| タイトル: | 公開特許公報(A)_コラーゲン特異的分子シャペロンHSP47の測定方法 |
| 出願番号: | 2006307831 |
| 年次: | 2008 |
| IPC分類: | G01N 33/574,C07K 16/18 |
渡邊 昌彦 安達 栄治郎 永田 和宏 菊池 史郎 小野里 航 平井 和弥 JP 2008122276 公開特許公報(A) 20080529 2006307831 20061114 コラーゲン特異的分子シャペロンHSP47の測定方法 学校法人北里学園 598041566 大家 邦久 100081086 林 篤史 100121050 渡邊 昌彦 安達 栄治郎 永田 和宏 菊池 史郎 小野里 航 平井 和弥 G01N 33/574 20060101AFI20080502BHJP C07K 16/18 20060101ALN20080502BHJP JPG01N33/574 AC07K16/18 12 OL 12 4H045 4H045AA30 4H045BA10 4H045CA40 4H045EA50 4H045EA51 本発明は、分子標的マーカーとしての分子シャペロンHSP47を高感度に測定する方法及びそれを利用した癌、線維化疾患の検査方法に関する。 蛋白質が正常に機能するには、ポリペプチドが正しく折りたたまれて、機能を持った高次構造を作ること、その構造に異常を生じた場合には、合成を停止するなどの品質管理機構が必要となる。多くの蛋白質の折りたたみには、分子シャペロンの働きが極めて重要であることが知られている。 分子シャペロンとは、他の蛋白質の折りたたみ(folding)や会合に触媒的にかかわる一群の蛋白質であり、細胞内で変性した蛋白質の凝集防止、変性蛋白質の再生等を行い蛋白質の変性による細胞死から細胞を守る働きを持っている。 分子シャペロンは蛋白質の高次構造の制御に関わることから、近年、多くの神経変性疾患に関与するポリグルタミンリピートを持った病態や、プリオン病など種々の病態制御に役立つ可能性がある物質として注目されている。 中でも、分子シャペロンのひとつであるHSP47は、コラーゲン特異的分子シャペロンで、コラーゲンが正しい3本鎖を形成する為に必須である。HSP47は、肝硬変、肺や腎臓の線維化疾患、膠原病、動脈硬化等のコラーゲンの関連する疾患において、著しく発現が昂進することがわかっており、その制御は線維化疾患の新しい治療方法となる可能性が期待されている。HSP47の測定方法として、サンドイッチ(sandwich)ELISA法による蛋白定量法が報告されているが、これまでの方法では、使用している抗体の感度の問題で、培養液中や血液中に存在するごくわずかなHSP47を定量することは不可能であった。また、HSP47は、線維化が全身に及ぶような特殊な疾患のみの指標とされていた(非特許文献1)。 一方、従来から癌細胞が産生する、または非癌細胞が癌細胞に反応して産生する物質である腫瘍マーカーが発見されており、これらの癌細胞に特異的な分子の機能を直接制御することによって治療に結びつけようとする分子標的治療の研究が盛んに行われている。そして近年では、バイオマーカーという言葉が用いられ、単に癌かどうかの指標ばかりでなく、細胞が癌化する前から産生する指標物質や、癌の進展、転移の過程で産生される物質の研究が盛んに行われている。 バイオマーカーの例として、癌胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、PIVKA−II等、糖鎖抗原としてCA19−9等が挙げられる(非特許文献2)。CEAは主に消化管癌のバイオマーカーとして有用で、消化管癌において比較的高い陽性率が見られる。AFPは主に肝細胞癌のバイオマーカーとして有用である。PIVKA−IIも肝細胞癌のバイオマーカーとして有用で、AFPより特異性が高い。糖鎖抗原には予後の難しい膵、胆道癌のマーカーとして有望なものがあり、今後の展開が期待されている。しかしこれらのバイオマーカーには、早期癌など進行度が低い癌では陽性率は低い、良性疾患でも陽性となる場合があるなど、感度、良悪性の鑑別等に問題がある。 そこで、バイオマーカーとなるより特異的な物質の発見、及びそれを感度良く測定する方法を得ることが強く望まれている。日薬理誌(Folia Pharacol. Jpn.)121,p.4-14,(2003)Jpn J Cancer Chemoher 31(7),p.1015-1020,(2004) 本発明の目的は、バイオマーカーとなる特異的な物質を見出し、それを高感度で測定する方法を得ることにより、対象患者の一層細やかな病状把握を可能とすることにある。 この様な状況に鑑みて、本発明者らは鋭意検討した結果、サンドイッチELISA法による抗体の組み合せを決定し微量なHSP47を測定することを可能とした。さらに、癌組織におけるHSP47の局在を検討するため、免疫染色による観察を行い、コラーゲン産生を示す間葉系細胞以外に、上皮由来である癌細胞が染色され、コラーゲン産生という形質転換を示すことを見出した。すなわち、正常上皮細胞にはHSP47の染色は認めない(図6(A))が、スキルス胃癌細胞では細胞質内に褐色の染色を示す(図6(B))。