生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ポリペプチドの合成方法及び無細胞タンパク質合成系用添加物
出願番号:2006285681
年次:2008
IPC分類:C12P 21/02,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

長土居 有隆 西村 善文 JP 2008099621 公開特許公報(A) 20080501 2006285681 20061020 ポリペプチドの合成方法及び無細胞タンパク質合成系用添加物 公立大学法人横浜市立大学 505155528 谷川 英次郎 100088546 長土居 有隆 西村 善文 C12P 21/02 20060101AFI20080404BHJP C12N 15/09 20060101ALI20080404BHJP JPC12P21/02 CC12N15/00 A 8 OL 8 4B024 4B064 4B024AA20 4B024BA80 4B024CA11 4B024GA19 4B024GA30 4B024HA03 4B024HA20 4B064AG01 4B064CA02 4B064CA50 4B064CB30 4B064CC24 4B064CD13 4B064CD15 4B064CD20 4B064CD21 4B064CE14 4B064DA20 本発明は、無細胞タンパク質合成系を用いたポリペプチドの合成方法及びそのための添加物に関する。 無細胞タンパク質合成系は、宿主細胞を用いることなく、容器内で目的ポリヌクレオチドを転写、翻訳して目的のタンパク質を合成する系である。無細胞タンパク質合成によるタンパク質の合成方法では、宿主細胞を用いないので細胞を培養する手間とコストが不要になり、また、宿主細胞内で目的タンパク質を生産させた場合に比べて目的タンパク質の精製が容易であるという利点があり、近年広く用いられるようになってきている。 無細胞タンパク質合成系は、リボソーム含有細胞抽出物と、転写の際のmRNAの原料となるヌクレオシド三リン酸(NTPs)と、翻訳の際のタンパク質の原料となるアミノ酸とを含む。細胞抽出物には、翻訳に必要なリボソーム又はそのサブユニットをはじめ、各種翻訳因子(翻訳に必要なタンパク質)等が含まれる。細胞抽出物としては、大腸菌から調製されたリボソームS30タンパク質を含む抽出物(「S30抽出物」と呼ばれる)が広く用いられており、多くの会社からS30抽出物が市販されている。現在、各社から市販されているS30抽出物は、大腸菌から調製したS30抽出物を-80oCで凍結保存したものである。In Vitro Synthesis of Protein in Microbial Systems. G Zubay. Annual Review of Genetics Vol. 7: 267-287 1973Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site-specifically into proteins . Jon Ellman , David Mendel , Spencer Anthony-Cahill , Christopher J. Noren and Peter G. Schultz. Methods in Enzymology 202, 1991, Pages 301-336.Gene Expression in Cell-Free System on Preparative Scale. Vladimir I. Baranov and Alexander S. Spirin. Methods in Enzymology 217, 1993, Pages 123-142.Pratt JM: Coupled transcription-translation in prokaryotic cell-free systems. In: Hames BD, Higgins SJ (eds) Transcription and Translation: A Practical Approach, pp. 179209. IRL Press, Oxford (1984). S30抽出物のようなリボソーム含有細胞抽出物には、リボソームや各種酵素等の細胞由来の多数の成分が含まれており、その保存は厳密に行なう必要があり、-80oCでの凍結保存が行なわれている。しかしながら、厳密に保存した細胞抽出物を用いて無細胞タンパク質合成系によりポリペプチドを合成した場合でも、合成量が少ない又は検出レベル以下にしかならない場合もしばしばある。 