タイトル: | 公開特許公報(A)_イリノテカンの製造方法 |
出願番号: | 2006336395 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 491/22,C07B 61/00,A61K 31/4745 |
フリードリッヒ ヴィスマン ホルガー ラウター ジルヴィア ヴェルナー JP 2007161714 公開特許公報(A) 20070628 2006336395 20061213 イリノテカンの製造方法 ヴェー ツェー ヘレーウス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 390023560 W.C.Heraeus GmbH 矢野 敏雄 100061815 山崎 利臣 100094798 久野 琢也 100099483 杉本 博司 100110593 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 ラインハルト・アインゼル 230100044 フリードリッヒ ヴィスマン ホルガー ラウター ジルヴィア ヴェルナー EP 05027167.5 20051213 C07D 491/22 20060101AFI20070601BHJP C07B 61/00 20060101ALN20070601BHJP A61K 31/4745 20060101ALN20070601BHJP JPC07D491/22C07B61/00 300A61K31/4745 19 OL 9 4C050 4C086 4H039 4C050AA01 4C050AA07 4C050BB04 4C050CC07 4C050DD08 4C050EE02 4C050FF02 4C050GG03 4C050HH04 4C086AA04 4C086CB22 4C086NA20 4C086ZB26 4H039CA66 4H039CD10 4H039CD20 本発明は、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン)の製造方法に関する。 US4604463号は、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシカンプトテシン(I)を、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)と1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩(III)とをピリジン中で室温において縮合させることによって製造することを記載している。US4604463号 WO200519223号によれば、前記方法は、生成物中に着色された不純物をもたらす。これら不純物を避けるために、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシカンプトテシンは、式の7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンと、式の1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩とを極性の非プロトン性溶剤、例えばアセトニトリル中で、かつ4−ジメチル−アミノピリジンの存在下に縮合させることによって製造された。その縮合は、懸濁液中で進行し、その際、該極性の非プロトン性溶剤は、4−ジメチルアミノピリジンのみを溶解する一方で、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンと1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩はこの極性の非プロトン性溶剤中で未溶解のままとなる。縮合反応で使用される1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩の量は、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン1モル当たりに、有利には1.3〜3モル、より有利には1.6〜1.9モルである。前記縮合で使用される4−ジメチルアミノピリジンの量は、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン1モル当たりに、有利には1.5〜4モル、より有利には1.8〜2.2モルである。該縮合で使用される極性の非プロトン性溶剤の量は、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン1モル当たりに、有利には400〜600モル、より有利には430〜460モルである。縮合は、有利には70〜80℃、より有利には73〜77℃の温度で実施される。 本発明によれば、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシン(I)の製造方法において、A 1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩(III)と7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)との混合物を、B 極性の非プロトン性溶剤中でC 塩基と、D 3〜20個の炭素原子を有する窒素含有の環状有機化合物の触媒量の存在下で、かつ場合によりE 7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン中に存在する全ての水を効果的に結合する量で水結合剤を存在させて、反応させることを含む方法が開示される。 反応スキームは以下のとおりである: 塩基の量は、反応の間に存在する塩酸の量のモル当量ないし約1.1倍であるように計算される。 (III)の量は、(II)の1.0当量ないし約2.3又はそれ以上の当量であってよい。しかしながら、より多くの(III)を添加すると、より多くの不純物が生ずる。従って、(III)の1.0ないし1.3当量が好ましい。 窒素含有の環状有機化合物の触媒量は、有利には約0.01ないし約0.2モル当量、より有利には約0.1当量である。 水結合剤(工程E)は、有利には、反応物が水の形で湿分を含有する場合に適用される。 水結合剤は、EDC(N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、DIC(N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド)、DCC(N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、PPAA(トリス−n−プロパン−リン酸無水物)、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、水素化ナトリウム又はゼオライトを基礎とする分子ふるいからなる群から選択される。 前記の方法の利点は、反応温度が、WO2005019223号A1の方法での70〜80℃と比較して35〜40℃まで低くすることができることである。 極性の非プロトン性溶剤の例は、DMF、DMSO、1,4−ジオキサン、THF、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル又はそれらの混合物である。 塩基は、有利にはアミン、例えばジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン又は、以下に記載されるような窒素含有の環状有機化合物の群から選択される塩基である。 窒素含有の環状有機化合物は、有利にはジメチルアミノピリジン、を含む群から選択される。 以下の実施例は、本発明の有利な実施態様を記載している(m/mは質量関連(mass relation)を意味する): 実施例1 25.02g(0.0637モル)の7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン、18.72g(0.07ミリモル)の4−ピペリジノピペリジンカルボニルクロリド、0.99g(6.4ミリモル)のDABCO及び400mlのジクロロメタンの混合物を、18.93g(0.146モル)のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)で35〜40℃において処理する。0.5時間後に、完全な転化(>99%)が観察される。引き続き、その有機層を、NH4Cl溶液(27%)、KHCO3溶液(25%)、そしてNaCl溶液(26%)で3回洗浄する。活性炭を添加し、そしてその懸濁液を加温して、少なくとも1時間還流させる。活性炭を濾別し、そして引き続き800mlのt−ブチルメチルエーテル(t−BME)を還流下で30分以内に添加する。該混合物を35〜40℃に冷却し(生成物の沈殿)、そして35〜40℃で少なくとも1時間にわたり撹拌する。その懸濁液を0〜5℃に冷却し、少なくとも更に1時間撹拌し、そして引き続き濾別し、かつ真空中で乾燥させる。 粗生成物(イリノテカン遊離塩基)を、2−メトキシエタノールから結晶化させる。 収量:32.9g(理論値の88%) 外観:黄色、晶質の粉末 代替手順を、以下の反応スキームに表す: このように更に本発明は、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシン(I)の製造方法において、A 7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)を、極性の非プロトン性溶剤中で、ホスゲン、トリクロロメチル−クロロホルミエート、ビス(トリクロロメチル)カーボネート又はホスゲンの代替物及び塩基と、3〜20個の炭素原子を有する窒素含有の環状有機化合物の触媒量の存在下に反応させ、B かつ引き続きピペリジノピペリジン(VI)及びアミン塩基と反応させることを含む方法に関する。 