そして本来細胞内小器官である小胞体内に存在し、細胞外に逸脱することはない分子シャペロンHSP47が、電子顕微鏡観察下に細胞外に逸脱する所見を認め(図7)、従来線維化疾患のみの指標となると思われていた分子シャペロンHSP47がバイオマーカーとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。1.HSP47と特異的に結合する分子を含む癌バイオマーカー検出キット。2.HSP47と特異的に結合する分子が抗HSP47抗体である前記1に記載の癌バイオマーカー検出キット。3.HSP47と結合する2つの抗体を含むことを特徴とする前記2に記載の癌バイオマーカー検出キット。4.HSP47と結合する抗体がヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体である前記3記載の癌バイオマーカー検出キット。5.サンドイッチELISA法を用いた前記4記載の癌バイオマーカー検出キット。6.癌がスキルス胃癌または大腸癌である前記1〜5のいずれかに記載の癌バイオマーカー検出キット。7.前記1〜6のいずれかに記載の癌バイオマーカー検出キットによる癌の診断方法。8.HSP47と結合する抗体がヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体であるHSP47検出キット。9.サンドイッチELISA法を用いた前記8記載のHSP47検出キット。10.30〜100,000ng/mlの微量なHSP47の定量が可能な前記8記載の検査キット。11.前記8記載の検査キットによる炎症性疾患または全身性及び/もしくは局部的な線維化疾患、悪性新生物または創傷治癒状態の診断方法。12.全身性及び/または局部的な線維化疾患が、膠原病、肺線維症、肝硬変である前記11記載の診断方法。 本発明により、基礎的研究時に培養組織、細胞より逸脱するHSP47を定量することが可能となる。また、臨床において血中のHSP47濃度の上昇を測定することにより担癌状態のスクリーニング検査としての利用や、血中HSP47濃度の経時的変化を測定することにより癌治療の効果判定及び経過観察時の病状の指標、とくに再発の早期発見に応用できる。さらに炎症性疾患や創傷治癒、膠原病や肺線維症、肝硬変などの組織に線維化を呈する疾患においては、その線維形成の程度を知る指標とすることができる。 以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。 本発明は、感度や特異性が高く、簡便で非侵襲的に癌を診断できる癌バイオマーカー検出キットを提供する。ここで、癌バイオマーカーとは、単に癌であるかどうかの指標ばかりでなく、前癌状態、癌の進展、転移の指標を指し、抗癌剤を投与したときにその薬効の評価するための薬効マーカーとしての意義も含む。 本発明において検出可能な癌バイオマーカーは、具体的にはHSP47である。HSP47は適用する動物種に固有のものであり、例えば、ヒトにおいては配列番号1、その他の動物(マウス)においては配列番号2のアミノ酸配列を有する。ゲノム配列はヒトにおいては第11番染色体上に位置しており配列番号3を有する。 本発明の癌バイオマーカー検出キットは、HSP47と特異的に結合する分子を含む。HSP47と特異的に結合する分子は好ましくは抗HSP47抗体であり、本発明のキットは、具体的には、ウエスタンブロット法、酵素免疫測定吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または免疫蛍光と組み合わせたバイオマーカー検出キットとして構成できる。中でも、酵素免疫測定吸着アッセイ(ELISA)による検出キットとして有用であり、以下、この態様について説明するが、他の手法による検出キットも慣用の技術を用いて同様に構成できる。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いることができる。 酵素免疫測定吸着アッセイ(ELISA)による検査キットは、HSP47に対する1次抗体と2次抗体を含む。また、2次抗体に対応する3次抗体を含んでもよい。さらに2次抗体の検出液その他のELISA法における慣用の試薬を含んでもよい。 1次抗体は好ましくは固相化抗体として不溶性担体に担持された状態で提供される。不溶性担体としては、マイクロプレート、プラスティックビーズ、ガラスビーズ、磁性微粒子等が挙げられる。1次抗体をこれらの不溶性担体に結合させる方法は、公知の化学的結合方法でもよいが物理的吸着方法で十分である。例えば、本発明の1次抗体を炭酸緩衝液やリン酸緩衝液等に溶解し、前記不溶性担体を加えて、0℃〜室温にて1時間以上放置した後、Tween20(ポリオキシエチレン・ソルビタール・モノラウレート)、アジ化ナトリウム等を添加したTris塩酸緩衝液、リン酸緩衝液等により洗浄して未結合の抗体を除去して固相化担体を調製する。 2次抗体は、通常、酵素との結合体として提供される。2次抗体に結合させる酵素の例としては西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ビオチン等が挙げられる。 