本発明の目的は、従来の無細胞タンパク質合成系を用いた場合よりも、目的ポリペプチドの合成量が多くなる、無細胞タンパク質合成系によるポリペプチドの合成方法及びそのための添加剤を提供することである。 本願発明者らは、鋭意研究の結果、S30抽出物のようなリボソーム含有細胞抽出物として、細胞抽出物の凍結物ではなく凍結乾燥物を用いることにより、目的タンパク質の合成量が大幅に増大することを見出し本発明を完成した。 すなわち、本発明は、リボソーム含有細胞抽出物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを水系媒体中に少なくとも含む無細胞タンパク質合成系で目的ポリヌクレオチドの転写及び翻訳を行なうことにより目的ポリペプチドを合成する方法において、前記細胞抽出物として、凍結乾燥した細胞抽出物を用いることを特徴とする、ポリペプチドの合成方法を提供する。また、本発明は、リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物から成る、上記本発明の方法に用いるための無細胞タンパク質合成系用添加物を提供する。さらに本発明は、リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを少なくとも含む、無細胞タンパク質合成キットを提供する。 本発明により、従来の無細胞タンパク質合成系を用いた場合よりも、目的ポリペプチドの合成量が多くなる、無細胞タンパク質合成系によるポリペプチドの新規な合成方法が提供された。本発明の方法によれば、従来の方法よりも目的ポリペプチドの合成量が増大するので有利であり、特に、従来の方法では、目的ポリペプチドが検出できないような場合でも本発明の方法では十分な量が合成される場合がある。また、市販のリボソーム含有細胞抽出物は、上記の通り、-80℃で保存する必要があり、それでも活性が数ヶ月しか持たないが、本発明に用いる細胞抽出物は、-30℃で保存可能であり、-30℃で1年間保存しても十分な活性を有する。-30℃での保存は、通常のフリーザーで行なうことができ、-80℃での保存よりも遥かに容易である。従って、本発明は、無細胞タンパク質合成系によるポリペプチドの合成分野に大いに貢献するものと考えられる。 本発明のポリペプチドの合成方法では、リボソーム含有細胞抽出物として、リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物を用いる点に特徴がある。凍結乾燥に供する細胞抽出物は、従来と同様、細胞を緩衝液中で破砕し、膜成分を除去し、透析によりmRNAを除去して得られたものでよい。この際の細胞としては、細胞内でタンパク合成を行なっている細胞であれば特に限定されないが、広く用いられている大腸菌由来のものが好ましく、特に、従来から広く用いられ、各社から市販されているS30抽出物が好ましい。S30抽出物の調製方法は周知であり、下記実施例にも詳細に記載されている。 本発明の方法では、細胞抽出物を一旦凍結乾燥し、それを再度水系媒体、通常、水系緩衝液に溶解して用いる。凍結乾燥は、通常の凍結乾燥装置を用いて行なうことができ、溶媒(水)が完全になくなるまで行なう。通常、凍結乾燥処理は12時間以上行なうことが好ましい。凍結乾燥物は、-30℃で保存可能であり、従来の凍結物の-80℃に比べれば遥かに保存が容易である。凍結乾燥後、-30℃で1年間保存したものを用いてタンパクが合成されているので、-30℃で1年間保存しても十分な活性を維持している。 本発明の無細胞タンパク質合成系によるポリペプチドの合成方法は、上記した、凍結乾燥後のリボソーム含有細胞抽出物を用いることを除き、常法通りでよい。すなわち、凍結乾燥後のリボソーム含有細胞抽出物と、目的ポリペプチドをコードする目的ポリヌクレオチドと、他の必要な成分を水系媒体、通常、水系緩衝液に溶解し、該溶液をインキュベートすることにより目的のポリペプチドが合成される。なお、本発明において、「無細胞タンパク質合成系」というこの分野において慣用された語を用いているが、無細胞タンパク質合成系によってタンパク質以外のポリペプチドや、低分子のオリゴペプチドも合成可能であるので、「無細胞タンパク質合成系」により合成されるものはタンパク質に限定されるものではなく、広くポリペプチド(タンパク質やオリゴペプチドもポリペプチドに包含される)である。 リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物は粉末であるので、ポリペプチド合成時の濃度を任意に調整することが可能である。従来法では、リボソーム含有細胞抽出物は、凍結物を用いているので、凍結物を融解した溶液に目的ポリヌクレオチドや他の必要な成分を加えてタンパク質合成を行なっている。