生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_乳化型化粧料組成物
出願番号:2006331355
年次:2008
IPC分類:A61K 8/898,A61K 8/55,A61K 8/06


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西川 陽介 金谷 有員 谷川 祥子 JP 2008143817 公開特許公報(A) 20080626 2006331355 20061208 乳化型化粧料組成物 株式会社ミルボン 592255176 三輪 鐵雄 100078064 三輪 英樹 100115901 西川 陽介 金谷 有員 谷川 祥子 A61K 8/898 20060101AFI20080530BHJP A61K 8/55 20060101ALI20080530BHJP A61K 8/06 20060101ALI20080530BHJP JPA61K8/898A61K8/55A61K8/06 3 OL 9 4C083 4C083AA121 4C083AA122 4C083AC072 4C083AC302 4C083AC692 4C083AC891 4C083AC892 4C083AD161 4C083AD162 4C083DD31 4C083EE01 本発明は、アミノ変性シリコーンを配合してなり、経時的な黄変を抑制できる乳化型化粧料組成物に関するものである。 アミノ基を有するアミノ変性シリコーンは、他のシリコーンに比べて毛髪に付着し易く、効果の持続性に優れていることから、ヘアケア製品に多用されている(例えば、特許文献1〜2)。 しかしながら、アミノ変性シリコーンを配合した化粧料組成物には、安定性の面で黄変を生じ易いという欠点があり、特に高温(40〜60℃)下において黄変が生じ易いことが知られている。 更に、従来から皮膚や毛髪の感触などを向上させるために、化粧料組成物に植物油を配合することが知られている。しかし、植物油は不飽和結合を多く含んでおり、酸化安定性が悪いため、これを配合した化粧料組成物においても経時的な黄変が生じ易い。特開2002−332216号公報特開2003−342135号公報 アミノ変性シリコーンを配合してなる化粧料組成物では、経時的に黄変が生じたとしても、毒性が生じる訳でもなく、格別な効果の低下がある訳でもないが、化粧料組成物が経時的に着色すると、外観上の理由から商品価値が著しく低下することがある。 アミノ変性シリコーンが黄変する現象については、その発生メカニズム自体が解明されていないため、効果的な防止策が見出されておらず、通常は化粧料組成物中のアミノ変性シリコーンの配合量を抑えたり、着色剤を配合するといった対策がとられている程度である。 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アミノ変性シリコーンを配合しつつ、経時的な黄変を抑制した乳化型化粧料組成物を提供することにある。 本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩がアミノ変性シリコーンの黄変を抑制する効果に優れていること、および乳化型化粧料組成物中のアミノ基の量と、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量とを調整することにより、アミノ変性シリコーンを配合してなる乳化型化粧料組成物の黄変を良好に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、上記目的を達成し得た本発明の乳化型化粧料組成物は、アミノ変性シリコーンと、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物とを配合してなり、上記アミノ変性シリコーンのアミノ含量(ミリ当量/g)と、その配合量(質量%)との積が1〜7であり、上記ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物の配合量が、0.04〜1質量%であることを特徴とするものである。 本発明によれば、アミノ変性シリコーンを配合しつつ、経時的な黄変を抑制した乳化型化粧料組成物を提供することができる。 本発明の乳化型化粧料組成物では、アミノ変性シリコーンのアミノ含量(ミリ当量/g)と、アミノ変性シリコーンの配合量(質量%)との積を1以上7以下となるように配合する。上記積の値が7を超える場合には、乳化型化粧料組成物中にアミノ変性シリコーンが多量に存在することになり、このような乳化型化粧料組成物で処理された皮膚や毛髪の感触が低下してしまう。他方、上記積の値が1を下回る場合には、黄変自体が生じ難い。上記積の値は、2以上であることが好ましく、また、5以下であることが好ましい。 アミノ変性シリコーンのアミノ含量は、シリコーンメーカー各社からアミノ変性シリコーンの物性値の一つとして示されており、0.1〜0.9ミリ当量/gのアミノ含量のアミノ変性シリコーンが知られている。一般に、アミノ含量の大きなアミノ変性シリコーンは、アミノ基を多く含んでおり、例えば毛髪への吸着がより良好であることが知られている。 乳化型化粧料組成物中のアミノ変性シリコーンの配合量は、使用するアミノ変性シリコーンのアミノ含量に応じて、上記積の値を満足するようにしつつ、乳化型化粧料組成物に要求される機能に応じて設定すればよいが、例えば、0.01〜10質量%とすることが好ましい。 アミノ変性シリコーンの具体例としては、例えば、アモジメチコン[アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体]、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー[アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体]、アミノプロピルジメチコン[高重合ジメチルシロキサン・メチル(アミノプロピル)シロキサン共重合体]などが挙げられる。 