生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_にかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法
出願番号:2006334164
年次:2007
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/26,G01N 30/46


特許情報キャッシュ

田口 丈雄 薦田 康夫 岡田 賢造 端 洋志 栗原 美穂 JP 2007064990 公開特許公報(A) 20070315 2006334164 20061212 にかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法 三井金属鉱業株式会社 000006183 羽鳥 修 100076532 松嶋 善之 100101292 田口 丈雄 薦田 康夫 岡田 賢造 端 洋志 栗原 美穂 G01N 30/88 20060101AFI20070216BHJP G01N 30/26 20060101ALI20070216BHJP G01N 30/46 20060101ALI20070216BHJP JPG01N30/88 JG01N30/26 AG01N30/88 201XG01N30/46 AG01N30/88 101KG01N30/88 101PG01N30/88 101S 5 1 2000158938 20000529 OL 11 本発明は、液中に、特に銅電解液中に少量存在しているにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法に関し、特に2500以下という低分子量成分の測定を可能としたにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法に関する。 粗銅の電解製錬及び銅箔製造等に使用されている電解液中には、しばしば添加剤として少量のにかわ及びゼラチン(以下、場合によってにかわと総称する)が用いられている。このにかわは、銅箔等の電着銅の機械的強度、表面の結晶構造、粗さ及び硬さ等の物性を制御する役割を果たしており、安定した品質の製品を作るためには、電解液中のにかわ濃度を管理することが極めて重要である。 また、にかわの分子量の大きさの違いによって銅の電着作用への効果、影響に違いがあるといわれており、また電解液中では、にかわは高濃度の硫酸及び電解作用により、極めて急速に低分子量物質に分解されるため、にかわの分子量分布を知ることも重要である。 従来、銅電解液中の少量のにかわの濃度を測定する方法として、分極の大きさを測定する方法、回転電極上に少量銅を析出、溶解させる方法等の電気化学的測定法(例えば特許文献1)や、濾紙ににかわを捕集し、これに色素を吸着させ、吸光度を測定する色素吸着法(例えば特許文献2)等が提案されている。 しかし、特許文献1に示されるような電気化学的測定法では、共存物質の影響を受け易い。また、特許文献2に示されるような色素吸着法では分子量20,000以下のにかわが定量的には捕集されない等の欠点がある。また、これらの方法からは、にかわの分子量分布は全く得られない。さらに従来の方法は、電解液中の電解質成分と共存させたまま測定したり、また電解液中の電解質成分を前処理で除去する場合もその除去に時間を要する方法が多く、その間ににかわの分解が進むと考えられる。従って、工程中の正確なにかわの存在状態を評価しているとはいい難い。 また、従来においては、電解液中の主成分である硫酸銅の影響から低分子量部分については測定が困難とされていた。この低分子量にかわも銅箔等の物性に影響があるとして注目されており、その測定方法の開発が強く求められていた。特開平8−304338号公報特開平6−337247号公報 従って、本発明の目的は、液中のにかわ及びゼラチン、特に低分子量(<2500)のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の有効な測定方法を提供することにある。 本発明者らは、検討の結果、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィを用いることによって、上記目的が達成し得ることを知見した。 本発明は、上記知見に基づきなされたもので、電解液中に含有されているにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法であって、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィにより測定することを特徴とするにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法を提供するものである。 本発明の測定方法によって、液中のにかわ及びゼラチン、特に低分子量のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定が可能となる。この結果、電解やメッキの最適条件を決定することによって、銅箔の物性(伸び、抗張力、粗度等)を効率的に制御することが可能となる。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 本発明は、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィ(HLPC)、特にゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて液中、特に電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布を測定する。この測定方法の一例を示すフロー図を図1に示す。 図1において、試料としては、にかわを含有する液が用いられる。特に銅箔の製造に用いられる銅電解液が好ましく用いられる。また、銅箔以外の銅電解、銅以外の電解液も使用できる。さらに、銅メッキ、銅以外のメッキ液にも適用できる。 本発明の測定方法では、移動相として好ましくはアセトニトリル3容量%以上、濃度0.002〜0.01Mの希硫酸97容量%以下の混合溶液を用いる。このような移動相を用いることによって、にかわがカラム中のサイズ排除モードの吸着剤に吸着されることがないので正確に測定することができる。