生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アニオン界面活性剤の製造方法
出願番号:2006331486
年次:2008
IPC分類:C11D 1/14,C07C 303/44,C07C 305/06


特許情報キャッシュ

松元 樹 合田 尚 藤岡 徳 JP 2008143998 公開特許公報(A) 20080626 2006331486 20061208 アニオン界面活性剤の製造方法 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 義経 和昌 100098408 松元 樹 合田 尚 藤岡 徳 C11D 1/14 20060101AFI20080530BHJP C07C 303/44 20060101ALN20080530BHJP C07C 305/06 20060101ALN20080530BHJP JPC11D1/14C07C303/44C07C305/06 8 OL 10 4H003 4H006 4H003AB27 4H003DA01 4H003DA02 4H003DA17 4H006AA02 4H006AD17 4H006BB31 4H006BC50 4H006BC51 4H006BD80 4H006BD82 本発明は、アニオン界面活性剤の製造方法に関する。更に詳しくは、例えば、衣料用洗剤、台所用洗剤、歯みがき用発泡剤、シャンプー用粉体、乳化重合用乳化剤、医薬品用乳化剤、化粧品用乳化剤、セメント発泡剤等に好適に使用し得る高純度アニオン界面活性剤の製造方法に関する。 アニオン界面活性剤は、他の界面活性剤又はビルダーと混合することにより、衣料用洗剤、台所用洗剤、歯みがき用発泡剤などをはじめ、医薬品用乳化剤、化粧品用乳化剤、その他洗浄剤等に使用されている。 従来、比較的高純度なアニオン界面活性剤の粉末又は粒状物の製造方法としては、流動層乾燥機中にアニオン界面活性剤溶液を噴霧して乾燥する方法(特許文献1)や、回転薄膜蒸発機で水分濃度が1重量%未満となるように乾燥する方法(特許文献2)、マイクロ波を照射して溶剤の少なくとも一部を除去する方法(特許文献3)等が知られている。米国特許第6455488号明細書特開平11−5999号公報特開2002−129197号公報 特許文献1に記載の方法においては、流動層乾燥機中にアニオン界面活性剤溶液を噴霧して供給する為、その粘度を低く保つ必要があった。そこで該アニオン界面活性剤溶液中の活性剤濃度は約44重量%と比較的低濃度にしなければならなかった。そこで、その水分を乾燥させるため、あるいは流動層乾燥機であるが故に被乾燥物を流動化させるために17,000乃至20,000Nm3/hもの非常に多くの加熱空気を必要とし、更に、その加熱空気の温度は170℃と非常に高くする必要があった。そのため、非常に多くの熱エネルギーを必要とすると共に、アニオン界面活性剤の熱劣化をも促進し、また、大量の排気ガスを大気へ放出する事にもなるという問題があった。 また、特許文献2に記載の方法においては、回転薄膜蒸発機の加熱ジャケットに加熱蒸気又は温水を導入し、伝熱内壁面より加熱している。そのため、水分濃度が1重量%未満になるまで乾燥する為には、伝熱内壁面の温度を110℃以上の高温にする必要があり、アニオン界面活性剤水溶液又はアニオン界面活性剤スラリーの水分濃度が高い時に、非常に高温の伝熱内壁面に接して加水分解が生じたり、伝熱内壁面で乾燥原料の更新が滞り局所的に加熱されたりした場合にも、該アニオン界面活性剤の熱劣化が促進され安定運転が困難であるという問題があった。 尚、アニオン界面活性剤は、熱履歴を受けることにより、副反応や加水分解を起こし、不純物が生成する懸念が高まると共に、長期保存時の品質の安定性が低下し、好ましくない匂いや味を発現してしまうという問題もある。 更に、特許文献3に記載の方法においては、マイクロ波を照射するため、電波法に基づく高周波設備としての届出や設置基準を満たす必要がある等、利便性・汎用性が低く、また、マイクロ波による加熱は、その原理から高水分領域においては効率的に作用するが、水分の少ない領域や、マイクロ波に作用しない物質に対する効果は低いという問題があった。 本発明の課題は、これら従来法の欠点を解決し、アニオン界面活性剤に含まれる不純物を短時間で効率よく除去することができる、高純度のアニオン界面活性剤の製造方法を提供することにある。 本発明は、攪拌翼を有する造粒機又は乾燥機内の水分量0.01〜5重量%の粗アニオン界面活性剤にキャリアガスを導入して不純物を留去する工程を有するアニオン界面活性剤の製造方法を提供する。 