なお、アモジメチコンの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KF8004」、「KF−867S」;東レ・ダウコーニング株式会社製の「SM8904」;GE東芝シリコーン株式会社製の「XF42−B8922」、「XF42−C0330」、「XS65−B3804」;などが挙げられる。また、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマーの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KF8005」;東レ・ダウコーニング株式会社製の「SS3551」、「FZ4671」;GE東芝シリコーン株式会社製の「XF42−B1989」、「XS65−B4280」;などが挙げられる。更に、アミノプロピルジメチコンの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の「KF8015」などが挙げられる。 本発明の乳化型化粧料組成物では、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種を配合するが、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩としては、特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸三ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸ナトリウムなどのヒドロキシエタンジホスホン酸のナトリウム塩;ヒドロキシエタンジホスホン酸四カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸三カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸二カリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウムなどのヒドロキシエタンジホスホン酸のカリウム塩;などが例示できる。 ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ヒドロキシエタンジホスホン酸は強酸であるので、pH調整機能にも優れている。また、ヒドロキシエタンジホスホン酸とヒドロキシエタンジホスホン酸塩とを併用した場合には、乳化型化粧料組成物に緩衝能を持たせることができ、乳化型化粧料組成物の安定性を向上させることができる。 ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量は、乳化型化粧料組成物全量中、0.04質量%以上、好ましくは0.1質量%以上である。ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量が少なすぎると、その効果が十分に確保できない。また、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量が多すぎると、乳化型化粧料組成物の乳化安定性が低下するため、乳化型化粧料組成物全量中におけるヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量は、1質量%以下、好ましくは0.6質量%以下である。 本発明の乳化型化粧料組成物には、黄変の原因となり易い植物油(特に不飽和結合を含むトリグリセリド)を配合してもよく、この場合にも良好に黄変を抑制できる。植物油としては、目的とする効果に応じて選択できるが、例えば、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ツバキ油、ワサビノキ種子油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油などが挙げられる。 乳化型化粧料組成物における植物油の配合量は、目的とする効果によって設定可能であるが、例えば0.05〜5質量%とすることが好ましい。0.05質量%以下では黄変が生じにくく、5質量%以上では乳化型化粧料組成物で処理した皮膚や毛髪の感触の低下が生じ易い。 本発明の乳化型化粧料組成物の剤型としては、例えば、クリーム状やローション状の乳化物が挙げられる。乳化剤としては、特に制限はないが、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのノニオン性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、N−ステアロイルメチルタウリンナトリウム、リン酸ジセチル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などのアニオン性界面活性剤;などが挙げられる。乳化型化粧料組成物における乳化剤の配合量は、1〜10質量%であることが好ましい。 また、本発明の乳化型化粧料組成物は乳化物であり、水も含有する。乳化型化粧料組成物における水の配合量としては、例えば、50〜90質量%であることが好ましい。 乳化型化粧料組成物では、そのpHは2〜7の場合に本発明の効果がより顕著である。本発明者らの多岐にわたる検討や研究の結果、乳化型化粧料組成物のpHが低いと黄変し易い傾向があることが判明しており、特にpHが2〜5の場合に、本発明の効果が特に顕著となる。なお、pHが8以上では黄変し難い傾向がある。 本発明の乳化型化粧料組成物は、特に毛髪化粧料とすることが好ましい。中でも、洗い流すタイプおよび洗い流さないタイプの毛髪補修剤や、化学処理(ヘアカラーやパーマ)前後に使用する毛髪処理剤とすることが特に好ましい。また、染毛剤や縮毛矯正剤、パーマ剤など、毛髪化粧料全般に利用できる。よって、本発明の乳化型化粧料組成物には、上記の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、適用する用途に応じて通常の化粧品に配合できる成分を加えることができる。