生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_糖尿病治療剤
出願番号:2006318974
年次:2010
IPC分類:A61K 31/198,A61K 31/401,A61P 3/10


特許情報キャッシュ

北原 吉朗 三浦 恭子 JP 2010043002 公開特許公報(A) 20100225 2006318974 20061127 糖尿病治療剤 味の素株式会社 000000066 北原 吉朗 三浦 恭子 A61K 31/198 20060101AFI20100129BHJP A61K 31/401 20060101ALI20100129BHJP A61P 3/10 20060101ALI20100129BHJP JPA61K31/198A61K31/401A61P3/10 10 OL 6 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC07 4C086MA02 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZC35 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA53 4C206MA02 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZC35 本発明は、インスリン分泌促進剤とジペプジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害薬とを組み合わせてなる血糖降下剤、インスリン抵抗性治療・予防薬に関する。 ナテグリニドは、経口投与で優れたインスリン分泌促進、血糖降下作用を示し、糖尿病薬治療薬として有用であることが知られている。 一方、近年、DPP-IV阻害薬が糖尿病治療薬として期待されている。DPP-IV阻害薬は血中のGLP−1濃度上昇をもたらすが、GLP-1は、膵β細胞におけるグルコース依存的インスリン分泌反応の制御や膵β細胞の保護等、2型糖尿病の治療において望ましい作用を示す。J.Med.Chem.2003,46,2774−2789 本発明は、2型糖尿病患者に対してインスリン分泌促進薬とDPP-IV阻害薬併用することにより、膵β細胞への負担を軽減しつつより良好な血糖コントロールを実現し、糖尿病の病態進展を阻止するための新たな治療法の提供を課題とする。 本発明者らは上記問題点に鑑み鋭意検討を行った結果、DPP-IV阻害薬であるビルダグリプチン(vildagliptin、LAF-237、以下「LAF-237」と称することもある)とナテグリニドを併用投与することにより、それぞれの薬剤単独の場合と比べてインスリンの分泌総量の上昇を伴わずにブドウ糖負荷後の血糖上昇をより強く抑制することを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は以下のとおりである。〔1〕ナテグリニドとビルダグリプチンとを組み合わせてなる血糖降下剤。〔2〕ナテグリニド及びビルダグリプチンを有効成分として含有する配合剤である、〔1〕に記載の血糖降下剤。〔3〕ナテグリニドとビルダグリプチンとが別個の製剤とされてなる、〔1〕に記載の血糖降下剤。〔4〕ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、〔1〕〜〔3〕記載の血糖降下剤。〔5〕ナテグリニドとビルダグリプチンとを組み合わせてなるインスリン抵抗性治療・予防薬。〔6〕ナテグリニド及びビルダグリプチンを有効成分として含有する配合剤である、〔5〕に記載のインスリン抵抗性治療・予防薬。〔7〕ナテグリニドとビルダグリプチンとが別個の製剤とされてなる、〔5〕に記載のインスリン抵抗性治療・予防薬。〔8〕ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、〔5〕〜〔7〕記載の血糖降下剤。〔9〕ナテグリニド及ビルダグリプチンを有効成分として含有する医薬組成物。〔10〕ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、〔9〕の医薬組成物。 本発明により、2型糖尿病患者において、膵臓への負担をより軽くしつつ良好な血糖制御をするための薬剤の提供が可能となった。 本発明の医薬組成物あるいは薬剤では、ナテグリニド及び/又はビルダグリプチンは、そのまま又は医薬として許容される担体などと混合し、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤、シロップ剤、乳剤、注射剤(皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、点滴剤を含む)などの液剤、舌下錠、バッカル剤、トローチ剤、マイクロカプセルや徐放性コーティングを施した製剤、坐剤などの薬剤として、経口又は非経口的に投与することができる。なかでも、錠剤として経口的に投与するのが好ましい。 薬学的に許容される担体としては、製剤材料として慣用の各種有機又は無機の担体物質を用いることができ、固形製剤の場合には、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが、液状製剤の場合には、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが適宜用いられる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、香料などの添加物を加えてもよい。 上記剤形の製剤は、当該分野で公知の製剤方法に準じ、製造することができる。 本発明の医薬組成物あるいは薬剤におけるナテグリニドとビルダグリプチンの組み合わせ量の割合は、それらを組み合わせることにより、より効果的な効果が得られる範囲であり、重量比で、ナテグリニド1に対して、ビルダグリプチンが0.1〜5であるのが好ましく、0.1〜0.5であるのがより好ましい。 