生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_シリカガラスルツボ
出願番号:2006275130
年次:2008
IPC分類:C30B 15/10,C03B 20/00,G01N 21/64


特許情報キャッシュ

内丸 知紀 JP 2008094639 公開特許公報(A) 20080424 2006275130 20061006 シリカガラスルツボ コバレントマテリアル株式会社 507182807 木下 茂 100101878 内丸 知紀 C30B 15/10 20060101AFI20080328BHJP C03B 20/00 20060101ALI20080328BHJP G01N 21/64 20060101ALN20080328BHJP JPC30B15/10C03B20/00 HG01N21/64 Z 1 OL 6 2G043 4G014 4G077 2G043AA01 2G043AA06 2G043BA17 2G043CA05 2G043EA01 2G043FA07 2G043GA07 2G043GB16 2G043KA03 2G043LA01 4G014AH00 4G077AA02 4G077BA04 4G077CF10 4G077EG02 4G077PD01 4G077PD05 本発明は、シリコン等の半導体単結晶引上げにおいて、原料を溶融するために好適に用いられるシリカガラスルツボに関する。 シリコン等の半導体単結晶は、主に、チョクラルスキー(CZ)法により製造されている。このCZ法によるシリコン単結晶の製造は、シリコン単結晶の種結晶を、多結晶シリコンを溶融したシリコン原料融液に着液させて、回転させながら徐々に引き上げていき、シリコン単結晶インゴットを成長させることにより行われる。 上記のようなCZ法によるシリコン単結晶引上げにおいては、原料を加熱溶融するための容器には、一般に、外層が水晶等の天然質原料を溶融ガラス化した天然シリカガラス、内層が透明な合成シリカガラスからなるシリカガラスルツボが用いられている。 しかしながら、このようなシリカガラスルツボ内で原料シリコンを溶融させると、天然シリカガラスのみからなるルツボに比べて、シリコン原料融液の液面が振動しやすい。特に、単結晶引上げ工程初期における振動が大きく、種結晶を着液させる際の種付け不良を招いたり、メルトバックを引き起こしたりして、生産性を低下させるという課題を有していた。 これに対しては、例えば、特許文献1には、ルツボ直胴部の特定範囲の内層を天然シリカガラスとすることにより、シリコン原料融液表面の振動を抑制することができることが記載されている。 また、特許文献2には、ルツボ内層の一部に、特定サイズの気泡が所定量含まれる領域を形成したシリカガラスルツボにより、シリコン原料融液表面の振動を抑制することができることが記載されている。特開2004−59140号公報特開2005−206446号公報 しかしながら、上記特許文献1に記載されているような、内層に天然シリカガラスを含むルツボは、一般に、天然シリカガラスには、合成シリカガラスよりも不純物が多く含まれていることから、引き上げられるシリコン単結晶に対する不純物汚染を生じやすい。このため、高純度かつ高品質が求められるシリコン単結晶の引上げには、好ましい態様のルツボとは言い難いものであった。 また、ルツボ内のシリコン単結晶原料融液の液面振動の根本的な発生原因は明らかになっておらず、上記特許文献2に記載されているように、ルツボを構成するシリカガラス中の含有気泡密度を特定することのみによっては、必ずしも、シリコン単結晶原料融液の液面振動を抑制することは困難であった。 したがって、シリコン等の半導体単結晶の引上げに用いられるシリカガラスルツボにおいては、ルツボ自体が引き上げられる単結晶の不純物汚染源とならず、かつ、原料融液表面の振動を効果的に抑制することができるものが求められている。 本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、ルツボに起因する不純物汚染を招くことなく、かつ、ルツボ内に充填された単結晶原料融液の液面の振動を効果的に抑制することができ、シリコン等の半導体単結晶を歩留まりよく引き上げるのに好適なシリカガラスルツボを提供することを目的とするものである。 本発明に係るシリカガラスルツボは、内表面側に透明シリカガラス層を有し、その外周に閉気孔を含む不透明シリカガラス層を有するシリカガラスルツボであって、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度が、ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける基準蛍光強度の0.15以下であることを特徴とする。 内表面のシリカガラスの物性を上記のように規定したルツボによれば、半導体単結晶引上げ過程において、ルツボ内に充填される単結晶原料融液の液面振動を抑制することができ、また、ルツボを構成するシリカガラス中に含まれる不純物による単結晶原料融液の汚染を抑制することができる。 上述したとおり、本発明に係るシリカガラスルツボによれば、このルツボ内に充填した単結晶原料融液から引き上げるシリコン単結晶に対して、ルツボに起因する不純物汚染を生じることなく、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液の液面振動を効果的に抑制することができる。 したがって、本発明に係るシリカガラスルツボは、シリコン等の半導体単結晶を歩留まりよく引上げるのに好適に用いることができる。 以下、本発明をより詳細に説明する。 本発明に係るシリカガラスルツボは、内表面が合成シリカガラスからなる透明シリカガラス層、その外周部が多数の閉気孔を含む不透明シリカガラス層である複層構造からなるものである。 外周部に閉気孔を有していることにより、単結晶引上げ時に、ルツボ外部のヒータからの赤外線透過率を低下させることができ、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液の液面振動を抑制する作用を奏する。 ただし、ルツボ内表面まで閉気孔を含む不透明シリカガラスにより構成すると、ルツボ内表面のシリカガラスとシリコン単結晶原料融液との反応により、該ルツボ内表面のシリカガラス中の気孔が開放され、それにより生じる径の大きい気泡が、引上げられる単結晶の無転位化率を低下させる。 このため、ルツボ内表面は、閉気孔を含まない透明シリカガラス層とする。また、この透明シリカガラス層を高純度の合成シリカガラスで形成することにより、ルツボ内表面からシリコン単結晶原料融液への不純物汚染を抑制することができる。 また、シリコン単結晶引上げの際、上記のように、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液とルツボ内表面のシリカガラスとが反応し、ルツボ内表面が侵食される。 