なお、2次抗体に対応する3次抗体を用いる場合、3次抗体としては2次抗体に結合する抗体(例えば、2次抗体の動物種に対するIgG抗体)を用いることができる。この場合、前記酵素は3次抗体に結合させればよい。 本発明の検査キットでは、まず固相化抗体(1次抗体)と被験者から得た試料を接触させる。これによって抗原(HSP47)を捕捉させ、次いで試料液を廃棄し洗浄する。そこへ発色基質液を発色させる酵素をあらかじめ結合させた抗体酵素複合体(2次抗体)を加えると、再度抗原抗体反応がおこり、固相化抗体+抗原+抗体酵素複合体のサンドイッチ構造を構築する。2次抗体含有液を廃棄、洗浄し、未反応の酵素複合体(2次抗体)を全て除去した後、発色基質液を加え、発色に応じて試料の中の抗原の量を定量する。 1次抗体、2次抗体としては、ELISA法の一般的操作手順に従って、種々の動物種におけるモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いることができる。抗原を免疫する動物は特に限定されず、抗体取得のために一般的に使用される動物が使用可能であるが、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、モルモット等の哺乳動物を用いるのが好適である。また、1次抗体と2次抗体の組み合わせはこれらの動物種によるモノクローナル抗体とポリクローナル抗体の各種の組み合わせが可能である。特に、HSP47を抗原とした場合、1次抗体をヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体、2次抗体をマウス種抗HSP47モノクローナル抗体とする組み合わせが好ましい。かかる組み合わせを用いることにより、HSP47を高感度に検出することが可能となる。 モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体は慣用の方法により調製される。例えば、モノクローナル抗体はハイブリドーマから得ることができる。 ハイブリドーマを得るための抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、B−リンパ球が使用される。抗原としては、例えば、被験者(例えば、ヒトやその他の動物)から分離・精製したHSP47でもよいし、既知配列に基づいて合成したHSP47でもよい。動物への抗原の投与は常法に従って行われる。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原との懸濁液もしくは乳化液を調製し、これを動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫する。免疫した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とをそれ自体公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合することにより、ハイブリドーマを作製することができる。 細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選抜にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地が常法により使用できる。 細胞融合により得られたハイブリドーマを限界希釈法等によりクローン化する。更に、その中でHSP47を用いた酵素免疫測定法によりスクリーニングを行なうことで、HSP47に特異的に反応するモノクローナル抗体産生細胞株を得ることができる。 このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。 これらのモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体は市販のものを用いてもよい。 癌組織のHSP47の発現を確認するためには、モノクローナル抗体をを用いた免疫染色が可能である。ホルマリン固定、パラフィン包埋された手術検体の病理標本を使用し、HSP47の発現を既知の手技であるavidin-biotin-peroxydase colmplex (ABC)法、Labeled StreptAvidin-Biotin(LSAB)法、デキストランポリマー法等にて免疫染色し、光学顕微鏡にて観察する事が可能である。1次抗体反応後に金コロイド標識した2次抗体を反応させ、グルタールアルデヒド及びオスミウムにて固定(post-embedding法)、標識銀増感液に浸漬(銀増感法)する事により電子顕微鏡による観察が可能である。 本発明の癌バイオマーカー検出キットは、癌治療の効果判定及び経過観察時の病状の指標等として利用可能であり、特にスキルス胃癌、大腸癌の指標として有用である。 HSP47を癌バイオマーカーとして用いた例はなく、本発明には、上に詳述したELISA法による方法のみならず、任意の手法によって被験者中のHSP47量を測定する癌の診断方法が含まれる。