生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_瀉下剤
出願番号:2006305447
年次:2008
IPC分類:A61K 36/18,A61K 36/48,A61K 36/896,A61K 35/74,A61K 31/704,A61P 1/10,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

二村 和広 佐野 めぐみ 多々良 光敏 JP 2008120719 公開特許公報(A) 20080529 2006305447 20061110 瀉下剤 佐藤製薬株式会社 592142670 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 平山 孝二 100114007 星野 貴光 100136249 二村 和広 佐野 めぐみ 多々良 光敏 A61K 36/18 20060101AFI20080502BHJP A61K 36/48 20060101ALI20080502BHJP A61K 36/896 20060101ALI20080502BHJP A61K 35/74 20060101ALI20080502BHJP A61K 31/704 20060101ALI20080502BHJP A61P 1/10 20060101ALI20080502BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080502BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 JA61K35/78 VA61K35/74 AA61K31/704A61P1/10A61P43/00 121 8 OL 15 4C086 4C087 4C088 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA10 4C086MA03 4C086MA04 4C086NA14 4C086ZA72 4C086ZC75 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC65 4C087CA09 4C087MA02 4C087NA14 4C087ZA72 4C087ZC75 4C088AB22 4C088AB59 4C088AB85 4C088AC04 4C088AC05 4C088BA08 4C088BA13 4C088CA05 4C088CA11 4C088CA12 4C088CA17 4C088MA07 4C088NA14 4C088ZA72 4C088ZC75 本発明は、プランタゴ・オバタと、センナ及び/又はアロエと、糖化菌とを含む瀉下剤に関する。 便秘治療薬として、膨潤性瀉下成分又は大腸刺激性瀉下成分を有効成分として含む瀉下剤が知られている。 膨潤性瀉下成分は、腸内で水分を吸収して膨潤することによって便の核を形成するとともに、かつ、腸壁を物理的に刺激して瀉下作用を発揮する。膨潤性瀉下成分としては天然物質(例えば、プランタゴ・オバタ)や合成物質(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)が知られている。また、瀉下剤に整腸作用を付与すべく、酪酸菌又は乳酸菌を更に配合してなる瀉下剤が知られている(例えば、特許文献1〜2を参照のこと)。 大腸刺激性瀉下成分は、腸壁を化学的に刺激して瀉下作用を発揮する。大腸刺激性瀉下成分としては天然物質(例えば、センナ)や合成物質(例えば、フェノバリン)が知られている。また、大腸刺激性瀉下成分による副作用(例えば、連用による作用低下等)を緩和すべく、乳酸菌を更に配合してなる瀉下剤が知られている(例えば、特許文献3〜4を参照のこと)。特許第2726165号公報特開平7−242557号公報特開平8−310960号公報特許第3010007号公報 本発明者等は、瀉下成分(膨潤性瀉下成分及び大腸刺激性瀉下成分)と細菌との組み合わせを検討する過程で、これらの成分の組み合わせが腸内フローラの組成、具体的には人体へ有益作用をもたらす有益菌と人体へ有害作用をもたらす有害菌との割合に大きく影響することを発見した。 そこで、本発明は、瀉下作用を保持しつつ、かつ、腸内フローラを人体にとって有利な組成にすることができる瀉下剤を提供することを目的とする。 上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討を重ねたところ、膨潤性瀉下成分であるプランタゴ・オバタと、大腸刺激性瀉下成分であるセンナ及び/又はアロエと、細菌である糖化菌との組み合わせが、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができることを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。 すなわち、本発明は、プランタゴ・オバタと、センナ及び/又はアロエと、糖化菌とを含む瀉下剤に関するものである。 本発明の瀉下剤では、後述する実施例で示されるように、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる。