生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_コクシジウム症・クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料
出願番号:2006295872
年次:2008
IPC分類:A61K 31/085,A61K 31/015,A61K 31/05,A61K 36/18,A61K 36/53,A61K 36/75,A61K 36/00,A61K 36/06,A61K 35/74,A61P 33/02,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

本薗 幸広 鈴木 宏幸 波多野 和広 喜瀬 昌明 堀米 眞一 森 勝宏 土肥 由長 古賀 涼司 JP 2008110951 公開特許公報(A) 20080515 2006295872 20061031 コクシジウム症・クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料 日清丸紅飼料株式会社 399106505 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 591151037 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 守屋 嘉高 100121153 大野 詩木 100134935 松田 政広 100130683 野中 信宏 100140497 本薗 幸広 鈴木 宏幸 波多野 和広 喜瀬 昌明 堀米 眞一 森 勝宏 土肥 由長 古賀 涼司 A61K 31/085 20060101AFI20080418BHJP A61K 31/015 20060101ALI20080418BHJP A61K 31/05 20060101ALI20080418BHJP A61K 36/18 20060101ALI20080418BHJP A61K 36/53 20060101ALI20080418BHJP A61K 36/75 20060101ALI20080418BHJP A61K 36/00 20060101ALI20080418BHJP A61K 36/06 20060101ALI20080418BHJP A61K 35/74 20060101ALI20080418BHJP A61P 33/02 20060101ALI20080418BHJP A23K 1/16 20060101ALI20080418BHJP JPA61K31/085A61K31/015A61K31/05A61K35/78 CA61K35/78 QA61K35/78 KA61K35/78 WA61K35/72A61K35/74 AA61P33/02 173A23K1/16 301AA23K1/16 301BA23K1/16 304B 12 OL 15 2B150 4C087 4C088 4C206 2B150AB10 2B150AC05 2B150AC24 2B150AD04 2B150DA02 2B150DA06 2B150DA17 2B150DD45 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC11 4C087BC12 4C087BC13 4C087BC14 4C087BC55 4C087BC58 4C087CA09 4C087MA02 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZB38 4C087ZC64 4C088AB12 4C088AB38 4C088AB57 4C088AB62 4C088AC03 4C088AC04 4C088AC05 4C088BA08 4C088BA11 4C088CA03 4C088MA07 4C088MA08 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZB38 4C088ZC64 4C206BA04 4C206CA17 4C206CA27 4C206KA01 4C206MA03 4C206MA04 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZB38 4C206ZC64 本発明は、動物のコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びに抗コクシジウム剤に関するものである。また、本発明は、動物のクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びに抗クロストリジウム剤に関するものである。 鶏、七面鳥、アヒル、うずら、ガチョウ、キジ等の家禽類やウサギ、牛、羊、豚等の家畜類のコクシジウム症は、ある種の寄生性原虫の感染によって起こる伝染病であり、世界的に多く発生している。コクシジウム症は、例えば鶏では、アイメリア・テネラ(E.tenella)、アイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(E.necatrix)、アイメリア・ミチス(E.mitis)、アイメリア・マキシマ(E.maxima)、アイメリア・プレコックス(E.praecox)、アイメリア・ハガニ(E.hagani)、アイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 七面鳥では、アイメリア・メレグリディス(E.meleagridis)、アイメリア・ディスパーサ(E.dispersa)、アイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、アイメリア・インノクア(E.innocua)、アイメリア・アデノエイデェス(E.adenoeides)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 アヒルでは、ティゼリア・パーニシオサ(Tyzzeria perniciosa)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 ガチョウでは、アイメリア・トルンカタ(E.truncata)、アイメリア・アンセリス(E.anseris)、アイメリア・ノセンス(E.nocens)、アイメリア・パルブーラ(E.parvula)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 キジでは、アイメリア・ファシアニ(E.phasiani)、アイメリア・ディスパーサ(E.dispersa)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 牛では、アイメリア・ズルニ(E.zurni)、アイメリア・ボビス(E.bovis)、アイメリア・エリプソイダリス(E.ellipsoidalis)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 これら寄生性原虫に感染した動物は下痢、血便等の症状を呈し、治療が遅れた場合又は症状が重い場合は斃死することも多く、斃死に至らない場合であっても、生産上の被害は大きい。そのため、コクシジウム症は被害の極めて大きい動物疾患の一つであり、特に多数の家禽類等を扱う飼育業者にとって大きな問題となっている。 従来、コクシジウム症の予防や治療に当たっては、抗生物質、合成抗菌剤からなる化学治療剤、ワクチン等の生物学的製剤が主に使用されてきた。 しかしながら、抗生物質や化学治療剤では副作用の発現、薬剤への耐性獲得による効果の減退等の問題があり、また生物学的製剤の場合は予防のみで治療に使用できなかった。