本発明の製造方法によれば、硫酸化、あるいは、スルホン化の工程や、中和・乾燥工程での品質に依らず、凡そ乾燥した粗アニオン界面活性剤を、攪拌による加熱とキャリアガスによる加熱により、均一に加熱することが可能となり、局所的な加熱による熱分解を抑制しつつ、粗アニオン界面活性剤に含まれる不純物を短時間で効率よく留去して、高純度のアニオン界面活性剤を安定に得る事が可能となる。 本発明に用いられるアニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、アルキル又はアルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、痾−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、痾−スルホ脂肪酸塩又は痾−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。これらの中では、発泡性、洗浄性能の観点からアルキル又はアルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩が好ましく、アルキル又はアルケニル硫酸塩がより好ましく、アルキル硫酸塩が特に好ましい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。これらの塩の中では、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩やカリウム塩及びそれら塩の混合物がより好ましい。 これらのアニオン界面活性剤の内、下記式(I)で表されるアルキル又はアルケニル硫酸塩、及び下記式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。 (R1O-SO3)pM1 (I)(式中、R1は炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、M1は陽イオン、pはM1の価数であって1又は2を示す。) (R2O-(AO)mSO3)qM2 (II)(式中、R2は炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、m個のAは同一であっても異なっていても良い。mはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0.05〜20の数である。M2は陽イオン、qはM2の価数であって1又は2を示す。) 一般式(I)及び(II)において、R1及びR2の炭素数は、粉粒体の耐ケーキング性及び溶解性等の観点から、8〜20が好ましく、10〜18が更に好ましい。Aは、炭素数2〜4、特に2のアルキレン基が好ましい。mは、優れた粉体特性を得、また粉粒体の耐ケーキング性を向上させる観点から、好ましくは0.05〜2、更に好ましくは0.1〜1、特に好ましくは0.2〜0.8である。M1及びM2は、Na、K等のアルカリ金属原子、Ca、Mg等のアルカリ土類金属原子、又はアルカノール置換もしくは無置換のアンモニウム基が好ましく、更にアルカリ金属原子、特にNaが好ましい。 上記式(I)で表されるアルキル又はアルケニル硫酸塩は、例えば、炭素数8〜24、好ましくは8〜20のアルコール(以下高級アルコールという)を、硫酸化し、中和することにより得られる。また、式(II)で表されるポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩は、例えば、高級アルコールにアルキレンオキサイドを平均付加モル数0.05〜20、好ましくは0.05〜2となるように付加した高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物を、硫酸化し、中和することにより得られる。 硫酸化及び中和は、既知の方法で行なうことができる。硫酸化に用いる硫酸化剤としては、三酸化硫黄又はクロルスルホン酸が好ましい。三酸化硫黄ガスを使用する際は、通常、不活性ガス、好ましくは乾燥空気又は窒素で希釈して、三酸化硫黄ガス濃度として1〜8体積%、好ましくは1.5〜5体積%の気体混合物として使用する。中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。 中和されたアニオン界面活性剤の水分量は、特に限定されないが、流動性や乾燥時のエネルギー負荷を減らす観点から20〜40重量%が好ましい。アニオン界面活性剤は水溶性無機塩を含有しても良いが、高純度アニオン界面活性剤の製造においては、その純度を向上させる観点から出来る限り少ない方が良い。