したがって、従来の瀉下剤にはない付加価値を有する瀉下剤として有利に使用することができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の瀉下剤は、プランタゴ・オバタと、センナ及び/又はアロエと、糖化菌とを含むことを特徴とする。 「プランタゴ・オバタ」は、Plantago ovataの学名を持つ植物である。 本発明では、膨潤性瀉下成分(サイリウムガム)を含んでいる限り種子、葉、茎、根等のあらゆる部位を使用することができるが、膨潤性の点から種子が好ましい。種子は成熟した種子が好ましい。種子を用いる場合、種子全体を用いてもよく、種皮のみを用いてもよい。膨潤性の点から種皮が好ましい。尚、膨潤性瀉下成分であるサイリウムガムの確認試験は、フェーリング試液による発色反応および膨潤試験により行うことができる。 プランタゴ・オバタは、原生薬、刻み、粉末、抽出物(エキス)等の形態で用いることができる。これらの中では、顆粒剤、散剤、錠剤等、日本薬局方に収載された剤形として瀉下剤を調製する上で、粉末が好ましい。プランタゴ・オバタのこれらの形態への加工は、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。 粉末として使用する場合、その製造方法としては、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。例えば、種皮粉末は、プランタゴ・オバタ種皮を粉末とし、日局42号又はこれより網目の細かいふるい器を用いて篩過し、混合均一化することにより製造することができる。 プランタゴ・オバタは医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えば、種子粉末としてプランタゴ・オバタ種皮末(日本粉末薬品株式会社製)やプランタゴ・オバタ種子末(日本粉末薬品株式会社製)を使用することができる。 プランタゴ・オバタの配合量は、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる量であれば特に限定されるものではないが、例えば、ヒトに用いる瀉下剤の場合、瀉下剤の総質量に対して5〜99質量%、好ましくは20〜90質量%、特に好ましくは30〜80質量%である。 「センナ」は、Cassia angustifolia Vahl又はCassia acutifolia Delileの学名を持つ植物である。 本発明では、大腸刺激性瀉下成分(センノシド)を含んでいる限り果実(センナポッド)、葉、茎、根等のあらゆる部位を使用することができるが、有効性、安全性の点からセンナポッドが好ましい。尚、センノシドの確認試験は、第十五改正 日本薬局方解説書、廣川書店、2006年のD−387〜D−393の記載に従い行うことができる。 センナは、原生薬、刻み、粉末、抽出物(エキス)等の形態で用いることができる。これらの中では、顆粒剤、散剤、錠剤等、日本薬局方に収載された剤形として瀉下剤を調製する上で、粉末が好ましい。センナのこれらの形態への加工は、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。 粉末として使用する場合、その製造方法としては、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。例えば、センナポッド粉末は、センナポッドを粉末とし、日局42号又はこれより網目の細かいふるい器を用いて篩過し、混合均一化することにより製造することができる。 センナは医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えばセンナポッド粉末としてセンナポッド末(日本粉末薬品株式会社製)を使用することができる。 センナは、大腸刺激性瀉下成分であるセンノシド単体として用いてもよい。センノシド(化学名:Dihydro-dirheinanthrone glucoside、分子式:C42H38O20、分子量:862.74)は大腸刺激性瀉下成分として瀉下剤に汎用される物質であり、センナ及びダイオウの主瀉下成分としても知られている。腸内細菌により加水分解され活性本体のレインアンスロンに代謝変換され生体に対して瀉下活性を発揮する。センノシドには、センノシドAとセンノシドBが存在し、10-10'位の光学異性体である。構造式を以下に示す。 本発明においてはセンノシドA又はセンノシドBのいずれか、あるいはその混合物を使用することができる。また医薬的に許容しうる塩の形態でも使用することができ、特にカルシウム塩が好ましい。 センノシドは医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えば、センノシドA及びBのカルシウム塩であるセンノサイド・カルシウムS (アルプス薬品工業社製)を使用することができる。 「アロエ」は、Aloe ferox Millerの学名を持つ植物、又は、Aloe ferox MillerとAloe africana Miller若しくはAloe spicata Bakerとの雑種植物(Liliaceae)である。 本発明では、大腸刺激性瀉下成分(バルバロイン)を含んでいる限り葉、茎、根等のあらゆる部位を使用することができるが、バロバロインの含有率の点から葉が好ましい。