷却塔中に微粒化する。微粒化した小滴は空気と接触すると凝固または固化する。このプロセスは一段階で液体供給から粒子を生成するが、該方法には1つの大きい不利な点がある、すなわち、スプレーノズルへの供給は、供給管およびアトマイザーノズルの閉塞問題を回避するために、固化が始まる温度よりも少なくとも20〜30℃高い温度で行われなければならない。供給管および/またはスプレーノズルの閉塞は長い洗浄時間を引き起こすであろう。また、スプレーチャンバーは、微粒化小滴の粒子への固化を生じるように低温(10℃〜15℃)に維持しなければならない。このプロセスを用いて生成した粒子は多分散であり、溶解速度の可変性を生じる。 本発明において用いられる方法は、現行の製造法の制限を克服することができる、一段階での溶融液体供給から微小粒子を生成するための回転ディスク微粒化法を用いることを含む。この方法は、高い化合物添加量をもって所望のサイズ分布(50μm〜500μm)の粒子を生成する点からみると簡単かつ強いものであり、種々のタイプの担体を扱うという観点から操作多用性を提供する。この方法は500lb/時(乾量基準)までの速度で粒子を生成する能力を有する。回転ディスク微粒化法は、現在、脂肪酸、ポリエチレンワックスおよび他の低融点物質(低分子量ポリマーを包含する)を用いる、微生物、ビタミン、制汗剤、消臭剤、溶媒などを含有する微小球の商業生産のために用いられている。 非医薬物質のカプセル化のためのかかる回転ディスク処理は、米国特許第5,292,657号および第5,601,761号ならびにそれらにおいて引用されている参考文献に記載されている。回転ディスク処理はまた、被覆された微小球粒子を調製する能力を提供する。米国特許第4,675,140号および第4,386,895号ならびにそれらにおいて引用されている参考文献には被覆した粒子を得るために回転ディスク処理を用いる一の方法が記載されている。液体組成物はまた、米国特許第4,957,681号、第4,880,585号、第6,316,473号およびそれらにおいて引用されている参考文献に記載されるように、押出機を用いて処理することもでき、微小球から錠剤までの範囲の大きさの被覆された投与剤形または被覆されていない投与剤形を提供することができる。 融点が周囲温度以上の固体分散体微小粒子または微小球を生成するために本発明において用いられる方法は、以下の工程で構成される。第1段階は、最も高い溶融物質の融点よりも約10℃〜20℃高い温度に加熱することによって脂質性界面活性剤および剛化剤を溶融することにより溶融脂質性担体を形成すること、および、窒素ブランケット下にて連続撹拌することによって該溶融担体に化合物を分散または溶解させることを含む。脂質性担体中の化合物の濃度は0.5〜15%w/wの範囲であり得る。好ましくは、該濃度は、化合物および脂質性担体の総重量を基準として5〜10%の範囲である。化合物/担体ブレンドの粘度は1〜20ポアズ、より好ましくは、5〜10ポアズの範囲であり得る。高速ミキサーを用いて化合物を脂質性担体溶融体に分散または溶解させる。供給溶液の温度は70℃〜100℃の範囲である。第2段階では、回転ディスクの中心への重力供給メカニズムを用いて化合物/担体ブレンドを一定速度で供給する。好ましくは、供給温度は80℃〜90℃の範囲である。この方法は、2,000〜20,000RPMで回転することができる4インチ回転ディスクを使用する。好ましいディスク速度は6,000〜7,000RPMの範囲である。供給速度は0.5〜1.0g/秒、より好ましくは、0.25〜0.75g/秒の範囲である。ディスクは担体が該ディスクの表面上で確実に液体状態であるように担体の溶融温度以上の温度に維持される。ディスク表面は誘導加熱メカニズムを用いて加熱される。ディスク温度は70℃〜130℃、より好ましくは、90℃〜120℃の範囲であり得る。ディスクの回転のために、ディスクの表面に薄膜が形成される。第3段階では、液体膜がディスクの表面から半径方向に外側に向かって小滴として跳ね飛ばされ、周囲のキャリヤーガス(空気または窒素またはアルゴン)と接触して固化または凝固する。該処理は、高温での脂質性担体および化合物の分解を防止するために、不活性環境(窒素またはアルゴンパージ)下で行うことができる。回転速度はこの方法で生成される微小球のサイズに影響を及ぼす。すなわち、他の因子を一定にしたままでは、回転速度が増大すると小さい微小球が速い速度で生成され、一方、回転速度が低下すると大きい粒子が遅い速度で生成される。生成された微小粒子の所望の粒度は50μm〜500μmの範囲である。生成された微小粒子または微小球は、好ましくは、融点が40℃〜55℃である。 本発明の固体分散体は球状微小粒子であり、さらさらした粉末を形成しており、他の賦形剤または化合物と容易にブレンドすることができ、カプセルに充填されるかまたは錠剤に圧縮され得、該カプセルまたは錠剤は化合物の放出およびターゲッティングを調節するためにポリマーで被覆することができる。 本発明の化合物、特に、水溶性に乏しい化合物の固体分子分散体の調製は、以下の非限定的な実施例に記載される方法によって製造することができる。 実施例1 2つの異なるグレードのGelucire(登録商標)(それぞれ、44/14および50/13)を含有する固体分子分散体製剤#1および#2を調製して、試験化合物I(水への溶解度が<5μg/mL)の溶解速度に対するHLB値および融点の影響を示した。