しかも、薬剤を投与した動物の肉や卵等を人間が食する場合には、動物の体内に残留した薬剤の人体への移行の問題があり、その使用量や投与期間に厳しい制限が必要であった。 そこで、上記したような問題がなく、安全性が高いコクシジウム症に対する予防及び/又は治療剤として、例えばカシューナッツ穀油及び/又はアナカルド酸類を有効成分として含有するコクシジウム症軽減剤が提案されている(特許文献1)。また、緑茶及び/又は緑茶抽出液を含有する飼料添加物により抗コクシジウム症の効果が得られること等が知られている(特許文献2)。 しかしながら、斯かる従来の飼料によっても、未だ十分満足のいく効果が得られていないのが実状であった。 一方、家畜及び家禽のクロストリジウム バーフリンゲンス感染症は、Clostridium perfringensの感染によって起こる疾病で、代表的な症状として壊疸性腸炎があり、またエンテロトキセミア、悪性水腫の原因にもなる。罹病率、致死率がともに高く、養鶏、ブロイラー、養豚、酪農業界に与える経済的被害は大きい。従って、家畜及び家禽の数ある疾病の中でもその防除対策の確立が急がれる最も重要な疾病の一つである。 壊疸性腸炎は、子豚、雛等の疾病臨床的には、下痢がみられ、腸粘膜への細菌の侵入、小腸の壊死を伴うことを特徴とする。 エンテロトキセミアは、クロストリジウム バーフリンゲンスが動物の小腸内で増殖し、その産生する毒素により、壊死性、出血性の病変を起こし、かつ毒血症のために急性死を招く疾病である。 悪性水腫は、偶発的または外科手術により生じた創面に、菌が侵入して発生し、その菌が発芽、増殖して毒素を出し毒血症、菌血症を起こし死に至らせる疾病である。 上記クロストリジウム症の予防及び/又は治療剤としては、カンゾウ、ヨモギ、オウレン、オウゴン、オウバク、ゲンノショウコ、コウボク、タンジン、チモ、ダイオウ、チョウジ、ジョテイ、ケイガイ、ケイヒ、ゲンジン、ケツメイシ、ビワヨウ、ボウフウ、ホップ、ソヨウ、ヨウバイヒ、レンギョウ、アロエ、ギュウタン、イレイセン、ウバイ、エンメイソウ、シャゼンソウ、シンイ、インチンコウ、ジンコウ、センキュウ、コウホン、ゴバイシ、サンシュユ、シコン、コオウレン、シャクヤク、キンオウシ、タイム、シロナンテン、チユ及びマオウからなる群から選択された1種または2種以上の生薬を含有する家畜及び家禽のクロストリジウム バーフリンゲンス感染症の予防及び治療剤が知られている(特許文献3)。 しかしながら、クロストリジウム バーフリンゲンス感染症は、重大な伝染病にあるにもかかわらず、予防・治療方法が未だ確立されていなく、予防方法として、飼育管理を適当に行うことなどが行なわれているが、実際には予防は極めて困難なのが実状であった。特開平08−231410号公報特開平07−255386号公報特許第2599161号公報 本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、コクシジウム症やクロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を有する動物用の飼料、抗コクシジウム剤及び抗クロストリジウム剤を提供することを課題とする。 本発明者は、当該課題を解決すべく、種々研究を重ねた結果、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの4成分又はこれら成分を含有する天然物を併用して動物に給与すれば、コクシジウム症及びクロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗コクシジウム剤により上記課題を解決したものである。 さらに、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗コクシジウム剤により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗クロストリジウム剤により上記課題を解決したものである。 さらに、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗クロストリジウム剤により上記課題を解決したものである。 本発明の飼料を動物に給与、あるいは本発明の薬剤を動物に投与すれば、副作用を引き起こすことなく、動物のコクシジウム症及びクロストリジウム症を予防及び/又は治療することができる。また、コクシジウム症やクロストリジウム症による飼育成績の低下、生産性の低下を防止することもできる。 本発明で用いられるピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンは、化学合成物あるいは天然物から分離したものの如何を問わない。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物を原末そのまま、あるいは蒸留、抽出等の手段により有効成分を濃縮した形態で用いることができる。天然物は、抗コクシジウム効果・抗クロストリジウム効果の点から、有効成分を濃縮した形態で用いるのが好ましく、特に精油の形態で用いるのが好ましい。 ピネンを含有する天然物としては、例えばナツメグ、コリアンダー、レモン等が挙げられ、特にナツメグ(Myristica fragrans)が好ましい。チモールを含有する天然物としては、例えばタイム等が挙げられ、特にタイム(Thymus vulgaris)が好ましい。オイゲノールを含有する天然物としては、例えばシナモン、クローブ等が挙げられ、特にクローブ(Syzygium aromaticum, Eugenia caryophyllata)が好ましい。リモネンを含有する天然物としては、例えばシトラス、ハッカ、スペアミント、フェンネル等が挙げられ、特にシトラス(Citrus spp.)が好ましい。シトラスとしては、例えばレモン、ライム、オレンジ、ダイダイ等が挙げられる。 なお、前記ピネンとして、天然界にはα−ピネン、β−ピネンが存在する。本発明においては、それらの化合物を単独又は混合して用いることができる。 抽出物は、上記ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物をそのまま、あるいは必要に応じて乾燥、切断、粉砕、粉末化等の前処理を行った後、有機溶媒で抽出したものである。抽出に際し、上記天然物は何れの部位も使用することができるが、例えばナツメグは果実の種子核中の仁を、タイムは葉又は花穂を、クローブは蕾を、シトラスは果皮をそれぞれ用いるのが好ましい。 抽出方法としては、一般的な方法を使用することができ、例えば溶剤抽出法を挙げることができる。 溶剤抽出に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うことも可能である。 また、例えばナツメグの果実の種子核中の仁、タイムの葉又は花穂、クローブの蕾、またはシトラスの果皮を水蒸気蒸留して得られる粗精製物としても取得することができる。 上記合成や天然物からの分離により得られるピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンは、医薬品上、食品上又は飼料上許容し得る規格に適合するものであれば、合成物、抽出物、粗精製物、精製物の何れも使用することができる。精製手段としては、蒸留、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフなどが挙げられる。 後記実施例に示すように、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの4成分又はこれら成分を含有する天然物を併用することにより、動物のコクシジウム症及びクロストリジウム症に対して優れた予防及び/又は治療効果を有する。