このアセトニトリルの割合が3容量%未満の場合には、にかわ吸着防止効果が不充分である。このアセトニトリルの割合がかなり高くても、にかわの吸着防止効果があるが、アセトニトリルの割合が高くなり過ぎると、カラム中のサイズ排除モードの吸着剤に悪影響を及ぼすので、好ましくはアセトニトリルの割合は5〜20容量%である。 また、本発明では、前処理カラム(A)として、排除限界分子量が2500以下のサイズ排除モードの充填剤を用いることが望ましい。この前処理カラムにおいて、電解液中のにかわと電解質成分とを分離し、にかわは分離カラムに送り、電解質成分は系外に排出される。このような前処理カラムとしては、例えばファルマシアバイオシステムズ(株)社製、セファデックスG−15の粒径66μm以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラム等が挙げられる。 充填剤の最大微細孔径より大きい溶液中の溶質は充填剤の微細孔より排除される(充填剤に保持されない)のでマトリックス成分から分離できない。この排除される限界の分子量を排除限界分子量と呼び、GPCカラムでマトリックスから分離可能な溶質の分子量の上限を表す。 本発明では、分離カラム(B)の充填剤として排除限界分子量が10000以上のサイズ排除モードの充填剤を用いることが望ましい。この分離カラムにおいて、液中のにかわが分子量に応じて分離され、分子量の大きい順に溶出される。このような分離カラムとして、昭和電工(株)社製、SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)、昭和電工(株)社製、Asahipak GS−320HQ(排除限界分子量40000、内径7.6mm、長さ300mm、昭和電工(株)社製、OHpak SB−803HQ(排除限界分子量100000、内径8mm、長さ300mm)等が用いられる。 この分離カラムを直列に2本以上接続することによって、銅イオン、硫酸イオンとにかわの分離効率が上昇する。 この分離カラムの充填剤として、具体的にはシリカ、カルボキシル化ポリビニルアルコール又はポリヒドロキシメタクリレートからなるもの等が挙げられる。 この分離カラムによって溶出されたにかわは、検出器、例えば吸光光度検出器により検出される。そして、ピークの面積から試料濃度、溶出時間から平均分子量を算出することができる。 すなわち、濃度の測定は、既知濃度のにかわ水溶液を用いて同一条件で分析を行い、そのピーク面積から検量線を作成することにより行う。また、分子量分布の測定は、分子量既知の標準たんぱく質を用いて同一条件で分析を行い、分離カラムから溶出される時間を測定し、分子量と溶出時間との関係を示す分子量検量線を作成することにより行う。 さらに、本発明の電解液中のにかわの濃度及び分子量分布の測定方法について具体的に説明する。本発明の測定方法は、上述したように、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィによって下記の通り測定するものである。 (a)送液ポンプと、6方切換バルブと、該送液ポンプと該6方切換バルブの第1の連結口との間に連結配置されたインジェクタと、該切換バルブの第2の連結口に連結配置された前処理カラムと、該前処理カラムと該切換バルブの第5の連結口との間に連結配置された第1検出器と、該切換バルブの第6の連結口に連結配置された分離カラムと、該分離カラムと該切換バルブの第3の連結口との間に連結配置された第2検出器と、該第2検出器での検出データに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるためのデータ処理装置と、該切換バルブの第4の連結口に連結配置された排液パイプと、該前処理カラム及び該分離カラムを一定温度に保つための恒温槽とを有する測定装置を用いること、 (b)移動相として希硫酸97容量%以下とアセトニトリル3容量%以上との混合液を用いること、 (c)前処理カラム中の充填剤として排除限界分子量が2500以下のサイズ排除モードの充填剤を用いること、 (d)分離カラム中の充填剤として排除限界分子量が10000以上のサイズ排除モードの充填剤を用いること、 (e)少量のにかわを含有している電解液をインジェクタに注入し、前処理カラムに送ること、 (f)前処理カラムにおいて、電解液中のにかわと電解質成分とを分離し、にかわは分離カラムに送り、電解質成分は系外に排出すること、 (g)分離カラムにおいて、にかわを分子量の大きさによって分離し、その結果を第2検出器で検出し、その検出データに基づいてデータ処理装置でにかわの濃度及び分子量分布を求めること、からなる電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布の測定方法である。 次に、本発明の測定方法を、図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の測定方法で用いる装置の一例を示す概略説明図である。図2に示す測定装置は、送液ポンプ1と、6方切換バルブ3と、該送液ポンプ1と該6方切換バルブ3の第1の連結口4との間に連結配置されたインジェクタ2と、該切換バルブの第2の連結口5に連結配置された前処理カラム10と、該前処理カラム10と該切換バルブの第5の連結口8との間に連結配置された第1検出器11と、該切換バルブの第6の連結口9に連結配置された分離カラム12と、該分離カラム12と該切換バルブの第3の連結口6との間に連結配置された第2検出器13と、該第2検出器13での検出データに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるためのデータ処理装置(図示せず)と、該切換バルブの第4の連結口7に連結配置された排液パイプ14と、該前処理カラム及び該分離カラムを一定温度に保つための恒温槽15とを有する。配管には好ましくはPEEK製又はテフロン(登録商標)製のチューブを使用する。 排除クロマトグラフィにおける一般的な移動相として、pH緩衝液としてのリン酸緩衝液と中性塩としての塩化ナトリウムを使用した移動相が知られているが、このような移動相を用いてにかわ含有電解液を排除クロマトグラフィにかけると、にかわの一部がカラム中のサイズ排除モードの充填剤に吸着されてしまうのでにかわを正確に測定することができない。