2種類の固体分散体に関する脂質性担体の組成を下記表に要約する。 所望の量の脂質性担体成分であるグリセロールモノステアレート(GMS)およびGelucire(登録商標)44/14またはGelucire(登録商標)50/13を、不活性雰囲気(窒素ブランケット)下の容器中にて、成分が溶融して透明な均質混合物が形成されるまで約75℃〜80℃に加熱した。高速ミキサーにて担体成分の適切な混合を確実にした。連続撹拌しながら、溶融した担体に化合物を溶解した。続いて、溶解した化合物を含有する脂質性担体溶融体を、回転ディスクを用いて小滴に微粒化し、ここで、化合物/担体溶融体をディスクチャンバー中にてキャリアガス(例えば、アルゴン)と接触させて粒子に凝固させた。ディスク速度は7,000RPMであり、ディスク温度は誘導加熱器を用いて80℃に維持した。ディスクへの供給速度は0.5g/秒であった。ディスクが回転している間じゅう、ディスクチャンバーをアルゴン下に維持し、該チャンバーの底から粒子を収集した。 2種類の脂質性組成物に関して調製した微小粒子または微小球のSEM顕微鏡写真を図2および3に示す。該粒子は球状であり、大部分の粒子は50μm〜150μmの範囲であった。溶解実験は、インビボでの化合物溶解をより良く予想できるように胃腸管中にて遭遇するpH条件および組成物の点から生理学的に関連性のある媒体である擬似胃液(0.1N HCl、pH1.2、酵素は無添加)および擬似腸液(摂食した状態、pH5.0)中にて微小粒子について行った。 これらの実験において、単位投与量(試験化合物そのものまたは試験化合物I 10mgを含有する製剤)をサイズ0のゼラチンカプセルに充填し、テフロン被覆したシンカー(sinker)中に入れた。カプセルを収容しているシンカーを溶解媒体(容量500mL)中に垂らし、37℃に維持した。75RPMでのパドル回転により穏やかに撹拌した。予め決定していた時点で試料を採取し、UV吸光度により分析して、化合物の可溶化の速度および程度を測定した。製剤化していない化合物および2種類の溶解媒体中の固体分散体組成物についての可溶化速度を図4および5に示す。試験化合物Iの可溶化の速度および程度は、製剤化していない化合物よりも固体分散体微小粒子の方が高かった(図4および5)。また、試験化合物Iの可溶化速度は、HLBがより高く、融点がより低い界面活性剤(すなわち、Gelucire(登録商標)44/14)を配合した固体分散体組成物の方が速かった。 実施例2 実施例1に記載した回転ディスク法を用いて、フロー剤を配合した固体分散体粒子を調製した。固体分散体中の脂質性担体の組成を下記表に要約する。 調製した粒子は優れた流動性を有していた。実施例1に記載したようにシンク条件下に維持した溶解媒体(2.0%w/vのラウリル硫酸ナトリウム)中にてこれらの粒子について溶解実験を行った。対照の分子分散体製剤(フロー剤なし)と比べたこの固体分子分散体についての可溶化速度を図6に示す。 本明細書にて引用した特許および特許出願を包含するがこれらに限定されない全ての刊行物は、個々の刊行物が十分に開示されているかの如く具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部とすることが明示されているかのように出典明示により本明細書の一部とする。 上記記載事項は好ましい実施態様を包含する本発明を十分に開示する。本明細書に具体的に開示した実施態様の変更および改良は特許請求の範囲の範囲内に含まれる。さらに詳述せずとも、当業者であれば上記記載事項を用いて本発明を最大限に利用することができると考えられる。したがって、いずれもの実施例は単に例示的なものであって、如何なる場合も本発明の範囲を制限するものではないと解釈すべきである。独占的な所有権または特権を主張する本発明の実施態様は特許請求の範囲に定義するとおりである。図1は、化合物単独、および重量比50:50および90:5のグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13からなる2種類の水分散性脂質性担体中にて製剤化された化合物の単位投与量の溶解速度を示すグラフである。図2は、本発明のプロセスにより調製された微小粒子の走査電子顕微鏡写真である。図3は、本発明のプロセスにより調製された微小粒子の走査電子顕微鏡写真である。図4は、化合物単独、および各々重量比50:50のグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13ならびにグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)44/14からなる2種類の水分散性脂質性担体中に製剤化された化合物の溶解速度を示すグラフである。図5は、化合物単独、および各々重量比50:50のグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13ならびにグリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)44/14からなる2種類の水分散性脂質性担体中に製剤化された化合物の溶解速度を示すグラフである。