尚、バルバロインの確認試験は、第十五改正 日本薬局方解説書、廣川書店、2006年のD−22〜D−27の記載に従い行うことができる。 アロエは、原生薬、刻み、粉末、抽出物(エキス)等の形態で用いることができる。これらの中では、顆粒剤、散剤、錠剤等、日本薬局方に収載された剤形として瀉下剤を調製する上で、粉末及び抽出物(エキス)が好ましい。尚、抽出物(エキス)は乾燥した粉末状であってもよく、軟稠な液状(ペースト状)であってもよい。アロエのこれらの形態への加工は、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。 抽出物(エキス)として使用する場合、その製造方法としては、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。例えば、アロエ葉の抽出物(エキス)は、アロエ葉を精製水にて加温抽出した後、エバポレーターにて濃縮することにより、又はこれをさらに乾燥して粉末化することにより製造することができる。 アロエは医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えばアロエ抽出物(エキス)としてアロエ軟稠エキス(日本粉末薬品工業社製)を使用することができる。 本発明では、センナ又はアロエを単独で用いてもよく、センナとアロエとを組み合わせて使用してもよい。 センナ又はアロエを単独で用いる場合、その配合量は、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる量であれば特に限定されるものではないが、例えば、ヒトに用いる瀉下剤の場合、瀉下剤の総質量に対して0.1〜50質量%、好ましくは0.2〜30質量%、特に好ましくは0.5〜20質量%である。 センナとアロエとを組み合わせて用いる場合、センナとアロエの各質量が前述した単独使用の場合の配合量となるようにする。 センナとしてセンノシド単体を用いる場合、その配合量は、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる量であれば特に限定されるものではないが、例えば、ヒトに用いる瀉下剤の場合、瀉下剤の総質量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。 センノシド単体とアロエとを組み合わせて用いる場合、センノシド単体とアロエの各質量が前述した単独使用の場合の配合量となるようにする。 糖化菌は、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・メンテリカス(Bacillus mesentericus)及びバチルス・ポリファーメンチカス(Bacillus polyfermenticus)に属する菌である。糖化菌の確認試験は、日本薬局方外医薬品規格(日本公定書協会監修)、株式会社じほう、2002年の415〜416頁の記載に従い行うことができる。これらの中では、原料入手の利便性の点からバチルス・サブチリスが好ましい。 バチルス・サブチリスとしては、ナットウ菌が好ましい。 糖化菌は、医薬的に許容しうる任意の形態、例えば乾燥芽胞粉末又は乾燥生菌菌体粉末の形態で用いることができる。これらの中では、安定性の点から乾燥芽胞粉末が好ましい。これらの形態への加工は、当該技術分野において周知の種々の方法を使用することができる。例えば、乾燥芽胞粉末として使用する場合、菌を寒天培地にて十分に芽胞形成されるまで培養した後、集菌し乾燥することにより製造することができる。また、瀉下剤における糖化菌濃度の調整を容易にするために、糖化菌を医薬的に許容しうる担体、例えば日本薬局方バレイショデンプンと混合してなる混合物として用いてもよい。 糖化菌は医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えばバチルス・サブチリスBN株由来の乾燥芽胞粉末と日本薬局方バレイショデンプンとの混合物であるビオナットミン(株式会社 目黒研究所製)を使用することができる。 糖化菌の配合量は、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる量であれば特に限定されるものではないが、ヒトに用いる瀉下剤の場合、瀉下剤1gに対して104〜1010個、好ましくは105〜109個、特に好ましくは106〜109個である。 複数種類の糖化菌を組み合わせて用いる場合、糖化菌の総数が前述した単独使用の場合の配合量となるようにする。 本発明の瀉下剤は、更なる整腸作用を目的として、乳酸菌を任意成分として含んでいてもよい。具体例としてはラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)を始めとするラクトバチルス属、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)を始めとするエンテロコッカス属、及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を始めとするビフィドバクテリウム属、及びバチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)等があげられる。 