しかし、上述のように、この移動相として希硫酸97容量%以下とアセトニトリル3容量%以上との混合液を用いると、にかわがカラム中のサイズ排除モードの充填剤に吸着されることがないので正確に測定することができる。 本発明において、前処理カラムを用いる目的は電解液中に共存している電解質成分を除去することであり、また電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布を測定する目的は電解液中に添加されているにかわの添加目的に対して有効な分子量範囲のにかわがどの程度存在しているかを測定することである。従って、前処理カラムに用いるサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量はにかわの有効分子量範囲の下限及び共存している電解質成分の分子量によって決められる。本発明においては、前処理カラム中のサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は、上述のように、一般的には2500以下、例えば1500である。 本発明において、分離カラムを用いる目的は電解液中に少量存在しているにかわの濃度及び分子量分布を測定することである。従って、分離カラムに用いるサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は電解液中のにかわの有効分子量範囲の上限によって決められる。本発明においては、分離カラム中のサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は、上述のように、一般的には10000以上、例えば50000である。 本発明においては、検出器としてmg/lレベルのにかわを検出することのできる、高速液体クロマトグラフィに一般に用いられている検出器を用いることができ、例えば吸光光度検出器を用いることができる。 本発明においては、検出器で検出したデータに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるための演算機能を持ったいかなるデータ処理装置も用いることができる。 上記のような測定装置を用いて測定する際に、先ず最初に、6方切換バルブ3により、第1の連結口4と第2の連結口5とを連絡させ、第5の連結口8と第6の連結口9とを連絡させ、かつ第3の連結口6と第4の連結口7とを連絡させる。この状態で、例えば0.005M硫酸とアセトニトリルとの容量比95:5の混合溶液からなる移動相を送液ポンプ1により一定流量で、移動相溜め16→送液ポンプ1→インジェクタ2→6方切換バルブ3→前処理カラム10→第1検出器11→6方切換バルブ3→分離カラム12→第2検出器13→6方切換バルブ3→排液パイプ14の順で流動させる。この状態で、にかわを含有している電解液200μlを直接に又は純水で希釈した試料200μlをインジェクタ2に導入する。電解液は排除限界分子量が2500以下の水系のサイズ排除モード充填剤を充填した前処理カラム10、例えば、ファルマシアバイオシステム(株)社製、セファデックスG−15(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラムに流入する。前処理カラム10に流入した電解液はサイズ排除クロマトグラフィの分離原理により分離されて分子量の大きいにかわが先に溶出し、その後低分子量物質である電解質成分が溶出する。 前処理カラム10から溶出されたにかわ及び電解質成分を第1検出器11、例えば吸光光度検出器において測定波長210nmでモニターし、にかわが分離カラム12に導入された後で、大量の電解質成分が分離カラム12に導入される前に、6方切換バルブを切換えて第1の連結口と第6の連結口とを連絡させ、第3の連結口と第2の連結口とを連絡させ、かつ第5の連結口と第4の連結口とを連絡させる。この状態では移動相は、移動相溜め16→送液ポンプ1→インジェクタ2→6方切換バルブ3→分離カラム12→第2検出器13→6方切換バルブ3→前処理カラム10→第1検出器11→6方切換バルブ3→排液パイプ14の順で流動し、電解質成分を排液パイプ14経由で系外に排出させる。 分離カラム12として、排除限界分子量が10000以上の水系のサイズ排除モード充填剤を充填した分離カラム、例えば、昭和電工(株)社製、SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)を使用する。分離カラム12に導入されたにかわは、その分子量の大きさ、分子量分布に従って分離させ、溶出する。溶出したにかわを第2検出器、例えば、吸光光度検出器において測定波長210nmで検出し、その検出データに基づいてデータ処理装置でにかわの濃度及び分子量分布を求める。 本発明の測定方法においては、分離カラムの前に前処理カラムを接続することにより、移動相の流れの中でにかわと電解質成分を自動的に分離できるのでインジェクタに注入する前の予備処理が不要であり、そのため測定中のにかわの分解を極力抑えることが可能となる。また、大量に共存する電解質成分は6方切換バルブを切換えることにより系外に排出されるので、共存物質の影響を受けることも少ない。さらに、分離カラムでにかわの分子量分布を測定することができるので、分子量の情報も得られることから、にかわの分解の経時変化も測定することが可能である。 本発明の測定方法により、種々の電解液、めっき液中の少量(mg/lレベル)のにかわの濃度の測定及び分子量分布の測定が可能となる。銅電解液の場合には、分子量が790以上のにかわの濃度の測定及び分子量分布の測定が可能である。このことによって、従来の測定方法では分からなかった低分子量にかわ、例えば分子量790〜2500のにかわと銅箔の熱間伸び、粗度、抗張力等との関係が判明し、工程管理に利用できる。他の電解液、めっき液等に適用する場合には、移動相組成の変更が必要な場合がある。また、前処理カラムと分離カラムは他の種類に変更することが可能であり、試料中のにかわの分子量の大きさの違いによって選択することが望ましい。 以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。 