図6は、フロー剤を用いる、および用いない、グリセロールモノステアレートおよびGelucire(登録商標)50/13(50:50)からなる固体分子分散体の溶解速度を示すグラフである。 水溶性に乏しい化合物約0.01重量%〜約15重量%および粒子化可能な脂質性担体約85〜99.99重量%で構成される固体分子分散体を含む、全体的な融点が40℃またはそれよりも高い水分散性粒状組成物であって、 該粒子化可能な脂質性担体が ポリグリコール化グリセリド、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、融点が40℃〜50℃の脂質性界面活性剤約5重量%〜約50重量%、および グリセロールモノステアレート、グリセロールパルミトステアレート、硬化植物油およびそれらの混合物からなる群から選択される、融点が50℃〜80℃の剛化剤約50重量%〜約95重量%で構成される、水分散性粒状組成物。 HLB値が10より高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤および融点が50℃〜80℃の剛化剤で構成される混合物を溶融する工程; 溶融した界面活性剤および剛化剤混合物に化合物を溶解して、化合物、界面活性剤および混合グリセリドの均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含むプロセスによって調製される、化合物の脂質性担体への分子分散体を含む、請求項1記載の水分散性粒状組成物。 HLB値が10よりも高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤を溶融する工程; 融点が50℃〜80℃の固体剛化剤を溶融する工程; 溶融した界面活性剤に化合物を溶解する工程; 該剛化剤と、溶解した化合物−界面活性剤混合物とを混合して、均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含むプロセスによって調製される、化合物の脂質性担体への分子分散体を含む、請求項1記載の水分散性粒状組成物。 化合物が約1%〜約10%の量で固体組成物中に存在する、請求項1〜3いずれか1項記載の組成物。 化合物が約2%〜約5%の量で固体組成物中に存在する、請求項1〜3いずれか1項記載の組成物。 脂質性界面活性剤が脂質性組成物の約5重量%〜約50重量%の量で存在する、請求項1〜5いずれか1項記載の組成物。 剛化剤が脂質性組成物の約50重量%〜約95重量%の量で存在する、請求項1〜5いずれか1項記載の組成物。 さらに、崩壊剤、フロー剤、可溶化増強剤および孔形成剤からなる群から選択される1種類またはそれ以上の処方助剤を含む、請求項1〜5いずれか1項記載の組成物。 固体組成物中の1種類またはそれ以上の処方助剤の総重量が該固体組成物の0.01重量%〜5重量%である、請求項8記載の組成物。 崩壊剤がクロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8記載の組成物。 フロー剤がコロイド二酸化ケイ素、アモルファスヒュームドシリカ、デンプン、合成アモルファスヒュームドシリカ、沈降シリカおよびヒュームドシリカならびにその混合物からなる群から選択される、請求項8記載の組成物。 可溶化増強剤が分子量2000〜8000の中重量ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8記載の組成物。 孔形成剤がシュークロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、デキストロースおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項8記載の組成物。 HLB値が10よりも高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤および融点が50℃〜80℃の剛化剤で構成される混合物を溶融する工程; 溶融した界面活性剤および剛化剤混合物に化合物を溶解して、化合物、界面活性剤および混合グリセリドの均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含む、請求項1記載の水分散性固体組成物の製造方法。 HLB値が10よりも高いかまたは10に等しい固体脂質性界面活性剤を溶融する工程; 融点が50℃〜80℃の固体剛化剤を溶融する工程; 溶融した界面活性剤に化合物を溶解する工程; 該剛化剤と、溶解した化合物−界面活性剤混合物とを混合して、均質液体組成物を形成する工程;および 該液体組成物を冷却する工程を含む、請求項1記載の水分散性固体組成物の製造方法。 さらに、回転ディスク処理を用いて液体組成物を冷却することを含む、請求項14または15記載の方法。 回転ディスク処理を用いて液体組成物を冷却して、中間粒度が50μm〜500μmの範囲の微小球を生成することを含む、請求項16記載の方法。 粒子化可能な脂質性担体中の水溶性に乏しい化合物の水分散性固体組成物、その製造方法および使用方法が開示されている。本発明の組成物は溶性に乏しい化合物の溶解度および溶解特性の改良ならびに生物学的利用能の増強をもたらす。


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