従って、これら4成分又はこれら成分を含有する天然物を飼料中に添加することにより種々の動物のコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びにクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料が得られる。また、これら4成分又はこれら成分を含有する天然物を添加混合することによって抗コクシジウム剤及び抗クロストリジウム剤が得られる。これらの薬剤はそのまま直接動物に投与してもいいし、あるいは飼料等に添加して動物に給与してもよい。 本発明において、飼料中のピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常これら4成分を添加する前の飼料に(外割)0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.0005〜0.01質量%の範囲で添加することが最適である。添加量が0.0001質量%より少ないと、コクシジウム症やクロストリジウム症に対する効果が得られにくく、他方0.1質量%より多いとコストアップを招き好ましくない。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの配合比率は特に限定されず適宜選択可能であるが、例えば1〜100:1〜100:1〜100:1〜100の範囲で含有することが抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物による嗜好性の点から好ましい。 また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物、例えばナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを添加する場合は、乾物換算で、飼料に(外割)0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で添加することが最適である。 本発明の飼料に用いる飼料原料としては、特に制限されず、例えば、とうもろこし、マイロ、大麦、小麦等の穀類;ふすま等の糟糠類;大豆油粕、菜種油粕等の植物性油粕類;魚粉、骨肉粉等の動物性飼料;食塩、オリゴ糖類、ケイ酸、各種ビタミン類、炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム等のミネラル類;アミノ酸類及び有機酸類等が挙げられる。 本発明において、抗コクシジウム剤又は抗クロストリジウム剤中のピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、製剤中に0.01〜60質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であることが最適である。添加量が0.01質量%より少ないと、抗コクシジウム剤、抗クロストリジウム剤として投与する量が多くなり短期間に投与することが困難となる。他方60質量%より多いと製剤化が難しく取扱いも困難となる。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの配合比率は特に限定されず適宜選択可能であるが、例えば1〜100:1〜100:1〜100:1〜100の範囲で含有することが抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物による嗜好性の点から好ましい。 また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物、例えばナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを添加する場合は、乾物換算で、製剤中1〜100質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲が最適である。 本発明においては、適宜、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、嬌味嬌臭剤等を使用して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の経口投与製剤とするのが好ましく、上述のように飼料等に添加して動物に給与するのが好ましい。 また、本発明の飼料又は薬剤に、さらに酵母類及び乳酸菌類を配合すれば、よりコクシジウム症やクロストリジウム症に対する予防及び/又は治療効果を高めることができる。 本発明に使用する酵母類としては、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces uvarum、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces rouxii等のSaccharomyces属;Schizosaccharomyces pombe等のSchizosaccharomyces属;Saccharomycodes ludwigii等のSaccharomycodes属;Hanseniaspora valbyensis等のHanseniaspora属;Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis等のKluyveromyces属;Pichia membranaefaciens等のPichia属;Hansenula anomala等のHansenula属;Debaryomyces hansenii等のDebaryomyces属;Lipomyces starkeyi等のLipomyces属;Brettanomyces bruxellensis等のBrettanomyces属;Candida utilis、Candida tropicalis、Candida lipolytica等のCandida属等の酵母が挙げられる。 また、本発明の酵母類は、前記酵母菌の他に、酵母細胞から常法により分取した酵母細胞壁も使用することができる。この酵母細胞壁は通常酵母菌及び/又は酵母醗酵産生物をも含有している。そして前記の酵母類は1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。 本発明に使用する乳酸菌としては、Lactobacillus acidophilus菌、Enterococcus faecium菌等が挙げられ、これらの乳酸菌の1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また製剤中の乳酸菌は通常105/g〜1012/g含有されている。 本発明の飼料中の酵母類及び乳酸菌類の含有量としては、抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物の嗜好性の点から、酵母類の場合、0.01〜5質量%とするのが好ましく、特に0.05〜0.5質量%とするのが好ましい。また乳酸菌類の場合、0.0001〜10質量%とするのが好ましく、特に0.001〜1質量%とするのが好ましい。 本発明の抗コクシジウム剤又は抗クロストリジウム剤中の酵母類及び乳酸菌類の含有量としては、抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物の嗜好性の点から、酵母の場合、1〜99.9質量%とするのが好ましく、特に5〜50質量%とするのが好ましい。また乳酸菌類の場合、0.01〜50質量%とするのが好ましく、特に0.1〜20質量%とするのが好ましい。 本発明において、飼料の給与量、あるいは薬剤の投与量は、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンとして0.05〜200mg/体重kg/日とするのが好ましく、特に0.2〜20mg/体重kg/日とするのが好ましい。