〔実施例1〕 粗銅の電解製錬で使用中の銅電解液をサンプリングし、その場で純水を加えて2倍に希釈し、測定まで冷蔵庫中に保管しておいた。これを分析に供した。 図2に示した装置を用い、移動相として0.005M硫酸とアセトニトリルとの容量比95:5の混合溶液を用い、前処理カラムとしてファルマシアバイオシステムズ(株)社製セファデックスG−15の粒径66μm以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラムを用い、分離カラムとして昭和電工(株)社製SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)を用い、これらのカラムの温度を25℃に維持した。移動相を0.6mm/minの一定流量で送液しておき、ベースラインが安定したところで試料200μlをインジェクタで注入して前処理カラムに導入した。前処理カラムからにかわが溶出し、Cu2+イオンが溶出し始めたところで6方切換バルブを切換え、その後に溶出してくる電解質成分を系外に排出した。分離カラムに一部Cu2+イオンを含んだにかわが導入され、分子量分布に従って分離溶出されたにかわピークを吸光光度検出器(測定波長210mm)で検出し、その信号をGPC演算が可能なデータ処理装置に記憶させ、予め作成したおいた分子量検量線及び濃度検量線から分子量分布と濃度を求めた。分子量分布曲線から、数平均分子量、重量平均分子量等の各種平均分子量を算出することが可能である。 このようにして銅電解液実試料中のにかわを分析した結果(クロマトグラム)は図3に示す通りである。またこのクロマトグラムから得られたにかわの分子量分布は図4に示す通りである。Cu2+イオンが溶出する直前までのにかわのピーク面積から求めた分子量約2500以上のにかわの濃度は2.8mg/lであった。 〔実施例2〕 下記の条件で銅電解液中のにかわの分子量の測定を行った。得られた結果(クロマトグラム)を図5に示す。この分子量の測定は、図6に示すにかわの分子量検量線に基づき計算された。Cu2+イオンが溶出するまでのにかわのピーク面積から求めた分子量790以上のにかわの濃度は0.9mg/lであった。 <測定条件> 前処理カラム:ファルマシアバイオシステムズ(株)社製、セファデックスG−15の粒径66マイクロメータ以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラム 分離カラム:昭和電工(株)社製、Asahipak GS−320HQ (排除限界分子量40000、内径7.6mm、長さ300mm) 温度:25℃ 移動相の種類と流量:アセトニトリル20容量%と希硫酸(0.005M)80容量%の混合液0.6ml/分 注入量:200マイクロリッター 検出法:210nmのUV吸収 図5の結果から明らかなように、本発明の測定方法によって、分子量790以上のにかわの濃度及び分子量分布の測定が可能となった。 〔実験例1〕 銅濃度80g/l、硫酸濃度150g/l、塩化物イオン濃度3mg/l、にかわ濃度を変量(mg/l)とした電解液を用い、液温49℃、電流密度100A/dm2で電解を行い、厚さ35μmの電解銅箔を製造した。 この際の電解液中のにかわの濃度を本発明の測定方法で測定し、にかわ濃度と銅箔の抗張力の関係を図7に示す。 図7から明らかなように、にかわ濃度と銅箔の抗張力とは比例関係にある。従って、本発明の測定方法によって、にかわ濃度を正確に測定することが可能であるから、銅箔の抗張力を任意に制御することが可能である。図1は、本発明の測定方法の一例を示すフロー図である。図2は、本発明の測定方法で用いる装置の一例を示す概略説明図である。図3は、実施例1における粗銅の電解製錬で使用中の銅電解液を分析して得たクロマトグラムである。図4は、図3のクロマトグラムから求められたにかわの分子量分布である。図5は、実施例2において銅電解液を分析して得たクロマトグラムである。図6は、実施例2におけるにかわの分子量検量線である。図7は、実験例1におけるにかわ濃度と銅箔の抗張力の関係を示すグラフである。符号の説明 1:送液ポンプ 2:インジェクタ 3:6方切換バルブ 4,5,6,7,8,9:6方切換バルブの連結口10:前処理カラム11:第1検出器12:分離カラム13:第2検出器14:排液パイプ15:恒温槽16:移動相溜め 電解液中に含有されているにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法であって、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィにより測定することを特徴とするにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法。 上記高速液体クロマトグラフィがゲルパーミエーションクロマトグラフィである請求項1記載のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法。 移動相としてアセトニトリル3容量%以上、濃度0.002〜0.01Mの希硫酸97容量%以下の混合溶液を用い、前処理カラムの充填剤として排除限界分子量が2500以下のサイズ排除モードの充填剤を用い、分離カラムの充填剤として排除限界分子量が10000以上のサイズ排除モードの充填剤を用いた請求項1又は2記載のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法。 上記分離カラムを2本以上直列に接続した請求項3記載のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法。 上記分離カラムの充填剤がシリカ、カルボキシル化ポリビニルアルコール又はポリヒドロキシメタクリレートからなる請求項3又は4記載のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法。 【課題】液中のにかわ及びゼラチン、特に低分子量のにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の有効な測定方法を提供すること。【解決手段】電解質成分を含む電解液中に含有されているにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布を高速液体クロマトグラフィを用いて測定する方法である。高速液体クロマトグラフィのカラムとして前処理カラムを用い電解液中のにかわ又はゼラチンと電解質成分とを分離する。電解質成分が分離され且つにかわ又はゼラチンを含む液を、サイズ排除モードの充填剤が充填された別のカラムに導入し、にかわ又はゼラチンをその分子量又は分子量分布に従って分離する。次いで分離されたにかわ又はゼラチンを含む液を検出器に導入する。【選択図】図1