乳酸菌は前述の糖化菌同様に、乾燥芽胞又は乾燥生菌菌体粉末の形態で用いることができる。 乳酸菌は医薬原料として公知であり、市場において容易に入手することができる。例えば乾燥生菌菌体粉末状態のエンテロコッカス・フェカーリスとしてビオヂアスミンF-100(天野エンザイム株式会社製)を使用することができる。 乳酸菌の配合量は、例えば、ヒトに用いる瀉下剤の場合、瀉下剤1gに対して104〜1012個、好ましくは105〜1011個、特に好ましくは106〜1010個である。 本発明の瀉下剤は、経口的に投与されるのが好ましいものであり、本発明にかかる各成分を混合したものを服用することも可能であるが、服用のし易さを考慮すると、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤などの経口投与に適した剤形にしたほうが好ましい。本発明においては、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤が剤形として好ましい。 製剤化は、公知の方法により行うことができる。例えば、プランタゴ・オバタ、センナ及び/又はアロエ並びに糖化菌(場合により任意成分)へ、公知の佐薬成分や製剤添加剤を適宜加えて、例えば、第十五改正日本薬局方の製剤総則に記載されている方法により、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤などの経口投与に適した剤形に製剤化することができる。 佐薬成分としては、ビタミン類(ニコチン酸アミド、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム)、消泡剤(ジメチルポリシロキサン)、生薬成分(ケツメイシ、ヨクイニン、ウイキョウ、ケイヒ、メントール、ホミカ)、乾燥酵母等を挙げることができる。 製剤添加物としては、例えば、賦形剤、矯味剤、結合剤、着色剤、滑沢剤等を挙げることができる。 賦形剤としては,エリスリトール、キシリトール、トレハロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、乳糖、白糖、デンプン、結晶セルロース等を挙げることができる。 矯味剤としては、カカオ末、アスコルビン酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア、スクラロース、各種粉末香料、ハッカ油、L−メントール、ペパーミント等を挙げることができる。 結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。 着色剤としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用黄色5号色素、食用赤3号色素、食用青2号色素、食用レーキ色素、酸化チタン等を挙げることができる。 滑沢剤としては,軽質無水ケイ酸,ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。 製剤添加物は、本発明の医薬組成物の製造(製剤化)に際して、適宜適当な工程で添加すれば良い。 以下に、本発明の瀉下剤の具体的な処方例A〜Dを示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。 本発明の瀉下剤は、その剤形に応じて経口投与することができる。投与量は、通常、患者の体重、疾患の性質及び状態に依存して変化するが、成人に使用する場合、1日あたり1〜50gであり、好ましくは5〜20gである。 本発明の瀉下剤は、瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる。 有益菌(善玉菌と呼ばれることもある)とは、腸内フローラを形成する菌のうち、人体にとって有益な作用、即ちビタミン合成、消化吸収の補助、腸内有害菌の抑制、免疫賦活、外来病原菌の排除等の作用を有する菌をいう。具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)及びエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)等があげられる。 有害菌(悪玉菌と呼ばれることもある)とは、腸内フローラを形成する菌のうち、人体にとって有害な作用、即ち腸内腐敗、発癌物質の産生、毒素産生等の作用を有する菌をいう。具体的には、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)(ウェルシュ菌ともいう)、エシェリッヒア・コリ(Escherichia coli)及びバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)等があげられる。 本発明は特定の理論に限定されるものではないが、本発明の瀉下剤が瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができるのは、各成分に含まれる抗菌成分の組合せが腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させるように作用しているためであると考えられる。 以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。