本発明の飼料の給与又は薬剤の投与は、全飼育期間にわたって行っても、飼育期間の一定期間のみ行ってもよいが、特に鶏の場合は産まれた直後から4週齢まで給与するのが、高い抗コクシジウム効果や抗クロストリジウム効果が得られる点で好ましい。 本発明の飼料及び薬剤を給与する動物の種類は特に限定されず、例えば鶏、アヒル等の家禽類、牛、豚、羊等の家畜類を挙げることができ、特に鶏に好適である。 以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。 下記の表1に示す組成よりなる鶏用飼料(基礎飼料)をそれぞれ準備した。実施例1 供試鶏(鶏種:チャンキー1週令、雄)を1区30羽として7区設けた。 第1区〜第7区の供試鶏に対し、表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表4)を自由に摂取させて12日間飼育した。第1区を除く第2区〜第7区の供試鶏に対しては、飼育開始7日後にコクシジウム原虫アイメリア・アセルブリナのオーシストを5.0×104個/羽の割合で経口感染させた。次いで、飼育終了後、各試験区の供試鶏を解剖し、十二指腸の病変状態の程度を下記の評価基準に従って評価した。また、解剖当日に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定し、その数値範囲により下記の評価基準に従って評価した。その結果を表5に示す。 表5の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第5区)を給与すれば、基礎飼料(感染)(第2区)で観察された、アイメリア・アセルブリナの感染による発育の低下が改善されていた。また、盲腸の病変指数も低く抑えられていた。体重増体率比、生存率、病変点数及び糞中OPG点数より算出したACI(抗コクシジウム指数)でも、サリノマイシンに次いで、高い値を示していた。これらの結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの組み合わせによりアイメリア・アセルブリナの感染による生産性への影響を低く抑えることができると判断された。実施例2 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区20羽として3区設けた。 第8区〜第10区の供試鶏に対し、上記表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表6)を自由に摂取させて28日間飼育した。全ての試験区の供試鶏に対して、飼育開始21日後にコクシジウム原虫アイメリア・マキシマのオーシストを1.5×104個/羽の割合で経口感染させた。感染6〜8日後の各日に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定した(3日間の値を平均)。その結果を表7に示す。 表7の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第10区)を給与すれば、アイメリア・マキシマのOPG排泄を低下させ、アイメリア感染時の発育を改善することができた。これらの結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの組み合わせにより、アイメリア・マキシマの感染による生産性への影響を低く抑えることができた。実施例3 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区80羽として5区設けた。 第11区〜第15区の供試鶏に対し、上記表1に示すように2週毎に配合組成を変えた基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表8)を自由に摂取させて35日間飼育した。全ての試験区の供試鶏に対しては、飼育開始21日後にコクシジウム原虫アイメリア・アセルブリナのオーシストを7.0×103個/羽、アイメリア・テネラのオーシストを6.0×103個/羽、及びアイメリア・マキシマのオーシストを1.5×104個/羽の割合でそれぞれ経口感染させた。飼育開始4週後及び5週後に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定した。その結果を表9に示す。 表9の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第12区)を給与すれば、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・テネラ及びアイメリア・マキシマ感染時の発育が改善され、OPGの排泄も低く抑えられており、これらのアイメリア類の感染を低く抑えられるものと判断された。また酵母類及び乳酸菌類を添加することで、発育は更に改善され、OPGの排泄もやや低くなる傾向であり、より優れた抗コクシジウム効果が得られることが確認できた(第13区)。実施例4 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区20羽として5区設けた。 第15区〜第18区の供試鶏に対し、上記表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表10)を自由に摂取させて21日間飼育した。本試験で用いた基礎飼料は、ライ麦を30%配合しており、これにより、腸管内でのクロストリジウム・パーフリンゲンスの増殖が促進され、雛の発育が抑制される。飼育開始1週、2週、及び3週後に、クロアカ部分のスワブによりクロストリジウム・パーフリンゲンスの菌数を測定した。その結果を表11示す。 表11の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第17区)では、ライ麦を多給して、クロストリジウムの増殖を促進し、人為的にクロストリジウムの影響を受けるように設定した実験系において、初期のクロストリジウムの増殖を遅らせ、増体重が改善されており、クロストリジウムの感染による発育の影響を軽減できる。また、酵母類及び乳酸菌類を添加することにより、クロストリジウムの増殖は更に抑制され、増体重も大きくなっており、より優れたクロストリジウム効果を得られることが確認された(第18区)。 ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料。 ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料。 さらに、酵母類及び乳酸菌類を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の飼料。 ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗コクシジウム剤。 ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗コクシジウム剤。 さらに、酵母類及び乳酸菌類を含有することを特徴とする請求項4又は5記載の抗コクシジウム剤。 ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料。 ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料。 さらに、酵母類及び乳酸菌類を含有することを特徴とする請求項7又は8記載の飼料。 ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗クロストリジウム剤。 ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗クロストリジウム剤。 さらに、酵母類及び乳酸菌類を含有することを特徴とする請求項10又は11記載の抗クロストリジウム剤。 