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_にかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_にかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法
出願番号:2006334164
年次:2008
IPC分類:G01N 30/88,G01N 30/26,G01N 30/46


特許情報キャッシュ

田口 丈雄 薦田 康夫 岡田 賢造 端 洋志 栗原 美穂 JP 4074648 特許公報(B2) 20080201 2006334164 20061212 にかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法 三井金属鉱業株式会社 000006183 羽鳥 修 100076532 松嶋 善之 100101292 田口 丈雄 薦田 康夫 岡田 賢造 端 洋志 栗原 美穂 20080409 G01N 30/88 20060101AFI20080319BHJP G01N 30/26 20060101ALI20080319BHJP G01N 30/46 20060101ALI20080319BHJP JPG01N30/88 JG01N30/26 AG01N30/88 201XG01N30/46 AG01N30/88 101KG01N30/88 101PG01N30/88 101S G01N 30/88 G01N 30/26 G01N 30/46 3 2000158938 20000529 2007064990 20070315 10 20070419 郡山 順 本発明は、液中に、特に銅電解液中に少量存在しているにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法に関し、特に2500以下という低分子量成分の測定を可能としたにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法に関する。 粗銅の電解製錬及び銅箔製造等に使用されている電解液中には、しばしば添加剤として少量のにかわ及びゼラチン(以下、場合によってにかわと総称する)が用いられている。このにかわは、銅箔等の電着銅の機械的強度、表面の結晶構造、粗さ及び硬さ等の物性を制御する役割を果たしており、安定した品質の製品を作るためには、電解液中のにかわ濃度を管理することが極めて重要である。 また、にかわの分子量の大きさの違いによって銅の電着作用への効果、影響に違いがあるといわれており、また電解液中では、にかわは高濃度の硫酸及び電解作用により、極めて急速に低分子量物質に分解されるため、にかわの分子量分布を知ることも重要である。 従来、銅電解液中の少量のにかわの濃度を測定する方法として、分極の大きさを測定する方法、回転電極上に少量銅を析出、溶解させる方法等の電気化学的測定法(例えば特許文献1)や、濾紙ににかわを捕集し、これに色素を吸着させ、吸光度を測定する色素吸着法(例えば特許文献2)等が提案されている。 しかし、特許文献1に示されるような電気化学的測定法では、共存物質の影響を受け易い。また、特許文献2に示されるような色素吸着法では分子量20,000以下のにかわが定量的には捕集されない等の欠点がある。また、これらの方法からは、にかわの分子量分布は全く得られない。さらに従来の方法は、電解液中の電解質成分と共存させたまま測定したり、また電解液中の電解質成分を前処理で除去する場合もその除去に時間を要する方法が多く、その間ににかわの分解が進むと考えられる。従って、工程中の正確なにかわの存在状態を評価しているとはいい難い。 また、従来においては、電解液中の主成分である硫酸銅の影響から低分子量部分については測定が困難とされていた。この低分子量にかわも銅箔等の物性に影響があるとして注目されており、その測定方法の開発が強く求められていた。特開平8−304338号公報特開平6−337247号公報 従って、本発明の目的は、液中のにかわ又はゼラチン、特に低分子量(<2500)のにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の有効な測定方法を提供することにある。 本発明者らは、検討の結果、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィを用いることによって、上記目的が達成し得ることを知見した。 本発明は、上記知見に基づきなされたもので、電解液中に含有されているにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法であって、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィにより測定することを特徴とするにかわ及びゼラチンの濃度及び分子量分布の測定方法を提供するものである。 また本発明は、電解質成分を含む電解液中に含有されているにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布を高速液体クロマトグラフィを用いて測定する方法であって、 高速液体クロマトグラフィのカラムとして前処理カラムを用い上記電解液中のにかわ又はゼラチンと上記電解質成分とを分離し、 上記電解質成分が分離され且つにかわ又はゼラチンを含む液を、サイズ排除モードの充填剤が充填された別のカラムに導入し、にかわ又はゼラチンをその分子量又は分子量分布に従って分離し、 次いで分離されたにかわ又はゼラチンを含む液を検出器に導入することを特徴とするにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法を提供するものである。 