瀉下活性試験 本試験は、本発明の瀉下剤の瀉下作用を確認するために行った。試験には、表1記載の組成を有する3種類の瀉下剤を用いた。 プランタゴ・オバタとして、プランタゴ・オバタ種子粉末であるプランタゴ・オバタ種皮末(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。 センナとして、センナポッド粉末であるセンナポッド末(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。 糖化菌として、バチルス・サブチリスBN株由来の乾燥芽胞粉末を日本薬局方バレイショデンプンへ混合して、1.0g中の生菌数が1×109〜1×1010個になるように調整した混合物であるビオナットミン(株式会社 目黒研究所製)を使用した(表1中の糖化菌の配合量は前記混合物の量として示している)。表1.瀉下剤の組成(mg) これら各成分を10mLの水に懸濁し得られた懸濁液を10mL/kgの投与量でWistar系雄性ラット(8週令)(各瀉下剤につき4匹)へ経口投与した。対照群(4匹)には、10mL/kgの水を経口投与した。投与後10時間後までの各ラットの糞数を軟糞と下痢糞とに分けて観察した。 観察結果はラット1匹あたりの有効糞数(平均有効糞数)としてまとめた。有効糞数とは、瀉下剤の作用によって排泄されたと認められる糞の数をいい、「観察された糞数−対照群の糞数」により計算した。各群につき、軟糞及び下痢糞のそれぞれについて平均有効糞数を求めた。結果を表2及び図1に示す。表2.平均有効糞数 実験結果より、プランタゴ・オバタとセンナと糖化菌とを含む実施例1の瀉下剤が、瀉下作用を有することが確認された。また、実施例1の瀉下剤では、センナのみからなる比較例2の瀉下剤と比較して、下痢糞が減少し、軟糞が増加した。これは、実施例1の瀉下剤が穏やかな瀉下作用を有することを示している。腸内の有益菌及び有害菌に対する影響試験 本試験は、本発明の瀉下剤が腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることを確認するために行った。 試験は、表3記載の瀉下剤成分を基本培地へ添加してなる11種類の試験培地(比較例3〜6及び実施例2〜5)中、有益菌又は有害菌を腸内環境模倣環境下でインキュベートして、各菌数の経時変化を観察することによって行った。 プランタゴ・オバタとして、プランタゴ・オバタ種子粉末であるプランタゴ・オバタ種皮末(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。 センナとして、センナポッド粉末であるセンナポッド末(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。 アロエとして、アロエ抽出物(エキス)であるアロエ軟稠エキス(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。 センノシド単体として、センノサイド・カルシウムS (アルプス薬品工業社製)を使用した。 糖化菌として、バチルス・サブチリスBN株由来の乾燥芽胞粉末を日本薬局方バレイショデンプンへ混合して、1.0g中の生菌数が1×109〜1×1010個になるように調整した混合物であるビオナットミン(株式会社 目黒研究所製)を使用した(表3中の糖化菌の配合量は前記混合物の量として示している)。 比較実験用の大腸刺激性瀉下成分であるダイオウとして、ダイオウ乾燥エキス(日本粉末薬品株式会社製)を使用した。表3単位(mg/10mL):試験培地10mLあたりの各成分のmg数。基本培地上記成分を混合後、高圧蒸気滅菌(121℃、20分)したものを使用した。有益菌の試験 腸内の有益菌として、理化学研究所バイオリソースセンターから購入したビフィドバクテリウム・ロンガム(JCM番号:JCM1217)及びビフィドバクテリウム・ブレーベ(JCM番号:JCM1192)を用いた。 はじめに、瀉下剤成分を含む試験培地を小腸内環境模倣環境下で保持して、培地中の糖化菌を増殖させた。具体的には、各種試験培地を微好気培養キット(アネロパック微好気(三菱ガス化学株式会社製))を用い、微好気条件(酸素濃度約10%)下で保持(35℃、8時間)して、糖化菌を培養した。 得られた糖化菌培養物へ、GAMブイヨン(日水製薬株式会社製)及び嫌気培養キット(アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製))を用いて前培養(嫌気条件、35℃、24時間)した有益菌を108CFU/mLの濃度で接種し、嫌気培養キット(アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製))中で嫌気培養(35℃、72時間)した。嫌気培養72時間後に培養物をサンプリングした。 サンプリングした培養物を、有益菌用選択培地であるTOSプロピオン酸寒天培地(ヤクルト薬品工業社製)中で嫌気培養(35℃、72時間)した後、有益菌の生菌数を測定した。 これらの工程を各種有益菌について行った。有害菌の試験 腸内の有害菌として、理化学研究所バイオリソースセンターから購入したクロストリジウム・パーフリンジェンス(JCM番号:JCM1290)を用いた。 はじめに、瀉下剤成分を含む試験培地を小腸内環境模倣環境下で保持して、培地中の糖化菌を増殖させた。