本発明のポリペプチド合成法では、添加するリボソーム含有細胞抽出物の濃度は特に限定されないが、従来法におけるよりも高い濃度の細胞抽出物を用いると、目的ポリペプチドの合成量がさらに増大することが見出された。すなわち、無細胞タンパク質合成系中のリボソーム含有細胞抽出物の濃度は、凍結乾燥前の細胞抽出物の濃度の1.5倍〜3倍であることが好ましく、さらには1.8倍〜2.2倍であることが好ましい。これは、すなわち、従来法における使用量の好ましくは約1.5倍〜3倍、さらには好ましくは1.8倍〜2.2倍であることを意味する。 ポリペプチド合成に必要な成分は、上記リボソーム含有細胞抽出物と目的ポリヌクレオチドの他、mRNAの原料になるヌクレオシド三リン酸(GTP, CTP, ATP, UTP)、天然のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸、RNAポリメラーゼ、tRNA、ポリペプチド合成のエネルギー源としてのATP、クレアチンキナーゼ(ADPからATPを合成する触媒酵素)、クレアチンリン酸(ADPからATPを合成する反応の基質)、チロシン(ポリペプチド合成のための必須アミノ酸の一つ)、大腸菌リボソームを用いる場合には、リボソームをサブユニットに解離させるマグネシウムイオンであり、任意成分としては、ジチオスレイトール(SH基の保護)、グルタミン酸カリウム(ポリペプチド合成のための必須アミノ酸の一つ)、ポリエチレングリコール(界面活性剤)、葉酸(ビタミンの1種)、サイクリックAMP(細胞内伝達物質)、酢酸アンモニウム(緩衝液)、アジ化ナトリウム(防腐剤)などが挙げられる。これらは常法において用いられているものであり、各成分の濃度の好ましい例は下記実施例に具体的に記載されている。なお、実施例に記載されている濃度は、±10%程度変動しても支障はない。 目的ポリヌクレオチドは、通常、目的ポリヌクレオチドを発現ベクターに組み込んだ組換えベクターの形態で無細胞ポリペプチド合成に供される。目的ポリヌクレオチドは、天然の遺伝子、cDNA、化学合成した核酸(人工遺伝子)等、目的ポリペプチドをコードする核酸であればいずれのものであってもよい。発現ベクター自体は周知であり、種々の発現ベクターが市販されているので、目的ポリヌクレオチドをそれらのマルチクローニング部位に組み込んで用いることができる。なお、発現ベクターは、細胞抽出物を調製した細胞内で機能するものが好ましく、例えば、大腸菌から細胞抽出物を調製した場合には、大腸菌用の発現ベクターを用いることが好ましい。 ポリペプチド合成時のインキュベートは、通常、室温〜37℃程度、好ましくは30℃〜37℃程度の温度下で行なわれる。インキュベートによる合成時間は、合成するポリペプチドの量や系のサイズにより異なるが、通常、30分〜24時間程度である。また、インキュベートは、振盪下で行なってもよい。 ポリペプチド合成は、バッチ法(すなわち、単一の容器内で行なう)によっても行なうことができるが、透析しながら行なうことも可能である。後者の場合、容器内を2枚の透析膜で3つの室に分割したものを好ましく用いることができる。3つの室の中央の室に収容する液を内液、その両側の室に収容する液を外液と呼ぶ。内液には上記各成分が含まれ、ポリペプチドは内液中で合成される。外液は、単なる緩衝液でもよいが、上記したLMCPY、マグネシウムイオン、アミノ酸等を含めておくことが可能であり、その場合には、透析膜を介してそれらの成分が内液に供給されるので、ポリペプチドの合成をさらに効率良く行なうことができ、ポリペプチドの合成量を増やすことができる。また、内液内での反応の老廃物が透析膜を介して外液に排出されるので、合成反応の速度の低下が抑制され、効率良くポリペプチドが合成される。 上記の通り、本発明の方法は凍結乾燥したリボソーム含有細胞抽出物を用いることを特徴としているので、本発明は、リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物から成る、上記本発明の方法に用いるための無細胞タンパク質合成系用添加物をも提供する。さらに、無細胞タンパク質合成系はキット化されて市販されているところ、本発明は、リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを少なくとも含む、無細胞タンパク質合成キットをも提供するものである。 以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。(1)大腸菌の増殖 S30抽出物を得るために使用した大腸菌はBL21-star(Invitogen社)である。その増殖は下記組成のLB培地を使用した。培養は初め300mLの三角フラスコに30mLのLB培地を入れ、オートクレーブ滅菌を施した後に室温まで冷やした。