本発明の測定方法によって、液中のにかわ又はゼラチン、特に低分子量のにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定が可能となる。この結果、電解やメッキの最適条件を決定することによって、銅箔の物性(伸び、抗張力、粗度等)を効率的に制御することが可能となる。 以下、本発明の実施の形態について説明する。 本発明は、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィ(HLPC)、特にゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて液中、特に電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布を測定する。この測定方法の一例を示すフロー図を図1に示す。 図1において、試料としては、にかわを含有する液が用いられる。特に銅箔の製造に用いられる銅電解液が好ましく用いられる。また、銅箔以外の銅電解、銅以外の電解液も使用できる。さらに、銅メッキ、銅以外のメッキ液にも適用できる。 本発明の測定方法では、移動相として好ましくはアセトニトリル3容量%以上、濃度0.002〜0.01Mの希硫酸97容量%以下の混合溶液を用いる。このような移動相を用いることによって、にかわがカラム中のサイズ排除モードの吸着剤に吸着されることがないので正確に測定することができる。このアセトニトリルの割合が3容量%未満の場合には、にかわ吸着防止効果が不充分である。このアセトニトリルの割合がかなり高くても、にかわの吸着防止効果があるが、アセトニトリルの割合が高くなり過ぎると、カラム中のサイズ排除モードの吸着剤に悪影響を及ぼすので、好ましくはアセトニトリルの割合は5〜20容量%である。 また、本発明では、前処理カラム(A)として、排除限界分子量が2500以下のサイズ排除モードの充填剤を用いることが望ましい。この前処理カラムにおいて、電解液中のにかわと電解質成分とを分離し、にかわは分離カラムに送り、電解質成分は系外に排出される。このような前処理カラムとしては、例えばファルマシアバイオシステムズ(株)社製、セファデックスG−15の粒径66μm以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラム等が挙げられる。 充填剤の最大微細孔径より大きい溶液中の溶質は充填剤の微細孔より排除される(充填剤に保持されない)のでマトリックス成分から分離できない。この排除される限界の分子量を排除限界分子量と呼び、GPCカラムでマトリックスから分離可能な溶質の分子量の上限を表す。 本発明では、分離カラム(B)の充填剤として排除限界分子量が10000以上のサイズ排除モードの充填剤を用いることが望ましい。この分離カラムにおいて、液中のにかわが分子量に応じて分離され、分子量の大きい順に溶出される。このような分離カラムとして、昭和電工(株)社製、SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)、昭和電工(株)社製、Asahipak GS−320HQ(排除限界分子量40000、内径7.6mm、長さ300mm、昭和電工(株)社製、OHpak SB−803HQ(排除限界分子量100000、内径8mm、長さ300mm)等が用いられる。 この分離カラムを直列に2本以上接続することによって、銅イオン、硫酸イオンとにかわの分離効率が上昇する。 この分離カラムの充填剤として、具体的にはシリカ、カルボキシル化ポリビニルアルコール又はポリヒドロキシメタクリレートからなるもの等が挙げられる。 この分離カラムによって溶出されたにかわは、検出器、例えば吸光光度検出器により検出される。そして、ピークの面積から試料濃度、溶出時間から平均分子量を算出することができる。 すなわち、濃度の測定は、既知濃度のにかわ水溶液を用いて同一条件で分析を行い、そのピーク面積から検量線を作成することにより行う。また、分子量分布の測定は、分子量既知の標準たんぱく質を用いて同一条件で分析を行い、分離カラムから溶出される時間を測定し、分子量と溶出時間との関係を示す分子量検量線を作成することにより行う。 さらに、本発明の電解液中のにかわの濃度及び分子量分布の測定方法について具体的に説明する。本発明の測定方法は、上述したように、カラムスイッチング法を併用した高速液体クロマトグラフィによって下記の通り測定するものである。 (a)送液ポンプと、6方切換バルブと、該送液ポンプと該6方切換バルブの第1の連結口との間に連結配置されたインジェクタと、該切換バルブの第2の連結口に連結配置された前処理カラムと、該前処理カラムと該切換バルブの第5の連結口との間に連結配置された第1検出器と、該切換バルブの第6の連結口に連結配置された分離カラムと、該分離カラムと該切換バルブの第3の連結口との間に連結配置された第2検出器と、該第2検出器での検出データに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるためのデータ処理装置と、該切換バルブの第4の連結口に連結配置された排液パイプと、該前処理カラム及び該分離カラムを一定温度に保つための恒温槽とを有する測定装置を用いること、 (b)移動相として希硫酸97容量%以下とアセトニトリル3容量%以上との混合液を用いること、 (c)前処理カラム中の充填剤として排除限界分子量が2500以下のサイズ排除モードの充填剤を用いること、 (d)分離カラム中の充填剤として排除限界分子量が10000以上のサイズ排除モードの充填剤を用いること、 (e)少量のにかわを含有している電解液をインジェクタに注入し、前処理カラムに送ること、 (f)前処理カラムにおいて、電解液中のにかわと電解質成分とを分離し、にかわは分離カラムに送り、電解質成分は系外に排出すること、 (g)分離カラムにおいて、にかわを分子量の大きさによって分離し、その結果を第2検出器で検出し、その検出データに基づいてデータ処理装置でにかわの濃度及び分子量分布を求めること、からなる電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布の測定方法である。 次に、本発明の測定方法を、図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の測定方法で用いる装置の一例を示す概略説明図である。