【課題】安全性が高く、コクシジウム症やクロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を有する動物用の飼料、抗コクシジウム剤及び抗クロストリジウム剤の提供。【解決手段】ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有するコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料;ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とする抗コクシジウム剤;ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有するクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料;ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とする抗クロストリジウム剤。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_コクシジウム症・クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_コクシジウム症・クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料
出願番号:2006295872
年次:2012
IPC分類:A61K 31/085,A61K 31/015,A61K 31/05,A61K 36/18,A61K 36/53,A61K 36/75,A61K 36/00,A61K 36/06,A61K 35/74,A61P 33/02,A23K 1/16


特許情報キャッシュ

本薗 幸広 鈴木 宏幸 波多野 和広 喜瀬 昌明 堀米 眞一 森 勝宏 土肥 由長 古賀 涼司 JP 5101081 特許公報(B2) 20121005 2006295872 20061031 コクシジウム症・クロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料 日清丸紅飼料株式会社 399106505 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 591151037 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 的場 ひろみ 100101317 守屋 嘉高 100121153 大野 詩木 100134935 松田 政広 100130683 野中 信宏 100140497 本薗 幸広 鈴木 宏幸 波多野 和広 喜瀬 昌明 堀米 眞一 森 勝宏 土肥 由長 古賀 涼司 20121219 A61K 31/085 20060101AFI20121129BHJP A61K 31/015 20060101ALI20121129BHJP A61K 31/05 20060101ALI20121129BHJP A61K 36/18 20060101ALI20121129BHJP A61K 36/53 20060101ALI20121129BHJP A61K 36/75 20060101ALI20121129BHJP A61K 36/00 20060101ALI20121129BHJP A61K 36/06 20060101ALI20121129BHJP A61K 35/74 20060101ALI20121129BHJP A61P 33/02 20060101ALI20121129BHJP A23K 1/16 20060101ALN20121129BHJP JPA61K31/085A61K31/015A61K31/05A61K35/78 CA61K35/78 QA61K35/78 KA61K35/78 WA61K35/72A61K35/74 AA61P33/02 173A23K1/16 301AA23K1/16 301BA23K1/16 304CA23K1/16 304B A61K 31/00−31/327 A61K 35/00−35/76 A61K 36/00−36/9068 A23K 1/00− 3/04 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平07−046963(JP,A) 特開平11−346672(JP,A) 特開平01−172341(JP,A) 特開平11−285378(JP,A) 特開2004−236552(JP,A) 特開2001−354580(JP,A) 特表平10−509307(JP,A) 特表平11−505832(JP,A) 特表2005−507862(JP,A) 特表2002−515229(JP,A) 特表2005−512591(JP,A) 特表2001−519144(JP,A) 国際公開第97/001348(WO,A1) 国際公開第05/087241(WO,A1) 4 2008110951 20080515 15 20090519 平林 由利子 本発明は、動物のコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びに抗コクシジウム剤に関するものである。また、本発明は、動物のクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びに抗クロストリジウム剤に関するものである。 鶏、七面鳥、アヒル、うずら、ガチョウ、キジ等の家禽類やウサギ、牛、羊、豚等の家畜類のコクシジウム症は、ある種の寄生性原虫の感染によって起こる伝染病であり、世界的に多く発生している。コクシジウム症は、例えば鶏では、アイメリア・テネラ(E.tenella)、アイメリア・アセルブリナ(E.acervulina)、アイメリア・ネカトリックス(E.necatrix)、アイメリア・ミチス(E.mitis)、アイメリア・マキシマ(E.maxima)、アイメリア・プレコックス(E.praecox)、アイメリア・ハガニ(E.hagani)、アイメリア・ブルネッティ(E.brunetti)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 七面鳥では、アイメリア・メレグリディス(E.meleagridis)、アイメリア・ディスパーサ(E.dispersa)、アイメリア・ガロパボニス(E.gallopavonis)、アイメリア・インノクア(E.innocua)、アイメリア・アデノエイデェス(E.adenoeides)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 アヒルでは、ティゼリア・パーニシオサ(Tyzzeria perniciosa)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 ガチョウでは、アイメリア・トルンカタ(E.truncata)、アイメリア・アンセリス(E.anseris)、アイメリア・ノセンス(E.nocens)、アイメリア・パルブーラ(E.parvula)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 キジでは、アイメリア・ファシアニ(E.phasiani)、アイメリア・ディスパーサ(E.dispersa)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 牛では、アイメリア・ズルニ(E.zurni)、アイメリア・ボビス(E.bovis)、アイメリア・エリプソイダリス(E.ellipsoidalis)等の寄生性原虫により引き起こされることが知られている。 