ここで、診断とは、被験者が癌に罹患しているか否かや癌の進行度を含む各種の診断を含み、癌バイオマーカーであるHSP47の経時的変化あるいは非罹患者から得た数値との比較、局在部位の特定等によって行うことができる。 また、本発明のHSP47検出キット、特に1次抗体をヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体、2次抗体をマウス種抗HSP47モノクローナル抗体としたキットは、高感度にHSP47を検出可能であり、本発明は、従来にない高感度でのHSP47検出キットを提供する。具体的には試料中30〜100,000ng/ml程度のHSP47検出キットとして有用である。 従って、本発明は、本発明のHSP47検出キットを用いた癌以外の疾病、特に炎症性疾患または全身性及び/もしくは局部的な線維化疾患または創傷治癒状態の高感度な診断にも用いることができる。ここで、全身性及び/または局部的な線維化疾患の例としては、膠原病、肺線維症、肝硬変、悪性新生物の例としては、胃癌、大腸癌、食道癌、膵癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌等が挙げられる。その他、関節リウマチ、ケロイド等の診断、病態解析にも用いられると考えられる。 癌及びこれらの診断における試料は、慣用の方法により被験者から採取する。そのような試料の例としては、血液、血清、リンパ液、尿、組織液その他の体液及び組織が挙げられる。 以下に、実施例をあげて本発明について、更に詳細に説明を加えるが、以下の例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。 固層化抗体(1次抗体)として、ヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体( N-17 Santa Cruz Biotecnology Co. USA )を炭酸緩衝液で200倍に希釈し、96穴マルチウェルプレートに100μlずつ添加、4℃で1昼夜静置しプレート底面に付着させる。 リン酸緩衝液にてプレートを洗浄後、抗原物質として定量を行う培地もしくは血清100μlを添加し2時間抗原抗体反応を行わせる。洗浄後2次抗体としてマウス種抗HSP47モノクローナル抗体( B-12 Santa Cruz Biotecnology Co. USA )をリン酸緩衝液で1000倍に希釈し2時間反応させた。ペルオキシダーゼ標識された抗マウスIgG抗体を3次抗体として使用し発色基質(TMB(3.3'-tetramethylbenndidine ,K-Blue-substrate)Cappel USA )を反応させ、マイクロプレートリーダーにて吸光度を測定した。あらかじめ既知の濃度の合成HSP47を用いて吸光度曲線を作成しこれによりHSP47の定量を行った。結果を図1に示す。既知の濃度の合成HSP47は、京都大学 再生医科研究所 永田 和宏教授により合成、供与されたものである。実施例1 健常者12名と術前胃癌患者(非スキルス胃癌7名、スキルス胃癌14名)のHSP47の血中濃度の比較では、健常者の血中濃度の平均値(標準偏差、SD)は9.7(9.7)ng/ml、非スキルス及びスキルス胃癌患者の血中濃度の平均値(最小値−最大値)は、各々18.6(30.2−11.1)、31.1(66.8−12.6)ng/mlであった。cut off値を健常者の平均値+2SDとした際、各々陽性者は14.3%、35.7%であった。実施例2 癌組織内にスキルス様の線維化を伴わない大腸癌患者36名を対象にして、同様にHSP47の血中濃度を測定した。免疫染色では癌細胞内にHSP47の局在が示され、血中濃度の平均値(最小値−最大値)は73.9(271.5−10.9)ng/mlであった。cut off値を健常者の平均値+2SDとした際、陽性者は91.7%と高値であった。実施例3 肝生検により病理組織学的に診断された慢性肝炎患者43名、肝硬変患者32名の血中濃度の平均値(最小値−最大値)は、28.7(300.9−0)、21.1(219.3−0)であった。陽性者は各々7%、9.4%であった。実施例4 肝細胞癌患者20名を対象にして、同様にHSP47の血中濃度を測定した。血中濃度の平均値(最小値−最大値)は12.3(70.5−0)ng/mlであった。cut off値を健常者の平均値+2SDとした際、陽性者は15.0%であった。 実施例1〜4で得たHSP47の血中濃度の分布を図2に、その平均値、陽性率等の統計処理値を表1に示す。ここで、陽性率は前述のように病理組織学的に罹患が確認された割合である。 非スキルス胃癌、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌などでHSPの血中濃度の上昇がみられるが、特に大腸癌、スキルス胃癌において数値変化が顕著に現れ、診断方法として有効であることが確認された。