図2に示す測定装置は、送液ポンプ1と、6方切換バルブ3と、該送液ポンプ1と該6方切換バルブ3の第1の連結口4との間に連結配置されたインジェクタ2と、該切換バルブの第2の連結口5に連結配置された前処理カラム10と、該前処理カラム10と該切換バルブの第5の連結口8との間に連結配置された第1検出器11と、該切換バルブの第6の連結口9に連結配置された分離カラム12と、該分離カラム12と該切換バルブの第3の連結口6との間に連結配置された第2検出器13と、該第2検出器13での検出データに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるためのデータ処理装置(図示せず)と、該切換バルブの第4の連結口7に連結配置された排液パイプ14と、該前処理カラム及び該分離カラムを一定温度に保つための恒温槽15とを有する。配管には好ましくはPEEK製又はテフロン(登録商標)製のチューブを使用する。 排除クロマトグラフィにおける一般的な移動相として、pH緩衝液としてのリン酸緩衝液と中性塩としての塩化ナトリウムを使用した移動相が知られているが、このような移動相を用いてにかわ含有電解液を排除クロマトグラフィにかけると、にかわの一部がカラム中のサイズ排除モードの充填剤に吸着されてしまうのでにかわを正確に測定することができない。しかし、上述のように、この移動相として希硫酸97容量%以下とアセトニトリル3容量%以上との混合液を用いると、にかわがカラム中のサイズ排除モードの充填剤に吸着されることがないので正確に測定することができる。 本発明において、前処理カラムを用いる目的は電解液中に共存している電解質成分を除去することであり、また電解液中に含有されているにかわの濃度及び分子量分布を測定する目的は電解液中に添加されているにかわの添加目的に対して有効な分子量範囲のにかわがどの程度存在しているかを測定することである。従って、前処理カラムに用いるサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量はにかわの有効分子量範囲の下限及び共存している電解質成分の分子量によって決められる。本発明においては、前処理カラム中のサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は、上述のように、一般的には2500以下、例えば1500である。 本発明において、分離カラムを用いる目的は電解液中に少量存在しているにかわの濃度及び分子量分布を測定することである。従って、分離カラムに用いるサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は電解液中のにかわの有効分子量範囲の上限によって決められる。本発明においては、分離カラム中のサイズ排除モード充填剤の排除限界分子量は、上述のように、一般的には10000以上、例えば50000である。 本発明においては、検出器としてmg/lレベルのにかわを検出することのできる、高速液体クロマトグラフィに一般に用いられている検出器を用いることができ、例えば吸光光度検出器を用いることができる。 本発明においては、検出器で検出したデータに基づいてにかわの濃度及び分子量分布を求めるための演算機能を持ったいかなるデータ処理装置も用いることができる。 上記のような測定装置を用いて測定する際に、先ず最初に、6方切換バルブ3により、第1の連結口4と第2の連結口5とを連絡させ、第5の連結口8と第6の連結口9とを連絡させ、かつ第3の連結口6と第4の連結口7とを連絡させる。この状態で、例えば0.005M硫酸とアセトニトリルとの容量比95:5の混合溶液からなる移動相を送液ポンプ1により一定流量で、移動相溜め16→送液ポンプ1→インジェクタ2→6方切換バルブ3→前処理カラム10→第1検出器11→6方切換バルブ3→分離カラム12→第2検出器13→6方切換バルブ3→排液パイプ14の順で流動させる。この状態で、にかわを含有している電解液200μlを直接に又は純水で希釈した試料200μlをインジェクタ2に導入する。電解液は排除限界分子量が2500以下の水系のサイズ排除モード充填剤を充填した前処理カラム10、例えば、ファルマシアバイオシステム(株)社製、セファデックスG−15(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラムに流入する。前処理カラム10に流入した電解液はサイズ排除クロマトグラフィの分離原理により分離されて分子量の大きいにかわが先に溶出し、その後低分子量物質である電解質成分が溶出する。 前処理カラム10から溶出されたにかわ及び電解質成分を第1検出器11、例えば吸光光度検出器において測定波長210nmでモニターし、にかわが分離カラム12に導入された後で、大量の電解質成分が分離カラム12に導入される前に、6方切換バルブを切換えて第1の連結口と第6の連結口とを連絡させ、第3の連結口と第2の連結口とを連絡させ、かつ第5の連結口と第4の連結口とを連絡させる。この状態では移動相は、移動相溜め16→送液ポンプ1→インジェクタ2→6方切換バルブ3→分離カラム12→第2検出器13→6方切換バルブ3→前処理カラム10→第1検出器11→6方切換バルブ3→排液パイプ14の順で流動し、電解質成分を排液パイプ14経由で系外に排出させる。 分離カラム12として、排除限界分子量が10000以上の水系のサイズ排除モード充填剤を充填した分離カラム、例えば、昭和電工(株)社製、SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)を使用する。分離カラム12に導入されたにかわは、その分子量の大きさ、分子量分布に従って分離させ、溶出する。溶出したにかわを第2検出器、例えば、吸光光度検出器において測定波長210nmで検出し、その検出データに基づいてデータ処理装置でにかわの濃度及び分子量分布を求める。 本発明の測定方法においては、分離カラムの前に前処理カラムを接続することにより、移動相の流れの中でにかわと電解質成分を自動的に分離できるのでインジェクタに注入する前の予備処理が不要であり、そのため測定中のにかわの分解を極力抑えることが可能となる。また、大量に共存する電解質成分は6方切換バルブを切換えることにより系外に排出されるので、共存物質の影響を受けることも少ない。