その後、抗生物質カルベニシリンを最終濃度50μg/ml加えて大腸菌BL21-starを一晩、37℃で培養を行った。LB培地組成: トリプトン 0.1g 酵母抽出物 0.05g NaCl 0.1g 1N NaCl水溶液 0.01ml 逆浸透水を加えて全量を1リットル 一晩培養した大腸菌をさらに3リットルのLB培地に全て移して恒温槽(いわしや社)で培養した。培養は全て37℃で行い、OD600=約3.0になるまで行った。培養した大腸菌の集菌は遠心機(Beckman Avanti HP-25I)を使用して、11899 g、15min、4℃の条件で回収した。大腸菌の集菌のために使用した緩衝液はS30バッファー(後述)であった。なお、大腸菌は-80℃で保存可能であるがその期間は2日間を限度とする。(2)大腸菌S30抽出物の調製 大腸菌BL21-star 10g(湿重量)に対して12.7mlのS30バッファー(β−メルカプトエタノールを除く)、22.7gのガラスビーズを遠心管に入れてマルチビーズショッカー(安井器械)を使って大腸菌の破砕を行った。S30バッファー組成: 2.2M Tris-酢酸緩衝液、pH7.4 4.5ml 0.1M DTT 10ml 1.4M酢酸マグネシウム 10ml 6.0M酢酸カリウム 10ml DEPC(ジエチルピロカーボネート)処理水を加えて全量を1リットル 大腸菌の破砕後速やかに30000g、30min、4℃の条件で遠心を行った。遠心後、25mlの上清に対して7.5mlのプレインキュベーションミックスを加えた。プレインキュベーションミックス組成: 2.2M Tris-酢酸緩衝液、pH7.4 1.0ml 1.4M酢酸マグネシウム 50μl 38mM ATP, pH7.0 2.6ml 0.42M ホスホエノールピルビン酸 1.5ml 0.55M DTT 60μl アミノ酸懸濁液(各55mM) 6μl ピルビン酸キナーゼ 75〜150単位 DEPC処理水を加えて全量を1リットル 37℃で80分インキュベートを行った。その後、20cmの長さに切った透析チューブ(MW cutoff: 8000)の中に移して1リットルのS30バッファーの外液に対して1時間、3回、4℃で透析を行った。透析後、4000g, 10minの遠心を行った。遠心後、50mlのコニカルチューブに移し、100μlごとにクライオチューブに分注して、液体窒素で凍結、-80℃で凍結保存した。(3)大腸菌S30抽出物の凍結乾燥 クライオチューブで凍結した100μlのS30抽出物は、一度、-80℃のディープフリーザへ置いた後、凍結乾燥機によって完全に溶媒がなくなるまでおよそ12時間以上処理した。凍結乾燥したS30抽出物の保存は-30℃で行った。 (4)バッチ法によるタンパク質合成 凍結乾燥したS30抽出物は、50μlのDEPC処理水により戻して利用した。以下の試薬と共にエッペンチューブ内で混合し、37℃で1時間、200rpmでインキュベートして合成を行った。発現したタンパク質の確認は17.5%SDS-PAGEで確認した。 1.6M Mg(OAc)2 2.4μl LMCPY(理化学研究所製、組成後述) 11μl 各20mM アミノ酸 1.5μl 組換えベクター(後述) 1μg 3.75mg/ml クレアチンキナーゼ 2μl T7 RNA ポリメラーゼ 0.5μl S30抽出物(上記) 7.2μl DEPC処理水を加えて全量を30μlLMCPY(Low Molecular Creatine Phosphate Tyrosine)組成: 1M Hepes-KOH, pH7.5 0.3ml 0.55M ジチオスレイトール 100μl チロシン 5.62mg 3Mグルタミン酸カリウム 2.09ml 100mM ATP 110μl GCU mix(100mM GTP, 100mM CTP, 100mM UTP) 270μl 40%ポリエチレングリコール (PEG) 8000 3.14ml 2.7mg/mlフォリン酸 400μl 17.5mg/ml大腸菌tRNA 0.3ml 100mM cAMP-Na 0.2ml 2.2M NH4OAc 0.39ml 1M クレアチンリン酸 2.51ml DEPC処理水で全量を0.27ml 組換えベクターとしては、目的ポリヌクレオチドとして4種類の核内タンパク質(11-01, 12-01, 18-01, 23-01、GenBank Accession No.はそれぞれNM_007348、NM_007317、NM_133502及びNM_032390)のいずれかのcDNAを発現ベクターに組み込んだものを用いた。発現ベクターは、市販の発現ベクターであるpET-23b(商品名、Novagen社)を用いた。この発現ベクターのマルチクローニング部位に、上記cDNAとその上流に融合タグとを連結したものを挿入した組換えベクターを用いた。