これら寄生性原虫に感染した動物は下痢、血便等の症状を呈し、治療が遅れた場合又は症状が重い場合は斃死することも多く、斃死に至らない場合であっても、生産上の被害は大きい。そのため、コクシジウム症は被害の極めて大きい動物疾患の一つであり、特に多数の家禽類等を扱う飼育業者にとって大きな問題となっている。 従来、コクシジウム症の予防や治療に当たっては、抗生物質、合成抗菌剤からなる化学治療剤、ワクチン等の生物学的製剤が主に使用されてきた。 しかしながら、抗生物質や化学治療剤では副作用の発現、薬剤への耐性獲得による効果の減退等の問題があり、また生物学的製剤の場合は予防のみで治療に使用できなかった。しかも、薬剤を投与した動物の肉や卵等を人間が食する場合には、動物の体内に残留した薬剤の人体への移行の問題があり、その使用量や投与期間に厳しい制限が必要であった。 そこで、上記したような問題がなく、安全性が高いコクシジウム症に対する予防及び/又は治療剤として、例えばカシューナッツ穀油及び/又はアナカルド酸類を有効成分として含有するコクシジウム症軽減剤が提案されている(特許文献1)。また、緑茶及び/又は緑茶抽出液を含有する飼料添加物により抗コクシジウム症の効果が得られること等が知られている(特許文献2)。 しかしながら、斯かる従来の飼料によっても、未だ十分満足のいく効果が得られていないのが実状であった。 一方、家畜及び家禽のクロストリジウム バーフリンゲンス感染症は、Clostridium perfringensの感染によって起こる疾病で、代表的な症状として壊疸性腸炎があり、またエンテロトキセミア、悪性水腫の原因にもなる。罹病率、致死率がともに高く、養鶏、ブロイラー、養豚、酪農業界に与える経済的被害は大きい。従って、家畜及び家禽の数ある疾病の中でもその防除対策の確立が急がれる最も重要な疾病の一つである。 壊疸性腸炎は、子豚、雛等の疾病臨床的には、下痢がみられ、腸粘膜への細菌の侵入、小腸の壊死を伴うことを特徴とする。 エンテロトキセミアは、クロストリジウム バーフリンゲンスが動物の小腸内で増殖し、その産生する毒素により、壊死性、出血性の病変を起こし、かつ毒血症のために急性死を招く疾病である。 悪性水腫は、偶発的または外科手術により生じた創面に、菌が侵入して発生し、その菌が発芽、増殖して毒素を出し毒血症、菌血症を起こし死に至らせる疾病である。 上記クロストリジウム症の予防及び/又は治療剤としては、カンゾウ、ヨモギ、オウレン、オウゴン、オウバク、ゲンノショウコ、コウボク、タンジン、チモ、ダイオウ、チョウジ、ジョテイ、ケイガイ、ケイヒ、ゲンジン、ケツメイシ、ビワヨウ、ボウフウ、ホップ、ソヨウ、ヨウバイヒ、レンギョウ、アロエ、ギュウタン、イレイセン、ウバイ、エンメイソウ、シャゼンソウ、シンイ、インチンコウ、ジンコウ、センキュウ、コウホン、ゴバイシ、サンシュユ、シコン、コオウレン、シャクヤク、キンオウシ、タイム、シロナンテン、チユ及びマオウからなる群から選択された1種または2種以上の生薬を含有する家畜及び家禽のクロストリジウム バーフリンゲンス感染症の予防及び治療剤が知られている(特許文献3)。 しかしながら、クロストリジウム バーフリンゲンス感染症は、重大な伝染病にあるにもかかわらず、予防・治療方法が未だ確立されていなく、予防方法として、飼育管理を適当に行うことなどが行なわれているが、実際には予防は極めて困難なのが実状であった。特開平08−231410号公報特開平07−255386号公報特許第2599161号公報 本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、安全性が高く、コクシジウム症やクロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を有する動物用の飼料、抗コクシジウム剤及び抗クロストリジウム剤を提供することを課題とする。 本発明者は、当該課題を解決すべく、種々研究を重ねた結果、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの4成分又はこれら成分を含有する天然物を併用して動物に給与すれば、コクシジウム症及びクロストリジウム症に対し優れた予防及び/又は治療効果を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗コクシジウム剤により上記課題を解決したものである。 さらに、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗コクシジウム剤により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とするクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料により上記課題を解決したものである。 また、本発明は、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗クロストリジウム剤により上記課題を解決したものである。 さらに、本発明は、ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗クロストリジウム剤により上記課題を解決したものである。 本発明の飼料を動物に給与、あるいは本発明の薬剤を動物に投与すれば、副作用を引き起こすことなく、動物のコクシジウム症及びクロストリジウム症を予防及び/又は治療することができる。また、コクシジウム症やクロストリジウム症による飼育成績の低下、生産性の低下を防止することもできる。 本発明で用いられるピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンは、化学合成物あるいは天然物から分離したものの如何を問わない。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物を原末そのまま、あるいは蒸留、抽出等の手段により有効成分を濃縮した形態で用いることができる。天然物は、抗コクシジウム効果・抗クロストリジウム効果の点から、有効成分を濃縮した形態で用いるのが好ましく、特に精油の形態で用いるのが好ましい。 ピネンを含有する天然物としては、例えばナツメグ、コリアンダー、レモン等が挙げられ、特にナツメグ(Myristica fragrans)が好ましい。チモールを含有する天然物としては、例えばタイム等が挙げられ、特にタイム(Thymus vulgaris)が好ましい。オイゲノールを含有する天然物としては、例えばシナモン、クローブ等が挙げられ、特にクローブ(Syzygium aromaticum, Eugenia caryophyllata)が好ましい。リモネンを含有する天然物としては、例えばシトラス、ハッカ、スペアミント、フェンネル等が挙げられ、特にシトラス(Citrus spp.)が好ましい。シトラスとしては、例えばレモン、ライム、オレンジ、ダイダイ等が挙げられる。 なお、前記ピネンとして、天然界にはα−ピネン、β−ピネンが存在する。本発明においては、それらの化合物を単独又は混合して用いることができる。 抽出物は、上記ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物をそのまま、あるいは必要に応じて乾燥、切断、粉砕、粉末化等の前処理を行った後、有機溶媒で抽出したものである。抽出に際し、上記天然物は何れの部位も使用することができるが、例えばナツメグは果実の種子核中の仁を、タイムは葉又は花穂を、クローブは蕾を、シトラスは果皮をそれぞれ用いるのが好ましい。 抽出方法としては、一般的な方法を使用することができ、例えば溶剤抽出法を挙げることができる。 溶剤抽出に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他オイル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うことも可能である。 