さらに、分離カラムでにかわの分子量分布を測定することができるので、分子量の情報も得られることから、にかわの分解の経時変化も測定することが可能である。 本発明の測定方法により、種々の電解液、めっき液中の少量(mg/lレベル)のにかわの濃度の測定及び分子量分布の測定が可能となる。銅電解液の場合には、分子量が790以上のにかわの濃度の測定及び分子量分布の測定が可能である。このことによって、従来の測定方法では分からなかった低分子量にかわ、例えば分子量790〜2500のにかわと銅箔の熱間伸び、粗度、抗張力等との関係が判明し、工程管理に利用できる。他の電解液、めっき液等に適用する場合には、移動相組成の変更が必要な場合がある。また、前処理カラムと分離カラムは他の種類に変更することが可能であり、試料中のにかわの分子量の大きさの違いによって選択することが望ましい。 以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。 〔実施例1〕 粗銅の電解製錬で使用中の銅電解液をサンプリングし、その場で純水を加えて2倍に希釈し、測定まで冷蔵庫中に保管しておいた。これを分析に供した。 図2に示した装置を用い、移動相として0.005M硫酸とアセトニトリルとの容量比95:5の混合溶液を用い、前処理カラムとしてファルマシアバイオシステムズ(株)社製セファデックスG−15の粒径66μm以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラムを用い、分離カラムとして昭和電工(株)社製SHODEX・PROTEIN KW−802.5(排除限界分子量50000、内径8mm、長さ300mm)を用い、これらのカラムの温度を25℃に維持した。移動相を0.6mm/minの一定流量で送液しておき、ベースラインが安定したところで試料200μlをインジェクタで注入して前処理カラムに導入した。前処理カラムからにかわが溶出し、Cu2+イオンが溶出し始めたところで6方切換バルブを切換え、その後に溶出してくる電解質成分を系外に排出した。分離カラムに一部Cu2+イオンを含んだにかわが導入され、分子量分布に従って分離溶出されたにかわピークを吸光光度検出器(測定波長210mm)で検出し、その信号をGPC演算が可能なデータ処理装置に記憶させ、予め作成したおいた分子量検量線及び濃度検量線から分子量分布と濃度を求めた。分子量分布曲線から、数平均分子量、重量平均分子量等の各種平均分子量を算出することが可能である。 このようにして銅電解液実試料中のにかわを分析した結果(クロマトグラム)は図3に示す通りである。またこのクロマトグラムから得られたにかわの分子量分布は図4に示す通りである。Cu2+イオンが溶出する直前までのにかわのピーク面積から求めた分子量約2500以上のにかわの濃度は2.8mg/lであった。 〔実施例2〕 下記の条件で銅電解液中のにかわの分子量の測定を行った。得られた結果(クロマトグラム)を図5に示す。この分子量の測定は、図6に示すにかわの分子量検量線に基づき計算された。Cu2+イオンが溶出するまでのにかわのピーク面積から求めた分子量790以上のにかわの濃度は0.9mg/lであった。 <測定条件> 前処理カラム:ファルマシアバイオシステムズ(株)社製、セファデックスG−15の粒径66マイクロメータ以下の充填剤(排除限界分子量1500)を収容した内径7.5mm、長さ250mmのPEEK製カラム 分離カラム:昭和電工(株)社製、Asahipak GS−320HQ (排除限界分子量40000、内径7.6mm、長さ300mm) 温度:25℃ 移動相の種類と流量:アセトニトリル20容量%と希硫酸(0.005M)80容量%の混合液0.6ml/分 注入量:200マイクロリッター 検出法:210nmのUV吸収 図5の結果から明らかなように、本発明の測定方法によって、分子量790以上のにかわの濃度及び分子量分布の測定が可能となった。 〔実験例1〕 銅濃度80g/l、硫酸濃度150g/l、塩化物イオン濃度3mg/l、にかわ濃度を変量(mg/l)とした電解液を用い、液温49℃、電流密度100A/dm2で電解を行い、厚さ35μmの電解銅箔を製造した。 この際の電解液中のにかわの濃度を本発明の測定方法で測定し、にかわ濃度と銅箔の抗張力の関係を図7に示す。 図7から明らかなように、にかわ濃度と銅箔の抗張力とは比例関係にある。従って、本発明の測定方法によって、にかわ濃度を正確に測定することが可能であるから、銅箔の抗張力を任意に制御することが可能である。図1は、本発明の測定方法の一例を示すフロー図である。図2は、本発明の測定方法で用いる装置の一例を示す概略説明図である。図3は、実施例1における粗銅の電解製錬で使用中の銅電解液を分析して得たクロマトグラムである。図4は、図3のクロマトグラムから求められたにかわの分子量分布である。図5は、実施例2において銅電解液を分析して得たクロマトグラムである。図6は、実施例2におけるにかわの分子量検量線である。図7は、実験例1におけるにかわ濃度と銅箔の抗張力の関係を示すグラフである。符号の説明 1:送液ポンプ 2:インジェクタ 3:6方切換バルブ 4,5,6,7,8,9:6方切換バルブの連結口10:前処理カラム11:第1検出器12:分離カラム13:第2検出器14:排液パイプ15:恒温槽16:移動相溜め 電解質成分を含む電解液中に含有されているにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布を高速液体クロマトグラフィを用いて測定する方法であって、 高速液体クロマトグラフィのカラムとして前処理カラムを用い上記電解液中のにかわ又はゼラチンと上記電解質成分とを分離し、 上記電解質成分が分離され且つにかわ又はゼラチンを含む液を、サイズ排除モードの充填剤が充填された別のカラムに導入し、にかわ又はゼラチンをその分子量又は分子量分布に従って分離し、 次いで分離されたにかわ又はゼラチンを含む液を検出器に導入することを特徴とするにかわ又はゼラチンの濃度又は分子量分布の測定方法。 前記前処理カラムがGPCカラムである請求項1記載の測定方法。 配管としてPEEK製又はポリ四フッ化エチレン製のチューブを用いる請求項1又は2記載の測定方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る