水溶性無機塩の代表例としては、例えば、塩化ナトリウム、芒硝、炭酸ナトリウム等が挙げられる。 中和後、乾燥して粗アニオン界面活性剤を得る。乾燥方法は特に限定されず、既知の方法で行なう事ができる。例えば、回転薄膜蒸発機や噴霧乾燥塔を用いる方法、攪拌翼を有する造粒機又は乾燥機を用いて造粒及び乾燥を行う方法等が挙げられる。 本発明において、粗アニオン界面活性剤の水分量は、不純物の除去効率の観点から5重量%以下であり、3.0重量%以下が好ましい。また生産性の観点から0.01重量%以上であり、0.3重量%以上が好ましい。粗アニオン界面活性剤の水分量は、加熱減量法、蒸留法、カールフィッシャー法(JIS K 0068)等の方法で測定することができるが、本明細書中の水分量は、カールフィッシャー法(JIS K 0068)で測定した値である。 また、本発明の粗アニオン界面活性剤に含有される不純物とは、石油エーテル可溶分を意味する。ここで、石油エーテル可溶分とは、アニオン界面活性剤製造時に硫酸化されなかったアルコール、アルコキシレート、更には反応から副生した微量のハイドロカーボン、ワックス等が挙げられる。石油エーテル可溶分は、試料100gを各200mlの水とエタノールの混合液に溶解した後、十分な量の石油エーテル中に抽出し、次に60℃の水浴中で石油エーテルがほとんどなくなるまで留去した後、空気を送り込んで石油エーテルを完全に追い出し、更に、85℃の乾燥器内で15分間乾燥し得られた石油エーテル抽出物の重量を試料重量で除して求める。 また、本発明において、不純物の除去速度は、下記の式から導かれ、その値が大きいほど除去速度が速い事を示す。なおlogeは自然対数を意味する。 除去速度 [1/h]=(−loge(A/B))/C 更に不純物の除去率は下記の式から導かれる。 除去率 [%]=(1−A/B)×100 ここで、A,B,Cは以下の意味を示す。 A:処理されたアニオン界面活性剤中に含まれる石油エーテル可溶分 [%] B:処理前の粗アニオン界面活性剤中に含まれる石油エーテル可溶分 [%] C:処理した時間 [h]。 本発明の機内における粗アニオン界面活性剤の平均粒径は、機内での流動性向上と壁や濾布への付着抑制の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましく、0.05mm以上が更に好ましい。又、不純物の除去効率の観点から、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.2mm以下が更に好ましい。尚、本発明における平均粒径は、エアジェットシーブ(ホソカワミクロン株式会社製 200LS−N型)を用いて試料10g、篩上下での差圧ΔP=3000mmH2O、処理時間3分の条件によって各篩目を通過した重量分率から算出される。 本発明において、粗アニオン界面活性剤は、予め粉砕処理しても良い。その際に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー(不二パウダル(株)製)、フィッツミル((株)ダルトン製)、パルベライザー((株)ダルトン製)、パワーミル(パウレック(株)製)、コーミル(Quadro社製)等が挙げられる。 本発明で使用される造粒機又は乾燥機は、攪拌翼が具備され、内部の温度(品温)を調節するためのジャケット、及び、キャリアガスを導入するためのノズルを具備するものが好適である。このようなより好ましい造粒機の具体例としては、特開平10-296064号公報、特開平10-296065号公報、特許第3165700号公報記載の造粒機が挙げられる。 又、更に解砕翼を具備しても良く、解砕翼により、粗アニオン界面活性剤を適度に解砕し、比表面積を増加させる事により、キャリアガスとの接触効率が上がり、不純物を効果的に留去できる。 解砕後の粗アニオン界面活性剤の平均粒径は、機内での流動性向上と壁や濾布への付着抑制の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がより好ましく、0.05mm以上が更に好ましい。又、不純物の除去効率の観点から、0.50mm以下が好ましく、0.30mm以下がより好ましく、0.20mm以下が更に好ましい。 本発明に好ましく用いられる造粒機又は乾燥機としては、例えば、バッチ式のものとしてヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製]、ハイスピードミキサー[深江パウテック(株)製]、バーチカルグラニュレーター[(株)パウレック製]、レディゲミキサー[松坂技研(株)製]、プロシェアミキサー[太平洋機工(株)製]等が挙げられ、特に好ましくは、レディゲミキサー[松坂技研(株)製]、ハイスピードミキサー[深江パウテック(株)製]、プロシェアミキサー[太平洋機工(株)製]である。