具体的には、各種試験培地を微好気培養キット(アネロパック微好気(三菱ガス化学株式会社製))を用い、微好気条件(酸素濃度約10%)で保持(35℃、8時間)して、糖化菌を培養した。 得られた糖化菌培養物へ、GAMブイヨン(日水製薬株式会社製)及び嫌気培養キット(アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製))を用いて前培養(嫌気条件、35℃、24時間)した有害菌を104CFU/mLの濃度で接種し、嫌気培養キット(アネロパック・ケンキ(三菱ガス化学株式会社製))中で嫌気培養(35℃、72時間)した。嫌気培養72時間後に培養物をサンプリングした。 サンプリングした培養物を、下記の組成を有する有害菌用選択培地中で嫌気培養(46℃、24時間)した後、有害菌の生菌数を測定した。有害菌選択培地上記成分を混合し、高圧蒸気滅菌(121℃、10分)した後に、下記試薬を添加したものを使用した。※緩衝チオグリコール酸Na溶液は、4gのリン酸水素二カリウム、2gの炭酸ナトリウム及び4gのチオグリコール酸ナトリウムを100mLの精製水に溶解し、ろ過滅菌したものを使用した。 結果を表4に示す。表4生菌数の単位:CFU/mL 更に、表4を有益菌及び有害菌別にグラフ化したものを図2(有益菌)及び図3(有害菌)に示す。 ビフィドバクテリウム・ロンガム(有益菌)について、実施例2〜5の瀉下剤の存在下では接種時の菌数(108CFU/mL)がほぼ維持された。一方、比較例3、5及び6の瀉下剤の存在下では接種時よりも菌数が減少した。 ビフィドバクテリウム・ブレーベ(有益菌)について、比較例5及び6の瀉下剤の存在下では生菌数が大幅に減少した。 クロストリジウム・パーフリンジェンス(有害菌)について、実施例2〜5の瀉下剤の存在下では、菌数が接種時の菌数(104CFU/mL)よりも大幅に減少した。一方、比較例3及び4の瀉下剤の存在下では、菌数が接種時の菌数よりも増加した。 以上の結果は、実施例の瀉下剤のみが、有益菌の菌数を維持し、かつ、有害菌を減少させることができたことを示している。製剤例 下記の組成を有する瀉下剤(前述の処方例Aに該当)を下記の手順に従い製造した。(1)プランタゴ・オバタとしてプランタゴ・オバタ種子粉末であるプランタゴ・オバタ種子末(日本粉末薬品株式会社製)10,840g、センナとしてセンナポッド粉末であるセンナポッド末(日本粉末薬品株式会社製)2,480g、ニコチン酸アミド(有機合成薬品株式会社製)6.25g、エリスリトール(日研化成株式会社製)450g、低置換度ヒドロシキプロピルセルロース(信越化学工業株式会社製)875g、カカオ末(大東カカオ株式会社製)500g、アスコルビン酸(メルク社製)180g、ヒドロシキプロピルセルロース(日本曹達株式会社製)150g、三二酸化鉄(癸巳化成株式会社製)110gを、練合機(ダルトン株式会社製、KDA−100)にとり、定速で60分原料混合した。これに50%(W/W)エタノール12,500gを注液し、定速で10分練合した。得られた練合物を目開き1.0mmのスクリーンを用いて押出造粒を行った。90℃で乾燥後、得られた乾燥物を目開き1.0mmの篩で篩過し,整粒済み顆粒を得た。(2)乳酸菌としてビオヂアスミンF−100(エンテロコッカス・フェカーリスの乾燥生菌菌体粉末、天野エンザイム株式会社製)75g、糖化菌としてビオナットミン(糖化菌であるバチルス・サブチリスBN株由来の乾燥芽胞粉末を日本薬局方バレイショデンプンへ混合して、1.0g中の生菌数が1×109〜1×1010個になるように調整した混合物、株式会社目黒研究所製)125g、アスパルテーム(味の素株式会社製)50g、バニラ香料(高砂香料株式会社製)15g及び軽質無水ケイ酸(フロイント産業株式会社製)7.5gを40メッシュ篩過混合し,倍散を調製した。(3)(1)で得られた顆粒及び(2)で得られた倍散を用い、4包中の重量比率として、顆粒11,782mg、倍散218mgでそれらを混合し、得られた顆粒剤を1包3,150mgでアルミ分包に充填した。 本発明は、瀉下剤として利用可能である。図1は、平均有効糞数を示すグラフである。図2は、72時間培養後の有益菌の生菌数である。図3は、72時間培養後の有害菌の生菌数である。 プランタゴ・オバタと、センナ及び/又はアロエと、糖化菌とを含む瀉下剤。 プランタゴ・オバタとして、プランタゴ・オバタ種子粉末を含む、請求項1に記載の瀉下剤。 センナとして、センナポッド粉末を含む、請求項1に記載の瀉下剤。 センナとして、センノシド単体を含む、請求項1に記載の瀉下剤。 アロエとして、アロエ抽出物を含む、請求項1に記載の瀉下剤。 糖化菌として、バチルス・サブチリスを含む、請求項1に記載の瀉下剤。 プランタゴ・オバタ種子粉末と、センナポッド粉末と、バチルス・サブチリスとを含む瀉下剤。 プランタゴ・オバタ種子粉末と、センノシド単体と、バチルス・サブチリスとを含む瀉下剤。 【課題】瀉下作用を保持しつつ、腸内の有益菌を維持し、かつ、有害菌を減少させることができる瀉下剤を提供する。【解決手段】プランタゴ・オバタと、センナ及び/又はアロエと、糖化菌とを配合する。【選択図】なし


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