また、例えばナツメグの果実の種子核中の仁、タイムの葉又は花穂、クローブの蕾、またはシトラスの果皮を水蒸気蒸留して得られる粗精製物としても取得することができる。 上記合成や天然物からの分離により得られるピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンは、医薬品上、食品上又は飼料上許容し得る規格に適合するものであれば、合成物、抽出物、粗精製物、精製物の何れも使用することができる。精製手段としては、蒸留、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフなどが挙げられる。 後記実施例に示すように、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの4成分又はこれら成分を含有する天然物を併用することにより、動物のコクシジウム症及びクロストリジウム症に対して優れた予防及び/又は治療効果を有する。従って、これら4成分又はこれら成分を含有する天然物を飼料中に添加することにより種々の動物のコクシジウム症の予防及び/又は治療用飼料、並びにクロストリジウム症の予防及び/又は治療用飼料が得られる。また、これら4成分又はこれら成分を含有する天然物を添加混合することによって抗コクシジウム剤及び抗クロストリジウム剤が得られる。これらの薬剤はそのまま直接動物に投与してもいいし、あるいは飼料等に添加して動物に給与してもよい。 本発明において、飼料中のピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常これら4成分を添加する前の飼料に(外割)0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.0005〜0.01質量%の範囲で添加することが最適である。添加量が0.0001質量%より少ないと、コクシジウム症やクロストリジウム症に対する効果が得られにくく、他方0.1質量%より多いとコストアップを招き好ましくない。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの配合比率は特に限定されず適宜選択可能であるが、例えば1〜100:1〜100:1〜100:1〜100の範囲で含有することが抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物による嗜好性の点から好ましい。 また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物、例えばナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを添加する場合は、乾物換算で、飼料に(外割)0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%の範囲で添加することが最適である。 本発明の飼料に用いる飼料原料としては、特に制限されず、例えば、とうもろこし、マイロ、大麦、小麦等の穀類;ふすま等の糟糠類;大豆油粕、菜種油粕等の植物性油粕類;魚粉、骨肉粉等の動物性飼料;食塩、オリゴ糖類、ケイ酸、各種ビタミン類、炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム等のミネラル類;アミノ酸類及び有機酸類等が挙げられる。 本発明において、抗コクシジウム剤又は抗クロストリジウム剤中のピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの含有量としては、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、製剤中に0.01〜60質量%、好ましくは0.1〜10質量%の範囲であることが最適である。添加量が0.01質量%より少ないと、抗コクシジウム剤、抗クロストリジウム剤として投与する量が多くなり短期間に投与することが困難となる。他方60質量%より多いと製剤化が難しく取扱いも困難となる。また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの配合比率は特に限定されず適宜選択可能であるが、例えば1〜100:1〜100:1〜100:1〜100の範囲で含有することが抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物による嗜好性の点から好ましい。 また、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを含有する天然物、例えばナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを添加する場合は、乾物換算で、製剤中1〜100質量%、好ましくは10〜50質量%の範囲が最適である。 本発明においては、適宜、薬学的に許容される担体、例えば賦形剤、滑沢剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、嬌味嬌臭剤等を使用して錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の経口投与製剤とするのが好ましく、上述のように飼料等に添加して動物に給与するのが好ましい。 また、本発明の飼料又は薬剤に、さらに酵母類及び乳酸菌類を配合すれば、よりコクシジウム症やクロストリジウム症に対する予防及び/又は治療効果を高めることができる。 本発明に使用する酵母類としては、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces uvarum、Saccharomyces diastaticus、Saccharomyces rouxii等のSaccharomyces属;Schizosaccharomyces pombe等のSchizosaccharomyces属;Saccharomycodes ludwigii等のSaccharomycodes属;Hanseniaspora valbyensis等のHanseniaspora属;Kluyveromyces fragilis、Kluyveromyces lactis等のKluyveromyces属;Pichia membranaefaciens等のPichia属;Hansenula anomala等のHansenula属;Debaryomyces hansenii等のDebaryomyces属;Lipomyces starkeyi等のLipomyces属;Brettanomyces bruxellensis等のBrettanomyces属;Candida utilis、Candida tropicalis、Candida lipolytica等のCandida属等の酵母が挙げられる。 また、本発明の酵母類は、前記酵母菌の他に、酵母細胞から常法により分取した酵母細胞壁も使用することができる。この酵母細胞壁は通常酵母菌及び/又は酵母醗酵産生物をも含有している。そして前記の酵母類は1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。 本発明に使用する乳酸菌としては、Lactobacillus acidophilus菌、Enterococcus faecium菌等が挙げられ、これらの乳酸菌の1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また製剤中の乳酸菌は通常105/g〜1012/g含有されている。 