本発明の医薬組成物あるいは薬剤の一日投与量は、投与対象の症状の程度、年齢、性別、体重、薬物に対する感受性、投与時期、間隔、投与経路などによって異なるが、例えば、経口投与で一日量が、哺乳動物1kg体重あたりナテグリニド0.001〜1000mgとビルダグリプチン0.001〜1000mgとの組み合わせであり、好ましくはナテグリニド0.01〜500mgとビルダグリプチン0.01〜500mgとの組み合わせである。これを必要に応じて例えば1〜3回に分割して投与することができる。 なお、ビルダグリプチンは、例えば非特許文献1記載の方法に準じて製造することができる。 以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、実施例は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。 自然発症の2型糖尿病モデルであるGoto-Kakizaki(GK)ラットを用いて、ナテグリニドとビルダグリプチン(LAF-237)の併用による血糖降下作用およびインスリン分泌動態を1g/kgの経口ブドウ糖負荷のもとで検討した。その結果、ナテグリニドあるいはビルダグリプチン(LAF-237)はともに媒体対照群に比べてインスリン分泌を上昇させてブドウ糖負荷後の血糖上昇を抑制したが、両薬剤の併用により、それぞれの薬剤単独投与の場合と比べてさらなるインスリン分泌総量の上昇を伴わずに血糖上昇をより強く抑制した。 以下、より詳細に説明する。<ナテグリニドとビルダグリプチン(LAF-237)の併用投与による経口ブドウ糖負荷後の血糖上昇抑制作用> 自然発症の2型糖尿病モデルであるGoto-Kakizaki(GK)ラットを用いてナテグリニドとビルダグリプチン(LAF-237)併用の有効性を検討した。GKラットは膵β細胞の脱落とインスリン分泌不全を示すことが知られているモデルラットである。 15週齢の雄性GKラットを一晩絶食後に無作為に以下の4群に分け、1g/kgの経口ブドウ糖負荷試験をおこなった。VEH群 0.5%メチルセルロース(投与媒体) n=3NAT群 50mg/kgナテグリニド n=3LAF群 10mg/kgビルダグリプチン(LAF-237) n=3NAT/LAF群 50mg/kgナテグリニド+10mg/kg LAF-237 n=3 1g/kgのブドウ糖を経口負荷すると同時に各薬剤あるいは投与媒体を経口投与し、投与前、投与後15分、30分、60分、120分、180分に尾静脈より採血を行った。採血後すぐに血液の一部を用いて血糖値の測定をおこない、残りの血液からは血漿成分を調製して血漿中インスリン濃度の測定をおこなった。血糖値、およびインスリン値の測定は定法に従っておこなった。(結果) 経口ブドウ糖負荷後の血糖値の変化を図1に示す。VEH群ではブドウ糖負荷前の血糖値が183.3±12.9mg/dlであったのに対し、負荷後30分には346.0±17.3mg/dlまで上昇し、60分後もそのレベルを維持した後、180分後には負荷前値に復した。NAT群では負荷後15分から120分までのポイントで明らかに血糖上昇が抑制されていた。LAF群でも負荷後60分、120分における血糖値はVEH群に比べて低く推移した。ナテグリニドとビルダグリプチン(LAF-237)を併用したNAT/LAF群では負荷後30分、60分の血糖値をナテグリニドあるいはLAF-237単独投与の場合よりもさらに低下していた。このときの血漿中のインスリン濃度の変化を図2に示す。NAT群では負荷後15分、30分、60分においてVEH群よりも明らかにインスリン濃度を上昇させていた。LAF群でも負荷後15分、30分のインスリン濃度がVEH群に比べて上昇していた。一方、NAT/LAF群ではNAT群の場合とほぼ同様の推移を示した。 以上の結果より、ナテグリニド、LAF-237は異なる作用機作を介してインスリン分泌を促進する薬剤であるが、両薬剤の併用によりインスリン分泌をさらに上昇させることなくより強い血糖低下をもたらすことから、膵臓でのインスリン分泌の負担を軽減させつつ良好な血糖制御が可能になる可能性が示唆された。経口ブドウ糖負荷後の血糖値変化に及ぼす薬剤投与の影響を示す。平均値±標準偏差、各群3例経口ブドウ糖負荷後の血漿インスリン値の変化に及ぼす薬剤投与の影響を示す。平均値±標準偏差、各群3例 ナテグリニドとビルダグリプチンとを組み合わせてなる血糖降下剤。ナテグリニド及びビルダグリプチンを有効成分として含有する配合剤である、請求項1に記載の血糖降下剤。ナテグリニドとビルダグリプチンとが別個の製剤とされてなる、請求項1に記載の血糖降下剤。ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、請求項1〜3記載の血糖降下剤。 ナテグリニドとビルダグリプチンとを組み合わせてなるインスリン抵抗性治療・予防薬。ナテグリニド及びビルダグリプチンを有効成分として含有する配合剤である、請求項5に記載のインスリン抵抗性治療・予防薬。ナテグリニドとビルダグリプチンとが別個の製剤とされてなる、請求項5に記載のインスリン抵抗性治療・予防薬。ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、請求項5〜7記載の血糖降下剤。ナテグリニド及ビルダグリプチンを有効成分として含有する医薬組成物。ナテグリニドとビルダグリプチンとの重量比がナテグリニド1に対してビルダグリプチンが0.1〜5である、請求項9の医薬組成物。 【課題】2型糖尿病患者の良好な血糖コントロールを実現し、糖尿病の病態進展を阻止するための治療法を提供する。【解決手段】ナテグリニドとビルダグリプチンを併用投与することにより、十分な血糖降下作用を得ることができる。【選択図】なし


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