実施例5 スキルス胃癌及び大腸癌患者における血中HSP47濃度を、従来から膠原病等のマーカーとして使用されているウサギ種抗HSP47抗体(H300)とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(SPA470)の組み合わせ、本発明のバイオマーカーとなるヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体(N17)とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(G12)の組み合わせという2種類の1次−2次抗体組み合わせにおいて比較した(図3、4)。合成HSP47における反応は、ウサギ種抗HSP47抗体(H300)とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(SPA470)の組み合わせの方がヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体(N17)とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(G12)の組み合わせよりHSP47を感度よく測定していることがわかる(図1)。しかし、実際の患者血清においては本発明の抗体の組み合わせであるN17−G12の組み合わせの方がH300−SPA470より高感度であり抗体の組み合わせが血中濃度測定に重要であることが分かる。実施例6 スキルス胃癌患者の術後状態とHSP47の経時変化では、画像評価や既存の腫瘍マーカーでは検知しづらい病状変化を鋭敏に検出し得た。術後の経時変化を表すCT画像を図5(A)〜(C)に、HSP47とバイオマーカーとして知られるCEA、CA19−9、CA72−4の血中濃度の経時変化比較を表2に示す。術前のCT画像(図5(A))では前庭部小彎に胃壁の肥厚硬化を認めるが、術後6ヶ月のCT画像(図5(B))では明らかな再発所見はない。術後1年後のCT画像(図5(C))で脾門部に類円形の腫瘤及び、腹水の少量貯留が認められる。手術後1年目にやっと画像上再発所見を得られた症例で、HSP47の血中濃度はより早期段階から上昇しており、診断方法として有効であることがわかる。 本発明の特異的かつ高感度な分子の測定方法の決定は、対象患者の一層細やかな病状把握を可能とし有用性が高い。ヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(N17-G12)、ウサギ種抗HSP47抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体(H300-SPA470)の吸光度曲線の比較。各疾患のにおける血中HSP47の定量結果胃癌患者の血中HSP47の定量におけるN17-G12とH300-SPA470の比較。大腸癌患者の血中HSP47の定量におけるN17-G12とH300-SPA470の比較。スキルス胃癌患者のHSP47の(A)術前、(B)術後6ヶ月、(C)術後1年の経時的変化(CT画像)。正常部(A)とスキルス胃癌組織(B)の抗HSP47抗体による免疫染色像。スキルス胃癌組織の抗HSP47抗体による免疫電子顕微鏡像。 HSP47と特異的に結合する分子を含む癌バイオマーカー検出キット。 HSP47と特異的に結合する分子が抗HSP47抗体である請求項1に記載の癌バイオマーカー検出キット。 HSP47と結合する2つの抗体を含むことを特徴とする請求項2に記載の癌バイオマーカー検出キット。 HSP47と結合する抗体がヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体である請求項3記載の癌バイオマーカー検出キット。 サンドイッチELISA法を用いた請求項4記載の癌バイオマーカー検出キット。 癌がスキルス胃癌または大腸癌である請求項1〜5のいずれかに記載の癌バイオマーカー検出キット。 請求項1〜6のいずれかに記載の癌バイオマーカー検出キットによる癌の診断方法。 HSP47と結合する抗体がヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体であるHSP47検出キット。 サンドイッチELISA法を用いた請求項8記載のHSP47検出キット。 30〜100,000ng/mlの微量なHSP47の定量が可能な請求項8記載の検査キット。 請求項8記載の検査キットによる炎症性疾患または全身性及び/もしくは局部的な線維化疾患、悪性新生物または創傷治癒状態の診断方法。 全身性及び/または局部的な線維化疾患が、膠原病、肺線維症、肝硬変である請求項11記載の診断方法。 【課題】バイオマーカーとなる特異的な物質を見出し、それを高感度で測定する方法を提供する。【解決手段】サンドイッチELISA法による抗体の組み合わせをヤギ種抗HSP47ポリクローナル抗体とマウス種抗HSP47モノクローナル抗体とし、バイオマーカーとなるHSP47を、微量な場合でも測定することを可能にした。癌治療の効果判定及び経過観察時の病状の指標が得られ、さらに再発の早期発見に応用できるため有用である。 また、炎症性疾患や創傷治癒、膠原病や肺線維症、肝硬変などの組織に線維化を呈する疾患においては、その線維形成の程度を知る指標を得た。【選択図】なし配列表