本発明の飼料中の酵母類及び乳酸菌類の含有量としては、抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物の嗜好性の点から、酵母類の場合、0.01〜5質量%とするのが好ましく、特に0.05〜0.5質量%とするのが好ましい。また乳酸菌類の場合、0.0001〜10質量%とするのが好ましく、特に0.001〜1質量%とするのが好ましい。 本発明の抗コクシジウム剤又は抗クロストリジウム剤中の酵母類及び乳酸菌類の含有量としては、抗コクシジウム効果、抗クロストリジウム効果、動物の嗜好性の点から、酵母の場合、1〜99.9質量%とするのが好ましく、特に5〜50質量%とするのが好ましい。また乳酸菌類の場合、0.01〜50質量%とするのが好ましく、特に0.1〜20質量%とするのが好ましい。 本発明において、飼料の給与量、あるいは薬剤の投与量は、動物の種類、年齢(月齢)、症状などによって異なるが、通常ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンとして0.05〜200mg/体重kg/日とするのが好ましく、特に0.2〜20mg/体重kg/日とするのが好ましい。本発明の飼料の給与又は薬剤の投与は、全飼育期間にわたって行っても、飼育期間の一定期間のみ行ってもよいが、特に鶏の場合は産まれた直後から4週齢まで給与するのが、高い抗コクシジウム効果や抗クロストリジウム効果が得られる点で好ましい。 本発明の飼料及び薬剤を給与する動物の種類は特に限定されず、例えば鶏、アヒル等の家禽類、牛、豚、羊等の家畜類を挙げることができ、特に鶏に好適である。 以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。 下記の表1に示す組成よりなる鶏用飼料(基礎飼料)をそれぞれ準備した。実施例1 供試鶏(鶏種:チャンキー1週令、雄)を1区30羽として7区設けた。 第1区〜第7区の供試鶏に対し、表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表4)を自由に摂取させて12日間飼育した。第1区を除く第2区〜第7区の供試鶏に対しては、飼育開始7日後にコクシジウム原虫アイメリア・アセルブリナのオーシストを5.0×104個/羽の割合で経口感染させた。次いで、飼育終了後、各試験区の供試鶏を解剖し、十二指腸の病変状態の程度を下記の評価基準に従って評価した。また、解剖当日に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定し、その数値範囲により下記の評価基準に従って評価した。その結果を表5に示す。 表5の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第5区)を給与すれば、基礎飼料(感染)(第2区)で観察された、アイメリア・アセルブリナの感染による発育の低下が改善されていた。また、盲腸の病変指数も低く抑えられていた。体重増体率比、生存率、病変点数及び糞中OPG点数より算出したACI(抗コクシジウム指数)でも、サリノマイシンに次いで、高い値を示していた。これらの結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの組み合わせによりアイメリア・アセルブリナの感染による生産性への影響を低く抑えることができると判断された。実施例2 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区20羽として3区設けた。 第8区〜第10区の供試鶏に対し、上記表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表6)を自由に摂取させて28日間飼育した。全ての試験区の供試鶏に対して、飼育開始21日後にコクシジウム原虫アイメリア・マキシマのオーシストを1.5×104個/羽の割合で経口感染させた。感染6〜8日後の各日に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定した(3日間の値を平均)。その結果を表7に示す。 表7の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第10区)を給与すれば、アイメリア・マキシマのOPG排泄を低下させ、アイメリア感染時の発育を改善することができた。これらの結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンの組み合わせにより、アイメリア・マキシマの感染による生産性への影響を低く抑えることができた。実施例3 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区80羽として5区設けた。 第11区〜第15区の供試鶏に対し、上記表1に示すように2週毎に配合組成を変えた基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表8)を自由に摂取させて35日間飼育した。全ての試験区の供試鶏に対しては、飼育開始21日後にコクシジウム原虫アイメリア・アセルブリナのオーシストを7.0×103個/羽、アイメリア・テネラのオーシストを6.0×103個/羽、及びアイメリア・マキシマのオーシストを1.5×104個/羽の割合でそれぞれ経口感染させた。飼育開始4週後及び5週後に各区ごとに糞を採取し、糞1g当たりのオーシスト数(OPG)を測定した。その結果を表9に示す。 表9の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第12区)を給与すれば、アイメリア・アセルブリナ、アイメリア・テネラ及びアイメリア・マキシマ感染時の発育が改善され、OPGの排泄も低く抑えられており、これらのアイメリア類の感染を低く抑えられるものと判断された。また酵母類及び乳酸菌類を添加することで、発育は更に改善され、OPGの排泄もやや低くなる傾向であり、より優れた抗コクシジウム効果が得られることが確認できた(第13区)。実施例4 供試鶏(鶏種:チャンキー初生雛、雄)を1区20羽として5区設けた。 第15区〜第18区の供試鶏に対し、上記表1に示した基礎飼料(100質量%)にそれぞれの成分を添加した各飼料(表10)を自由に摂取させて21日間飼育した。本試験で用いた基礎飼料は、ライ麦を30%配合しており、これにより、腸管内でのクロストリジウム・パーフリンゲンスの増殖が促進され、雛の発育が抑制される。飼育開始1週、2週、及び3週後に、クロアカ部分のスワブによりクロストリジウム・パーフリンゲンスの菌数を測定した。その結果を表11示す。 表11の結果から、ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを添加した飼料(第17区)では、ライ麦を多給して、クロストリジウムの増殖を促進し、人為的にクロストリジウムの影響を受けるように設定した実験系において、初期のクロストリジウムの増殖を遅らせ、増体重が改善されており、クロストリジウムの感染による発育の影響を軽減できる。また、酵母類及び乳酸菌類を添加することにより、クロストリジウムの増殖は更に抑制され、増体重も大きくなっており、より優れたクロストリジウム効果を得られることが確認された(第18区)。 ピネン、チモール、オイゲノール及びリモネンを有効成分とすることを特徴とする抗コクシジウム剤。 ナツメグ、タイム、クローブ及びシトラスを含有することを特徴とする抗コクシジウム剤。 さらに、酵母及び乳酸菌を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の抗コクシジウム剤。 さらに抗クロストリジウム剤としても使用される請求項1〜3のいずれか1項記載の抗コクシジウム剤。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る