このような成分としては、例えば、カチオン性高分子、両性高分子、ノニオン性高分子、アニオン性高分子、炭化水素、シリコーン(アミノ変性シリコーン以外のもの)、高級アルコール、エステル、脂肪酸、多価アルコール、植物抽出物、ムコ多糖類、多糖類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤(ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩以外のもの)、防腐剤、香料などが挙げられる。 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下の表1では、乳化型化粧料組成物全体で100%となるように、それぞれ各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、これらの表中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。実施例1〜5および比較例1〜3 表1に示す組成で、実施例1〜5および比較例1〜3の乳化型化粧料組成物を調製した。 表1において、精製水の欄の「計100とする」とは、乳化型化粧料組成物を構成する精製水以外の各成分の合計量に、精製水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。なお、各乳化型化粧料組成物には、高級アルコールであるセタノールを配合しているが、これは、後述の評価を容易にする目的で、乳化型化粧料組成物の粘度を、およそ15,000mPa・sとなるように調整するために配合したものである。また、一部の乳化型化粧料組成物には、pH調整剤として乳酸を配合しており、これによりpHを約4に調整している。なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて、4号ローター、回転数12rpmで、60秒後の粘度を測定した。 実施例および比較例では、以下の原材料を用いた。 (1)アミノ変性シリコーン(A):GE東芝シリコーン社製「XF42−B1989(商品名)」(アミノ含量:0.9ミリ当量/g)、 (2)アミノ変性シリコーン(B):GE東芝シリコーン社製「XF42−C0330(商品名)」(アミノ含量:0.3ミリ当量/g)、 (3)植物油:日光ケミカルズ社製「NIKKOL 精製アボカド油(商品名)」、 (4)ヒドロキシエタンジホスホン酸:ライオン社製「フェリオックス115A(商品名)」、 (5)ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム:コグニス社製「ターピナル4NL(商品名)」、 (6)エデト酸:キレスト社製「キレスト 2BS(商品名)」、 (7)フィチン酸:築野ライスファインケミカルズ社製、 (8)臭化ステアリルトリメチルアンモニウム:東邦化学工業社製「カチナールSTB−70(商品名)」、 (9)セタノール:花王社製「カルコール6098(商品名)」、 (10)乳酸:武蔵野化学社製「ムサシノ乳酸 90%(商品名)」。 実施例1〜5および比較例1〜3の乳化型化粧料組成物について、下記の安定性試験を行った。結果を表2に示す。 <安定性試験> 実施例1〜5または比較例1〜3の乳化型化粧料組成物を30mlのスクリュー管2本に入れ、一方を−2℃に保った恒温機に入れ、他方を50℃に保った恒温機に入れて、それぞれ2週間放置し、−2℃で放置したものを基準として、50℃で放置した乳化型化粧料組成物の黄変の様子を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。++++:黄変が極めて強い、+++:黄変が強い、++:黄変が弱い、+:変化していない。+および++の評価のものが合格である。 表2から明らかなように、アミノ変性シリコーンに係るアミノ含量と配合量との積、およびヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩の配合量の両者が好適な実施例1〜5の乳化型化粧料組成物は、安定性試験後においても黄変が全く生じないか、僅かに黄変する程度であり、経時的な黄変が良好に抑制されている。特に、実施例3および実施例4の乳化型化粧料組成物では、アミノ変性シリコーンに加えて黄変の原因となり易い植物油(アボカド油)も配合しているが、それにもかかわらず、これらの乳化型化粧料組成物では経時的な黄変が抑制されている。 これに対し、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩を配合していない比較例1〜3の乳化型化粧料組成物は、安定性試験後に強く黄変している。 アミノ変性シリコーンと、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物とを配合してなり、 上記アミノ変性シリコーンのアミノ含量(ミリ当量/g)と、その配合量(質量%)との積が1〜7であり、 上記ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物の配合量が、0.04〜1質量%であることを特徴とする乳化型化粧料組成物。 pHが2〜7である請求項1に記載の乳化型化粧料組成物。 植物油を更に配合してなるものである請求項1または2に記載の乳化型化粧料組成物。 【課題】 アミノ変性シリコーンを配合しつつ、経時的な黄変を抑制した乳化型化粧料組成物を提供する。【解決手段】 アミノ変性シリコーンと、ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物とを配合してなり、上記アミノ変性シリコーンのアミノ含量(ミリ当量/g)と、その配合量(質量%)との積が1〜7であり、上記ヒドロキシエタンジホスホン酸またはその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物の配合量が、0.04〜1質量%であることを特徴とする乳化型化粧料組成物である。本発明の乳化型化粧料組成物は、pHが2〜7の場合に、その効果が顕著であり、また、経時的な黄変の原因となり易い植物油を更に配合しても、かかる黄変が抑制できる。【選択図】 なし


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