極性の非プロトン性溶剤は、前記のものである。 該反応は、室温で実施するのが好ましい。 塩基とアミン塩基は、前記のものである。 ピペリジノピペリジン(VI)の量は、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)の1.0〜2.3当量、より有利には1.0〜1.7当量である。 ホスゲン代替物又はホスゲン代用物の例は、ジホスゲン及びトリホスゲンである。 この反応は以下のように概説される: 実施例2 4.00g(10.2ミリモル)の7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(純度80%)を、60mlのCH2Cl2中に溶解させる。2.15g(16.3ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを、10mlのCH2Cl2中に溶解させ、0.16g(1ミリモル)のDABCO及び1.1g(36ミリモル)のビス(トリクロロメチル)カーボネートを、10mlのCH2Cl2中に溶解させて、それらを20℃の温度で15分以内に添加する。その溶液を更に20分間撹拌する。次いで、1.80g(16ミリモル)のピペリジノピペリジンを、10mlのCH2Cl2中に溶解させ、そして2.15g(16.2ミリモル)のジイソプロピルエチルアミンを、10mlのCH2Cl2中に溶解させて、それらを同時に22℃で15分以内に添加する。生ずる澄明な溶液を、25℃で2〜4時間にわたり撹拌する。 その有機層を、NaHCO3飽和溶液80mlで2回、そして60mlのH2Oで3回抽出する。水層を回収し、そして40mlのCH2Cl2で2回抽出する。合した有機層を、再び60mlのH2Oで2回抽出し、2gのNa2SO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。残留物を、2−メトキシエタノールから再結晶化させ、そして真空中で乾燥させる。 収量:5.1g(理論値の85.2%) 外観:黄色の粉末 7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシンの製造方法において、1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩と7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンとの混合物を、極性の非プロトン性溶剤中で塩基と、3〜20個の炭素原子を有する窒素含有の環状有機化合物の触媒量の存在下で、かつ場合により前記の反応物及び溶剤中に存在する全ての水を効果的に結合する量の水結合剤の存在下に反応させることを含む方法。 塩基が、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、ピロール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、4−ピロリジノピリジン、4′,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)からなる群から選択される、請求項1記載の方法。 塩基が、ジイソプロピルエチルアミンである、請求項2記載の方法。 窒素含有の環状有機化合物が、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、ピロール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、4−ピロリジノピリジン、4′,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。 窒素含有の環状有機化合物がDABCOである、請求項4記載の方法。 溶剤が、DMF、DMSO、1,4−ジオキサン、THF、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。 水結合剤が、EDC(N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、DIC(N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド)、DCC(N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド)、PPAA(トリス−n−プロパン−リン酸無水物)、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、水素化ナトリウム又はゼオライトを基礎とする分子ふるいからなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。 1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩(III)の量が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)の1.0〜2.3当量である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。 1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩(III)の量が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)の1.0〜1.3当量である、請求項8記載の方法。 7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシンの製造方法において、A 7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンを、極性の非プロトン性溶剤中で、ホスゲン、トリクロロメチル−クロロホルミエート、ビス(トリクロロメチル)カーボネート又はホスゲンの代替物及び塩基と、3〜20個の炭素原子を有する窒素含有の環状有機化合物の触媒量の存在下に反応させ、B かつ引き続きピペリジノピペリジン及びアミン塩基と反応させることを含む方法。 反応を、室温で実施する、請求項10記載の方法。 溶剤が、DMF、DMSO、ジオキサン、THF、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10記載の方法。 アミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、ピロール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、4−ピロリジノピリジン、4′,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)からなる群から選択される、請求項10記載の方法。 アミン塩基が、ジイソプロピルエチルアミンである、請求項10記載の方法。 窒素含有の環状有機化合物が、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、ピロール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、4−ピロリジノピリジン、4′,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンからなる群から選択される、請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。 窒素含有の環状有機化合物が、DABCOである、請求項15記載の方法。 生成物を、2−メトキシエタノールから再結晶化させる、請求項10から16までのいずれか1項記載の方法。 ピペリジノピペリジン(VI)の量が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)の1.0〜2.3当量である、請求項10から17までのいずれか1項記載の方法。 1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩(III)の量が、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン(II)の1.0〜1.7当量である、請求項18記載の方法。 【課題】7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシカンプトテシン(イリノテカン)を製造するにあたり、その生成物中に着色された不純物をもたらさず、反応温度が、WO2005019223号A1の方法での70〜80℃と比較して低くすることができる方法を提供する。【解決手段】7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]−カルボニルオキシ−カンプトテシンの製造方法において、1−クロロカルボニル−4−ピペリジノピペリジン塩酸塩と7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシンとの混合物を、極性の非プロトン性溶剤中で塩基と、3〜20個の炭素原子を有する窒素含有の環状有機化合物の触媒量の存在下で、かつ場合により前記の反応物及び溶剤中に存在する全ての水を効果的に結合する量の水結合剤の存在下に反応させることを含む方法によって解決される。【選択図】なし