連続式のものとして連続式レディゲミキサー(中速ミキサー:滞留時間が比較的長い)や、高速ミキサーとして(滞留時間が比較的短い)CBリサイクラー(Loedige製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)、シュギミキサー((株)パウレック製)、フロージェットミキサー((株)粉研製)等が挙げられる。 本発明においては、主に不純物の留去を促進する目的でキャリアガスを導入する。キャリアガスの導入量は、機内のアニオン界面活性剤1kgあたり、不純物の留去を促す観点から、0.2m3/Hr以上が好ましく、0.5m3/Hr以上がより好ましく、1.0m3/Hr以上が特に好ましい。又、設備負荷を低減させる観点から、20.0m3/Hr以下が好ましく、10.0m3/Hr以下がより好ましく、5.0m3/Hr以下が特に好ましい。 キャリアガスは、造粒機又は乾燥機に具備するノズルによって機内に導入される。更に、キャリアガスは、粗アニオン界面活性剤との接触効率を高める目的で、旋回流を起こす様に導入されても良く、および/又は、粗アニオン界面活性剤の内部に挿入されたノズルから導入しても良い。 キャリアガスの種類としては、窒素ガス等の不活性ガス、空気、及び/又は水蒸気が挙げられる。特に、不純物を留去させる効果としては、いずれのガス種を用いた場合でも同等であるが、中でもガスの排気や設備規模の観点から凝縮性ガスが好ましく、水蒸気が特に好ましい。また、キャリアガスは加熱して用いても良く、水蒸気については過熱蒸気として導入しても良い。 尚、キャリアガスの持つ熱を利用し、造粒機又は乾燥機内に仕込まれた粗アニオン界面活性剤を均一に加熱する事が可能である。導入されたキャリアガス温度は、20〜120℃が好ましい。尚、熱源としての観点から、40℃以上がより好ましく、60℃以上が更に好ましい。又、粗アニオン界面活性剤の熱劣化を抑制する観点から、110℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。その他、造粒機又は乾燥機内の粗アニオン界面活性剤の温度を制御する方法としては、造粒機内のジャケット温度、造粒機の攪拌翼のフルード数等を適切に調整する方法が挙げられる。 造粒機の加熱源としては、温水ジャケット、電気トレーシング等が挙げられるが、温水ジャケットが好ましく、またジャケット温度は、100℃以下が好ましく、更に熱に敏感な原料にも適用させる観点から90℃以下が更に好ましく、70℃以下が最も好ましい。また、加熱源としての観点から、30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が最も好ましい。 本発明における造粒機又は乾燥機の機内圧力は、キャリアガスの体積を増加させる観点から、130kPa以下が好ましく、101kPa以下がより好ましく、50kPa以下が更に好ましく、20kPa以下が特に好ましい。一方、真空ポンプへの負担や造粒機の気密性の観点から、0.5kPa以上が好ましく、1.5kPa以上がより好ましく、4.0kPa以上が更に好ましく、5.3kPa以上が特に好ましい。 本発明において、機内の粗アニオン界面活性剤の処理温度は、熱劣化を抑制する観点から、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が特に好ましい。一方、不純物の留去速度向上の観点から、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上が特に好ましい。 本発明の方法により得られる高純度アニオン界面活性剤としては、アニオン界面活性剤自体の機能を有効に発揮させる観点から、アニオン界面活性剤を80重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは100重量%含有するものである。 本発明の方法で得られる高純度アニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤以外に更に水溶性無機塩を含有しても良い。水溶性無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、芒硝、炭酸ナトリウム等が挙げられる。本発明の方法で得られる高純度アニオン界面活性剤中の水溶性無機塩の含有量は、特に限定されないが、アニオン界面活性剤の有効分量を高く保つ観点から、アニオン界面活性剤100重量部に対して、5重量部以下、好ましくは2重量部以下、更に好ましくは1重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下である。 