したがって、ルツボ内表面から厚さ方向に500μm以内の領域のガラス構造が、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液の液面振動に影響を及ぼす。 本発明は、このルツボ内表面部分が特定の蛍光スペクトルを示すシリカガラスで形成されていることにより、前記液面振動を効果的に抑制可能なルツボとすることができることを見出したことに基づくものである。 すなわち、本発明に係るシリカガラスルツボは、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度が、ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける基準蛍光強度の0.15以下であることを特徴とするものである。 シリカガラスは、波長242nmにB2βと呼ばれる光吸収帯を示し、波長390nmをピークとする青色発光を生じる。これは、酸素欠乏のSi、SiOに起因するものと考えられている(「非晶質シリカ材料応用ハンドブック」,株式会社リアライズ社,1999,p.211、Philipp,J.Phys Chem.Solids,1971,32,p.1935参照)。 ルツボ内表面のシリカガラス中に、これらの酸素欠乏Si、SiOが存在すると、ルツボ内表面に対するシリコン単結晶原料融液の濡れ性が大きく変化し、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液に液面振動を生じさせる原因となる。 したがって、本発明に係るシリカガラスルツボは、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmまでの領域内には、上記のような酸素欠乏Si、SiOが存在しないものであることが好ましい。 本発明においては、このような酸素欠乏Si、SiOの検出手段として、波長242nmの励起光を照射したときの蛍光スペクトルにおいて、ピーク波長390nmの蛍光強度測定を行う。 この蛍光強度の判定は、典型的な蛍光色素であるローダミンB(C28H31ClN2O3)の10ppbエタノール溶液に、波長242nmの励起光を照射したときの波長560nmにおける蛍光強度を基準として行う。 シリカガラスによる標準試料の調製は困難であるため、上記のような入手および調製容易である蛍光色素の溶液を標準試料とする。 そして、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度が、前記蛍光色素による基準蛍光強度に対して0.15以下であるシリカガラスルツボであれば、ルツボ内に充填されたシリコン単結晶原料融液の液面振動を効果的に抑制することができる。 上記のような本発明に係るシリカガラスルツボは、例えば、以下に示すような方法により製造することができる。 まず、複数の貫通孔を有するルツボ成形型に、水晶等の天然シリカ原料粉を入れ、回転させ、ルツボ形状の外層を成形する。この外層の内表面を覆うように、シリコンアルコキシドまたは四塩化ケイ素の加水分解等により得られる合成シリカ原料粉を導入する。この中にアーク電極を挿入し、所定量の水蒸気を導入しながら、減圧アーク溶融によりガラス化することにより、内側が透明シリカガラス層、その外周部が多数の閉気孔を含む不透明シリカガラス層であるシリカガラスルツボが得られる。さらに、このルツボに、還元雰囲気下でアニール処理を施すことにより、本発明に係るシリカガラスルツボが得られる。 以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。 まず、複数の貫通孔を有するルツボ成形型に、天然シリカ原料粉を入れ、回転させ、ルツボ形状の外層を成形した。この外層の内表面を覆うように、合成シリカ原料粉を導入した。この中にアーク電極を挿入し、所定量の水蒸気を導入しながら、減圧アーク溶融によりガラス化した。 このときの水蒸気導入量を変化させ、内側が透明シリカガラス層、その外周部が多数の閉気孔を含む不透明シリカガラス層である直径24インチのシリカガラスルツボを15点作製した。 さらに、各ルツボに、還元雰囲気下でアニール処理を施し、シリコン単結晶引上げに供するシリカガラスルツボとした。 各ルツボから、2mm×4mm、厚さ1mmの測定試料を切り出し、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度を測定した。 この蛍光強度は、ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける基準蛍光強度に対する相対強度として求めた。これらの結果を表1に示す。 また、各ルツボを用いて、CZ法によりシリコン単結晶引上げを行う際のルツボ内の原料融液の液面振動の状態を調べた。これらの結果を表1に示す。 なお、表1における評価においては、液面振動がない、または、液面振動がほとんどなく、種付けをスムーズに行うことができた場合を○とし、種付けが困難なほど液面振動が大きい場合を×とした。 表1に示したように、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの相対蛍光強度(ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける蛍光強度基準)が0.15以下である本発明に係るシリカガラスルツボにおいては、ルツボ内に充填したシリコン単結晶原料融液の液面振動が抑制されていることが認められた。 内表面側に透明シリカガラス層を有し、その外周に閉気孔を含む不透明シリカガラス層を有するシリカガラスルツボであって、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度が、ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける基準蛍光強度の0.15以下であることを特徴とするシリカガラスルツボ。 【課題】ルツボに起因する不純物汚染を招くことなく、かつ、ルツボ内に充填された単結晶原料融液の液面の振動を効果的に抑制することができ、シリコン等の半導体単結晶を歩留まりよく引き上げるのに好適なシリカガラスルツボを提供する。【解決手段】内表面側に透明シリカガラス層を有し、その外周に閉気孔を含む不透明シリカガラス層を有するシリカガラスルツボにおいて、厚さ方向の断面においてルツボ内表面から500μmの部分に、波長242nmの励起光を照射したときのピーク波長390nmの蛍光強度が、ローダミンBの10ppbエタノール溶液の波長560nmにおける基準蛍光強度の0.15以下であるような構成とする。【選択図】なし


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