融合タグは、発現ベクターpET160-DEST(商品名、Invitrogen社)に含まれるLumio(商品名)タグ(蛍光物質の存在下で蛍光を発する)コード領域とTEVプロテアーゼ認識部位を切り出し、その上流にHATタグ、スペーサー配列、開始コドンを、下流側からこの順に含むものである。 その結果、いずれの核内タンパク質のcDNAを組み込んだ場合でも、Lumio(商品名)染色により明瞭な電気泳動バンドが観察され、所望のタンパク質の合成が確認された。透析法によるタンパク質合成 直方体の容器を2枚の透析膜で仕切り、3室に分けた。各室の境界部分は、シリコーンゴムとアクリル板を用いて液密にした。中央の室には後述する内液(2ml)を入れ、両側の2室には後述する外液(各1ml)をそれぞれ入れた。透析膜はPIERCE社のSlide-A-Lyzer Cassettes(10000 MWCO)を使用した。S30抽出物及び組換えベクターは、実施例1と同じものを用いた。反応条件は30℃、1400rpmで12時間行なった。外液(1mlx2)組成: LMCPY 375μlx2 DEPC処理水 262μlx2 5% NaN3 10μlx2 S30バッファー(組成上記) 302μlx2 1.6M Mg(OAc)2 5.8μlx2 各20mM アミノ酸 51μlx2内液(2ml)組成: LMCPY 740μl DEPC処理水 322μl 17.5mg/ml tRNA 20μl 5% NaN3 20μl S30バッファー(組成上記) 302μl 1.6M Mg(OAc)2 12μl 各20mM アミノ酸 100μl 3.75mg/ml クレアチンキナーゼ 134μl T7 RNA ポリメラーゼ 34μl S30抽出物 500μl 組換えベクター 20μg その結果、いずれの核内タンパク質のcDNAを組み込んだ場合でも、Lumio(商品名)染色により明瞭な電気泳動バンドが観察され、所望のタンパク質の合成が確認された。 なお、比較のため、市販の無細胞タンパク質合成キット(凍結保存したS30抽出物を含む)を用い、上記と同様にタンパク質の合成を行なった。その結果、いずれのタンパク質も、合成量は、電気泳動法による検出レベル未満であった。これにより、凍結乾燥S30抽出物を用いることで、タンパク質の合成量が大幅に増大することがわかる。 リボソーム含有細胞抽出物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを水系媒体中に少なくとも含む無細胞タンパク質合成系で目的ポリヌクレオチドの転写及び翻訳を行なうことにより目的ポリペプチドを合成する方法において、前記細胞抽出物として、凍結乾燥した細胞抽出物を用いることを特徴とする、ポリペプチドの合成方法。 前記細胞抽出物が、細胞を緩衝液中で破砕し、膜成分を除去し、透析によりmRNAを除去して得られたものである請求項1記載の方法。 前記無細胞タンパク質合成系中の前記細胞抽出物の濃度が、凍結乾燥前の細胞抽出物の濃度の1.5倍〜3倍である請求項1又は2記載の方法。 前記抽出物が、大腸菌の抽出物である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。 前記細胞抽出物がS30抽出物である請求項4記載の方法。 前記目的ポリペプチドの合成を、透析しながら行なう請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。 リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物から成る、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法に用いるための無細胞タンパク質合成系用添加物。 リボソーム含有細胞抽出物の凍結乾燥物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを少なくとも含む、無細胞タンパク質合成キット。 【課題】従来の無細胞タンパク質合成系を用いた場合よりも、目的ポリペプチドの合成量が多くなる、無細胞タンパク質合成系によるポリペプチドの合成方法及びそのための添加剤を提供すること。【解決手段】ポリペプチドの合成方法は、リボソーム含有細胞抽出物と、ヌクレオシド三リン酸と、アミノ酸とを水系媒体中に少なくとも含む無細胞タンパク質合成系で目的ポリヌクレオチドの転写及び翻訳を行なうことにより目的ポリペプチドを合成する方法において、前記細胞抽出物として、凍結乾燥した細胞抽出物を用いることを特徴とする。【選択図】なし


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