本発明の方法で得られる高純度アニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有することができる。アニオン界面活性剤以外の界面活性剤としては、カチオン界面活性剤やノニオン界面活性剤が挙げられる。 本発明の方法で得られる高純度アニオン界面活性剤は、必要により、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、珪酸塩、炭酸塩等のアルカリ剤、クエン酸塩、ゼオライト等の2価金属イオン捕捉剤、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤、ケーキング防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。かかるその他の添加剤は、本発明の目的が阻害されない範囲で用いることができる。 例中の%は、特記しない限り重量%である。 合成例1 薄膜流下型反応器内に、2.0体積%の三酸化硫黄ガスと共に、アルキル基の炭素数12の高級アルコール(分子量189)を、60℃で連続的に投入し反応させた。高級アルコールに対する三酸化硫黄ガスの反応モル比が0.96となるように流量を調節した。得られた硫酸化物を23%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、30%リン酸(緩衝剤)を添加してpH=8に微調整し、更にアニオン界面活性剤の有効分が30%になるように水で調整してアルキル硫酸ナトリウム塩水溶液(以下アルキル硫酸ナトリウム塩水溶液1という)を得た。得られたアルキル硫酸ナトリウム塩水溶液1には石油エーテル可溶分が0.9%含まれていた。 次に、容量2500Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、FMD-1200JE型]でジャケット温度65℃、機内圧力4.0kPa、攪拌翼の回転数:70r/min、解砕翼の回転数:2000r/minの乾燥造粒条件によって、乾燥物の温度が36・2℃になる様に、アルキル硫酸ナトリウム塩水溶液1を調整しながら供給し乾燥と造粒を同時に行った。その後、水溶液の供給総量が1810kgになったところで乾燥造粒を終了した。引き続き、攪拌翼回転数:15r/min、解砕翼回転数:0r/min、ジャケット温度65℃、機内圧力4.0kPaの条件下で60分間処理を行いアルキル硫酸ナトリウム塩の粉粒体を得た。得られたアルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体は、平均粒径1.05mm、水分0.99%、石油エーテル可溶分2.3%を含む粗アニオン界面活性剤(以下粗アルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体1という)であった。 合成例2 アニオン界面活性剤[EMAL 10PT:花王(株)製、平均粒径0.36mm]をアトマイザー(不二パウダル(株)製、FIIS-5型)で粉砕し、平均粒径0.15mm、水分0.92%、石油エーテル可溶分0.80%の粗アニオン界面活性剤(以下粗アルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体2という)を得た。 実施例1 容量2500Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、商品名:ハイスピードミキサーFMD-1200JE型]に粗アルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体1を540kg入れ、ジャケット温度80℃、機内圧力4.0kPa、攪拌翼の回転数:55r/min、解砕翼の回転数:2000r/minの条件下、キャリアガスとして過熱蒸気を3.2m3/Hr/kg−粉の速度で導入しつつ5時間処理し、高純度アルキル硫酸ナトリウム塩を得た。 実施例2 容量100Lのナウターミキサー[ホソカワミクロン(株)製、NX−1型]に40kgの粗アルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体[EMAL 10PT:花王(株)製、平均粒径0.36mm]を仕込み、ジャケット温度95℃、機内圧力5.3kPa、攪拌翼の回転数90r/minの条件下、キャリアガスとして窒素ガスを1.4m3/Hr/kg−粉の速度で導入しつつ5時間処理し、高純度アルキル硫酸ナトリウム塩を得た。 実施例3 容量65Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、商品名:ハイスピードミキサーFMD-65JE型]に粗アルキル硫酸ナトリウム塩粉粒体2を20kg仕込み、ジャケット温度85℃、造粒機内の圧力4.0kPa、攪拌翼の回転数:200r/min、解砕翼の回転数:0r/minの条件下、キャリアガスとして過熱蒸気を9.6m3/Hr/kg−粉の速度で導入しつつ、2時間処理し、高純度アルキル硫酸ナトリウム塩を得た。 実施例4 容量65Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、商品名:ハイスピードミキサーFMD-65JE型]に、20kgの粗アルキル硫酸ナトリウム塩[EMAL 10P-HD:花王(株)製、平均粒径0.15mm]を仕込み、ジャケット温度95℃、造粒機内の圧力10.7kPa、攪拌翼の回転数:200r/min、解砕翼の回転数:3000r/minの条件下、キャリアガスとして過熱蒸気を2.7m3/Hr/kg−粉の速度で導入しつつ、1.5時間処理し、高純度アルキル硫酸ナトリウム塩を得た。 比較例1 容量65Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、商品名:ハイスピードミキサーFMD-65JE型]に、20kgの粗アルキル硫酸ナトリウム塩[EMAL 10P-HD:花王(株)製、平均粒径0.15mm]を仕込み、ジャケット温度95℃、造粒機内の圧力5.3kPa、攪拌翼の回転数:200r/min、解砕翼の回転数:0r/minの条件下、キャリアガスを導入せずに処理したところ、高純度アルキル硫酸ナトリウム塩を得るのに20時間を要した。 比較例2 容量65Lの真空乾燥機[深江パウテック(株)製、商品名:ハイスピードミキサーFMD-65JE型]に、20kgの粗アルキル硫酸ナトリウム塩[EMAL 10P-HD:花王(株)製、平均粒径0.15mm]を仕込み、ジャケット温度20℃、造粒機内の圧力101.3kPa、攪拌翼の回転数:200r/min、解砕翼の回転数:3000r/minの条件下、水を1.8kg添加して5分間混合した後、5時間保持した。その後、実施例4と同条件にて処理したところ、その除去速度は、実施例4と比較し低下した。 実施例1〜4及び比較例1〜2の処理条件及び処理結果をまとめて表1に示す。 攪拌翼を有する造粒機又は乾燥機内の水分量0.01〜5重量%の粗アニオン界面活性剤にキャリアガスを導入して不純物を留去する工程を有するアニオン界面活性剤の製造方法。 不純物を留去する工程を0.5〜130kPaの圧力下で行う、請求項1記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 キャリアガスの導入量が、機内のアニオン界面活性剤1kgあたり0.2〜20.0m3/Hrである、請求項1又は2記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 キャリアガスが、水蒸気である請求項1〜3いずれかに記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 機内のアニオン界面活性剤の温度が20〜100℃である、請求項1〜4いずれかに記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 アニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩である、請求項1〜5いずれかに記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 機内のアニオン界面活性剤の平均粒径が0.01〜0.50mmである請求項1〜6いずれかに記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 攪拌翼を有する造粒機又は乾燥機が更に解砕翼を有する、請求項1〜7いずれかに記載のアニオン界面活性剤の製造方法。 【課題】 アニオン界面活性剤に含まれる不純物を短時間で効率よく留去することができる、高純度アニオン界面活性剤の製造方法の提供。 【解決手段】 攪拌翼を有する造粒機又は乾燥機内の水分量0.01〜5重量%の粗アニオン界面活性剤にキャリアガスを導入して不純物を留去する工程を有するアニオン界面活性剤の製造方法。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る